A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

アルバムタイトルに合わせた、ジャケットのデザインは時々あるが、これも・・・

2007-12-31 | MY FAVORITE ALBUM
BLUE SERGE / SERGE CHALOFF

“Mode”レーベルの特徴は白地に洒落たイラストがデザインされているジャケットだが、他に白地のデザインというとこのアルバムも印象に残っている。
デザインだけでなく、タイトルの”BLUE SHEGE”に掛けたレイアウトのアイディアが実に洒落ている。
デニムが綾織(SERGE)の代表的な素材であることを意識してのことであろう、白のバックに、白の洋服を着た女性が青のデニム(?)のジャケットに寄り添う様は、このタイトルを実に旨く表現しているものだ。このセンスに拍手。

このアルバムの主役であるシャロフも短命であった。30代の半ば、これからという時にこの世を去っている。
この録音を行った時にはすでに病に冒されていたとか。数少ないリーダーアルバムであるが、これが最後のリーダーでの作品である。この翌年、亡くなる直前には”Four Brothers”の再会セッションに故郷のボストンからNew Yorkに駆けつけたらしいが、すでに車椅子での生活だったとか。

この録音では病を感じさせない力強く、かつ軽妙な演奏を聴かせてくれる。
ペッパーアダムスを筆頭とするバリトンのソロプレーヤーは、バリトンの力強さを前面に出した演奏は得意であるが、シャロフのようにバリトンを軽妙に扱うプレーヤーはマリガンしかいないかも。シャロフ亡き後、このマリガンがバリトンサックスの世界では一世を風靡するが、もしシャロフが生きていれば・・・・・。
コスタに続いて、今回も早くしてこの世を去った天才肌のプレーヤーを聴くことになってしまった。

このアルバムは、バックがまた実にいいメンバーだ。
ピアノのソニークラーク、ベースのルロイヴィネガー。そして、ドラムは丁度マイルスのグループに参加した頃のフィリージョージョーンズ。
このピアノトリオをバックにしたワンホーン。シャロフはビッグバンドや大きな編成のアンサンブルワークが多いが、ここでは思う存分バリトンの魅力を聴かせてくれる。
もし、シャロフが生きていたならはイーストコーストを代表するバリトンの第一人者はこのシャロフであったかもしれない。

1. A Handful of Star             Jack Lawrence-Ted Shapiro 5:33
2. The Goof and I              Al Cohn 4:45
3. Thanks for the Memory         Leo Robin-Ralph Rainger 3:46
4. All the Things You Are         Jerome Kern-Oscar Hammerstein 5:24
5. I've Got the World on a String     Harold Arlen-Ted Koehler 6:44
6. Susie's Blues               Serge Chaloff 5:08
7. Stairway to the Stars          Malneck・Signorelli-Parish 4:50

Serge Chaloff (bs)
Sonny Clark (p)
Philly Joe Jones (ds)
LeroyVinnegar (b)

Recorded at Capitol Studios, Los Angeles on Mar 14, 1956
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「一粒で2度美味しい」・・・・こんなキャッチのキャラメルの広告のコピーがあったが

2007-12-30 | CONCORD
Louie Bellson / Prime Time

アナログレコードは片面20分でA面とB面。コンサートは1時間のステージが2回。間に区切りが入ってひとつのセットとなって構成されている。
長年この表・裏、前半・後半のこの区切りの感覚に慣れていたが、CDの時代に入って一枚のアルバムを区切りなく聴くのに慣れてしまっている。さらにランダム再生とか、Ipodのように複数のアルバムをシャッフルして再生するとか・・区切に拘らない聴き方が広まって、LPのアルバムの片面ずつを楽しむ感覚(昔のジャズ喫茶もそうであったが)が薄らいでしまった。
アナログ時代はそれなりの区切りとそれに合わせた生活のテンポというものがあったが、最近は知らない内にデジタルのテンポに生活が慣らされつつある。そのせいでもないとは思うが、最近は一枚のアルバム作りや、アルバムの曲順にこだわりがなくなってきている感じがしないでもない。果たして、それが良いのか悪いのかは分からないが、区切りというのは生活のテンポには必要なような気がする。

さて、そんなアナログ時代一枚のアルバムで2つの楽しみが味わえるアルバムが時たまある。
ソロとコンボの編成であったり、インツルメンツとボーカルだったり。

コンコルドレーベルのルイベルソンの3作目がそんな企画の一枚だ。
ルイ・ベルソンというと、2ベースドラム。エリントンオーケストラのスキンディープが有名だ。そのせいか、ついついビッグバンドドラマーと思われがちではあるが。
1枚目と2枚目は、それぞれコンボフルバンド。ベルソンのドラミングの多彩ぶりを味わうことができた。
今回のアルバムは、A面とB面でメンバーは同じだが、がらりとプレースタイルが異なる。

A面はブルーミッチェルのトランペットがリードしてハードバップ風のストレートジャズ。バラードメドレーもいいが、やはりアップテンポのコットンテイルがベルソンには似合う。
一方で、B面はパーカッションも加わって、ボサノバやカリプソなどのラテンのリズムに乗った演奏。ベルソンのドラムも当然ストレートな4ビートから、ラテンのリズムにファンクな色合いも絡めた8ビードを。50歳を過ぎたベルソンも益々意気盛んだ。
ギターのBob Bain。ジャズファンにはあまり馴染みのない名前だがスタジオワークでは一流どころ。Tonight showのレギュラーメンバーの一員だ。

でもこのアルバムで、A面とB面で一番スタイルが違うのはベルソンよりもピアノのロストンプキンス。
アルコーンとの久々の共演でスインギーなプレーを演じたトンプキンス。A面では当然アコースティクピアノでスインギーな演奏を披露するが、B面ではエレキピアノでリズミックなプレーを。スタジオワークが長いだけあって器用な一面を見せる。
60年代の後半に登場したエレキピアノであるが、10年経ってべテラン勢にも大分エレキピアノが浸透して市民権を得てきた時代だ。

1. Step Lightly         Golson 5:11
2. Space Ship 2         Bellson 3:33
3. Medley:
   I Remember Clifford
   With You in Mind
   What's New

4. Cotton Tail          Ellington 7:36
5. Let Me Dream         Bellson 4:52
6. Thrash-In           Christlieb 4:14
7. And Then She Stopped    Gillespie 3:13
8. Collaborations         Mitchell 3:54

Carl Jefferson Producer

Peter Christlieb (ts)
Blue Mitchell (tp)
Emil Richards (Per)
Ross Tompkins (p,elp)
Bob Bain (g)
John Williams (b,elb)
Louie Bellson (ds)

 Originally released on Concord CJ-64
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洒落たデザインのアルバムには、思わず食指が動く・・・・

