A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ボブ・ブルックマイヤーには珍しいワンホーンアルバムのカップリング・・・

2014-03-31 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
The Blues Hot and Cool + 7X Wilder / Bob Brookmeyer

ボブ・ブルックマイヤーが亡くなって3年経つ。晩年はアレンジャーとして活躍したがプレーヤーとしても息の長い活躍をした。レギュラーグループだとジェリーマリガンやクラークテリーとのコンビが有名だ。スタンゲッツともよくコンビを組んだが、誰と組んでも相手のプレーを引き立たせる名パートナーぶりを発揮する。

何の世界でも名脇役がいる。このブルックマイヤーも女房役として主役の引き立て役が似合うタイプだ。彼の楽器はトロンボーンでもバルブトロンボーン。ディキシー時代からトロンボーンは主役のトランペットの引き立て役であったが、バルブトロンボーン故の細かいフレーズワークは超低音のトランペットのよう。こんな絡み方を得意としていた。よくうたうプレーぶりだが、出身地のカンサスシティージャズのDNAを身に付けていたのかもしれない。

そのブルックマイヤーだが、ペッパーアダムスやズートシムスと同様、彼も50年代末から60年代初頭にかけて、821 6TH Ave.のロフトの常連だった。ニューヨークではスタジオワークの傍ら昔の相棒であったジェリーマリガンのコンサートバンドへ参加していたが、このロフトで繰り広げたコラボプレーを再現したようなアルバムを何枚か残している。

一番有名なのはビルエバンスとのピアノのコラボ”Ivory Hunter”だが、同じ時期にブルックマイヤーとしては珍しいワンホーンアルバムが2枚ある。その2枚がカップリングされて、CD化されているのがこのアルバム。どちらも、脇役から主役への変身が試されたアルバムとなった。



元のアルバムの一枚は”The Blues-Hot-And-Cool”.
ピアノのジミー・ロウルズが加わったトリオ。ベースはバディー・クラーク、ドラムはメル・ルイスだ。昔からのプレー仲間、主役ブルックマイヤーを引き立たせるバックとしては適任だ。

メル・ルイスも丁度ニューヨークに出てきたばかり。ブルックマイヤーと共にジェリーマリガンのコンサートビッグバンドに加わっていたが、メル・ルイスとブルックマイヤーのコンビはサドメルの立ち上げ時、さらにはサドジョーンズが去った後のメルルイスオーケストラでも深い関係がある。2人が最初にプレーをしたのは1952年、ブルックマイヤーがプロ活動を始めた頃すでに一緒にプレーをしている。ブルックマイヤーにとっては長い付き合いとなった一人だ。

ライナーノートに、発売当時のダウンビート評が載っている。「ブルックマイヤーのプレーはこれまでのアルバムではどれも”too lazy”、まるでベットで寝転がっているような感じであったが・・・」、「ところがこのアルバムは違う、エンジン全開でジャズの音節を取り込んでいる」と。
スタジオワークで色々なタイプの音楽に日々接している事、そしてLoftでのプレーの成果で演奏の幅が広がったのかもしれない。

ブルックマイヤーの好プレーを引き出した選曲もツボにはまっている。オリジナルのブルースの2曲が実にいい感じだ。他のポピュラーな曲の選曲もブルックマイヤーのメロディアスなプレーにはジャストフィット。



もう一枚は、”7x Wilder”。
こちらはギターのジムホールとのコラボになるが、ブルックマイヤーはトロンボーンだけでなくこのアルバムではピアノも弾いている。ビルエバンスとのアルバムも当初はトロンボーンで共演する予定だったのが急遽ピアノ同士のコラボになったといわれる。ブルックマイヤーは、デビューしてすぐのビッグバンド時代はピアニストとして参加したことも多かったようなので、ピアニストとしても一人前だ。

ジムホールとはジミージュフリーのグループで一緒だったが、Loftでのセッションでも良く一緒にプレーをしていたようだ。ベースはビル・クロウ、ドラムはこちらもメル・ルイス。このメンバーも、ジェリーマリガンのコンサートビッグバンドを含め良く一緒にプレーをしていた仲なので気心は通じ合った同士。
こちらのアルバムは、素材としてはAlec Wilderの作品集となっているが、ジムホールとのコラボプレーが聴きどころ。

この後、マリガンのバンドで一緒だったクラークテリーとレギュラーグループを組むことになったが、チームプレーが多かった中で、ブルックマイヤーの主役ぶりをたっぷり味わえる2枚のアルバムだ。

1. On the Sunny Side of the Street   Dorothy Fields / Jimmy McHugh 6:04
2. Stoppin' at the Savoy        Bob Brookmeyer 5:54
3. Languid Blues           Bob Brookmeyer 7:21
4. I Got Rhythm           George Gershwin / Ira Gershwin 4:53
5. Smoke Gets in Your Eyes      Otto Harbach / Jerome Kern 5:48
6. Hot and Cold Blues         Bob Brookmeyer 7:57
7. While We're Young         Bill Engvick / Morty Palitz / Alec Wilder 6:09
8. That's the Way It Goes       Sidney Robin / Alec Wilder 4:42
9. The Wrong Blue           Bill Engvick / Alec Wilder 4:32
10. It's so Peaceful in the Country    Alec Wilder 4:04
11. Blues for Alec           Bob Brookmeyer 6:07
12. I'll Be Around           Alec Wilder 4:28
13. Who Can I Turn To?        Bill Engvick / Alec Wilder 4:26

1-6 The Blues Hot and Cool
Bob Brookmeyer (vtb)
Jimmy Rowles (p)
Buddy Clark (b)
Mel Lewis (ds)
Recorded in June 1960, New York

7-13 7 X Wilder
Bob Brookmeyer (vtb,p)
JimHall (g)
Bill Crow (b)
Mel Lewis (ds)

Recorded on June 29, New York

THE BLUES HOT AND COLD + 7 X WILDER
Bob Brookmeyer
LONEHILLJAZZ
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久々に昔の仲間とジョンバンチを迎えて・・・

2014-03-29 | CONCORD
Close Up / Scott Hamilton

自分は東京生まれの東京育ち、残念ながら田舎というものがない。学生時代の仲間といっても東京育ちなので彼らと会う事はあっても、「昔良く行ったあの店はどうなった?」とか、「東京も昔と変わったね」とかの話題で、残念ながら遠く離れた故郷の話題といったものは無い。
友人に地方出身がいるが、彼が地元の友人と会うと、話の中身だけでなく話し方も地方訛りになってすっかり別世界にワープしてしまう。もっとも、地方の出身者も故郷を離れ長く都会生活が続き、すっかり生活の拠点が都会になると、昔の仲間とはなかなか会う機会が無くなってしまうようだ。

それは、本場アメリカのジャズの世界でも同じで、実力があり人気が出ると活動拠点は自然とニューヨーク、西海岸へと移る。

テナーのスコットハミルトンも出身地はボストン。当初はボストンで活動していたが、ニューヨークに出てきてすぐにジェイクハナの目に留まりConcordにデビューする。1976年22歳の時だった。
Concordの発展と共に、ハミルトンもコンコルドのスタープレーヤーとして世界を股にかけて活躍するようになり、5年後には20枚以上のアルバムを残すようになった。
オールスターズでの演奏あり、リーダーアルバムあり、歌のバックありでバラエティーに富んでいるが、デビュー当時一緒に活動していたボストン時代のメンバーと共に録音したのは初期の極僅かであった

世界的なスターとなったハミルトンにとって、故郷ボストンのメンバーと演奏する機会は少なくなっていた。まして、レコーディグとなるとどうしてもプロデューサーであるカールジェファーソンの意向が強くなり、彼の選んだ大物との共演が多くならざるを得なかった。そんな時に、久々に昔のボストン時代の仲間との演奏する機会ができた。

