A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

還暦を過ぎて、第2の人生をもう一度・・・・

2007-07-31 | CONCORD
JONES・BROWN・SMITH

7月31日はHank Jonesの誕生日。有名なJones兄弟の長兄だ。
1918年生まれなので89歳。まだまだ現役でプレーしている。
70代後半は“Great Jazz Trio”で第一線に躍り出るが、その時すでに60歳の還暦を迎えていた。会社勤めだと定年を迎えるときに。Hank Jonesの経歴では、これからが本格的に活躍して30年経った。人生を2度経験したようなものだ。
団塊の世代の我々も彼を見習えば、新たに活躍の場を作るのにまだまだ遅くはない。

そんな節目の時、ConcordにJonesのトリオの一枚の小品集がある。
顔ぶれを見ると直前にリリースされたアネスティンアンダーソンのバックを努めたトリオと同じだ。ボーカル抜きで同じタイミングで録音されたのかもしれない。

このアルバムの特徴は、Jonesが4曲でFender Rhodes(エレキピアノ)を使っていること。
エレキピアノが世の中に出てから10年経って、Fusionの世界ではすでに不可欠な楽器になっていた。コリアやハンコックにしても、そしてボブジェームスやジョーサンプルなどにとっても。リズムの多様化に合わせてピアノの演奏の仕方も多種多様になっていたし、ジャンルを超えて使われていた。

ここでのJonesのプレーは、正統派のピアノトリオ。別に8ビートをやっている訳ではない。チェンバロやチェレスタを弾くように、ピアノとの音色の違いを楽しんでいるようだ。オーソドックスなピアノトリオでのエレキピアノの音がかえって新鮮な響きだ。
バックにレイブラウンと、ジミースミスを従えたリラックスした演奏。本格的な活動前のウォーミングアップの作品ではあるが、Jonesのピアノのかっこよさがタップリ楽しめる。

YOUE FEET’S TOO BIG
DANCING ON THE CEILING
MY SHIP
SPRING IS HERE
ROCKIN’ IN RYYTHM
BAG’S GROOVE
ALONE TOGETHER
THE GIRL NEXT DOOR

HANK JONES (piano, Fender Rhodes)
RAY BROWN (b)
JIMMY SMITH (ds)

Recorded 1977 (CJ-32)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モダンビッグバンドは西海岸から・・・・

2007-07-30 | MY FAVORITE ALBUM
OLIVER NELSON’S BIG BAND live from Los Angels

BIG BAND好きの自分に、好きなBIG BANDアルバムを10枚挙げろと言われればこのアルバムはその中の一枚に入るであろう。
クインシーのオーケストラを卒業してアレンジで実績を重ねたオリバーネルソン。有名プレーヤーのレコーディングのバックオーケストラにアレンジを数多く提供した。ちょうど、60年代はこのようなアルバム作りがクリードテイラーなどのプロデューサーによって行われた時だ。
この時、ネルソンの活動の中心はNew Yorkであった。
60年代の後半から70年代の初めにかけて、西海岸に拠点を移したミュージシャンは多かったが、ネルソンもその一人。1967年にLos Angelsに移った。
60年代の後半は新しいBIG BANDが多く生まれ、そして老舗のオーケストラも印象に残るアルバムを多く残した年である。今まで紹介したものだけでも、

サドメルのファーストアルバム
バディーリッチのNEW BANDドンエリスのモンタレーのライブ
カウントベイシーのサンズホテルのライブ
ウディーハーマンの東海岸と西海岸でのライブ
デュークピアソンのデビュー

このアルバムも、1967年の録音。そのような中で生まれたアルバムの一枚だ。

西海岸に移ったネルソンは、他の多くのミュージシャンと同様、スタジオでテレビや映画の仕事中心にしていたが、時には、メンバーを集めてライブ活動も行った。
ニューヨーク時代のスタジオ仲間とはがらりとメンバーを代えて、地元のミュージシャンを集めてのライブである。場所は、ハリウッドの当時の有名ジャズクラブMarty’s。
一週間の出演に先立って、このために集まったメンバーできっちりリハーサルを積んでライブに臨んだそうだ。

西海岸の有名どころとして、コンテカンドリや、ビルパーキンス、モンディーバドウィグなども加わっている。さらに、ちょうどピーターソンのトリオを辞めたドラムのエドシグペンも参加している。
ネルソンのアレンジは、西海岸の軽快さというより、New York仕込みの泥臭くモダンなサウンド。少し忘れかかってきた、主流派のモダンな音がオーケストラで聴ける。
ネルソンのオリジナルで小手調べをした後は、おなじみのマイルスの曲。お馴染みのマイルストーン。この頃シェリーマンのコンボでも活躍していたフランクストラジャーのアルトのアグレッシブなソロが見もの。それに続くのが新進気鋭のトムスコットのテーナー。モダンビッグバンドを象徴するようなサックスバトルだ。

B面に入ると、MEL BROWNのソウル&ブルース色の色濃いギターをフィーチャーし、トランペットセクションを前面に出したDOWN BY THE RIVERSIDE、そして最後はトロンボーンのLOU BLACKBURNのソロでこのライブでのテーマソングだったJA-DAで締めくくる。

臨時編成のオーケストラだが、ライブレコーディング特有のリラックスした雰囲気と連日のクラブ出演でレギュラーオーケストラのような一体感を感じる好演だ。

1. Miss Fine                Nelson 4:13
2. Milestones                Davis 8:32
3. I Remember Bird            Feather 5:40
4. Night Train   Washington, Simpkins, Forrest 4:49
5. Guitar Blues           Nelson, Neslon 4:21
6. Down by the Riverside          Nelson 8:49
7. Ja-Da                 Carleton 2:13

OLIVER NELSON (con.arr.ss)
BUDDY CHILDERS,BOBBY BRYANT,FREDDY HILL,CONTE CANDOLI (tp)
BILLY BYERS,PETE MYERS,LOU BLACKBURN,ERNIE TACK (tb)
CABE BALTAZAR,TOM SCOTT,BILL PERKINS,JACK MINIZ,RANK STROZOIR (reeds)
FRANK STYRAZZORI (p)
MONTE BUDWIG (b)
MEL BROWN (g)
ED THIGPEN (ds)

Recorded live at the Marty’s Hollywood, June 2,3, 4, 1967

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Concordの発掘は続く・・・・

2007-07-29 | CONCORD
Hello like Before / Ernestine Anderson

ピアノトリオをバックにボーカルをじっくり。
これが、ジャズボーカルの基本かもしれない。
最近は、女性ジャズボーカルがブームのようだ。何故か、皆「軽い」という感じを受ける。
何が来ても動じない、どっしりした貫禄のようなボーカルが懐かしい。
大御所の、エラ、マクレー、そしてサラボーンのような。
アップテンポだろうとバラードだろうとボサノバであろうと、何が来ても、彼女達なりの受け止め方をして重く訴えてくる。軽く、口先だけで雰囲気をだしているのとは分けが違う。これは、一朝一夕で生まれるものではないので無いものねだりかもしれないが。