2007-12-27 | MY FAVORITE ALBUM
EDDIE COSTA / 5


モード(Mode)というレーベルがあった。このモードのアルバムのデザインが実にいい。
デザインだけでなく中身もよく話題にもなるが。
実はこのレーベルの設立の経緯は詳しく知らない。自分にとっては身近なようで、少し遠い存在だった。
とにかく垢抜けた洒落たデザインで印象的なレーベルである。

シェリーマンのアルバムに参加していたエディーコスタ。彼の特徴あるプレーをもう少し聴きたいと思った。脇役では色々なアルバムで見かけるが、リーダーアルバムというとなかなか思い浮かばないが。
このモードレーベルのアルバムを一枚持っているのを思い出し引っ張り出してみた。

白地にイラストのモードの特徴あるジャケットデザインにコスタのイラストが描かれている。ピアノではなくてヴァイブを弾くコスタの姿だ。
カタログリストを見ると当時新人で売出し中のプレーヤーをリーダーにしたアルバムが並んでいる。全部で30枚足らずのアルバムであるが、皆1957年の短期間に録音されている。
モダンジャズが一番元気だった頃である。
好きなバリトン奏者、ペッパーアダムスのアルバムもシリーズの中にある。彼も丁度New Yorkへ出る前、売り出中時の作品であった。他のアルバムを見ても同じように若手が並んでいる。新進気鋭の新人紹介レーベルの様相だ。それも白人のプレーヤーがほとんどだ。この辺りが、このレーベルのコンセプトであり、拘りだったのだろう。

確かに、コスタはピアノだけではなくヴァイブも旨い。これが録音された年は、ダウンビートの新人賞、それもピアノだけでなくヴァイブと両部門をとったばかりの時。
たまに余興で演奏するプレーヤーはいるが、彼は本当の意味で両刀使いだ。
そのせいかどうか分からないが、ピアノを打楽器的に弾くことがある。それも低音域を重視しながら弾くのが印象的だ。

このアルバム、彼がリーダーアルバムなので、このピアノが十分に聴けるかと思うとそうでもない。
このアルバムには、トランペットのアートファーマーとアルトのフィルウッズが参加してフロントラインを固めている。2人もすでに若手のホープとして活躍中であり、この2人のプレーも気になるが期待通りの好演。全体的には2人がリードするプレーに引っ張られている。自分もこのアルバムを入手したのは、ウッズがいたからだったような記憶が・・・・?
コスタの特徴あるピアノが聴けるのも最後の曲だけだ。

ジャズの世界では、何故か有能な新人が若死にしている。
クリフォードブラウン、スコットラファロ、そしてこのエディーコスタも。
このコスタ。せっかくの素材が完全に花開くことなく、名脇役のまま終わってしまったような気がしてならない。


1. GET OUT OF THE ROAD
2. IN YOUR QWN SWEET WAY
3. BIG BEN
4. NATURE BOY
5. BLUES PLUS EIGHT
6. I DID’T KNOW WTAT TIME IT WAS
7. STRETCH IN “F”

Eddie Costa (p)
Art Farmer (tp)
Phil Woods (as)
Teddy Kotick (b)
Paul Motian (ds)

Recorded in New York ,July , 1957


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久々に会った友人と、昔を思い出しながら・・・・・・

2007-12-26 | CONCORD
Ross Tompkins and Good Friends

長年付き合った仲間だと、会ったときの相手の言動は大体読める。
そして、ある種の信頼感に根ざした間柄であれば、ちょっとしたブランクがあり久しぶりに再会を果たしてもそれは基本的に変わるものではない。

性格的なものもあれば、価値観の違いもある。知識や興味の対象の違いもあるし、今置かれたそれぞれの境遇もある。しかし、近況を語り合っているうちに、お互いに今の相手を理解し、いつもながらの打ち解けた会話が自然に弾むようになる。

ジャズの世界にも、「安心して聴ける」演奏というものがある。
きっとプレーしている側でも、安心してプレーに専念できる関係というものがあるのであろう。いつも一緒にプレーしているのであれば、日々切磋琢磨しながらお互いの関係を深めていった結果であろう。
特に目新しさや奇抜さを狙わなくともよい。このような二人の間の親密度の増したプレーは、聴いているほうでも心地よさを感じるものだ。

二人のテナー奏者による双頭バンドにアル&ズートのコンビがあった。
似たようなプレースタイルで、テナーの音質も似たもの同士である。二人の掛け合いやソロは、やはり一人では出来ない二人にしかできない独自の世界を作っていた。

このコンビのピアノを一時担当したのがロス・トンプキンスだ。優等生タイプであり、ジャズピアノの教則本のようによくスイングするピアノである。
一方の雄アルコーンは、コンビを解消した後はニューヨークでアレンジを中心にした仕事をしていた。経済的な支えには必要であったが、もちろんテナーのプレーを止めたわけではなく、自己のリーダーアルバムも出し続けていた。
ピアノのロスは、ニューヨークから西海岸に移り、テレビの「ツゥナイトショー」のレギュラーとして活躍をしていた。

或る時、アルコーンが仕事で西海岸に飛んで暫く滞在することになった。
アルが、再会を果たしたのはズートではなく、このピアノのロスとであった。

旧知の間柄であった二人は、当然のように旧交を温めることになるが、地元の有名なクラブ “Donte” に出演して、久々に一緒にプレーをすることになる。
一緒に演奏していた二人の間柄故、演奏はすぐに呼吸がぴったりと合う。いつも一緒にプレーをしているレギュラーグループのような演奏を繰り広げることとなる。
そして、このクラブ出演に合わせて、このグループの演奏が録音されることになった。

仕掛け人は、またもやジェファーソン。仲を取り持ったのはトンプキンスであったのだろう。
トンプキンスは、コンコルドには初期のアルバムから参加し、自己のアルバムもすでに2枚出していた。夏のフェスティバルにも参加してすっかりConcordの顔の一人になっていた。
こんなトンプキンス自らの再会セッション。これを録音しておかない訳にはいかなかったということであろう。

演奏は、アルコーンのテナーのワンホーン。
トンプキンスのピアノも水を得た魚のように躍動する。ソロやトリオもよいが、主役が別に現れ、バックに廻った時の引き立て役としてのピアノのプレーも素晴らしい。
ベースのモンティーバドウィッグとドラムのニックセロリは、ここでは控えめだ。裏方として、2人の親友同士の久々の共演のバックをしっかり支える役回りに徹している。

このセッションが、そしてConcordの雰囲気が気にいったのか、アルコーンは所属していたXANADUレーベルをその後離れ、Concordからアルバムを出すことになる。
トンプキンスもこのセッションを通じてコンコルドにまた新たな仲間を増やす介添え役を果たしたのかもしれない。ジェファーソンのためのリクルート役としても。