ハミルトンが自己のグループのピアノにベテランのジョンバンチを招く。
このバンチはソロプレーヤーというよりビッグバンドや歌のバックが得意であった。ベニーグッドマンやウディーハーマンでプレーしバディーリッチのビッグバンドのファーストアルバムにも参加していた。この録音の直前は、ファイマスドアの中間派のセッションにもよく参加していた。先日紹介したブッチマイルスのアルバムにも

テディウィルソンの影響を受けたというピアノは、いわゆる中間派の演奏にはピッタリ、ハミルトンとの相性も自ずと期待できるピアノだ。

彼らのバックを務めるのは、1975年まだボストンのクラブに出演していた時の仲間達。コンコルドのアルバムに登場するのも久しぶりだ。地元に帰った時は一緒に演奏することもあったとは思うが、彼等とのプレーは当然「普段着」の演奏になる。

今回は特にピアノのジョンバンチが加わったとはいえ、これまでのアルバムのような大物対決ではない。変な気負いもなく、ハミルトンらしさが特に全体に溢れている。デビュー当時からそのスタイルから若々しさより老獪さを感じたが、年を経て早くも本物の円熟味を増したプレーぶりに育っている。
曲によって微妙にトーンが変わるが、彼が影響を受けたという、ベンウェブスター、アーネットコブなどの雰囲気が良く出ている。
自己のアルバムということもあって自分のオリジナル曲も2曲披露しており、「久々に自宅に帰って寛いだ」といった雰囲気の好演だ。

コンコルドのニューヨーク録音で、Ed TrabancoというエンジニアがGetzのアルバムから登場するが、フィルエドワーズ直伝のコンコルドサウンドを引き継いでいい音でハミルトン節を聴かせてくれる。

1. All of You            Cole Porter  4:29
2. I Remember You        Johnny Mercer / Victor Schertzinger  5:14
3. Mad About You         Ned Washington / Victor Young  4:07
4. Robbins Nest          Illinois Jacquet / / Sir Charles Thompson  5:28
5. Was I To Be Falling in Love With  You?  G. Kahn / M. Newman / V.Young  4:31
6. Blue City             Scott Hamilton  4:42
7. Mr. Big and Mr. Modem       Scott Hamilton  4:31
8. Portrait of Jennie         Scott Hamilton  5:22
9. Soft                G,Burdge-R,Robinson  3:18

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer : Ed Trabanco
Recorded in New York, February 1982
Originally released on Concord CJ-197

Close-Up
Scott Hamilton
Concord Records
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普段着のドナルドバード&ペッパーダムスクインテットのベストアルバムでは・・・・・

2014-03-28 | PEPPER ADAMS
Out of This World / Donald Byrd & Pepper Adams Quintet

1960年11月ベツレヘムレーベルへ”Motor City Scene”を吹き込んだ後、クインテットはシカゴのピカデリーホテルのThe Counter Jointというクラブへ出演していた。ここへ出演していた最中に、バードはデュークピアソンのピアノに代わってハービーハンコックを雇った。

シカゴ出身のハンコックはこの時、グリネルカレッジで学ぶ21歳の学生であった。とはいうものの地元では11歳でシカゴ交響楽団とモーツァルトのピアノコンチェルトを演奏したという早熟の天才ピアニストはすでに地元では知られていた存在であったようだ。
このハンコックのプレーにバードは満足したのだろう。バードはハンコックを一緒に連れてニューヨークに戻る。
まだ一緒にプレーを始めて一カ月であったが、このメンバーでWarwickという新興レーベルでアルバムを作ることに。これが、その時のアルバムだ。

前作に続いてドナルドバードもブルーノートから離れての作品、何の制約もないその時のクインテテットの真の姿をとらえたアルバムとなった。ハンコックの参加が華を添えるが、ハンコックにとってのデビュー作ともなった。

人は成長するにしたがって社会との接点が増えると自然と表向きの顔と内向きの顔ができてくる。仕事となると何の職業であっても客相手だと作った自分が求められそれを演じなければならないのは仕方がない事。会社勤めをしていれば会社の命令は絶対だ。もっとも普段の自分と違う自分を演じていると、新たな自分の能力と可能性を発見できるので、結果的自然と幅が広く懐の深い人間が形成されてくる。

バランスがとれた人間形成には社会的な接点が多ければ多いほどいいと自分は思う。最近では、老若男女を問わず引き籠りの人間が増えているという。人との接点がネットだけというのでは、バランス感覚を持った人格形成は難しい。最近の異常な事件のニュースを聞くにつけ、現代社会の人が育たない病根はあちこちに予想以広がっているかもしれない。

さて、バード&アダムスクインテットだが、ブルーノートでの演奏が表向きの余所行きの顔とすれば、このアルバムは同じ職場の仲間であっても仕事帰りに仲間内でちょっと一杯といった感じのリラックスした一面をとらえた普段着の演奏だ。
前作のMotor City Sceneが普段の仕事仲間ではなく久々にデトロイト時代の「昔の仲間との一杯」とすると、このアルバムは新たにチームに加わったハンコックの歓迎会を兼ねたアルバムだ。
演奏だけでなく選曲もブルーノート向けの表の顔に対して、ライブ用のラインナップの曲を中心とした普段の顔を見せてくれる。

バードの作曲した2曲もシカゴとミルウォーキーのジャズクラブに捧げた曲、ラッキーのテーマはヘンリーマンシーニの当時流行っていたテレビの主題歌、エリントンナンバーのデイドリームではアダムス、そしてイッツアビューティフルデイではバードの低音域を生かしたのそれぞれ渾身のバラードプレーが聴ける。ハンコックのリリカルなバックも新人とは思えない。いずれもいつものファンキー調とは少し異なった感じの好演だ。

このアルバムだが、Warwickから当初はリリースされたが、版権がきちんと管理されないままにその後色々なレーベルから出ることに。アダムスを始めとしたミュージシャンには一切還元されなかったようだ。

この年、1961年にこのクインテットは最後を迎えるが、このグループにはどうも最初から金運には恵まれなかった。

1. Byrd House       Donald Byrd 10:50
2. Mr.Lucky        Henry Mancini 8:07
3. Day Dream       Ellinton-Strayhorn 5:07
4. I’m an Old Cowhand   Johny Mercer 9:42
5. Curro’s         Donald Byrd 11:50
6. It’s a Beautiful Evening  Wayne-Rasch 5:20
7. Out of this World     Arlen-Mercer 9:38

Donald Byrd (tp)
Pepper Adams (bs)
Herbie Hancock (p)
Laymon Jackson (b)
Jimmy Cobb (ds)
Teddy Charles (vib) #6

Recorded in January 1961 in New York



OUT OF THIS WORLD-THE COMPLETE WARW
Donald Byrd & Pepper Adams
FRESH SOUND
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活きたライブをやるにはそれなりの日々の努力が・・・・

2014-03-24 | MY FAVORITE ALBUM
Jazz Alive / A Night At The Half Note / Zoot Sims & Al Cohn

この前の3連休はお彼岸。墓参りに行かれた方も多いであろう。いつもは閑散としている自宅近くの多磨墓地もこの日ばかりは多くの人でごった返していた。
自分は父の命日が18日、少し早目の墓参りをすませてきた。お彼岸近くが命日だとついつい命日の墓参りと彼岸の供養を一緒に済ませてしまうが、故人の供養と先祖の供養は同じようで違う事。きっとそれではいけないのだろう。
最近では葬儀でも、告別式から初七日の法要までを流れ作業のように一日で片付けてしまう。世の中ある種の合理主義がはびこっているが、世の中の伝統やしきたりのひとつひとつの意味を見直す時かもしれない。

