A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

エリントンサウンドを一捻りしてサックスアンサンブルで・・・

2015-07-28 | MY FAVORITE ALBUM
American Jazz Institute Presents Ellington Saxophone Encounters

ジャズの演奏はある種の一期一会。そこで生まれる名演と全く同じものが再び演奏されることはない。だからこそ、過去の演奏が時代を経ても聴かれ続けるのだろう。中でも名手の名演といわれるものは、色々な形でカバーされることも多い。同じような編成だけでなく、時にはランバートヘンドリックス&ロスが試みたようにボーカライズされたり、スーパーサックスのようにアンサンブルにしたり。

名手の再演は何もソロだけでなくビッグバンドもある。ベイシーや、エリントンはそれそれぞれ独自のサウンドを作り出した。譜面のあるビッグバンドは、理屈上は同じ演奏も可能でオリジナルサウンドの再現も可能だが、本家のノリを出すのはそんない簡単ではない。譜面に表せない「何か」がある。新たなアレンジをしても、どこかオリジナルのイメージが残ってしまうものも不思議だ。

マーク・マスターズという西海岸出身のアレンジャーがいる。1957年生まれ、西海岸で音楽を学びトランペットも吹くマークが初めてアルバムを作ったのは84年、27歳の時だった。その後、アレンジだけでなく教育にも携わるようになり、97年にはAmerican Jazz Institute(AJI)というNPOを設立した。ジャズの伝承により力を入れるために。

ジャズの啓蒙や教育などを行うのに加えて、伝統ある過去の曲や新たな曲チャレンジをするレパートリーオーケストラを編成し、ラジオ局も持っている。このジャズの伝承を幅広く行う組織のプレジデントとして今でも活躍している。

このAJIが監修しているアルバムが何枚かある。すべてを聴いた訳ではないが、どれも拘りを感じるアルバムだ。

このマーク・マスターズが、バリトンサックスのゲイリースマリヤンに相談を持ち掛けて生まれたのがこのアルバムだ。サックス奏者が5人集まったアンサンブルチームだが、そのチームリーダーをスマリヤンに託した。スマリヤンもアルバムの主旨を聞いて快諾したそうだ。

「エリントンサックスエンカウンター」というタイトルにあるように、エリントンナンバーをサックスサンサンブルで再現してくれるのかと思ったら、もう一捻りしている。
エリントンオーケストラのサックスセクションにも代々名プレーヤーがいる、アルトのジョニーホッジスを始めとして、テナーではポールゴンザルベス、古くはベンウェブスター、クラリネットのジミーハミルトン、そしてバリトンはハーリーカーネイ。誰をとってもエリントンサウンドには不可欠な名手だ。

エリントンのオーケストラというとエリントン自作の曲が多いが、エリントンは彼らのソロの出番を常に考慮している。しかし、エリントン以外に彼らエリンニアンが作った曲もある。もちろん自分達をフィーチャーした演奏で。

このアルバムでは、そのようなサックスセクションのメンバーが作った曲を選び、さらに、それらをサックスのアンサンブルに仕立て上げている。パーカーの演奏を素材にして有名なスーパーサックスのエリントン版だが、エリントンオーケストラのサックスセクションのメンバーの曲と演奏を素材にしているという拘りに感心する。

アレンジを担当したのは、もちろんマークマスターズ。アレンジはエリントンサウンドを十分に意識している。スマリヤンもソロだけでなくアンサンブルでも大活躍。エリントンサウンドを支えたハーリーカーネイのバリトンの役割が大事であったことが再認識される。他のメンバーも、ピートクリストリーブ、ゲイリーフォスターなど西海岸の重鎮が並ぶ。サックス好きにはたまらないサウンド、さらにエリントンファンには一石二鳥だ。

このように過去の名演を伝承するには、単にカバーするだけでなくやり方次第で新たな名演を生み出すことができる。このように歴史的な遺産ともいえるジャズの演奏は、後継者たちによってきちんと残す努力が色々な形で行われている。このような地味な活動を支えられるのは、やはり本場アメリカだからか。日本でも同じような活動を試みるミュージシャンを支えるファンが育たねばと思うのだが。



1. Esquire Swank   (Hodges-Ellington)
2. The Line Up     (Paul Gonsalves)
3. LB Blues       (Johnny Hodges)
4. We're In Love Again  (Harry Carney)
5. Ultra Blue     (Jimmy Hamilton)
6. Used To Be Duke   (Johnny Hodges)
7. Jeep's Blues    (Hodges-Ellington)
8. Get Ready     (Jimmy Hamilton)
9. Love's Away      (Ben Webster)
10. Rockin' In Rhythm (Carney-Ellington)
11. Peaches       (Johnny Hodges)
12. The Happening    (Paul Gonsalves)

Gary Smulyan (bs)
Gary Foster (as,cl)
Dan Shelton (as,cl)
Pete Christlieb (ts)
Gene Cipriano (ts)
Bill Cunliffe (p)
Tom Warrington (b)
Joe La Barbera (ds)

Produced by Mark Masters & Tom Burns
Arranged by Mark Masters
Recorded on January 15, 2012 at Tri Tone Studio
Engineer : Tally Sherwood


Ellington Saxophone Encounters
クリエーター情報なし
Capri Records
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2人の再会に偶然集まったメンバーは・・・

2015-07-26 | MY FAVORITE ALBUM
Together Again ! / Teddy Edwards & Howard McGhee

ジャズのミュージシャンというのは、常に自分のグループで演奏をしている訳ではない。他のグループに加わったり、レコーディングがあったり、ジャズとは関係のないスタジオワークがあったり。時にはたまたま集まったメンバーでのジャムセッションもある。スケジュール調整は至難の業だと思う。ひとつでも予定が変更になると他の予定の調整も大変そうだ。それも広いアメリカでは尚更。

しかし、偶然が重なんと思わぬメンバーの組み合わせのセッションが生まれることもある。

テナー奏者のテディーエドワーズは、ロスを拠点として活動していた。バップ時代から活躍していたが、旅の多い生活を嫌いロスに定住したという。スタジオでの仕事も多くなったが、ジャズの演奏も忘れなかったようだ。
いわゆるウェストコースト派の演奏とは違って、よくスイングする味のあるテナーだ。そのエドワーズは、ウェストコーストジャズのブームが一段落した後、コンテンポラリーレーベルにリーダーアルバムを残すようになる。

そのテディーエドワーズは、デビュー直後の1945年から47年にかけてはトランペットのハワードマギーのグループに加わって演奏していた。このグループは最初活動のベースは西海岸であったようだ。しかし、マギーがロスを去る時、テディーはそのままロスに残り、自然にグループを離れる事になった。

ハワードマギーは、その後麻薬で演奏活動を何度か中断することになるが、1960年になって、ダスティーブルーというアルバムで再び復帰を果たした。若い頃デトロイトでも活動していたマギーの復帰作には、トミーフラナガンやペッパーアダムスも参加しマギーの復帰を支えた。持つべきものは昔の仲間である。

そのマギーが、ジャイムスムーディーのグループに加わって、翌年5月にロスにやってきた。旧友のテディーエドワーズと久々の再会を果たす。久々の再会セッションを段取りしたのは、地元ロスのコンテンポラリーレーベルのオーナーレスターケーニッヒであった。
ウェストコーストジャズのブームが去ったこの頃コンテンポラリーレーベルはそれほど多くのアルバムを出していない。反対に、オーナーがこれはと思うアルバムだけを作っていたように思う。