VOCALはジャズの歴史の中では、有名バンドの専属歌手からというひとつの流れがあった。その中から独り立ちして、一人前の歌手なれるのはほんの一握り。50年代、60年代は、女性ボーカルが花開いた時期もあった。
そして、モダンジャズの時代になると、ジャズバンドの専属歌手というデビューの場所も少なくなり、ロックが主役の時代では、ジャズVOCALのシンガーは、最初から自分の世界を切り開いて行かなければならなかった。

一人ひとりのキャリアを見ると、すべてが順風満帆という訳ではなく、スランプの時期があったり、一度は引退をすることになる歌手も多い。
特に、ジャズの世界では、レコーディングという表舞台に出れることも少ない。

Concordは、中間派のジャズメンやスタジオミュージシャンだけではない。そのような境遇の歌手も発掘した。

発掘してきたのはErnestine Anderson。
サラボーンを思わせる、どっしりした安定感のある歌いっぷりだ。
長年のブランクを感じさせない。

歌いっぷりはこちらで。

バックを努めるトリオも、Hank Jonesのピアノが実にいい。このHank Jonesも初登場だ。
Concordで本格的なVocalアルバムはこれが最初だ。今では、Concord所属の歌手は多いが本格派が多い原点はこの辺りにあったのかもしれない。

1. Hello Like Before
2. A Time for Love
3. Yes Sir That’sMy Baby
4. Soft Shoe
5. Tain’t Nobody’s Bizness If I Do
6. It Don’t Mean A Thing If Ain’t Got That Swing
7. Send In The Clowns
8. I am his Lady
9. Bird of Beauty

Ernestine Anderson (Vol)
Hank Jones (p)
Ray Brown (b)
Jake Hanna (ds)

Recorded 8,10 , October, 1976
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

閉店休業。従業員は揃って他の店に・・・・

2007-07-28 | MY FAVORITE ALBUM
FANTABULOUS / OLVER NELSON

クインシーの後を追うようにして登場したアレンジャーのオリバーネルソン。
楽器はクインシーのトランペットに対して、テナーサックスのネルソン。クインシーが早めにプレーを止めたのに対して、ネルソンは自分のテナー吹き続けた。自分のアレンジで、自分をフィーチャーした演奏も。
そして、自分がリーダーとなったBIG BANDも編成していた。

このアルバムは、比較的初期の録音。
通常のフルビッグバンドではなく、12人編成の小型のオーケストラ。
ただし、サウンドは自体はフルの編成に負けない分厚い音がする。
この分厚い音がネルソンの特徴だ。綺麗で軽快なアンサンブルというよりも、時に不協和音を交えた重厚な音作りだ。テナープレーも豪快でよく鳴っている。コルトレーンの全盛期だが、やはり影響は受けているのだろう。スイング系やハードバッパーのテナーとは一味違う。
モダンビッグバンドの尖兵がクインシーとすると、それを引き継いでもう一歩前進させたのが、ネルソンのオーケストラだ。

アレンジだけでなく曲も一曲を除いてネルソンのオリジナル。
作編曲、そしてソロにアンサンブルワークとネルソンの独壇場だが、メンバーを見ると、直前までクインシーのオーケストラで活躍していた面子が顔を揃えている。サックスセクションのJEROME RICHARDSON,PHIL WOOSD,ピアノのPATTI BOWN。
クインシーのオーケストラの閉店休業入りに伴い、みんな揃ってこちらに移籍してきたようなものだ。同じメンバーでもアレンジの違いでサウンドが変わる典型。
ネルソンカラーが全編を占めるが、作編曲ともにクインシーを思い浮かべる曲がある。スローな“TAKE ME WITH YOU”が、クインシーの名曲“MIDNIGHT SUN WILL NEVER SETS”に何故か似ている。
先輩に敬意を表して、何か引き継いでいるのか?

HOBO FLATS
POST NO BILLS
A BIENTOT
THREE PLUS ONE
TAKE ME WITH YOU
DAYIE’S BOUBLE
TEENIE’S BLUES
LAZIE KATE

OLIVER NELSON and his Orchestra

Oliver Nelson (ts)
Jerome Richardson (bs,fl,alt-fl)
Phil Woods (as,cl)
Robert Ashton (ts,cl)
Kenny Solderblom (as,fl)
Roy Wiegano (tb)
Tony Studd (btb)
Art Hoyle (tp)
Eugene (Snooky)Young (tp)
Patti Bown (p)
Ben Tucker (b)
Grady Tate (ds)
Esmond Edwards (supervision)

Recorded March,19,1964 at Universal Recording Studio , Chcago
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あるはずのレコードが見当たらない・・・

2007-07-27 | CONCORD
JOE VENUTI & GEORGE BARNES LIVE AT THE CONCORD SUMMER JAZZ FESTIVAL

Concordのアルバムを順番に紹介するようになって、あまり整理もしていなかった(というより聴いていなかった)レコード棚を整理し直した。Concordのアルバムはまとめて入れてあったはずだったが、結構あちこちに散在していた。もともと整理整頓は苦手。普段使っているものであれば、乱雑にしていても在り処が予測つくのだが。久々に探すとなると。

もう一度レコードナンバー順に揃えると何枚か欠番があった。少なくとも最初の頃のアルバム100枚はすべて揃えてあったはずなのだが、今回ばかりは・・・。
最初に見つからなかったのはCJ-13。これは欠番だったことが分かったので一安心。
次に無かったのがCJ-30。初期のアルバムの中でも、後にCDで買ったものも何枚かあるので、一応CDも探すが見つからない。カタログを見ると、ジャケットは見覚えがあるのだが、聴いた記憶があるような無いような・・・・。
何事でもそうだと思うが、好きで毎日眺めていると、いつのまにか自分で持っているような錯覚に陥ることがある。人の記憶は実にいい加減なものだ。

他のレコードの間も一応調べたが結局見当たらず。その内出てくるかなと思ったものの、諦めて中古を探してみることに。昔の感覚で久々に中古レコードショップに何件か行ってみた。そうそうあるものではない。普通のオークションサイトを時々覗いても見かけることはなかった。

