A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

バップボーカリストが勢ぞろいすれば・・・自ずと過去の名演が名唱に。

2008-04-30 | MY FAVORITE ALBUM
King Pleasure Sings / Annie Ross Sings

バップボーカルといえばジョンヘンドリックスが有名だが、このキングプレジャーもその一人。彼がいくつかのセッションで他のボーカリストとの共演したのを集めたのがこのアルバム。
録音の時期もちょうど1952年~1954年にかけて。Bopの名演が残された直後。
バップボーカルがどんなアプローチをしていたのか、そしてその後LH&Rが生まれていった経緯が良く分かる。
バップボーカルの特徴のひとつはヴォーカリーズ。ヴォーカリーズといえば、エディージェファーソンが確立したひとつの歌唱法。有名な楽器の演奏(ソロやアドリブ)を、口ずさむだけならまだしも、歌詞をつけて歌にしてしまうとは大した発想だ。作詞が得意なジョンヘンドリックスも得意としている技だ。

このアルバムでは、キングプレジャーを中心として、ジョンヘンドリックスはもちろん、始祖のエディージェファーソン、LHR結成前のランバートシンガースとの共演も聴ける。おまけに、CDではLH&R結成前のアーニーロスの歌も収めされている。珍しいセッションが集められたアルバムだ。
1~12が、そのキングプレジャーのセッション。
それに13~16に、アーニーロスのセッションが加えられている。

1. Red Top
2. Jumpin’ with Symphony Sid

 Charlie Ferguson (ts)
 Eddie Lewis (tp)
 Ed Swanston (p)
 Peck Morrison (b)
 Herbie Lovelle (ds)
 Betty Carter (vol) (on#1)
  Recorded in New York City,December 12,1952

最初の2曲は女性シンガーのベティーカーターが加わる。プレジャーとのDuoが聴ける。

3. Sometimes Happy
4. This Is Always
5. What Can I Say
6. Parker’s Mood

 John Lewis (p)
 Percy Heath (b)
 Kenny Clark (ds)
 The Dave Lambert Singers (#3&4 only)
  Recorded in New York City, September 29,1953

続く2曲はデイブランバートシンガースとの共演。LH&Rの誕生を予感させる。バック
のピアノトリオは、ジョンルイス、パーシーヒース、それにソニークラークという豪
華メンバー。ロスのファーストアルバムが、MJQとの共演だったので、この組み合わ
せも不思議ではない。
5,6は、コーラスが抜けて、プレジャーのソロボーカル。ジョンルイスのリリカルなピアノが光る・

7. Don’t Get Scared
8. I’m Gone
9. You’re Crying
10. Funk Junction

 Lucky Thompson (ts)
 J.J Johnson, Kai Winding (tb)
 Danny Bank (tp)
 Jimmy Jones (p)
 Paul Chambers (b)
 Joe Harris (ds)
 Eddie Jefferson (#7,8only)
 The Three Riffs (#8)
 
 Arranged by Quincy Jones
  Recorded in Hackensack , NJ,December 7,1954

この4曲は、クインシージョーンズのアレンジ。クインシーがライオネルハンプトンのオーケストラを辞めてアレンジで小遣い稼ぎをしていた頃だ。バックのコーラスはThe Three Riffs。
7,8では、エディージェファーソン自らも加わって、ムードはすっかりバップボーカルとヴォーカリーズの世界に。

11. I’m In The Mood For Love
12. Exclametion Blues

 Merrill Stepter (tp)
 Lem Davis (as)
 Ray Abrams (ts)
 Cecil Payne (bs)
 Teacho Wiltshire (p)
 Leonard Gaskin (b)
 Teddy Dearie (ds)
 Blossom Dearie (vol) (#only 10)
  Recorded in New York City, February 19,1952

11.には、ブロッサムディアリーが参加しているが、彼女もボーカリーズにチャレンジしていた。

13. Twisted
14. Farmer’s Market
15. The Time Was Right
16. Aniie’s Lament

 Annie Ross (vol)
 Teacho Wiltshire (p)
 George Wallinton (p)
 Ram Ramirez (org)
 Percy Heath (b)
 Art Blakey (ds)
  Recorded in New York City, October 9,1952

アーニーロスのバックを努めるのは、オルガンにピアノトリオが加わった実にグルービーなバックだ。ドラムにはアートプレーキーが加わっている。ロスもイギリスから来てから間もない頃だが、13.はワーデルグレイのソロを実にうまくヴォーカリーズしている、彼女の出世作だ。

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もう4月も終わり・・・・4月といえば

2008-04-28 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
The Magnificent Thad Jones / Thad Jones

この曲、“April in Paris”だが。
何と言ってもこの曲はカウントベイシーのオーケストラのアルバムに尽きる。
そのレコーディングにも参加していたサドジョーンズ。このアルバムでのソロで有名になった。サドジョーンズのスターへの道への第一歩が、このApril in Parisであろう。
これに気を良くしたのか、自分のアルバムでもこの曲をやっている。丁度ベイシーのオーケストラでの録音の一年後のことだった。

このアルバムの録音の5日前。この録音に向けたリハーサルとなってしまったセッションが記録にある。メンバーは、リズムセクションが異なり、トミーフラナガン、エルビンジョーンズ、そして、ベースにはエディージョーンズ、ギターのケニーバレルも加わっている。興味あるメンバーでの演奏だが、このセッションの演奏は没となってしまった。
そして5日後、リズムセクションをマックスローチ、パーシーヒース。そしてピアノをバリーハリスに代えて再チャレンジしたのがこのセッションだ。
サドジョーンズのアルバムの中でも有名なブルーノートのこのアルバム。一曲目にApril in Parisが収められている。

このアルバムの主役はあくまでもサドジョーンズ。
テナーのビリーミッチェルも加わっているが2曲だけ。ドラムのローチも控えめだ。このセッションの20日前に、盟友クリフォードブラウンを失ったばかり。どのような気分で臨んでいたことだろうか。
ベイシーオーケストラに迎えられたといっても、ジョーンズのスタイルはスイング派ではない。モダンなタッチだが派手さは無い。どこか語りかけるような語り口の歌心のあるトランペットである。この後コルネット、そしてフリューゲルホーンを多用したというのも、演奏ではこのスタイルを続けたかったのかもしれない。

ベイシーに加わってから、ジョーンズは地元デトロイトを離れニューヨークに。ベイシーの仕事が無い時はこのようなセッションに加わっていた。前年の55年10月には、ソニースティトとクインシーのアルバムにも参加している

ブルーノートでは2作目だが、このアルバムがジョーンズのその後の活躍の礎となったアルバムだと思う。このような活動の成果であろう、ダウンビートの新人部門で一位に輝いた頃の演奏である。
CDでは、オリジナルでは入っていなかった同日のセッションの(6.)と、5日前のセッションで一曲生き残った(?)ケニーバレルとのデュオの(7.)が加わっている。

