A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

映画の主題歌を、ジャジーな演奏に仕立て直したら・・・

2008-03-14 | MY FAVORITE ALBUM
Jazz Goes To The Movies / Manny Albam and His Orchestra

自分のリーダーアルバムで映画の主題曲を取り上げたのがジェロームリチャードソン。
「リチャードソンが映画の世界に・・」というタイトルでもあった。スタジオワークが多かったリチャードソンだが、ニューヨークを拠点にしていたので映画のサウンドトラックはそれほど多くは無かったかもしれないが。
ジャズプレーヤーが素材として映画の主題歌を採り上げることは多い。アルバムすべての曲を映画音楽から選ぶというものも何枚もある。

ここにもすべて映画の主題歌を採り上げたアルバムがある。
タイトルも「ジャズが映画に向かう」。名アレンジャー「マニーアルバム」の作品だ。
先日紹介したピーターソンのヴォーカルアルバムのアレンジも彼の手によるものであった。他にも自分が今まで紹介したアルバムにも良く登場している。

このマニーアルバム、実はサド・メルのデビューアルバムで有名な”Solid State”の設立に、ソニーレスターと一緒に加わった。当然だが、アレンジャーが加わったレーベルからはオーケストラのいい作品がよく生まれる。ゲーリー・マクファーランドの参加した「グリフォン」もそのひとつ。短命であったが結構自分のお気に入りであった。
このソリットステートではサド・メルが何と言っても一番であるが、マニーアルバム自身の作品も何枚か残されている。

このアルバムのライナーノーツの冒頭に、「音楽無しで映画を見ることは、悪い風邪をひいて味が分からないで食事をするようなものだ」と書かれている。
ジャズと映画の関係の歴史は古い。ベイシーも演奏を始めたのは無声映画の時代。カンサスシティーでの最初の仕事も、映画に合わせたピアノがベイシーの演奏暦の始まりだったとか。ホンキートンク風のピアノでも弾いていたのか。
スイング時代に生まれたジャズのスタンダードには、ミュージカルの主題歌いわゆるティンパンアレー物が多かった。映画の普及に合わせてミュージカルだけでなく映画の主題曲からも数多くのスタンダードが生まれていった。一方で、有名な「死刑台のエレベーター」のようなジャズをテーマにした作品も少なくない。映画とジャズは切っても切れない縁があるということだろう。

さて、映像に音楽がないと味わいが無いのと同様、映像無しでサウンドトラックの音楽だけを聴いても、演奏が平板に聴こえてしまう。もちろん実際に見たことのある映画だと「そのシーンを思い出しながら」という楽しみもあるのだが。サウンドトラックのアルバムを聴いて不満に思うのはこの点だ。
映画音楽の素材をオーケストラで表現するというのは、単調になりがちなサウンドトラックにもう一度飾りを施すようなもの。お馴染みのメロディーを音楽だけでも聴くに耐えうる作品に仕立て上げ直すという効果がある。
実際に映画音楽を作っている作曲家にとっては、観賞用のアレンジを別に用意するというのも楽しみの一つだと思う。ミッシェルルグランはその典型だと思うが、編曲に加えて自分の演奏まで加えて、映画を素材に作編曲、そして演奏と3点セットの作品が数多い。

このアルバムでは、まずは特徴ある映画音楽を素材に選び。有名なジャズプレーヤーを集め。曲に合わせてアレンジの曲想も変え。それに合わせてソロプレーの人選も考えるという凝った作りのジャズアルバムになっている。
編曲家、マニーアルバムの多彩な才能の本領発揮だ。

メンバーはオールスターであるが、その中に、ウッズとクイルの2人、クラークテリーとブルックマイヤーのコンビ、ビルクローとジムホール。どこかのグループでコンビを組んでいたメンバーが目立つ。それにエディーコスタも彼らとの共演が多い。気心が通じた普段コンボでも活躍していたソリストが集まって好演を繰り広げている。
結果は、ジャズ風の映画音楽というのではく、タイトルどおりジャズ作品として映画音楽に正面から向きあった一枚のアルバムだ。
これもインパルスの初期の作品。いいアルバムが多い。

1. Exodus                      Gold 5:10
2. High Noon (Do Not Forsake Me)       Tiomkin, Washington 2:44
3. Paris Blues                   Ellington 2:42
4. La Dolce Vita                  Rota 2:40
5. Majority of One                 Steiner 2:05
6. Green Leaves of Summer          Tiomkin, Webster 5:56
7. Guns of Navarone               Tiomkin 3:26
8. El Cid                      Rozsa 2:25
9. Slowly                      Goell, Raksin 4:53

<Personnel>

Arranged & Conducted by Manny Albam
Produced by Bob Thiele

<8>
Al DeRisi, Bernie Glow, Nick Travis, Johnny Coles (tp)
Urbie Green, Bill Elton, Al Raph, Bill Dennis (tb)
Phil Woods (as)
Oliver Nelson (ts)
Jim Hall (g)
George Duvivier (b)
George Devens (per)
Gus Johnson (ds)

Recorded in NYC, January 12, 1962

<1>,<5>,<3>,<6>
John Bello, Johnny Coles, Al DeRisi, Joe Newman (tp)
Wayne Andre, Willie Dennis, Alan Raph (tb)
Bob Brookmeyer (vtb)
Gene Quill, Phil Woods (as)
Oliver Nelson, Frank Socolow (ts)
Gene Allen (bs)
Eddie Costa (p, vib)
Jim Hall (g)
Bill Crow (b)
Gus Johnson (d)

Recorded in NYC, January 25, 1962

<2>,<4>,<7>,<9>
Nick Travis (tp)
Clark Terry (tp, flh)
Bob Brookmeyer (vtb)
Julius Watkins (frh)
Harvey Phillips (tu)
Gene Quill (as)
Oliver Nelson (ts)
Gene Allen (bs)
Eddie Costa (p, vib)
Jimmy Raney (g)
Bill Crow (b)
Gus Johnson (d)

Pecorded in NYC, February 12, 1962

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輝くアルトがもう一人・・・・彼もリーダーアルバムがなかったとは

2008-03-13 | CONCORD
First Chair / Marshal Royal

ウォーレンヴァッシェのアルバムに付き合っていたマーシャルロイヤル。カウントベイシーに長く在団していた。
ベイシーといえば、「エイプリルインパリス」、「アットニューポート」、そして「アトミックベイシー」・・・・など。
これらの有名なアルバムのほとんどにロイヤルは登場していたと思ったら、1951年から1970年までの20年間も在籍。1912年生まれだそうなので人生の中で一番充実した時期をベイシーの黄金期で過ごしていたわけだ。フレディーグリーンに次いでベイシーオーケストラとの付き合いが長かったかもしれない。ベイシーオーケストラではもちろんリードアルトの「特等席」を長く独占していたことになる。

その輝くアルトはベイシーサウンドのサックスセクションの要であった。そんなマーシャルロイヤルのリーダーアルバムというと1960年に一枚あるようだ。これは聴いたこともないが、それ以降このアルバムまで見当たらない。
ベイシーを辞めて西海岸に居を構えてからも、Concordでスヌーキーヤングと一緒に名を連ねたアルバムが初めて自分の名前を冠したアルバムという位の寡作家だ。
エリントンオーケストラで同じアルトの定位置を長く努めたジョニーホッジスがエリントンオーケストラ以外でもかなり多くのアルバムを残していたのとは対照的だ。

