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おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

八月納涼歌舞伎

2022-08-31 22:58:59 | 観たもの
 歌舞伎座の納涼歌舞伎は昨日無事に全員本役で千穐楽をお迎えになりました。役者さんたちのTwitterやInstagram、ブログを拝見しているとどなたもこなたも皆さん、本当にホッとされていました。ワタシの遠征予定と休演・再開・代役の時期がぴったり重なり、同じ波?の中にいた身のワタシもホッとしました。おそらく二度と経験できないようなお舞台に遭遇でき、ある意味貴重な遠征となりました。って、終わったから言えますが、最初に第1部が休演、続いて2部も3部も休演となり、先月のように途中打ち切りかと思いきや、とりあえず再開はすると発表があり、ヒヤヒヤ・ドキドキ・バタバタで、とりあえず新幹線に乗りました。新幹線の中で代役発表を見ました。歌舞伎役者さんの代役って、いつもびっくりするくらい完璧にお勤めになるので、たぶん、ちゃんと幕は開くんだろうなと思いながら歌舞伎座に向かいました。幕が閉まるまでハラハラでした。

 一応、見た順番で第2部からです。第2部は「安政奇聞佃夜嵐」と舞踊の「浮世風呂」でした。「安政」のほうは昭和62年以来の再演だそうです。主役の二人は勘九郎さんと幸四郎さんがお勤めでしたが、幸四郎さんが濃厚接触者で休演、急遽亀ちゃんが代役をお勤めになりました。幕開き、亀ちゃん、いきなりの長台詞です。場面は人足寄場で、プロンプタが隠れる場所はありません。詰まることなく、一気に台詞をおっしゃいました。よくかかるお芝居で何度もご出演であれば台詞は頭に入っているかもしれませんが、長らくかかってなかったお芝居で、しかも亀ちゃんは元々こちらのお芝居には出ていらっしゃいません。「スッゲー!!!」って思いながらオペラグラスを覗いておりました。その後も、初日から出てらした?って思うくらい、フツーにお芝居が進みました。それを見られただけで「ラッキー!!!」で、それに満足しておりました。勘九郎さんと亀ちゃんの共演っていうのも珍しいように思いました。そっちに気が行ってしまって、お芝居自体がどうという感想がなくて…。やたら暗転が多くて、それにちょっと気が殺がれてしまったってこともあるのですが…。

 「浮世風呂」は亀ちゃんが出ずっぱりの舞踊です。踊りが達者な亀ちゃんなので、楽しく、ただあまりにテンポが良すぎて時々フッと意識を失いつつ、拝見しておりました。

 第3部の「弥次喜多」は主役4人のうち、3人が休演、その代役を5人で勤め、さらにその玉突きで他の配役にも変更があり、チラシを見てても、誰が誰やら全くわかりませんでした。役者さんももちろん大変ですが、裏方さんがもっと大変だったそうで、お衣装や鬘、段取り、宙乗りがあるのでそちらもお祓いもあったそうで、それをたった一晩でやり上げられました。先月のような途中打ち切りだけは絶対に避けたいという皆さんの強い思いが結実したお舞台だったんですね。

 幸四郎さんの弥次さんは青虎さんでした。こちらはノーマル?な代役でした。美少年染五郎クンと團子ちゃんのお役を、立役は猿弥さんと隼人クン、女形は笑三郎さんと笑也さんで分けられました。猿弥さんと聞いた時点で、「わっ、何が起こるんやろう?」ってググっと気持ちが上がりました。その期待を裏切ることなく、美少年ということで真っ白な白塗り、小顔を見せるためか目・鼻・口を真ん中に寄せて描いてらして、登場された途端大爆笑、共演の役者さんたちもククッと震えていらっしゃいました。でも、代役はふざけてはいけないそうで、台詞はおそらく台本通り、粛々とお芝居をされていました。笑三郎さんと笑也さんの女形も違和感なく、本役の二人だとまだあまり女形に慣れてなさそうなので、そういう意味ではちゃんとした?女形さんでよかったです。

