A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

クインシー・ジョーンズオーケストラの原点は・・・

2013-11-28 | MY FAVORITE ALBUM
The Big Band in Concert 1957/1958 / Harry Arnold

今年の印象に残ったイベントのひとつはクインシー・ジョーンズの来日であった。
32年ぶりだったそうだ。前回の来日コンサートにも行ったが、それから32年経ったとは改めて月日の経つのが早いことを実感する。
今回は80歳の記念ライブでもあったが、自分がクインシーを知ったのは高校の頃。ビッグバンドリーダーとして、そしてアレンジャーとしてのクインシーであった、長い付き合いである。
その後ブラックコンテンポラリーミュージックの旗頭として現在に至るが、息の長い活動暦、そして幅広い活動領域は間違いなくジャズジャイアンツの一人である。



記念ライブは1部、2部で4時間を越える長丁場で、これも一ミュージシャンのコンサートとしては前代未聞。舞台に登場したミュージシャンも世界中から一体何人集まったのであろう。
バラエティーに富んだプログラムは楽しめるものであったが、自分の興味はやはりクインシーオーケストラの再演であった。お馴染みのエアメイルスペシャルで始まり、A&M時代の曲まで何曲かが披露されたが全体のプログラムの中ではほんの一部、物足りなさを感じたのも事実であった。
これは、参加したミュージシャンにとっても同じ気持ちだったのかもしれない。

そこで、参加したミュージシャンが今回集まった仲間で再演をする企画を立てた
トランペットの小林正弘を中心に当日参加した若手が集まって、「感動を再び再現」という趣旨でQuincy Jones Nightと銘打ったライブが先日Blues Alleyで開催された。
この夜は1部、2部ともたっぷりクインシーのビッグバンドの世界を堪能できたが、客席はいつものビッグバンドファンの年齢層とは異なり若者中心。30年前に自分が楽しんだサウンドを今の若者達が聴いていると思うとこれも嬉しかった。客席の後ろには原信夫氏の姿も、原さんもきっと同じ思いであったと思う。
今回を第一回としてまた企画して欲しいものだ。

このクインシーとビッグバンドの関係というと、ライオネル・ハンプトン、ディジー・ガレスピーのオーケストラを経て、クインシーが1957年にパリに留学をしたのが大きなターニングポイントであった。それまでもトランペットの演奏だけでなく、色々なバンドにアレンジを提供していたが、この留学を経てクインシーのアレンジは大きく飛躍を遂げ、自分のオーケストラの編成に繋がっていった。

ヨーロッパに滞在していたクインシーに、スウェーデンのハリー・アーノルドから声が掛かった。クインシーとスウェーデンのつながりは古い。駆け出しの頃、ライオネルハンプトンのオーケストラに加わって、クリフォードブラウンやアートファーマーと並んでヨーロッパを巡演していたクインシーはスウェーデンでアルバムを残している。スウェーデンという地は自分のキャリアで忘れることのできない場所のひとつであったのだろう。

クインシーのオーケストラでも有名な曲の多くはこの頃生まれ、そしてこのアーノルドのオーケストラによって演奏されている。
このアルバムに収録されているのは、4月28日のコンサートホールでのライブの模様だが、この前後にスタジオでの収録も行われており、別のアルバムに収められている。という意味では、スタジオ録音を終えた記念ライブといってもいいかもしれない。

この日のコンサートは後になっても語り継がれたようだが、チェロキーに始まりアーノルド曲が続いて、”Have You Met Quincy Jones”でクインシーがいよいよ登場する。
その後はクインシーの指揮によるクインシーのアレンジが4曲。どれも後のクインシーレパートリーのお披露目だ。パリの留学を経て、翌年自らビッグバンドを立ち上げるきっかけとなったのがこのコンサートであったと思う。

このアルバムは、ハリーアーノルドオーケストラのコンサートライブを集めたもので、自己のオーケストラに加えて、クラリネットのトニー・スコットとの共演ライブの模様も収められている。スタンダード曲をモダンなアプローチで自己のアレンジしたビッグバンドをバックにモダンなタッチでクラリネットを操るスコットの演奏を、先日紹介したエバンスのアルバムと比較するのも面白い。2年間での大きなスタイルの変化が伺える。

このハリー・アーノルドは当時地元スウェーデンのラジオ局専属のオーケストラであった。60年代に入って放送や映画で使う音楽も変化しアーノルドは専属を離れたがスウェーデンを拠点にヨーロッパの色々な放送局の仕事をしばらくこなしていたようだ。

1. Stand By
2. Six-Ten
3. Lullaby of Birdland
4. Stardust
5. The Moon Walks
6. A Night in Tunisia
7. Frantic Blues
8. Prelude To A Kiss
9. Cherokee
10. Kinda Blues
11. Brief Encounter
12. Indian Summer
13. Have You Met Quincy Jones
14. Room 608
15. Count’em
16. The Midnight Sun Never Sets
17. Meet Benny Bailey

Tony Scott (cl)
Sixten Eriksson, Arnold Johansson, Weine Renliden, Bengt-Arne Wallin (tp)
Benny Bailey (tp) <9-17>
Gordon Ohlsson, Ake Persson, Andreas Skjold, George Vernon (tb)
Rolf Backman, Rolf Lindell <1-6>(as)
Bjarne Nerem (ts),Rolf Blomqvist (ts, fl)
Lennart Jansson <1-6>, Johny Ekh <7-12>, Rune Falk <13-17> (bs)
Bengt Hallberg (p)
Bengt Hogberg <1-6>, Rolf Berg <7-12> (g)
Simon Brehm <1-12>, Larsse Pettersson <13-17> (b)
Egil Johansen (d)

Quincy Jones (arr)
Harry Arnold (dir.arr)
Goeta Theselius (arr)
Tonny Scott (arr)
Eddie sauter (arr)
Bengt Hallberg (arr)

Recorded
at Karlaplan Studio, Stockholm, Feb.19,1957 <1-6>
at The Concert Hall,Gothenburg, April 10,1958 <7-8>
at The Concert Hal, l Stockholm, Sweden, April 28,1958 <9-17>


Big Band in Concert 1957-58
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Dragon
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もうひとつのMoanin’・・・・

2013-11-24 | PEPPER ADAMS
Blues & Roots / Charles Mingus

モダンジャズの入門盤として有名なアルバムの一枚としてアート・ブレーキーのMornin’がある。古今東西を問わずまずはこのアルバムを聴いてジャズ入門をした人は多いだろう。
ハードバップからファンキー時代の代表作のひとつだ。そして、この雰囲気がジャズの、そして昔のジャズ喫茶の雰囲気の代名詞そのものだった。

ペッパーアダムスの参加しているアルバムを追いかけていると、Mornin’が生まれた1958年ハードバップやウェストコーストジャズの全盛期(成熟期?)に量産された多くのアルバムに交じって、新しい時代のジャズを予見させるようなアルバムもあれば、反対にジャズの原点を改めて問うようなアルバムも散見される。アダムスが加わったアルバムでも、ダグ・ワトキンスのRootsブルーススインガーズというアルバムがあった。

アダムスにとっては1959年の年明け早々チェットベイカーとのセッションが続き、モンクの2月のコンサートのリハーサルが始まるという多忙な中、2月3日から連続して4日間レコーディングが続く。そのような中、アダムスはまた大物のあるアルバムに参加している。チャーリーミンガスのBlues & Rootsだ。ちょうど真ん中の4日にこのアルバムが収録されている。

ミンガスはモンクと並んで特徴あるプレーヤーだ。時には変人扱いされることも共通点があるが、確かにメインストリームのジャズの流れとは一筋違う活動をしていた。世の流行事には我関せずで、独自の主張、世界を守り通す人物はいつの時代にもいるものだが。自分はモンク同様、あまり深くは聴いてこなかったプレーヤーの一人だ。
自分も最近トラッド系を聴き返すようになって、今更ながら改めてジャズの原点に興味を持つようになった。そうしてこのアルバムを聴き返すと実に新鮮な感じがする。

ミンガス自身、ルイアームストロングとも共演し、パーカーやガレスピーともバップムーブメントに参加し、レッド・ノーボのグループに参加するなど表面的にはスタイルにこだわらずに何でもこなすプレーヤーに見える。しかし、デューク・エリントンを尊敬し自己の世界を作っていった背景は、常にジャズのオリジンに対する拘りだったに違いない。

