A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

いつものバリトン以外でも、何でもいけるぜ・・・・

2015-11-29 | MY FAVORITE ALBUM
New York Bound / Nick Brignola

ビッグバンドで活躍するサックスプレーヤーは基本的にマルチリードプレーヤーが多い。モダンビッグバンドになり、アレンジによってはアンサンブル、ソロと、取っ替え、引っ替え楽器を交換する頻度は多くなっている。さぞかし大変なことだと思う。

そんなプレーヤーでもコンボでの演奏となると、当然得意な楽器がメインになる。たまに持ち替えることはあっても、曲の中で何度もという事はない。
日頃バリトンサックスをメインにしているプレーヤーとなると、あまり他の楽器に持ち替えることも少ないように思う。ジェリーマリガンも、曲によってソプラノやクラリネットを吹いた事もあるが、基本はバリトン一本だ。ペッパーアダムスもソロ活動で他の楽器を吹いたアルバムは記憶に無い。

ウディーハーマンのオーケストラなどで活躍していたニックブリグノラがソロプレーヤーとして本格的に活動し始めたのは、ペッパーアダムスとのバリトンマッドネスを録音した1977年頃。翌1978年には初リーダーアルバムともいえるこのアルバムを制作している。

このアルバムのタイトルはEast bound。以前紹介したアルバムWest Boundと対を成すアルバムだが、こちらの方が先に作られている。どちらも妙中俊哉氏のプロデュースでWestがウェストコースト在住の中堅ミュージシャンとの共演であったが、こちらEastのバックを務めるのは、ピアノのウォルタービショップ、ベースのサムジョーンズ、そしてドラムのロイヘインズという錚々たるメンバー達。このアルバムは、このベテランリズムセクションのアグレッシブなプレーも印象的だ。

このバックにのって、ブリグノラのいつもの豪快なバリトンプレーが期待すると少し勝手が違っている。このアルバムの特徴はブリグノラのマルチプレーヤーぶりをフィーチャーしている点だ。
もちろん、バリトンも吹いているが、一曲目はいきなりアルトから始まる。バリトンのプレーから想像できる熱いアルトが聴ける。
次のエリントンナンバーはバリトンでのバラードプレー。ハーリーカーネイをイメージしてか、いつもの張り裂けんばかりのパワーを抑え気味に、重みのある音色が良い感じだ。
さらに、次はフルートに持ち替える、比較的ストレートな音色だ。ルータバキンなどは、テナーの豪快さがフルートにも通じているのだが。
ジターバグワルツはソプラノとなる。曲自体がソプラノとの相性がいいように感じる。アフターユーブゴーンでは再びアルトに持ち替え、アップテンポで快調に飛ばす。リッチーコール的饒舌さだ。ピアノのソロを挟んで今度はクラリネットで登場。モダンなクラリネットソロも悪くはない。
そして最後は、再びソプラノに。本職のバリトン結局1曲だけ。
ブリグノラのバリトンを期待して聴くと肩透かしを食らうが、ブリグノラの実力の程を知るにはいいアルバムだ。どの楽器を吹いても、ソリストとして第一人者であることを知る事の出来るアルバムだ。

1. Tears Inside
2. Sophisticated Lady
3. In Your Own Sweet Way
4. Jittebug Waltz
5. After You’ve Gone
6. Those Were The Days

Nick Brignola (bs,ss,as,fl,cl)
Walter Bishop Jr. (p)
Sam Jones (b)
Roy Haynes (ds)

Produced by Toshiya Taenaka
Recording Enginner : Ben Rizzi
Recorded on October 30, 1978 in New York City

ニューヨーク・バウンド
ニック・ブリグノラ,ウォルター・ビショップJr.,S.ジョーンズ,ロイ・ヘインズ
P-JAZZ
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ドンフリードマンが今あるのも、このアルバムがあったからこそ・・・

2015-11-27 | MY FAVORITE ALBUM
Circle Waltz / Don Friedman Trio

前回紹介したアルバム、ドンフリードマンとペッパーアダムスの組み合わせというと、その後の2人のキャリアを考えると意外な組み合わせかもしれないが、実は2人の関係はお互いニューヨークに出てきたばかりの1958年に遡る。