1. April In Paris
2. Billie-Doo
3. If I Love Again
4. If Someone Had Told Me Blue
5. Thedia
6. I've Got A Crush On You
7. Something To Remember You By

Thad Jones (tp)
Billy Mitchell (ts)
Barry Harris (p)
Percy Heath (b)
Max Roach (ds)

Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, July 9,14, 1956

Magnificent Thad Jones
Thad Jones
JCT

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昔の仲間が集まれば・・・・久々でもあっても呼吸が合うのは時間の問題

2008-04-27 | MY FAVORITE ALBUM
Reunion with Jon Hendricks / Larry Vuckovich

日々仕事に追われていると日頃付き合う人間も仕事関係が大部分。休みの日もその反動で遊び仲間との付き合いがほとんどになる。自然と昔の友人との関係は疎遠になりがちだ。ところが、歳をとってくると昔の仲間との付き合いが自然と多くなる。同窓会が多く開催され再開の機会が増え、偶然再会した古い友人との付き合いが復活したり。

ユーゴスラビア生まれのピアニスト、ラリー・ブコビッチ。カルコリンズの”Blues On Mind”に登場していたが、バップボーカリストのジョンヘンドリックスとの付き合いが長い。
ジョンヘンドリックスが一時アメリカを離れていた時にドイツで録音されたアルバムにも参加していた。ユーゴ生まれなのですっかりヨーロッパで知り合ったと思っていたらブコビッチは家族と共に子供の頃に家族と共にアメリカに移住して活動していたとのこと。もっと以前からの付き合いだったようだ。
2人の出会いは1965年 にサンディエゴのクラブでいっしょに演奏したのが最初とのこと。その後、ツアーやジャズフェスティバルでも一緒に行動していたそうなので、LHRの解散後、ヘンドリックスと一緒にプレーをしていた仲間だったということだ。

その後も継続して2人が親交があったのかどうかは「?」であるが。2000年になって、このブコビッチがベイシースタイルのレスターヤングを意識したアルバムを作った。そして翌年、このブコビッチのグループ”Young Heat Ensemble”を引き連れて、地元サンフランシスコのジャズフェスティバルに出演した時にヘンドリックスをゲストで招いた。このグループのスタイルにはヘンドリックスのボーカルはピッタリだ。そして、ヘンドリックスボーカルを加えた続編ともいえるセッションが行われた。そのセッションを中心に作られたのがこのアルバムだ。2001年の録音なので比較的最近のアルバムである。ヘンドリックはビバップの創世記から今まで活躍している実に息の長いミュージシャンだ。1921年生まれなのでこの録音時は80歳。全く衰えを感じさせない歌声を聴かせてくれる。
このヘンドリックスを加えた演奏が6曲。他の演奏は、ブコビッチのバンドの演奏で、録音の時期も少し後だ。バップ風の味付けをした基本的な演奏スタイルは同じ。ラテンパーカッションを加えたセッションや、ブコビッチのソロもあるが、全面スインギーな演奏が聴けるのも、ジョンヘンドリックスと再会し、一緒に参加している影響が大きいと思う。

1. Lester Leaps In               Young 3:57
2. Last Train from Overbrook        Moody 7:11
3. Serbo Salsa                 Vuckovich 8:17
4. Shorty Indigo                Hendricks 4:24
5. Tickle Toe                  Hendricks, Young 3:41
6. Flamingo                   Anderson, Grouya 6:16
7. Impressions                 Coltrane 6:35
8. Lester's Minor Blues            Vuckovich 6:06
9. One Heart (Un Corazón)          Brambert 6:52
10. Scrapple from the Apple         Parker 4:41
11. Shadow of Your Smile           Mandel, Webster 4:06
12. Do You Call That a Buddy?        Raye, Wilson 6:16
13. Bye Bye Blackbird             ixon, Handerson 6:55
14. Yesterdays                 Harbach, Kern 3:55


Sanna Craig Executive Producer, Production Coordination

Jon Hendricks (Vocals)
Larry Vuckovich (p, Arranger,Producer)

Noel Jewkes (ts,ss,cl,fl)
Jules Broussard (sa,ts)
Allen Smith (tp)
Josh Workman (g)
Nat Johnson (b,Vocals)
Harold Jones (ds)
Omar Clay (ds)
Orestes Vilató(Bongos, Timbales)
John Santos Bongos,(Conga, Maracas)
Enlique Pedraza (Maracas)

Recorded at BayRecords ,Berkeley, Octber 3,2001
(1,2,4,5,12,13)

Recorded at Bach Dancing & Dynamic Society, half Moon, May 6,2003
(3,9,10)

Recorded at BayRecords ,Berkeley, November 11,2003
(6,7,8,11,14)

Reunion With Jon Hendricks
Larry Vuckovich
Tetrachord

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ようやく100枚目・・・・

2008-04-25 | CONCORD
Live At Montreux Jazz Festival / LA4

棚で埃を被っていたレコードを聴き返すことを決意し、ほとんど使わなくなっていたアナログのプレーヤーを復活したのが2年前。3日坊主にならないようにということもあって、ブログを書き始めたが、よく続いているものだ。
Concordの第1作目がブログに登場したのは、3ヵ月後の8月になってから。好きなレーベルであったが、何故か採り上げたのは始めてから大分経ってからだった。もっともこの頃はゴルフの記事を書く方に熱中していたせいもあるが。

そして、Concordを全部聴き返そうと順番に聴き始めたが、結局2年かけてやっと100枚(厳密にはCJ13が欠番なので99枚)目に到達した。
好きでよく聴いたアルバムもあれば、一回聴いてお蔵していたアルバムもあったが、改めて聴き返して見ると、オーナーであり、創始者であり、プロデューサーであったカールジェファーソンの想いと、こだわりというものが一枚一枚に良く反映されているのがよく分かる。
サンフランシスコの郊外の小さな町であるConcord市に本拠を構えた小さなレーベルであったが、72年にスタートして100枚目をリリースしたのが1979年。足掛け7年かけた偉業である。元々地元で開催されていた(これもジャズ好きのジェファーソンが町の振興のために始めたらしいが?)ジャズフェスティバルからスタートしたもの。
記念すべき第1作目はハーブエリスとジョーパスの72年のフェスティバルのライブだ。初期のアルバムには、このジャズフェスティバルのライブ物が多かった。