ソロ中心にジャズが移行していく中で、グループによるアンサンブルワークとグループインプロビゼーションの組み合わせの妙を突き詰めていくのはトラッドジャズの伝統そのもの発展系にも思える。これはミンガスビッグバンドにも引き継がれているが、ミンガスの曲を味わうにはラージアンサンブルが不可欠なのかもしれない。
演奏スタイルだけでなく、黒人差別に反対して白人嫌いを標榜していたようだがこれもジャズはあくまでも黒人音楽だという主張の現れのようだ。奥さんも白人、メンバーにはジミーネッパーやペッパーアダムスなどの白人を起用したということは、主義主張を通すためには多少ポーズも必要だったのか。

ブルースとジャズのルーツに拘ったこのアルバムのミンガスワールドはそれぞれの曲で十分楽しめるが、ペッパーアダムスがイントロから活躍するのはMornin’。ブレーキーのモーニンも覚えやすい曲だが、この曲も一度聴くと忘れない曲だ。My Jelly Roll soulでは、ミンガスのベースがフィーチャーされているが、昔ながらのスラップ奏法も聴ける。

それにしても、アダムスというプレーヤーはチェットベイカーとのセッションを続けながら、いきなりこのような演奏に飛び込んでもよく違和感なく演奏できるものだと思う。
アダムスとミンガスの出会いはミンガスがライオネルハンプトンのグループに加わってデトロイに来た時だそうだ。その後も付き合いが続き、アダムスが西海岸からニューヨークに戻った時もミンガスのセッションに参加している。
2人の間には長い付き合いの信頼関係があったのであろう。黒人白人は関係なくミンガスミュージックの良き理解者としての。




1. Wednesday Night Prayer Meeting  5:43
2. Cryin' Blues       5:02
3. Moanin'       8:02
4. Tensions       6:30
5. My Jelly Roll Soul   6:50
6. E's Flat Ah's Flat Too      6:42

Willie Dennis (tb)
Jimmy Knepper (tb)
Booker Ervin (ts)
John Handy (as)
Pepper Adams (bs)
Jackie McLean (as)
Charles Mingus (b)
Horace Parlan (p)
Mal Waldron (p)
Dannie Richmond (ds)

Composed by Charles Mingus
Produced by Nesuhi Ertegun
Tom Dowd : Engineer

Recorded at Atlantic Studio, New York on February 4,1959



Blues & Roots
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Atlantic / Wea
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兄弟に捧げたお気に入りの曲はThad Jonesのラストレコーディングにも・・・

2013-11-22 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Three and One / Thad Jones

昨晩、高校時代のジャズ好き集まった。サドメルの初来日の演奏を一緒に聴いた仲間だ。
皆仕事も第一線を退き時間ができたので、最近は良く会う。皆で集まるのも今年で4回目、稲垣貴庸のビッグバンドを聴きながら早めの忘年会となった。
ところがいつものメンバーから一人減ってしまった。夏に会った時には元気にしていたのだが、急にがんを発症して下半身が不自由になってしまい出かけることもままならぬ状態とか。この年になると体のあちこちにガタがくるのは止むを得ないが、それにしてもあの元気なT君がという思いである。

ジョーンズ兄弟が揃って初めて吹き込んだアルバムは”Keepin' Up With The Jones”
その中に、ジョーンズの作曲したThree and Oneという曲がある。時によってThree in Oneと呼ばれることもあるが基本的に同じ曲のようである。

3人兄弟にベースがひとり加わってというのが曲の意味の様だが、この曲は自分が作曲した数ある曲の中でもサド・ジョーンズ本人のお気に入りなのか、ビッグバンド用にもアレンジされ、サドメルの立ち上げ時からレパートリーに加えられデビューアルバムにも収められている

さらに、サド・ジョーンズと親交が深かったアダムストミーフラナガンなど友人達によっても演奏されているので、スタンダードとなったサドの代表曲のひとつだろう。

デビューアルバムだけではなく、晩年のこのアルバムでもこの曲をアルバムタイトルにしてサド自身のワンホーン演奏で残されている。それも晩年多用していたフリューゲルホーンを置いてコルネット一本で。曲も自作の曲はこれ以外に一曲、後はスタンダードを取り上げている。晩年はハンドリーダー、そして作編曲家として有名になってしまったが、このアルバム作りでは、プレーヤーとしての自分に何か想いがあったのかもしれない。

サドはサドメルのオーケストラを抜けた後は。デンマークを拠点としていたが、コペンハーゲンのレーベルステープルチェイスでこのアルバムは作られた。サド・ジョーンズが亡くなったのは1986年。このアルバムが吹き込まれたのは1984年の10月、亡くなる2年前であり、コンボでそしてリーダーとしてはラストレコーディングとなる。

ピアノトリオをバックに思う存分プレーを繰り広げる様は、デビュー当時の溌剌とした演奏を思い起こさせる。中でもタイトル曲のThree and Oneでの力強い演奏は圧巻だ。
ドラムスにはエド・シグペンが加わっており、ジョーンズを支えるバックとしても強力だ。

サドはこの後、カウントベイシーオーケストラに復帰するが体調を崩し、リーダーをフランクフォスターに譲って療養生活に入る。その点でも元気なサドの演奏をタップリ聴けるのはこのアルバムのプレーが最後になってしまう。
あの元気にオーケストラを指揮していたサド・ジョーンズが亡くなったのは63歳、今の自分と同じ年の頃。昨日の友人の話が脳裏に思い浮かぶ。

作曲家として、リーダーとして、そしてプレーヤーとしてのサド・ジョーンズが集約された置き土産が、このアルバムの”Three and One”のような気がする。


1. Instant Blues Disinstant           Thad Jones 5:27
2. My One and Only Love     Robert Mellin / Guy Wood 8:01
3. But Not for Me      George Gershwin / Ira Gershwin 8:11
4. Night Mist Blues              Ahmad Jamal 5:38
5. My Romance        Lorenz Hart / Richard Rodgers 6:39
6. Three and One                Thad Jones 8:56
7. But Not for Me      George Gershwin / Ira Gershwin 10:18
8. Instant Blues Disinstant            Thad Jones 5:26

Thad Jones (cor)
Ole Kock Hansen (p)
Jesper Lundgaard (b)
Ed Thigpen (ds)

Produced by Nils Winther
Recording Engineer : Thomas Brekling
Recorded October 4, 1984


Three & One
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Steeplechase
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リーダーとしてのデビューは奥手だったが・・・

2013-11-21 | CONCORD
Indiana / The Jeff Hamilton Quintet

今年の夏は大物ドラマーの来日が多かったように思う。というよりも自分のお気に入りのドラマーが相次いで来日したというのが正しいかも。

JATPにはジェフ・ハミルトンがいた。バディー・リッチビッグバンドにはゲストでピーター・アースキンが加わっていた。そしてベイシーオーケストラには久々にブッチー・マイスルが。
皆さんしばらく見ていなかったらすっかり風格がある風貌になっていたが、自分もそれなりに歳をとったのだから当たり前なのだ・・。

JATPオールスターズは少し期待はずれであったが、ドラムのジェフ・ハミルトンはトリオで、そしてハリー・アレンのバックで相変わらず素晴らしいトラミイングを聴かせてくれた。このハミルトンも若いと思っていたが来年で還暦を迎える。すでに大ベテラン長老組の仲間入りをしていたということになる。

Concordレコードの初期、ドラムといえばジェイク・ハナがレギュラーメンバーであったが、このハミルトンがいつの間にかレギュラーの座に加わった。
ハミルトンはビッグバンドでも、コンボでも、ピアノトリオでもボーカルのバックでもオールマイティー、経歴を振り返るとインディアナ大学を出るとすぐにドミー・ドーシーオーケストラに加わる。そしてライオネルハンプトンと、デビュー当時から「爺殺し」の大役を務めている。

その後、モンティー・アレキサンダートリオの一員として、ウディーハーマンオーケストラに加わる一方でシェリーマンの後釜としてLA4への参加で一躍有名になった。
LA4への加入はレイブラウンの強い推しがあったという。当然ジェファーソンの目にもとまりコンコルドレーベルへの登場も多くなっていった。

ところがジェフ・ハミルトンのリーダーアルバムはというとすぐには思い出せない。サイドメンとしての活躍は広範囲であったが、リーダーとしては奥手であった。
74年のデビューから8年、1982年になってConcordに吹き込んだこのアルバムが初のリーダーアルバムのようだ。それまでの活躍と比較すると大分遅れてのリーダー作となった。