ピアノには、ちょうどその時ロスに居たフィニアスニューボーンを起用した。というのも、今回の主役でもあるエドワーズが一週間クラブ出演するのに、このニューボーンをメンバーに起用していた。話題の新人の起用は大金星だった。

さらに都合がいいことに、丁度その時オスカーピーターソントリオがロスに2週間滞在していた。その時のピーターソントリオのベースはレイブラウン、ドラムはエドシグペンの黄金のトリオであった。

レイブラウンとテディーエドワーズは旧知の仲、音楽だけでなくロスにブラウンが来た時はいつもゴルフを一緒にする親友同士でもあった。またレイブラウンはピーターソンのトリオがオフの時は、コンテンポラリーのアルバムには何度か登場する勝手を知った常連であった。

このような経緯で偶然ロスに集まった5人でセッションが行われたのは、5月15日と17日の両日。ケーニッヒの拠点であったコンテンポラリースタジオであった。

仲良く、マギー、エドワーズ、ブラウンのオリジナル曲が一曲ずつ、それにパーカーの曲にスタンダード曲が2曲でアルバムが作られた。

アルバムタイトルのように、基本はマギーとエドワーズの15年ぶりの再会セッションだが、それを支えるバックの演奏が素晴らしい。普段ピーターソンと一緒に演奏しているブラウンもニューボーンジュニアのピアノには手応えを感じたであろう。後に、レイブラウンはニューボーンの復帰の時のレコーディングにも参加することになる

1961年というと世間はファンキーなジャズが主流になりつつあった時代。東海岸の喧騒とは別に、5人のいぶし銀のようなプレーがかえって輝いて聴こえる、いいセッションだと思う。

1. Together Again                Teddy Edwards 9:40
2. You Stepped Out Of A Dream  Nacio Herb Brown / Gus Kahn 7:19
3. Up There                   Ray Brown 3:27
4. Perhaps                  Charlie Parker 5:12
5. Misty           Johnny Burke / Erroll Garner 4:19
6. Sandy                    Howard McGhee 9:50

Howard McGhee (tp)
Teddy Edwards (ts)
Phineas Newborn Jr. (p)
Ray Brown (b)
Ed Thigpen (ds)

Produced by Lester Koenig
Recording Engineer : Roy DuNann
Recorded at Contemporary Records' Studio, Hollywood, CA, May 15 & 17, 1961

Together Again!
クリエーター情報なし
American Jazz Class
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エレクトリックマイルスに向けて、少し小手調べはしたものの・・・

2015-07-25 | MY FAVORITE ALBUM
Miles In The Sky / Miles Davis

渦中の東芝だが、社訓ともいえるチャレンジがいつのまにかその対象が利益にすり替わってしまった。技術の東芝を標榜していた時には、新製品開発へ取り組む姿勢が「チャレンジ」であったはずだ。デジタルテレビの移行期にも、他社よりもはるかに関連サービスの開発に意欲的であった。ブルーレイに敗れたが次世代DVDの規格競争でもHD DVDで健闘していた。しかし、上手く成果を出せないのは、やはりトータルの経営力不足であり、今回の事件の要因であろう。

どんな分野でも競争が厳しいのは、どこの会社でも同じだが、東芝の場合は問題の本質は原子力にあるように思う。原発の存続は政治的にも決めたものの、その事業は課題&リスクが多いし大きい。決着までにはまだまだ火種が残っているように思うのだが。傷口が広がって本業に影響が出なければ良いのだが。

先日、オーネットコールマンが亡くなった。フリージャズの代表格であったが、自分にとっては縁遠い存在、持っているアルバムもない。

ペッパーアダムスの参加したアルバムの掘り起こしがちょうど1968年になっているが、スイングジャーナル誌でゴールドディスクなるものを選定し、年間のベストアルバムを選ぶ企画がスタートしたのが前の年からであった。1968年のベストアルバムが気になって、68年のゴールドディスクが発表されている翌年の1969年2月号を見てみた。ペッパーアダムスが参加しているアルバムうとは全く違う世界のジャズが並んでいる。



一位のゴールドディスクが、オーネットコールマンの「クロイドンコンサート」、次点のシルバーディスクがセシルテイラーの「コンクイスタドール」であった。ジャズロックも流行り出した頃だが、当時の評論家が選ぶジャズの主流はこんな感じであった事を改めて思い出した。
当時毛嫌いしたアルバムでも、今聴くと新鮮な感じを受けることも多いので、今、オーネットコールマンをじっくり聴くと果たしてどんな印象を持つか?今度聴いてみようと思う。

そのベストテンの中で気にかかったアルバムというと、ドンエリスのデビューアルバム「Live in 32/3/4 Time」。このアルバムもまだ紹介していなかったが、ドンエリスのアルバムは70年代になってからもまだ数多くある、これも棚卸せねば。

そして、目立つのはマイルスのアルバム「マイルスインザスカイ」。黄金のクインテットがエレクトリックマイルスに変化を始めた頃のアルバム。それにジョージベンソンが加わっていたことでも有名だ。

マイルスの生涯を振り返ると、帝王の地位を得ても現状に満足せず一生「チャレンジ」を忘れなかったように思う。この頃ジャズの世界にもロックと一緒に電子化の波が押し寄せたが、マイルスもそれまでの演奏に留まることなく、ロックとエレクトリックマイルスへのチャレンジが始まった。

久々に聴き直してみた。1曲目のスタッフ、まさにマイルスによるジャズとロックの融合?であろう。ロンカーターにエレキベースを、ハンコックにエレキピアノを弾かせる。ハンコックにとっても初めての経験だったようだ。しかし、この曲がこのアルバムのためのセッションとしては最後の日の録音であった。

録音日の時系列に直すと、1月16日のジョージベンソンが加わった「パラフェルナリア」が最初の録音となる。
この年のベンソンは、この前紹介した自らのVerveでのリーダーアルバムGillet Gravyの録音を2月5日から始めているが、その直前のマイルスグループへの参加であった。
しかし、その演奏は何となく戸惑いを感じさせる、単調なフレーズでリズムを刻み始め、ソロも控えめである。曲自体もけっしてロック色を感じさせるものではなく従来路線の延長で、ギターのトライアルであった。

それまでのマイルスのグループにはギターはいなかった。マイルスが新しいサウンドを求めるなかで、ギターに注目し、当時注目を集めだしていたジョージベンソンに白羽の矢を当てたのかもしれない。前年まで同じCBSの専属だったので身近にいたのが理由かも。結果は今一つだったのだろう、5月になって行われた残りの曲にはベンソンは参加していない。

他の3曲の5月の録音は一日1曲ずつじっくりと行われた。日を追ってロック色が強くなり、最後が一曲目のスタッフの録音になる。

マイルスの進化の丁度節目のアルバムではあるが、メンバーは従来のクインテットにベンソンンを加えただけ。ハンコックやカーターにエレキ楽器を使わせ、トニーウィリアムスに8ビートを試させ、さらにはソウル色を出したり、手探りでのスタートであった。あくまでも、その後のチャレンジのお試しアルバムであったともいえる。