ヴァッシェのアルバムに付き合っていたロイヤル、今回はリズムセクション以外ホーンやサックスの相棒もなく、完全に一人でワンホーンのリーダーアルバムを作ることになった。
この時すでに67歳。全盛期を過ぎていたかもしれないが、これまでリーダーアルバムの無かったこれだけのプレーヤーにアルバム制作の機会を与えたジェファーソンの思いやりに頭が下がる。
ジャケットに写るロイヤルの顔が何となく晴れがましいような、どことなく落ち着かないような。

バックで盛り立て役に加わったのはヴァッシェのアルバムと同じコンコルドオールスターズ。ヴァッシェ同様、ロイヤルのプレースタイルにはピッタリなメンバー達だ。彼らのバックでロイヤルの輝くアルトが思う存分聴ける。

ファッツウォーラーの名曲「ジタ―バックワルツ」とは古い曲をやっているなと思ったら、「ウォーラーとは33年に共演したことがあったのでその思い出に」ということだそうだ。ベイシーの十八番の「リトルダーリン」は果たして何千回演奏したことであろうか。でも今回はサックス一本で。これは始めての経験かもしれない。
ベイシーオーケストラで聴きなれたロイヤルのサックスではあるが、サックス一本での演奏がこのような形で残されているとは嬉しい限りだ。

ビッグバンドの素晴らしい音はそのメンバーの演奏の組み合わせの結果ではあることは間違いないが、その一人ひとりの素晴らしい演奏は、断片的なソロ以外、残っていそうでいないことが多い。
ビッグバンドのメンバーとしては第一人者であっても、ソロプレーヤーとしては駆け出し。
やっと「最初の椅子」を確保できたロイヤルである。

1. Little girl Blues
2. I’ve Got the World On A String
3. Who can I Turn To?
4. Jitterbug Waltz
5. Jump
6. Stardust
7. Li’l darlin’
8. My Ideal

Produced by Carl Jefferson

Marshal Royal (as)
Cal Collins (g)
Nat Pierce (p)
Monty Budwig (b)
Jake Hanna (ds)

Recorded at Spectrum Studios,Venice , CA, December 1978
Originally released on Concord CJ-88
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Concordの誇る若手の主役が、ハミルトンに続いてもう一人登場・・・・

2008-03-12 | CONCORD
Jillian / Warren Vache

今回の主役ウォーレンヴァッシェはスコットハミルトンとほぼ同じ時期に登場したコルネット奏者。ハミルトンと同様、70年代に登場した若者だが、フュージョンやエレキサウンドには「我れ関せず」を貫き通す。ひたすらジャズの原点ともいえる良く歌うホーンの美しさを追い求めた。今では2人ともすでに50代の後半になるが、伝統あるジャズのメインストリームの楽しさを引き継いでいる一人である。

モダンジャズの時代になって、コルネットを吹いていたのはナットアダレー、そしてサドジョーンズなど数えるほど。大部分はトランペットを吹くようになった。ソフトなバラードプレーではフリューゲルホーンが多用されるようになったがコルネットを吹くプレーヤーは少ない。モダンジャズにはコルネットの少しこもった音色よりトランペットの方が似合うのかもしれない。
スイングあるいはディキシーランドジャズの時代まで遡ればコルネット奏者は数多くいた。ジャズの歴史の中では最初はコルネットが主役であった。何でも「ジャズが誕生した頃南北戦争に負けた南軍が使っていたコルネットが出回ったから」という話もどこかで読んだ記憶があるが、果たして真偽のほどは?

このアルバムは、コンコルドではヴァッシェの初リーダーアルバム。
これまでアルバムだけでなく、日本遠征を含めツアーやフェスティバルへの出演もハミルトンとの共演が多かったが。今回はコリンズを加えたワンホーンのクインテット編成が基本。曲によって加わっているのは、いつものハミルトンではなくマーシャルロイヤル。テナーとではなくアルトとの共演だ。

このアルバムでヴァッシェが目指したのは美しく吹くこと。
コルネットの以外にフリューゲルホーンも吹いているが、確かに実に美しい音色だ。マイルスの美しさがどこか冷たさと鋭さを感じるのに対して、ヴァッシェのホーンは、同じ美しさでも暖かさと丸みを感じる。
クラークテリーやガレスピーの明るさとも違う軸に位置づけられる。
流れとしては、やはりスイング派のルビーブラフやロイエルドリッジ、ボビーハケットの延長にいるのだと思うが、時にはモダンな新しさを感じることもある。
このアルバムでは、モダンスイングのベテラン達に囲まれて、オープンな楽しげなプレーやミュートプレー、そしてしっとりとしたバラードプレー。そして、自作のジュリアンではボサノバのリズムにも乗って。どれをとっても思い切りスインギーな演奏に終始している。カルコリンズのギターやピアスのピアノもいつもより楽しげに飛び跳ねるように聞こえるから不思議だ。
ヴァッシェの心がけた「美しさ」をどの曲をとってみても満喫できる一枚だ。

1. It's All Right With Me
2. Love Locked Out
3. Taking a Chance on Love
4. 'S Wonderful
5. I Only Have Eyes for You
6. More Than You Know
7. It's You or No One
8. Jillian
9. Little White Lies
10. Too Close for Comfort

Warren Vaché (cor,flh)
Marshall Royal (as)
Nat Pierce (p)
Cal Collins (g)
Phil Flanigan (b)
Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson

Recorded at Coast Recorders, San Francisco, CA, November 1978
Originally released on Concord CJ-87

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素材に映画音楽を取り上げることは多いが・・・・

2008-03-11 | MY FAVORITE ALBUM
Going To The Movies / Jerome Richardson

白紙に映画のモノクロ新聞広告をベタベタは貼り付けたようなこのジャケットのデザインは否が応でも印象に残る。
今回の主役はジェロームリチャードソン。
普段はあまり主役にはならない人物だが、今回ばかりは自らの写真入りのポスターで有名スターに混じって表紙に登場している。
先日のアルバムで帽子を目深に被って表情が見えなかったのとは大違いだ。
このアルバムはちょうどクインシーのオーケストラが解散した頃の録音だ。前年の11月古巣のマーキュリーを離れてインパルスで”The Quintessence”を盟友フィルウッズと一緒に吹き込んだのがジャズオーケストラとしてのクインシーの最後だろう。
そのクインシーのオーケストラで一緒に苦労したギター&フルートのレススパンと一緒に作ったのがこのアルバムだ。ライナーノーツを見ると、この頃このグループでNew York近辺で演奏をしていたらしい。どうやらレコーディングだけのセッションではなかったようだ。

あまり自分のリーダーアルバムを作らなかったリチャードソンがどのような経緯でこのアルバムを作るようになったのかは分からないが、映画の主題曲を集めてよくあるようなイージーリスニング風の仕立てではなく、ハードバップ調の立派なジャズアルバムだ。
録音もスタジオライブのような感じで、いつものビッグバンドとは違ってリラックスした雰囲気が伝わってくる。
サックスは何でもOKのリチャードソンだが、ここではテナーとバリトンを使っている。それに得意のフルートとピッコロ。ギターのレススパンもフルートを吹くので、普通のギター入りのカルテットをバックにしたワンホーンの演奏とは少し様子が違う。