 お話のほうは相変わらずのしっちゃかめっちゃかで、面白かったです。本水を使った立ち回りもあり、こういうのを見るのも久しぶりで、歌舞伎見た感がアップします。

 後半は湘南の家族商店(ファミリーマート?)が舞台です。敵対している暴走族の男組と女組が踊り競べで勝負をつけることになります。なかなかの見ものでした。新悟さんが女組の総長で「道成寺」をソロで踊られました。本物の「道成寺」は踊られたことがないそうで、パロディとはいえ、歌舞伎座で「道成寺」ってすごいなと思いながら見ておりました。ひそかに贔屓の鷹之資さんも女組の親衛隊長タカミで登場です。ソロではなく旗持ちオタマの玉太郎さんと踊られましたが、やっぱり違いますね。どう違うのかを必死で見てましたが、手足を伸ばすところが、より遠く、より高く、伸びてるように思いました。そしてその形がきれいなんです。指先まで神経が行き届いています。玉太郎さんも決してぐにゃっとしてるわけではなく、きちんと踊ってらっしゃるんですけどね。なぜか「オグリ」の「歓喜の舞」もあり、あのYouTubeで見た鷹之資さんの歓喜の舞をナマで拝見できて「おおっ」ってなりました。

 家族商店の店長が寿猿さんで、宙乗りのゴンドラに乗って引っ込まれました。最高齢宙乗りでギネスに申請されるそうです。NHKの朝のニュースでも取り上げられていました。お元気で何よりです。

 最後は、主役4人で宙乗りでした。「猿弥さん大丈夫?」ってチラッと思ったけれど、問題なく引っ込まれました。そこで幕が下りたのですが、とにかく拍手が鳴り止まず、揚幕から亀ちゃんと青虎さんが登場されました。グッとくるご挨拶で、この「一体感」は二度と味わえないものでしょうね。エエもん見せてもらいました。

 最後は第1部です。手塚治虫原作の「新選組」は成駒屋兄弟の代役を中村屋兄弟が勤めるという、「かえってラッキー!」とちょっと言われましたが。元々は勘九郎さんがお好きだったそうで、ただ、自分の年齢では合わないので、成駒屋兄弟に上演をお勧めになったそうです。勘九郎さんも七之助さんもちゃんと少年っぽさを残した青年になってました。ブラックジャックのお医者さんが登場したり、「鉄腕アトム」の歌を太棹で演奏したり、書割にジャングル大帝レオや一つ目小僧が隠れていたりと手塚治虫リスペクトがいろいろあって、なかなか面白かったです。手塚治虫ファンでこの「新選組」の漫画が大好きという友人も観劇しましたが「良かった」って言ってくれて、なぜかワタシもホッとしました。

 「闇梅百物語」は舞踊で、以前南座でかかり、巳之助さんがずっと傘一本足で踊ってらして「スッゲー」って思った記憶があります。勘九郎さんが勘太郎さんと長三郎さんと三人で踊られるのですが、大・中・小って感じになってました。勘太郎さんも長三郎さんもすっかり歌舞伎役者で、神妙に踊ってて、「あの、イタズラばっかりしてた子がね~」って親戚のオバチャン状態で見ておりました。

 結局、見終わってみると、勘九郎さんと亀ちゃんの「奮闘公演」という印象になりました。この世代が歌舞伎座を引っ張ってるんですよね。いろいろな意味で感慨深い歌舞伎見物となりました。

 
 ハラハラドキドキの第2部開演前の歌舞伎座です。

 
 代役の案内です。こんな3つも並ぶってすごくないですか。

 《オマケ》
 
 ボケボケですが、富士山です。往きの新幹線で見えました。
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NHKファミリーヒストリー「北村有起哉」

2022-08-29 23:32:38 | その他いろいろ
 今日のNHK「ファミリーヒストリー」は俳優の北村有起哉さんでした。お父様は文学座の俳優北村和夫さんです。前回は大森南朋さんで、お父様は元・状況劇場の麿赤兒さんでした。この番組のプロデューサーさんって、ひょっとしてお芝居好きなんでしょうか?って思ってしまうラインナップです。ワタシ的にはWelcomeなチョイスなんですけどね。

 この番組、「著名人の家族の歴史を本人に代わって徹底取材。『アイデンティティ』、『家族の絆』を見つめる番組。初めて明らかになる事実に、驚きあり、感動ありのドキュメントです」というものです(番組websiteからコピペ)。その取材ぶりは「よーこれだけ調べはったよね~」と毎回感心しております。