ギター好きであったジェファーソンらしく、ギタリストは実に良く登場する。大作というものは無い。ロスに居を構えスタジオワークが中心になっていたベテランのジャズミュージシャンに、「普段やっている仕事を忘れ、自分のスタイルで気軽なジャズの演奏の場を提供する」というのが基本コンセプト。普段着の日常生活の一面をスナップ写真で切り取ったような感じだ。これまで、リーダーアルバムを出したことのない、ベテラン達にも晴れの舞台の場を提供した。それがきっかけで、半ばジャズの世界から引退していたプレーヤーやシンガーを現役に復帰させる効果も生んだ。かと思えば、スコットハミルトンのように無名の新人にデビューにも一役買った。
うまく発展して行ったのは、丁度、時代が新しいものだけでなく、昔の良いものを見直そうという風潮が起こっていたのもフォローの風になった。ここまで育つのは、もちろんジェファーソン一人の力ではなく、色々な人達の支えがあってのことだと思うが、その一人としてドラマーのJake Hannaの存在も大きい。最初のアルバムから100枚目までで、ざっと数えたら44枚と半分近くのアルバムに登場している。ハナの誘いでレコーディングに至ったミュージシャンも多かったようだ。という点では、ハナがConcordの実質的なA&Rマンだったのかもしれない。
Concordレーベル自体も日本だけでなく世界中で知られることになり、ニッチな領域ではあるがマイナーレーベルの域を脱して、一躍ナショナルレーベルの仲間入りをした。
もっともジェファーソンも、その先今日のようなメジャーに育つとはその当時はまだ思ってもいなかったとは思うが。

このアルバムが、記念すべき切り番(CJ-100)のアルバムだ。久々の“LA4”の登場。
Concordでは比較的早く登場したが、レギュラーグループとして74年の結成からすでに5年が経っていた。ドラムが前作の”Watch What Happens”でシェリーマンからジェフハミルトンに代ったが後の3人は不動のメンバー。特に、シャンクとアルメイダのコンビ無くしてLA4サウンドは成り立たない。ハミルトンを誘ったのはレイブラウン。シェリーマンが抜け、後釜探しをした時、一緒にモンティーアレキサンダーと一緒ジャムセッションをやったことのあるハミルトンを思い出して声をかけたそうだ。他の2人のメンバーは、一緒に演奏する前にハミルトンをメンバーとして歓迎することを決めたとか。レイブラウンの目利きを信頼していたのに違いない。コンボにもよし、ビッグバンドにもよしのハミルトンのドラムは、Concordの番頭格であるハナの後継者としてもピッタリだった。ハミルトンはすでにLA4以外のセッションにも参加することが多くなっていたが、コンコルドとの付き合いはその後も長くなる。

ジャズとボサノバ、それにクラッシックの世界を絶妙にブレンドしたLA4の独特のアナログサウンドは、“MJQ”のギター版ともいえる。4人の呼吸の合ったアンサンブルと、ベテランの個人技のコラボレーションが素晴らしい。ハミルトンに代ってもそのサウンドは何も変わる事は無い。
 今回の演奏はスイスのモントルージャズフェスティバルでのライブ。この年Concordレーベルのスターの面々がモントルーに招かれ、LA4もその一員として加わり、そのステージを収めたもの。
 ジャンルを越えて、レパートリーの広いLA4。今回もスタンダードのJust in timeではスインギーな演奏、アルメイダのオリジナルのクラシックとボサノバの融合したような、Return of Captain Gallo。新加入のハミルトンのオリジナル”Hammertones “。そして、当日のメインはエリントンメドレー。どれをとっても素晴らしいしステージだ。

1. I Love You Porter              8:14
2. Hammertones Hamilton           7:18
3. Just in Time Comden, Green, Styne     6:37
4. Return of Captain Gallo Almeida      8:50
5. Duke's Mélange
   /I Let a Song Go Out of My Heart
   /Caravan
   /Take the "A"               14:06

Bud Shank (as,fl)
Laurindo Almeida (g)
Ray Brown (g)
Jeff Hamilton (ds)

Carl Jefferson Producer

Recorded live by the Mountain Studios at The Montreux Jazz Festival, Swizerland,July 1979

Concord CJ-100


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ひとつのジャムセッションもそれが生まれる流れというものが・・・

2008-04-24 | MY FAVORITE ALBUM
JAM SESSON / Clifford Brown

ジャムセッション。ジャズの楽しみのひとつだ。ベテラン達の和気藹々としたセッションもいいが、やはりジャムセッションの醍醐味は新進気鋭の若手のセッション。実力あるもの同士のバトルもあれば、新人のベテランへのチャレンジもある。若手にとってはスターになるための登竜門でもある。このジャムセッション、どのようにして生まれるかも、色々あるとは思うが・・・・・・。

こ自分の好きなアルバムに、サドメルのメンバー達が参加した、“JAZZ FOR A SUNDAY AFTERNOON”のシリーズがある。ジャムセッションを収めたアルバムは、当然世の中にたくさんある。
その中でもこのクリフォードブラウンのアルバムはジャズの歴史の中で永遠に消えることの無い一枚であろう。よく話題にもなるし。タイトルも、そのままずばりジャムセッション。

先日、ハーブゲラーのアルバムを聴いて、ゲラーがこのジャムセッションに加わっていたのを思い出し、どのような経緯でゲラーが加わったのか興味が沸いた。

このセッションは、ダイナワシントンとクリフォードブラウンの共演アルバムと同じセッション・同じ日に録音されたジャムセッションだ。ワシントンとのセッションに集まったメンバーの面々がスタジオに聴衆を入れてリラックスしつつも、真剣勝負で臨んだセッションだ。このヴォーカルのワシントンが加わっているのも、このセッションの特徴のひとつだろう。まさに若手のオールスターメンバーが集ったジャムセッションだ。

このセッションの主役はクリフォードブラウンとマックスローチのコンビ。GNPのコンサートライブで2人が一緒に演奏していたのが、この年の4月だ。このコンビでグループとして初めてのスタジオの録音を8月2日にスタートした。その後他のメンバーのセッションも入れ替わり立ち代り連続して行われたが、その最終日である8月14日。それまでのメンバー達が中心になって、新たにゲストを加えてこのアルバムが録音された。続けて行われたマラソンセッションの最終日だけに、前のセッションの余韻を持って臨んだアフターアワーズのセッションのようなものでもある。お互いのコンビネーションもバッチリだ。
このセッションの特徴はいくつかあるが、まずはクリフォードブラウンとローチのグループが核になっていること。トランペットにクラークテリーとメイナードファーガソンが加わって、トランペットバトルが繰り広げられていること。そして、先日紹介したハーブゲラーが加わっていること。一週間前に自分のグループの録音を行って、3日目にブラウンのセッションにも参加している。ゲラーが何故このジャムセッションに参加していたのか?と不思議に思ったが、記録をみるとそのような流れだったようだ。

1. What Is This Thing Called Love?
2. Darn That Drem
3. Move
4. My Funny Valentine
   / Don't Worry 'Bout Me
   / Bess, You Is My Woman Now
   / It Might As Well Be Spring