そしてネットで検索をしたら、結構色々引っかかる。その中のひとつにアメリカの中古レコードショップが。これも、GOOGLEのお陰だ。これが無ければ、こんなサイトに来ることもなかっただろう。
よくよくこのサイトを見ると、複数のショップが加盟している中古レコードのマーケットプレース。いやいや、昔のアナログ盤がいとも簡単に見つかるようになっていたとは。
いつのまにかコレクターの人には便利な世の中になっていたということだ。

自分も、AmazonとかTower Recordとか、普通のコマースはよく利用しているが、中古マーケットははじめて。早速オーダーしてみたが、数日後には綺麗に梱包されて到着。
値段も手頃だし、送料も妥当。盤質も問題なし。
自分は、希少盤やオリジナル盤を捜し求めるようなことをするわけではないので、これで十分。

サックスを吹く友人と先日話をしたら、昔のマウスピースを紹介したり、売買するサイトもちゃんとあるそうだ。ネット時代の、コマースの本当の使われ方はこんなところにあるのかもしれない。マス商品ではない「一品」がグローバルでいとも簡単に流通する時代なのだ。流通革命は確実に起こっている。

という事情で、最近レコード棚に収まったのがこの一枚だ。
またレコードを買うようになるとは思わなかった。
前作CJ-29に引き続き、1976年6月30日のConcord Jazz Festivalのステージでのライブ。これも、引き続きスイング派の名演だ。同じ日の演奏なので、続いてステージに上ったのかもしれない。

VENUTIとBARNESの共演。Concordでは、「GEMS」というアルバムですでに2人は登場済み。
前作と較べて、最初に聴いた印象が熱っぽい。ライブという条件なのか、バックを、TOMPKINS、BROWN、HANNAと、いつものConcordの強力リズム隊がバックを努めているせいか。ライナーノーツにも、最後の締めくくりに、彼らの演奏は。「Hard bop」ならぬ、「HARD SWING」という表現があるが、そのとおりだ。
何となく、軽快なノリという印象が強いが。このSWINGの演奏のボルテージが上がると、下手なファンキーやロックに負けない、めちゃノリになる。アコースティックな響きで、このノリの状態は、大音量ハードなリズムで盛り上がるのとちがって、内面からメラメラ燃え上がるような心地よい気分になる。

演奏のスタートは、SWEET GORGEA BROWN。軽く軽快なノリでスタートするには最適な曲。続くミシェルルグランの素敵なバラードは、早々とスタンダード入り。後半(多分ステージもこの順番だと思うが)に入ると、このステージのハイライトだろう。「エリントンの名曲」が続く。
エリントンの曲は、オーケストラだけでなく、コンボにもよし、歌にもよし。そして、このようなSWINGのバンドにも、モダンなバンドにもあう。
エリントンの曲の素晴らしさを、改めて実感した。

VINUTIも、この2年後には他界してしまうが、翌年の元気なプレーぶりが聴ける

エディーラングとの初期の演奏は聴いたことがないが、ちょっと聴いてみたい気分になった。

SWEET GEORGIA BROWN
WHAT ARE YOU DOING THE REST OF YOUR LIFE?
TOO CLOSE FOR COMFORT
I CAN’T GET STARTED
SATIN DOLL
THINGS AIN’T WHAT THEY USED TO BE
TAKE THE “A” TRAIN
SOPHSTCATED LADY
“C” JAM BLUES

JOE VENUTI (violin)
GEORGE BARNES (g)
ROSS TOMPKINS (p)
RAY BROWN (b)
JAKE HANNA (ds)

Recorded live at the Concord Jazz Festival , June 30 , 1976



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

男女のボーカルDUETといえば・・・

2007-07-26 | MY FAVORITE ALBUM
SWEET AND LOW DOWN / Jackie Cain and Roy Kral

クラークテリーとキャロルスローンのduetを聴いたら、無性にデュエットを聴きたくなった。デュエットといえば、やはり好みの“JACKIE & ROY”が思い浮んだ。
テリーとスローンのデュエットが自然発生的な掛け合いの妙とすると、ジャッキー&ロイは、反対にアレンジが施され計算され尽くされたデュエット。バックとの関係もしかり。2人のボーカルというよりは、コーラス、さらに声を楽器に見立てたジャズプレーとも言える。機械的といえば機械的だといえるし、洗練されているといえばそのとおりだし。
LHR的なところもあるが、独特の節回しはジャッキー&ロイの特長であろう。
ジャケットの写真を見てもおしどり夫婦ぶりは伝わってくるが、2人の歌いっぷりでは、「よそ行きの優等生」になってしまうのは止むを得ない。決して、軽妙で洗練されたものが悪い訳ではないし、それが好みなのだが。
テリーとスローンの後に聴くと、「もっとリラックスしたらどう?」と言いたくなってしまう。一度羽目を外して、二人で掛け合いをやったらどうなるのか興味津々だ。
昔、Charlie Venturaと一緒にやっていた時は、Bop vocalの溌剌とした雰囲気だったが。
いずれにしても、このジャッキー&ロイは聴くとすぐ分かる。one and onlyの特徴をもっているというのは素晴らしいことだ。

好きな曲であるMOUNTAIN GREENARYは、以前紹介した6年後の録音の「LOVE SICK」と基本的には同じアレンジ。
比較すると面白い。何が同じで何が違うか?

このアルバムはコロンビアに移籍しての作品だが、それにしても、この頃のコロンビアはよく大物アーティストを集めたものだ。マイルスにブルーベック、それにマクレーなどが続くが、ジャッキー&ロイも彼らの仲間入りということだったのか。
スタンダード曲中心に、メジャーレーベル特有の無難なアルバム作りをしているというとそれまでだが。アルバム作りまでが可も無く不可も無く優等生になってしまったのでは?
ジャズは、何か尖がっていたものが在る方が印象的だ。
せっかくの素材を生かすも殺すもプロデューサー次第ということになるのか?

