Plays Alto Sax, Flute, Soprano Sax, Clarinet
ビッグバンドの編成は通常17~19人。その人数で実に多様なカラフルなサウンドを生み出すことができる。このメンバーたちの料理の仕方を悩むのはアレンジャー冥利に尽きるだろう。多様な音を生み出す要因は様々な楽器の持ち替えとミュートだ。金管系のミュートは基本は楽器自体が替わるのではなく、ミュートの種類による音の変化の使い方。一方でリードセクションは木管系の多様な楽器をその都度替えなければならない。それも一曲の中で何度も。大変だと思う。
当然、ビッグバンドのプレーヤーはスタジオワークも多い。毎日の仕事で何の楽器を使うのかの管理だけでもきっと大変だと思う。そのようなプレーヤーが自分のアルバムを作るとなると大変だ。何の楽器をメインにするかによってアルバムの曲想もガラッと変わってくる。
次なるConcordのアルバム(CJ-107)は、そんなプレーヤー、ディックジョンソンの登場だ。アートペッパー調のアルトで、50年代にも自己のアルバムがある。いわゆるウェストコート派の一人だ。Concordでは、CHUCK FLORESのアルバムにkeyboardsで参加して多芸ぶりを披露している。このアルバムでも、マルチプレヤー振りをそのままタイトルにした作品で、アルト、ソプラノ、クラリネット、フルートを曲に合わせて吹き分ける。せっかくのお披露目の場だが、ビッグバンドの中の一員と違って、ワンホーンのコンボだとついつい器用さだけが前面に出てしまい、それぞれの楽器の良さを堪能するには少し消化不良だ。晩年、アーティーショーに捧げたクラリネットのアルバムがあるがこの方が、この方が個の楽器の良さが引き出されている。アルバム作りでは、やはり得意技は1本か2本に絞った方が良いかもしれない。
ピアノのデイブマッケンナは昔のプレー仲間、Concordで一緒に仲良く復活してきた。Concordお得意のベテラン復活シリーズとしては貴重な一枚だ。
このディックジョンソンも今年になって他界している。アルバムが作られてから30年という月日はあっという間のようで結構長い。生涯の活動の中で演奏スタイルを変えていったプレーヤーは多い。しかし、全く変えないプレーヤーもいる。ジョンソンは、16歳の時にピアノからクラリネットに転向、その後アルトも吹くようになったが、最後はまたクラリネットへ。長い時間をかけて得意技を磨いていったタイプかもしれない。
アーティーショーオーケストラのDICK JOHNSON
1. Medley: All the Things You Are/I'm Old Fashioned Hammerstein, Kern, Mercer 5:14
2. Donna Lee Parker 4:00
3. The Star-Crossed Lovers Ellington, Strayhorn 4:53
4. Kelly Green Johnson 5:27
5. When the World Was Young Block, Mercer, Philippe-Gerard… 7:47
6. Who Cares? Gershwin, Gershwin 3:22
7. Kelly Blue Johnson, Kelly 5:51
8. In a Sentimental Mood Ellington, Kurtz, Mills 4:25
Dick Johnson (Clarinet, Flute, Sax (Alto), Sax (Soprano))
Dave McKenna (Piano)
Bob Maize (Bass)
Jake Hanna(Drums)
Carl Jefferson Producer
Recording Date May 1979
Originally released on Concord CJ-107
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