歌舞伎座の納涼歌舞伎は昨日無事に全員本役で千穐楽をお迎えになりました。役者さんたちのTwitterやInstagram、ブログを拝見しているとどなたもこなたも皆さん、本当にホッとされていました。ワタシの遠征予定と休演・再開・代役の時期がぴったり重なり、同じ波?の中にいた身のワタシもホッとしました。おそらく二度と経験できないようなお舞台に遭遇でき、ある意味貴重な遠征となりました。って、終わったから言えますが、最初に第1部が休演、続いて2部も3部も休演となり、先月のように途中打ち切りかと思いきや、とりあえず再開はすると発表があり、ヒヤヒヤ・ドキドキ・バタバタで、とりあえず新幹線に乗りました。新幹線の中で代役発表を見ました。歌舞伎役者さんの代役って、いつもびっくりするくらい完璧にお勤めになるので、たぶん、ちゃんと幕は開くんだろうなと思いながら歌舞伎座に向かいました。幕が閉まるまでハラハラでした。
一応、見た順番で第2部からです。第2部は「安政奇聞佃夜嵐」と舞踊の「浮世風呂」でした。「安政」のほうは昭和62年以来の再演だそうです。主役の二人は勘九郎さんと幸四郎さんがお勤めでしたが、幸四郎さんが濃厚接触者で休演、急遽亀ちゃんが代役をお勤めになりました。幕開き、亀ちゃん、いきなりの長台詞です。場面は人足寄場で、プロンプタが隠れる場所はありません。詰まることなく、一気に台詞をおっしゃいました。よくかかるお芝居で何度もご出演であれば台詞は頭に入っているかもしれませんが、長らくかかってなかったお芝居で、しかも亀ちゃんは元々こちらのお芝居には出ていらっしゃいません。「スッゲー!!!」って思いながらオペラグラスを覗いておりました。その後も、初日から出てらした?って思うくらい、フツーにお芝居が進みました。それを見られただけで「ラッキー!!!」で、それに満足しておりました。勘九郎さんと亀ちゃんの共演っていうのも珍しいように思いました。そっちに気が行ってしまって、お芝居自体がどうという感想がなくて…。やたら暗転が多くて、それにちょっと気が殺がれてしまったってこともあるのですが…。
「浮世風呂」は亀ちゃんが出ずっぱりの舞踊です。踊りが達者な亀ちゃんなので、楽しく、ただあまりにテンポが良すぎて時々フッと意識を失いつつ、拝見しておりました。
第3部の「弥次喜多」は主役4人のうち、3人が休演、その代役を5人で勤め、さらにその玉突きで他の配役にも変更があり、チラシを見てても、誰が誰やら全くわかりませんでした。役者さんももちろん大変ですが、裏方さんがもっと大変だったそうで、お衣装や鬘、段取り、宙乗りがあるのでそちらもお祓いもあったそうで、それをたった一晩でやり上げられました。先月のような途中打ち切りだけは絶対に避けたいという皆さんの強い思いが結実したお舞台だったんですね。
幸四郎さんの弥次さんは青虎さんでした。こちらはノーマル?な代役でした。美少年染五郎クンと團子ちゃんのお役を、立役は猿弥さんと隼人クン、女形は笑三郎さんと笑也さんで分けられました。猿弥さんと聞いた時点で、「わっ、何が起こるんやろう?」ってググっと気持ちが上がりました。その期待を裏切ることなく、美少年ということで真っ白な白塗り、小顔を見せるためか目・鼻・口を真ん中に寄せて描いてらして、登場された途端大爆笑、共演の役者さんたちもククッと震えていらっしゃいました。でも、代役はふざけてはいけないそうで、台詞はおそらく台本通り、粛々とお芝居をされていました。笑三郎さんと笑也さんの女形も違和感なく、本役の二人だとまだあまり女形に慣れてなさそうなので、そういう意味ではちゃんとした?女形さんでよかったです。