SWEET AND LOW DOWN
‘S WONDERFUL
CHEEL TO CHEEK
THEY CAN’T TAKE AWAY FROM ME
HOLLELUJAH!
CHICAGO
MOUNTAIN GREENARY
EXPERIMENT
FUN LIFE
WINGIN’ WITH THE WIND
<personnel>
Roy Kral (p,vol)
Jackie Cain (vol)
Anthony Ortega (ai,fl)
Barney Kessel (g)
Larry Bunker (vib)
Al McKibbon (b)
Frank Butler (ds)

Recorded in Los Angels , February 23 , 26 ,1960
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルトやテナーのバトルは良くあるが、ソプラノのバトルは・・・

2007-07-25 | CONCORD
SOPRANO SUMMIT IN CONCERT

ジャズでソプラノサックスというと、何となくモダンな感じがする。
コルトレーンで一躍有名になったが、それまではソプラノをよく吹いていたのはスティーブレイシーくらいか。あまりジャズの世界で使われることは無かった。
今では、色々なサックスプレーヤーが持ちかえで使うし、フュージョンではよく使われる。
ビッグバンドでも、ソプラノリードのサックスセクションはサドメルが得意にしていたが、ビッグバンドでソプラノを持ち替えでよく使うようになったのは60年代の後半から。

スイング派として、唯一例外がいるとするとシドニーベシェのソプラノ。
ジャズの創生期に活躍した一人だが、クラリネットとは違った音色で魅了して独自の世界を作っていった。
晩年の「小さな花」は、ザ・ピーナツも歌っていたヒット曲。ジャズをよく聴く前から名前は知っていたような記憶がある。

Concordの次なるアルバムは、このソプラノサックス2人の競演。
それもスイングスタイルのソプラノのDuo。あまり例が無い珍しい組み合わせだ。
同じ楽器のバトル物というと、熱っぽいプレーが多いが、ここでは2人の絶妙な掛け合いが見もの。クラリネットも持ち替えているが、2人のスイングプレーをじっくり楽しめる。
日本ではスイング系のクラリネットプレーヤーは北村英治を筆頭に何人もいるが、本家アメリカではクラリネットの有名なプレーヤーというと思い浮かばない。
あまり目立たないが、この2人はこの世界では中堅。このアルバムが録音された70年代中頃は、2人で ”SOPRANO SUMMIT”という双頭バンドを率いていた。

このバンドが中間派を大事にしていたCONCORD JAZZ FESTIVALに登場した。1976年のことだ。
ピアノレスのギタートリオをバックにしているが、このアコースティックギターの響きがいかにも古き良き時代のジャズという雰囲気を醸し出している。
2人とも、トラディショナルジャズの世界で活躍し続けているが、BopやFunky、そしてFusionなどは、彼らには全く無関係。
Concordは、またまた普段聴けない楽しいジャズを聞かせてくれる。

ちょうど、このアルバムの翌年の2人の楽しげなプレーぶりがYou tubeで聴ける。
たまには、こんなジャズは如何?



このアルバムに入っているSTOMPY JONESはこちら


STOMPY JONES

1. THE GRAPED ARE READY
2. SEQUIN GOWN
3. DOI’N THE NEW LOW DOWN
4. THE GOLEDEN ROOSTER
5. MOXIE
6. BROTHER,CAN YOU SPARE A DIME
7, ALL BY MYSELF
8. SWING THAT MUSIC

Bob Wilber (ss,cl)
Kenny Davern(ss,cl)
Marty Grosz (g)
Ray Brown (b)
Jake Hanna (ds)

Recorded live at the Concord Jazz Festival, July 30, 1976
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カンサスシティーといえば、やっぱりベイシー・・・

2007-07-24 | MY FAVORITE ALBUM
“For The Second Time / Count Basie:Kansas City 3

カンサスシティーといえば、ベイシーの代名詞になっている。
1930年代初頭、禁酒法時代のJAZZを支えたのがカンサスシティー。特徴は、個性溢れるソロ、自然発生的なリフ、そして強烈なリズム。そこで、育ったのがカウントベイシー・・・というように、ジャズの教科書には必ず書かれている。

ベイシーの生まれはニュージャージー。カンサスシティー出身ではない。
その地へ行くまでは、ブルースを得意にしているわけでもなく、ファッツワーラー風の饒舌なストライドピアノ弾きだったらしい。
あのシンプルなピアノは、ビッグバンドで弾くようになってからのもの。他の楽器を引き立たせるために、音を少なくしていったとか・・・。

もっぱらオーケストラでの演奏が多いベイシーであるが、たまには、こじんまりとしたトリオでのピアノプレーでも。
付き合っているのは、レイブラウンのベースに、ルイベルソンのドラム。
ベイシーのお供をするには、二人とも役回りとしては十分。レイブラウンのベースはいつもと同じ確実な土台作り。そしてルイベルソンのドラムも。ビッグバンドを率いている時とは大違い、シンプルで目立つことなくリズムを刻む。

ベイシーといえば、「ブルース」を得意にし、独特な「リズム感」のノリ。
まさに、これがカンサスシティージャズといわれるものだ。
全曲にわたって、ベイシースタイルで一本筋が通っている。
出だしは、シンプルにいつもの調子で。時折昔を思い出したのか左手を強烈に使ったストライド奏法もみせる。
トリオの演奏でも、やはりベイシーはベイシーだ。

1. Sandman (05:48)
2. If I Could Be With You (One Hour Tonight) (04:05)
3. Draw (03:38)
4. On the Sunny Side of the Street (05:24)
5. One I Love (Belongs to Somebody Else) (04:49)
6. Blues for Eric (06:27)
7. I Surrender, Dear (04:59)
8. Racehorse (03:23)

Count Basie (p)
Ray Brown (b)
Louie Bellson (ds)

Recorded Cherokee Studio , Los Angels , August 28 ,1975

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エラとサッチモのDuoを思い浮かべて、大御所2人が寄り添いながら・・・・

2007-07-23 | CONCORD
The Song ELLA & LOUIS Sang / Carol Sloane & Clark Terry

満面に笑みを浮かべたクラークテリーのジャケットの写真が印象的だ。

ジャズで、楽器の演奏がだんだん嵩じてくると思わず唸るとも、唄うともいえないような声を上げるプレーヤーがたくさんいる。大体は、アドリブのフレーズを口ずさむことが多いのだが。
たまには歌を唄いだすこともある。先日の,Jimmy Smithもそうだったのかもしれない
それが余興の粋を超えると、いつの間にか歌手としても一人前になっていくものだ。

ところが、管楽器の場合はそうはいかない。当たり前だが、吹きながら歌うわけにはいかないのだ。

歌心を持って、まるで人が喋るように、あるいはバラードブレーでは語りかけるように。「よくうたう」演奏だと、ひとりで吹くよりも、相棒がいたほうがいい雰囲気になる。
この語りかけるようなプレーを得意にするプレーヤーの一人に、クラークテリーがいる。mumble(もぐもぐ) & grumble(ぶつぶつ)といわれる独特のフレーズは、時にトランペットを離れて、ヴォーカルでも披露することも。

テリーは、コンボでもビッグバンドでも。そして、リーダーになっても伴奏に回っても、どんな役回りでもこなせるオールマイティーのプレーヤー。
今回は、女性ヴォーカルの大御所キャロルスローンのお相手を務めたアルバムだ。
ジャケットの写真からも分かるように、ここではスローンのバックに回っているのではない。ヴォーカルも含めて、スローンとの互角に渡り合ったDuetプレーを披露する。
もちろん、素晴らしいトランペットのオブリガードを吹くこともあるが、ヴォーカルでも掛け合いを演じている、楽しいヴォーカルDuoの誕生だ。