3月23日はズートシムスの命日だった。1985年に亡くなったので、もう30年近く経つ。還暦を目前にした59歳で他界したが、シムスも好きなミュージシャンの一人、もう少し長生きしてほしかった一人だ。
一日にボトル2本を軽く空け、水代わりにビールを飲むほどのヘビードランカーだったようで、お酒に絡んだ逸話はいくつも残されている。あの滑らかなフレーズを繰り出すプレーぶりは酔っぱらってプレーするからこそできる技かと思ったが、プレーの時は案外正気だったそうだ。酒の強さには恐れいる、下戸な自分には想像を絶する。しかし、このきっと深酒が命を縮めたのであろう。何事も程々がよろしいようで。

このシムスだが、15歳でプロ入りし多くのバンドを渡り歩き百戦錬磨で鍛えられてきたが、レスター・ヤングの流れを組むスタイルは晩年まで大きく変わることは無かった。リーダーとして自己のグループを引っ張るというよりは、ビッグバンドやスタジオワークでも色々なセッションに数多く参加していたオールマイティープレーヤーだ。特に、ベニーグッドマンには気に入られていたようで、ツアーがあるとよくオーケストラに加わっていたようだ。

このシムスだが、中堅プレーヤーになってもニューヨークを拠点としてスタジオワークに精を出す傍ら、仲間達とのセッションで技を切磋琢磨することは欠かさなかった。ペッパーアダムスも参加していた、50年代末から60年代の中頃まで続いたLoftでの仲間内での深夜のジャムセッションでは、リーダー格の存在であった

この日々の修行の成果の発表の場がコンボでの活動であったが、その一つが同じテナーのアルコーンとの双頭コンビ。2人のコンビは1952年に始まるが、この2人は有名なウディーハーマンのセカンドハードのサックスセクションに並んで参加していた。この流れで意気投合してコンビを組んだのだろう。2人のコンビは、このLoftが活況を呈していた59年に入っても続いていた。

2人が59年2月にハーフノートに出演した時のライブの演奏が残されている。このアルバムも名盤といわれているが、ライブならではの臨場感の中で2人の熱く流れるようなプレーが楽しめる。単なるバトルでもなく、かといってアンサンブルを売りにするわけでもなく、似たようなタイプの2人のソロプレーを対比させるチームプレーは、テナープレーを純粋に味わうには格好のコンビであった。

B面の曲にはゲストでフィルウッズが加わっているが、こちらも良くスイングするアルトは2人のプレーによく馴染んでいる。「突く」ようなアクセントでメリハリをつけるウッズ独特の節回しはアグレッシブで、グループ全体にも刺激を与えたようだ。このウッズのジーンクイルとのコンビも似たようなコンセプトの双頭チームであった。

このライブを聴くと、観客受けするような派手なパフォーマンスがあるわけでもなく、レコードのプロモーションでもなく、普段仲間同士がLoftで日々繰り広げた実直な演奏を披露しているように思える。このLoftに出入りしていた他のメンバー達、ボブブルックマイヤーやジムホールのその後の活躍をみると、皆、このLoftでの日々の精進がその後の糧となっていたのは間違いないであろう。

1. Lover Come Back To Me
2. It Had To Be You
3. Wee Dot
4. After You’ve Gone

Al Cohn (ts)
Zoot Sims (ts)
Phil Woods (as) #3,4
Mose Allison (p)
Nabit Totah (b)
Paul Motian (ds)

Produced by Jack Lewis
Recorded live at The Half Note on February 6 & 7, 1957
Engineer : Dick Olmsted


Jazz Alive! A Night At The Half Note
Al Cohn & Zoot Sims
BLUE NOTE
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ライブの雰囲気を再現するアナログ録音の素晴らしさ・・・・

2014-03-22 | JAZZ LIFE
Miyanoue-Oka Quartet Live in Mexico

昨日の晩は、久々に2人の大物の共演を聴けた。
ギターの宮之上貴昭とピアノの吉岡秀晃のDuo+1。

実は、この2人の共演を始めて聴いたのは今から30年以上前。以前もブログで書いたことがあるが、ピアノの吉岡が東京に出てきて間もない頃、ベースの金井英人に連れられてきて知人のホームジャズパーティーで弾いたのを聴いたのが最初だ。

パーティーは何回か続いたが、ある時、ギターの宮之上も一緒であった。若手であったが、モンゴメリー張りのスインギーなギターにびっくりした。吉岡のピアノもスインギーなバップスタイル。リクエストは何でもOKで、ウェスモンゴメリーとウィントンケリーの共演を思い起こすような演奏を繰り広げてくれたのを鮮明に覚えている。
会場で2人に聞いた所、2人もそのパーティーの事は良く覚えているとのことだった。
印象的なライブであったのだろう。

その後2人が有名になりレコードやCDでは良く聴いたが、なかなかライブで聴く機会は無かった。さらに2人一緒の演奏となると。

たまたまその2人が揃って荻窪のルースターに出演するのを知り、久々に出掛けてみた。
30年も経つと2人もすっかり貫禄がついているが、そういう自分自身も同様。月日が経つのは早いものだ。

2人はその当時から今まで30年来のプレー仲間、これまで数えきれないほど一緒にプレーしたことがあるということもあって、呼吸はピッタリ合って普通のセッションとは大違い。年季の入ったコレボレーションの楽しさを満喫させてもらった。

その会場で、紹介があったのがこのアルバム。
3月30日に発売予定だそうで、今日現在まだ世には出ていないアルバムだ。
ギターの宮之上は良く海外のジャズフェスティバルにも参加しているが、このアルバムは昨年の夏にメキシコシティーのジャズクラブBlue Monkに招かれた時のライブを収めた物。テナーの岡淳が一緒に参加しているが、ベースとドラムは地元のミュージシャン。
お馴染みのスタンダード曲がタップリCD2枚に収められている。昨日のライブも、これに収めらえている曲が多かった。

ジャケットのデザインにカセットテープのイラストがあるのが気になったが、家に帰ってから中を見てビックリ。このライブはあのSONYの往年の名機「カセットデンスケ」を使ってワンポイントマイクで録られたものだった。録音したのはテナーの岡淳自身。良くミュージシャンがライブの会場で手軽に録音をしているのを見かけるが、やり方次第でCDをつくれる音が録れるのかとびっくり。

先日来、録音の良し悪しに少しこだわっていたので、期待半分、諦め半分でCDをかけてみる。まずは手軽にPCでと思ったが、音の良し悪しを聴き定めるにはメインの装置を使って少し大きめのボリュームで。
ところが聴いてみてビックリ。ワンポイント割には4人の音のバランスもピッタリ。ワンポイントだとドラムがどうしてもオフ気味になるが左程気にならない。それよりもライブという事もあり、会場の臨場感がそのまま再現されている。楽器の編成は違うものの、昨晩ライブを聴いたばかり、思わず会場の様子を思い浮かべてしまう。

30年前のホームパーティーの思い出、そして昨晩のライブの名残、そして自宅居間に再現されるBlue Monkの舞台の様子が重なり合って、何か空間全体がジャズに包まれている感覚を覚えた。この臨場感を再現できるのが本当の音の良さかもしれない。

「カセットデンスケ」恐るべし。



本当は、吉岡&宮之上のコラボの素晴らしさをもっと中心に書かなければいけないのだが、思わずタイトルも含めて改めてカセットデンスケに感動してしまって演奏は2の次になってしまったが、演奏は悪い訳がない。

このCDの発売記念のライブは、来たる4月4日、荻窪のCOCOPALMで開かれる。
ここでは、テナーの岡淳も加わってメキシコでの舞台が再現そうだ。吉岡のピアノの掛け合いとはまた違った演奏になりそうで楽しみだ。



ディスク:1
1. SOUL STATION  (Hank Mobley)
2. STROLLIN'  (Horace Silver)
3. THE SIDEWINDER  (Lee Morgan)
4. MY ONE AND ONLY LOVE  (Guy Wood)
5. COME RAIN AND COME SHINE  (Harold Arlen)
6. HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON?  (George Gershwin)