一曲目は、お馴染みのデュークジョーダンの「危険な関係のブルース」。
元々ジャズメッセンジャーズのジャズの演奏で有名なので、この曲をジャズでやっても何の違和感はない。バリトンとフルートの組み合わせはあまり聴いたことが無いが、ポリリズムに乗って低音の迫力あるバリトンとフルートの絡みというのも新鮮だ。
他の曲も全体にアップテンポの演奏であり、久しぶりの主役で多少力が入ったのかリチャードソンのブローぶりが目立つ演奏だ。スパンのギターもクインシーのオーケストラではあまり目立たなかったが、ここではソロにコードワークに大活躍。もちろんのフルートでも。ギターとフルートの両方でダウンビートの新人賞をとった実力を発揮している。
それに加えてこのセッションのドラムにはグラディーテイトが加わっている。小気味よいドラミングはテイトらしいが、録音のせいもあるのか多少荒っぽい感じがするのはリチャードソンの張り切り振りに皆が引っ張られていたのかも。
たまの主役なので、思う存分暴れたかったのであろう。周りも一緒に盛り上がったいい演奏だ。

1. No Problem           Jordan 8:45
2. Moon River           Mancini, Mercer 4:34
3. Never on Sunday       Hadjadakis 4:32
4. Tonight             Berstein, Sondheim 3:46
5. Delilah             Nicholas 7:34

Jerome Richardson (fl,bs,ts)
Les Spann (g,fl)
Henry Grimes (b)
Richard Wyands (p)
Grady Tate (ds)

Produced by Alan Douglas

Recorded in New York , April 1962

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そもそもコンコルドにはピアノトリオのアルバムが少なかったが・・・・・

2008-03-10 | CONCORD
From This Moment On / Marian Mcpartland

女性ピアニストが登場したのは秋吉敏子に続いて2人目だ。
マリアンマクパートランドはイギリス出身、生まれは1918年なので今年で90歳。まだまだ健在だ。
そしてディキシー&スイング系のコルネット奏者であったジミーマクパートランド夫人であったこともあり古いスタイルのピアノかと思うと結構モダンなタッチだ。
このコンコルドに初登場したアルバムも、ストレートな力強い演奏をする。
Concordが主流としていたモダンスイングより、少しモダンな雰囲気のするピアノトリオアルバムだ。
バックを努めるお馴染みのジェイクハナとはボストン時代で知り合いだったそうだが。きっと同じ時期にボストンにいた秋吉敏子ともその頃から親交があったかもしれない。
ベースのブライアントーフは74年にプロになったばかりの若手。そのきっかけは、クレオレーンのバックのベーシストとしミルトヒントンが紹介したからとか。
その後もマクパートランドとの付き合いがしばらく続く。彼女にとってもお気に入りのベースだったのだろう。トーフはその後ジョージシアリングとのコンビで有名になったが、新人のトーフを登用した彼女の見立てもたいしたものだ。

彼女はちょうどこのアルバムが録音された1978年からスタートしたFMのラジオ番組が有名。毎週ゲストを招いて一発勝負の生演奏を繰り広げてきたそうだが30年以上も続いているとか。流石に今もやっているかどうかと思ってサイトを探したらしっかりやっていた。
“Marian McPartland's Piano Jazz”だ。たいしたものだ、
日本では渡辺貞夫が同じような「マイディアライフ」という番組を持っていた。レギュラー番組となるとただ演奏ができればよいというだけではだめだ。自分のグループだけでやっても毎週新しいレパートリーが必要だし、ゲストを招いてとなるとどんなプレーヤーとでもお手合わせができるようでないと。さもないと、これだけ長期間続けることは難しいとは思う。
その意味では、単にピアノの演奏に柔軟性があるだけではないだろう。きっと人間的にも誰にも好かれる素敵な女性なのだと思う。

それまでConcordにはオーナーの趣味かギター物が多かったが、不思議とピアノトリオが少なかった。彼女の登場で新たなラインナップが加わってきて益々領域が拡がってきた頃だ。
このマクパートランド、昨年もコンコルドからアルバムを出している。このアルバムのタイトルは”From This Moment On”。まさにこの時をスタートとして、Concordに登場したミュージシャンの最長不倒距離を更新しているかもしれない。

1. From This Moment On           Porter 4:17
2. Emily                      Mandel, Mercer 5:32
3. Sweet and Lovely              Arnheim, LeMare, Tobias 4:33
4. Ambiance                   McPartland 5:48
5. You and the Night and the Music     Dietz, Schwartz 3:33
6. If You Could See Me Now          Dameron, Sigman 3:35
7. Lullaby of the Leaves            Petkere, Young 3:55
8. There Is No Greater Love          Jones, Symes 3:29
9. Polka Dots and Moonbeams         Burke, VanHeusen 4:03

Produced by Carl Jefferson

Marian McPartland (p)
Brian Torff (b)
Jake Hanna (ds)

Recorded at Coast Recorders, San Fransisco , December 1978
Originally released on Concord CJ-86 (Reissued CD CCD-4086)

From This Moment On
Marian McPartland
Concord Jazz

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背中合わせに勝手にやっているように見えるが・・・実際の演奏は心と心が通じ合い

2008-03-09 | CONCORD
Back to Back / Scott Hamilton & Buddy Tate

アルトの演奏が続いたが、Concordのアルバムに戻ってみたら奇しくも次はテナーの共演であった。

スコットハミルトンはConcordではすでにスターの仲間入り。新譜のアルバムへの登場回数もうなぎの上りであった。
一方の相方はバディーテイト。カウントベイシーのカンサスシティー時代のバンドの創世記にも参加していた大ベテランだ。
この時ハミルトンは25歳。一方のテイトは50代の後半。もうすぐ還暦を迎えようとしていた頃だ。その差40歳以上ということは、親子どころか下手をしたら2廻りも違う年齢差であった。したがって、テナーコンビといっても、アル&ズートとか、ゴードン&アモンズといった同格のテナーの2人組とは少し状況が違う。

当然、テイトはコールマンホーキンズ、レスターヤング、そしてポールゴンザルベス・・・と、ハミルトンが影響を受けたプレーヤーとは同じ時代に生き、そして実際に一緒にプレーをしてきた一人だ。
一方のハミルトンは、父の集めたレコードで彼らのプレーを聴きながら育った。もちろん一緒にプレーすることなどは時代的にも無理であった。

最近の日本の若者は「動かなくなった」といわれている。何でも自由に手に入り、ネットの時代になって実際に行動しなくとも何でも情報を得られ、そしてサービスや物の購入までできるようになった。その結果、自分で行動しなくとも何でも体験したつもりになってしまっているということであろう。
ところが、ハミルトンはレコードを聴き漁っただけではなかった。テナーの巨人達のプレーを着実に行動し自分の物にしていった。そして、ニューヨークへと出ていたのだ。