 今回ももちろん、これまでのように父方、母方それぞれのルーツを丹念に資料を調べて辿っていくといういつもの形なんですが、ワタシ的にはやはり北村和夫さんが登場されるとそこで見入ってしまいました。舞台の映像は「欲望という名の電車」と「花咲くチェリー」が使われていました。「欲望」は何とか杉村先生のをギリギリで見ることができました。おそらく80歳を超えてらして「杉村春子の『欲望』を見た!」という満足感のみで、できれば今日の映像の時ぐらいのを見たかったなぁと思いました。白黒で画質もあまり良くないにもかかわらず、「無駄にプライドの高い可哀そうなブランチ」「凶暴でデリカシーのないスタンリー」が確かにそこにいました。「花咲くチェリー」は北村和夫さんの代表作なんですが、たぶん見てないように思います。何年か前に渡辺徹さんが「花咲くチェリー」をお演りになると聞いて、ちょっと見てみたいと思いました。

 「親子二代でスタンリーを演じた役者」ということも触れていらっしゃいました。それ、見てます。歌舞伎だと親、子、孫で同じ役を演じるって、結構普通のことですが、新劇のほうでは珍しいように思います。有起哉さんのスタンリーは篠井英介さんのブランチの時で、本当に大変よろしゅうございました。再演を切に希望しております。和夫さんは当時闘病中だったそうですが、「最後の医者の役で出たい」とおっしゃっていたそうです。親子共演、見てみたかったです。あ、文学座は今秋「欲望」を上演されます。スタンリーは「鎌倉殿の13人」で和田義盛を演じていらっしゃる横田栄司さんだそうです。万障繰り合わせて見に行きたいと思っています。

 って、結局番組の内容とは全く関係なくなってしまいましたが、NHKプラスでご覧になれるようです。ぜひどうぞ。
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第32回上方歌舞伎会

2022-08-27 23:47:04 | 観たもの
 上方歌舞伎のお弟子さんたちの研修発表会「上方歌舞伎会」でございます。24日(水)と25日(木)の2日間開催されました。両日の夜の部を見てきました。

 今年の演目はお芝居が「伊勢音頭恋寝刃」と舞踊が「乗合船恵方万歳」です。お芝居は上方歌舞伎から選ばないといけないようで、数に限りがあるので、ローテーションのようになっています。上方Nativeの方ばかりなので、上方言葉でないと意味がないっちゃ意味がないのですが。

 主役級は若手に移っています。貢は愛治郎さんでした。松尾塾から国立劇場の歌舞伎俳優研修生を経て愛之助さんのお弟子さんになられました。「貢と言えば孝夫さん」なので、シュッとした上背のある人っていうイメージがあり、愛治郎さんでは体型的にちょっと平べったい感じで、見る前は「どうなんでしょうか…」と思っていたのですが、なかなかよろしゅうございました。プログラムのご本人の言葉によると「このお役は勉強したい」とずっと思われていたようで、そういう憧れのお役だったのできっと孝夫さんのご指導にも必死で食らいついて頑張られたのでしょう。習われたことをちゃんと舞台で表現されていました。安心して見ていられました。指導者ご挨拶で我當さんが「僕は50年前に貢を初役で演ったけど、彼の半分もできてなかった」とほめていらっしゃいました。

 万野は折乃助さんでした。こちらのご指導は吉弥さんで、本当によく吉弥さんを写していらっしゃいました。本当に意地悪な万野でした。吉弥さんのお弟子さんというと、どうしても“われらが吉太朗クン”に目がいき、折乃助さんはその陰に隠れてるイメージでしたが、今回はしっかりと存在感を示していらっしゃいました。「みよしや一門会」で一人で踊るっていうのがいいんでしょうか。孝夫さんも「10回の稽古より1回の本番」といつもおっしゃっていますが、まさしくそれのような気がします。

 千壽さんが千野でした。こちらも結構なイケズぶりでした。登場されると舞台が締まります。

 お紺はりき彌さん、お鹿は鴈大さん、お岸が千太郎クンです。りき彌さんもずいぶんと慣れてこられました。ちょっと前まで緊張されているのがこちらまで伝わってきて、ハラハラしながら見てましたが、そういうのはなくなりました。鴈大さんって、いつもおじいさんを演ってるイメージなので、ちょっとイメージチェンジです。千太郎クンはすっかり大人のお役が板についてきました。ただ、イマドキのお子さんなので、顔がちっちゃいんです。隼人クンみたいに20キロぐらい体重を増やせば、歌舞伎的なバランスが良くなるような気がします。

