原油が71.50ドルになった。昨年12月19日の安値から2倍の上昇だ。1年前の145.29ドルの半分の水準まで戻した。
きっかけはドル安であるが、実需には中国の動きがある。前回の大相場の時は米国の消費景気に投機資金の猛烈な流入がいわれたが、需要は中国であることは周知の通り。
石油だけではなくアルミ,銅、ニッケル、すず、亜鉛、大豆など商品相場が大きく上がっている。
中国が世界景気の回復の牽引車としての役目には万人が認めるところであるが、専門家は「実需ではなく将来に備えての戦略的な備蓄」ということで意見が一致している。ただ中国の統計は不備でだれもその実態を正確にはつかんでいないのが実情である。
鉄鋼の操業率は米国60%、中国70%といわれているが、それなのに鉄鉱石の輸入を急増させているのには首をかしげる向きも多い。
ただこれからの政府の公共投資には今まで経験しなかった膨大な資源を必要とする。ボストン・コンサルティング・グループでは「米国のハイウェイ網の整備には35年、日本の新幹線には16年を要した。中国は道路、港湾、空港、電力、その他のインフラ整備にスピードを上げても数十年はかかる」とみる。これまでに世界が経験しなかった投資が出る。常識が通用しないモノの需給である。
株価だけがそれを正確に読み始めた。
われわれは資源、海運、商社、設備投資関連に注目を始めている。たとえば乾汽船、三菱商事。