トランペットを吹きながら、ヴォーカルでもDuoをやるとなると、あのサッチモとエラの共演、「エラ&サッチモ」のアルバムを思い浮かべる。
彼らもそれを意識したのか、エラとサッチモが歌った曲を選んでアルバム作りをしている。
実に、いい企画だ。
ベテラン2人の実に楽しげなDuoアルバム。
ジャケットの写真に偽りはなかった。

後期のConcordにはVocalのいいアルバムが多い。

1. I Won't Dance
2. Tenderly
3. Don't Be That Way
4. Can't We Be Friends
5. Gee, Baby, Ain't I Good To You
6. Autumn In New York
7. Let's Do It
8. Stars Fell On Alabama, The
9. Moonlight In Vermont
10. Blueberry Hill
11. Stompin' At The Savoy
12. When It's Sleepy Time Down South

Personnel:
Carol Sloane (vocals)
Clark Terry (vocals, trumpet, flugelhorn)
Bill Charlap (piano)
Marcus McLaurine (bass)
Dennis Mackrel (drums)

Concord CCD-4787




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新しいモダンな曲に取り組んで、今度は主役で・・・・

2007-07-22 | MY FAVORITE ALBUM
New Weave / Rare Silk

ベニーグッドマンが来日した時に、一緒に同行した女性コーラスグループがレアシルク。
先日この来日時のアルバムを聴いた時に、このグループのデビューの時を懐かしく思い出した。グッドマンと一緒に来日したことをすっかり忘れていたのだ。

今ではコーラスといえばマントラだが、マンハッタントランスファーの本格的なデビューは1975年。
デビュー後、徐々に人気を集めるようになって、第2のマントラ目指すグループが多かったのか、レコード会社が2匹目のドジョウを狙ったのか、コーラスグループが一時よく話題になったことがある。その中のグループのひとつが、この“RARE SILK”だ。
デビューが「ベニーグッドマンに見出されて」という経緯だったせいか、最初はノスタルジーをおぼえるスイング系のコーラスであったが、徐々にbopやファンキー調のモダンなサウンドを取り入れたグループになっていった。
活動期間は短命であったが、このアルバムは印象に残っていて時々取り出して聴くことが多い。

ヴォーカルグループには、ある意味BIG BANDに相通じる楽しみがある。
メンバーの声色は楽器の音色と同じ。人それぞれに違うが、それが重なり合うとまた新たな魅力が増す。そして、アンサンブルやハーモニーの楽しみもあれば、ソロの楽しみもある。
この魅力を引き出すためのコーラスのアレンジも腕の見せ所だ。
LHRのように、楽器のフレーズをヴォーカリーズしてしまうなどというような大胆な試みもあるし。
コーラスのアルバムをはじめて聴くときは、ヴォーカルのソロ以上にどんな歌声が聞こえてくるか楽しみである。
ちょうど、ビッグバンドのサウンドが楽しみなように。

このアルバムは、一曲目はアルトのリッチーコールの作品。続く2曲目はフレディーハバードのアルバムから曲と、当時の新しい曲をヴォーカライズして聴かせてくれる。さらに、「チックコリアの有名なスペイン」と当時のヒット曲が続く。
この曲は、なぜか規定課題のように色々なプレーヤーが取り組んでいる。
この時代の名曲なのだろう。

もちろん、曲だけでなく、曲に合わせて歌いっぷりもスイングからモダンなサウンドを取り入れて大きく変身・進化している。

デビュー当時はグッドマンが主役でバックコーラスであったが、今度は彼女達が主役。
ブレッカーブラザースやゲリーバーツなどの、当代一流のジャズミュージシャンをバックに従えて、彼らの新たな世界をたっぷり聴かせてくれる一枚だ。


1. New York Afternoon (3:45)
2. Red Clay (5:42)
3. You Know It's Wrong (3:42)
4. Lush Life (5:56)
5. Joy! (3:53)
6. (I Can Recall) Spain (4:52)
7. Sugar (5:22)
8. Happying (4:48)
9. D.C. Farewell (2:26)

<Rare Silk>
Gala Gillaspie (Vocals)
Todd Buffa Vocals (Group Member, Vocal Arrangement)
Mary Lynn Gillaspie (Vocals, Transcription, Group Member)
Marguerite Juenemann (Vocals, Group Member)

Richard Seidel Preparation
Ted Daryll Producer, Digital Remastering Assistant
Mark Simon Arranger
Randy Brecker Trumpet, Horn Arrangements, Guest Appearance, Soloist
Gary Bartz Saxophone, Sax (Alto), Guest Appearance, Soloist
Michael Brecker Sax (Tenor), Guest Appearance
Ronnie Cuber Saxophone, Sax (Baritone)
Bruce Forman Guitar, Soloist, Guest Appearance
Lawrence Feldman Saxophone, Sax (Alto)
Eric Gunnison (Keyboards)
Barry Wedgle (Guitar)
Kim Stone (Bass)
David Charles (Percussion, Vibraphone)
Mike Berry Drums

Ron Carran Engineer

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バックのアレンジャーが変わるとプレー振りも別人のように・・・・・

2007-07-21 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Portuguese Soul / Jimmy Smith

ある時、人が突然変身することがある。
髪型を変えたり、洋服を変えたりするのは簡単にできるが、もって生まれた雰囲気はなかなか変わるものではない。
ところが付き合う人が変わったり、仕事が変わったりして、生活環境ががらりとかわると廻りの雰囲気に合ってくる。そして、何となく人格も変わってきたりする。
「いい女」になるためのひとつの条件が、「いい男」と付き合わなければならないという所以だ。

ジャズの世界でもプレーヤーが自分のプレーをに変化を持たせるために、あるいは進化させるため。メンバーを変えたり、プロデューサーが変わったり、レーベルを移ったりは日常的に行われる。
ところが、持って生まれたプレーの本質はそうそう大きく変わるものではない。
たまに、チックコリアのように2重人格者のように、自分の特徴の2つの側面を同時に出せるプレーヤーもいるが。

一方、アレンジャーの個性というのも、知らず知らずの内にカラーが決まってくる。
同じ曲でもプレーヤーによって解釈や演奏が変わるのと同じように、アレンジ一つで曲の雰囲気ががらりと変わる。ビッグバンド物の楽しさのひとつは、オーケストラとこのアレンジャーとの組み合わせの妙にもある。

というわけで、ソロプレーヤーが普段のコンボでの演奏ではなくオーケストラをバックにした演奏で、組み合わせの妙で意外性のあるアルバムが生まれることがある。

先日紹介したのは、ファンキーでソウルフルなプレーを売りとするJimmy Smithが、オリバーネルソンのアレンジをバックにしたアルバム
Smithの特徴をさらにオーケストラをバックに前面に押し出した作りになっている。