ディスク:2
1. BESAME MUCHO  (Consuelo Velazquez)
2. YELLOW DAYS (LA MENTIRA)  (Alvaro Carrillo)
3. MANHA DE CARNIVAL  (Luiz Bonfa)
4. ROUND MIDNIGHT  (Thelonious Monk)
5. ON A CLEAR DAY  (Burton Lane)

宮之上 貴昭 (g)
岡 淳 (ts,fl)
Agustin Bernal (b)
Cabriel Puentes (ds)

Recorded by Makoto Oka
Recorded live at Blue Monk in Mexico City on August 2&3, 2013

ライブ イン メキシコ
宮之上貴昭
モックヒル・レコード
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ブレイキーのドラムはイメージとは違って実はダイナミックレンジが広い・・・

2014-03-21 | CONCORD
Keystone 3 / Art Blakey and The Jazz Messengers

昔からの自称ジャズファンは、好き嫌いを別にしてアートブレイキーを聴かなかった人はいないであろう。特にブレイキーの一連のブルーノートのアルバムはジャズ喫茶でも定番中の定番であった。小気味良さというよりは、ドタドタ感があるもののナイヤガラロールに代表されるドラミングはメリハリの効いた豪快さで有名であった。

自分は、天邪鬼な性格からか、昔は皆が好むファンキー節をあまり好まず、ウェストコースト系を好み、ドラムというとシェリーマンをマイフェイバリッツにしていた時期がある。アートブレイキーのドラムというとこのドタドタ感が先に立ち、好みのドラマーの仲間入りはとはならなかった。
その後、聴き返す内に、アートブレイキーのドラムには実は繊細な側面もあるのが分かり、鼻から無視するのではなく、それなりに気にしながら聴くようになった。

ブレイキー率いるジャズメッセンジャーズは昔から新人の登竜門であり、ここを卒業することで一流入りしたジャズメンは数知れず。歳をとると昔の仲間とおじさんバンドを組むプレーヤーが多いが、このアートブレイキーは常に新人の発掘を生き甲斐にしていた。

コンコルドレーベルに登場した時にも、ボビーワトソン、ジェイムスウィリアムスを擁した強力な布陣であった。最初のアルバムはサンフランシスコのキーストンコーナーでのライブ。晩年の演奏には衰えが目立つこともあったが、このコンコルドのアルバムはライブという事もあり、元気なプレーが聴ける。

その後トランペットにマルサリスが加わり第2作が出たがこれも同様なライブキーストンでのライブ。そして、今回がConcordでの3作目になるが、またしてもキーストンコーナーでのライブ。シスコに来た時の拠点になっているのかいつもレギュラーグループならではのリラックスした演奏だ。

今回もまたメンバーが変わる。まずは、ウィントンマルサリスの弟のブランフォードが加わる。まだデビュー間もない22歳の新人であった。そしてピアノもジャームスウィリアムスから同じメンフィス出身のドナルドブラウンに変わったが、よくもこれだけ素晴らしい新人を次々と発掘してくるものだ。

今でこそ、マルサリス兄弟は押しも押されぬ大スターだが、この当時はまだ駆け出しの売り出し中の期間。でも改めて聴き直しても並の新人とは思えない演奏だ。表現力豊かなメロディアスなプレー、そしてバカテクを駆使した縦横無尽なプレーでバンド全体をグイグイ引っ張っている。これでは御大も刺激を受けるだろう。

コンコルドの特徴でもあるがライブであっても録音が素晴らしい。前回記事に書いたペッパーアダムスの録音評が気に掛かっていたのでいつにも増して録音が気になっていたが、自分としては新たな発見があった。

ブレイキーのドラミングはいつもながらであったが、シンバルのレガートが実にセンシティブだ。いつもはダイナミックなぶっ叩きイメージの先入観念があるが、シンバルワークはその対比とし実に小気味よい。録音でもそれが実に良く再現されている。

そして最後の曲のお馴染みのA La Modeでは、いつにも増してバンド全体の強弱のメリハリが素晴らしい。もちろんフロントラインだけでなくブレイキーのドラミングも合わせであるが、波が打ち寄せるようなアンサンブルワークが印象的だ。
単にダイナミックというのではなく、ダイナミックレンジが広いというのはこのような演奏だろう。きっとMotor City Sceneでのペッパーアダムスもこのような仕上がりをイメージしていたのかもしれない。

コンコルド時代のジャズメッセンジャーズはメンバーにも恵まれ、この頃が晩年の黄金期だと思う。
そして、このアルバムは隠れた名盤だと思う。これはと思ったアルバムを聴いて、それなりにいいなと思っても「これはいける」と強烈なインパクトを受けるのはその中で10枚に1枚あるかないか。これは間違いなくその中に入る1枚だ。



1. In Walked Red          Thelonious Monk 8:25
2. In a Sentimental Mood      Duke Ellington / Manny Kurtz / Irving Mills 7:15
3. Fuller Love           Bobby Watson 8:49
4. Waterfalls           Wynton Marsalis 11:28
5. A La Mode            Curtis Fuller 10:36

Art Blakey (ds)
Wynton Marsalis (tp)
Branford Marsalis (as)
Bill Pierce (ts)
Donald Brown (p)
Charles Fambrough (b)

Produced by Frank Dorritie
Recorded at Keystone Korner, San Francisco, California in January 1982
Recording Engineer : Phil Edwards
Originally released on Concord CJ-196

Keystone 3
Art Blakey
Concord Records
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一世を風靡したコーラスグループ、幾つご存じですか?・・・

2014-03-19 | MY FAVORITE ALBUM
The Ames Brothers Sings Famous Hits of Famous Quartets


先日、野口久和ビッグバンドのライブへ出かけた。
ホームグラウンドである東京TUCに年に数回出演するが、楽しみにしているライブのひとつだ。このバンドのひとつの特徴は、バンドシンガーというかコーラスのBreezeがいつも一緒に出演すること。
日本ではジャズコーラスグループ自体それほど多くないが、ビッグバンドをバックにした演奏となると今ではなかなか聴けないものだ。本場アメリカでも、スイング時代のビッグバンド全盛期は皆専属シンガーやコーラスを従えていたようだが、古き良き時代の話。今では、あまり聞かない。

今回、ビッグバンドの方は新たなレパートリーということで、中村八大&永六輔のコンビの「遠くへ行きたい」を披露してくれた。自分自身のオリジナル以外、日本の作曲家の曲に取り組んだのは初めてと言っていたが、フルート4本をフィーチャーした意欲的なアレンジで、このビッグバンドも10年目にして新境地を開いた感じであった。

ブリーズの方は、先日新CD発表を兼ねたライブがあった。このCDはジェフハミルトンのコンボをバックにしたものであったが、今回はオーケストラをバックにいつものように古き良きスタンダードを。
まさに、スイング時代のビッグバンドとコーラスグループの魅力を再現してくれた。

自分はジャズコーラスが嫌いではないというより好きな方だ。フォーフレッシュメン、マントラ、ランバートヘンドリックス&ロス、ジャッキーアンドロイなどいわゆるモダンジャズコーラスは良く聴いた。
しかし、コーラスグループの全盛期となるともう一時代前。40年代、50年代はジャズでなくとも、コーラスの全盛期だった。子供の頃、ヒットチャートでもコーラス物が多く聴けたのを思い出す。
興味はあるので、何かきっかけがあると思い出したように聴くのだが、なかなか本格的にこの世界には踏み出せないでいる。
いつかはじっくり聴いてみたいとは思っているのだが・・・・いつの事になるのやら。

という訳で、ブリーズに刺激さえてコーラスを一枚。
ブリーズは男性2人、女性2人。マントラと同じだが、カルテットには男性の4人組が多い。女性だとトリオも多いように感じるが、何か理由があるのか?