という意味では、従来の編成で、従来の枠組みの中で新領域にスタートしたアルバムという事になる。此の後は、アルバム毎に大きく変化を続ける。ギターの使い方も大胆に、ピアノもハンコックではなくコリアやザビヌルも起用、さらに打楽器がグループで大きな存在を占めるようになり、マイルス自身のトランペットもエレクトリックマイルスへ変身していく。

マイルスの場合の「電子化」は、どこかの会社のように今までの事業をぶち壊す「原子力」のようにはならず、それなりに進化していった。しかし、ファンの中では「原子力」の好き嫌いははっきり分かれてしまった。

1. Stuff           Miles Davis 16:58
2, Paraphernalia     Wayne Shorter 12:36
3. Black Comedy      Tony Williams 13:49
4. Country Son       Miles Davis 13:52

Miles Davis (tp)
Wayne Shorter (ts)
Herbie Hancock (p)
Ron Carter (b)
Tony Williams (ds)
George Benson (g)  #2

Produced by Teo Macero
Engineer : Frank Laico, Arthur Kendy
Recorded in New York, January 16, 1968, May 15,16,17 1968

Miles in the Sky (Reis)
クリエーター情報なし
Sbme Special Mkts.
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ただでさえ特異な演奏は、ストリングスをバックに、そしてアレンジでも異彩ぶりを・・・

2015-07-22 | PEPPER ADAMS
Left & Right / Roland Kirk

1968年7月13日、サドメルが初めて日本に来日したが、来日直前の6月18日にサドメルのオーケストラは歌手のルースブラウンとの共演アルバムを録音した。ここではトランペットのマービンスタムがダニームーアに替わり、テナーのジョーファレルがセルドンパウエルに替わる。このメンバーがそのまま来日メンバーとなる。

その日、ペッパーアダムスはローランドカークのレコーディングセッションにも参加する。記録によると18日だが、アダムスのメモでは19日、夜を徹しての録音だったのかもしれない。
このカークのセッションは前日17日から行われていた。その日はカークのプレーをメインにした短めの曲でウォーミングアップ。アルバムでは4曲目のIXLoveからクインシーのクインテッセンスまでの3曲となる。基本はストリングスを加えたバラード集だが、Hot Chaだけが少し雰囲気が違うジャンプブルースだ。このストリングスのアレンジがギルフラーだが、カークが次から次へと楽器を繰り出し、カーク節のオンパレードとなる。ソリストとしてのローランドカークの本領発揮だ。

翌日はバラード集の残り2曲を録り終えると、今度はがらりと道具仕立ても変る。
今度はカークのプレーヤーとしてではなく作編曲家としての側面をクローズアップするが、これは19分を超える組曲風の大作だ。いくつかのパートに分かれているが、こちらはミンガスのグループを彷彿とされるソロとアンサンブルを交錯させたグループサウンドが特徴的。アリスコルトレーンのハープも加えてアンサンブルとカークだけでなく参加プレーヤーのソロが交錯する。アダムスももちろん登場。

ペッパーアダムスとローランドカークの接点は、それまでの活動歴を見てもあまり密だったようには思えない。しかし、ミンガスグループでこの手の演奏には慣れていたアダムスは、アンサンブルでもソロでもカークの意に沿った演奏をしているように感じる。アダムスとしても、このような集団インプロビゼーションを求めるセッションも得意であったようだ。

このローランドカークは、2つの楽器を同時に吹くというその独特な演奏スタイルから、ジャズを聴き始めた時、すぐにその名前は覚えた。しかし、ある種のゲテモノ趣味に思えた演奏を積極的に聴くことは無かった。持っているアルバムもドミノ位だった
しかしカークのキャリア辿ると、色々な楽器を演奏するだけでなく、作編曲にも長け、独自の音楽観を持っている天才肌のミュージシャンの一人だということが分かる。彼も盲目のミュージシャンの一人だが、ハンディキャップを背負うと反対に健常者には持ちえない才能が生まれてくるのかもしれない。

この録音の直後にニューポートの舞台にも立ち、そのライブも残されている。それが当時のカークのグループの普段の演奏であろう。その演奏と較べるとこのアルバムでは、バラード関してはストレートな演奏、そしてアンサンブルではアレンジを含めたグループサウンドと表現方法は多彩だ。

このアルバムのタイトルはLeft & Right、天才カークの頭の中は右脳も左脳も凡人のそれを超えた物であったようだ。

1. Black Mystery Has Been Revealed              - 1:17
2. Expansions
  : Kirkquest
   Kingus
   Mingus
   Celestialness
   A Dream of Beauty Reincarnated
   Frisco Vibrations
   Classical Jazzical
   El Kirk"                  Roland Kirk - 19:37
3. Lady's Blues                 Roland Kirk - 3:46
4. IX Love                   Charles Mingus - 3:40
5. Hot Cha                    Willie Woods - 3:23
6. Quintessence"                 Quincy Jones - 4:11
7. I Waited for You"          Gil Fuller, Dizzy Gillespie) - 2:54
8. A Flower is a Lovesome Thing        Billy Strayhorn) - 3:55

Roland Kirk (ts, manzello, stritch, clarinet, flute, organ, narrator)
Jim Buffington, Julius Watkins (French horn)
Frank Wess (woodwinds)
Ron Burton (p)
Vernon Martin (b)
Roy Haynes (ds)
Warren Smith (percussion, vocals) unidentified strings, Gil Fuller (arranger)

Recorded in NYC, June 17, 1968

Roland Kirk (ts, manzello, stritch, clarinet, flute, thumb piano, celeste)
Richard Williams (tp)
Dick Griffith, Benny Powell (tb)
Daniel Jones (bassoon)
Pepper Adams (bs)
Alice Coltrane (harp)
Ron Burton (p)
Vernon Martin (b)
Jimmy Hopps (ds)
Gerald Brown, Warren Smith (percussion)
Recorded in NYC, June 18, 1968

Produced by Joel Dorn
Engineer : Buruce Tergesen


レフト・アンド・ライト
クリエーター情報なし
ワーナーミュージック・ジャパン
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マイナーなアルバムでも実力者が歌うとちゃんと評価を得られる出来に・・・

2015-07-21 | MY FAVORITE ALBUM
Ridin’ High / Sue Raney

物事の評価をするのに数字が良く使われる。学生時代は試験の点数がその後の進路を決めてしまう。学業の成績とは試験の成績がすべてとは思わないが。
会社勤めの時も目標管理は色々やらされたが、結局最後は予算であり、実績の数字になる。特に今の時代は会社の業績評価も数字だけの利益至上主義になってしまった。東芝のような会社を生み出してしまったのも、その弊害であろう。
野球では打率であったり防御率、テレビであれば視聴率、政治の世界では内閣支持率ということになる。しかし、数字が良ければ中身が良いかというと、そうとは限らない。数字以外の評価がますます大事になっている。

「歌が上手い」という評価を何で行うか。カラオケだと点数が出てくるが、音程があっている、リズム感がいいなど、いくつかの項目で点数は付けられるであろう。
しかし、ジャズの世界で上手い歌手というと、その評価項目はかなりの項目になると思う。その基準自体も絶対的なものではなく、個人の好き嫌いに近い主観的な要素も含まれてくる。それらが点数化するのは難しいとは思うが・・・・