彼のデビュー作に付き合ったのは、サックスがベテランの2人。ハミルトンよりはひとまわり以上年上。どちらもロスのスタジオミュージシャンとしては一流、西海岸のビッグバンドには良く登場するモーガンクーパーだ。

ベースは、その後コンビを組むことになるクレイトンブラザースの片割れジョン・クレイトン。レイブラウン張りの図太いベースが良く合う。
ハミルトンとはインディアナ大学の同窓生、学生時代からの仲だそうなのでお互い気心の通い合う間柄。このアルバムお互い曲やアレンジを提供し合い、2人のコンビのデビューアルバムといってもいい程だ。そしてボーカルのマークマーフィーが華を添える。

ドラマーがリーダーとなると、アルバム作りもライブでもショーケースとしてドラムソロが良く入るが、このアルバムでは名脇役のハミルトンらしく、彼のドラミングの手数の多さと素晴らしさは各曲の中に上手く織り込まれている。
最初の曲での小気味よいシンバルワーク、そして続くガールトークでのブラッシングを聴いただけで素晴らしさが伝わってくる。彼が影響を受けたドラマーとしてまずはメルルイスを挙げている。ビッグバンドでもコンボでもこなし、派手さは無いが小気味良さを感じるのはこの辺りがハミルトンの原点なのかもしれない。

その後、ハミルトンのリーダー作は90年代まで無い。
長く活躍し、その間参加しているアルバムの数も半端ではないが、あまり自ら派手に表舞台に立つのは不得手のようだ。ドラミングと同様。どうやらこのアルバムもCD化されていないようだ。

1. It's You or No One
2. Girl Talk
3. 2nd Street Samba
4. Jeff's Express
5. Split Season Blues
6. Indiana
7. Jeff Hamilton
8. Long John

Jeff Hamilton (ds)
Bob Cooper (ts)
Lanny Morgan (as)
J.T."Biff" Hannon (p)
John Clayton (b)
Mark Murphy (vol)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer : Phil Edwards
Recorded at Coast Recorders, San Francisco California on January 1982
Originally released on Concord CJ-187
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ヒーローの交代というのはどこの世界でもあるが・・・

2013-11-19 | MY FAVORITE ALBUM
Sung Heros / Tony Scott & Bill Evans Trio


クラリネットが続くが、モダンクラリネットというとトニー・スコット。この前紹介した1958年ダウンビートのタウンホールコンサートでは主役の一人であった。
トラッド系のジャズでは今でもクラリネットは主役だが、モダンジャズの世界ではクラリネットはいつの間にか日陰者になってしまった。それが理由かどうかは分からないが、スコットは翌年の1959年にはアメリカを離れる、そして演奏を辞めたわけではないがジャズの檜舞台からは遠ざかることに。

一時日本にも滞在していたことがあるようだが「仏教と音楽」をテーマにして日本にも拘りを持っていたようだ。音楽一筋というのではなく、いわゆるスピリチャルな世界と音の世界の接点に立ち位置を変えていった。60年代に入るとジャズもインド音楽とのコラボがあり、あるいはボサノバの登場など民族色を取り入れながら進化していったが、スコットの決断もその先駆けだったのかもしれない。

そのスコットがアメリカを離れる前にビルエバンスとアルバムを作る。何枚かあるので一回限りの付き合いではなかったようだが・・・。これが最後のアルバムとなった。

この年のエバンスは飛躍の年。1959年の春に有名なKind of Blueが録音された。これを機にエバンスはラファロと組んで自己のトリオ中心に活動を始める。ビルエバンストリオ時代の始まりだ。
一方のスコットはアメリカでの演奏活動に見切りをつけて母国を離れる。順風満帆なエバンスと行き詰まりを感じていたスコットの共演というのも皮肉なものだ。

このアルバムは、トニー・スコットがリーダー、ビルエバンストリオが伴奏で加わった形だ。スコットがエバンスと組んで何を表現したかったか興味が湧くが。実は、このアルバムの前にライブのアルバムがあるが、このアルバムは前作といささか趣が違う。

最初の曲は、何故かイントロが ”What Are You Doing The Rest of Your Life”に似てる。



聴いたとたんに思い浮かぶ言葉は「哀愁」「別れ」「瞑想」・・・・。ある種エバンスの世界ともいえるが、ちょっと違う。

いわゆるジャズのスイング感は無いし、バラードのまったり感もない。両者の冷たく研ぎ澄まされた音色が空間に舞い、時に耳に突き刺さる。ある時はオーバーダブされたバリトンが雄叫びを上げ、フリーインプロビゼーションの趣も。
まさに何かスコットが瞑想の世界に入るのを誘うかの如く不思議な雰囲気が漂う。ドライブの効いたスコットのクラリネットは無い。何故か悲しみが全編を包む。彼の今までの人生を支えてきたヒーロー達に別れを贈るように。

Israelではエバンスとのデュオで。最後の2曲は編成が代わりギターが主役。父に向けた哀愁をスコットがギターのソロで奏でる。続く曲では、フラメンコギターとクラリネットのデュオで伝説の闘牛士ラメンテを悼む。
トニー・スコットがこれまで歩んできた華やかな世界を去り、これから歩もうとする内なる世界にエバンスが餞を贈る感じのするアルバムだ。

1. Misery (To Lady Day)
2. Portrait of Anne Frank
3. Remembrance of Art Tatum
4. Requiem for Hot Lips Page
5. Blues for an African Friend
6. For Stefan Wolpe
7. Israel
8. Memory of My Father
9. Lament to Manolete

Tony Scott (cl,bs,g)
Bill Evans (p)
Juan Sastre (g)
Scott LaFaro (b)
Paul Motian (ds)

Produced by Francois Zalacain & Ray Passman
Recorded on October 29, 1959


Sung Heroes
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Sunny Side
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2本になるとクラリネットの魅力は2倍以上・・・・

2013-11-16 | MY FAVORITE ALBUM
Comes Love / Swingin’ Clarinet Duo

この土日新宿がディキシーの調べに包まれている。新宿トラッドジャズフェスティバル、今年で13回目を迎えるイベントだ。新宿2丁目の一帯で屋外、店内を含めて20ヶ所以上の会場において同時進行で演奏が行われる。1日で100グループ以上が集う。老舗のピットインもこの間は会場になるが、路上でもCaf�でも居酒屋でも、そこら中からジャズの調べが聞こえてくるのは壮観だ。



演奏内容は、タイトル通りディキシー、トラッド、スイング・・。モダンやフュージョンの類はない。ジャズフェスティバルは最近色々な街で行われるが、トラッドに限らずこれだけの規模感で行われるジャズイベントはそうはないだろう。あまりのプログラムの多さに選ぶのに苦労するが、ファンにとってはたまらない。
以前から気にはなっていたイベントだが自分はこれまで出かけたことは無く、今回が初めての体験だった。天気も良く、屋外のイベントも気持ちが良い。朝一番のパレードから一日フルに楽しんできた。やはりファンの年齢層は高いが、どの会場も満員で立ち見も出るほどの盛況ぶりであった。来年も間違いなく行くことになりそうだが、若いジャズファンも一度は足を運んでみてはどうかと思う。



今回聴いたプログラムの中で、お目当てのひとつがこのアルバムのグループ。
クラリネットは元々好きだが、白石幸司がお目当ての人。この世界ではディキシーキングスのメンバーとして有名だが、自分との接点はビッグバンドや堀恵二のサックスアンサンブルで接することが多い。スイング系だけでなくモダンビッグバンドもこなしているが、そこでのプレーはテナーが中心。得意のクラリネットもソロではフィーチャーされるが、クラリネットをじっくり聴くにはやはりスイング・ディキシー系のグループでないとタップリとは楽しめない。という意味でも今回は楽しみだった。

人気者らしく、色々なセッションから引っ張りだこで、今回はディキシーキングス以外にも昼からのプログラムにすべて出ずっぱりだった。その中の最初のセッションが後藤雅弘とのクラリネットデュオ。このアルバムでは聴いてはいたが、ライブで聴くのは初めてだった。

クラリネットのデュオというと、本家で有名なのはボブ・ウィルバーとケニー・ダバーンのデュオ。ソプラノサックスも多用していて、Concordレーベルの初期にはSoprano Summitというグループで活躍していたが、そのグループにも負けない洗練されたコンビだと思う。



