【J1採点&寸評】鹿島×柏|1得点・1アシストの伊東は「7」。仕事ができなかった鹿島の前線と左SBを厳しく評価
サッカーダイジェスト編集部
2016年04月25日
鹿島――伊東に翻弄された山本。カイオも持ち味のスピードを活かせず…。
【警告】鹿島=植田(13分) 柏=小林(45+2分)
【退場】なし
【MAN OF THE MATCH】伊東純也(柏)
柏のコンパクトな守備に苦戦したカイオ(7番)。持ち味のスピードを活かせなかった。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)
【チーム採点・寸評】
鹿島 5.5
柏の変則的なシステムに戸惑った時間帯もあったが、試合全体を通して見れば、チャンスの数や支配率は及第点。それだけに、チャンスで決めきれなかったこと、失点シーンで淡泊な守備があったことが悔やまれる。
柏 7
最後まで運動量をキープ。アウェーでリーグ最少失点の鹿島から2点を奪い、勝利を収めた。前線の決定力、中盤のコントロール、最終ラインの身体を張った守備など、各セクションの選手がきっちり役割をこなした。チームがひとつの方向を向いて戦った。
【鹿島|採点・寸評】
GK
21 曽ケ端 準 6
2失点のうち、自責はなし。前がかりになるチームにあって、広く守備範囲を取り、状況に応じたプレーを貫いた。
DF
22 西 大伍 6
攻撃参加時におけるゴール前へのクロスや、パスの選択など、質の高い判断ができていた。ゴールにつなげられなかったのが不思議で仕方がない。
23 植田直通 5.5
終盤は相手と同数の中で、冷静に守備に当たった。2失点目に絡んでしまったが、試合展開から見て、やむなしか。
3 昌子 源 5.5
守備はもちろん、フィードにも自信を感じさせた。インターセプトの意識を高く持ち、パスカットも多かった。ただし、1失点目の起点となったくさびのパスは、前に出るなら潰さなければいけない。
16 山本脩斗 5
テンポが速く、強度の高い試合。SBの負担は大きかったが、失点シーンの伊東への対応は、DFらしからぬ軽率なものだった。
MF
40 小笠原 満男 6(69分OUT)
攻守に一歩先を読んだプレーを見せていたが、ディフェンス陣に負担がかかる展開もあり途中交代した。
10 柴崎 岳 6
攻撃ではゴール前に顔を出し、守備でもボールを奪い切るプレーを見せた。ただし、セットプレーの配球は可能性を感じなかった。
25 遠藤 康 6
石井監督の指示どおり、最終ラインの背後を狙うパスでチャンスメーク。ゴール前の得意の形では決めたかった。
7 カイオ 5
柏の鎌田に厳しくマークされて悪戦苦闘。コンパクトな陣形を取られ、突破力を活かすスペースもなかった。
FW
18 赤崎秀平 5(67分OUT)
守備や攻撃の組み立てなどでは、役割を果たした。ただ、肝心のゴール前では良い形、ポジションを取っているものの、ゴールネットを揺らせない。
8 土居聖真 5.5(81分OUT)
出場停止で金崎不在の中、ゴールが一番の仕事。その意識や判断は随所に見られたが、チャンスを形にすることができなかった。
交代出場
MF
34 鈴木優磨 5.5(67分IN)
ゴール前で良い形を作ることができなかった。ラストパスの精度も満足できるものではなかった
6 永木亮太 6(69分IN)
得点が必要な場面でピッチへ。押し込む時間帯でクリアボールを拾い、相手のカウンターを未然に防ぐ役割をこなした
13 中村充孝 5.5(81分IN)
3枚目の切り札として、ピッチへ。前線が渋滞する中で、2列目に入ったが、決定的な仕事にかかわることはできなかった。
監督
石井正忠 6
不可解な判定があっても、「切り替えていけば自分たちの時間が来る」と選手を鼓舞。攻め方、守り方と采配ミスがあったわけではない。
柏――1ゴール・1アシストの伊東だけでなく、総じてハイレベルなパフォーマンスを披露。
【柏|採点・寸評】
GK
23 中村航輔 6.5
シュートを正面に入るなど、良いポジショニングを取り、完封勝利。フィードもほとんど狙い通りのところへ。
DF
2 鎌田次郎 6.5
鹿島のキーマン、カイオのマークにつき、簡単には前を向かせず。スピードにも乗らせなかった影の勝利の立役者。
4 中谷進之介 6.5
守る時間が多い展開だったが、高い集中力が切れることはなかった。高さでも存在感を出した。
5 増嶋竜也 6.5
最終ラインを統率。厳しい時間帯も多かったが、率先して声を出し、味方を鼓舞。最後の砦として踏ん張った。
29 中山雄太 6
ゴール前で絞った位置を取った時でも、ファーサイドへのケアを怠らず。ピンチを未然に防いでいた。
MF
14 伊東純也 7
1ゴール・1アシスト。序盤から攻撃の起点となり、攻め込まれた時間帯もカウンターの矢になった。
8 茨田陽生 6.5(84分OUT)
鹿島の攻撃で、左右に振り回されながらも、的確なポジショニングをとり続けた。配球も的確だった。
25 小林祐介 6.5
球際や当たり負けしない守備は、21歳という年齢を感じさせない。鹿島のスピードアップを防いだ。
19 中川寛斗 6
2点目の起点となるボールキープで、勝負を決めた。運動量を活かし、鹿島の出所をつぶす守備を見せた。
15 武富孝介 6.5(90+1分)
勝負を決める2点目を挙げた。この得点シーンだけではなく、実を結ばなかったカウンター攻撃の時でも、いつも長い距離を走っていた
18 エデルソン 5.5(HT OUT)
序盤はよく攻撃に絡んでいたが、守備の時間が長くなるにつれ、消えていった。
交代出場
FW
10 大津祐樹 6(HT IN)
ボールキープをして欲しい時間にきっちり味方につなげる。守備でも汗をかき、やるべきことをやった。
MF
7 大谷秀和 -(84分IN)
残り6分の時間でピッチへ。2点差があったとはいえ、スムーズに試合に入り、試合を締めた。
FW
9 田中順也 -(90+1分)
アディショナルタイムに投入された。短い時間とはいえ、全力プレーを続け、試合終了のホイッスルを聞いた。
監督
下平隆宏 7
最終ラインにCBタイプの4人を並べる策が、的中。選手の特長をよく理解したうえで、チームの最大限の力を引き出した。
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を平均とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
チンチロリン
サッカーダイジェスト誌による柏戦の寸評である。
結果から感じるものよりも低くはない評価が与えられておる。
二度の失点に絡んだ左サイドこそ辛い評点であるが、指揮官を含め良い評価を与えたと言って良かろう。
特に指揮官に対して、「不可解な判定があっても、「切り替えていけば自分たちの時間が来る」と選手を鼓舞。攻め方、守り方と采配ミスがあったわけではない」とコメントしておる。
集中力が途切れた場面やチャンスを決めきれなかった部分は、監督の責任ではないと判断した様子。
柏が採用したのは、2010年のCL、インテルを率いるモウリーニョ監督がバルセロナ相手に採用した戦術である。
ゴール前にバスを2台並べる手法は、昨日の鹿島に対しても有効であったと言わざるを得ない。
DFラインにCBを4枚並べ、MFも4人並んでゴール前を固められては、ホームの力を背に戦う鹿島の攻撃力を半減させられてしまった。
とはいえ、チャンスが皆無であったわけではない。
同様の戦術を採られても、次回は対応しきるであろう。
同じ轍は踏まぬ。
監督の采配に期待である。
チンチロリン