BLUE LOU
LOVER MAN OH WHERE CAN YOU BE
MY SILENT LOVE
ALWAYS
MY GEART STOOD STILL
SERENADE TO SWEDEN
HOW DEEP IS THE OCEAN
CLOSE YOUR EYES

 Ross Tompkins (p)
 Al Cohn (ts)
 Monty Budwig (b)
 Bick Ceroli (ds)

Originally released on Concord CJ-65
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異色の組み合わせであるが、何故か意味ありげな奥深いサウンドが聞こえてくる・・・

2007-12-25 | MY FAVORITE ALBUM
2 3 4 / Shelly Manne

シェリーマンの抜けた“L.A.4”を聴いたら、無性にシェリーマンを聴きたくなった。
彼が活躍したコンテンポラリーのアルバムでも何かと思ったが、ドラムを聴くならやはりこのアルバムだ。

このアルバムのドラムの音は実にいい音だ。もちろんシェリーマンのドラミングのせいもあるが、そのプレーぶりを備に捕らえた録音自体が実に生々しい。昔ジャズ喫茶で、このドラムの音が聴きたくてこのアルバムをリクエストしたものだ。

シェリーマンのドラミングは、単純に4ビートを刻むのではなく、おかずの入れ方やリズムの微妙なずらし方などが妙に気に入っていた。その後、多彩なドラミングをする若手プレーヤーはたくさん出てきたが、当時「多彩なドラミング」というものを感じるドラマーはそれほどいなかった。

一曲目のA Trainからシンバルが刻むテンポと、ピアノやホーンのテンポが異なる。
よくある倍テンポを楽器によって変えているのだ。何か不思議な雰囲気が漂う。
これは偶然生まれた演奏のようであるが、シェリーマンのそれまでの演奏を辿れば必然だったのかもしれない。

久々にこのアルバムを聴いたが、ホーキンズのテナーも図太い音で実にいい。もっぱらコルトレーンで有名なインパルスであるが、初期のアルバムにはこのような中間派のベテランを取り上げた演奏も多い。
このアルバムは、シェリーマンのドラミングだけが主役ではない。ホーキンズのテナーもいる。そしてリーンオンミーのコスタのピアノなど聴き所が多い。

「2 3 4」というタイトル。タイトルどおり、Duo,Trio,そしてQuartetでこの聴き所の多い演奏が楽しめる。
そして、最後にはシェリーマンとのDuoでホーキンズのピアノも聴ける。

ドラマーがリーダーになると、とかくドラムソロをフューチャーしたアルバムになりがちであるがこれは違う。マンのドラムの「技」に合わせて他のプレーヤーが全知全霊を傾けて一緒にプレーを楽しんでいる。
皆で楽しく盛り上がるジャムセッションというよりは、マンのドラミングに合わせて思う存分それぞれのインプロビゼーションを競うという企画のようだ。

改めてライナーノーツを読んでみると、プロデューサーのボブシールとシェリーマン、そしてホーキンズの組み合わせは、これが初めてではなくホーキンズの1943年の名演はこの組み合わせだったとのこと。
再会セッションはよくあるが、これもボブシールも「これ」を意識してメンバーを集めたようだ。以前のセッションの主役はホーキンズであったが今回の主役はシェリーマン。そして、単なる再会セッションに終わらなかったのが素晴らしい。
色々な意味で曰く因縁のある意味のあるセッションだったと思う。

1. Take the "A" Train        Strayhorn 7:34
2. The Sicks of Us          Costa, Duvivier, Manne 6:00
3. Slowly                Goell, Raksin 5:34
4. Lean on Me             Greene, Waldman 6:28
5. Cherokee              Noble 3:29
6. Me and Aome Drums       Hawkins, Manne 5:59

<1,2,5>
Coleman Hawkins (ts)
Hank Jones (p)
George Duvivier (b)
Shelly Manne (ds)

<6>
Coleman Hawkins (ts)
Shelly Manne (ds)
 Recorded on February 5 , 1962

<3,4>
Eddie Costa (p)
George Duvivier (b)
Shelly Manne (ds)
Recorded on February 6 , 1962

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クリスマスまであと一日・・・

2007-12-24 | CHRISTMAS
Crescent City Christmas Card / Wynton Marsalis

12月はあっという間に時間が経つ。こんな時期に長い休暇をとったのも自業自得であるが、ただでさえ慌しい年末、バタバタしたまま正月に突入しそうだ。
この時期になるとクリスマスアルバムをじっくりと思うが新たに仕入れたアルバムは今年はなし。あまり聴き返す時間もなく今年も終わってしまいそう。
今年もこのアルバムが最後になりそうだ。
先日、サックスのグローバーワシントンJr.のアルバムを聴いたので、今回はトランペットで締めることにする。
ウイントンマルサリスの一枚を。

タイトルが、“Crescent City Christmas Card”とあるように、マルサリスの故郷であるニューオリンズからのクリスマス音楽の贈り物だ。ハリーコーニックJr.も同じニューオリンズ出身だが、彼のクリスマスアルバムとは一味も二味も違う。
お国柄、土地柄を生かしたご当地アルバムはよくあるが、これはただのクリスマスアルバムとは思えない。単なるトランペット奏者ではないマルチタレントのマルサリスが本格的に曲作りから取り組んだ大作だど思う。

素材は確かにクリスマスソングだが、これにジャズに大きく影響を与えた故郷ニューオリンズの歴史、文化を最大限組み込んだアルバム自体が「大組曲」といってもいいかもしれない。
曲によってブルースの香りを感じ、アンサンブルにストリートブラスバンドの雰囲気を、ニューオリンズジャズには欠かせないクラリネットやトロンボーンの使い方、ボーカルの使い方、どれひとつをとっても。マルサリスはこのアルバムではコードの使い方、ハーモニーの使い方一つにもこだわりをもったそうだ。

その結果聞こえてくるサウンドは、エリントンのオーケストラを思い起こすことあれば、ジェリーロールモートンの時代の懐かしいジャズの響きが。この手の企画にはうってつけのジョンヘンドリックのボーカルも一曲だけだが適役・・・・、などなど。

聴きなれたクリスマスソングも、料理の仕方ひとつでこれまでに変化してしまうものかと。もちろんマルサリスのトランペットのプレーは素晴らしいが、アルバム作り全体が気に入った一枚だ。

1. Carol of the Bells              Traditional 4:56
2. Silent Night                  Gruber, Mohr 4:47
3. Hark! The Herald Angels Sing       Mendelssohn, Wesley 3:09
4. Little Drummer Boy             Davis, Onorati, Simeone 5:29
5. We the Three Kings             Traditional 5:22
6. Oh Tannenbaum                Traditional 1:39
7. Sleigh Ride                   Anderson, Parish 4:29
8. Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!   Cahn, Styne 4:20
9. God Rest Ye Merry Gentlemen       Traditional 5:43
10. Winter Wonderland              Bernard, Smith 2:55
11. Jingle Bells                  Pierpont 3:23
12. O Come All Ye Faithful           Oakeley, Wade 1:37
13. 'Twas the Night Before Christmas    Traditional 8:07