このアルバムもディキシー、スイング系の有名曲が並ぶが、2クラリネットの編成を生かした絶妙なアレンジも施され単なるバトル物より味わい深い演奏だ。
ディキシーといえばこの曲ハイソサエティーからスタート。クラリネットというと明るいディキシーでは高音で飛び跳ねる軽妙さが魅力だが、Comes Loveのベースのイントロに続く低音のクラリネットの音色にびっくり。さらにアンサンブルでの2つの楽器のハモリ方にもうっとり。改めてクラリネットの表現力の豊かさを堪能できる。

ライブでの演奏を思い出しながら、久々にトラッドジャズに浸かった一日の感激を再度味わっている。

1. High Society
2. It Came Upon The Midnaight Clear
3. Comes Love
4. Louiana
5. Petit Fleur
6. Grand Slam
7. Clarinet Taking
8. Lover Come Back To me
9. Alligator Craw
10. Ole Miss
11. Black & Tan Fantasy
12. Shine
13. Tickle Toe
14. Lonesome

後藤 雅弘 (cl,ss)
白石 幸司 (cl,ss)
後藤 千春 (p)
小林 真人 (b)
権堂 浩己 (ds)

Produced by 永谷 正嗣
Recording by 石渡 義夫
Recorded at J-Jay’s Caf� Meguro, Tokyo on September 8&9 2009

Swingin Clarinet Duo
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インディーズ・メーカー
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気楽な演奏もいいが、たまにはじっくり取り組まないと演奏できない物もいい・・・

2013-11-15 | PEPPER ADAMS
The Thelonious Monk Orchestra at Town Hall


50年代のペッパーアダムスを追いかけてきたが、チェットベイカーと’58年末セッション終えて1959年に入る。いよいよ50年代も最後の年だ。

ジャズ界も大きな変化を迎えようとしていた年だ。
その時代背景を知っていた方が何かを思い起こすためには役立つかもしれないと、その年に何があったかを改めて目を通してみた。きっかけがあると、たまに思い出したようにやることだ。

この年は、今の天皇陛下が美智子妃殿下と結婚した年、話題になった。64年の東京オリンピックも決まった。民放テレビ局も日テレに続き、フジテレビ、日本教育テレビ(今のANB)が次々と本放送を開始した。
自分は小学校の4年、少年サンデー、少年マガジンの創刊が最大のエポックメイキングな出来事であった。テレビでは、少年ジェット、七色仮面、ローハイド、ヤン坊マー坊の天気予報が始まる。いよいよテレビ時代の始まりだった。
第一回のレコード大賞は水原弘の「黒い花びら」。海外ではプラターズの「煙が目にしみる」が流行ったのをよく覚えている。伊勢湾台風が襲来したのもこの年。
ジャズ界のみならず世の中全体が変革を始めた年だった。

さて、アダムスは年が明けると、ベイカーとそのままクラブ主演へ。ピアノはエバンスではなくドンフリードマンだった。その流れで19日には“CHET”の残りの録音を行った。2人の相性がいいのも付き合いが長いだけでなく、ライブを経ての録音だったからもしれない。
そして、この年初めのもう一つの大きなイベントは、2月28日のセロニアスモンクのタウンホールコンサートだった。1月からすでにリハーサルは始まっており、メンバー達はモンクとホールオーバートーンのアレンジに取り組み始めていた。

編成は10人、通常のビッグバンドよりは小振り、チューバやフレンチホルンを加えた編成はギルエバンスなどと相通じるところがある。
作品はすべてモンクの作品。このような編成の特徴としてはソロやコンボでは表現しきれないものをオーケストラに託すといった感じが強くなる。いみじくもエリントンが「自分の楽器は、自分のオーケストラだ」と言っているのと同じ意味だ。極みは、モンクのかって残したアドリブパートをオーケストラで再現した“Little Roote Tootie”。アンサンブルにモンクがバックをつけ、ソロパートはアダムスが一番バッターだ。続くバードも絶好調だ。最後のアンサンブルも秀逸。

普段ベイシーなどのビッグバンド物を聴きなれていると、アンサンブルワークの心地よさに満足しているが、このような演奏を聴くと演奏者のプレーの個性をアンサンブルに展開させようとしているのがジワジワと伝わってくる。よく、アレンジャーは誰にソロをとらせるかを意識してアレンジをするというが、この場合は、誰を自分の分身にさせるかということだからより真剣になる。

自分自身、モンクやミンガスはその個性に魅力を感じてはいたが少し遠い存在であり、あまり体系立てて聴いたこともなかった。
改めて聴いてみるとモンクワールドをオーケストラに展開した素晴らしさを再認識した。ソロやコンボでは何か言葉足らずで物足りなかったものが、いきなり饒舌に語りだしたような感じだ。今来日中のミシェルカミロのビッグバンドもそうかもしれないが、アンサンブルはソロの延長にあり、そのサンサンブルの間のソロは作編曲者でもあるリーダーの意を組んだ物でなくてはならなくなる。ちょっと集まってリハをやっていきなり本番というアレンジとは一線を画するものになるし、それに加わるメンバーも厳選されてくるということだ。演奏を繰り返すことでオーケストラの一体感が増してくる。
演奏者はそんなサウンドをイメージしているのかもしれない。今、ブルーノートで公演中のミシェルカミロのバンドもニューヨークのブルーノートで公演をしてからの来日。どうりで初日からノリが半端ではなかった。
色々なセッションに参加しているアダムスだが、色々と奇人変人といわれたモンクの良き理解者の一人でもあったことが分かる。

このタウンホールコンサートはモンクの音楽生活の中では有名なイベントだし、今ではそれなりに評価もされているようだが、開催された時の当時の新聞の評価はどれも酷評に近った。アダムスの手記によると、お蔭で4月以降予定されていた3週間で8都市を廻る予定のツアーはキャンセルされ、バンドメンバーは2カ月の仕事を失ったそうだ。所詮評論家とはその程度のものなのだろう。

何事もそうだが、天才肌の仕事はその時は評価されなくて、晩年になってから再評価されるということだ。この時の録音には未発表物(Blue Monkなど)がまだあるようだが、ぜひ聴いてみたいものだ。

1. Thelonious
2. Friday The 13th
3. Monk's Mood
4. Little Rootie Tootie
5. Off Minor
6. Crepuscule With Nellie
7. Thelonious (complete version)
8. Little Rootie Tootie (encore)

Donald Byrd (tp)
Eddie Bert (tb)
Bob Northern (French horn)
Jay McAllister (tuba)
Phil Woods (as)
Charlie Rouse (ts)
Pepper Adams (bs)
Thelonious Monk (p)
Sam Jones (b)
Art Taylor (ds)

Recorded live at "Town Hall", NYC, on February 28, 1959



セロニアス・モンク・オーケストラ・アット・タウン・ホール+2(紙ジャケット仕様)
クリエーター情報なし
ビクターエンタテインメント
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他人の空似とはよく言われるが・・・・

2013-11-13 | MY FAVORITE ALBUM
Chet Baker in New York

ジャズはクラシックなどの較べると演奏者の個性が演奏に現れやすい。楽器自体の音色だけでなく、アドリブのフレーズ作りになると、より色濃く出る。すると聴いただけで「これは誰の演奏だ」ということを想像したくなる。
ブラインドフォールドテストなるものがあって、何の情報もなく曲を聴いて演奏者を当てたりする遊びが、昔はよくジャズファンの間では行われていた。確か、ラジオのジャズ番組でも行われた記憶がある。

ジャズ喫茶でいつもかかるような有名アルバムは自然とメンバーを含めて頭に焼き付いてくる。聴いたことが無いアルババムがかかると、まずは一体これは誰だろう?と過去の記憶から頭が回転を始める。そしてジャケットを見る。見覚えのあるデザインが目に入ると「なるほどこのアルバムはこのようなサウンドなのか」とまた一つ頭の中に刻み込まれる。見たことのないジャケットだと、思わず席を立ちジャケットを裏返してパーソネルを見る。昔ジャズ喫茶で一人ブラインドフォールドテストもどきをしていたことを思い出す。