スーパーサックスと一緒に活動したL.A.Voicesというコーラスグループがあった。コーラスグループに加わる事が出来る歌手は音痴では務まらないので、総じて「上手い歌手」の部類に入るのであろう。
このL.A.Voicesのリーダー的な存在がスー・レイニーであった。スーパーサックスのリーダーであったメッドフローリーはアルトサックスだけでなく、コーラスにもバスで参加している。こちらは、上手い下手を超えて多才ということになる。

さて、このスー・レイニーとういう歌手は、アルバムこそ60年代から出しているが、必ずしも一流ジャズ歌手の仲間入りをしていた訳ではない。ジャズもPopsもこなし、活動の中心は、テレビやスタジオであった。いわゆる何でもこなすファーストコールのスタジオミュージシャン達と同様、スタジオでは何でもこなせるボーカリストだったということだろう。
さらに、自ら後進の指導も積極的に行う教育者でもあったようだ。

彼女のキャリアを見ると、母親やおばさんも歌手、4歳から歌を始め、5歳で人前で歌ったという。家系的にも生まれながらの歌手ということだろう。
L.A,ボイセズで活動を始めたのが83年、続けて3枚毎年のようにアルバムを出したが、丁度この頃ソロ歌手としてのアルバムを作ったのがこのアルバムである。

レーベルは、地元のマイナーレーベルのディスカバリー。バックを務めたのは日頃スタジオで顔を合わせることが多かったメンバー達であろう、アレンジャーとして有名なボブフローレンスがピアノ、中堅のベースボブマグヌソン、ハーブアルパートとティファナブラスの出身で、その後西海岸で活動しボブプローレンスのビッグバンドにも参加していたニックセロリのトリオをバックにした演奏だ。曲によってフリュゲルホーンが加わっているが、これは隠し味といった感じで。

ピアノトリオをバックにしたアルバムというのは歌手だけでなく、バックのメンバーも大事だ。それなりの技を持ち合わせていないと平凡な演奏になりがちだが、このアルバムでは普通のトリオ演奏とは一味も、二味も違う。

ボブフローレンスが加わっていることもあり、どの曲も上手くアレンジが施されている。フローレンス自身もピアノだけでなく、エレキピアノやシンセサイザーも用いて変化をつけている。

曲もフローレンスのオリジナルでスタートするが、ボサノバ有、スタンダード有。バラード有と変化があるが、流石百戦錬磨といった感じで、これらを難なくこなしていく。リズムもバラエティーに富んでいる。

彼女の歌はバックと同様多彩であるが、ある種教科書のような正確性もあり、それぞれの曲のイメージに合わせた表現力もある。自分の持ち歌を毎日こなしているだけの歌手と、日々新たな歌にチャレンジしている歌手との違いのような気がする。

このアルバムは1985年のグラミー賞のボーカル部門に、カーメンマクレー、ジョーウィリアムス、メルトーメ、ロレツアレキサンドリアといった有名ベテラン達に混じってノミネートされた。個性あるベテラン達の「上手さ」とは違った、何でもこなせる「上手さ」が器用以上にちゃんと評価された結果であろう。

1.How's That for Openers                    Bob Florence 2:30
2.This Happy Madness                  Antonio Carlos Jobin 4:00
3.Stardust                Hoagy Carmichael / Mitchell Parish 4:00
4.Baseball                           Michell Franks 4:18
5.I Let a Song Go Out of My Heart  D. Ellington / I. Mills / H. Nemo / J. Redmond 3:30
6.Pure Imagination              Leslie Bricusse / Anthony Newley 3:40
7. Tea for Two                 Irving Caesar / Vincent Youmans 5:15
8. Ridin' High                          Cole Porter 2:07
9. Body and Soul  Frank Eyton / Johnny Green / Edward Heyman / Robert Sour 4:36
10. No More Blues                   Antonio Carlos Jobin 3:10

Sue Raney (vol)
Bob Florence (keyboards)
Bob Magnusson (b)
Nick Ceroli (ds)
Carmen Franzone (Flh)

An Albert Mark Production
Recorded at Monterey Studio,Glendale, Cal.on May 23,24,June 4, 1984
Engineer : Arne Frager


Ridin' High
クリエーター情報なし
メーカー情報なし
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リーダーは脇役に徹し、主役はテナーの3人で・・・

2015-07-18 | MY FAVORITE ALBUM
James Williams Meets The Saxophone Masters

ジャズメッセンジャーズに加わってメジャーデビューしたミュージシャンは昔から多かった。アートブレーキーのリクルート能力のなせる業であろう。

コンコルドレーベルからアルバムを出していた70年代後半のメッセンジャーズ出身の出世頭はウィントンマルサリスだろう。オーディションにやってきたマルサリスを、ブレイキーに強く勧めたのは当時メンバーであったジェームスウィリアムスであったという。少し前に加わった先輩とはいえ当時のウィリアムスはまだ20代。彼自身がまだデビューしたばかりの時であった。そんなウィリアムスがマルサリスの可能性を感じ取り、親分のブレイキーに自信を持って推薦したとは。ピアニストとしてだけでなく、教育者やプロデューサーとしても活躍したウィリアムスの本物を見極める「眼力」も生まれつきの才能であったのかもしれない。

ジャズメッセンジャーズを辞めた後はニューヨークで、ガレスピーなどの大物ミュージシャンとも共演を重ね、自らのグループでも演奏する。そして、再びブレイキーとレイブラウンと一緒にマジカルトリオを作る。このアルバムは児山紀芳氏のプロデュースであった、大物先輩達に気に入られる「爺殺し」であり、日本人好みのピアニストとして育っていった。

それから10年、すでに40歳を超えピアニストとして確固たる地位を得ていたウィリアムスがプロデュースしたアルバムがこのアルバムになる。
ピアノと一緒に半分顔を出しているジャケットが印象的だが、このアルバムでは確かにピアニストとしてのウィリアムスの役割は半分かもしれない。リーダーアルバムといっても、アルバムタイトルにあるように3人のテナーとの共演アルバムである。

3人のテナーは、真ん中に重鎮ジョーヘンダーソンを据え、左にブレイキー時代一緒にプレーしたビルピアース、右には同じメンフィス出身のジョージコールマンといった布陣。
内容はというとウィリアムスのバックを務めるためのアンサンブル主体でなく、反対に3人のソロの競演を楽しむいわゆるバトル物だ。もちろんウィリアムスのピアノも登場するが、けっして主役というわけではない。ウィリアムス自身、このアルバムのリーダーは自分一人ではなく3人のテナーも一緒だといっているように。
3人並べて聴くと、それぞれの音色、スタイルの違いが良く分かるが、自分の好みというとこの中ではやはりジョーヘンダーソンだ。

このアルバムも日本のレーベルの作品、テナーバトルの企画自体が日本人好みの味付けがされている感じがするが、果たしてジェームスウィリアムスが日本人好みのプレーヤーだったのか、日本人好みのプロデュースを要請されるようになったのか?