一方で、このアルバムはがらりと雰囲気が違う。
今回のアレンジを担当したのは、あのサド・メルのオーケストラのアレンジで活躍したサドジョーンズ。
オーケストラのメンバーのクレジットは無いが、聴いたとたんにこのサウンドは、サド・メルのオーケストラというのが分かる。
ちょうどこのアルバムが録音された1973年頃は、サド・メルのオーケストラも所属レーベルが替わったとき。それまで以上にサドジョーンズの作品を中心にアレンジに凝ったアルバム作りをしていた時期だ。

この一番尖がったアレンジをしていた時のサド・メルをバックにすると、さすがに個性豊かなSmithのプレーも変身せざるを得ない。
いつものギトギトした脂っこさを抑えて、口当たりがいいが繊細なソースに合わせた演奏になっている。

曲の素材も、Smithがヨーロッパツアーでポルトガルを訪れた時の印象を組曲風にしたものが中心。いつものような曲の選曲、構成とはがらりと嗜好を変えている。
スローなテンポでラテンのリズムに乗ったANDILOVE YOU SO。
これはサドジョーンズのアレンジの得意技。柔らかなホーンと、フルートを生かしたサックスセクションをバックに、軽快なSmithのプレーで始まる。
続く、Blapもスローなテンポの木管のハーモニーのイントロで始まりSmithのソロが始まるが、途中で、フラメンコ風のリズムを合図に、アップテンポのロック調に。
この8ビートもサドジョーンズの特徴ある音作り。
アレンジャーの音作りの特徴が明確に出てくる。
Smithのプレーを引き立たせるアレンジというよりは、凝ったアレンジの合間にSmithのプレーが散りばめられているという感じだ。

この手のアルバムは大体好き嫌いや評価が分かれるものだが、サド・メルファンの自分としては、スミスのアルバムというよりは、サド・メルがバックに回って(実際には前面に出ているが)、Smithのまた違った側面を引き出したアルバムとして楽しめる一枚だ。
Smithの変身ぶりを聴けるのはおまけとして。

1. AND I LOVE YOU SO
2. BLAP
3. OPENING : PROLOGUE
4. 1st MOVEMENT:PORTUGUESE SOUL
5. 2nd MOVEMENT:RITUAL
6. 3rd MOVEMENT : FAREWELL TO LISBON TOWN

Jimmy Smith (org)
Thad Jones & Mel Lewis Orchestra
Arranged by Thad Jones
Recorded at A&R Studio New York , February 8 , 9 1973
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ビバップの夜明けの時、BrownとJacksonは・・・・

2007-07-20 | MY FAVORITE ALBUM
THINGS TO COME / DIZZY GILLESPIE

ミルトジャクソンとレイブラウンのアルバムでついついコメントしてしまった2人の出会いが気になって、ガレスピーの古いアルバムを探ってみた。
といっても、自分が持っているアルバムだけであるが。
ガレスピーのSextetの46年のセッションに2人の共演があった。ガレスピーのオーケストラに加わる前だ。

せっかくの機会なので、自分の頭の中もこの当時のおさらいしておくことにした。
46年といえば昭和21年。終戦の翌年である。
このアルバムを改めて通して聴いてみて、パーカーとガレスピーのビバップへの挑戦は、第2次世界大戦の真最中に行われていたのを再認識した次第。当然日本は終戦前後の大混乱の時、ジャズどころではなかった時だ。
チャーリークリスチャンのミントンハウス演奏が41年。それから5年が経っていた。
その当時の話としては、軍の慰問に廻っていた時に亡くなったグレンミラーの話が有名だ。
1944年のことだが世の中のJAZZ表舞台はやはりスイング全盛期であった。

一方で、ニューヨークの片隅ではビバップの誕生への挑戦が続いていたのだ。
ここにも収録されている、ガレスピーとパーカーの45年の共演がビーバップの誕生の原点であるといわれている。
このアルバムに収められているのは、ギルド/ミュージッククラフト盤の演奏。確かに、ここで聴ける2人のフレーズは明らかにスイングジャズの世界とは異質なものだ。
パーカーとのセッションでは、リズム隊がスイング系なので、いまひとつ飛びきれていないといわれるのもよく分かる。
45年5月11日のセッションではサラボーンのラバーマンも聴ける。

そして、5月15日のセッションに。
アルトはパーカーと別れた後Sonny Stittに代っている。ここにレイブラウンとミルトジャクソンが加わる。ドラムのケニークラークである。
いきなり、得意の「ワンベースヒット」
レイブラウンの図太い音が、悪い録音でありながらよく分かる。
ここでは、完成されたバップの演奏になっている。

さらに直後の45年の7月、まさに第2次世界大戦が終わろうとしているとき、ガレスピーは最初のビッグバンドを編成した。ケニードーハムやチャーリーラウズ、そしてマックスローチを擁して南部のツアーに出たがこれは見事に失敗してすぐに解散。ニューヨークに戻る。
その後、パーカーと一緒に再びコンボを組んだが、結局46年の春にはパーカーと別れることに。

46年5月にガレスピーは再びBIG BANDを編成するが今度は大成功。
50年までの間多くの録音を残すことになる。
ビリーエクスタイン楽団によって、試みられたバップのビッグバンド化は、ガレスピーによって完成されたということになる。
衝撃的な爆発力を持ったアンサンブルは、明らかにスイングバンドとは異次元のBIG BANDの誕生だ。これが、50年代のモダンビッグバンドにつながっていくことになる。
このアルバムには、46年6月及び11月の録音が収められているが、これに参加しているのがRay BrownとMilt Jackson。バップオーケストラの筋金入りの経験者だ。
その後、2人がコンボであろうとビッグバンドであろうと、彼らのスイング感の原点はこの辺りにあったのであろう。

Milt JacksonとRay Brownの関係も詳しく調べるときっと逸話がいくつもあると思うが、研究家でもないのでこの辺りにしておこう。

●Blue 'N' Boogie
Dizzy Gillespie (tp) Dexter Gordon (ts) Frank Paparelli (p) Chuck Wayne (g) Murray Shipinski (b) Irv Kluger (d)
NYC, February 9, 1945

●Groovin' High
●All The Things You Are
●Dizzy Atmosphere
Dizzy Gillespie (tp) Charlie Parker (as) Clyde Hart (p) Remo Palmieri (g) Slam Stewart (b) Cozy Cole (d)
NYC, February 28, 1945