このアルバムを手にして一曲目を聴いた瞬間思い出したのは、アート・ファーマーの”Modern Art”だ。同じ曲Fair Weatherが入っている。こちらはエバンスのピアノから始まりイントロがあってテーマのアンサンブルに入っていくが、このアルバムではドラムとピアノのちょっとしたイントロからいきなりテーマのアンサンブルが始まる。トランペットとテナーサックスのよくある組み合わせだが、覚えやすいメロディーを両者で絶妙に奏でる。よく似たサウンドだ。

作曲者はベニー・ゴルソン。Modern Artは自作自演、こちらのアルバムで演じているのはチェット・ベイカーとジョニー・グリフィン。よく聴くと似ているといえば似ているが当然微妙に違う。人に例えれば細かい顔立ちを見れば当然別人だが、遠目に見た姿形や風貌はそっくりだということだろう。

このアルバムが録音されたのは58年の9月。Modern Artも同じ9月。全く同じタイミングで録音されたものだ。ゴルソンがこの曲をいつ作ったのかは分からないが、ライナーノーツにはこのアルバム用にスコアを提供したように書かれている。とするとゴルソンがアート・ファーマーとの自分のセッションにも同じ曲(アレンジ)を使ったことになるが。とすれば、両者が似ているのも合点がいく。

さて、肝心なベイカーのプレーだが、このアルバムはリバーサイドに移って2枚目。一か月前に録音した前作がボーカル入りのパシフィックジャズ時代からのイメージを引きずっていたが、これは思いっきりハードバップよりの演奏だ。
リズムもフィーリージョージョーンズとポールチェンバースを起用しているのが大きいが、テナーのジョニー・グリフィンとの組み合わせが何と言っても特徴付けている。ボーカルも無く必然的にトランペットも力強いプレーとなってくる。ただし選曲がゴルソンの曲を含めてメロディックな曲を選んでいるので、雰囲気はアート・ファーマー似といった所か。

その後のリバーサイドでは前回紹介したCHETのようにまたソフト路線に戻っているので、唯一ハードバップを売りにしたリバーサイドらしいベイカーの演奏が聴ける。ジャケットのイメージは別にするとタイトルの“In New York”らしさがやっと出た一枚だ。移籍しても新球団に溶け込めず一勝もできない投手がやっと勝ち星を上げたように。






1. Fair Weather Benny Golson 6:58
2. Polka Dots and Moonbeams Johnny Burke / James Van Heusen  7:56
3. Hotel 49 Owen Marshall 9:48
4. Solar Miles Davis 5:52
5. Blue Thoughts Benny Golson 7:33
6. When Lights Are Low Benny Carter / Spencer Williams 6:52
7, Soft Winds Benny Goodman / Fletcher HendersonChet  6:26

Chet Baker (trumpet)
Johnny Griffin (tenor saxophone -1,3,5)
Al Haig (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Recorded in NYC, September, 1958
Produced by Orrin Keepnews
Engineer : Jack Higgins


In New York
クリエーター情報なし
Ojc
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高いレベルの閾値を守り続けるということは・・・

2013-11-11 | CONCORD
High Standards / Jackie & Roy

毎日生活していると色々な刺激を受ける。
ところが刺激を受け続けているといつの間にかそれに慣れてしまい、新たな刺激を受けるにはその数倍の刺激が必要になってくる。それは単純に正比例するのではなく対数になる。

飽食の時代といわれているが、人間は本来腹7分目が満たされれば食は足りていたのだろう。それがいつの間にか満腹まで食べないと満足できなくなり、ご馳走が食べきれないほどテーブルの上に無いと不満を感じ、食品が店の棚にも溢れていないと心地よさを感じない時代になってしまった。
量だけではなく「ちょっと味が濃いのが好き」がいつのまにか激辛しか食べなくなり、本来の繊細な味覚を味わう感覚を失っていく。
今話題の食品偽装表示も根本は同様。此のくらいであればという軽い気持ちでスタートしたものが、業界揃って嘘がまかり通るのを誰も不思議に思わなくなるように。慣れというのは恐ろしい。

この「ヴェーバー・フェヒナーの法則」は世の中の何にでもあてはまるのではないだろうか。
ある状態の変化が起こる点を閾値という。「しきいち」と当たり前に使っていたが、本当は「しきち」が正しい読み方のようだ。間違いも皆で使えば正しくなるということかも。
何事においても満足を得る閾値があるが、慣れてくると満足するバーが自然に高くなっていく。「初めての経験」というのは色々な意味で感動・感激をするものだが、その感動を再び得るのは難しいように。

ジャズを聴く時も同じで、ライブであってもレコードであっても、初めて聴いた時に「これは凄い」と感じる時がある。当然ジャズの右も左も分からずに聴き始めた時は何度も経験したものだ。その感動をまた得たいがために探求の旅が始まる。そして、自分の好きなミュージシャン、曲、レーベルなどが決まっていった。

好きなものばかりを聴いていると、その中からまた新たな感激を得るのはなかなか難しくなる。自然と閾値が上がっているのだろう。ミュージシャンよっては新たな領域にチャレンジしたり、新たなメンバーとプレーをしたり、ミュージシャン自身も新たな世界の挑戦に身を置く。これが新たな刺激になることも・・・。

一方で、頑なまでに自分のスタイルを守り通すミュージシャンもいる。
ボーカルのデュエットで有名なジャッキー&ロイ。このグループも時代の変遷とともに色々なチャレンジをした。テレビショーを持ったり、ラスベガスのショーに出たり、コマーシャルを多く手がけたり。しかし、デビュー当時のチャーリーベンチュラ時代から晩年まで基本は何も変わらない。もちろん、おしどり夫婦の2人はメンバーチェンジもなかった。

初めて2人の演奏を聴いた時に、そのフレーズ、スキャット、ハーモニーにジャズ魂を感じた。確かVerveのLove sickだったと思う。その後新旧のアルバムを何枚も聴いたが彼らの魅力はいつの時代も同じだ。新たな刺激を受ける閾値が高いからといって決して魅力が無いわけではない。

その彼らがコンコルドに来て3枚目のアルバム。素材としてスタンダード曲を選び、いつものアプローチで。奇をてらった企画、目新しさは無い。しかし、正面から閾値を超えることにチャレンジする心意気を感じるアルバムだ。

蛇足ながら、アナログディスクの上空をHigh Standards垂れ幕を引く飛行機が飛ぶデザインにはすごく意味がある。CD盤のジャケットデザインではその意味は通じない。

1. I Got Rhythm         George Gershwin / Ira Gershwin 2:16
2. Stardust         Hoagy Carmichael / Mitchell Parish 3:59
3. Loving You          Judy Holliday / Gerry Mulligan 2:26
4. I Watch You Sleep  Richard Rodney Bennett / Joel E. Siegel 4:16
5. Too Marvelous for Words  Johnny Mercer / Richard A. Whiting 2:43
6. Am I Blue Harry             Akst / Grant Clarke 2:35
7. Bidin' My Time        George Gershwin / Ira Gershwin 3:29
8. Joy Spring                  Clifford Brown 3:50
9. Nobody's Heart         Lorenz Hart / Richard Rodgers 3:30
10. Mine George             Gershwin / Ira Gershwin 2:14


Jackie Cain (vol)
Roy Kral (vol,p)
Paul Johnson (vib)
Dean Johnson (b)
Jeff Brillinger (ds)

Produced by Frank Dorritie
Engineer : Phil Edwards

Recorded at Coast Recorders, San Francisco, California, February 1982

Originally released on Concord CJ-186

High Standards
クリエーター情報なし
Concord Records
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JAZZを愛するということは・・・・

2013-11-10 | MY FAVORITE ALBUM
After Hours / Clint Eastwood

ちょっと洒落た店に行くと、和風であろうと洋風であろうと。BGMにジャズが流れているところが多い。自分のゴルフのホームコースに行ってもロッカールームにジャズが流れている。それもデイブペル風のウェストコーストジャズが。身の周りに結構ジャズが流れている場所は多い。

しかし、面と向かってジャズを聴こうという意思を持っている人を身近にはあまり見かけない。ジャズも100年を超える歴史を経て色々なスタイルがある。何も新しいスタイルだけでなく、古いスタイルがそのままの形であっても今でも十分に楽しめる。
最近、知人が長年好きであった音楽がディキシーであり、それがジャズであったことを最近知ったという。今の時代は、一つのことを根を詰めて勉強するより、広く浅く色々な事を知っているという方が好まれる生活スタイルなのかもしれない。あるいは、ネットで何でも知ることができるようにはなったとはいうものの、入口のガイダンスが重要なのかしれない。