1. Fourplay                James Williams  9:54
2. Lo Joe                  G.C. Coleman  6:56
3. Centerpiece           Harry "Sweets" Edison  11:08
4. Calgary                  Traditional  10:16
5. The Song Is You   Oscar Hammerstein II / Jerome Kern  9:44
6. Old Folks Dedette       Lee Hill / Willard Robison  13:39

Joe Henderson (ts)
George Coleman (ts)
Bill Pierce (ts)
James Williams (p)
James Genus (b)
Tony Reedus (ds)

Produced by James Williams & Kazunori Sugiyama
Engineer : Jim Anderson
Recorded at The Power Station, NYC, on September 23 1991

Meets the Saxophone Masters
クリエーター情報なし
Sony
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コーラスに一番似合うアンサンブルは何がいいか?・・・

2015-07-17 | MY FAVORITE ALBUM
4Freshmen / 5 Saxes

世の中、国会、ギリシャの債務、上海株、新国立競技場、さらには地震に火山噴火、台風と万事が騒々しい。それぞれ色々思う所が多いが、いずれも最近のメディアの取り上げ方や扱い方が気に食わない。「メディアが体制側の広報ツールと化し真実を伝えていない」という話はかなり前から問題になっているが、昨今の状況は酷すぎる。いよいよ世の中の変革が必要だということだろう。

東芝の会計処理問題はもはや泥沼、行くところまで行くしかないとは思うが、これも氷山の一角のような気がする。この問題(というより事件)のメディアの扱いもおかしい。「不適切会計」という表現が今でも続いているが、これは紛れもない「粉飾決算」。それも経営トップから監査法人までを巻き込んだ会社ぐるみであることは間違いないだろう。ホリエモンが怒っているのも当然だ。

腹立たしいことが多い世の中だが、プライベートな世界は平穏な日々を過ごしたいものだ。
ライブ通いは相変わらず続いているが、こちらは反対にあまりのお客の少なさに唖然とする。一昨日はマークトゥリアンのグループ。フロントラインの岡崎好朗、片岡雄三、近藤和彦といえば日本を代表するスタープレーヤー。もちろんリーダーのマークトゥリアン以下のリズム隊の面々も。ソロだけでなく、マークのアレンジによるグループサウンドも楽しめる演奏なのに、お客の数がメンバーと同じとは。ジャズファンは一体どこ行ってしまったのか心配になる。

さて、レコードを聴く時間も減ったままで、アルバム紹介も滞りがちだが・・・今日の一枚は。

先日紹介した、スーパーサックスとL.A. Voicesのコンビは、サックスアンサンブルとコーラスグループのコラボレーションであった。スーパーサックスの成り立ちがチャーリーパーカーのアドリブのアンサンブル化であった。それ故、いわゆるハーモニーの美しさを求めるよりも、パーカーのアドリブをスリルのあるサックスのソリを聴く事が楽しみであった。
されにコーラスが加わったことで、「パーカーを再現するぞ」という力みが抜けて、よりアンサンブルの妙を楽しめるように思う。

ジャズコーラスグループというと、ベイシーオーケストラのボーカリーズでスターしたランバートヘンドリックス&ロスもジャジーで良くスイングするグループだった。
本来のコーラスをモダンに一歩先進させたのはフォーフレッシュメン。オープンハーモニーの美しさはジャズだけでなく、Rockの世界にも影響を与えた名グループであった。

このフォーフレッシュメンは自ら楽器を演奏するグループであったが、アルバムでは色々な編成のバックとコーラスのコラボが楽しめる。中でも有名なのは、トロンボーン5本のアンサンブルと組んだAnd Five Trombones
それに続いて、サックス、ギター、トランペットが続いたが、その中でもトロンボーンのアンサンブルとコーラスというのは実に相性がいいように思う。後にトロンボーンだけが続編ができたのもその証左だと思う。
この同じ楽器を使ったアンサンブル、料理で言えば素材を一種類に限定し素材の違いと良さを存分に味わうのと同じわけだが、それには料理人の腕と味付けが鍵となる。アレンジャーが大事ということになる。

サックス好きとしては、このシリーズの中のAnd 5 Saxesも愛聴盤の一枚ではある。
バックのアレンジは、5Trombonesで腕を振るったピートルゴロが引き続き担当するがA面のみ、B面はDick Reynoldsが担当している。演奏するメンバーも適宜入れ替わっているようだ。
B面担当のディックレイノルズがシリーズ2作目の5Trumpetsのアレンジを担当したので、この3作目は敢えて2人の競作としたかもしれない。2人のアレンジの違いを楽しめる反面、自由度の高いサックスのアンサンブルとしての特徴がぼけているような気もするのだが?

結果は、作風の違いもあるがレイノルズの方が何となくモダンな感じがする。トロンボーンではルゴロのアレンジもバッチリ決まっていた感じがするが、こちらではエンジェルアイズやスピークロウといった自分の好みの曲があったせいかもしれない。

参加しているメンバーは当時の西海岸のスタジオミュージシャンの面々だが、ジャズプレーヤーとしても有名な、バドシャンク、ボブクーパー、デイブペルなどが短いながらチャーミングなソロを聴かせてくれる。これも自分にとっては楽しみのひとつ。

1. Liza                      2:39
2. You've Got Me Cryin' Again The Four Freshmen  2:50
3. This Can't Be Love               2:03
4. The Very Thought of You             2:34
5. East of the Sun The Four Freshmen        3:36
6. I May Be Wrong                 2:54
7. There's No One But You             2:30
8. Sometimes I'm Happy              2:15
9. For All We Know                2:33
10. Lullaby in Rhythm               2:26
11. This Love of Mine               2:26
12. I Get Along Without You Very Well       3:38

4 Freshmen
Ross Barbour (vol,ds,tp)
Don Barbour (vol,g)
Bob Franigan (vol,tb,b)
Ken Albers (vol, tp,Melophone)

5 Saxes
George Auld
Gus Bivona
Bob Cooper
Chuck Gentry
Skeets Herfurt
Ted Nash
Dave Pell
Willie Schwartz
Bud Shank

Arranged by Pete Rugolo & Dick Reynolds
Recorded in Los Angels 1956


フォー・フレッシュメン&5サクシーズ+2(紙ジャケット仕様)
クリエーター情報なし
EMIミュージック・ジャパン
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オールマイティープレーヤーが本当にやりたいことは何・・・?

2015-07-13 | CONCORD
A Beautiful Friendship / The Don Thompson Quartet

カナダ出身のジャズミュージシャンをあまり意識して聴いてこなかった。オスカーピーターソンやメイナードファーガソンなどの著名なミュージシャンは、本場アメリカの第一線で活躍し続けたので、カナダ出身と聞いても地続きのカナダはアメリカの一つの州のような感じを受けていた。それにプレーぶりも迫力満点、特にカナダらしさを感じる事も無かった。

コンコルドのアルバムを棚卸しているが、その中でカナダ出身のミュージシャンというと、テナーのフレイザーマクファーソンとか、エドビケットというギタリストが登場している。
そして、ペッパーアダムスの活動歴を追いかけていると、アダムスは若い頃からモントリオールに良く出掛け、地元のミュージシャン達と交友を深めていたのが分かる。そういえばアダムスのラストレコーディングも、モントリオールでダニークリスチャンビッグバンドとの共演であった。

そのカナダ出身のミュージシャンの一人にベースのドントンプソンがいる。ベースだけでなく、ピアノやヴァイブも弾くマルチプレーヤーだ。
出身地のバンクーバーで演奏活動を始めたが、アメリカでのデビューはジョンハンディーのグループに加わってサンフランシスコを拠点に活動した時であった。ここで西海岸在住のミュージシャンと交友を広めることに。その時の縁がきっかけで、フランクロソリーノをカナダに招いて一緒にプレーすることもあった

