今回の世界的な株高での注目点は新興市場の反発が日欧米の株価を大きく上回ったことだ。
20世紀が生んだ偉大な運用者のもとで、投資戦略を担当するデビッドE・ネルソンの最近のレポートに次ぎの一文がある。
“相場は3月以降、米国だけでなく世界的に立ち直ってきた。5月にはMSCI世界株価指数(モルガンスタンレー作成)が月間で+9%になり30年ぶりの上昇記録になった。エマージング市場は世界経済の景気回復の速度にもっとも敏感に反応した。年初来、中国は+44%、韓国+24%、香港+28%、インド+51%、ロシア+84%、ブラジル+41%、ベネズェラ+30%、チリ+30%、アルゼンチン+47%、メキシコ+9.5%とそれぞれ値上がりした(ドルベース)。もし世界経済が反転しないなら、こんなに広範囲に力強く反発したことは大きな謎である”(レッグメイソンの投資戦略委員長デビッドE・ネルソン)
ちなみにこの間の日本株+2.54%、米国-1.61%、英国+13.19、ドイツ+2.75%、仏+6.29%であった。
日本、アメリカの市場でのプレィヤーは世界経済の立ち直りの実感度が鈍感であったといえる。また投資家が感じる景気の感度にエマージング市場との間に温度差があった。
ネルソンは今回の相場が数年は続く本格反騰とみて、先行きに強気だ。
米国でのMMFでの待機資金の額は株式投信を大きく上回っており、資金を温存している投資家は先行きの株価の反騰にはゆっくり眠れないはずだ。
6月にはいってからは世界の株式相場はボックス圏にはいったが、これは出遅れた投資家には絶好の買いチャンスを提供している。
来月には米国で第2四半期の決算発表がある。金融機関がポジティブ・サプライズを出す可能性が高いし、財務省主導の官民投資プログラム(PPIP)の買取りがスタートする予定。材料が揃う米国の金融株の人気が再来するだろう。
東京市場でも出遅れた投資家にはまず銀行株への注力を勧めたい。三菱UFJ(8306)、三井住友(8316)、みずほ(8411)だ。今週は買い場とみる。
米国株ではバンク・オブ・アメリカ(BAC)に注目。有名なヘッジファンドのマーク・キングドンは1年後には株価は2倍になるとみている。