映画のバックにもジャズは良く使われる。ジャズミュージシャンにとって映画のサントラは大事な仕事場であり、演奏家だけでなく作編曲家も腕の見せ所だ。クインシー・ジョーンズも一時映画音楽を多く手がけた。映画を観ていてバックがJazzyな曲だと思わず気分が良くなる。自分にとってはバックグラウンド以上の興味が湧いてしまう。

映画の世界でジャズと正面に取り組んできたのはクリント・イーストウッドだ。俳優業から監督、プロデュースまで幅広く活躍してきたが、バックにジャズが良く登場した。そして、Birdでは、素材としてチャーリーパーカーそのものに取り組むほどのジャズ狂だ。ロックギター好きの息子を、何度もビッグバンドを聴きに連れ出して、ジャズベースをやらせるようにしたとか。

JAZZ好きのイーストウッドが、自分の映画人生とジャズとの付き合いとの総括ともいえるコンサートを1996年10月に行った。
場所はニューヨークのカーネギーホール。イーストウッドは二人三脚で映画の音作りに取り組んできたレニー・ニーハウスをはじめとして、新旧のミュージシャンが集まった。
ジョージウェインが監修し、リンカーンセンタージャズオーケストラがバックを支えて、オールスターメンバーが次から次へと登場する。
全体の構成も良く練られていて、よくあるジャムセッション物とは一線を画する。映画で取り上げられた名曲が、歌ありコンボありビッグバンドありで、次々と登場する。DVDで見ると映画のシーンが被さってきて懐かしく思い出すことができる。

DVDには節々でイーストウッドのコメントが入っているが、「最近のジャズは理屈っぽくなっているがジャズはやはり楽しくなくては」と語っているが、思わず同意。
ベテランが元気に登場するのは嬉しいが、ジェイムス・カーターやジョシュア・レッドマンといった若手も元気だ。特にこの2人のバトルは凄まじい。イーストウッドも思わず昔とはスタイルが違うが・・といって2人の熱演を絶賛。



レスターリープスインはオーケストラをバックにした大ジャムセッションだが、ラストのベテラン、フリップ・フィリップスの若手に負けないプレーも印象的だ。



最後の曲ではイーストウッド自身のピアノによるブルースプレーが聴ける。昔から楽器を触っていたようだが「俳優業を選んだことを後悔している」という笑いをとるコメントも、まんざら嘘でもなかろう。筋金入りのジャズファンであるイーストウッドの本音かもしれない。



違うジャンルで活躍してもこのようにジャズを愛する人がいてこそ、ジャズは永遠なのだろう。イーストウッド自身ジャズというアメリカ生まれの文化を守りたいと言っているが、このようなコンサートを開催できてもちろんご満悦な様子だが、参加したミュージシャンも皆このようなコンサートに賛辞を贈っていた。

先週、マイクプライス&ジャズオーケストラの久々のライブがあった
残念ながら、メンバーの数より少ない聴衆だった。ジャズを愛する人の応援団がいないとせっかくのライブも盛り上がらないのが現実だ。というより今後の存続も大変だろう。イーストウッドの様に影響力のある熱烈ジャズファンが必要なのかしれない。

1. Misty - Kenny Barron/Barry Harris (from "Play Misty For Me")
2. The First Time Ever I Saw Your Face - Little Jimmy Scott/Kenny Barron/Christian McBride/Kenny Washington (from "Play Misty For Me")
3. This Time the Dream's on Me - The Kyle Eastwood Quartet (from "Bird")
4. Hootie's Blues - Jay McShann/Christian McBride/Kenny Washington (from "The Last Of The Blue Devils")
5. San Antonio Rose - Claude "Fiddler" Williams/Jay McShann/Christian McBride/Kenny Washington (from "Honkytonk Man")
6. Satin Doll - Kenny Mahogany/The Carnegie Hall Jazz Band (from "White Hunter, Black Heart")
7. Doe Eyes / Jitterbug Waltz (from "The Bridges Of Madison County") - The Carnegie Hall Jazz Band
8. Take Five - The Carnegie Hall Jazz Band
9. Claudia's Theme - The Carnegie Hall Jazz Band  (from "Unforgiven")
10. Tightrope - James Rivers/The Carnegie Hall Jazz Band (main title)
11. The Good, The Bad And The Ugly / Rawhide - The Carnegie Hall Jazz Band
12. Misty - The Carnegie Hall Jazz Band
13. Straight, No Chaser / Now's The Time - James Carter/Joshua Redman/The Carnegie Hall Jazz Band
14. Straight, No Chaser - Kenny Barron/Barry Harris/Christian McBride/T.S. Monk (from "Thelonious Monk: Straight No Chaser")
15. 'Round Midnight - Gary LeMel/Kenny Barron/Barry Harris/Christian McBride/T.S. Monk (from "Thelonious Monk: Straight No Chaser")
16. I See Your Face Before Me - Kevin Mahogany/Roy Hargrove/Barry Harris/Christian McBride/T.S. Monk (from "The Bridges Of Madison County")
17. Cherokee - Charles McPherson/The Carnegie Hall Jazz Band (from "Bird")
18. Laura - James Carter/Barry Harris/Peter Washington/Kenny Washington (from "Bird")
19. I Didn't Know What Time it Was - Barry Harris/Peter Washington/Kenny Washington (from "In The Line Of Fire")
20. Parker's Mood - James Moody/Barry Harris/Peter Washington/Kenny Washington (from "Bird")
21.These Foolish Things (Remind Me of You) - Joshua Redman/Barry Harris/Peter Wahington/Kenny Washington (Lester Young Tribute)   
22. Lester Leaps In - Joshua Redman/James Rivers/James Moody/Roy Hargrove/Charles McPherson/James Carter/Flip Phillips (Jass at the Philharmonic Tribute)
23. After Hours / C.E. Blues - Clint Eastwood/Jay McShann/James Moody/Roy Hargrove/The Carnegie Hall Jazz Band

Recorded live At Carnegie Hall, N.Y.C. on October 17 1996


イーストウッド ・アフター・アワーズ [DVD]
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たまには兄弟揃って・・・・

2013-11-08 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Keepin’ Up With The Joneses / The Jones Brothers



兄弟でも別々の家庭を持ちそれぞれの生活をおくるようになると会う機会も減る。忙しさにかまけていと、近くにいても盆と正月に顔を合わせるだけ。ところが一緒に仕事をしていたり、趣味が同じだったりすると子供のころと同様、頻繁に行動をし、よく話をするものだ。

兄弟で音楽に興味を持ち、それぞれがプロの道に入ると当然一緒にプレーすることも多い。日本では日野兄弟、アダレー兄弟のように。2人兄弟は多くいるが、3人となると数が減るが、何といっても3人3様で有名なのはジョーンズ兄弟。

デトロイト出身で若い頃から地元のミュージシャン同士での付き合いは多かった。彼等は地元のメンバーとのレコーディングも結構ある。ペッパーアダムスもその中の一人。兄弟との付き合いはデトロイト時代から長く続く。

さて、この3兄弟一番先に世に出たのは長兄のハンク。エラのバックを長年務めこのアルバムが作られた1958年頃はニューヨークの超多忙なスタジオミュージシャンとして活躍中。サドはカウントベイシーオーケストラに参加して、プレー、作編曲で頭角を表してきた時期。

末弟?(ジョーンズは9人兄弟でミュージシャンになったのは3人だけ)のエルビンとハンクは10歳近く離れていたので若い頃は兄たちと常に一緒にという訳にはいかずワンテンポ遅れてのメイン舞台への登場となった。ニューヨークに出てきたのは1956年。それでも50年代の後半になると色々なレコーディングセッションに登場。JJジョンソンのグループに加わって有名なフラナガンのオーバーシーズを録音したころから表舞台での活躍が始まった。

という状況で、同じニューヨークに住んでもハンクはニュージャージー、サドはアッパーマンハッタン、エルビンはサウスでという状況で住む所も仕事もバラバラ、一緒にプレーするのは唯一Monday night at Birdlandだったそうだ。さらにレコーディングされた物となると、3人がそれぞれ有名になったにも関わらず、このアルバムが初めての一枚になった。

