「竹三郎さんの会」に行ってまいりました。昨年から松竹座や南座のロビーには「坂東竹三郎の会」のチラシがおいてありましたが、正式に演目と出演者が決まったのが2月半ば、そしてチケット販売が5月17日、「ようやくたどり着いた…」っていうのが、文楽劇場に到着したときの正直な私の感想でした。特に、苦節十数時間のチケット予約は、出演者・内容ともにもともと非常に素晴らしい公演なんですが、それをさらにもっと高みに引き上げたと言いましょうか…。感慨深いものがございました。この気持ち、どなたかと分かち合いたいと思い、お隣の女性に「電話でチケット、取られました?」って聞いてしまいました。そのお嬢さんも電話予約だったそうで、ひとしきりその苦労話で盛り上がっておりました。
チケット販売開始から十数時間後に取れたチケットですので、当然のことながら後方席、17列目でした。ただ、文楽劇場は真ん中ぐらいまではフロアがフラットで、案外前の人の頭が重なったりして見づらい席がありますが、17列目ぐらいになると少し傾斜がついているので、前の人で見えないということはなく、舞台全体を見渡せてそんなに変な席でもありませんでした。
昨日も書きましたが、本当に素晴らしい舞台、気持ちの良い舞台でした。始まる前からお客さんはとにかくこの会を盛り上げようと待ち構えています。役者さんが登場する時の拍手は半端じゃない大きさだし、大向こうさんも大勢お見えで、いっせいにかかるので、迫力ありました。舞台上は竹三郎さんを慕って出演されている役者さんばかりなので、近頃稀に見る役者さん同士の息がぴったりのアンサンブルで、それを見てお客さんは「あー、よかったよね」と思い、さらにそういう客席の空気が舞台に移り…、文楽劇場全体がとても良い“気”であふれていました。その空間にいることができて、ワタクシも会社で仕事をしながら電話予約した(否、電話予約しながら仕事?)甲斐があったというものです。
さて、昨日ご紹介したツイートのまとめを読んでいただいたら、それで当日の様子が大体がおわかりになるかと思うんですが、一応、お芝居の感想文を書いておきます。
一つ目は「夏姿女團七」です。河竹黙阿弥作のお芝居です。「夏祭浪花鑑」の団七九郎兵衛を團七縞のお梶という芸者に、舅の義平次を義母のおとらに性転換?し、ついでに舞台も大阪から江戸に移されました。つい先日、文楽で「夏祭」を見たばかりだったので、興味深く拝見しました。
主役のお梶を亀ちゃん(四代目猿之助)、義母おとらを竹三郎さんという配役です。それ以外は釣船三婦を男女蔵さん、森下甚内を薪車さん、玉島磯之丞を隼人クン、琴浦を千壽さん、一寸お辰を壱太郎さんという配役でした。
亀ちゃんの女形、久しぶりでした。すっきりとした、色気のある“小股の切れ上がった”芸者さんでした。女形さん、お上手ですよね。ここんところ襲名披露公演で狐忠信ばっかりですが、たまにはこういう女形も演目に入れていってほしいなぁと思いました。竹三郎さんとの息もぴったりで、浜町河岸の場の殺しの場面も、殺陣が美しく決まっていました。團七縞という名がついているだけあって、例の團七縞(柿色のブロックチェック)のお着物です。一寸お辰は一寸徳兵衛のパロディなので、徳兵衛縞(藍色のブロックチェック)でした。
隼人クン、こういう気の弱い優柔不断の若者のお役、ニンに合っているといいましょうか、ナチュラルに演じていらっしゃいました。相手役の千壽さんの琴浦ですが、いつの間にこんなに上手くなられたんでしょうか?と思ったほど、美しい、吉原のまだ店出し前の少し硬さのある色気があって、よろしゅうございました。上方歌舞伎会では「伊勢音頭」の万野だそうで、楽しみです。「伊勢音頭」で思い出しました。隼人クン、例の歌舞伎界を舞台にしたテレビドラマのジャニーズ男子と同年代かと思いますが、やはり全然違いますね。ちゃんと歌舞伎の匂いがありました。御曹司で子役から出ているからなんでしょうね。
竹三郎さんのおとらですが、何かちょっとすっとぼけたような、でもしっかりと濃ゆいキャラ全開で、これが上方歌舞伎なんだろうなぁと思いました。クスッと笑かしてくれるんです。薪車さんとの掛け合いを見ていたら、あー親子共演したはるんやぁとちょっとウルッときました。
