秀太郎さんもブログに書いていらっしゃいましたが、役者さんは注目を浴びるということを経験すると格段に良くなるようです。そういう意味では「晴の会」の三人が安定しているのは当然のことなんでしょう。りき彌さんが今年の「晴の会」で役がついて出番も多かったのですが、それが良い経験となっているようで、これまでは“きれいな紙人形”って感じだったのが、今回は血肉が感じられ、しっかりと琴浦になっていました。磯之丞の翫之さんをぐいぐいとリードしていらっしゃいました。
年は若いけれど小さいときからお役がついている吉太朗クンは抜群の安定感です。お役の名前が「若旦那吉之助」とあって、そんな役あったっけ?と思っていたら、今回作った役のようで、初っ端に吉太朗クン、未輝クン、千太郎クンの上方歌舞伎期待の部屋子ちゃんたちのお芝居がありました。吉太朗クン、頭抜けてました。台詞、身のこなし、目線、全て若旦那でした。未輝クンは変声期真っ只中のせいか、おてるという女の子のお役なのに、完全に男の子でした。初めての女形だったそうで、「ガンバレ!」っておばちゃんは思いました。千太郎クンは丁稚のお役でしたが、なかなか達者で、客席を笑わせて温めてくれていました。将来有望です。
ツイッターでも上がっていましたが、今回は女形さんがよかったと。既に書いた千壽さん、りき彌さんに加え、団七女房のお梶の折之助さん、三婦女房おつぎの當史弥さんです。折之助さんは吉弥さんのお弟子さんで、昨年名題に昇進されました。お化粧も動きも吉弥さんそっくりで、師弟の絆を感じました。當史弥さんは以前よりワタシがひそかに注目している女形さんです。結構きれいな役者さんで、お芝居もお上手です。まだ名題下なので、本公演ではたぶんどこにいるかわからないと思いますが。
「夏祭」のラストのおみこしは、人手が足りないので、他の役者さん総出でした。先頭に千壽さん、後ろのほうに吉太朗クンが見えました。「夏祭」をほぼ上方の役者さんだけで演じられたので、とにかく大阪弁がナチュラル、引っかかるところがなくて(一部他所の方もいらっしゃいましたが)、よろしゅうございました。これが本当の「夏祭浪花鑑」なんでしょうね。お亡くなりになった勘三郎さんがよくかけていらっしゃったので、そっちの演しものってイメージが強いんですが、住吉とか高津とか純粋な大阪のお芝居ですから。
舞踊は「五條橋」と「団子売」でした。昨日書いたように、「夏祭」のほうをあまりに必死で見て疲れたのと、食事をしてお腹がいっぱいになったのとで、意識を失っておりました。「五條橋」は翫政さんと光さんの成駒家さんコンビ、「団子売」は松四朗さんと當史弥さんの松嶋屋さんコンビでした。舞踊はやっぱりまだよーわかりません。お芝居の水準がここ2、3年ですごく上がったので、おそらく踊りのほうも上がっていると思います。
そして、最後はお楽しみの「指導者ご挨拶」でございます。最前列を取りたかったのですが、今年は文楽劇場のサイトからは取れなくて、二列目でした。それでも十分近いのでうふっ

でした。二年前までは我當さんもおみえで、ご長男ですので、我當さんから口火を切り、最後の大阪締めも我當さんと暗黙の了解があったのですが、昨年から我當さんがご欠席。挨拶の順番や大阪締めの音頭取りを決めていらっしゃらなくて、「あんたから」「いえ、あんたから」とグダグダしていらっしゃいました。まあ、それもめったに見られない光景なので、こちらもニタニタしながら見てたんですけど。今年はちゃんと段取りを決めていらっしゃったようで、秀太郎さん、孝夫さん

、藤間豊宏さんとご挨拶されました。秀太郎さんも孝夫さん

も大満足の笑顔でのご挨拶でした。孝夫さん

が「20年前まで素人さんやった人たちがここまで出来るようになって…」とおっしゃって、こちらも感慨深いものがありました。最後の大阪締めは松嶋屋の当主十五代目ということも決めていらっしゃったようで、孝夫さん

が一歩前へ出られたのはいいんですが、「さあ」とみんなスタンバイしたところで、孝夫さん

が「えーっと、何て言うんやったけ?」と秀太郎さんにお尋ねになって、またそのちょっと照れたようなお顔が可愛らしくステキで、萌え~でございました。
それぞれのブログに写真が掲載されています。
秀太郎歌舞伎話
miyoshiya record
上村吉太朗
らむ之助オフィシャルブログ
《オマケ》
cafe Teクノ
秀太郎さんの元お弟子さんの千志郎さんのツイッターです。扇町で「cafe Teクノ」というカフェをやっていらっしゃるんですが、そちらに孝夫さん

がいらっしゃったそうです。ツーショット写真があります。ウラヤマシ…。