このアルバムでハミルトンと共演したテイトはハミルトンと一緒に演奏した時の感想を以下のように言っている。
「ハミルトンは今までで最大のインスピレーションを自分に与えてくれる。彼のソロを聴いていると、思わず自分の中に自分のソロのイメージができ、すぐにプレーせずにはいられなくなるのだ」と。
一方のハミルトンも、「自分はまだまだ未熟。テイトのプレーを聴くと影響されるが同じように吹かないように努力しようと思っている」と。
でも、テイトは「ハミルトンは自分のアイディアでプレーしているよ。ウェブスターに似ているところはあるし、プレーズも同じようなものを使っても、他の連中のように全部のフレーズを真似ることないんだ。しっかり自分のプレーをしているよ」と。
このコメントを見ても2人がお互い認め合いそして影響し合いながらプレーをしたというのがよく分かる。

アルバムの内容もこれで想像はつくであろう。
ナットピアス以下のリズムセクションはおなじみのメンバー。否が応でも2人のプレーに興味の対象が行く。
出だしのタンジェリン。スローな出だして、お互いエールの交換をし、そのままアップテンポの展開に。物怖じしない八ミルトンのプレーが印象的だ。
この2人のプレーを聴くと、“Back to Back”というタイトルではあるが、年齢差、そして経験の差を微塵も感じさせないインタープレーが聴くことができる。
2人がしかと正面を向き合ってがっぷり取り組んだアルバムだ。

ハミルトンが若くしてベテランと対等にプレーをしあえたのも、才能があっただけでなく自らの意思による行動と努力があったからに違いない。
自ら行動し体験するには実際に場数を多く踏んでいくのが必要だが、実はバーチャルな世界でも色々体験ができるようになった世の中なのだ。体験したつもりになるだけでなく、その経験も自分の行動に役立てるようになればよいということだろう。
ハミルトンは益々好調だ。

1. Tangerine         
2. Rompin'With Buck
3. September Song
4. All Of Me
5. Candy
6. Medley
   You’ve Changed
   Blue And Sentimental
7. Big Tate
8. Sunday

Produced by Frank Dorritie 

Scott Hamilton (ts)
Buddy Tate (ts)
Nat Pierce (p)
Monty Budwig (b)
Chuck Riggs (ds)

Recorded at Coast Recorders, San Francisco , September 1978
Originally released on Concord CJ-85
 

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サックスのアンサンブルワークが好きであるが・・・・輝くアルトというと。

2008-03-08 | MY FAVORITE ALBUM
Further Difinitions / Benny Carter and His Orchestra

サックスのアンサンブルといえばハーマンオーケストラの”Four brothers”を忘れるわけにはいかないが。実はカーメンマクレーのアルバムで綺麗なアレンジをしたベニーカーターにも忘れる訳にはいかないサックスのアンサンブルを聴けるアルバムがある。

フィルウッズのアルトの輝くようなプレーが自分は好きだが、この「輝き」具合ではこのカーターのアルトも負けてはいない。パーカー派以降のモダンなアルトに対して、スイング時代の最初1920年代から活躍するカーターのアルトはソロであってもアンサンブルであってもいつの時代でも際立ってスイングする。その音色は95歳で亡くなるまでの間の80年間同じようにスタイルも変えることなく光輝いていた。おそらく、ジャズミュージシャンで一番長く現役を続けたプレーヤーと言ってもいいかもしれない。

実は、このカーター最初はトランペットを吹いていた。自分のオーケストラでも時々トランペットを吹いていたが、ヘレンヒュームズのアルバムでも全編トランペットで参加していた。ジャズの世界ではマルチプレーヤーは多いが、サックスとトランペットを同じように操るプレーヤーはそうはいないだろう。
カーターは作編曲家としても一流、ちょうどマクレーのアルバムに参加した70年代の初めは作編曲が忙しくプレーからは遠ざかっていた時期だった。さらに、ピアノを始めとして他の楽器も数多くこなし、自分のオーケストラを持っていた事もある。実は、ベイシーやエリントンに負けない活躍をしていたのだが。あまりにマルチタレント過ぎてある意味器用貧乏であったのかもしれない。

40年代から映画音楽の仕事を多く手がけ、50年代もスタジオの仕事が多かった。このアルバムが作られた60年代の初頭も自分のバンドは持っていなかったもののレコーディングを通じて「輝くアルト」を聴くことは出来る。
その頃の一枚がこのアルバムだ。インパルスレーベルといえばコルトレーンの全盛期を捕らえたレーベル。ポストハードバップの代名詞のようなレーベルだが、実はこのインパルス、スイング派のベテランのアルバムも数多く出している。

このカーターのアルバムもその中の一枚である。
“Further Definitions”と名づけられているが、サックスの仲間を加えて輝くアルトプレーを「もっと鮮明に」とでも解釈すればよいのかもしれない。あるいは、その昔ホーキンズと吹き込んだ作品を思い出し、「もっと輝きを持たせて」ということかもしれない。
このメンバーに実はフィルウッズも加わっているのだ。ちょうどクインシーのオーケストラが実質的に解散した直後、「輝くアルト」の共演が実現しているという訳だ。
今回は、”2ALTOS&2TENORS”の構成だが、さらにサックスで加わっているのが、ベテランのコールマンホーキンズにモンクのグループで有名なチャーリーラウズ。この顔ぶれだけでも興味が沸く。

演奏はというと「モダンスイング」。カーターのアルトそのものだ。
カーターのいつも変わらぬアルトプレーに3本のサックスがソロにアンサンブルに加わる。
好きなサウンドである。
バックのリズムもジョージーンズのドラムを中心に脇を固めているが、ベースはコルトレーングループのジミーギャリソンが参加。ピアノのディックキャツ。それに、キングコールのバックを長年努めたジョンコリンズのギターが実に適役だ。ちょうどフィレディーグリーンのギターのように。
曲はスタンダードあり、カーターのオリジナルありだが、クインシーの名曲の”The Midnight Sun Will Never Set”を採り上げている。作編曲家としての後輩のクインシーに目をかけていたのだろう。
いつも西海岸で活躍していたカーターが、ニューヨークで地元のメンバーと制作したアルバムとしても珍しい。プロデューサーであるボブシールの拘りを感じる。

1. Honeysuckle Rose            Razaf, Waller 3:54
2. The Midnight Sun Will Never Set   Cochran, Jones, Salvador 4:01
3. Crazy Rhythm              Caesar, Kahn, Meyer 3:26
4. Blue Star                  Carter 5:23
5. Cotton Tail                Ellington 4:27
6. Body and Soul              Eyton, Green, Heyman, Sour 4:13
7. Cherry                   Gilbert, Redman 4:56
8. Doozy                   Carter 3:36

Benny Carter (as)
Phil Woods (as)
Coleman Hawkins (ts)
Charles Rouse (ts)
Dick Katz (p)
Jimmy Garrison (b)
John Collins (g)
Jo Jones (ds)

Produced by Bob Thiele
Recorded on November 13,15 , 1961 ,New York

Further Definitions
Benny Carter & His Orchestra
Impulse!