 万次郎は光さん、喜助は翫政さんでした。光さん、初めてちゃんと見たような気がしますが、上方の「匂い」を持っていらっしゃいますね。何とも言えない、柔らかみ、おかしみ、鷹揚さがあります。これはたぶんお稽古で身につくものではなく、持って生まれたものだと思います。究極は藤十郎さんや秀太郎さんの身体からにじみ出る上方の匂いです。もちろん、まだまだそういうレベルではないのですが、これからのご精進が楽しみな役者さんです。翫政さんは喜助は2回目だそうで、威勢のいい板前さんでした。

 舞踊のほうは上方ではなく浅草が舞台です。ご出演の7人、それぞれに見せ場があります。万歳の太夫が當吉郎さん、才蔵が松四朗さんでした。當吉郎さんはこの前の「晴の会」のくじら爺さんのイメージが強烈すぎて、そっちが思い浮かんでしまいました。鼓を打つ場面があって、打つ真似だけかと思っていたら、ちゃんと打っていらっしゃいましたが、時々ハズレがありました。松四朗さんは歌うほうなんですが、こちらも「ほんまにこんな歌なん?」って思うところが何回かあり、何かをしながら踊るってハードルが高いなぁと思いながら見ておりました。

 公演終了後はお目当ての「指導者ご挨拶」です。そのために最前列をgetしたワタシです。孝夫さんが司会進行です。我當さんが今年も東京から来られました。口許が少々ご不自由にもかかわらず、出演者をほめ、秀太郎さんや孝夫さんを立て、いろいろな思いがこもったご挨拶で泣きそうになりました。そうそう、孝夫さんが我當さんのこと「お兄ちゃん」って呼んでらして“萌え~ポイント”その①でした。孝夫さんは「この子らの至らんところがあったら、それは指導者の指導が悪かったからです」ってきっぱりおっしゃっていました。それだけ指導にも手ごたえを感じていらっしゃったんでしょうね。

 孝夫さんが出演の皆様にも「一言ずつ」と振られて、「拍手は最後にまとめてお願いします」とおっしゃったにもかかわらず、トップバッターの愛治郎さんが挨拶されるといの一番に孝夫さんが拍手してしまい、ちょっとてへぺろな表情をされて、“萌え~ポイント”その②でした。一通り、挨拶が終わり、孝夫さんの“萌え~ポイント”その③「秀太郎がおったら、うまいこと回してくれるんですけど、私あきませんので締めますわ」っておっしゃって、最後は大阪締めでお開きになりました。「来年もやります」って力強くおっしゃっていました。皆さんのレベルがどんどん上がっているので、普通の歌舞伎を見ているのと変わらないくらいで、楽しみです。
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帰ります。

2022-08-22 15:36:14 | Tokyo
帰りの新幹線です。お弁当は久しぶりの鈴波の銀だら弁当です。銀座三越でgetしました。平日のみお弁当を売ってらっしゃるそうです。写真の撮り方が雑なのは、ビールがぬるくなりそうだったので、とりあえず写っていたらOKにしました。ブログよりビールです。

今回の上京は迷いに迷ったのですが、頑張って来て良かったです。結局、歌舞伎座は当初の予定通り三部とも見ることができました。今日から幸四郎さんが二部と三部にご出演されるそうで、それ見たかったなぁと思いつつ、たった2日間の超レアな代役を拝見でき、ある意味luckyだったのね、と思っています。

昨日は、玉ちゃんの映画の前にサントリー美術館にも行き、六本木から北千住まで移動、日比谷線のほぼ端から端まで乗った感じです。その後、高砂会では水天宮駅で降り人形町駅から乗ったので、いろいろ新規開拓?できました。

歌舞伎座も南座も研の会も上方歌舞伎会も演舞場も皆さんどうぞご無事でと祈ります。
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今日はここ

2022-08-21 16:14:42 | Tokyo
北千住にあるシネマブルースタジオで玉ちゃんの「書かれた顔」を見てきました。「見に行った」という記憶はあるのですが、内容は全くって言っていいほど覚えてなくて、ほぼ初見でした。八千代座から始まってたんですね。お舞台の映像だけでなく、楽屋にもカメラが入り、お舞台の前後の様子も知れて、とても興味深く見ました。杉村春子先生も登場されます。撮影当時88歳だったそうですが、ピシッとシャキッと、それでいて柔らかい色気もあってさすがでございます。

これで1000円は買いですよ、奥サン。明後日23日(火)までです。お近くの方、おススメでございます。


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お江戸へGO!