壱太郎さんのお辰ですが、亀ちゃんのお梶に負けることなく、ピシッと決めたはりました。ただ、簑助さんの絶品のお辰を見てしまった後なので、色気と言う点ではまだまだかと…。お若いし仕方ありません。
ご覧になった方がツイッターでも書いていらっしゃいましたが、本公演でも十分通用するできばえで、「勧進帳」や「寺子屋」ばかり出さないで、こういう変わった演目にもチャレンジしていただきたいですわ、松竹株式会社さま…。
チケット販売開始から十数時間後に取れたチケットですので、当然のことながら後方席、17列目でした。ただ、文楽劇場は真ん中ぐらいまではフロアがフラットで、案外前の人の頭が重なったりして見づらい席がありますが、17列目ぐらいになると少し傾斜がついているので、前の人で見えないということはなく、舞台全体を見渡せてそんなに変な席でもありませんでした。
昨日も書きましたが、本当に素晴らしい舞台、気持ちの良い舞台でした。始まる前からお客さんはとにかくこの会を盛り上げようと待ち構えています。役者さんが登場する時の拍手は半端じゃない大きさだし、大向こうさんも大勢お見えで、いっせいにかかるので、迫力ありました。舞台上は竹三郎さんを慕って出演されている役者さんばかりなので、近頃稀に見る役者さん同士の息がぴったりのアンサンブルで、それを見てお客さんは「あー、よかったよね」と思い、さらにそういう客席の空気が舞台に移り…、文楽劇場全体がとても良い“気”であふれていました。その空間にいることができて、ワタクシも会社で仕事をしながら電話予約した(否、電話予約しながら仕事?)甲斐があったというものです。
さて、昨日ご紹介したツイートのまとめを読んでいただいたら、それで当日の様子が大体がおわかりになるかと思うんですが、一応、お芝居の感想文を書いておきます。
一つ目は「夏姿女團七」です。河竹黙阿弥作のお芝居です。「夏祭浪花鑑」の団七九郎兵衛を團七縞のお梶という芸者に、舅の義平次を義母のおとらに性転換?し、ついでに舞台も大阪から江戸に移されました。つい先日、文楽で「夏祭」を見たばかりだったので、興味深く拝見しました。
主役のお梶を亀ちゃん(四代目猿之助)、義母おとらを竹三郎さんという配役です。それ以外は釣船三婦を男女蔵さん、森下甚内を薪車さん、玉島磯之丞を隼人クン、琴浦を千壽さん、一寸お辰を壱太郎さんという配役でした。
亀ちゃんの女形、久しぶりでした。すっきりとした、色気のある“小股の切れ上がった”芸者さんでした。女形さん、お上手ですよね。ここんところ襲名披露公演で狐忠信ばっかりですが、たまにはこういう女形も演目に入れていってほしいなぁと思いました。竹三郎さんとの息もぴったりで、浜町河岸の場の殺しの場面も、殺陣が美しく決まっていました。團七縞という名がついているだけあって、例の團七縞(柿色のブロックチェック)のお着物です。一寸お辰は一寸徳兵衛のパロディなので、徳兵衛縞(藍色のブロックチェック)でした。
隼人クン、こういう気の弱い優柔不断の若者のお役、ニンに合っているといいましょうか、ナチュラルに演じていらっしゃいました。相手役の千壽さんの琴浦ですが、いつの間にこんなに上手くなられたんでしょうか?と思ったほど、美しい、吉原のまだ店出し前の少し硬さのある色気があって、よろしゅうございました。上方歌舞伎会では「伊勢音頭」の万野だそうで、楽しみです。「伊勢音頭」で思い出しました。隼人クン、例の歌舞伎界を舞台にしたテレビドラマのジャニーズ男子と同年代かと思いますが、やはり全然違いますね。ちゃんと歌舞伎の匂いがありました。御曹司で子役から出ているからなんでしょうね。
竹三郎さんのおとらですが、何かちょっとすっとぼけたような、でもしっかりと濃ゆいキャラ全開で、これが上方歌舞伎なんだろうなぁと思いました。クスッと笑かしてくれるんです。薪車さんとの掛け合いを見ていたら、あー親子共演したはるんやぁとちょっとウルッときました。
壱太郎さんのお辰ですが、亀ちゃんのお梶に負けることなく、ピシッと決めたはりました。ただ、簑助さんの絶品のお辰を見てしまった後なので、色気と言う点ではまだまだかと…。お若いし仕方ありません。
ご覧になった方がツイッターでも書いていらっしゃいましたが、本公演でも十分通用するできばえで、「勧進帳」や「寺子屋」ばかり出さないで、こういう変わった演目にもチャレンジしていただきたいですわ、松竹株式会社さま…。