その後、カナダに戻ったトンプソンは東海岸のトロントを拠点とし、地元のBourbon Street Jazz Clubのハウスベーシストを務めだ。そこでアメリカから訪れる多くのミュージシャンと共演する機会を得ることになる。
これがジムホールやポールデスモンドなどのグループに加わるきっかけになったようだが、共演したミュージシャンはメインストリーマーに加え、サラボーンのような歌手のバックや、スイング系のジェイマクシャンンやバディーテイトなどオールラウンドであった。

経歴を見る限り、このように色々な楽器を演奏するだけでなく、スタイルもオールマイティーでこなすミュージシャンであった。
このようなマルチな才能を持つ人間の本質は?何が一番やりたいのか?あるいは何が得意なのか? というと、器用な人ほどなかなか分からないのが世の常だが・・・・。

コンコルドのアルバムを辿ると、80年代の前半、そのトンプソンはジョージシアリングとコンビを組んでいた時期がある。シアリングがベースのブライアントーフとのコンビでグラミー賞を得たアルバムがあるが、その後釜としてのシアリンググループへの参加であった。
あくまでもメルトーメのヴォーカルとシアリングのピアノが主役とはいえ、デュオ編成では相方のベースの役割はかなり重要となるが、立派にグラミーコンビの後任としての役割を果たした

丁度その頃、コンコルドはミュージシャン自身のプロデュースによるアルバムを続けて何枚も作っている。此の所それらのアルバムを紹介しているが、それまでのコンコルドの味付けを全く感じさせない内容ばかりで、どれも興味を惹く内容だ。それらと同じように、このドントンプソンが自らリーダーとなり、自由にプロデュースしたアルバムがこのアルバムとなる。

その時トンプソンは何を考え、何に興味を持っていたか?の答えとなる内容であった。

まずは、メンバーが興味深い。
自らはベースがメインで世に知れ渡っていたが、このセッションにはもう一人ベースの名人、デイブホランドを加えている。そしてギターにはコンテンポラリー派のジョンアーバンクロンビーが加わる。ECMサウンドの代表選手の一人だ。ドラムにはワシントンローカルで活動していたというミシェルスミス。
メンバーから大体想像できるが、コンコルドでお馴染みの、ちょっと古さを感じる温かい4ビートが似合うサウンドではなく、いわゆるクールで研ぎ澄まされたサウンドだ。

ここでトンプソン自身がベースを弾いているのは5曲、後の3曲はピアノでの参加となる。
さらには、スタンダード曲に交えて自作曲が3曲。作曲家としての一面もアピールしている。
特に、その中のFor Scott La Faroではホランドとベースの共演を繰り広げている。メロディー楽器のベースとリズム楽器のベースを2人で弾き分けているのだが、これも面白いアプローチだ。まさにタイトル通り、スコットラファロがベースをリズム楽器から解放された先駆性を2人で称えるような演奏となっている。

トンプソンは今でもカナダのジャズ界の重鎮として活躍しているようだが、最近の演奏、アルバムは聴いていない。きっと何でも演奏できるトンプソンであっても、自分の音楽に対する拘りはいまでも持ち合わせているように思う。

このアルバムに参加したメンバー達との出会いは、数年前にバンフで行われたワークショップで一緒になったのかきっかけだそうだ。お祭りになりがちなジャズフェスフェスティバルや一夜限りのギグでの出会いとは違って、このような教育を目的としたワークショップでは自分の音楽観について意見を戦わせることも多いであろう。このような本音で語り合う場での出会いや付き合いの仲間達が、いざ自分の音楽を具現化しようという時には大事な友となるのかもしれない。

アルバムタイトルのビューティフルフレンドシップ。曲もいい曲だが、このような演奏ができる仲間との関係も、ミュージシャンにとってはビューティフルフレンドシップなのだろう。

1. Even Steven               John Aberncrombe 5:16
2. My One and Only Love       Robert Mellin / Guy Wood 6:30
3. Blues for Jim-San               Don Thompson 7;15
4. I've Never Been in Love Before         Frank Loesser 4:33
5. A Beautiful Friendship      Donald Kahn / Stanley Styne 5:58
6. For Scott la Faro               Don Thomson 5:06
7. Ease It                   Paul Chambers 4:14
8. Dreams                   Don Thompson 7:35

Don Thompson (b,p)
Jphn Abercrombie (g)
Dave Holland (b)
Michael Smith (ds)

Produced by Don Thompson
Recorded at Classic Sound Production New York City, January 1984
Recording Engineer : A.T.Michael MacDonald

Originally released on Concord CJ-243
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宮の上&吉岡のコンビにヴァイブを加えた演奏はよりスインギーに・・・・

2015-07-11 | MY FAVORITE ALBUM
Nathalie / Yoshiaki Miyanoue & Smokin'

先日、宮之上貴昭と吉岡秀晃のコンビとボサノバを得意とする歌手の石田ケイのライブがあったので出かけてみた。その日は、石田ケイの店でハウスベーシストを長年務めたスタンギルバートも再来日してゲスト出演するというおまけつきであった。

吉岡と宮之上のコンビは長い。彼らの演奏はまだデビューしたての頃から聴いているが、いつ聴いてもスインギーな演奏を楽しませてくれる。この日はメンバーの組み合わせから、彼らの演奏もボサノバが中心になるのかと思ったが、ステージは2人の演奏はいつもの通りスタンダードが中心、石田ケイが加わるとボサノバになるという2部構成であった。宮之上と石田は今回が初顔合わせだったようでこれも仕方がなかったかも。

この様なステージであったが一番光ったのはゲストであるベースのスタンギルバート。
70歳を過ぎ体調も崩していたようだが、年季の入ったプレーはすぐに宮之上と吉岡コンビに溶け込んでいった。曲が進むにしたがって力強さを増し、最後は3人の息はピッタリ合っていた。彼をフィーチャーしたオールブルースでは石田のボーカルも加わって、演奏とボーカルも一体となった熱い演奏が聴けた。いつも一緒に演奏していないメンバー同士のコラボレーションが存分に楽しめた。これが、ジャズの楽しみのひとつだ。

宮之上と吉岡がデビューしたのは70年代の後半。世の中はフュージョン色が濃いプレーヤーや演奏が主流を占めていったが、この2人の演奏はフュージョンなどには目もくれずいつの時代もメインストリームを歩んでいた。
宮之上というとウェスモンゴメリーライクの演奏が特徴だが、この2人の演奏を聴くと、ウェスモンゴメリーとウィントンケリーのハーフノートでの演奏をいつも思い浮かべる。このアルバムのタイトルSmokin’が彼らのグループ名にもなっていたので、彼ら自身も意識していたのだろう。

ウェスモンゴメリーはその後のアルバムではイージーリスニング的な演奏が多くなってしまったが、ハーフノートでの演奏を引き継いできたのはこの宮之上と吉岡のコンビと思っている。

