Jillian / Warren Vache
今回の主役ウォーレンヴァッシェはスコットハミルトンとほぼ同じ時期に登場したコルネット奏者。ハミルトンと同様、70年代に登場した若者だが、フュージョンやエレキサウンドには「我れ関せず」を貫き通す。ひたすらジャズの原点ともいえる良く歌うホーンの美しさを追い求めた。今では2人ともすでに50代の後半になるが、伝統あるジャズのメインストリームの楽しさを引き継いでいる一人である。
モダンジャズの時代になって、コルネットを吹いていたのはナットアダレー、そしてサドジョーンズなど数えるほど。大部分はトランペットを吹くようになった。ソフトなバラードプレーではフリューゲルホーンが多用されるようになったがコルネットを吹くプレーヤーは少ない。モダンジャズにはコルネットの少しこもった音色よりトランペットの方が似合うのかもしれない。
スイングあるいはディキシーランドジャズの時代まで遡ればコルネット奏者は数多くいた。ジャズの歴史の中では最初はコルネットが主役であった。何でも「ジャズが誕生した頃南北戦争に負けた南軍が使っていたコルネットが出回ったから」という話もどこかで読んだ記憶があるが、果たして真偽のほどは?
このアルバムは、コンコルドではヴァッシェの初リーダーアルバム。
これまでアルバムだけでなく、日本遠征を含めツアーやフェスティバルへの出演もハミルトンとの共演が多かったが。今回はコリンズを加えたワンホーンのクインテット編成が基本。曲によって加わっているのは、いつものハミルトンではなくマーシャルロイヤル。テナーとではなくアルトとの共演だ。
このアルバムでヴァッシェが目指したのは美しく吹くこと。
コルネットの以外にフリューゲルホーンも吹いているが、確かに実に美しい音色だ。マイルスの美しさがどこか冷たさと鋭さを感じるのに対して、ヴァッシェのホーンは、同じ美しさでも暖かさと丸みを感じる。
クラークテリーやガレスピーの明るさとも違う軸に位置づけられる。
流れとしては、やはりスイング派のルビーブラフやロイエルドリッジ、ボビーハケットの延長にいるのだと思うが、時にはモダンな新しさを感じることもある。
このアルバムでは、モダンスイングのベテラン達に囲まれて、オープンな楽しげなプレーやミュートプレー、そしてしっとりとしたバラードプレー。そして、自作のジュリアンではボサノバのリズムにも乗って。どれをとっても思い切りスインギーな演奏に終始している。カルコリンズのギターやピアスのピアノもいつもより楽しげに飛び跳ねるように聞こえるから不思議だ。
ヴァッシェの心がけた「美しさ」をどの曲をとってみても満喫できる一枚だ。
1. It's All Right With Me
2. Love Locked Out
3. Taking a Chance on Love
4. 'S Wonderful
5. I Only Have Eyes for You
6. More Than You Know
7. It's You or No One
8. Jillian
9. Little White Lies
10. Too Close for Comfort
Warren Vaché (cor,flh)
Marshall Royal (as)
Nat Pierce (p)
Cal Collins (g)
Phil Flanigan (b)
Jake Hanna (ds)
Produced by Carl Jefferson
Recorded at Coast Recorders, San Francisco, CA, November 1978
Originally released on Concord CJ-87
今回の主役ウォーレンヴァッシェはスコットハミルトンとほぼ同じ時期に登場したコルネット奏者。ハミルトンと同様、70年代に登場した若者だが、フュージョンやエレキサウンドには「我れ関せず」を貫き通す。ひたすらジャズの原点ともいえる良く歌うホーンの美しさを追い求めた。今では2人ともすでに50代の後半になるが、伝統あるジャズのメインストリームの楽しさを引き継いでいる一人である。
モダンジャズの時代になって、コルネットを吹いていたのはナットアダレー、そしてサドジョーンズなど数えるほど。大部分はトランペットを吹くようになった。ソフトなバラードプレーではフリューゲルホーンが多用されるようになったがコルネットを吹くプレーヤーは少ない。モダンジャズにはコルネットの少しこもった音色よりトランペットの方が似合うのかもしれない。
スイングあるいはディキシーランドジャズの時代まで遡ればコルネット奏者は数多くいた。ジャズの歴史の中では最初はコルネットが主役であった。何でも「ジャズが誕生した頃南北戦争に負けた南軍が使っていたコルネットが出回ったから」という話もどこかで読んだ記憶があるが、果たして真偽のほどは?
このアルバムは、コンコルドではヴァッシェの初リーダーアルバム。
これまでアルバムだけでなく、日本遠征を含めツアーやフェスティバルへの出演もハミルトンとの共演が多かったが。今回はコリンズを加えたワンホーンのクインテット編成が基本。曲によって加わっているのは、いつものハミルトンではなくマーシャルロイヤル。テナーとではなくアルトとの共演だ。
このアルバムでヴァッシェが目指したのは美しく吹くこと。
コルネットの以外にフリューゲルホーンも吹いているが、確かに実に美しい音色だ。マイルスの美しさがどこか冷たさと鋭さを感じるのに対して、ヴァッシェのホーンは、同じ美しさでも暖かさと丸みを感じる。
クラークテリーやガレスピーの明るさとも違う軸に位置づけられる。
流れとしては、やはりスイング派のルビーブラフやロイエルドリッジ、ボビーハケットの延長にいるのだと思うが、時にはモダンな新しさを感じることもある。
このアルバムでは、モダンスイングのベテラン達に囲まれて、オープンな楽しげなプレーやミュートプレー、そしてしっとりとしたバラードプレー。そして、自作のジュリアンではボサノバのリズムにも乗って。どれをとっても思い切りスインギーな演奏に終始している。カルコリンズのギターやピアスのピアノもいつもより楽しげに飛び跳ねるように聞こえるから不思議だ。
ヴァッシェの心がけた「美しさ」をどの曲をとってみても満喫できる一枚だ。
1. It's All Right With Me
2. Love Locked Out
3. Taking a Chance on Love
4. 'S Wonderful
5. I Only Have Eyes for You
6. More Than You Know
7. It's You or No One
8. Jillian
9. Little White Lies
10. Too Close for Comfort
Warren Vaché (cor,flh)
Marshall Royal (as)
Nat Pierce (p)
Cal Collins (g)
Phil Flanigan (b)
Jake Hanna (ds)
Produced by Carl Jefferson
Recorded at Coast Recorders, San Francisco, CA, November 1978
Originally released on Concord CJ-87