マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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天理本通り・食料品店の刺しさば調査

2023年08月28日 08時14分08秒 | 民俗あれこれ(売る編)
今年の2月。

雪の降る日に立ち寄った奈良の天理本通り

なにげに入店した食料品店に、棚売りしていた干物のヒダラがあった。

ヒダラを売っているなら、もしかとしてお盆に食べる刺しさばも売っているのでは、と思って声をかけたら、売っている、という。

千載一遇の出会いにご縁をいただいた刺し鯖売り。

半年後の夏。

売られる時季になれば、教えてください、とお願いしていた。

そろそろ入荷される時季になった、と思って電話をかけたら、6月末に製造販売元に発注し、7月初めに入荷した、という。

売り場の写真を撮らせてもらっていいですか、とお願いしたら、値札は外しときます、という。



SNSに投稿されるのは構わないが、商売上、競合他社に、商品値付けを知らせるのは、御免やで、と・・。

枚数にして十数枚の刺し鯖。



売りきり注文した刺し鯖は、7月末で販売を〆る。

1カ月に売りきる刺し鯖であるが、昨年は早めに売れたようで、追加発注をした、という。

刺し鯖を買う客層は、どんな人なのかわからないが、数年前の行事取材に出会った旧五ケ谷村に住む平成27年当時82歳のIさんは、ここ本通りで刺し鯖を買っていたと、想定される食料品店。

奥に在庫もあるのでは、と思って尋ねた、今年の仕入れ枚数は・・・。

これもまた企業秘密・・と、いうことだ。

おまけに、店名も伏せてほしい、と願われた。

これまで、県内3カ所、3店舗で売っている刺し鯖は、すべて味見した。

いずれも、一口食べて、しょっぱぁーい、と、思わず口に出るくらいに塩辛い刺し鯖。

ここ本通りで売っていた刺し鯖一枚を購入し持ち帰り。



ノルウエー産の鯖を、刺し鯖に加工販売する水産加工事業者は、福井県丹生郡越前町のヤマヒラ商店㈱

若狭名物の一本丸ごと串焼きする焼き鯖の作り方は、テレビやSNSなどで多くの事例を紹介されているから、その加工手段はわかるのだが、刺し鯖は・・・

機会があれば、刺し鯖民俗調査の一環に刺し鯖加工はどのようにされているのか、工場見学してみたいものだが・・。

買ってきた刺し鯖は、今も冷蔵庫保存。

焼きを入れて、我が家で食べることになれば、また公開しようと思っている。

ちなみに、製品は真空パック売り。

店主の話によれば・・・。

かつて売っていた刺しサバは、日焼けのように真っ黒けだった。

昭和40年代の刺しサバは真っ黒けだったが、いつしか健康志向に清潔さを求められ、塩分は10%~15%どまり。

真空パック技術もあってパッケージ化。

汚れもつかない刺しサバ売り。

独特の匂いも拡散しない真空パック保存。



その昔は、パッケージもなく、真っ黒けの刺しサバをそのまま棚売りしていた時代を忘れそうになる。

ここら辺りの人は農家が多い。

暑い夏にバテないよう塩分を摂ったようだ、と話してくれた。

「刺しサバの流通は、福井・小浜から送りだされるサバ街道によって、奈良にも流通したと思う。7月末で売りきるのは、お盆のお家の刺しサバ習俗とは関係なく、8月10日ころまでに食べていた。お盆に食べる、というようなあり方ではなかった。だから7月末で売りきる」と、断言された店主であった。

(R3. 7.15 SB805SH撮影)