●Salt Peanuts
●Shaw 'Nuff
●Lover Man
●Hot House
Dizzy Gillespie (tp, vo) Charlie Parker (as) Al Haig (p) Curly Russell (b) Sidney Catlett (d) Sarah Vaughan (vo -3)
NYC, May 11, 1945

●One Bass Hit, Pt. 1
●Oop Bop Sha Bam
●A Handfulla Gimme
●That's Earl, Brother
Dizzy Gillespie (tp, vo) Sonny Stitt (as) Milt Jackson (vib) Al Haig (p) Ray Brown (b) Kenny Clarke (d) Gil Fuller, Alice Roberts (vo)
NYC, May 15, 1946

●Our Delight
●Good Dues Blues
Dave Burns, Talib Daawud, Dizzy Gillespie, John Lynch, Ray Orr (tp) Leon Comegys, Charles Greenlea, Al Moore (tb) John Brown, Howard Johnson (as) Ray Abrams, Warren Lucky (ts) Pee Wee Moore (bars) Milt Jackson (p) Ray Brown (b) Kenny Clarke (d) Alice Roberts (vo)
NYC, June 10, 1946

●One Bass Hit, Pt. 2
●Ray's Idea
●Things To Come
●He Bepped When He Shoulda Bopped
Dave Burns, Talib Daawud, Kenny Dorham, Dizzy Gillespie, John Lynch, Elmon Wright (tp) Leon Comegys, Alton "Slim" Moore, Gordon Thomas (tb) Howard Johnson, Sonny Stitt (as) Ray Abrams, Warren Lucky (ts) Leo Parker (bars) Milt Jackson (vib) John Lewis (p) Ray Brown (b) Kenny Clarke (d) Alice Roberts (vo)
NYC, July 9, 1946

●I Waited For You
●Emanon
Dave Burns, Dizzy Gillespie, John Lynch, Matthew McKay, Elmon Wright (tp) Taswell Baird, Al Moore, Gordon Thomas (tb) John Brown, Scoops Carey (as) Bill Frazier, James Moody (ts) Pee Wee Moore (bars) Milt Jackson (vib) John Lewis (p) Ray Brown (b) Joe Harris (d) Kenny Hagood (vo)
NYC, November 12, 1946
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

このメンバーが集まれば、「カンサスシティー」に想いを寄せて・・・・

2007-07-19 | MY FAVORITE ALBUM
KANSAS CITY MEMORIES / Nat Pierce and his Orchestra

1955年、ウディーハーマンのサードハードを離れたナットピアースは、New Yorkでスタジオワーク中心の仕事をすることになる。
1956年の6月、そのNew Yorkで、ラジオのDJをやっているAL ‘jazzbo’ Collinsがプロデュースしてスモールグループを集めた。
ピアースの他は、一緒にハーマンオーケストラにいたトロンボーンのBill Harris。
さらに、ベイシーのバンドのJoe Newmanのトランペット、Freddie Greene、そしてベイシーにいた、Hal Mckusickのアルトに、ドラムのJoe Jones。
このメンバーになると、どう見てもベイシーのバンドの音が聞こえてくる。
ピアースのピアノは、よくベイシーに似ているといわれるが、まさにベイシーの役を演じる舞台が揃った。ピアースの役割はベイシーの影武者とならざるを得ない。

といっても、ベイシーのコピーではなく、曲の半分はピアースが提供しアレンジもピアースが行うことになるが。このバンドから聞こえる音は、やはりベイシーが得意とする古き「カンサスティー」の香りがプンプン漂う。

その後ピアースは、60年代の始めは再びハーマンに復帰するが、60年代後半には西海岸に移る。そこでもこのベイシー譲りの「カンサスシティーの香り」を大事に活動する。
HANNAとのアルバムもその一枚である。
その後、Capp-PierceのJuggernautオーケストラで活躍するが、Concordにも何度か登場することになる。

実は、ベイシーもピアースもカンサスシティーの出身ではないが、カンサスシティーの古き良き伝統のJAZZを守った二人だ。

THE BEARDED ONE
I’LL BUY THAT DREAM
MAPLE LEAF RAG
SLIPPERY WHEN WET
A TRIP TO NATHANES
OLD REV
SIOUX CITY SUE
THAT’S ALL
A AIN’T GOT NOBODY
ROJISERRO

<Personnel>
Joe Newman (tp)
Bill Harris (tb)
Hal Mucksick (as)
Nat Pierce (p)
Freddy Greene (g)
Oscar Pettiford (b)
Joe Jones (ds)

Recorded in New York , June 1956



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピアノはそもそもソロで聴かせる楽器であったが・・・

2007-07-18 | CONCORD
SCRIMSHAW / ROSS TOMPKINS

タイトルの“SCRIMSHAW”とは、象牙に施す彫刻のことだそうだ。
ピアノの鍵盤は、白鍵は象牙、黒鍵は黒檀で作られていたのが元々の姿。
今では、そのような物は稀だとは思うが、象牙とピアノは関係が深いということになる。

このアルバムは、まさに、ピアニスト“ROSS TOMPKINS” が、ソロで「鍵盤に彼の全知全霊」を刻み込んだということであろう。
Concordは小編成の演奏はあるが、全編全くソロだけのアルバムはこれが初めてだ。

ジャズの歴史の中で、ピアノはそもそもソロ楽器。
ラグタイムとか、ストライドとか、ブギウギなど奏法は変化していったが、ジャズの歴史の中ではピアノが前面に出てソロ楽器として活躍していた時期もある。
しかし、ジャズバンドが大規模な編成になると、その中でのピアノの役割はリズムセクションの一員に。
だんだん脇役になり管楽器の引き立て役になっていった。
あのカウントベイシーもファッツウォーラーを師と崇め、最初はテクニックを競うようなプレーをしていたが。自分のバンドを持つと、いつの間にかバンドの音の合間を埋める役割に。
いつの間にか、あの特徴ある3本指のプレーに変わっていった。

普段そんな役回りになっているピアノが、ソロになるとどうなるか。
ソロ楽器として思う存分ピアノの魅力を出し切れるかどうかは、プレーヤー次第。腕の見せ所である。

ROSS TOMPKINSという名前は日本ではあまり知られていないと思う。
60年代の後半はNew Yorkに居を構え、AL&ZOOTやClark Terry&Bob Brookmeyerのコンボでハーフノートにも出演していた。この共演盤も探すとあるのだろうが、全く記憶にはない。

そして1972年、テレビのTonight Showに出演していたTompkinsは、テレビ番組が西海岸に移るのと一緒に西海岸に拠点を移すことになる。Bill Berryと同じ境遇だ。この頃のニューヨークのスタジオミュージシャンは同じような境遇であったのだろう。
西海岸に移った後は、引き続き1992年までTonight Showをベースとしていた。コンボや、ルイベルソンのBig Bandにも加わって、地元のクラブ”Donte”などにも出演していた。
この経歴でも分かるように、あらゆる編成のバンドに加わって色々なプレーをしていた。
スタジオミュージシャンの常であるが、このようなキャリアだとそのプレーヤーの本当のプレーの姿がなかなか分からない。