2022-08-20 12:00:04 | Tokyo
お江戸へ向かう新幹線です。歌舞伎座も今日から一部、二部、三部揃って上演されることになりました。

昨日の夜まで「どうなることか」「どうしたらいいのか」とヤキモキしました。やっぱり、先月のトラウマがあるので、上京自体を止めた方がいいのか、ってことも考えました。お江戸は楽しいところなので、歌舞伎座が閉まっても、いくらでも他にお楽しみはあるのですが。「もしも」に備えて、美術館リストも作成しております。

松竹株式会社は「開ける!」と言ってますが、ホント、幕が上がるまで心配です。

配役変更もあり、一体ワタシは何を観に行くんやろか?ってちょっと思ってるところもあります。特に第三部はもはや原型をとどめておりません。まぁ、歌舞伎役者さんのポテンシャルは高いので、きっと「初日からこうでしたけど、何か?」っていうお舞台になるとは思うのですが。でも、染五郎・團子コンビは見たかったなぁ…。
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森英恵さん

2022-08-18 23:17:35 | 訃報
 森英恵さんが老衰のためお亡くなりになりました。96歳でした。

 お洋服に目覚めた頃から見たり聞いたりしていた有名なデザイナーさんです。と言っても、プレタポルテのお洋服が買えるわけでもなく、せいぜいライセンス商品を持ってた程度で、そんなに“近い”感じのデザイナーさんではなかったのですが、昨年、国立新美術館で開催された「ファッションインジャパン1945-2020 流行と社会」という展覧会を見に行き、その時に森英恵さんがそこかしこで登場され、日本のファッションを語るうえで非常に重要なキーパーソンだったんだなと認識を改めました。

 まずは映画の衣装からです。1954年から日本映画に携わり、会社は関係なく掛け持ちで何百本も衣装をデザインされたそうです。日活の石原裕次郎さんがご出演の映画の衣装も担当されていました。どれもこれもとてもステキで、今着ても全然古臭くないデザインでした。その後、1965年にニューヨークで初めて海外コレクションを発表されました。それは「日本」を意識したもので、帯地とか縮緬とかの布地に、日本の伝統的な柄を描き、それがドレスになっていました。1970年代には既製服のブランドも立ち上げらています。そのお洋服もまたカワイイんです。日本航空の制服も手掛けられました。「アテンションプリーズ」というスチュワーデスのドラマでその制服は見てました。1977年にパリ・オートクチュール組合への加入が認められ、1977年春夏コレクションからパリでオートクチュールコレクションを発表されるようになりました。こちらも日本を意識したイブニングドレスでした。

 森英恵さんの後に三宅一生さん、山本耀司さん、川久保玲さん、高田賢三さんたちが続きます。すっごいエキサイティングな展覧会で「すごいね」と思って会場を出ようとしたら、最後に「現代ファッションの証言」というドキュメンタリー映像の上映がありました。デザイナーやスタイリスト、雑誌編集者などがファッションについて語るものだったのですが、その中で稲葉賀惠さんが登場され森英恵さんのことを「森先生」っておっしゃって、「『森先生』って呼ばれる人なんや。こんなに偉大なデザイナーさんやったんやわ」ってトドメを刺されました。崇め奉られる存在でいらっしゃったんですね。

 ↑こういうのを見てた(聞いてた)ので、今朝訃報を聞いたとき「偉大な森先生が…」ってちょっと思った次第です。ご冥福をお祈りいたします。
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「寺子屋」で探る松王丸と源蔵の苦悩

2022-08-17 22:58:47 | その他いろいろ(歌舞伎)
 ↑タイトルのセミナーを聴講してきました。これはGinza学倶楽部という団体がシリーズで開催されている「作者と劇評家のコトバで読み解く 歌舞伎のセカイ」というセミナーの第4回目にあたります。今回は「劇評家編」で演劇評論家の田中綾乃さんが作品を劇評の視点から読み解くというものです。「作者編」というのもあり、その時は木ノ下歌舞伎を主宰する木ノ下裕一さんが演目の作者に焦点を当てて作品を読み解かれるそうです。←というようなセミナーだということを、これを書きながら知りました。と言いますのも、このセミナーは国立劇場の伝統芸能情報館であって、ちょうど鷹之資さんの会の前の時間帯で、言葉は悪いですが“時間つぶし”的な感じで申し込んだもので…。もちろん、田中綾乃さんも木ノ下裕一さんもお名前は存じ上げており、そういう方たちのでお話で、しかも「寺子屋」ならば一度勉強しとかなあかんねっていうのもありましたが…。