Clifford Brown, Maynard Ferguson, Clark Terry (tp)
Harold Land (ts)
Herb Geller (as)
Richie Powell, Junior Mance (p)
Keter Betts, George Morrow (b)
Max Roach (ds)
Dinah Washington (vo)
Recorded in Los Angeles, CA, August 14, 1954
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ミックスジュースとミックスサラダの違いは

2008-04-23 | MY FAVORITE ALBUM
Basie Swingin’ Voices Singin’ / Count Basie & Alan Copeland Singers

放送と通信の融合がいよいよ加速している。先日もテレビ受像機のネット接続による動画配信サービスの受信装置の仕様統一の話が新聞の記事になっていた。いよいよゴールに向けてハード・インフラ周りの準備は整いつつある。一方で2011年の地上アナログ波の停止も予定通り全国一斉に行う方向も再確認されたようである。後期高齢者の保険料天引き問題が先日も混乱を起こしているが、これは何年も前に決まっていたことが突然施行される混乱だ。ある日、テレビが全く見えなく混乱が突然3年で起こるわけだが、果たして色々な準備が整うものなのかどうか・・・?大事なのは、起こった後にどう収めるかの危機管理。やらないという選択肢は無いのだから。
 さて、この問題は業界の人にとっては今までのビジネスの線引きが変わるので大問題。何年か前に、この業界の重鎮の方がこの問題を捉えてこうコメントしていた。
「テレビでインターネットを使えたり、インターネットでテレビが見られるようになるのは、それぞれ独立した2つの機能やサービスがひとつの端末で使えるだけのこと。それぞれの原型が残っているので、つまり「ミックスサラダ」の状態。ところが、元の形が分からないくらいお互いが混ざり合うとこれが「ミックスジュース」になる。その状態が、全く今までにサービスが誕生する放送と通信の融合のゴールなのだと。

 ジャズの世界も全く同じ。その誕生から今の時代まで、ひたすら様々な音楽や文化と交わりあって、ミックスサラダとミックスジュースの状態を繰り返してきている。クロスオーバーとかフュージョンというのは結局、新しい配合のミックスジュースの種類が増えているということだろう。先日聴いた“Full Swing”も、昔の品種の割合を少し増やしたミックスジュースの新製品ということだったのだろう。
ところが、日常起こる違うジャンルのミュージシャン同士の共演というのは、ミックスサラダの状態。ところが、特徴あるサラダの素材だと他の素材の中に埋もれてしまうことなく、何とミックスしてもこの特徴ある素材の良さが生かされる。場合によっては、ミックスサラダなのに、相手の味と旨く交じり合ってミックスジュースのような新しい味わいを出すこともある。

 大分前置きが長くなったがこの特徴あるミックスサラダの素材としてカウントベイシーは天下一品だ。単独素材としても一種独特の味があり、十分美味しいものだが、これを素材としたミックスサラダは実に色々バリエーションがある。オーケストラで歌手の伴奏を努めたり、メンバーが何人かのグループで他のセッションに駆けつけたり。御大がいてもいなくとも、ベイシー風の味付けというものはどのような場合でもメンバーに引き継がれて美味しいミックスサラダができる。

 60年代に入ると、ジャズオーケストラもPOPSの世界とのミックスサラダやミックスジュースを作らなければならない状態になった。ベイシーだけなく、エリントンもクインシーも。このポピュラー化の路線は、硬派のジャズファンからは気嫌いされることもあったものだ。そのような時代のベイシーの一枚。
アランコープランドの率いるコーラスと組んだ一枚。オーケストラ全員ではなく、ピックアップメンバーで参加している。ジャズのアレンジをしていたアランコープランドが仕事で知り合ったシンガーを集めて作ったといわれるコーラスグループ。ソフトロック系のアルバムで有名だが、ここでは、キャンディーや、ガールトーク、そしてコールミーなどのスタンダードをベイシーサウンドに合わせて実に心地よいブレンドを聴かせてくれる。男6人・女性6人の分厚いハーモニーとベイシー率いるセプテット。イメージどおりのSwingin’とSingin’、両者の素材の味を生かしたミックスジュースの出来上がりだ。

1. Happiness
2. I Surrender , Dear
3. Oh, Lady Be Good
4. You Are My Sunshine
5. Until I Met You
6. Candy
7. Down By The Old Mill Stream
8. Fantastic, That’s You
9. One For My Baby
10. Girl Talk
11. Call Me

Produced by Bob Thiel and Teddy Reig

Count Basie (p)
Freddie Greene (g)
George Duvivier (b)
Eddie Shaughnessy (ds)
Roy Eldridge (tp)
Al Grey , Billy Byers (ts)
Eddie “Lock Jaw” Davis (ts)

Recorded June 20,21 and 22,1966

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「フルスイング」していいことはないかも?

2008-04-22 | MY FAVORITE ALBUM
The Good Times Are Back / Full Swing

「ノスタルジー」という言葉を日本では良く使う。これはフランス語で英語ではノスタルジアだ。日本語になった横文字の言葉は、実に多くの国の言葉から「輸入」されている。日本で世界中の料理が当たり前に食べられるように。良く、日本は島国の単一民族で、海外との交流が少ないように言われるが、実に雑多なものを日常生活に持ち込んでいるものだ。それも国民全体で。
 このノスタルジー、日本では望郷と訳されている。遠く離れた「故郷」の姿を思い浮かべることと同時に、昔の出来事を思い返す「懐古」の両方の意味があるようだ。

 コンコルドのアルバムを聴き返しているが、ちょうど今は1979年の作品だ。コンコルドレーベルが生まれたのが1973年。この頃のレーベルが生まれ育った背景には、ある種のノスタルジー文化が背景にあったのであろう。同じ頃デビューしたマンハッタントランスファーや、ポインターシスターズにも、このノスタルジーブームの影響が色濃く出ている。
このポインターシスターズをメインアーティストにしてプラネットという新たなレーベルを作ったのがリチャードペリー。1978年のことだ。このレーベルの特徴は、ポインターシスターズのスタイルに象徴されるように、ゴスペル、ロック、ジャズ、R&Bなどすべてのジャンルの要素の影響を受けていること、そして新しさの中に「ノスタルジー」を感じる何かがあることだった。

 ロレインフェザーがこのレーベルに”SWING”というアルバムを残したのが1981年。続けてもう一回、力を込めて一発狙いをしたのがこの“Full Swing”。路線は同じで、フェザーが詩を書いている新曲もあれば、セレネードインブルーのような古き良き名曲をグレンミラーのアレンジで。そしてエリントンのキャラバンをインスツルメントでとか多種多様。
古き良き時代の「良さ」と今の流行の「良さ」がジャンルを超えて「ごった煮」状態だ。たまに聴くと物珍しさもあって耳障りは悪くないのだが、あまり続けて聴くにもならないのがこのような企画だ。バックのメンバーも豪華だし、トムスコットのテナーも随所に登場しているし、アレンジも悪くはないのだが・・・・・?。
マントラや、Take6、そしてNew York Voicesが長続きしているのに対して、このグループは鳴かず飛ばずだったのかも。他にアルバムを持っていないし記憶の方も・・・?。
結局プラネットレーベルも長くは続かず、ポインターシスターズも別レーベルに移っていってしまったようだ。