この、エイムスブラザースはジャズコーラスには入らないとは思うが、何故か何枚かアルバムを持っている。その内の一枚がこのアルバム。
名だたるコーラスカルテットのヒット曲をカバーしている。ミルスブラザースやインクスポットは良く知っているが、知らないグループが半分くらい、コーラス入門にはうってつけのアルバムかもしれない。




これを機に、オリジナルも聴いてみるとするか。今は、お試しにはyoutubeが便利だ。

1, Goodnight Irene         The Weavers
2. Paper Doll             Miles Brothers
3. The Gaucho Serenade      The Charioteers
4. I’ll Never Smile Again       The Pied Pipers
5. Cool Water             The Sons of the Pioneers
6, Sweetheart of Sigma Chi     College Quartet
7. Love Is A Many Spledored Thing The Four Aces
8, Hit The Road To Dreamland     Golden Gate Quartet
9, To Each His Own          The Ink Spots
10. Lida Rose              The Buffalo Bills
11. Moonlight Cocktail        The Modernaires 
12. Moments To Remenber        The Four Lads  

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もうひとつのバード&アダムス・クインテット

2014-03-17 | PEPPER ADAMS
Motoer City Scene / Donald Byrd & Pepper Adams Quintet


ハーフノートでのライブを終えた直後、バードとアダムスはブルーノート以外でもう一枚のアルバムを制作する。それが、このベツレヘムのアルバム。録音日は定かではないが、11月中旬。ハーフノートの出演が13日までだったので、多分その直後であろう。

2人以外のメンバーはがらりと代わって、ピアノがトミー・フラナガン、ギターがケニー・バレル、ベースがポールチェンバース、ドラムがルイス・ヘイスだ。アルバムタイトルが表しているように、デトロイト生まれ&育ちのメンバーによるセッションだ。アダムスは以前にも同じデトロイト出身メンバーによるアルバム”Jazz Men Detroit” に参加しているので同じような企画の2回目のセッションになる。
ドナルド・バードもデトロイト出身なので、今回は幹事役をアダムスに任せて同郷の一プレーヤーとしての参加だ。したがって、2人が一緒に参加しているものの、いつものブルーノートでのアルバム作りとは少し雰囲気が違う。

Motor City Sceneというタイトルのアルバムは、サドジョーンズが加わってもう一枚ある。この3枚がでトロイト三部作だが、デトロイト出身者の仲の良さを感じる。

幹事役のアダムスは、今回は気合が入っており、自分のオリジナルも2曲提供しアレンジも担当した。とは言ってもバードとはいつも一緒にやっている。2人の呼吸は合っているので全体の構成作りを中心に。今回はバレルもメロディラインを担当してもらって3管編成の雰囲気を出したアレンジを施した。普段、双頭コンボとはいうもののすべてがバード主導でアダムスもフラストレーションが溜まっていたと思うが、このアルバムで鬱積していた憂さ晴らしができたと思ったのだが・・・・

後に、このアルバムに関してのアダムスのインタビュー記事が残されている。
素直に聴いた限りは、フラナガンのピアノを筆頭に素晴らしい演奏をしているように感じたのだが・・、アダムスに言わせると最悪のレコーディンであったということになる。

とにかくスタジオとエンジニアが最悪で、これがすべてをぶち壊したと。温厚そうに見えるアダムスのコメントとしては相当頭にきている雰囲気を感じる。それは、いつもバードと一緒に参加しているブルーノート御用達ルディーバンゲルダーとそのスタジオと較べれば仕方がないとは思ったのだが、その原因は何かというと・・・。

最近、ライブに行くとPAをあまり使わず生音を聴かせるグループが時々ある。そもそもビッグバンドだと狭い会場ではPAなしでも十分で、ソロマイクだけでも十分楽しめる。辰巳さんのライブはいつも生音だが、彼に言わせると生音でないとピアニシモの良さを感じ取り、フォルテシモとのメリハリを味わう事ができないということだ。確かに、時々フルボリュームで折角の楽器の音色が騒音となって響き渡っているPAに出くわすとうんざりしてしまう。せっかう小さい音で始まったのにいきなりボリュームが上がっていつもと同じ音量になったり、ソロが小さい音量の時にバックが大音量でソロが消えてしまったり、折角の演奏がぶち壊しになることはまだまだ多い。

実は、この録音がその状況に陥っていたということだ。ケニー・バレルを管と一緒にフロントラインに加え、さらには曲のアレンジも強弱を意識したアレンジを施したのに、アダムスが言うには「出来上がった音はすべて平板で聴くに堪えない仕上がりだった」という事だ。
そういわれて聴き直してみると、個々の楽器はオンマイクで上手く録られているように感じるが、音量、そして音圧のバランスは確かに今一つだ。指摘されているケニー・バレルの音は思惑通りには聴こえてこない。折角アダムスが仕込んだ、曲によって、あるいは曲の途中での音の強弱も平板な動きだ。
ブルーノートでのバードの録音が曲想も段々ファンキー路線になってきており、アダムスはこのアルバムで少し違った側面を出そうと思ったに違いない。

ドナルド・バードをフィーチャーしたスターダストから始まるが、デビューした頃の演奏を思い返すようなストレートなプレーだ。アダムスは登場しない。アダムスのオリジナル2曲に、ああとはエロルガーナーと旧友サドジョーンズの曲。いずれも、ブルーノーのファンキー路線とは少し雰囲気が違う選曲をしている。本来のクインテットはこんな演奏もやるんだというのをアピールしたかったのかもしれないし、プレーヤーとしては第一人者であることはすでに世に知れ渡ったが、曲作りを始めとしてアダムスの違う側面を昔の仲間で応援しようとした企画であったのかもしれない。

このアルバムはアダムスにとって7枚目のリーダーアルバムになる。6枚目はこのセッションにも参加しているトミー・フラナガンも加わってつくられたが、未だ陽の目を見ていないようだ。バード&アダムスのクインテットのアルバムとしては、ブルーノート盤以外の貴重なアルバムだが、裏にはそんな事情が隠されていたようだ。




1. Stardust       Hoagy Carmichael / Mitchell Parish 10:16
2. Philson       Pepper Adams 10:44
3. Trio         Erroll Garner 8:06
4. Libeccio       Pepper Adams 8:38
5. Bitty Ditty     Thad Jones 5:12

Pepper Adams (bs)
Donald Byrd (tp)
Tommy Flanagan (p)
Kenny Burrell (g)
Paul Chambers (b)
“Hey”Lewis (Louis Hayes) (ds)

Recorded in mid November 1960


モーター・シティー・シーン
Donald Byrd % Pepper Adams
SOLID/BETHLEHEM
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バード&アダムス・クインテットの3カ月のツアーの締めは・・・

2014-03-16 | PEPPER ADAMS
At The Half Note Café Vol.1 & Vol.2 / Donald Byrd



1960年6月、ハワード・マギーのレコーディングに参加したペッパーアダムスは翌7月にはウディー・ハーマンのオーケストラに加わり3週間のツアーに出た。様々なビッグバンドに加わったアダムスであったが、ハーマンのビッグバンドに加わったのはこれが初めてであった。

このハーマンのツアーを終え、正妻のドナルド・バードと7月26日クリーブランドを皮切りに3カ月のツアーに出る。2人のコンビとしては初の長期間ツアーで、メンバーはアダムス&バードにピアノのデューク・ピアソン、ベースのレイモンド・ジャクソン、ドラムはレックス・ハンフリー。前年の10月のドナルド・バードのアルバムに参加したメンバーとほぼ同じだ
要は、レコーディングであってもツアーもレギュラーメンバーの人選はドナルド・バードが主導権を持っていたという訳だ。バードはツアーの途中でメンバーを替えることがあったが、それはアダムスにも知らされずに突然行われたとか。