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パーカー好きのベテランが集まると・・・・・・若者とは違ったアプローチを

2008-03-07 | MY FAVORITE ALBUM
Supersax Plays Bird

パーカーの死後、「パーカーに追いつけ・追い越せ」と若手の先頭を切っていた一人がフィルウッズ。4人の仲間が集ってアルトのバトルを繰り広げたのが、先日紹介した”Four Alto”だ。
それから15年が経った。一方で、百戦練磨のベテラン達は自分たちでプレーをすればするほど、またアレンジをすればするほど、パーカーの残した美しいアドリブの旋律に魅入られてしまったようだ。裏を返せばパーカーを越える旋律を誰もがそう簡単には生みだせないということかもしれない。

「誰もが認めるパーカーのアドリブ」。実はそれ自体が新しい曲になる。
このことを最初にスーパーサックスのリーダー格であるメッドフローリーに知らしめたのは、身近にいた。フローリーのバンドに在籍していたジョーマイニというアルト奏者だそうだ。フローリーがサックスセクションのアレンジをしている時、パーカーのソロを書き出してみようとしたフローリーに対して、このマイニが「パーカーのソロはすべて覚えている」と言い出して、フローリーの仕事が非常に役立ったということがあったそうだ。
スパーサックスが生まれる10年近く前のことだが、実はこの時はそれ以上何も起こらなかったそうだ。

でも、同じようなことを考える人物は他にもいた。同じくフローリーと一緒に仕事をしていたベースのバディークラーク。今度は、「もしバードの全スコアを持っていてそれで仕事をしたら素晴らしいだろうな」とフローリーに話しかける。フローリーが忙しいからやっていられないよというと。クラークが「それなら自分でやるよ」と言い出して、採譜のやり方までフローリーに習って生まれたのが、このスパーサックスのスコアの元となったそうだ。
この辺りの経緯は、このアルバムのライナーノーツにレナードフェザーによって語られている。

ここまでお膳立てが出来ればやるしかない。
フローリーの元にサックス仲間の中から何人かの有志が集まった。多少メンバーの出入りはあったようだが、11ヶ月にも及びリハーサルを経て生まれたのがこのアルバム。
日常行われる「初見で一丁上がりのスタジオセッション」とは訳が違う。
多分パーカーの演奏を手本に、譜面の読み方ひとつから、アンサンブルの楽器の強弱のバランスまで、何度も議論を重ねてブラッシュアップしてきた演奏のお披露目だ。
演奏はよくある5本のサックスのアンサンブルワークだが、実はアレンジ自体に凝ったところはほとんど無い。パーカーのソロを思い浮かべながら、いかにそれをアンサンブルで表現するかに集中している。
バックを努めるホーンセクションのコンテカンドリが合間でソロを見せるが、サックスのソロも基本的にはない。サックスセクションはあくまでもこのアンサンブルがひとつの楽器の役を果たしている。
ローランドカークという複数のサックスを同時に吹く超人がいる。「もしもパーカーが5本のサックスを吹けたらこのように吹くだろうと」思わせる演奏だ。

曲は、もちろんパーカーの過去の名演そして名曲から選ばれている。このようなアプローチはボーカルでいえばボーカライズ。ランバート・ヘンドリックス&ロスが得意にしてきたが、サックスだけでそれも全編このようなアプローチをしたのはこのスパーサックスが最初であろう。
このスーパーサックス、1973年にこのアルバムが生まれてかなり長い期間活動した。

このYou Tubeの映像は1988年とクレジットされている。

この種の企画は奇抜であったり面白かったりすると数回は続くものだが。これだけ長続きしたのも、「パーカーのアドリブという素晴らしい素材」を選んだからであろう。悪い素材はどんなに綺麗に調理してもおいしい料理にはならない。たまには素晴らしい素材を手の込んだ料理にして食べるのもいいものだ。

1. Koko            Parker 3:22
2. Just Friends       Klenner, Lewis 3:20
3. Parker's Mood      Parker 3:35
4. Moose the Mooche   Parker 4:17
5. Starr Eyes        DePaul, Raye 3:35
6. Bebop            Gillespie 3:45
7. Repetition        Hefti 3:05
8. A Night in Tunisia    Gillespie, Paparelli 4:20
9. Oh, Lady Be Good    Gershwin, Gershwin 2:55
10. Hot House        Dameron 4:40

SUPERSAX
Med Flory (as)
Joe López (as)
Jay Migliori (ts)
Warne Marsh (ts)
Jack Nimitz (bs)
Ronnell Bright (p)
Buddy Clark (b)
Jake Hanna (ds)

Conte Candoli (tp)
Larry McGuire (tp)
Ray Triscari (tp)
Ralph Osborn (tp)
Mike Barone (tb)
Charles Loper (tb)
Ernie Tack (tb)

Produced By Jhon Palladino
Mauri Lathower Executive Producer

Recorded at Captol Records Studios , 1972,1973

Supersax Plays Bird
Supersax
Capitol

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最後のなぞがひとつ解けないばかりに?・・・・100%満足できない歯痒さが

2008-03-06 | MY FAVORITE ALBUM
CARMEN / Carmen McRae

カーメンマクレーが67年から所属していたAtlanticレーベルの最後のアルバムが”Great American Songs Book”。100枚近いアルバムがあるマクレーだが、このAtlantic時代がちょうど折り返し地点。これ以降が晩年の活躍に移る。
このアルバムが録音された直後から翌年にかけて“TEMPONIC”というマイナーレーベルに不思議な録音が行われた。
そして、その録音で作られたアルバムタイトルは"Carmen“。
そのものずばりだ。

曲はすべてBob Friedmanという人物が提供している。そして作詞も一緒に。作詞作曲の両刀遣いだ。ところが、Bob Freedmanというアレンジャーは知っているがこのFriedmanという人物はお初だ。今回改めて調べてみたがまだよく分からない。
要は、このアルバムは“Bob Friedman Song Book”ともいえる作品なのだが、知らない人物なのでピンとこないし、親しみも感じない。何か記念すべきことがあるのでは・・・と、思ってもみたが。
ライナーノーツを見ると写真は載っているが人物の具体的な紹介はない。単に「新しい有能なライター」との一言が。ひょっとしたら、何かのジャンルの有名人なのかもしれないが、浅学な自分にとっては無名の作曲家であり作詞家である。

ジャケットの写真で彼の隣に写っているのは、こちらはすぐに分かる。あの有名なベニーカーターだ。
このカーターが一曲だけを除いてアレンジはすべて行っている。カーターのアレンジは比較的シンプルでよくスイングするものが多いが、このアルバムの曲はミディアムテンポからスローなものが多い。綺麗な曲に美しいアレンジがよく調和している。
それにカーメン節のボーカルが加わって最高の出来だ。きっと詩もいいのであろうが、ちょっと聞いただけでは意味は分からないのが情けない。英語力があればと思う一瞬だ。
きっとこの曲想の美しさがFriedmanの本質なのであろう。

そして、残りの一曲はベニーカーターに捧げた曲"A Tribute To Benny Carter”。
同じくFriedmanの曲である。しかし、この曲をアレンジしたのはあのQuincy Jones。
この一曲ためにFriedmanも録音時に演出をしたらしいが、これもシナリオの内だったのかも。
実はマクレーがデビューしたての頃、歌っていたのがベニーカーターのオーケストラだったそうだ。昔、お世話になった恩人のアレンジで、恩人に捧げて作られたのがこのアルバムでもあったということになる。

