A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

絶好調のトランペット3人の実力者に混じって、ピアノの新人が・・

2017-01-21 | MY FAVORITE ALBUM
Three Trumpets / Donald Byrd, Art Farmer.Idrees Sulieman

老舗のライブハウス東京TUC
は色々嗜好を凝らした企画をやるが、昨年から続いているのがドラムの大坂昌彦が企画する同じ楽器を3人揃えたサミットシリーズ。臨時編成のグループとはいえ、単にジャムセッションを繰り広げるのではなく、ソロあり、2人の組み合わせあり、多彩な構成で個性ある3人のプレーを存分に楽しめる。

昨年は、たまたま来日中のアルトのエリックマリエンサルを加えたバトルは圧巻だったし、クラリネット3本というなかなか聴くことのできない楽器、それもスタイルが全く違う3人の組み合わせも楽しめた。今年もすでにピアノ3人の組み合わせが終了し、来月は若手トランペット3人が予定されている。

ブルーノートの初期のシリーズが1500番台ならば、ライバルともいえるプレスティッジは7000番台となる、こちらは、次に7100番へと順番に60年代に入っても延々と続き、最後は70年の7862番でシリーズは終わる。

この7000番台初期のプレスティッジオールスターズの中に、同じ楽器を2本、3本、4本を組み合わせたバトル物が多かった。コルトレーンが加わったTenor Conclaveや、後にコンビを組むウッズとクイルが入ったFour Altos、そしてトランペットとアルトが2本づつといったPairing Offというアルバムもあった。
そのような企画の一環としてトランペット3本の、その名もスリートランペットというアルバムがある。

1957年の録音なので、ニューヨークにドナルドバードが出てきてまだ2年目。まだ25歳の頃だが、ジャズメッセンジャーズにも加わり、すでに大活躍していた。この年に録音されたドナルドバードが参加したアルバムの枚数は改めて数えてみたら30枚を超える、要は毎週のようにレコーディングに参加していたことになる。バードに限らず、この頃プレスティッジの専属であったアートファーマーも同様であった。

ジャズ界が一番元気であった時代とはいえ、この頃の各社のレコーディングの数は膨大だ。だからこそ、今でも当時の彼らの演奏を聴けるということになるのだが。
それに反して、より技術的にも進歩し、文化的にも多様になった今日、日々活動しているミュージシャンの演奏が、きちんと後世に残せていないというのも何か矛盾を感じる。使い捨て文化が理由なのか、デジタル化の弊害なのか。デジタルデータは取り扱うのは便利だが、何かがあったら何も残らない。ハードディスクをクラッシュさせた経験があれば、誰もが体験している事なのだが。今から50年後に今の時代の情報を求めるとネット上に無数のごみ情報はあっても、アルバムのようにきちんとした形では何も残っていないのかもしれない。

さて、このアルバムはバードと、ファーマー、それにアイドリーススリーマンの3人のトランペット奏者が主役だが、もう一人重要なメンバーがいる、ピアノのホッドオブライエンだ。
21歳のオブライエンが初めて録音の機会を得たアルバムだ。
このブログを再開した時のアルバムが、ホッドオブライエンだったが、このオブライエンはこの時期の録音がほとんど残っていない。タルファーローが伝説のギタリストであれば、このオブライエンの引退前の演奏も貴重な演奏だ。パウエルの影響を受けた、バップスタイルの演奏が3人のフロントラインを支えている。

3人の演奏も、歳をとるに従ってそれぞれのスタイルに進化していったが、この頃の演奏は誰もがガレスピー、ナバロの影響を受け、クリフォードブラウンに刺激を受けていた発展途上。

スタンダード曲を素材としたジャムセッション物ではなく、すべて参加メンバーのオリジナル。ブルースに始まり、バラード、そして最後はアップテンポに盛り上がってソロ交換で終わる構成は、それぞれの演奏だけでなく、アルバム作りにも参加したメンバーのコラボレーションの成果が窺われる。

ピアノのホッドオブライエンは、その後60年代の初めまでは、ニューヨーク郊外のステイトンアイランドのクラブでハウスバンドのピアノを務めていたが、ピアノ弾きをやめてコンピューター関連の仕事に就く。しかし音楽に対する興味は失せることなく、70年代の後半に再びジャズ界に復帰し、ペッパーアダムスなどとセッションを再開した

1. Palm Court Alley          Idrees Sulieman 7:48
2. Who's Who?               Art Farmer 6:29
3. Diffusion of Beauty           Hod O'Brien 7:01
4. Forty Quarters           Idrees Sulieman 4:34
5. You Gotta Dig It to Dig It        Donald Byrd 13:30

Donald Byrd (tp)
Art Farmer (tp)
Idrees Sulieman (tp)
Hod O'Brien (p)
Addison Farmer (b)
Ed Thigpen (ds)

Supervised by Teddy Charles
Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, January 26, 1957

Three Trumpets
クリエーター情報なし
ユニバーサル ミュージック

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