Wynton Marsalis (tp)
Todd Williams (ts&ss)
Wessel Anderson (as)
Joe Temperley (bcl&bs)
Alvin Batiste (cl)
Wycliffe Gordon (tb)
Marcus Roberts (p)
Reginald Veall (b)
Helin Riley (ds)
Kathleen Battle (vol) ( *only2 )
<Tracks: 1.2.3.4.8.13>

Wynton Marsalis (tp)
Todd Williams (ts&ss)
Wessel Anderson (as)
Wycliffe Gordon (tb)
Marcus Roberts (p)
Reginald Veall (b)
Ben Riley (ds)
Jon Hendricks (*only7)
<Tracks : 5.7.11.>

Wynton Marsalis (tp)
Todd Williams (ts&ss)
Wessel Anderson (as)
Wycliffe Gordon (tb)
<track : 6>

Wynton Marsalis (tp)
Marcus Roberts (p)
Reginald Veall (b)
Ben Riley (ds)
<Track : 10>

Todd Williams (cl)
<Track : 9>

Marcus Roberts (p)
<Track : 12>

Recorded at RCA Studio A,Janusry 24&25,April 3&4,1989

Crescent City Christmas Card
Wynton Marsalis
Sony Special Products

このアイテムの詳細を見る


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ミシェルルグランの曲には好きな曲が多い・・・・

2007-12-23 | MY FAVORITE ALBUM
WATCH WHAT HAPPENS / Lena Horne & Gabor Szabo

タイトル曲の”WATCH WHAT HAPPENS”も好きな曲の一つ。
L.A.4のアルバムを聴いて、この曲を、そしてこのアルバムを思い出した。
タイトルに惹かれて思わず買い求めた一枚だ。
特にリナホーンのファンでもないし、別にガーボルザボが好みであった訳ではなかったのだが・・・・。
ところが、聴いてみるとバックのリチャードティーのオルガンが心地よい演奏ですっかりお気に入りの一枚になった。ザボのギターよりもこのオルガンが印象に残っていた。

歌っている曲は、タイトル曲以外にもビートルズナンバーを含めて当時のヒット曲集。
実はこのアルバムは、SKYEというレーベルから最初発売されたもの。
このアルバムにも参加しているマクファーランド、ザボ、それにヴァイブのカルジェイダーで設立されたレーベルだ。
ちょうどジャズが多様化を始めた60年代の後半、ジャズをもっと身近なものにしようという心意気で新しいポピュラーな曲を、ジャズの世界で新しい試みにチャレンジしたレーべルであった。
ビジネス的には難しかったのか、短命ではあったが、斬新なアルバムが何枚かある。

このアルバムは、レナホーンを主役にしたものだが、張りのある彼女の歌声に、ザボの朴訥としたギターがよく合う。それに、バックのリズムセクションも。60年代の録音とは思えないほど洗練されていて、ソウルフルだが垢抜けしている。
と思ったら、バックは後のフュージョンの世界を引っ張った面々だし、アレンジがゲーリーマクファーランドだった。オブラートに包んだというか、旨くコーティングしたというか、派手さはないが独特のアレンジで好きなアレンジャーの一人だ。

「コスモポリタン」という言葉がある。レナホーン自身もネイティブアメリカンの血が流れる。ザボもハンガリー出身で自国の民族音楽に根ざしたプレー、彼らがヨーロッパ生まれのヒット曲を。まさに国際色豊かであり、それぞれに根ざした新旧の音楽をミクスチャーした作品。けっして大作というわけではないが、Skysレーベルのコンセプトが旨く表現できたアルバムだ。

リナホーンは1930年代から活動していたようだがこのアルバムの録音時にはすでに50歳。80歳を超えても新たなアルバムを出して比較的最近まで活躍していたが実に息の長い活躍ぶりである。ひょっとしてまだ健在なのかも。

Rocky Raccon
Something
Everybody’s Talkin’
In My Life
Yesterday When I Was Young
Watch What Happens
My Mood Is You
Message To Michael
Nightwind
The Fool On The Hill

Produced by Norman Schwartz

Lena Horne (Vocals)
Gabor Szabo (g)
Howard Roberts (Vocal Arrangement)
Gary McFarland (Arranger, Conductor, Orchestration)
Richard Tee (org)
Cornell Dupree (g)
Eric Gale (g)
Chuck Rainey (b)
Grady Tate (ds)

Recorded at A&R Recording Studios, New York; Oct.-Nov. 1969
Watch What Happens!
Lena Horne & Gabor Szabo
DCC

このアルバムのCD盤


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アコースティックなサウンドを生かしたグループといえば・・・・

2007-12-22 | CONCORD
Watch What Happens / L.A.4

エレキ楽器が主役を占めたフュージョンが幅を利かせてきた時に、アコースティックの楽器の良さを懐かしいサウンドで聞かせてくれたのがConcord。個々の楽器のアコースティックの良さもあるが、そのアンサンブルワークもまた楽しいものだ。古き良きアコースティックサウンドというと、とかく懐古調になりがちであるが。
その中で新たなアコースティックサウンドを探求し続けたグループがある。
”L.A.4” である。
Concordレーベルスタートの初期からアルバムを出していたが、久々に登場した。
ベテランの実力者四人組でスタートしたが、今回からメンバーが一人代わり、ドラムのシェリーマンに加わってジェフハミルトンが参加した。
このL.A.4はグループ全体として、4ビートに加えてボサノバなどのラテンリズムを多用した独自のサウンド作りが特徴だ。この要のリズムが、大の実力者シェリーマンから若手のハミルトンに代わって果たして務まるか・・・・・・?
モンティーアレキサンダーのトリオ、そしてウディーハーマンのオーケストラでの実績はあっても、まだ25歳。親子ほど年が違う先輩たちに挟まれて・・・?
しかし結果は杞憂であった。
元々スインギーなドラムが彼の売り物であるが、それをベースとしたL.A.4の繊細なリズムワークも完璧だ。そして他の3人とのコンビネーションもぴったりだ。
このハミルトンもConcordの水に肌合いが合ったのだろう。L.A.4だけでなく、様々なセッションに顔を出すようになる。新人ではないが、Concondが育てたプレーヤーの一人だろう。
演奏する曲はミシェルルグランの代表作から始まる。枯葉やモナリサなどスタンダード曲が続くが、それぞれの料理の仕方が絶妙だ。バドシャンクのアルトとフルートの使い分けもいいが、この4人の味わいのあるコラボレーションが何ともいえない。少しスタイルは違うが、MJQの魅力をジャズ&ラテンの世界で実現したような趣だ。
このグループの要はやはりローリンドアルメイダ。バドシャンクとの長年の絆がこのグループの原点だ。
この後もこのLA4は進化し続ける。歴史に残るグループの一つだろう。