そして、このアルバムのさらに素晴らしいのがカーターのアレンジを演奏する伴奏陣。録音日によってメンバーが入れ替わっているが、どのセクションのどのプレーヤーをとってみてもウェストコーストの一流どころが「ずらりと揃っている」。
その中で、オブリガードやソロをとっている一人はトランペットのハリースウィーツエディソン。彼のトランペットは特徴ある演奏なのですぐ分かる。そしてテナーはFlip Philipsとライナーノーツには記されているのだが・・・、何故かクレジットには載っていない。
何か不思議なアルバムだ。

そして、ライナーノーツに一言。
「この録音が終わった時、ミュージシャンが皆一斉に立ち上がってスタンディングオべーションをした」と書かれている。マクレーであり、カーターであり、このFriedmanに対してであろう。
改めて聴いてみてもいいアルバムだ。きっとこのFriedmanが何者なのかが分かればその素晴らしさをより理解できると思うのだが。
それが分からずに悶々としているのは自分だけなのかも知れない。誰かそっと教えてもらえると嬉しい。

1. I’ll Never Pass This Again
2. Mr. Love
3. All That I Can Do Is Think of You
4. All The Time
5. When It’s Time To Till
6. The Happy Ones
7. Bobby
8. Tender Loving Words
9. When Twilight Comes
10. A Tribute to Benny Carter

All Songs Written by Bob Friedman
All Arranged by Benny Carter,except “A Tribute to Benny Carter”arranged and conducted by Quincy Jones

William “Cat” Anderson, Johny Audno, Buddy Childer, Gene Goe, Harry “Sweets” Edison,Ray Triscari (tp)
George Bohanon, Nick Di Maio, Joe Howard, Grover C.Mitchell (tb)
Buddy Collette, Bob Cooper, Bill Green, Bill Hood, Marshal Royal, Bud Shank (sax)
Ray Brown, Dick McQuary (b)
Bob Corwin, Jimmy Jones, Duke Pearson, Jimmy Rowles (p)
John E. Arnold, Larry Bunker (vib)
Louis Bellson (ds)
John R. Collins, Barney Kessel (g)
Bill Hinshaw, Alan Robinson, Gale H. Robinson Henry Sigismonti, Bob Watt (French Horn)
Recorded in L.A. November, 1971 ~ March, 1972

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他人の曲を演奏しても「さすがサド・メル」サウンドが・・・

2008-03-05 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Thad Jones / Mel Lewis & Manuel De Sica and The Jazz Orchestra

何かと注目されたサドジョーンズ&メルルイスオーケストラ。スタジオミュージシャンが毎週月曜に集まって演奏していた当初はメンバーが自分達のアレンジを持ち寄って演奏していたものだ。
その後次第にリーダーのサドのアレンジが大半を占めるようになった。それに伴ってサウンド的にも良くも悪くもサドジョーンズオーケストラになっていった。当然のように、他のアレンジャーの作品を演奏することはだんだん少なくなっていった。
カウントベイシーやバディーリッチのオーケストラが、編曲は基本的に外注(?)して有名なアレンジャーに編曲を委ねていたのとは大きく違った。アレンジャー達にとっては自分のアレンジをサド・メルのオーケストラに演奏してもらいたいという想いがあったかもしれない。

このサド・メルのオーケストラもツアーの途中、また海外遠征をすると、時折新たなチャレンジをする。
新しい曲に取り組んだり、地元のミュージシャンと共演をしたり。時には、リーダー達だけで地元のオーケストラに飛び入りしたりピックアップメンバーでコンボでの演奏をしたり。元々スタジオミュージシャン達の集まり。皆、どんな状況・編成でもそれなりに何でもこなすメンバー達だった。

このアルバムは、イタリアの鬼才といわれる作編曲家マニュエル・デ・シーカの作品にメンバー全員で取り組んだ異色作であり意欲作だ。このデシーカについて自分は良く知らないし他の作品も聴いたことがない。父親は有名な映画監督だったらしく、映画音楽の世界でも活躍していたようだ。
ここで演奏されるのは“First Jazz Suite”という5曲からなる組曲だが、父に捧げた曲もあり、彼自身のボーカルもありの大作だ。
いきなり出だしの”Brasserie”でペッパーアダムスのバリトンが炸裂する。この組曲は73年の9月にロンドンでの録音、もう一曲収められているおなじみのリトルピクシーは翌74年7月にイタリアで。この間の74年の3月には来日しているがこの時のメンバーと同じ。新進気鋭の若手に大分メンバーも入れ替わった時期だが第2期の黄金時代でもある。
もはや、リハーサルオーケストラではなくレギュラーオーケストラとして世界を股にかけたツアーをやっていたのがよく分かる。
まさに“The Jazz Orchestra”としての面目躍如の一枚だ。

1. First Jazz Suite
 1).Brasserie
 2).Father
 3).Sing
 4).Ballade
 5).For Life
2. Little Pixie

Jerry Dodgion,(as)
Eddie Xiques(as)
Ron Bridgewater(ts,fl)
Billy Harper,(ts,fl)
Pepper Adams(bs)
Thad Jones (flugelh);
Cecil Bridgewater , Jim Bossy ,Jon Faddis , Steve Furtado (tp)
Quentin Jackson ,Jimmy Knepper, Billy Campbell, Cliff Heather,trombone;
Roland Hanna (p)
George Mraz (b),
Mel Lewis (ds)
Dee Dee Bridgewater (vol)
Manuel De Sica (vol)

Recorded Sep.1973 in London (1)
Jul.1974 in Perugia(2)
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2人がよければ、4人もよいかと思うのだが・・・・・?

2008-03-04 | MY FAVORITE ALBUM
Four Altos / Phil Woods , Gene Quill , Sahib Shihab , Hal Stein

フィルウッズとジーンクイルの“Two”アルトはソロといいコンビネーションといい絶妙のコンビ。そのプレーにはスリルも感じる。
同じ楽器の双頭バンドにはそのような魅力があるものが多い。有名どころではトロンボーンのJ&K、テナーのアル&ズート、Concordではソプラノサミットと称したボブウイルバーとケニーダバーンのコンビや、ケッセルとエリスのギターの組み合わせもあった。
それでは、3人、4人と数を増やすと、よりスリルが増してダイナミックになるかと思うと・・・?