レコーディングの企画をしたのは、先日紹介したミッチェル兄弟のアルバムの企画をしたレナード・フェザー。フェザーの企画したアルバムは色々あるが、なかなかのアイディアマンだ。しかし企画倒れということもよくあるが。

このアルバムは、3兄弟に加えてベースもエディー・ジョーンズを加えてメンバー全員をJonesに仕立てた。
編成はサドのワンホーンなのでサドが中心となる。曲もサドのオリジナルにスタンダード。オーケストラでも良く演奏されるThree and one は三兄弟+ベーシストという設定なのでこの編成はピッタリ。It Had To Be Youは自分も好きな曲だ。
サドのトランペット、フリューゲルホーンはファーガソンのようにハイノートで響き渡るというよりは語り掛けるようなプレーが得意。曲の雰囲気を含めてアルバム全体が和やかなファミリーセッションとなっている。
エルビンのドラミングが兄貴たちを刺激して・・・というよりは、サドジョーンズを中心の気軽な演奏が聴ける。
久々の兄弟揃ってのセッションは、お祭り騒ぎというよりは3人でしみじみと近況を語り合った感じだ。


1. Nice and Nasty             Thad Jones 6:45
2. Keepin' up With the Joneses      Thad Jones 6:11
3. Three and One             Thad Jones 4:57
4. Sput 'N' Jeff             Thad Jones 6:04
5. It Had to Be You       Isham Jones / Gus Kahn 4:48
6. On the Alamo         Isham Jones / Gus Kahn 3:13
7. There Is No Greater Love  Isham Jones / Marty Symes 4:04

Thad Jones (tp,flh)
Hank Jones (p,org)
Eddie Jones (b)
Elvin Jones (ds)

Produced by Leonard Feather

Recorded at Beltone Studios, NYC on March 24,1958


Keepin' Up With the Joneses
クリエーター情報なし
Polygram Records
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2013年11月8日(金)マイク・プライス・ジャズオ-ケストラ @ 新宿 SOMEDAY!

2013-11-06 | JAZZ LIFE
今週末のマイクプライスジャズオーケストラのプログラムの案内が来ました。
今回もなかなか充実していて楽しみです。



皆様こんにちは! 

マイク・プライス・ジャズオ-ケストラは
新宿サムデイで 11月8日 (金)に演奏します! 

レパ-トリ-の数々より、今回は最近入手したエリントンの美しい楽曲をフィ-チャ-します。
又、私の楽曲・アレンジ曲も演奏します。

皆さんの心に残るビッグバンドジャズとなりますように。

是非聴きにいらしてください。

どうぞよろしくお願いします。

マイク・プライス

http://www.mikepricejazz.com

日時  11月8日(金)
    19:45~、21:15~
場所  サムデイ (新宿)
    Tel 03-3359-6777
    新宿1-34-8 新宿御苑前ビルB1(やよい軒の地下)
    地図 http://someday.net/shinjyuku.html
Music Charge 3,990円

THE PROGRAM
1ST SET
SUCH SWEET THUNDER (Duke Ellington)

WHIRLYBIRDS (Hefti/ Count Basie)

MEAN WHAT YOU SAY (Thad Jones)

FRUSTRATION (Duke Ellington)

AIREGIN (Rollins / Bill Holman

JUICER IS WILD (Roger Neumann / Buddy Rich)

GONE (Miles Davis/Gil Evans -Porgy & Bess)

2ND SET
ZOOT & AL (Bill Holman)

CARLOS (Gerald Wilson)

WOODROW (Bill Holman)

FRAME FOR THE BLUES (Slide Hampton/Maynard Ferguson)

SECOND LINE (Duke Ellington)

ALFIE (Don Piestrup / Buddy Rich)

INTRO TO AN ENDING (Bill Holman)

DRUM SQUAD (Bob Florence/ Louie Bellson)

メンバ- 
土井徳浩、(as, clar)
八巻 綾一、(as, clar)
岡崎正典(ts)
川村裕司(ts)
宮本大路(bs)

佐久間勲(tp)
田中哲也 (tp)
高橋一光(tp)
今里通夫(tp)

西山健治(tb)
内田光昭 (tb)
橋本佳明(tb)
堂本雅樹(btb)

井上祐一 (p)
佐瀬正(b)
稲垣貴庸(d)
マイク・プライス

Mike Price 舞空

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有名グループのレパートリーを今風にカバーすると・・・・

2013-11-06 | MY FAVORITE ALBUM
Benny Rides Again / Eddie Daniels & Gary Burton Quintet

世の中に名コンビといわれたグループがいくつもある。
ビッグバンドではサド・メルやボラン・クラークが有名だが、ベニーグッドマンはある時ライオネルハンプトンとのコンビで名を馳せた。というよりグループ全体がオールスターバンドであったが。

有名プレーヤーやグループをカバーしようとした時、絶妙な関係のコンビがいるグループやオールスターグループをカバーするとなると、どうしても相方が必要になる。自分との相性も必要だし、オリジナルグループのイメージもあるし、誰でもいいという訳にはいかない。

クラリネットのエディー・ダニエルスはリーダーデビューした後しばらくして、GRPレーベルで何枚かアルバムを出している。
このGRPレーベルはデイブグルーシンとラリーローゼンとが設立したレーベルだったが、新しいものと古き良き伝統を自由にミックスした自由度の高いアルバムを多く制作していて、自分もお気に入りのアルバムが多くある。

このダニエルスが91年から92年にかけてゲイリー・バートンと組んで、ベニーグッドマンのトリビュートバンドを組んでいた。ダニエルスとバートンの組み合わせはモダンでクールなイメージでは相性がいい感じはする。しかし、グッドマンとハンプトンのコンビのカバーとなると・・・・・果たしてどうか?
この時の2人の演奏がGRPに残っている。

結果は大成功だったと思う。
他のメンバーも、ピアノにはマリュグリュー・ミラー、テディーウィルソンとは全くスタイルが違う。ドラムのピーター・アースキンのドラミングも実に現代的だ。結果は、オリジナルグループの良い所は引き継ぎながらも内容は一新して徹底的にモダンな作りにした演奏となった。
店舗改装に例えれば、店名やメニューは同じものを残しながら、中身は現代風にアレンジし直したといった感じだ。しかし、昔からの伝統はしっかり引き継がれており、決してモダンすぎるということはない丁度良い塩梅だ。これは単なるコピーではなく、立派なオリジナルサウンドだと思う。

ジャズのカバーは、限りなくオリジナルの雰囲気を踏襲するのも一つだが、このように新しい流れや自分なりの解釈を加えた演奏もまた楽しいものだ。
先日、本家ベニーグッドマンのBenny Rides Againを紹介したが、後輩に再チャレンジしてもらってグッドマンも天国でご機嫌だろう。

当時のライブの映像



1. Sing, Sing, Sing             Louis Prima 3:39
2. Stompin' at the Savoy 
      Benny Goodman / Andy Razaf / Edgar Sampson / Chick Webb 5:40
3. Moonglow       Eddie DeLange / Will Hudson / Irving Mills 4:09
4. Air Mail Special Charlie Christian / Benny Goodman / Jimmy Mundy 3:47
5. Let's Dance   Fannie Baldridge / Joseph Bonine / Gregory Stone 5:09
6. Slipped Disc               Benny Goodman 4:04
7. Memories of You         Eubie Blake / Andy Razaf 5:25
8. Avalon       Buddy DeSylva / Al Jolson / Vincent Rose 2:57
9. In a Mist                  Bix Beiderbecke 5:17
10. Grand Slam               Benny Goodman 4:52
11. After You've Gone      Henry Creamer / Turner Layton 3:28
12. Goodby 
     Stanley Cowell / Debbie Gibson / Gordon Jacob / Gordon Jenkins / Carole Bayer Sager / Narada Michael Walden 5:44
13. Knockin' on Wood                Red Norvo 3:37

Eddie Daniels (cl)
Gary Burton (vib, Xylophone)
Mulgrew Miller (p)
Mark Johnson (b)
Peter Erskine (ds)
Produced by Dave Grusin & Larry Rosen
Elaine Anderson : Engineer
Recorded on January 14, 1992 - January 15, 1992


Benny Rides Again
クリエーター情報なし
Grp Records
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ベイカーにはやはりこのジャケットと演奏が似合う・・・・