1. Watch What Happens       Gimbel, Legrand 5:24
2. Summertime            Gershwin, Gershwin, Heyward 5:14
3. Mona Lisa              Evans, Livingston 4:55
4. Willwaw                Laurindo Almeida 5:27
5. Land of Make Believe       Chuck Mangione 6:55
6. Nuages               Django Reinhardt 5:48
7. Misty                Burke, Garner 7:42

Produced by Carl Jefferson

The L.A. 4
Bud Shank Flute, Sax (as)
Laurindo Almeida (g)
Ray Brown (b)
Jeff Hamilton (ds)

Originally released on Concord CJ-63

Watch What Happens
L.A. 4
JVC

このアルバムのCD版は


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若手のスタジオワークのメンバーがストレートなジャズをやると・・・・・

2007-12-21 | CONCORD
Good Stuff / The Grant Geissman Quintet

スコットハミルトンを世に出したConcordは、基本的にベテランの再デビュー&再発見を得意としていた。ハミルトンのような若手を、本当の意味での新人の発掘というのは行っていなかった。というか、ジェファーソンのコンセプトに合うような若者がいなかったということだろう。その意味でも、スコットハミルトンは例外中の例外だったのかもしれない。
ところがハミルトンの成功に気を良くしたのが、同じような新人のデビューアルバムを企画して出した。奇しくもハミルトンノ2作目に続けて。

主役はギターのグラントガイスマンだ。
ところが、このガイスマンとハミルトンは丁度正反対、現代的なセンスの若者だ。演奏スタイルも時代の流行を取り入れた普通の若者である。今までのコンコルドでは考えらないような人選で、コンコルドもいよいよ拡大路線を始めたのかとも思わせる一枚だ。

そもそもガイスマンの、コンコルドのアルバムデビューはこれが初めてではない。
ルイベルソンのコンビに加わって、’76年のConcord Jazz Festivalに出演している。
メインストリームの演奏であるが、彼のスタイルは完全に今風のサウンドを聞かせてくれる。
ルイベルソンは自らビッグバンドを率いていたがジャズの教育にも熱心だった。そのためでもあろう、自分のグループにはベテランだけでなく新人も起用していた。その中の一人がガイスマンだ。
ガイスマンとコンコルドの接点はこんなところだったと思うが。このガイスマン、実はこの頃、76年の後半にはトランペットのチャックマンジョーネのグループに加わって、New Yorkでの満員札止めになったコンサートにも一緒に参加していた。そして、マンジョーネの有名なアルバム“Feels So Good”にも参加している。このアルバムが作られた前後だ。

ベースのMAGNUSSONはバディーリッチのオーケストラにも参加、ドラムのSCHAEFFERはあのハーブアルパートのグループにも参加していた。コンコルドではバドシャンクのアルバムにも参加していたメンバー。そして、サックスには、最近ビッグバンドで有名になっているゴードングッドウィンが参加。
ガイスマンだけでなく当時の西海岸で多方面で元気に活躍していた若者達がこのアルバムの主役だ。

演奏の方は、マイルスのオールブルースから始まる。B面はウェスの演奏で有名なロードソング。スタンダードのシャドウオブユアスマイルもあるが、半分はガイスマンやグッドウィンのオリジナルも。最後の一曲はリターンツゥーフォーエバーを彷彿とさせるようなリズムで。なかなかいける演奏だ。
ストレートなジャズに根ざしたプレーを基本にPOPからフュージョンまで何でもこなす新進気鋭のメンバーの演奏は新鮮。フュージョン全盛期のバップムーブメントのようなよう様相だ。

その後、西海岸のスタジオワークも彼らのような新人にだんだん変わっていったのだろう。
ここに参加したメンバーは、その後も様々なセッション、あるいはテレビや映画のバックに参加している。グッドウィンは作編曲に加え、自己のビッグバンドも有名になっている。これにはガイスマンも加わっている。
ガイスマンもいわゆるスムースジャズの分野で活躍したようだが、最近はストレートなジャズや自分のビッグバンドもやっているとか。
Concordが70年代にやってことをまたどこかのレーベルがやっているのだろう。歴史は繰り返す、いずれのアルバムも未聴だが聴いて見たい気分になった。

その後、このガイスマンはコンコルドに再び登場することもなく、コンコルド自体がこのような試みを積極的に行ったわけではない。
何かのきっかけで生まれた一枚のアルバムであるが、他のバンドやセッションで活躍していた若者だけで、ストレートなジャズの世代交代の新たな兆しを捕らえたアルバムとしては貴重なアルバムだと思う。

1. All Blues
2. Good Stuff
3. Slightly Out Of Town
4. There Will Never Be Another You
5. Road Song
6. Later Wally Gator
7. The Shadow Of Your Smile
8. Manbo’s Guava-Sava Samba

Grant Geissman (g)
Gordon Goodwin (sax)
Tom Ranier (Keyboards)
Bob Magnusson (b)
Steve schaeffer (ds)

Originally released on Concord CJ-62
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一作目でセンセーショナルなデビューをしたハミルトンが、すかさず2作目を・・・

2007-12-20 | CONCORD
SCOTT HAMILTON , 2

昔の仲間が、古き良き思い出を語りながら和気藹々とセッションを繰り広げている中に、二十歳を過ぎたばかりの一人の若者が突然登場した。
その演奏は、先輩たちのスタイルをしっかり引き継ぎ、その細身で口ひげを生やしオールバックに髪を撫で付けた風貌も20年代にタイムスリップしたようなものだった。

まるで、ビックスバイダーベックがコルネットの代わりにサックスを手にしたようなともライナーノーツには書かれている。
アルバムのタイトル下には、“One of the most unusual jazz musicians to appear in recent years”とのコメントが。
スコットハミルトンのデビューの時の皆の印象であろう。
フュージョン全盛期にまか不思議なプレーヤーが生まれたものだ。

Concordのファーストアルバムは当然のように話題になり、ハミルトンはスターへの道を歩みだす。Concordが生んだ最初でそして最高のスタープレーヤーであろう。ハミルトン一人に活躍に負うわけではないとは思うが、Conocrdレーベル自体も磐石な基盤ができてマイナーレーベルから今のメジャーレーベルに至るますますの発展に繋がるのだ。