お話のほうは相変わらずのしっちゃかめっちゃかで、面白かったです。本水を使った立ち回りもあり、こういうのを見るのも久しぶりで、歌舞伎見た感がアップします。
後半は湘南の家族商店(ファミリーマート?)が舞台です。敵対している暴走族の男組と女組が踊り競べで勝負をつけることになります。なかなかの見ものでした。新悟さんが女組の総長で「道成寺」をソロで踊られました。本物の「道成寺」は踊られたことがないそうで、パロディとはいえ、歌舞伎座で「道成寺」ってすごいなと思いながら見ておりました。ひそかに贔屓の鷹之資さんも女組の親衛隊長タカミで登場です。ソロではなく旗持ちオタマの玉太郎さんと踊られましたが、やっぱり違いますね。どう違うのかを必死で見てましたが、手足を伸ばすところが、より遠く、より高く、伸びてるように思いました。そしてその形がきれいなんです。指先まで神経が行き届いています。玉太郎さんも決してぐにゃっとしてるわけではなく、きちんと踊ってらっしゃるんですけどね。なぜか「オグリ」の「歓喜の舞」もあり、あのYouTubeで見た鷹之資さんの歓喜の舞をナマで拝見できて「おおっ」ってなりました。
家族商店の店長が寿猿さんで、宙乗りのゴンドラに乗って引っ込まれました。最高齢宙乗りでギネスに申請されるそうです。NHKの朝のニュースでも取り上げられていました。お元気で何よりです。
最後は、主役4人で宙乗りでした。「猿弥さん大丈夫?」ってチラッと思ったけれど、問題なく引っ込まれました。そこで幕が下りたのですが、とにかく拍手が鳴り止まず、揚幕から亀ちゃんと青虎さんが登場されました。グッとくるご挨拶で、この「一体感」は二度と味わえないものでしょうね。エエもん見せてもらいました。
最後は第1部です。手塚治虫原作の「新選組」は成駒屋兄弟の代役を中村屋兄弟が勤めるという、「かえってラッキー!」とちょっと言われましたが。元々は勘九郎さんがお好きだったそうで、ただ、自分の年齢では合わないので、成駒屋兄弟に上演をお勧めになったそうです。勘九郎さんも七之助さんもちゃんと少年っぽさを残した青年になってました。ブラックジャックのお医者さんが登場したり、「鉄腕アトム」の歌を太棹で演奏したり、書割にジャングル大帝レオや一つ目小僧が隠れていたりと手塚治虫リスペクトがいろいろあって、なかなか面白かったです。手塚治虫ファンでこの「新選組」の漫画が大好きという友人も観劇しましたが「良かった」って言ってくれて、なぜかワタシもホッとしました。
「闇梅百物語」は舞踊で、以前南座でかかり、巳之助さんがずっと傘一本足で踊ってらして「スッゲー」って思った記憶があります。勘九郎さんが勘太郎さんと長三郎さんと三人で踊られるのですが、大・中・小って感じになってました。勘太郎さんも長三郎さんもすっかり歌舞伎役者で、神妙に踊ってて、「あの、イタズラばっかりしてた子がね~」って親戚のオバチャン状態で見ておりました。
結局、見終わってみると、勘九郎さんと亀ちゃんの「奮闘公演」という印象になりました。この世代が歌舞伎座を引っ張ってるんですよね。いろいろな意味で感慨深い歌舞伎見物となりました。