 最近、日本の社会も最近色々な矛盾が表面化しているようだ。本来の日本文化の伝統を守りつつ雑多な文化を取り入れていたのが日本の強みであったはずだったのが。ところが最近は、大事な事を忘れて新しいことだけを取り込むことだけに労力を費やしている感が強い。何か、しっくり来ないものに無理に日本を合わせてしまったが故に色々な歪がでているのかも。古き良き時代を懐かしむだけでなく、古き良き時代を残す努力もしなければいけないと感じる今日この頃である。
ゴルフでも、ここ一番で“Full Swing”していい結果が出ることは少ない。
力の抜けた、軽いスイングがいい結果を残す。

1. Big Bucks
2. Trocadero Ballroom
3. Tweedlee Dee
4. Serenade in Blue
5. Caravan / Mirage
6. Let The Good Times Roll
7. Dancing in the Dark
8. The Closer I Get to You
9. The Right Idea
10. Crazy He Calls Me
11. Make Love To Me Baby

Full Swing
 Charlotte Crossley
 Lorraine Feather
 Steve March

Produced by Richard Perry


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輝いているのは「楽器」か「演奏」か?

2008-04-20 | CONCORD
Polished Brass / Warren Vaché

“磨かれた管楽器”とタイトルされたのが、ウォーレン・ヴァッシェのコンコルド2作目だ。前作のジュリアンが「実に美しい」という印象を受けていたので、当然「次は?」と期待がかかる。ジュリアンが、ピアノに管が加わった演奏だったのに対して、これはカルコリンズのギタートリオを従えた、ピアノレスのカルテットだ。
自然と、ジョージバーンズとルビーブラフの演奏が思い浮かぶ。ベースのブラフ&バーンズのグループで演奏をしていたベースのミシェルムーアも加わっているのでなお更だ。

 「ピンボケ」のヴァッシェの写真を見ると実に若い。最近の写真と較べると親子のようだが、当然ながら30年前なので無理も無い。自慢のコルネットの写真も、霞んで見えるので果たして輝いているのかどうか?
管楽器奏者の愛器を良く見ると2つのパターンがある。メッキも剥げた使い古したもの、そして磨き込まれたように光り輝くもの。どちらも、ミュージシャンにとっては自分の分身のようなものだ。特に、古い愛器を大事そうに抱えて、見かけとは違って輝く音を聴くと思わず、演奏するものの意思が楽器に伝わっていい音がしているようにも感じるから不思議だ。
 ミュージシャンにとって、どちらの楽器がお似合いかは人によって違う。メイナードファーガソンのようなタイプは、光り輝く派手な感じがする楽器が良く似合う。果たして、ヴァッシェはどちらのタイプであろうか。

 語りかけるようなヴァッシェのコルネットで始まるが、コリンズのギターのコンビネーションが実に素晴らしい。ピアノレスのせいもあるが、ヴァッシェの管への絡み方や、バックのとり方が鮮明に聴こえる。コリンズのギターはヴァッシェのバックというよりは、2人のデュオのように動き回る。ハナとムーアのバックは控えめで2人の介添え役に徹している。予想通り、ブラフとバーンズのコンビを思い起こさせる2人のコンビネーションだ。このような、掛け合いを最近はなかなか聴けなくなった。

 少し、トーンを落としたコルネットは、時にミュートを使い分け、そしてフリューゲルホーンを使い分けながら様々な音色を聴かせてくれる。でも、共通しているのはあたかも口で優しく語りかけるような奏法。これこそヴァッシェの特徴だ。電子楽器全盛になってきた頃、このような自然の音色を大事にした演奏はかえって新鮮に感じたものだ。
久々に聴いたが、このアルバムは結構いいかもしれない。この頃のコンコルドのアルバムでCD化されていないものも結構あるが、これもその内の一枚だ。
ヴァッシェのいぶし銀のような演奏には、光り輝く楽器は似合わないかもしれない。磨き抜かれていたのは彼の演奏の方だった。

1. I Hadn't Anyone Till You
2. It Might as Well Be Spring
3. My Melancholy Baby
4. Love Walked in
5. Close as Pages in a Book
6. It's Love in the Spring
7. Why Shouldn't I
8. Ida, Sweet as Apple Cider
9. If We Never Meet Again

Warren Vache (Cornet, Flugelhorn)
Cal Collins (g)
Michael Moore (b)
Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recorded at Soundmixers, New York City,N.Y., April 1979
Originally released on Concord CJ-98


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「思わぬ組み合わせの妙」が印象に残るアルバムだ・・・

2008-04-18 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Gypsy / Herb Geller & All Stars

ジャズの名盤が生まれるには、2つのパターンがある。
レギュラーグループによる演奏が進化し、ある時「沸点」を迎えたとき。
マイルス、コルトレーン、エバンス、そしてピーターソン・・・。
ジャズの歴史に残る多くの巨人の名盤は、こうして生まれてきた。

もうひとつは、アルバム作りのために選ばれた素材、曲であれメンバーであれ、そしてその録音が行われた状況も。特にライブの時など。この偶然の重なった組み合わせの妙で名盤が生まれることもある。
同じロンドンハウスのライブでも、ピーターソンは前者、サラヴォーンは後者であろう。

サラヴォーンのロンドンハウスのセッションに参加していたサドジョーンズは、当時カウントベイシーオーケストラのメンバーとしての活動がメインであったが、時々他のセッションに加わって、サド節のコルネットを聴かせてくれる。
このアルバムもその一枚。サラのアルバムへの参加の一年後1959年6月の作品だ。

ハーブゲラーをリーダーとしたアルバム。ちょっと見た目には地味なアルバムだが、よくよく見ると、色々な要素が組み合わさった特徴あるアルバムだ。

まずは、リーダーのハーブゲラー。
ウェストコースト派の名手の一人であったが、この録音の後アメリカを離れて活動の場をヨーロッパに移した。その後しばらくアメリカのジャズシーンでは見かけなくなったので、リーダーアルバムというとすぐには思い出せない。
もっとも、最近はまたアメリカに戻って活躍しているようであるが。

ジョーンズ兄弟が揃い踏み。
サドジョーンズだけでなく、長兄のハンク、そして末弟のエルビンも一緒に3人揃って参加している。
3人揃ってのセッションは沢山ありそうだが、これもすぐには思い出せない。これは、自分の勉強不足か。

ミュージカル「ジプシー」の作品集。
ミュージカルの素材を使ったジャズのアルバム作りは決して珍しくない。マイフェアレディーやウェストサイドストーリーのように。ところがこれらはミュージカル自体がヒットしてからが大部分。ところが、このアルバムはミュージカルの初演とほぼ期を同じくして制作されたそうだ。ヒットの予兆があったのか、それともゲラーが曲に惚れ込んだのか?