映画の世界でもそうであるように、第一作がヒットすると第2作が続けて企画される。
“×〇□・・2”という形で。
このアルバムも、まさにその類の一枚。この話題になった一作目に続く第2作だ。

第一作からメンバーはビルベリーのトランペットが抜けて、同じ時期にConcordにデビューしたカルコリンズのギターが加わった。ハミルトンはどのような編成でもこなすが、テーナーの良さをじっくり味わうにはワンホーンが良く似合うのでこの編成がしっくりくる。

新たに加わったコリンズが実にいい感じだ。
ベニーグッドマンのお眼鏡に叶ったコリンズであるが、実はこの時期にハミルトンもグッドマンのバンドに加わったことがあるそうだ。一緒にプレー時期もあったのであろう。
西海岸に来る前にニューヨークでプレーしていたハミルトンは、ルビーブラフやウォーレンバッシエといった中間派のミュージシャンとプレーをしていた。この演奏をジェイクハナが、New Yorkでたまたま聴いたことがConcordデビュー繋がったということの経緯もある。
このハミルトンのグループのメンバーは、このようないくつかの偶然が重なって決まったのだろう。

当然息の合ったメンバー同士であるが、2作目にあると曲選びも色々あったようだ。
New York時代から得意としていた曲もあれば、競演したハナから薦められた曲も。
ハミルトンは基本的にはミディアムテンポ。それを少しアップテンポ気味によどみのないプレージングで、いくらか前ノリでプレーするのを得意とする。
最初の3曲はこのテンポで快適なリズムに乗って快調に飛ばす。
ギターのコリンズは、自分のトリオでの演奏とは異なり、アコースティックギターも随所に使ってスイングスタイルに合わせたリズムワークも披露する。
このギタープレーが実に似合うのだ。エリスやケッセルとは違った少し古めかしいサウンドが。
エレキギターに持ち替えた”Rough Ridin’”ではテーマのメロディーをハミルトンのサックスとユニゾンで、そしてプレーを披露する。
この曲と、”The Very Thought of You”がハミルトンが始めてこのセッションで演奏した曲だそうだ。
同じ中西部だがカンサスシティースタイルのブルースとは少し違った感じで。この両刀使いがコリンズの育ったシンシナティーサウンドかもしれない。

バラードプレーは、”Everything Happens to Me” と”These Foolish Things”で。これも情感がこもったいい演奏だ。
アップテンポのショーケースは、”I Want to Be Happy”で。これでもかというスイング感が、とかくお祭り騒ぎになりがりだが、ワンホーンだと馬鹿騒ぎにならなくていい。
ブルースのオリジナル曲を一曲含めているがスタンダードな曲の選曲とバランスもよし、バックの好演もあり、ハミルトンの良さが一作目より一段と味わえるアルバムだ。

1. East of the Sun (And West of the Moon)    Bowman 5:41
2. There Is No Greater Love            Jones, Symes 4:12
3. Rough Ridin'                     Fitzgerald, Jones, Tennyson 4:24
4. These Foolish Things               Link, Marvell, Strachey 3:43
5. I Want to Be Happy                 Caesar, Youmans 3:17
6. Everything Happens to Me            Adair, Dennis 3:39
7. Love Me or Leave Me               Donaldson, Kahn 4:04
8. Blues for the Players               Hamilton 4:17
9. The Very Thought of You             Noble 6:21
10. It Could Happen to You             Burke, VanHeusen 4:46

Produced by Carl Jefferson

Scott Hamilton (ts)
Nat Pierce (p)
Monty Budwig (b)
Cal Collins (g)
Jake Hanna (ds)

Originally released on Concord CJ-61

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ペッパーアダムスが共演したユニークな相手の一人は・・・・?

2007-12-19 | PEPPER ADAMS
MAN BITES HAEMONICA! / Jean Thielmans

バリトンサックスの特徴なのか、アダムスの好みなのかワンホーンでの録音はあまり多くはない。ペッパーアダムスがワンホーンのアルバムを残したのは晩年になってから。それまでは、他のホーン奏者との共演が圧倒的に多い。その中で、少し変った相手とのアルバムがある。付き合ったのはツゥーツシールマン。そうハーモニカの名手だ。
このアルバムでは、Jean Thielmans となっているが。これが本名なのか・・・?

ジャズとハーモニカというとどうしてもブルース、ギターをバックにしたハーモニカのアーシーな音色を思い浮かべる。しかし、シールマンのハーモニカは洗練された都会的なサウンドだ。
ベルギー生まれのシールマンの音楽のルーツはやはりヨーロッパ。一味も二味も違う

ハーモニカでジャズを演奏するプレーヤー自体が少なく他にはなかなかお目にかかれない。そんな中でスインギーなハーモニカのプレーヤーとしてはオンリーワンに近い存在だ。
シールマンの楽器暦はそもそもアコーディアオンが最初だそうだ。そして、ハーモニカを極め、ギターも演奏する。このアルバムでもギターを弾く曲が3曲ある。どちらも実にスキンギーな演奏を聴かせてきくれる。

アメリカに渡ったシールマンは、一時ベニーグッドマンのバンドにも加わっていたとか。先日紹介したカルコリンズといい、グッドマンは新人発掘の才覚に長けていたのかもしれない。

一方、相方を務めるペッパーアダムスは、ジョーンズ兄弟同様デトロイト出身のミュージシャンとして有名だ。スタンケントンのオーケストラに加わり、そのままロスで活動していたが、このアルバムが録音された1957年に西海岸から戻りNew Yorkに居を移した。1957年にはダウンビートで新人部門の一位になり本格的に全国区に登場した時だ。

ハーモニカとバリトンサックスという一瞬違和感を感じる組み合わせだが、この2つの楽器のコンビネーションが実に粋だ。2人のスイング感に溢れた演奏スタイルがその根底にあるからかもしれない。
バックを努めるリズムセクションも、2人のプレーに合わせた軽快なバックを聴かせてくれる。
その後、60年代後半にはクインシージョーンズと共演する機会も多かったシールマンだが、リーダーアルバムとしてはこれが2作目。
このアルバムもそうであるが、何かジャズの本質と触れ合うと本領を発揮するするプレーヤーのような気がする。シールマンにとってもアダムスのとっても初期のアルバム。
まだまだ無名の新人の2人にこんな出会いを作ったには、プロデューサーのキープニュース。お気に入りのペッパーアダムスのアルバムの中にこんな一枚もあった。

1. East of the Sun          Bowman 7:14
2. Don't Blame Me          Fields, McHugh 2:27
3. 18th Century Ballroom      Bryant 3:46
4. Soul Station            Thielemans 6:58
5. Fundamental Frequency     Thielemans 4:54
6. Struttin' With Some Barbecue  Hardin, Raye 4:30
7. Imagination              Burke, VanHeusen 4:27
8. Isn't It Romantic?          Hart, Rodgers 5:16

Pepper Adams (bs)
Kenny Drew (p)
Wilbur Ware (b)
Art Taylor (ds)
Toots Thielemans (g, har)

Jack Higgins Engineer(Reeves Studios)
Produced by Orrin Keepnews

Recorded in New York ,December 30,1957,and January 7,1958
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クリスマスにはサックスの綺麗な響きも似合う・・・・・。

2007-12-18 | CHRISTMAS
Breath of Heaven: A Holiday Collection / Grover Washington Jr.