そのような2人が80年代の始めにヴァイブを加えたクインテットの演奏のアルバムがある。ヴァイブというのは全体のサウンドに何か清涼剤のような効果があり、メロディーラインにもリズムにも隠し味を加えたような効果がある。
特に、メロディーラインでピアノとギターにヴァイブの加わったユニゾンの心地良さは格別だ。ジョージシアリングのクインテットの十八番だが、このアルバムでもアズロングアズアイリブやキャンディなどで存分に楽しめる。このような適度にアレンジを加えたグループサウンズは自分も好みだ。
2人のスインギーなペースにヴァイブも自然に取り込まれる。ビギンザビギンをラテン調に、オリジナルのサンバカンではサンバのリズムで。リズムを効かせた演奏もヴァイブの加わった効果は大きく、メインストリーマーとしてオールラウンドな演奏が楽しめるアルバムだ。
先日のライブも、この編成だったらボーカルももっと生き生きとしたかもしれない。

1. Cleopatora’s Dream
2. Sambakan
3. Nathalie
4. As Long as I live
5. Candy
6. Begin The Begin
7. To west
8. Amor

宮の上 貴昭 (g)
吉岡 秀晃 (p)
初山 博 (vib)
沼上 励 (b)
藤沢 博延 (ds)
岡山 和義 (ds)
納見 義徳 (g)
渡辺 隆司 (g)

Produced by 松橋 繁
Recording Engineer : 桶川 泉
Recorded at Studio Betty, Tokyo on April 19 & 20, 1983
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ベイシーオーケストラのメンバーのアフターアワーズは・・・

2015-07-08 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
After Hours / With Thad Jones / Frank Wess / Kenny Burrell / Mal Waldron / Paul Chambers / Arther Taylor

どんな仕事をやっていても、一杯やりながらの仕事の後の仲間との語らいは楽しいものだ。仕事好きの日本人は、オフの時くらい仕事を忘れて楽しい遊びの話をすればいいのに、何故か話は昼間の仕事の愚痴が多い。現役時代の自分もそうであったのだが、昨今のギリシャのニュースを聞くと、日本人はつくづく仕事好きだと思う。

ジャズの世界では、仕事の終わった後のアフターアワーズは仲間同士の気楽なセッション。ジャズは自由度の高い音楽とはいえグループでの演奏、ビッグバンドでは制約も多い。未燃焼のパワーを発散させるにはアルターアワーズのジャムセッションが不可欠だ。
ジャズの世界でも仕事の後の語らいこそ本音話ができる機会かもしれない。

ベイシーサウンドを生み出すのはベイシーのピアノだけではできない。メンバー一人ひとりのスイング感の集合体がそのサウンドになる訳だが、一番特徴的なのはフレディーグリーンのギターかもしれないが、他のセクションにもベイシーサウンドを生み出す名手は各時代において必ず存在した。

サドジョーンズがベイシーオーケストラに参加したのは1954年、50年代後半のアトミックベイシーといわれた全盛期を10年以上過ごした。エープリルインパリスでのソロが有名だが、その間トランペットセクションのキープレーヤーとして活躍した。プレーだけでなく作編曲も力を入れるようになったが、それらの作品は徐々にベイシーサウンドには合わなくなり、最後はベイシーオーケストラを離れる原因の一つにもなった。

同じ時期サックスセクションを支えたのはフランクフォスター、フランクウェスの両フランクコンビ。フランクウェスはサックスだけでなくフルートでも有名だが、このフルートもベイシーサウンドの特徴のひとつだろう。もう一方のビッグバンドの雄、エリントンオーケストラの特徴がクラリネットであったのと好対照だ。

ベイシーオーケストラに在籍中のこのサドジョーンズとフランクウェスの2人が参加したアフターアワーズセッションがこのアルバム。ケニーバレルとポールチェンバースはサドジョーンズが出身地デトロイト時代のプレー仲間、その意味では同窓会を兼ねたセッションでもあり、より和気藹々としたセッションとなっている。

サドジョーンズのトランペットはハイノートを売りにするというより中音域を活かしたよく歌うフレーズが特徴、モダンというより中間派ともいえるタイプだ。サドメル時代になってからも、演奏する時はフリューゲルホーンでのバラードプレーが得意であった。
フランクウェスのサックスプレーもハードバップというよりホーキンスの流れを汲む良くスイングするプレーだ。

この2人が中心となるセッションは、やはりハードでファンキーなプレーにはならない。ミュートを多用しフルートの出番が多い演奏は、アフターアワーズを寛いだ雰囲気で楽しんでいる様子を感じさせる。曲はすべてマルウォルドロンが提供したもので、スタンダード曲中心のジャムセッションという訳でもない。
プレスティッジレーベルはブローイングセッションが多いが、ベイシーサウンドに貢献した2人のアフターアワーズもなかなかいいものだ。

1. Steamin’
2. Blue Jelly
3. Count One
4. Empty Street

Thad Jones (tp)
Frank Wess (ts,fl)
Mal Waldron (p)
Kenny Burrell (g)
Arthur Taylor (ds)

Supervision by Bob Weinstock
Recorded in Hackensack, NJ, on June 21 1957
Recording Engineer : Rudy Van Gelder

After Hours
クリエーター情報なし
Ojc
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娘のミシェルも父親が歩み始めた源にやっとたどり着けたのか・・・

2015-07-04 | MY FAVORITE ALBUM
A Basie Vocal Celebration / Claude Tissendier, Michele Hendricks & Marc Thomas

ベイシーサウンドといえばビッグバンドサウンドを思い浮かべるが、何もビッグバンドばかりとは限らない。ベイシー自身も小編成のバンドを組んでいたことがあるが、これも立派なベイシーサウンドであった。どんな編成になっても、やはりベイシー独特のスイング感がその根底にあるのだろう。

このベイシーの「ノリ」に惚れ込んで、ベイシーオーケストラの演奏をボーカリーズしたのがデイブランバート。彼がリーダーとなって組まれたボーカルグループがランバート・ヘンドリックス&ロスであった。
そのメンバーの一員であり、歌詞を提供したのがジョンヘンドリックスだ。アニーロスからヨランダベバンにメンバーは代わったがこのグループは1964年まで10年近く続き、モダンジャズコーラスの一分野を築いた。

解散後すぐにデイブランバートは不幸にも交通事故で亡くなってしまい、残念ながらこのグループが再編されることは無かった。しかし、このランバート・ヘンドリックス&ロスが築いたコーラススタイルはマンハッタントランスファーなどに引き継がれていった。

メンバーの一員であったジョンヘンドリックスも娘のミシェルなどを加えて一時ジョンヘンドリックス&カンパニーというグループを率いた。このグループも、有名な演奏のボーカリーズやバップスキャットなどを採り入れ、デイブランバートと一緒にやった本家のスタイルを引き継ぐものであった。

娘のミシェルは、このグループを離れると一時ジャズから遠ざかる。何の職業でも親と同じ道を歩むと、最初は親から色々教えてもらう事が多いが、いつまで経っても親を超えられずに独り立ちできずに悩むものだ。ミシェルもそのような心境になったのか、あるいは一度外の空気を吸ってみたくなったのか・・・?