丁度、先日紹介したウッズとクイルのコンビのアルバムが録音されたのが1957年3月であったが、その一ヶ月前に同じプレスティッジに4人組みのアルバムがある。
メンバーは同じフィルウッズとジーンクイルに、楽器も同じアルトでさらに2人、サヒブシハブとハルステインが加わっている。
サヒブシハブは、その後ウッズと一緒にクインシーのオーケストラに加わってバリトンを吹いている。以降はアルトよりもバリトンの方が有名になった。
リズムセクションは、メンバーはがらりと換わりマルウォルドロンのピアノ、トミーポッターのベース、それにルイスヘイズのドラムだ。

パーカーが亡くなったのが、1955年3月。2年の月日が経って若手のパーカー派が競って台頭してきた頃だ。ウッズもまだ25歳。若手のアルトのホープが集まっての演奏は、それだけでも何かが起こりそうな期待が持てる。
ジャケットの電線につかまって、まさに飛び立とうとしている4羽の小鳥。この録音に集まった4人の若手を象徴しているのだろう。
プレスティッジのこの頃のアルバムには、このようなバトル物の企画が多いがまさにハードバップが爆発する臨界点に達していた時。プレスティッジに限らずこの時期のレーベルには熱気があった。ホットなジャズの全盛期だ。

演奏はもちろん4人のアルトがフューチャーされてが、複雑なアレンジが施されたアンサンブルがあるわけではない。簡単なヘッドアレン的なユニゾンこそあれ、すぐにそれぞれのソロに引き渡される。どの曲でも4人の若手がソロを競い合う。伸び伸びと自分こそがパーカーの後継者と言わんばかりの熱っぽいプレーが続く。JATPのベテラン勢の和気藹々としたセッションとは一味違って、ある種の緊張感も感じられる。それも若手中心の登竜門のようなセッションだからだろう。その後の活動を見れば、結果としてアルト奏者としてはウッズが競争に勝ち残っていくことになる。飛び立った4羽の小鳥も生存競争を生き延び、成鳥になれたのは一羽しかいなかったということか。

Concordレーベルでおなじみ、ギター3人の"Great Guitars”というグループがあった。
3人のアンサンブルあり、ソロあり、そして2人のDuoがありと変化に富んだグループワークを聴かせてくれる。
どうしても人数が増えてくるとアンサンブルワークの楽しみにも興味が沸いてきてしまう。せっかく4人も集めたのだからという気になってしまうのは大編成好きだからであろう。
ウッズとクイル、そして他の2人のプレーも悪いわけではないのであるが。これは好みの問題だと思う。

1. Pedal Eyes             Waldron 7:34
2. Kokochee              Charles 6:25
3. No More Nights           Charles 4:58
4. Kinda Kanonic           Stein 5:59
5. Don't Blame Me           Fields, McHugh 4:57
6. Staggers              Waldron 8:23

Phil Woods (as)
Gene Quill (as)
Sahib Shihab (as)
Hal Stein (as)
Mal Waldron (p)
Tommy Potter (b)
Louis Hayes (ds)

Teddy Charles Supervisor
Rudy Van Gelder Engineer

Recoreded on February 9, 1957

Four Altos
Phil Woods,Gene Quill,Sahib Shihab,Hal Stein
Original Jazz Classics

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普段着の演奏を極めたら・・・・それはブラジル音楽とクラッシックが融合したジャズだった

2008-03-03 | CONCORD
Laurindo Almeida / Chamber Jazz

Concordがギタリストのリーダーアルバムを立て続けに出したが、今度はアルメイダの登場だ。
ローリンドアルイメダといえばボサノバ。ConcordではLA4のメンバーとしても有名だ。ブラジル出身で40年代からアメリカで活躍していたアルメイダ。このアルバムを録音した78年までの間にすでに100枚近いアルバムに参加していた。
ところが、「このアルバムはそのどれとも趣が違う」とライナーノーツの冒頭に書かれている。

タイトルは”Chamber Jazz”。確かに単なるボサノバではなく趣が少し違う。
LA4でもクラシックの曲を採り上げたりしていたが、アルメイダの本質はこのあたりにあるのかもしれない。
室内樂ジャズといえば、MJQやジャックルーシェを思い浮かべてしまう。アルメイダは確かにMJQとの共演アルバムもあった。もともとアコースティックギターであり、雰囲気は想像がつくが。
このアルバムでは他のギタリストがあまり取り上げない曲が選ばれている。ブラジルの曲やバッハやショパンの曲などが。いわゆるアメリカンポップスは一曲だけ。やはり彼のDNAはブラジルなのかもしれない。

先日のケニーバレルのアルバムでは、肩肘張らない自宅でリラックスした雰囲気でプレーする素顔のバレルの演奏が聴けたが、このアルバムもその類だ。
ブラジルからアメリカへと長年様々なプレーヤーと色々なジャンルの音楽と接してきたアルメイダだが。あまりジャズやボサノバというジャンルに拘らず、「一度自分の思うまま、感じるままをプレーしてみよう」と思って制作したのがこのアルバムのような気がする。
結果的に、室内楽的でもありジャズ風でもある演奏になったということかも。

スペイン風のパティオでギターを奏でるアルメイダの姿を捉えたジャケット写真が妙に飾り気がない。余所行きに着替えて綺麗に飾りつけた場所というのではなく、自宅からぶらりと裏庭に出てきて、何気なく弾き始めたという情景だ。
演奏もそのような雰囲気のままだ。ギターのプレーが妙に生々しく、ギターを中心にしてバックのベースとドラムも控えめだ。ところが、曲が進むに連れてベースのマグヌソンが実に素晴らしいプレーを聴かせてくれる。ジャズ特有の弾けるようなベースではなく、粘りつくようなベースがギターの音色と実にうまく調和する。ライナーノーツには「トロンボーンのような」との表現があるが、言い得て妙かもしれない。マグヌソンはフレンチホルンを長く演奏した経験があるそうだが、その経歴も彼のベース奏法に影響しているのかもしれない。
LA4で一緒のジェフハミルトンもこのような演奏にぴったり。控えめであるがつぼを捕らえたドラミングは得意技だ。

ブラジル育ちの素質はどんな音楽にも合わせられるアルメイダであるが、他の要素に影響されずに彼のギターのプレーの本質を知るには最適なアルバムかもしれない。

1. Dingue le Bangue          Macdony, San 4:14
2. Unaccustomed Bach        Bach 7:17
3. Odeon                 Nazareth 2:02
4. Bourree and Double         Bach 3:56
5. Melissa                 Allton 3:23
6. You and I [Voc? e Eu]        DeMoraes, Gimbel, Lyra 5:12
7. Clair de Lune Samba         Debussy 4:59
8. Chopin a la Breve           Chopin 4:12
9. Turuna                 Nazareth 4:17

Laurindo Almeida (g)
Bob Magnusson (b)
Jeff Hamilton (ds)

Recorded at Spectrum Studios Venice , C.A. in September 1978
Originally released on Concord CJ-84

Chamber Jazz
Laurindo Almeida
Concord Jazz

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ピアニストの歌といえばこの人を忘れては・・・・

2008-03-02 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
With Respect To Nat / Oscar PetersonTrio And Orchestra

本職はピアニストであっても、興に乗ってくると歌を歌うピアニストは多い。
最近紹介したアルバムでも、デイブフリッシュバーグジミーロウルズもピアノに合わせて時々得意の喉を披露している。
もっとも、歌の方がメインになったピアニストも。古くはナットキングコール、最近ではハリーコニックJr,もその一人であろう。どちらも、ピアノの腕前もピカ一であるが。
歌の上手いピアニストとしは、先日亡くなったオスカーピーターソンも忘れる訳にはいかない。昔はそこそこ歌っていたらしいが、キングコールに似ているので歌を封印したとか。スティットのアルトのようなものかも。キングコールがいなければ、ピーターソンの歌ももっと聴けたかもしれない。

