( 若竹屋「渓」 JR奈良駅・「難波」行き電車内にて) 2011/9/23
■2011/9/23(金)
(まだまだ「秋の彼岸の酒話し」は続きます・・・)
「嘘みたい! えっ、何でここに若竹屋の「渓」(たに)があるんだい。」 それは、JR王寺駅前の焼き鳥屋で「義侠」を発見した時と同じくらいの驚きだった。
その酒店は奈良市の「今西屋」、 「竹乃館」で腹ごしらえし、店を出てまもなくのところにある、売り場10坪ほどのさほど大きくない酒屋さんだ。 入口には、今年の富山や三重産新米がたくさん積まれ、どちらかといえば米穀店が拡張して「日本酒」も取り扱っているという感じだ。
店には、レジのところに娘さんがいて、冷蔵ストッカーの前で絶叫している私に近づいてきた。 「三井の寿と若竹屋の酒が、しっかりと存在感を示しているし、幻の酒米、穀良都(こくりょうもやこ)もあって、まるで夢みたいだ。」と私は横に来た娘さんに伝えた。
「えっ でも なんで? 大阪・奈良の主な酒店で、若竹屋の酒を探しまわって1年以上、結局見つからないと諦めていたのに どうしてここにしっかりあるんだい? もしかして酒蔵とお父さんが個人的に友達だとか・・・」と尋ねると
「実は、母の里が福岡でして そのつながりで、郷土のお酒を努めて置いてるんです。」
「な~るほど そういうことか・・・ それにしても いい酒を置いてますね」 このブログにも何度か登場の 元禄時代から続く「若竹屋酒造場」の酒は、福岡に行った際『ダイニング かきたRO』のおかみさん一押しの酒。
爽快でキレを感じる印象はその名の通り渓谷のすがすがしさ、まさに「渓」だった。 そしてこの「渓」は関西に戻っても是非飲みたいと思って ずーっと探していた酒だった。
通販を利用すれば手に入らなくもないが、通販で酒を買ったこともなければ、今後もそれはしないと決めている。 なぜならば、何となく空しいと感じるから。 必ず酒蔵か取扱い酒店に出向いて、意見や感想を聞いてこの手に抱えて買ってくることにしている。 だから今回 奈良市でこの銘柄を発見したことは、感激の一言だった。
関西では、「杜の蔵」や「三井の寿」がイメージも知名度も先行しているが、私は実力はこっち(若竹屋)の方が少なくても「杜の蔵」より上だと思っている。 たぶん大阪の酒販店は、若竹屋のことをほとんど知らないのだと思うが、それこそ、今日のSAKESONICなどに呼んでその実力のほどを披露してもらいたい酒蔵が、若竹屋の酒なのである。 私は、筑後の鬼才、横尾杜氏の来阪を願っている一人だ。
「ところで、この「渓」を買ったお客さんのその後の反応はどうですか?」と聞くと「一度買われたお客さんは、また同じ銘柄で とリピート率がとても高いお酒なんです。」と 思った通りの答えが返ってきた。 これは、福岡で耳にしていたのと同じだ。
「やっぱりな~ おまえは、凄い!」 と思わず帰りの電車の中で、「渓」の酒瓶に声をかける私だった。 関西ではそれこそ幻の酒「渓」と「穀良都」の供給基地を確認できて、最高に収穫ある一日。 本当に今日は、神様がくれた「私にとって最良の酒の日」となった。
(寅)