 こちらのセミナー、どちらかと言えば“復習”の題材が多いそうですが、今回は企画が決まった後に9月の秀山祭で「寺子屋」がかかることが発表され、9月の“予習”って感じになったそうです。ということで、9月の「寺子屋」のお話から始まりました。源蔵と松王丸を幸四郎さんと松緑さんが交互にお勤めになります(ワタシも9月の第1部は2回見ます)。お二人は七代目松本幸四郎丈のひ孫にあたります。七代目幸四郎は九代目團十郎の門弟で、生涯に1600回以上弁慶を勤めた弁慶役者だそうです。その子息が十一代目團十郎、初代松本白鸚、二代目尾上松緑だそうです(あと、女婿に四代目中村雀右衛門)。全員ひとかどの役者となり、その子孫も順調、今でいう“ビッグダディ”ですね。

 ひとしきり9月の秀山祭のお話のあと、本題に入ります。劇評や名優たちの芸談のコトバを参考にしながら、「寺子屋」についてお二人がお話されました。一応、メモらしきものはあるのですが、断片的、しかも1か月前のことで「何が何やら???」状態です。このセミナーをオールアバウト歌舞伎ガイドの宗像陽子さんがレポートされてましたので、詳細はそちらをご覧くださいませ。

 ということで、ここからは自分のメモで印象に残ったことを…。最初に杉贋阿弥(すぎ・がんあみ)の劇評が紹介されました。劇評って近代の概念で、江戸時代は「評判記」と言われ、好き嫌いや流行ってる流行ってないという視点で書かれていたそうです。それが近代になって客観的に判断して書くようになったそうです。贋阿弥によれば「寺子屋」には軽い役はなく、全ての登場人物がちゃんと役割があってドラマがあります。そう言われれば、名前のあるお役はそれぞれ見せ場があり、それが最後まで続きますね。ダレルってことがないように思います。よー出来た脚本なんですね。

 源蔵が菅秀才の身代わりを立てようと寺子屋の子どもたちを見て「いずれも山家育ち」と言うところがありますが、原文では「世話甲斐もなく役立たない」となってるそうです。あまりに露骨なので役者さんは「いずれも山家育ち」と言ってるそうです。文楽では本のとおり語られているそうなので、今度文楽で見たら聞いておこうと思いました。

 台詞については「せまじきものは宮仕え」についても言及がありました。ここでさよなら公演の時の映像を見せていただきました。孝夫さんの源蔵に勘三郎さんの戸浪です。お二人の時は、「せまじきものは宮仕え」は竹本が語り、ひしと抱き合ってました。台詞を言わなくていい分、悲壮な覚悟、深い悲しみをより強く表現できるそうです。抱き合わないっていう演技もあるそうです。その時は、それぞれが抱える苦悩をそれぞれが表現しているそうです。

 いろいろな型があるというのは聞きますが、どうも最近は画一化していく方向みたいで、もっといろいろなバリエーションがあってもいいのではないかと。悪いと言われる型も創意工夫によって面白くなる可能性はある。役者さんはそういう努力をしてほしいと。

 で、ここで再び9月の「寺子屋」のことを。幸四郎さんは高麗屋、松緑さんは音羽屋の型で、きっと違う型になるだろうと。まずお衣装が高麗屋は「黒地に雪持ちの松」、音羽屋は「銀鼠に雪持ちの松」だそうです。孝夫さんも「銀鼠に雪持ちの松」でしたね。「首実検」にもいろいろなやり方があるそうです。首桶の蓋の扱いとか刀の置き場所とか。参考文献で二代目松緑さんの「松緑芸話」や保っちゃんの「歌舞伎の型の魅力」、七代目幸四郎さんの「松王の心得」、實川延若さんの「芸談松王丸」が挙げられていました。「松緑芸話」はよく目にするので、一度読んでみたいなと思っているのですが。