ベースがあのスコットラファロ。
どのような経緯でこのセッションに加わったかは分からないが、ビルエバンスのトリオに加わる直前のラファロのプレーが聴ける。ラファロをフィーチャーした曲もある、おまけという感じではない。

バーバラロングという歌手の参加。
その後、有名になった訳ではないが、彼女の初録音というおまけ付き。

このジプシーというミュージカルの曲も自分はあまり知らずに一曲目から聴き始めると。
バーバラのヴォーカルが最初からアップテンポで登場するが、どこかで聴いた曲。ジョイブライアンのコンテンポラリーのアルバムでよく聴いた曲だ。そして良くうたうゲラーのアルトにサドのコルネット。どちらも好きなタイプだ。ハンクのピアノは控えめだが、ベースのラファロは相変わらず図太い音と歯切れのよいテクニックを披露する。そしてこの手のアルバムのエルビンのドラミングはサトルなブラッシングとアップテンポのエルビン特有のパルスのようなビート感が心地よい。
ファラロとエルビンの組み合わせというのも、他にあったかどうか?

結論として、名盤という評価は受けているアルバムとはいえないが、なかなか聴き応えのある演奏だ。
自分としては、好きなサドジョーンズが参加しているのでCD化された時に買い求めたアルバムであるが、何か得をした気分になったアルバムだ。

1. Everything's Coming Up Roses
2. You'll Never Get Away from Me
3. Together
4. Little Lamb
5. Some People
6. Mama's Talking Soft
7. Cow Song
8. Small World

Herb Geller (as)
Thad Jones (cor)
Hank Jones (p) (1,3,5,6,8)
Billy Taylor (p) (7)
Scott LaFaro (b)
Elvin Jones (d)
Barbara Long (vol) (1,3,6,8)

Recorded in New York , June 9 & 10 1959

ジプシー(紙ジャケット仕様)
ハーブ・ゲラー,ババーラ・ロング,サド・ジョーンズ,ハンク・ジョーンズ,スコット・ラファロ,エルヴィン・ジョーンズ,ビリー・テイラー
ワーナーミュージック・ジャパン

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同じライブでも、“After Hour Session”は格別・・・・

2008-04-16 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
After Hours at the London House / Sarah Vaughan

サラヴォーンの初期のライブの名唄といわれているのが、“At Mister Kelly’s”。有名なクリフォードブラウンとの共演の後は、オーケストラをバックにした有名作曲家のSong Bookアルバムが多かった。これは久々にトリオをバックにしたもの。ライブでのリラックスしたサラの歌を収めたこのアルバムはジャズファン必携の名盤の一枚であろう。
当然これに続く第2作があっても不思議ではない。前作の翌年の1958年3月この企画が実行された。

この日、サラは同じMister Kelly’sに出演していた。ここで3回のステージを終えた後、彼女が駆けつけたのが“London House”。そう、ピーターソンのアルバムで有名なロンドンハウスだ。この日のロンドンハウスの出演者はカーメンキャバレロ。彼もここで自分のステージを終えた後、駆けつけたサラを紹介してステージが始まる。時間はすでに午前2:30を過ぎていた。
このステージはいわゆるアフターアワーセッション。それが収められたのがこのアルバムで、そのままタイトルにもなっている。
このアフターアワーセッション。一仕事終えたミュージシャンと、一般のお客というよりはこだわりを持ったファンが集うことが多く、よりリラックスした雰囲気で、アットホームな演奏になることが多い。このアルバムでも、聴衆はそのような面々であったようだ。

彼女のバックを努めるのは、一年前のアルバムと較べるとピアノがジミージョーンズからロンネルブライトに代わっているが、ベースのリチャードデイビスとドラムのロイヘインズは同じだ。
このトリオに加えてロンドンハウスの狭いステージには同じシカゴにいたのであろう、カウントベイシーオーケストラから素晴らしいメンバーが飛び入りで加わっている。
その中にはサドジョーンズの名前もある。
サドジョーンズは、ベイシーオーケストラの重鎮として、丁度”Basie(atomic)”とか、“Plays Hefti”
といった名作に参加していた頃だ。そして、ベイシーのオーケストラ以外でも”Jones Boys
“といったアルバムなども制作して活動の幅を広げていた。
アレンジャーとしてのサドではなく、プレーヤーとしてのサドジョーンズを色々な形で楽
しめる頃である。このサラのバックも実に秀逸だ。アフターアワーズのジャムセッショ
ンと思えないほど、しっくりとした的を得たバック&ソロを聴かせてくれる。

サド・メルのオーケストラで一緒になった、サドとリチャードデイビスの出会いも、ひょ
っとしたらこのセッションだったのかもしれない。
最後の“Thanks for the Memory”でのミスも、アフターアワーズならではの愛嬌。サラの
歌は前作にも増してリラックスしてステージを盛り上げている。
ピーターソンの演奏といい、このサラのアルバムといい、「ロンドンハウス」というところ
はミュージシャンをリラックスさせる不思議な魅力があるのかもしれない。

1. Like Someone in Love            Burke, VanHeusen 3:37
2. Detour Ahead                Carter, Ellis, Frigo 5:28
3. Three Little Words             Kalmar, Ruby 3:40
4. I'll String Along with You         Dubin, Warren 5:15
5. You'd Be So Nice to Come Home To      Porter 4:00
6. Speak Low                 Nash, Weill 4:51
7. All of You                 Porter 4:15
8. Thanks for the Memory           Rainger, Robin 6:58


Ken Druker Executive Producer
Jack Tracy Liner Notes, Supervisor

Sarah Vaughan (Vocals)
Frank Wess (ts)
Henry Coker (tb)
Wendell Culley (tp)
Thad Jones (tp)
Ronnell Bright (p)
Richard David (b)
Roy Haynes (ds)

Recorded live at the London House, Chicago, March 7 1958

After Hours at the London House
Sarah Vaughan
Verve

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暗いBLUEな雰囲気でブルースを聴かせてくれると思いきや・・・

2008-04-15 | CONCORD
Cal Collins / Blues On My Mind

ジャズというとブルースがつき物。ブルーな気分というのは憂鬱で気分が優れないという意味。どちらにしても、少し暗い雰囲気が漂う。
一方で、南の国の青空や海のブルーは明るいイメージ。同じブルーでもお国柄が出る。
自分はブルーが好きな色だが、暖色系に無いクールな清清しさを感じる。
このアルバムの表紙は「ブルー」を基調としたデザイン。ちょっと見た感じは明るい印象を受けるブルーだ。
果たして、カルコリンズの感じるブルーとはどんなイメージであったのであろうか。

