マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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月ヶ瀬・嵩の山の神

2019年06月03日 09時15分27秒 | 奈良市(旧月ヶ瀬村)へ
月ヶ瀬・嵩の山の神の場は八柱神社社殿外の右脇にある。

刻印のない大きな石。

そこが山の神の場。

真上にある樹木はホウソの木。

ホウソと云ってもわかりにくい。

正式名称がナラの木といえば理解できるだろう。

山の神にくる参拝者がやってくる時間は不定時であるが、はじまりに合図がある。

午前零時の太鼓打ちが合図。

集落に聞こえてくる太鼓の音が聞こえてすぐに参拝される家もあるという。

到着した時間は午前11時ころ。

山の神にはどなたも会えなかったが、参拝された証のフクダワラやクラタテがあった。

クラタテは五つ。

四方と中央に太めの木を立てている。

一つだけ残っていたコウジミカンは皮を削った中央にある木にさす。

四方の木にヒラヒラ。

山添村の各地でみられる山の神の祭り方と同じである。

参拝されて数時間の経過。

お餅などを供えると聞いていたが、餅などはなく、ただ重しの形がついた半紙が1枚。

他のクラタテは風に飛ばされてしまったのだろうか、跡形もない。

カギヒキはたぶんに二束。

数本纏めたホウソの木がぶら下がっていた。

よく見れば細目に編んだ藁束を吊るしている。

聞いている話によれば、藁束の名前はフクダワラ。

家族の男衆の数の餅を詰めているフクダワラはヒトガタ。

別名にホウデンの名がある。

そのカギを引っ張りながら「ヒガシノクーニノゼニカネ ニーシノクニノイトワタ アカウシニツケテ コチノクラヘゴザレ ミナゴザレ(或はうーちのくーらへどっさりこ・・)」と唱和する。

参拝者の都合によってさまざまと聞いているが、おおよそは午前8時くらいに参ったようだ。

山の神を拝見していたころにお会いした2人の寺檀家。

お一人は、平成28年の10月23日の宵宮、24日の本祭の際にお世話になったIさん。

もう一人の寺檀家さんとも、何かと嵩の行事を教えてくださる。

嵩の山の神参りは午前0時より。

山仕事をしている人が参る。

山の神参りの日は、その1日が山行きを休む。

クラタテの昔はもっと多くの人たちが立てていた。

お話してくださる寺檀家の男性も長年していないと答えたこの年は5軒。

クラタテに半紙を広げて敷く。

真ん中の木は、本来がクリの木。

周りの4本がハゼウルシの木だという。

男性がいうカギヒキの詞章は「ヤマノカミのイトワタ ヒガシのクニにゼニコメ ニシのクニに ウチのクラへドッサンコ」。

多少の違いがみられる。

カギヒキにぶら下げる藁束は男の人数分をぶら下げる。

藁束の中に餅1個とかキリモチ、削った餅。

或いは石そのものを詰める場合がある。

詰めるものは家それぞれの在り方。

特に決まってはいない。



現在、クラタテの中央に立てるのはハゼウルシ。

これだけは先を削って尖がらし、切込みを入れる。

そうしておかないと先端に固いクリの実は刺せないという。

映像中央にある木は男性がいう通りの細工をしていたが、左側の事例のように栗でなく蜜柑だったが・・。

周囲にある御供は正月のお節、祝い膳と同じようにタツクリにトコロ芋、吊るし柿2個。

クラタテに立てた5本ともヒラヒラを付けたという。

御供を供えてから数時間の経過。



食べ物は野鳥が食べてしまったのだろう。

この日は山の神行事だけでなく、薬師講の会式が行われる。

本来は8日であるが、昨今は12日に行われていた大般若行事と併せもって近い日曜日に移した。

薬師講に続いて大般若があるという。

檀家当番の2人に直会の当番。

午後の準備もあるから忙しい。

なお、お勤めをする僧侶は大字尾山の住職に存じている後さんも加わるそうだ。

また、ここ嵩の墓地に、かつて長谷寺の管長を務めた僧侶の墓、五輪塔もあるという。

大般若行事を拝見したいが生憎、取材は重なった。

これから出かける宇陀市榛原萩原・小鹿野の初祈祷行事が待っているので嵩を離れた。

ちなみに旧月ヶ瀬には、嵩の他に辻出・寺脇・天神・西広小場にそれぞれ堂守が世話する石打の山の神もあれば、昭和49年にホウデンを復活した長引にもあるらしい。

また、ホウデンやカギヒキは堂下が世話をする月瀬にもあるようだ。

(H30. 1. 7 EOS40D撮影)


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