2013-11-04 | PEPPER ADAMS
Chet / Chet Baker

10月も終わると残すところあと2か月。何となく「今年も終わりか」という気分になる。今年は夏の暑さの後、いきなり台風が続いて秋晴れの清々しさをあまり実感することなく肌寒くなってきた。いきなり晩秋の趣で、なんとなく冬の到来が早そうな気配だ。

ペッパー・アダムスにとって1958年の秋の到来はベニーグットマンのオーケストラのツアーへの参加であった。その節目で11月にレコーディングも済ませ、今年も終わったという気分になったであろう。
年末は同郷の仲間であるケニー・バレルとのgigをこなし乍ら、クリスマスシーズンを迎えていた。

この年はニューヨークに戻って本格的な活動を再開した年。年初に編成したドナルド・バードとの双頭バンドが自己のレギュラーグループであったが、相変わらず色々なバンドやオーケストラから声が掛かってgigやレコーディングに忙しかったが、最後はグッドマンのツアーへ参加することになった。

この年の締めくくりとして、クリスマス前の21日にはドナルド・バードとのグループの成果として、ブルーノートに”Off To The Races”のアルバムを残す。このアルバムにはジャッキー・マクリーンも参加し、ご機嫌なアルバムだ。

これで仕事収めかと思ったら、暮れも押し迫った30日に、チェット・ベイカーとのセッションに参加してアルバムを残している。

チェット・ベイカーというとジェリー・マリガンとのコンビが有名で、ペッパー・アダムスというと少し違和感があるが、・・・実はアダムスがロスに居た前年1957年には、チェット・ベイカーとグループを組んで、地元のクラブには録音の合間を縫うようにして連日出演していた仲だ。

この時のベイカーとの共演は、“James Dean Story”で録音に残されているが、2人のコンビの演奏はアルバムとして残っていないようだ。ライブも多く出ていたので、どこかでライブの記録でも陽の目を見たらぜひ聴いてみたいものだ。

チェット・ベイカーは、この年パシフックジャズからリバーサイドに移籍して、それまでに8月、9月とすでに続けて2枚のアルバムを録音していた。
2枚目は売り出し中のジョニー・グリフィンも加わって、これまでのクールサウンド&ボーカルのイメージから、ハードバップ色の強いトランペットプレーにイメチェンを図っていた。

その流れで、引き続き12月のセッションが組まれたが、そこにアダムスが呼ばれた。
以前一緒にやっていた仲なので何か助け舟を求めたのかもしれない。一緒に加わった他のメンバーも、ビルエバンスやハービーマンと前作とは大きく違った編成で、イメチェンを図ったものの中途半端で今一度リセットといった感じだ。

まず、このジャケットのインパクトは大きい。そしてこのジャケットイメージと演奏内容はピッタリだ。
最初の曲“Alone Together”はエバンスのイントロから始まる、情感の籠ったトランペットはこれぞベイカー。それにアダムスのバリトンが絡むようにソロを引き継ぐ。アダムスのお家芸はアップテンポのゴリゴリプレーだが、実はマリガンよりも太いサウンドのバラードプレーも捨てたものではない。



このアルバムは全編バラード~ミディアムテンポのプレーでベイカーの良さが光る。
ということは、リバーサイドに移籍をしてイメージチェンジを図ったが、ベイカーの良い所はやはり「この感じ」だということでこのアルバムになったのかもしれない。これに戻したのはプロデューサーオリンキープニュースだが、コンビを組んだことのあるアダムスの存在も何か影響しているような?
録音を終えた後、1959年の年明けは2人で一カ月近くgigを続けたそうだ。
益々、アダムスとのコンビのプレーを聴いてみたくなる。

1. Alone Together
2. How High The Moon
3. It Never Entered My Mind
4. 'Tis Autumn
5. If You Could See Me Now
6. September Song
7, You'd Be So Nice To Come Home To
8, Time On My Hands
9, You And The Night And The Music
10. Early Morning

Chet Baker (tp)
Herbie Mann (fl)
Pepper Adams (bs)
Bill Evans (p)
Kenny Burrell (g)
Paul Chambers (b)
Connie Kay (ds) 
Philly Joe Jones (ds)

Produced by Orin Keepnews
Engineer : Jack Higgins
Recorded at Reeves Sound Studio in NYC, December 30 & January 19, 1959





Chet
クリエーター情報なし
Ojc
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偶然生まれた名盤と、必然的に生まれる名盤・・・・・

2013-11-03 | CONCORD
Rosemary Clooney Sings the Music of Cole Porter

11月3日はレコードの日だそうだ。レコードが無くなりCDの普及に務めてきたレコード協会が作ったそうだが、今や時代はネット配信。レコードの日はいつまで続くのやら。
記念日という訳でもないが、今回はアナログディスク。

ジャズの醍醐味はインプロビゼーション。何もアドリブに限っただけでなく、メンバーの組み合わせ、その場の雰囲気までも含めた即興性が魅力だ。多くの名盤といわれるものは、そのSomethingを持ち合わせたものであろう。

ジャズのアルバムを買う時に期待するのはそんなものだ。ジャケットのデザインを含めて「きっとこんな音が聞こえてくるだろう」「この2人の組み合わせは?」「お初だけど一体どんな音が聞こえてくるか?」というワクワク感を感じさせるのがジャズのアルバム探しだ。
最近はライブに行くことが多いが、これも全く同じ。いつも聴きなれたバンドでも今日は何を聴かせてくれるのか、いつもと違うメンバーはどんなプレーをするのか、楽しみはたくさんある。

初期のコンコルドのアルバムはコンセプトが明確。そしてレギュラーメンバーも固定してくると、聞こえてくるサウンドは大方予想がつく。
新しいアルバムではそれに何が加わるのか?が興味の半分。そして半分は期待通りのサウンドが聞こえてくる安心感になる。
その結果は何も目新しさはなくとも、安定感に満ち溢れた名盤というものにつながる。

ロースマリー・クルーニーのコンコルドのアルバムはこれが7枚目。
それぞれ特徴があるが、エリントンビリーホリデイへのトリビュート物があったり、ソングブック物があったり。新旧曲の歌い較べがあったり、全体は同じコンセプトでもアルバムごとに微妙な拘りがあった。

しかし、よくあるスタンダード物の有名作曲家のSong Bookとしては前作のIra Gershwin一枚だけ。いつかは出るのではという期待があったが、ついにこのアルバムで実現した。
という意味では、このアルバムコール・ポーターの名曲集がSong Bookシリーズの本格スタートとなったアルバムともいえる。

バックはお馴染みのメンバーに加えて、フルートのDavid Laddが参加している。クルーニーのアルバムにはその後も参加しているので、相性が良かったのかしれない。
クルーニーの歌いぶりはいつも通り、というより益々貫禄がついてきた。美貌を誇ったクルーニーであったが、体格も貫禄がついて来たのはこの頃かもしれない。大歌手といわれる歌手は。エラにしても、サラもマクレーも皆揃って晩年は「貫禄十分」になる。
クルーニーもこれで大御所の仲間入りという訳でもないとは思うが。

クルーニーの歌い方は、フレーズを崩すでもなく、スキャットを使うでもなく、王道を行く。これをジャズボーカルというのか否かという議論はさておき、スタンダードを歌う見本のようだ。バックもまたアンサンブルワークとオブリガードの妙は、これぞ歌伴のお手本といってもいいだろう。

取り上げた曲を見ると、ポーターの初期の名曲、”Love for Sale”, ”Night And Day”,”Begin the begin”が見当たらない。とはいってもお馴染みの曲が並ぶが、選曲にも何か拘りを感じるアルバムだ。



1. In the Still of the Night 
2. My Heart Belongs to Daddy   
3. I Get a Kick Out of You
4. Get Out of Town
5. I Concentrate on You
6. Just One of Those Things
7. I've Got You Under My Skin
8. It's De-Lovely
9, You're the Top
10. Anything Goes

Rosemary Clooney (vol)
Warren Vache (cor,flh)
Scott Hamilton (ts)
David Ladd (fl)
Nat Piere(p)
Cal Tjader (vib)
Cal Collins (g)
Bob Maize (b)
Jake Hanna (ds)

Produced By Carl Jefferson
Engineer : Phil Edwards

Recorded at Coast Recorders, San Francisco, California, January 1982
Originally released on Concord CJ-185 (所有盤は東芝の国内盤)

Rosemary Clooney Sings the Music of Cole Porter
クリエーター情報なし
Concord Records
コメント (2)
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