そのピーターソンがキングコールが亡くなった(1965年2月)からという訳でもないと思うが、同じ年の秋にキングコールに捧げたアルバムを制作した。豪華な作りで有名であったライムライトレーベルから。
トリオ、それもハーブエリスを入れた昔のメンバーで7曲、そしてオーケストラをバックに5曲と凝った編成をしている。

昔のメンバーだったエリスはこの頃はロスでスタジオワークをしていた。もちろんピーターソンとは喧嘩別れをした訳ではないので、トリオが近くに演奏に来た時にはいつも飛び入りで加わっていたそうだ。この録音でピーターソンもロスを訪れた訳であるが、駆け付けたエリスとは「あうんの呼吸」でほんの数時間で録り終えたようだ。
2人のコンビは健在でこんな形では再会を続けていた訳だ。このような関係を保っていたことが、数年後の「ハローハービー」の好演につながっていたのであろう。

一方のオーケストラ録音はニューヨークでの録音。アレンジをしたのはマニーアルバム。相変わらずいいアレンジだ。歌伴とかソロイストのバックに回った時のスインギーなアレンジはお手の物だ。
メンバーを見るとニューヨーク在住の一流どころが集まっている。メンバーの多くはサド・メルの創世期のメンバーと重複が多い。時期的にもぴったり一致している。

歌と演奏はコメントするまでもなく素晴らしい。キングコール亡き後はどんなに似ていようと揶揄されることはない。反対にキングコールに対して彼の功績を称えた最高の弔いのアルバムになっている。
最後の一曲はボーカル無しのピアノのトリオの演奏のみ。これも、キングコールが歌だけではなくピアニストとしても素晴らしかったことに対して一曲手向けたかったのかもしれない。エリスのギターも、コールのトリオのギタリスト、オスカームーアに負けないイメージを出している。
単に余興ではない、本格的なボーカルアルバムだ。

1. When My Sugar Walks Down The Street
2. It's Only A Paper Moon (*)
3. Walkin' My Baby Back Home
4. Lorraine (*)
5. Unforgettable
6. Little Girl (*)
7. Gee Baby, Ain't I Good To You? (*)
8. Orange Colored Sky
9. Straighten Up And Fly Right (*)
10. Calypso Blues
11. What Can I Say After I Say I'm Sorry (*)
12. Easy Listening Blues (*)

<Personnel>

Produced by Jack Tracy
Orchestrated by Manny Albam

John Frosk, Joe Newman (tp) Ernie Royal, Daniel Stiles (tp, flh)
Wayne Andre, Jimmy Cleveland, J.J. Johnson (tb)
Tony Studd (btb)
Seldon Powell, Jerome Richardson (tfl, bfl)
Jerry Dodgion, Phil Woods (as)
Marvin Holladay (bars)
Hank Jones (p)
Oscar Peterson (p, vo)
Barry Galbraith (g)
Richard Davis (b)
Mel Lewis (d)

Recorded at A&R Studios, NYC, on November 13, 1965

(*)
Oscar Peterson (p,vol)
Herb Ellis (g)
Ray Brown (b)

Recorded at Hollywood, Los Angeles, CA on October 28, 1965
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時代が変われば“スイング”も変わる・・・・・・

2008-03-01 | MY FAVORITE ALBUM
Swing

一気に春めいた午前中の天気。午後から少し冷え込んだが、先日までの寒さが嘘のような一日だった。
梅の花も見ごろ。今年の冬は雪に見舞われる事が多かったが、今日のゴルフは久々に浮き浮きした気分でできた。
春本番はもうすぐ。「花粉症」持ちにはつらい季節だが。
春の気配を感じると、昨年は今ひとつやる気が起こらなかったゴルフの方も、今年は少し気合を入れ直して臨もうかなと思いたくなる。

こんな気分の時の一枚はスイングするものを。タイトルもそのものずばり”Swing”
ところが、このスイングは少し毛色が違う。
「このアルバムは誰に影響されたか?」を一言で言うとマンハッタントランスファーだろう。
マントラが生まれたのは71年、そしてメジャーデビューしたのが75年だ。おりしもフュージョン系が幅を利かせ始めたのに呼応するかのように、古いジャズも見直され元気が出始めた。ここで続けて紹介しているConcordのアルバムなどもその動きのひとつであった。
特に、マントラのコーラスは、LHRに代表されるボーカリーズを駆使したモダンなものから、古きよき時代のスイング時代、さらに、R&Bやロック世代のコーラスを絶妙に組み合わせ、ジャンルを超えたワン&オンリーの世界を築いていった。
時代の流れに合わせて人気グループが現れると、当然二番煎じの如く後に続くグループやアルバムが誕生してくるのは世の常。このアルバムもそのひとつだと思う。

スイング時代のビッグバンドを主体とし、ヴォーカルやコーラスを加えた演奏スタイルが「スイング」のある種の代名詞でもあった。しかし時代を経るに従い音楽自体が変化しスイングはロックやR&Bへと広がった。楽器自体も電子楽器が台頭し、さらに録音技術も多様化していったことも少なからず影響を与えた。
「そのような新しい時代の流れをスイング時代の基本的な枠組みにすべて取り込んだらどうなるか?」というテーマにチャレンジしたのがこのアルバムだ。
プロデュースをしたのは、リチャードペリーだ。
マンハッタントランスファーやダイアナロスをプロデュースし、78年に立ち上げた自己のレーベルPlanetでの作品だ。当時ペリーのイメージしていたサウンドを代表する一枚であろう。

演奏はフルバンド編成に男女3人組のヴォーカルが加わっている。2人の女性の内の一人が実はロレイン・フェザーだ。78年にConcordで自己のデビューアルバムを残したが、その後の活動はよく分からなかったが。こんなところに登場した。
その後、彼女が加わったグループ「フルスイング」への試金石であったのであろう。

曲はスイング時代の古い曲を中心に、現在風のノスタルジーサウンドの味付けをしている。これがペリーの狙っていたものであろう。演奏だけでなくコーラスの位置付けにも重きが置かれている。この頃ペリーがプロデュュースして生まれたグループが「ポインターシスターズ」なのも頷ける。ロレインを含めてのコーラスはこの時まだグループ名は付いていないが、ヴォーカルはクレジットしてはメインに掲げられている。
このようなスタジオオーケストラはクレジットを見るのが楽しみだが、有名プレーヤーが多数参加している。ソロもとって目立っているのがTom Scott、そしてDavit Bevoitの名も。ポスト「デイブ・グルーシン」と言われる名プロデューサーもキーボードで参加している。

ゴルフの世界も昔のパーシモンのドライバーの時代と、今の弁当箱のようなデカヘッドのでは、「スイング」自体も大きく変わったが、ジャズの世界でも時代にあった「新しいスイング」が作られて、知らず知らずの内に進化しているものだ。
これは、1981年における"Swing"のひとつの進化系だろう。

1. Big Bucks
2. The Right Idea
3. Serenade In Blue
4. I Weedlee Dee
5. Caravan / Mirage
6. Let The Good Times Roll
7. Medley
   Dancing In The Dark
   The Closer I Get To You
8. Trocaredo Ballroom
9. Crazy He Calls Me
10. Make Love To Me Baby

Vocalists:
  Charlotte Crossley
  Lorraine Feather
  Steve March

All Horn arrangementa by
 Charles Callello

Produced by
 Richard Perry
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