コリンズは、この頃(1979年)はすっかりConcordのスターになって色々なアルバムに顔を出していた。これはコリンズのリーダーアルバムとしては3作目。ピアノトリオを従えて、コリンズのギターが主役である。
タイトルのブルース・オン・マイマインド。いきなり一曲目がこの曲だ。
コリンズのオリジナルブルースで、ミディアムテンポのブルースだ。南部の泥臭いブルースと較べるとコリンズの故郷であるシンシナティーの香りがするような、軽いノリのブルースだ。ダークブルーの暗い感じのブルーとは違い、ジャケットの色合いどおりの明るい感じのブルースで始まる。
続けてブルースが続くかと思うと、肩すかしを食らう。
その後は、スタンダード曲を中心に小気味よいコリンズ節が続く。

メンバーを見ると、お初に登場のピアニストがいる。どこかで見かけた名前だと思ったら、ジョンヘンドリックスのヨーロッパでの録音「CLOUDBURST」でスインギーなピアノのバックを努めていたピアニストだ。バルカン半島出身のピアニストだが、アメリカへ進出してきたのであろう。コリンズのギターとは実に相性の合うピアノを聴かせてくれる。
コリンズのイメージするブルーがメンバー全員に行き渡り、ブルースではなくとも実に”Bluesy“な味のある演奏だ。ハードバップでもなく、ウェストコーストサウンドでもない。

1. Blues on My Mind             Collins 5:39
2. Imagination                 Burke, VanHeusen 4:30
3. Softly, As in a Morning Sunrise     Hammerstein, Romberg 4:56
4. I Love You, Samantha           Porter 5:27
5. Marie                     Berlin 2:51
6. Dream a Little Dream of Me       Andre, Kahn, Schwandt 6:12
7. My Melancholy Baby            Burnett, Norton 3:32
8. Ruby                     Parish, Roemheld 6:02

Cal Collins (g)
Larry Vuckovich (p)
Bob Maize (b)
Jeff Hamilton (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recorded at Coasts Recorders , San Francisco , CA, April 1979
Originally released on Concord CJ-95

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自分にとってスイングするピアノトリオの原点は・・

2008-04-14 | MY FAVORITE ALBUM
The Sound of The Trio / Oscar Peterson

週末泊りがけで、会社の仲間と温泉&ゴルフに出かけた。
場所は、映画「フラガール」で有名になった場所。昔から元々ハワイアンセンターと言われて有名であったが訪れたのは初めて。後輩達の立てた企画にあまり期待せずに付き合ったがこれが予想外に楽しめた。
結構人も多く混み合っていて根強い人気があるようだ。オペレーションもしっかりしていて気持ち良く過ごせた。おまけに、東京駅からバスの送迎付きで行き帰りも楽だし価格も割安でこれも文句の付けようがない。
ゴルフの行き帰りの運転も最近は億劫になってきたし。アスリートゴルフを自認してきたが、最近は競技志向も影を潜めてきたので、この手の企画に誘われると今後は参加する機会が増えそうだ。

さて、マッケンナのピアノのソロの後は、やはりピアノトリオの真髄を。それもスイング感溢れてとなるとピーターソンだ。
ジャズを聴き始めた時に右も左も分からない中、ピアノトリオで気にいったアルバムが2枚あった。一枚がこのアルバム。もう一枚がビルエバンスのビレッジヴァンガード。好対照の2枚であるが共通する点はライブ演奏だったこと。そして、どちらも食器の触れ合う音に混じって、楽器と演奏そのものの生々しさがどちらも肌感覚で感じられたのが凄く印象に残っている。

先日聴いた”Very Tall”の録音を挟んでその前後に行われたのが有名なLondon Houseのライブ。London Houseのライブは何枚かあるが、ちょうどVery Tallと録音時期が同じなのがこのアルバムに収録されているのがこのアルバムだ。
Very Tallと並んで名盤と言われているのも、シグペンを加えたトリオの演奏がちょうど脂がのってきていた時期だったからであろう。それも、ライブ演奏を連続して録音したものなので好演奏が行われる条件は整っていた。

どちらかというと最近ますますマイナーなアルバムをこだわりを持って聴く事が多くなっている。しかし、名盤といわれるアルバムを聞き返すと、やはり名盤といわれる重みを感じる。ハワイアンセンターではないが、根強い人気があるということはいつになっても誰もがその良さを感じる魅力があるということだ。

1. Tricrotism
2. On Green Dolphin Street
3. Thag's Dance
4. Ill Wind
5. Kadota's Blues

Oscar Peterson (p)
Ray Brown (b)
Ed Thigpen (ds)

Produced by Jim Davis

Recorded Live at the London House , Chicago , August 20,25 &October, 1961
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左手のリードが、よりよい”Swing”を生む

2008-04-11 | CONCORD
Giant Strides / Dave Mackenna

良いスイングをするにはバランスが大事だ。
力を抜いて重心を低くし、右腰に乗りながら肩を回し、トップから「左手リード」で体の軸で回転する。
これができると、不思議なくらいテンポ良く絶妙のリズムで体重移動ができて真っ直ぐなボールが空高く飛んでいく。
これは、ゴルフの基本だ。

ジャズピアノの基本も左手の使い方が命だと思う。
ピアノがリズムセクション一員からメロディーを奏でる役割になった時、右手がだんだん主役になっていった。もちろん左手のアクセントは重要だが、左手がリードしていたリズム、そしてジャズ特有のビートはベースやドラムに果たしてもらうことが多くなった。
ところが、ベースやドラムのリズムが居なくなり、ましてピアノ一人でソロを弾く事になると、俄然この左手の使い方が重要になってくる。
この前に聴いた”No Base Hit”がまさにそのようなアルバムだ。
マッケンナ、ハミルトン、ハナが対等のような印象を受けるが、改めて聴き直して見るとこれはやはりマッケンナが主役のアルバムだろう。よく見るとボールの名前の順序もそうなっている。

このマッケンナが、前作に続いて今度はソロプレーを繰り広げている。スタンダード中心に、自作のブルースも。
“Giant Strides”のタイトルどおり、左のリズムの利いたストライドピアノをたっぷり聴かせてくれる。低音域を流れるように駆け巡る左手の動きから繰り出されるリズムは”Giant”にふさわしい。絶妙のビート感と迫力だ。アップテンポはもちろんのこと、スローな曲でもスイング感が生きているところが本物だ。

Saloon Pianoといわれる世界があるそうだ。よくカクテルラウンジのような所で、ソロピアノをやっている。大体は、スローなバラード主体でロマンチックな雰囲気に良く似合う演奏だ。カクテルピアノともいわれるものだ。
このマッケンナも、そのSaloon Pianoの世界での演奏暦が長かったそうだ。それ故、ソロピアノはお手の物なのであろう。このリズム感だと会場の雰囲気も曲によっては一変したであろう。左手リードの鋭いスイング感で。