しかし、父親の血を継ぐミシェルはやはり「蛙の子は蛙」、再びバップオリエンテッドなボーカルを歌うようになり、アルバムも残すようになったのだが、その後はあまり消息は聴かなかった。

それから20年近く経った2009年、彼女はフランスでアルバムを作ることになる。
地元フランスのボーカリストMarc Thomas。そしてクラリネットのClaude Tissendier率いるオクテットとのコラボレーションだ。2人の経歴も他の演奏も良く知らないが、2人ともクロードボリングのバンドに長く在籍していたそうだ。という意味ではジャズからクラシックまで経験豊富なベテランのようだ。

そして、この2人がイメージしたバンドカラーがベイシーサウンドであった。それにミシェルヘンドリックスが加わると、その演奏はまさに父親のジョンヘンドリックスがデイブランバートと50年前に作ったランバート・ヘンドリックス&ロスの再現となった。

元祖ランバート・ヘンドリックス&ロスが誕生した時、そのコンセプトをすぐに取り入れたコーラスグループはフランスのダブルシックスオブパリスであった。半世紀を経てもフランスにはこのグループが残した伝統が生き残っていたようだ。アメリカではなかなか父親の歩んだ道の源に辿り着けなかったミシェルも、2人の協力でフランスでそれを実現したようだ。

曲はベイシーファンにはたまらない有名曲が並ぶ。Girl Talkだけが何故かフランス語だが、このようなスタイルの演奏にフランス語の響きというのもなかなか洒落た感じで悪くない。ベイシーサウンドは海を越えてヨーロッパでも健在のようだ。 

1. Everyday I Have the Blues      4:52
2. Swingin' the Blues          4:10
3. Shiny Stockings            6:10
4. Whirlybird              4:02
5. Count Basie             4:57
6. April in Paris             4:00
7. Little Pony              3:24
8, Dansez Sur Moi (Girl Talk)      3:43
9. Fiesta in Blue            3:20
10. It's Sand Man           4:03
11. After Supper            4:52
12. Cute                4:08
13. Jumpin'at the Woodside       4:26
14. One O'Clock Jump         3:12

Michele Hendricks (vol)
Marc Thomas (vol)
Claude Tissendier (cl)
Gilles Berthenet (tp)
Francois Penot (ts)
Oliver Defays (bs)
Nicolas Peslier (g)
Jacques Schneck (p)
Lean-Pierre Rebillard (b)
Sylvain Glevarec (ds)

Produced by Claude Tissendier
Recoeded on 11,12 May 2009 at Studio de Meudon France


Basie Vocal Celebration
クリエーター情報なし
Fremeaux & Assoc. Fr
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2人の名アレンジャーがベイシーのDNAを時代を超えて・・・

2015-07-02 | MY FAVORITE ALBUM
Basie & Beyond / The Quincy Jones & Sammy Nestico Orchestra

ビッグバンドファンにとって、ベイシーサウンドはビッグバンドのDNAのような物。いつの時代でも、どこで聴いてもウキウキしてくるものだ。ベイシーのレパートリーばかりを演奏するバンドもあるが、どんなバンドでもベイシーサウンドを聴かせてくれる曲はレパートリーに1曲や2曲はあるものだ。

カウントベイシーが亡くなって30年以上経つ。本家ベイシーオーケストラもリーダーは代わっても、本家のサウンドを伝え続けている。ベイシーと関係のあったミュージシャンもベイシートリビュートのアルバムを作ったり、ライブでベイシーの伝統を引き継いだ演奏を聴かせてくれる。

エリントンのオーケストラは、リーダーのエリントンの曲アレンジが多い。特徴あるエリントンサウンドはエリントンのアレンジに因る所が大きい。一方で、ベイシーオーケストラは、その時代で色々なアレンジャーが曲を提供している。もちろんアレンジャーによって味付けは多少違っていても、不思議とサウンドには共通点がある。アレンジを超えるバンドカラーがある。これがベイシーサウンドであろう。

先日、Bebop and Beyondというグループを紹介したが、Beyondという言葉に引っかかった。そして、このBasie & Beyondというアルバムを思い浮かべた。良く聴くアルバムだ。分厚いジャケット解説がついているが、あまり中をじっくり読んだこともなかった。説明を見るまでもなくご機嫌な演奏が収められている。

ジャケット写真にあるようにクインシージョーンズのベイシートリビュートアルバムだ。クインシーとベイシーオーケストラとの出会いは1950年代60年代にはシナトラを介してその関係は深まった
このアルバムにはもう一人主役がいる。クインシー同様ベイシーオーケストラに多くのアレンジを提供したサミーニスティコだ。
このアルバムは誕生したのは2000年、すでにベイシーが亡くなってからは大分時間が経っていた。ちょうど世の中が21世紀に入って大きな時代の節目を迎えた時だ。現役プロデューサー&アレンジャーであった2人がベイシーを忍び、またベイシーを称えて、新時代を迎えたタイミングで、「ベイシーの次は何?」と自ら問うたアルバムともいえる。

選ばれた曲は2人がかってベイシーオーケストラに提供した曲が大部分。しかし、アレンジは新たに手が加えられた。

録音は、関係者やファンを集めてのスタジオライブだったようだ。メンバーはロスのスタジオミュージシャンが集まる。お馴染みのメンバーに加えて、ジェリーヘイがプロデュースに加わっているせいか、伝統的なビッグバンドには場違いなメンバーも多い。
さらに、ヒューバードロウズやハロルドジョーンズ、エミルリチャードといったゲストも加わった。関係者が一堂に会したスタジオは大パーティーの様相を呈したようだ。ライブ特有の聴衆のノイズは無いが演奏にもスタジオの和気藹々とした雰囲気が伝わってくる。

演奏は、ソプラノサックスがソロやリードをとったり、エレキベースやギターが加わったり、オリジナルのベイシーオーケストラでは聴けないサウンドもあるが、全体的はベイシーサウンドそのものだ。
時代が移り変わってもベイシーサウンドは永遠だとことになる。時代が移り変わって、ミュージシャンが替わっても、ベイシーを超えたその先にあるのもやはりベイシーサウンドなのか。



1. Ya Gotta Try...Harder!  5:39
2. Belly Roll         5:15
3. Grace            5:19
4. The Joy Of Cookin'     6:21
5. Quintessence     4:47
6. How Sweet It Is     7:21
7. Hard Sock Dance     4:21
8. The Witching Hour     5:16
9. For Lena And Lennie     4:19
10. No Time Like The Present 5:30
11. Lisette         4:09
12. Out Of The Night     5:51

Dan Higgins, Ernie Watts, Gary Foster, Gerald Albright, Jack Nimitz, Pete Christlieb (sax)
Bill Reichenbach, Bill Watrous, Charlie Loper, George Bohannon, Reggie Young (tb)
Gary Grant, Jerry Hey, Oscar Brashear, Rick Baptist, Warren Luening, Wayne Bergeron (tp)
Brad Warnaar, Greg Williams, Jerry Folsom (french horn)
Tommy Johnson (tuba)
Kirk Whalum (ts,ss)  (#3, 4, 10)
Hubert Laws (fl) (# 1, 6, 12)
Emil Richards (per,vibe)
Randy Kerber (p)
Greg Phillinganes (ep)
Paul Jackson, Jr. (eg)
Jimmy Johnson (eb) (#4, 5)
Neil Stubenhaus (eb)  (#2, 3, 11, 12)
Chuck Berghofer (b)  (#1, 6 to 10)
Vinnie Colaiuta (ds)
Harold Jones (ds)  (#6,10)
Paulinho Da Costa (per)  (#3, 12)

Conductor, Arranged By Quincy Jones, Sammy Nestico
Produced by Jerry Hey, Quincy Jones, Sammy Nestico, Judith Bright
Engineer : Tommy Vicari

Basie and Beyond
クリエーター情報なし
Wea/Warner Bros.
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