ペッパーアダムスはスタンケントンオーケストラへの参加、その後ウェストコーストを拠点とした活動の後、ニューヨークに戻って積極的に活動を行っていた頃である。そして、アダムスはこの年にドナルドバードと一緒にレギュラークインテットを立ち上げ、ファイブスポットを中心に活動を開始する節目の年でもある。
一方のフリードマンも56-57年とウェストコーストで活動を始め(アダムスも同じ時期にウェストコーストに居た)、58年には拠点をニューヨークに移す。

その年、1958年3月23日のライブレポートの新聞記事がある。

ここには、ペッパーアダムスがリーダーで、バードが加わり、そしてピアノはドンフリードマンとある。
このバード&アダムスクインテットの誕生ともいえるファイブスポットのライブ演奏はアルバムにも残されているが、そこでのピアノはボビーティモンズである。ドンフリードマンはレギュラーメンバーであるティモンズのサブとしてクインテットに参加していたようだ。

このファイブスポットへのレギュラー出演以外にもアダムスとフリードマン、そしてドラムのエルビンジョーンズは色々な場所で他のメンバーを加えてgigを繰り広げていたと記録にある。

さて、このフリードマンだが、代表作は前回も枕詞のように書いたが「サークルワルツ」であろう。「ジャズピアノの名盤」という中に必ずと言っていい程選ばれるアルバムだが、この手の名盤というのは、不思議と最近ではじっくり聴く機会も少なくなっている。昔からよく知っているので、何度も聴いた感じがしてしまうのか。ということで久々に聴き返してみた。

リバーサイドでの2枚目、1962年の録音だ。よくエバンスライクのピアノといわれるが、活動した時期はまったく一緒。エバンスの後継者というよりはライバルといった方が正しいかもしれない。スタイルは似ているが、力強さは遥かにエバンスを上回る。特に、ソーインラブでのソロは圧巻だ。当時、このまま活動を続けていたら2人は良きライバルであったと思う。

エバンスとのコンビで有名なスコットラファロ、実はエバンスより前にこのドンフリードマンはコンビを組んだ事があるという。そして、その経験がその後のフリードマンの演奏に大きく影響を与えたそうだ。二人のスタイル形成に大きく影響を与えたのは実はラファロであったのかもしれない。

エバンスは、ラファロとのコンビでトリオのスタイルを確立し大きく飛躍する。その一方で、フリードマンはジャズだけでは食べて行けず、ラウンジでのピアノ演奏やダンスバンドで生計をたてていた。

そんなニューヨークでの生活を送っていたフリードマンに手を差し伸べたのは、リバーサイドのオリンキープニュース。そのお蔭で、その時代のフリードマンの演奏が今に残り、名盤となったことになる。

世の中音楽だけでなく何の世界でも同じであるが、同時進行で色々な事が起こっている。しかし、それらが記録に残り後世に伝えられるものはその中のほんの一部である。一方で、世の中というのは勝負の世界で勝ち組だけが生き残る。したがって、後世に引き継がれるのは勝ち組の歴史となり、負け組の歴史は単に伝説になってしまうものだ。本当に実力がある者が勝ち組になればいいが、実際は運のある者、世の流れに迎合したものが勝ち組になってしまうことも多い。

フリードマンはその後第一線に復帰を遂げる。もしこのリバーサイドのアルバムが無かったら、後の復活も無かったし、単に伝説のピアニストで終わってしまっていたのかもしれない。亡くなったという話は聞かない、まだ健在のようだ。

1. Circle Waltz                   Don Friedman 5:59
2. Sea's Breeze                     Don Friedman 6:05
3. I Hear a Rhapsody   Jack Baker / George Fragos / Dick Gasparre 7:32
4. In Your Own Sweet Way               Dave Brubeck 5:20
5. Loves Parting                    Don Friedman 5:45
6. So in Love                       Cole Porter 3:25
7. Modes Pivoting                     Don Friedman 6:44

Don Friedman (p)
Chck Israels (b)
Pete La Roca (ds)

Produced by Orrin Keepnews
Engineer : Ray Fowler
Recorded at Plaza Sound Studios, New York on May 14 1962

サークル・ワルツ
クリエーター情報なし
ユニバーサルミュージック
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クールなドンフリードマンもペッパー&ネッパーの2人に囲まれるとホットに・・・

2015-11-23 | PEPPER ADAMS
Hot Knepper & Pepper / Don Friedman

ドンフリードマンというと「サークルワルツ」で有名。ビルエバンス派のピアノで日本では人気が高い。そのフリードマンだが、リバーサイドから60年代の初めにこのサークルワルツなど何枚かのアルバムを出した後は、しばらくリーダーアルバムはない。