このConcordレーベルにも、すでに、
RHYTHM WILLIE / Herb Ellis & Freddie Green
A PAIR TO DRAW TO / HERB ELLIS & ROSS TOMPKINS
LIVE AT THE CONCORD SUMMER FESTIVAL / LOUIE BELLSONS’S 7
の3枚に加わっているが、それぞれのアルバム(グループ)の個性は微妙に違う。
ピアニストとしてのTompkinsもそれに合わせて色々な顔を見せている。

今回は、ソロピアノ。
さすが、一人でプレーするとなると他人の影響は全く無い。
どう料理するか、相手は曲だけになるが。
今回は、すべてスタンダード曲を取り上げている。いずれも名演が数多くある曲ばかりであるが、一曲目のCheek to Cheekから本領発揮だ。
基本的に原曲を生かしながら、ゆったりとした自由なテンポで始まる。ピーターソンライクのテンポなフレーズに展開していく様は、奇抜さを狙わず、メインストリームジャズのソロピアノの見本のようだ。
素材となる曲の選び方も、特徴あるDJANGOを入れたり変化をもたせている。
自分としては、最後の3曲が特に好きな曲でもあり気に入っている。
久々に聴いたが、特に構える必要も無く、気楽にけれどもじっくり味わいながら聴くことのできるアルバムだ。

CHEEK TO CHEEK
COME RAIN OR COME SHINE
SOON
THE SONG FROM MOULIN ROUGE
LIKE SOMEONE IN LOVE
THE NIGHT HAS A THOUSAND EYES
GOODBYE
DJANGO
SKYLARK

ROSS TOMPKINS (P)

Recorded in 1976 (CJ-28)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

企業の社会的責任と巷でよくいわれているか・・・・・

2007-07-17 | MY FAVORITE ALBUM
KING OF SWING AT AUREX Jazz Festival ‘80 / Benny Goodman

この3連休は台風かと思ったら今度は地震。
自然の力だけには逆らえないということを改めて思い知らされた次第。
所詮、人間が作り上げたものは自然の前には無力だということを痛感した。

さてさて、人間が作り出したルールや仕組みはあるが、これもほどほどにしないと。何のためのルール化を見直さないと、前提が違ってきていることはよくある。

最近の世の中はコンプライアンスとかがよく言われるようになり、なかなか会社生活もやりにくい時代になった。最近の年金問題のようにいい加減な状態をなあなあで放置しておくことはもっての他だが、何から何まで利益至上主義、株主のご機嫌をとるような会社経営ばかりがはびこる社会が、我々の日常生活で住みよい社会にはならないと思う。

一方では、企業の社会的な貢献というのもうたわれており、特に昨今では環境問題への取り組みの姿勢が問われる時代になっている。ここでの環境とは人間が勝手に破壊してしまった自然環境のこと。
しかし、社会が安定して人々が心休まる生活をおくれる世の中も大事である。最近常軌を逸する事件が多発するが、こえは人の心の中が病んでいる証拠。どんな自然環境の変化にこれまで耐え忍んできた、人の内面を支える環境がもっと大事なのかもしれない。

こんな時こそ、文化活動に対する企業の貢献が今問われる時代だと思う。
日本のアマチュアスポーツを支えていた企業のスポーツチームの維持も、コスト削減が一番の目的になってしまった企業ではなかなか維持が難しくなっている。
アマチュアスポーツの火が消えつつなかで、プロが育つわけがない。

音楽活動に対する企業のスポンサードもしかりである。
昔は、企業の名を関した大きなJAZZフェスティバルがいくつも開催され、大聴衆を集めていた。自分も何度も足を運んだものだ。
なかなかお目にかかれない大スターの目の前にして、遠くのステージに目をこらし、聴き入ったものだ。

その中のひとつが、Aurexジャスフェスティバル。
ニューポートジャズフェスティバルのプロモーターである、ジョージウェインのプロデュースで開催された。このブランド(企業)は、クラッシックのコンサートも継続的に行っていたので、当時、音楽の世界には大きく貢献していた。
今では、オーディ機器自体が電機メーカーの商品の中ではマイナーになってしまったが当時はメイン商品の一つ。
当時は企業経営もバブル時代。社会貢献というよりは、プランド戦略のマーケティングコストでこんな活動ができた時代だったのだ。

今時、こんなコンサート企画をしてもスポンサードするような企業はないであろうし、やったところで果たして客が集まるかどうか、余計な心配をしてしまう。
まあ、我々世代は隠れファンが結構いるので、今後の日本の文化程度を守るためにも、そろそろ考えなくてはいけない時期かもしれない。

さて、この80年のAurexジャズフェスティバルに、“KING of SWING”BENNY GOODMANが登場した。ピアノのテディウィルソンとの再会も話題であった。
この手のお祭りでの演奏は、あまり内容をとやかくいうのはお門違い。実に楽しいステージの模様が収録されている。
ただし、聴衆が調子にのって手拍子をするのはいいが、「前ノリの手拍子」は今ひとついただけない。
ジャズはやはりアフタービートでなくては。
日本のライブは、これですぐに分かる。先日のエディーコンドンでもそうだった

昔のアルバムをじっくり聴きなおすと新たな発見がある。
この、コンサートにベニーグッドマンが数ヶ月前に見つけてきたという”Rare Silk”のコーラスが加わっていた。

それにしても、この演奏会、横浜スタジアムでは3万人を集めジャズのコンサートでは新記録を上げ、その模様はNHK総合のゴールデンアワーに放映されて高視聴率を上げたとは改めて驚きだ。
JAZZで大観衆を集めた時代が確かにあった。

AVALON
BODY AND SOUL
Oh,LADY BE GOOD
THE WORLD IS WAITHING FOR THE SUNRISE
THAT’S A PLENTY
BROARDWAY
GOODY GOODY
DON’T BE THAT WAY /STOMPIN’ AT THE SAVOY
AIR MAIL SPECIAL
MEMORIES OF YOU
SING,SING SING
SWEET GEORGEA BROWN
GOODBY

Benny Goodman (cl)
Teddy Willson (p)
Eddie Duran (g)
Tony Terran (tp)
Dick Nash (tb)
Al Obidenski (b)
John Markham(ds)
Rare Silk (vocal)

Recorded on 3(Budokan) ,6(Osaka Expo Park), 7(Yokohama Stadium) September 1980

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする