今週の米バロンズ誌のカバーストーリーを飾るのが世紀の運用者といわれたビル・ミラー(レッグメイソンの投資顧問部門を統括、自らも運用)だ。
“He is back”(彼は帰ってきた)という表題で、ビル・ミラーのさわやかな笑顔が登場している。2006年までの15年間にわたってS&P500を毎年アウトパーフォームするという偉業を成し遂げた。しかし2007年~2008年は記録が挫折した。「ビル・ミラーも落ちた偶像になった」と陰口をたたかれた。
それが直近は年初来+37.52%(S&P500は+17.24%)と市場平均を大きく上回った。
「向こう5~10年は大型優良株が大きく上昇する」というのがその信念で「株を買うのでなく、そのビジネスを買う」という投資スタイルが再び実を結び始めた。
投資していた金融株で大きな打撃を受けたが、ここへきて逆に回復に貢献している。
私はビル・ミラーと聞いただけでわくわくする。悪いときも、よいときもだ。
株式投資で資産を形成するのはこうするのだというのを、毎年4半期毎に株主に報告するが、そのレポートが待ち遠しい。まあ私はウォーレン・バフェットの大のフアンでもあるが、ビル・ミラーにも異なった魅力が数々ある。
彼の好パフォーマンスへの復帰は偶然ではなく、彼にしてみれば当然のことである。
相場は合理的な判断が効果を上げる展開になってきたことを、彼は実証した。
「トリトンスクエア通信」では彼の部下のレポートの戦略を今週は取り上げている。
昨日のNY株は待望の1万ドル台載せ。「機関投資家はダウ平均をベンチマークにしていない」とみる向きもあるが、心理的にはやはり相場には好影響だ。出遅れていた資金が流入するかどうかが焦点である。
1万ドル台乗せのきっかけは前回(9月22日)の連銀の議事録の発表。「景気の回復はみられるが、勢いは弱い。ただ景気上昇が向こう2年間は続く」という文言がみられたのに市場は注目した。牽引役は金融、ハイテクであった。ビル・ミラーの笑顔が浮かぶ。