このツアーも初っ端からつまずく。8月2日からのシカゴでのツアーの最中に、ドラムのレックス・ハンフリーが急に抜けることに。とりあえずの代役はハロルド・ジョーンズが務めるが、次の公演地であるミネアポリスからは、ジョー・デュークに代わる。
そして、ツアーが続き、11月にニューヨークに戻ると、11月8日からのハーフノートへの出演を前に、6日にこのジョー・デュークを突然首にして、レックス・ハンフリーを呼び戻す。そして、11日のこのハーフノートでのライブレコーディングを迎えることになる。
ハーフノートといえば、ウェスモンゴメリー、アル&ズート、アート・ファーマーなどのライブの名盤があるが、このアルバムもけっして引けを取らない名盤だ。

後にアルフレッド・ライオン夫人になった当時ラジオ番組のDJをしていたRuth MasonのMCでスタートする。ここでの紹介も、「ドナルド・バードのニュークインテット」。相変わらずアルバムタイトルを含めてブルーノートでは契約をはじめとして徹底的にドナルド・バードの単独リーダーの扱いでアダムスは刺身のツマ扱いだ。

曲に関しても、ピアソンとバードのオリジナルが多いが、マイナーあるいはブルースなどブルーノートが目論んだファンキー路線に沿った曲が多い。CDになって追加されたVol.2のスタンダードBetween the Devil and the Deep Blue Seaやテレビの主題歌Theme from Mr. Luckyなどは最初LPでは外されており、ライブでのプログラムでは色々な曲が演奏されたものの、アルバム制作での選曲はカラーが統一されていたように思う。さすがブルーノートだ。

このような状況での演奏ではあったが、アダムスのプレーはますます円熟味が増している。元々どんなスタイルにも合わせられるアダムスであったが、このバードとのコンビネーションは他のグループでは聴くことのできないオンリーワンのチームになっていた。ファンキーでソウルフルな曲に、バードのトランペットとアダムスの低音が上手く重なり合う。
でも圧倒的な存在感はあのソロでのゴリゴリサウンド。なかなかあれは余人をもって代え難い。

当時バリトンといえばマリガン全盛期、大ベテランハーリー・カーネイがいたものの、ハードバップの世界では新人ではあったがアダムスが頭一つ抜け出ていた。本来であれば大ライバルにあったであろうサージ・チャロフがもし生きていたらと思う。

結果的に、バード&アダムスのブルーノートでのライブレコーディングはこのアルバムだけ。色々あるが本来のバード&アダムスのクインテットの姿を今に残しているアルバムの一枚だと思う。



1, Introduction by Ruth Mason           1:20
2. My Girl Shirl           D. Pearson 10:32
3. Soulful Kiddy          D.Byrd 9:55
4. Child's Play           Byrd, Pearso 8:45
5. Chant                D.Pearson 11:03
6. A Portrait of Jennie        G. Burdge, J. Russel Robinson 6:48
7. Cecile                D.Byrd 14:46
8. Jeannine               O. Brown Jr., Pearson 13:08
9. Pure D. Funk               D.Byrd 6:09
10. Between the Devil and the Deep Blue Sea   H, Arlen, T. Koehler 9:54
11, Theme from Mr. Lucky          H, Mancini 10:51
12, Kimyas                 D.Byrd 11:58
13, When Sunny Gets Blue         M. Fisher, J. Segal 6:17

Donald Byrd (tp)
Pepper Adams (bs)
Duke Pearson (p)
Laymon Jackson (b)
Lex Humphries (ds)

Recorded live at Half Note in NYC on November 11, 1960
Recording Engineer : Rudy Van Gelder


コンプリート ハーフノートのドナルド・バード Vol.1
Donald Byrd
ユニバーサルミュージック
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エリントンの組曲物の演奏はなかなかライブで聴けないが・・・

2014-03-13 | MY FAVORITE ALBUM
Such Sweet Thunder / Duke Ellington and His Orchestra

先日のマイク・プライスビッグバンドのライブのオープニングはサドメルのThree in One
であった。

オリジナルはサドメルのデビューアルバムで聴ける。サド・ジョーンズとペッパー・アダムスのユニゾンからサックスのソリ、それからアダムスのソロへと続く。今回はマイクと竹村直哉のコンビであったが、久々にこの曲を聴いて気分よくスタートした。
これはサド・ジョーンズのオリジナル曲だが、初演は1958年のジョーンズ兄弟のアルバムで、そしてオーケストラだけでなく、晩年のアルバムでもこの曲を演奏している。サド・ジョーンズ自身もこの曲はお気に入りであったのだろう。

マイクのビッグバンドは西海岸のアレンジャーの曲も多く、バディー・リッチ、スタンケントンなどのレパートリーからの曲が続いた。バディー・リッチビッグバンドからはポピュラーなグリーンスリーブスであったが、この曲はアルバム”Body and Soul”に入っている。実はこのアルバムのメンバーにマイクプライスが加わっていた。1969年の演奏なので、マイクにとっては50年近く経っての再演であった。

後半ではギル・エバンスやエリントンナンバーも加わったが、エリントンは最近よく演奏しているSuch Sweet Thunderからの曲。A列車やサテンドール、インナメロウトーンなどポピュラーなエリントンナンバーを演奏するオーケストラは多いが、このようなエリントンの組曲物に取り組むオーケストラは少ない。

このオリジナルアルバムは、1956年から57年にかけて録音された大作。カナダで開催されたシェイクスピアフェスティバル用に作曲されたものだそうだが、このようにアルバムとしても記録に残されている。エリントンオーケストラの特徴はエリントンとビリーストレイホーンコンビの曲作り。この組曲も2人でシェークスピアのロメオとジュリエットを素材にした共作だ。

2人はこの曲を多忙な3週間で書き上げたそうだ。エリントンの場合は作曲に専念するわけではなく、ライブをこなし乍らの曲作りなので、超人ぶりがうかがえる。特に組曲の場合は、繰り返しや延々と続くソロパートも無いためにクラシックのような譜面づくりも大変だと思う。片腕としてのストレイホーンが不可欠であったのだろう。2人のコンビというと、昨今話題の偽作曲家が思い浮かぶが、彼らの譜面には2人で書き込んでいった物も残っているようだ。

1957年といえば、有名な1956年のニューポートのライブの翌年。56年のニューポートの直後から録音は始まり、翌年完成している。最初のライブ公演は1957年4月28日のタウンホールでのコンサートだったと記録されているが、ここでは11曲で行われる。

このアルバムの目玉は、ホッジスをフューチャーしたThe Star-Crossed Loversだが、実はこの曲は別の企画で作られていた”Pretty Girl”という曲の看板を書き換えて、最後の録音でこのアルバムに加えられ全12曲に仕上がったようだ。

今回のライブでは、タイトル曲のSuch Sweet ThunderとThe Star・・・が演奏されたが、アルバムで全曲を通して聴くと、役者揃いのメンバー達の得意技がソロ、アンサンブルに随所に散りばめられていて曲全体のイメージが否が応でも伝わってくる。マイクのビッグバンドも素晴らしいが、テリー、ホッジス、ハーリーカーネイなどの個性あるプレーはワン&オンリーだ。やはり、この曲を完全に再現できるのは当時のエリントンオーケストラのメンバーが不可欠なように思う。

57年のライブ "Duke Ellington: 'Such Sweet Thunder' Unissued Live at Ravinia Festival '57" での演奏はこちらで。
同じアレンジだが、ライブはやはり一段といい。

Such Sweet Thuder [Music by Duke Ellington & Billy Strayhorn]. Unissued world première (on radio) of the "Shakespearean Suite"!
CBS broadcast from concert at Ravinia Park Festival, Highland Park, IL. July 1, 1957.
0:00 Such Sweet Thunder
1:48 Sonnet For Sister Kate [solo: Quentin Jackson]
4:53 Up And Down. Up And Down [solo: Clark Terry]
8:04 Star-Crossed Lovers [solo: Johnny Hodges]
12:38 Madness In Great Ones [solo: Cat Anderson]
16:25 Half The Fun [solo: Johnny Hodges]
20:42 Circle Of Fourths [solo: Paul Gonsalves]

23:23 Jam With Sam [solos: Willie Cook, Paul Gonsalves, Britt Woodman, Russell Procope, Cat Anderson]

Cat Anderson, Willie Cook, Clark Terry, t; Ray Nance, t, vn; Quentin Jackson, Britt Woodman, tb; John Sanders, vtb; Jimmy Hamilton, cl, ts; Russell Procope, cl, as; Johnny Hodges, as; Paul Gonsalves, ts; Harry Carney, bcl, cl; Duke Ellington, Billy Strayhorn, p; Jimmy Woode, b; Sam Woodyard, d.