 そうそう、その「松緑芸話」に六代目菊五郎さんの松王のことが書かれてあるのですが、菊五郎さんは「梅王、松王、桜丸は三つ子なんだから、『寺子屋』の松王も前髪の心持ちでなくちゃおかしい」とおっしゃっていたそうです。そう言われればそうですよね。「寺子屋」ってやっぱり奥が深いんですね。

 9月の「寺子屋」を見るまでにちゃんと予習をしておきたいと思います。ただ、「寺子屋」ならば孝玉コンビで見たかったなと、またまたこの結論になりました。あの松王と千代は本当に良いご夫婦でしたもの…。

 
 上のチラシの裏面です。
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新作舞台「波濤を越えて」

2022-08-16 16:48:44 | 先々の予定
 11月の南座の壱太郎さんとジャニーズの人たちの新作舞台「波濤を越えて」です。「平家物語」を基に能楽、歌舞伎などの古典芸能と現代演劇の演出を融合させて描くお芝居のようです。

 日程:2022年11月12日(土)~11月22日(火)
 場所:南座
 観劇料金:S席11000円、A席8000円

 ご出演は歌舞伎からは壱太郎さんと吉弥さん、能楽から林宗一郎さん、大槻裕一さん、坂口貴信さん、現代演劇から渡部豪太さん、嘉島典俊さん、影山泰さん、そしてジャニーズの嶋﨑斗亜さん、影山拓也さんです。

 脚本・演出が今井豊茂さん、能楽監修で亀井広忠さんのお名前が出ているので、かなり古典芸能寄りなお芝居になりそうな気はします。配役は、壱太郎さんが祇王と静御前、影山拓也さんが知盛、嶋﨑斗亜さんが義経とポスターにはクレジットされています。どんなお芝居になるんでしょうか。歌舞伎と能楽の方たちはもちろんマイク無しでOKだと思うのですが、それ以外の方は難しいのかなぁ…。であればマイク越しのお芝居なんでしょうか。それはちょっと雰囲気が壊れそうな気がします。でも、ジャニーズの方ありきのお芝居のようなので、そっちに合わせていくんでしょうかね。観劇料金もそっちに合わせているような…。ちょっと行きたいかも、って思ったけれど、8000円はキビシイです。って、そもそも切符が取れるのか?という問題がありそうです。
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高倉

2022-08-15 22:59:29 | 食べたもの
 京都の割烹「高倉」です。以前にも一度伺ったことがあり、「ぜひもう一度」と切望しておりましたが、なかなか機会がなくようやく再訪が叶いました。前回は2人だったので、途中でお腹いっぱいになって「もっと食べたいのに~」と思いながらお店を出たのですが、今回は東京の歌舞伎お友だちと京都の歌舞伎お友だちと3人だったので、かなりいろいろといただくことができました。お料理の写真です。お料理の名前はちょっと“忘却の彼方”になっています。

 
 お通し(青菜と油揚げの炊いたん)といかと長いもの和え物?だったような…。

 
 トウモロコシのかき揚げ

 
 鱧のフライ
 やっぱり京都は鱧です。

 
 五種野菜のマリネ
 お野菜も必要かと思い…。

 
 日本酒投入、島根のお酒「天穏」です。

 
 鰻とゴボウの柳川
 この日一番のビックリ? 「柳川」ってあったので、ぐつぐつ煮立ったお鍋を想像していたのですが、まさかの煮凝り。

 
 いちじくの揚げ出し

 
 小鮎の天ぷら
 蓼酢のソースです。

 
 高倉の胡麻豆腐

 
 干しホタルイカの炙り焼
 お酒が進みます。3人でもう1合頼みました。

 どれもこれも手がかかっていて、見た目もお味も良い意味で想像していたものとはちょっと違う、そんな感じでした。とても美味しくて、お酒によく合いました。器もステキでした。当然のことながら、この日も予約で満席となっていました。お若い方が多かったです。一品一品がボリュームがあって、お値段がリーズナブルっていうのもあるんでしょうね。これだけ食べて飲んで一人5000円で少しお釣りがありました。

 歌舞伎お友だちとはコロナ以降初めてのごはんで、玉ちゃんや孝夫さんについて「あーだこーだ」と楽しくおしゃべりしてきました。まだまだいろいろ見たいお芝居は山積しております。お二人にはこれからも健康に留意していただき、ますますラブラブキラキラした舞台を!と願っております。って、やっぱり結論はココになってしまいますね
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