クリスマスシーズンなので、クリスマスアルバムを引き続き。
ギター一本のクリスマスソングもなかなかおつな味わいがある。「それでは楽器中心のクリスマスアルバムで他には?」ということで、思い浮かんだのがこのアルバムだ。
サックスのグローバーワシントンJr.のホリデーアルバム。
1999年の12月17日(ちょうど8年前。月日が経つのは早いものだ)に急逝したワシントンだが亡くなる2年間に出されたアルバムだ。ジャケットには、彼のFirst Holiday Albumと銘打ってある。長い活動暦の中で、それまでクリスマスアルバムが作られていなかったのが不思議なくらいだ。
ワシントンといえばやはりグラミー賞をとった“WINELIGHT”。そのサウンドがすぐに思い浮かぶ。ソウルフルだがケニーGよりはソフトでサウンドだ。
スムースジャズなるジャンルを生んだ一人だが、そのサックスの音色はヘビーなサウンドを聴き疲れたとき、一時の清涼剤的な役割を果たす。

ここではソプラノがメインだが、アルト、そしてテナーとサックスの魅力を曲に合わせて使い分ける。相変わらずオールマイティーだ。フュージョンもすっかり市民権を得た時代のアルバム。ジャズというよりはジャズ風のサウンドといった方がよいかもしれないが、ひとつのジャンルを築いたワシントンのサックスはクリスマスの時期にピッタリな雰囲気を醸し出す。

ここにも、サドジョーンズのChild is Bornが。あまり気にもとめていなかったが、最近聴くアルバムに良く登場する。お気に入りの曲だが、すっかりスタンダードとして市民権を得ている。

1. Have Yourself a Merry Little Christmas       Blane, Martin 4:56
2. Breath of Heaven (Mary's Song)          Eaton, Grant 6:59
3. The Love in His Infant Eyes            Robinson, Washington 4:27
4. Away in a Manger                 Traditional 5:56
5. I Wonder as I Wander               Traditional 5:23
6. Christmas Time Is Here                      5:04
7. The Magi's Song/Child Is Born                   4:56
8. Jesu, Joy of Man's Desiring             Bach 4:22
9. The Christmas Song                Torme, Wells 4:33
10. The Christmas Waltz               Cahn, Styne 4:47
11. Christmas Day                  Chant 3:41
12. Breath of Heaven (Mary's Song)          Eaton, Grant 5:18

Produced by Todd Barkan

Grover Washington, Jr. (arr,ss,as,ts)
Billy Childs (p.key.arr)
Adam Holzman (Syn)
Joe Locke (Arr. Chimes, Keyboards, Marimba, Vibraphone)
Donald Robinson (p, arr. Keyboards, Producer)
Hiram Bullock (g.arr.Key)
Richard Lee Steacker (g)
Gerald Veasley (b)
Will Lee (b)
Bashiri Johnson(per)
Steve Wolf (ds)
Victor Lewis (ds)
Pablo Batista (per, Conga)
Lisa Fischer (Vocals)
Dawn Andrews (Cello, Vocals)
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恋の世界だけでなく何事にも「美しさ」を忘れてはいけないのではと思う今日この頃・・・

2007-12-17 | MY FAVORITE ALBUM
But Beautiful / Nancy Wilson

ロージーがビングクロスビーに捧げたアルバムの一曲目に入っているのが「But Beautiful」。
クロスビー自身が、1947年の映画で「Road to Rio」で歌った曲。珍道中シリーズの中の「南米珍道中」といわれているものだ。
スタンダード曲として色々な演奏や歌があるが、何故かこの曲は、ナンシーウィルソンの同名のタイトルアルバムが印象に残っている。

美系のナンシーであるが、このアルバムのジャケット写真は派手さがなく、彼女の本来の美しさが良く引き出されている。そして、中身の歌や演奏も。
ナンシーウィルソンが特に好きなシンガーであった訳ではなく、ジャズボーカル自体もそれほど興味があった訳でもなかった。でも、アダレーとウィルソンの共演アルバムが印象的だった。そのナンシーのコンボをバックにした本格的なジャズアルバムということで購入したのがこのアルバム。あまりボーカルも数多く聴いていない時だったので何となく愛着があるアルバムの一枚だ。

久々に聴きなおしてみた。
やはり、ナンシーは普通のジャズというよりはR&Bの流れを汲んだ歌いっぷり。
ハンクジョーンズ、ロンカーター、グラディーテイト、そしてギターのバタシーニを加えたバックが実にいい感じだ。一体感というよりも、それぞれの個性がうまく噛み合っている好演だ。
ストレートに、少しソウルっぽく、バラードをじっくり情感を込めて。特徴ある張りのある声でのナンシー節はこのようなコンボの演奏をバックにしても引き立つ。
美しい歌声だ。

世の中殺伐としたことが日々起こる時代。
恋の世界だけでなく、毎日の生活には色々なことが起こる。でもやっぱり美しいという気持ちを皆が持てれば住みやすい世の中になるのだが。
日々の生活に「美しさ」を感じなくなったら人生おしまいだろう。最近そんな人間が増えてきているように思う。
喜怒哀楽を感じたとき、こんな歌をたまには聴いてみるといいと思うのだが。

1. Happiness Is a Thing Called         Joe Arlen, Harburg 2:54
2. Oh! Look at Me Now              Bushkin, DeVries 2:22
3. Glad to Be Unhappy              Hart, Rodgers 3:17
4. Do It Again                 DeSylva, Gershwin 2:47
5. But Beautiful                Burke, VanHeusen 4:05
6. Prelude to a Kiss              Ellington, Gordon, Mills 2:45
7. I Thought About You             Mercer, VanHeusen 2:04
8. For Heaven's Sake              Bretton, Edwards, Meyer 2:50
9. Supper Time                 Berlin 3:53
10. I'll Walk Alone               Cahn, Styne 3:33

Produced by Dave Cavanaugh

Nancy Wilson (vol)
Hank Jones (p)
Ron Carter (b)
Gene Bertoncini (g)
Grady Tate (ds)
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中西部の香りを乗せて新たなギター仲間がコンコルドに・・・・・

2007-12-16 | CONCORD
Cal Collins / Cincinnati to L.A.