ハラハラドキドキの第2部開演前の歌舞伎座です。

代役の案内です。こんな3つも並ぶってすごくないですか。
《オマケ》

ボケボケですが、富士山です。往きの新幹線で見えました。
一応、見た順番で第2部からです。第2部は「安政奇聞佃夜嵐」と舞踊の「浮世風呂」でした。「安政」のほうは昭和62年以来の再演だそうです。主役の二人は勘九郎さんと幸四郎さんがお勤めでしたが、幸四郎さんが濃厚接触者で休演、急遽亀ちゃんが代役をお勤めになりました。幕開き、亀ちゃん、いきなりの長台詞です。場面は人足寄場で、プロンプタが隠れる場所はありません。詰まることなく、一気に台詞をおっしゃいました。よくかかるお芝居で何度もご出演であれば台詞は頭に入っているかもしれませんが、長らくかかってなかったお芝居で、しかも亀ちゃんは元々こちらのお芝居には出ていらっしゃいません。「スッゲー!!!」って思いながらオペラグラスを覗いておりました。その後も、初日から出てらした?って思うくらい、フツーにお芝居が進みました。それを見られただけで「ラッキー!!!」で、それに満足しておりました。勘九郎さんと亀ちゃんの共演っていうのも珍しいように思いました。そっちに気が行ってしまって、お芝居自体がどうという感想がなくて…。やたら暗転が多くて、それにちょっと気が殺がれてしまったってこともあるのですが…。
「浮世風呂」は亀ちゃんが出ずっぱりの舞踊です。踊りが達者な亀ちゃんなので、楽しく、ただあまりにテンポが良すぎて時々フッと意識を失いつつ、拝見しておりました。
第3部の「弥次喜多」は主役4人のうち、3人が休演、その代役を5人で勤め、さらにその玉突きで他の配役にも変更があり、チラシを見てても、誰が誰やら全くわかりませんでした。役者さんももちろん大変ですが、裏方さんがもっと大変だったそうで、お衣装や鬘、段取り、宙乗りがあるのでそちらもお祓いもあったそうで、それをたった一晩でやり上げられました。先月のような途中打ち切りだけは絶対に避けたいという皆さんの強い思いが結実したお舞台だったんですね。
幸四郎さんの弥次さんは青虎さんでした。こちらはノーマル?な代役でした。美少年染五郎クンと團子ちゃんのお役を、立役は猿弥さんと隼人クン、女形は笑三郎さんと笑也さんで分けられました。猿弥さんと聞いた時点で、「わっ、何が起こるんやろう?」ってググっと気持ちが上がりました。その期待を裏切ることなく、美少年ということで真っ白な白塗り、小顔を見せるためか目・鼻・口を真ん中に寄せて描いてらして、登場された途端大爆笑、共演の役者さんたちもククッと震えていらっしゃいました。でも、代役はふざけてはいけないそうで、台詞はおそらく台本通り、粛々とお芝居をされていました。笑三郎さんと笑也さんの女形も違和感なく、本役の二人だとまだあまり女形に慣れてなさそうなので、そういう意味ではちゃんとした?女形さんでよかったです。
お話のほうは相変わらずのしっちゃかめっちゃかで、面白かったです。本水を使った立ち回りもあり、こういうのを見るのも久しぶりで、歌舞伎見た感がアップします。
後半は湘南の家族商店(ファミリーマート?)が舞台です。敵対している暴走族の男組と女組が踊り競べで勝負をつけることになります。なかなかの見ものでした。新悟さんが女組の総長で「道成寺」をソロで踊られました。本物の「道成寺」は踊られたことがないそうで、パロディとはいえ、歌舞伎座で「道成寺」ってすごいなと思いながら見ておりました。ひそかに贔屓の鷹之資さんも女組の親衛隊長タカミで登場です。ソロではなく旗持ちオタマの玉太郎さんと踊られましたが、やっぱり違いますね。どう違うのかを必死で見てましたが、手足を伸ばすところが、より遠く、より高く、伸びてるように思いました。そしてその形がきれいなんです。指先まで神経が行き届いています。玉太郎さんも決してぐにゃっとしてるわけではなく、きちんと踊ってらっしゃるんですけどね。なぜか「オグリ」の「歓喜の舞」もあり、あのYouTubeで見た鷹之資さんの歓喜の舞をナマで拝見できて「おおっ」ってなりました。
家族商店の店長が寿猿さんで、宙乗りのゴンドラに乗って引っ込まれました。最高齢宙乗りでギネスに申請されるそうです。NHKの朝のニュースでも取り上げられていました。お元気で何よりです。
最後は、主役4人で宙乗りでした。「猿弥さん大丈夫?」ってチラッと思ったけれど、問題なく引っ込まれました。そこで幕が下りたのですが、とにかく拍手が鳴り止まず、揚幕から亀ちゃんと青虎さんが登場されました。グッとくるご挨拶で、この「一体感」は二度と味わえないものでしょうね。エエもん見せてもらいました。
最後は第1部です。手塚治虫原作の「新選組」は成駒屋兄弟の代役を中村屋兄弟が勤めるという、「かえってラッキー!」とちょっと言われましたが。元々は勘九郎さんがお好きだったそうで、ただ、自分の年齢では合わないので、成駒屋兄弟に上演をお勧めになったそうです。勘九郎さんも七之助さんもちゃんと少年っぽさを残した青年になってました。ブラックジャックのお医者さんが登場したり、「鉄腕アトム」の歌を太棹で演奏したり、書割にジャングル大帝レオや一つ目小僧が隠れていたりと手塚治虫リスペクトがいろいろあって、なかなか面白かったです。手塚治虫ファンでこの「新選組」の漫画が大好きという友人も観劇しましたが「良かった」って言ってくれて、なぜかワタシもホッとしました。
「闇梅百物語」は舞踊で、以前南座でかかり、巳之助さんがずっと傘一本足で踊ってらして「スッゲー」って思った記憶があります。勘九郎さんが勘太郎さんと長三郎さんと三人で踊られるのですが、大・中・小って感じになってました。勘太郎さんも長三郎さんもすっかり歌舞伎役者で、神妙に踊ってて、「あの、イタズラばっかりしてた子がね~」って親戚のオバチャン状態で見ておりました。
結局、見終わってみると、勘九郎さんと亀ちゃんの「奮闘公演」という印象になりました。この世代が歌舞伎座を引っ張ってるんですよね。いろいろな意味で感慨深い歌舞伎見物となりました。

ハラハラドキドキの第2部開演前の歌舞伎座です。

代役の案内です。こんな3つも並ぶってすごくないですか。
《オマケ》

ボケボケですが、富士山です。往きの新幹線で見えました。