1. Such Sweet Thunder
2. Sonnet for Caesar
3. Sonnet to Hank Cinq
4. Lady Mac
5. Sonnet in Search of a Moor
6. The Telecasters
7. Up and Down, Up and Down (I Will Lead Them Up and Down)
8. Sonnet for Sister Kate
9. The Star-Crossed Lovers
10. Madness in Great Ones
11. Half the Fun
12. Circle of Fourths

Duke Ellington & His Orchestra

Clark Terry (tp)
Ray Nance (tp)
Willie Cook (tp)
Cat Anderson (tp)
Quentin Jackson (tb)
Britt Woodman (btb)
John Sanders (tb)
Johnny Hodges (as)
Russell Procope (as,cl)
Paul Gonsalves (ts)
Jimmy Hamilton (ts,cl)
Harry Carney (bs)
Duke Ellington (p)
Jimmy Woode (b)
Sam Woodyard (ds)

Composed by Duke Ellington & Billy Strayhorn

Recorded on August 7 1956
on April 15,24 & May 3 1957
at COLUMBIA's30th Street Studios in New York


Such Sweet Thunder
クリエーター情報なし
Sony Jazz
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トニーベネットは果たしてジャズ歌手か・・・?

2014-03-12 | MY FAVORITE ALBUM
Jazz / Tony Bennett

「老いてはますます壮んなるべし」という言葉があるが、これはトニーベネットにピッタリかもしれない。
一昨年80歳を過ぎてから、アルバム”DuetsⅡ”でグラミー賞3部門制覇、そして昨年の来日公演と、コンサート、レコーディングと、全く歳を感じさせない活躍がまだまだ続いている。ただでさえ女性陣に押され気味のボーカルの世界で、「白組」代表として先頭を切って頑張っているのはベネットしかいない。

このトニーベネットは果たしてジャズ歌手といえるかという話は昔からよく聞く。
ジャズ歌手の定義というのも難しいが、スキャットもやらず、ブルースも決して得意ではなく、そしてオリジナルのメロディーを大胆に崩して歌う訳でもない。これは分類学にうるさい日本だけでなく、本国アメリカでも時に語られてきたようだ。

だが、ジャズミュージシャンと広く、そして深いの付き合いをしている歌手といえば、ベネットを超える歌手はジャズ歌手といえどもなかなかいない。ベイシーオーケストラとの共演は何度もあるようだが、レコーディングこそないが、エリントン、ハーマン、ケントン、バディー・リッチなど名だたるオーケストラとは皆共演経験があるそうだ。
先日紹介したアルバムでも、マクパートランド夫妻と共演するなど、スタイルの新旧を問わず多くのジャズミュージシャンとも交流があり、そして共演経験がある。
これは、一体いつから始まったのか興味が湧くが・・・・

このアルバムのライナーノーツに、丁度その話がインタビュー形式で載っている。
ベネットがコロンビアと契約したのは1951年、ジャズの世界はビーバップの嵐が吹き荒れていた頃。
コロンビアでのプロデューサー役は?というと、あのミッチミラーだった。エルビスプレスリーやビートルズがビットチャートを賑わす中で、あのベネット節でヒットチャートに確実に登場し、あのサンフランシスコにつながる活躍が始まった。しかし、そこには決してジャズとの深い接点は感じられない。

インタビューの中で、本格的な歌の正式なトレーニングを受けたのか?という問いに対して、「実は52番街に住むMarian Speirという女性に教えを受けた」。彼女は「けっして歌手を真似てはだめよ。ミュージシャンを真似なくては」と説いたそうだ。
52番街といえば、ニューヨークの中でも当時は新旧のジャズが溢れていた一角。そこで、毎日のようにジャズミュージシャンと接するようになったそうだ。どうやら、これがベネットのジャズミュージシャンとの繋がりのはじまりの様だ。

そして、今日までアレンジャーを含めてジャズの世界で活躍する大物との共演はかなりの数になる。今回は歌手とのデュエットであったが、以前はビルエバンスとデュエットアルバムなどもあった。

自分は、あまりコンピレーションアルバムを買わないが、これはベネットのジャズミュージシャンとの共演した曲を集めた物。どの曲も錚々たるメンバーがバックを務めているが、実はその中にお目当てのセッションがあったので、買い求めた次第。

お気に入りのアルバムに、ゲッツとブルックマイヤーが久々に共演した’65年のアルバムがある。ハンコック、カーター、そしてエルビンのバックが実にいい。5月25日のセッションに一曲だけベネットが加わったダニーボーイがある。この曲は元のアルバムには収録されていないので、このアルバムでしか聴くことができない。

そして、同じセットで、10月15日に3曲が吹き込まれている。結局、このセッションはこれにて終了になってしまったので、一枚のアルバムになって世に出ることは無かった。
このアルバムには、この3曲も収められ、“Tony Bennett Jazz”というタイトルに相応しい内容となっている。

ゲッツは、此の頃ちょうどボサノバアルバムを続けて吹き込んでいる時期。ベネットのバックでジルベルトのバックとは一味違った鋭く切れ味の良いプレーを聴かせてくれる。
バックのミュージシャンも好演するというのは、ベネットも昔52番街で鍛えたジャズミュージシャンと語り合うツボを心得ているのかもしれない。

もちろん、他の曲も54年から65年のジャジーなバックを集めたご機嫌なアルバムだ。
表舞台のヒット曲の裏には、このような演奏とベネットの歌も残されている。これを聴くとベネットもジャズ歌手といっていいのではないかと思う。

1. I Can't Believe That You're in Love With Me
2. Don't Get Around Much Anymore
3. Stella by Starlight
4. On Green Dolphin Street
5. Let's Face the Music and Dance
6. I'm Thru With Love
7. Solitude
8. Lullaby of Broadway
9. Dancing in the Dark
10. I Let a Song Go Out of My Heart
11. When Lights Are Low
12. Just One of Those Things
13. Crazy Rhythm
14. Street of Dreams
15. Love Scene
16. While the Music Plays On
17. Close Your Eyes
18. Out of This World
19. Just Friends
20. Have You Met Miss Jones?
21. Danny Boy
22. Sweet Lorraine

18~21
Tony Bennett (vol)
Stan Getz (ts)
Herbie Hancock (p)
Ron Carter (b)
Elvin Jones (ds)

NYC, May 5, October 15, 1964

Jazz
Tony Bennett/td>
Sbme Special Mkts.
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きっとこの2人には共通の遺伝子が・・・

2014-03-09 | MY FAVORITE ALBUM
Miki Sings Billie : A Tribute To Billie Holiday / Miki Howard

最近DNA鑑定の話題が多い。昨年末には日本でも某有名女優の息子の父親が実は結婚相手ではなかったというニュースが流れたが、確かに最近のDNA鑑定の精度は桁違いに上がっているようだ。

そんな矢先に、マイケルジャクソンの隠し子がいたというニュースが話題となっている。
歌手のブランドン・ハワードの父親がマイケルジャクソンである確率が99.9%とのことだ。
そのハワードの母親は?というと、ゴスペル、R&B歌手のミキ・ハワード。
普段の活動はあまり聴いていないが、一枚だけ印象に残っているアルバム(というより自分が持っている唯一のアルバム)がある。このビリー・ホリデイに捧げたアルバムだ。