ウォーミングアップにはコンコルドのアルバム。発売された番号順に紹介してきたつもりであったが一枚抜かしてしまっていたのに気が付いた。
クルーニーのクロスビーに捧げたアルバムにギターで参加していたカルコリンズのコンコルドデビューアルバムだ。

アメリカの南部から北へ上ってオハイオ州に入るとそこは中西部。東海岸から五大湖にかけての東部の入口にもなる。そんな場所にシンシナティーがある。そこで長年ギターを弾いていたのがカルコリンズだ。場所柄、カントリーのギターやブルーグラスでマンドリンなども演奏したが、地元で独学でジャズをやっていた。
地元のクラブのハウスバンドのメンバーとして演奏をしていた時、トランペットのジャックシェルドンをゲストとして加わったセッションが行われた。そして、そのシェルドンの知り合いの、あのベニーグッドマンがギターを探していたので、彼がこのコリンズを紹介したら何と一発でオーディション合格。世の中何がきっかけになるか分からない。
コリンズは晴れてグッドマンのグループに加わって演奏活動を行うことになり全国区にデビューすることになった、というのがコリンズの経歴だ。
それも1976年に。すでに彼は43歳の時だった。

そして、シンシナティーからL.A.に来たコリンズは、地元のミュージシャンとも交流を。当然、ジェファーソンの目に(耳に)止まることになる。そして、声がかかってConcordのセッションに参加、さらにリーダーアルバムへと・・・。とんとん拍子でことが進んだ。

コリンズにとっても、このアルバムがジャズでは初のリーダーアルバム。
クロスビーのアルバムでも一緒だったバドウィッグとハナがバックを努める。ギタートリオでの演奏だ。グッドマンが目に付けただけにスイング派と思いきや、ここではシングルトーンのソロ中心にコリンズ自身の自己のスタイルのお披露目といったところだ。
ジャズの正統派ともいえる演奏であるが何故かブルースは一曲もない。彼が弾きなれた曲が中心とのことだがいわゆる歌物のスタンダード中心。サドジョーンズのチャイルドイズボーンがあるのは意外だが、すでにスタンダード化していたのだろう。
ブルージーな演奏よりはどちらかというとウェスタンの影響を受けたスインギーなプレーが得意なのだろう。南部の影響が薄まり中西部の雰囲気が色濃いシンシナティーの街の特徴と同じといったところだ。

このコリンズは、その後もしばらくConcordには良く登場するようになる。ジェファーソンのお気に入りのギタリストの一人ということであろう。

1. Soon              Gershwin, Gershwin 3:16
2. Easy Living           Rainger, Robin 4:37
3. If I Had You          Campbell, Connelly, Shapiro 3:01
4. I Hear a Rhapsody      Baker, Fragos, Gasparre 3:12
5. Willow Weep for Me     Ronell 5:58
6. Close Your Eyes       Petkere 3:38
7. I Fall in Love Too Easily  Cahn, Styne 3:17
8. The Touch of Your Lips   Noble 4:05
9. A Child Is Born        Jones 3:09
10. My Old Flame        Coslow, Johnston 4:55

Cal Collins (g)
Monty Budwig (b)
Jake Hanna (ds)

Originally released on Concord CJ-56
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にぎやかなクリスマスソングもいいが、ギターでしっとりと・・・。

2007-12-15 | CONCORD
The Charlie Byrd Christmas Album

生活のリズムが狂うとなかなか元には戻らない。
2週間程ブログの更新を休んだが、この間ここ数年この時期に恒例になっている南の島でのゴルフ合宿に。昨年は好天続きであったが今年はハリケーンにも襲われる大荒れの天気。
たまたまなのかどうかは分からないかもこんな天気が続いたのは始めて。異常気候はこんなところにも影響があるのかと。だが、ゴルフ好きな仲間同士での合宿。雨にも負けず風にも負けず、完全に「体育会系」のゴルフ三昧の一週間であった。
仕事も世間のニュースも忘れて久々に頭の中をALL CLEAR。たまにはこのようなリフレッシュも必要だ。ジャズからも遠ざかっていた一週間だった。
戻って早々に職場に戻ったが、溜まった仕事の片付けにうんざりしつつ、おまけに忘年会
続きとなるとなかなか生活のリズムも以前のようにはならない。
アルバムを取り出すこともない日が続いてしまった。
今日はやっと家での休日。久々にジャズを聴きながら、ようやくいつものペースにもどり
つつある一日であった。

さて、ペースが狂うと何のアルバムから・・・・と迷ったが、12月もすでに半ば。世間は年末クリスマス商戦の真最中。クリスマスソングから聴き始めてリハビリ開始とすることに。

コンコルドは、元々ギターのアルバムが多いが、ギターによるクリスマスソングブックのアルバムがある。
ここでの主役は、チャーリーバード。
コンコルドレーベルは、いわゆるConcord Jazzがメインのシリーズだが、他にPICANTEと呼ばれるラテン系の演奏や、CONCERTOとよばれるクラシック系のシリーズがある。
このアルバムも、そのCONCERTOの中の一枚。

バードも、いつもはボサノバスタイルが有名だが、ここではクラシックギターのスタイルでクリスマスソングの小品集をソロで聴かせてくれる.。聴きなれたメロディーが、ギター一本の調べで。Concord特有のモダンスイングの演奏とは一味違う、正統派のクラッシックギターの響きだ。

ジャズのギターは音量的に他の楽器と較べると大音量で聞かせるものでもなく、その音に個性を感じても音の良さをなかなか感じることは少ない。
クラシックギターの一本のオンマイクでの録音。これもなかなかいいものだ。
演奏や曲よりもついついギター本来の音色に聴き惚れてしまった。
他の片づけをしながらの耳慣らしのウォーミングアップにはちょうどよかった一枚だ。

1. O Come All Ye Faithful           Oakeley, Wade 2:16
2. Deck the Halls                Traditional 1:51
3. Mistletoe and Holly             Sanicola, Sinatra, Stanford 2:57
4. Lully, Lullay                  Traditional 1:09
5. What Child Is This? (Greensleeves)   Dix, Traditional 2:06
6. Hark! The Herald Angels Sing        Mendelssohn, Wesley 2:27
7. The Christmas Song             Torme, Wells 2:44
8. In the Bleak Midwinter           Holst, Rossetti 2:07
9. God Rest Ye Merry Gentlemen       Traditional 1:55
10. Oh Christmas Tree (O Tannenbaum)     Traditional 1:57
11. White Christmas              Berlin 2:19
12. Angels We Have Heard on High      Traditional 2:25
13. The Holly and the Ivy           Traditional 1:51
14. Have Yourself a Merry Little Christmas Blane, Martin 2:59

Charlie Byrd (g,arr)

Concord Concerto CC-2004
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