1. If Dreams Come True          Goodman, Mills, Sampson 3:36
2. Yardbird Suite               Parker 2:53
3. Windsong                  Wilber 2:45
4. Dave's Blues                McKenna 6:05
5. I've Got the World on a String     Arlen, Koehler 4:53
6. Love Letters                Heyman, Young 3:12
7. Cherry                    Gilbert, Redman 5:03
8. Lulu's Back in Town            Dubin, Warren 4:48
9. Walkin' My Baby Back Home       Ahlert, Turk 4:51
10. The Underdog               Cohn, Frishberg 3:58

Dave McKenna (p)

Produced by Frank Domitie
Recorded at Coast Recordings , San Francisco , CA May 1979
Originally released on Concord CJ-99

Giant Strides
Dave McKenna
Concord Jazz

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ジャズはベースラインが大事。たとえベースが無くとも。

2008-04-10 | CONCORD
No Bass Hit / Dave Mckenna - Scott Hamilton – Jake Hanna

子供の頃の楽しみはもっぱら野球だった。学生時代は自分でも野球をやっていたし、見るもの好きでテレビの野球はつけっ放し。野球場へもよく足を運んだものだ。
それに引き換え、今では好きなチームのスタメンの名前も言えなし、順位も分からない。テレビで野球を見ることも皆無に等しい。ニュースで聞くのは大リーグの話題ばかり。
時代が変わっただけでなく、自分自身の興味の対象も大きく変わった。

というものの、野球には親しみを感じるので、このようなジャケットは中身に関係なく嬉しい気分になる。
タイトルは”No Bass Hit”。
中身を良く表している。コンコルドにしては、少し洒落っ気があるジャケットだ。
似たような演奏が似たようなジャケットに収まっていると、ジャケットを見ただけでは中身もよく分からなくなってしまう。
しかし、このような特徴があるデザインだと記憶にも残りやすいし、中身もしばらく聴いていなくてもしっかりイメージが沸く。ジャケットは大事だ。

タイトルどおりの「ベースレス」のトリオ演奏。珍しい組み合わせだが、この編成はベニーグッドマンのトリオを思い浮かべる。今回はクラリネットではなく、ハミルトンのテナーだ。
ベースが無いとリズムをキープするのにドラムも大事だが、ピアノの左手の使い方が一番肝心だろう。
Take6でも、声で作り出すベースラインがコーラス全体のリズム感を生み出すのに実に有効であったが今回はピアノの左手だ。
左手のベースラインを旨く弾けるピアニスト。これがベースレスには欠かせないが、今回の主役はデイブマッケンナ。

Concordに20枚近くアルバムを残している常連の一人だが、実はこのアルバムがConcord
へ初登場だった。マッケンナの特徴を生かすためにも、ベースレスにしたとも思えるほど、左手の使い方が流れるように美しく。そしてパワフルだ。モダンジャズの時代になってピアノの奏法が大きく変わったが、このようなスイングタイプのピアノも魅力的だ。
それに、テナーのハミルトンがこのような奏法にはピッタリお似合いだ。
このアルバムの雰囲気がすっかり気に入ってしまったのか、マッケンナもCocnordの水に馴染んでしまった一人になった。

1. But Not for Me              Gershwin, Gershwin 4:56
2. If Dreams Come True           Goodman, Mills, Sampson 3:48
3. Long Ago (And Far Away)         Gershwin, Kern 3:48
4. Drum Boogie                Eldridge, Krupa 6:54
5. I Love You, Samantha             Porter 5:48
6. I'm Gonna Sit Right Down (And Write Myself a Letter)Ahlert,Young6:05
7. Easy to Love            Porter 5:22
8. Get Happy              Arlen, Koehler 4:10

Carl Jefferson Producer

Scott Hamilton (ts)
Dave McKenna (p)
Jake Hanna (ds)

Recorded at Normandy Studio , Warren, R.I. March 1979
Originally released on Concord CJ-97

No Bass Hit
Dave McKenna
Concord Jazz

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NewYorkからAOYAMAへ・・・・Blue Noteを移ってみれば

2008-04-09 | MY FAVORITE ALBUM
So Much 2 Say / Take 6

ヘンドリックスの”BOPIN’”でコーラスづいたという訳でもないが、コーラスが続く。
アカペラの6人組“Take6”だ。というのも、彼らは只今来日中。
ニューヨークのBlue Noteではなく、「青山のBlue Note」に一昨日から出演している。
ということで、昨日、雨も収まった中足を運んでみた。客席はほぼ満席。相変わらず人気は高いようだ。

Take6が生まれたのは80年代の後半。すでに20年近く経つ。若いと思ったメンバーも、そこそこ「オヤジ風」に。結構な年になっている。結成当時のゴスペル、ドゥワップ調から、ハーモニーを生かしたバラード、そして最新作からのジャズのスタンダード(Just in timeは秀逸だった)まで、益々多彩になっていた。生で聴くその歌声は一段と円熟味を増している。アカペラは、一時日本でも流行ったが、やはり究極のコーラスの技であろう。

特にジャズの場合は、ハーモニーの美しさだけでなく、リズム感をどう作り出すかが課題だ。ハーモニーを維持しつつ、ベースラインやリズムをコーラスで作り出すにはそれなりの人数が必要だ。その点では6人組はメリットがある。
その昔、Singers Unlimitedeというアカペラコーラスグループがあったが、こちらは多重録音を多用したレコーディングアーティストであったのに対して、こちらのTake6は立派にライブにも耐えられるグループ。ジャズはやはりライブで聴けるグループでないと。

生を聴いた直後の印象が薄れないうちにCDで聴き返した。
アルバムは少し古いもの。彼らの第2作目だ。やはり最近のアルバムと較べると多少古さを感じるが、反対に彼らの「原点はここにあり」という感じだ。
ステージの彼らは。CDで聴く以上にアクティブであり、アクションを含めて躍動感がある。
新しいアルバムはジャズの名曲集だそうだ。注目してみよう。

1. Not Again! ?                         :17
2. So Much 2 Say               Dent, Warren 1:09
3. Human Body                          :15
4. I L-O-V-E U               Kibble, Warren 4:18
5. Something Within Me           Public Domain 3:36
6. Time After Time (The Savior Is Waiting)  Carmichael 4:09
7. Come Unto Me                   Dawson 3:31
8. Pre-Prise: I'm on My Way                 :33
9. I Believe                  Kibble, Winans 4:03
10. Sunday's on the Way               Carman 6:12
11. I'm on My Way               Public Domain 4:12
12. That's the Law                         :38
13. Where Do the Children Play?   McKnight, Thomas 4:17

Take 6

Alvin Chea
Cedric Dent
Mervyn Warren
David Thomas
Claude V. McKnight III
Mark Kibble


So Much 2 Say
TAKE 6
Warner Alliance

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