ビリー・ホリデイといえば、先日紹介したマリリン・ムーアは「ホリデイのそっくりさん」だったが、ホリデイに捧げたアルバムを作った歌手は多くいる。ホリデイに捧げるというとマリリンのようにそっくりに真似て歌うのは稀で、自分のスタイルでホリデイの愛唱歌を歌っているアルバムが大部分。所詮真似ようとしても本物を超えることはなかなかできそうにないが。

ホリデイの歌いっぷりは、一曲一曲を自らの人生経験を込めてじっくり歌い上げるタイプ。まあ、そういう点ではホリデイに捧げるアルバムを作るというのは、例え自分のスタイルであっても、改めて襟を正して自分の人生を振り返りながら歌詞に正面に向き合って歌うという事だろう。
今まで紹介した中でも、ロースマリークルーニーがホリデイに捧げたアルバムがあった。これもロージー節であったが、他のアルバムとは何か違った重みを感じる。

さてこのアルバムはというと、ホリデイの愛唱歌を比較的に軽いノリで歌っている。
いつもはゴスペル、R&B系でバックコーラスをつけ、ある時は語るように、ある時はシャウトすることが多いのだが。さすがにこのアルバムではソロで、ビッグバンド、フルオーケストラをバックにじっくりと歌い込んでいる。もちろん普段のR&Bのノリは随所にうかがえるが、しっかりと歌詞を噛みしめて歌う節回しはやはりホリデイを意識しているようだ。

八代亜紀ではないが、普段他のジャンルを歌っている歌手がジャズを歌うと、ジャズ好きの聴き手はいつもと違った嬉しさを感じるものだ。同じジャズでもこのようにホリデイを意識して歌うとなると、聴く方も一段と緊張感が増す。それだけホリデイは偉大な歌手であったのだろう。

歌手として一流の仲間入りをすると、最後は自分が尊敬する偉大な歌手に一歩でも近づくことが目標となる。そして最後の一歩まで辿り着いた時に、遺伝子が引き継げる子供に生まれていたらと思うかもしれない。
ハワードの息子ブランドンは、マイケルジャクソンの血筋を引き継いでいる訳だから、いつか今は隠れた才能が花開く時があるかもしれない。一方、母親のMikiは、歌はホリデイに今一歩及ばなかったかもしれないが、恋多き性格だけはホリデイ並に受け継いでいることが今回立証された。




1. What a Little Moonlight Can Do      Harry Woods 3:53
2. I'm a Fool to Want You     Joel Herron / Frank Sinatra / Jack Wolf 4:03
3. My Man   Jacques Charles / Channing Pollack / Albert Willemetz / Maurice Yvain 3:07
4. Solitude   Eddie DeLange / Duke Ellington / Irving Mills 4:41
5. 'Tain't Nobody's Bizness If I Do  Percy Grainger / Robert Prince / Clarence Williams 2:55
6. Yesterdays    Otto Harbach / Jerome Kern 2:14
7. Now or Never   Billie Holiday / Curtis Lewis 3:46
8. Don't Explain   Billie Holiday / Arthur Herzog, Jr. 5:24
9. Strange Fruit   Lewis Allan 4:07
10. I Want to Be Your Mother's Son-In-Law   Mann Holiner / Alberta Nichols 3:22

Miki Howard (vol)

Exective Producer : Cassandra Mills
Track1-5 Produced by David Foster
Track6-10 Produced by LeMel Humes
Arranged by H.B.Barnum


Miki Sings Billie
Miki Howard
Warner Bros / Wea
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長い人生色々あるが、「再起」というのはそうそう何度も経験できるものではない・・・

2014-03-08 | PEPPER ADAMS
Dusty Blue / Howard McGhee

忙しい時には色々な用事が重なるもの。それにトラブルがあると不思議と連鎖現象が起こって彼方此方で大騒ぎ。久々にバタバタしててんてこ舞いの毎日であった。雪でゴルフはお預けであったので、ドタキャンせずに済んでよかったのだが・・・。

おかげで、ゆっくりオーディオセットの前に座ることもなく、雪の後遺症で車にも乗らない日が続き、iPhone用のイヤフォーンはどこかで落とすし、ライブにも行けずで、ジャズを聴かない日が続いた。禁断症状が過ぎると不思議と聴かなくても済むようになってしまうので怖いものだ。

人生山あり谷あり、忙しい時もあれば暇な時もある。何をやっても上手くいく順風満帆な時もあれば、一転どん底を味わう事も。まあ、自分はこの歳になると何が起こっても、いちいち苛つくことなく変化を楽しむようにしているが。

昨日の夜のマイクプライスビッグバンドのライブから久々にジャズの音色に接するように。ぼちぼちペースを戻すことにする。さてブログの方は何にしようかと思ったが、迷った時はまずは定番から。1960年のペッパーアダムスから再開することにする。

バード&アダムスのクインテットが地方のツアーを本格化させたのはこの年の後半、有名なハーフノートのライブのアルバムもあるが、それは後日。
その前にアダムスは、再起を果たしたトランペッターハワードマギーの復活アルバムに付き合っている。

この当時、麻薬で一時活動を中断せざるを得なかったジャズメンは多くいたが、このハワードマギーもその一人。活動を始めたのは40年代。ビバップ創世記にはガレスピーなどと肩を並べて活躍していたが、これからという時に一線を退く。50年代の半ばのハードバップの始まった時期にも復活を果たすが、またもや療養生活に。結局華々しい舞台での活躍がないままに60年代を迎えていた。
この間、ジャズは変遷を遂げたが、よく謳うマギーのトランペットは大きな変化は無く、じっくり熟成された形での再度のお披露目となった。

よく、渋い味わいのあるプレーを「いぶし銀」のようなプレーという表現を使う。このアルバムのタイトルはDusty Blue、汚れた埃っぽいグレーがかった青という意味。青といえば、Sky BlueあるいはNavy Blueが青の良さを表すことが多いが、このアルバムにはこのDusty Blueが実にしっくりくる。

曲は、マギーのオリジナル有、スタンダードありで変化に富んでいるが、どの曲でも、きらびやかさや派手さは無いがトランペットの本来のチャーミングな音色が実に心地よい。
ストレートにうたいあげる ”I Concentrate on You” などは絶品だ。



このアルバムでは4管編成だが、マギーのトランペットにスポットライトが当たっており、他のプレーヤーのソロの出番は少ない。アダムスのソロもGroovin’ Highのみで、他の曲ではアンサンブルワークに徹しているが、アダムスをはじめとした若手のバックが先輩の復活を引き立てて、バックで称えている様子が窺える。

このアルバム自体は、マギーの好プレーで名盤として取り上げられることも多く、ステレオ初期の好録音盤として紹介されることもあるアルバムだが、こんなアルバムにもアダムスはちょい役であったが参加していた。アダムスが参加しているアルバムには不思議と駄作が少ないように思う。

1. Dusty Blue             Howard McGhee 2:53
2. The Sound of Music         Oscar Hammerstein II / Richard Rodgers 3:22
3. I Concentrate on You        Cole Porter 4:06
4. Sleep Talk             Howard McGhee 2:55
5. Park Avenue Petite         Benny Golson 3:32
6. Flyin' Colors           Howard McGhee 5:52
7. With Malice Towards None      Tom Macintosh 4:02
8. Groovin' High            Dizzy Gillespie 4:19
9. Cottage for Sale          Larry Conley / Willard Robison 4:28

Howard McGhee (tp)
Bennie Green (tb)
Roland Alexander (ts)
Pepper Adams (bs)
Tommy Flanagan (p)
Ron Carter (b)
Walter Bolden (drums)

Recorded in NYC, June 13, 1960




Dusty Blue
Howard McGhee
SOLID/BETHLEHEM
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