というよりは、レコーディングだけでなく60年代の後半は第一線から退き、ニューヨークで大学勤めをしながら、コマーシャルベースとは無縁の演奏活動をしていたようだ。その一つが、クラークテリーのビッグバンド。1970年に録音されたその初レコーディングにはピアニストとして参加していた

そのようなあまり日の当たらない場所で活動していたフリードマンに目を付けたのがプログレッシブレーベルのオーナー&プロデューサーであるガス・スタティラス。
ある時、ガスがドンフリードマンに声を掛けた。
「ペッパーアダムスとジミーネッパーと一緒にやるかい?」と。
ドンは「OK、やりたいです」と返事をしたが、その後、話が延期になったのか中止になったのか、一向に連絡が無い。

単なるお伺いか外交辞令だったのかと思っていたら、突然連絡があり、「明日スタジオに来てくれないか?」と。それはペッパー達にとっても同じであった。
どうやら、スタティラスのプロデュースのオペレーションは毎回そんな感じだったらしい。確かに、プログレッシブレーベルのセッションは起用されるミュージシャンも陰の実力者中心で意表を突く事が多いが、演奏もジャムセッション風の物が多い。
このアルバムも実はそのような経緯で誕生した一枚だった。



ドンフリードマンのリーダーアルバムという位置づけであったが、内実は3人の共作となった。事前にリハーサルどころか曲も決まっていない中での録音、ペッパーアダムスが突然Audubonをやりたいと言い出し、バラードは各自のソロをフィーチャーしてメドレーで、といった感じで徐々に内容が決まっていった。どの曲もリハーサルもそこそこで本番テイクへ。結局一日で録り終えたスタジオセッションとなった。

自分は、当然ペッパーアダムスからこのアルバムに辿り着いている。
ペッパーアダムスとジミーネッパーの付き合いは長い、どちらも新人の時、ミンガスのグループで一緒になり、このアルバムの20年前に2人で共演アルバムも作っている。その後、サドメルのオーケストラでも2人が一緒にいた期間は長い。特に気難しいミンガスと長年付き合った白人ミュージシャンというと2人以外は居ないだろう。という意味では職人肌の2人には演奏以外にも何か共通点があるのかもしれない。この2人の久々のセッションということで期待を持てる組み合わせだ。

ペッパーアダムスは丁度サドメルを辞めてソリストとしての活動が忙しくなってきた時期、ネッパーも同様にソリストとしてリーダーアルバムを作り始めた時期。スタティラスがその2人に目を付けたも分かるが、この2人をドンフリードマンのリーダーアルバムに起用というのはなかなか思いつかない。

もっとも、フリードマンのエバンスライクのピアノトリオの印象が強いせいもあるかと思う。というのも、フリードマンのBioを見ると、クラッシクジャズからアバンギャルドまで何でもOKと書かれている。実際はオールラウンドプレーヤーなのだろう。確かに、あのエバンスもトリオでの活動がメインになる前は、マイルスのグループだけでなくハードバップ系の色々なセッションに加わっていた。

という訳で、このアルバムはペッパーアダムスとジミーネッパーの気心が知れた同士の気楽なセッションが楽しめるだけでなく、2人の熱演に引っ張られてドンフリードマンの熱い演奏も楽しめるというオマケ付だ。プログレッシブのアルバムならではの企画であろう。

アダムスはこのアルバムを作ってから3カ月後にはカーチスフラーと一緒にアルバムを作っている。フラーとネッパーは音色もフレーズも違うせいか、同じアダムスとトロンボーンの組み合わせでも違った感じを受ける。



1. Audobon                   Sonny Rollins 6:31
2. I'm Getting Sentimental over You.  George Bassman / Ned Washington 7:14
3. Hellure                        Pepper Adams 10:01
4. Groovin' High Dizzy Gillespie 6:42
5. Medley
: Alfie/Laura/Prelude to a Kiss/I Got It Bad (And That Ain't ...)
Burt Bacharach / Hal David / Duke Ellington / Irving Gordon / Johnny Mercer / Irving Mills / David Raksin 8:51
6. Beautiful Love   H. Gillespie / W. King / E. VanAlstyne / V. Young    7:01
7. I'm Getting Sentimental over You    George Bassman / Ned Washington 7:05
8. Beautiful Love     H. Gillespie / W. King / E. VanAlstyne / V. Young  10:01
9. Audobon                         Sonny Rollins 7:42

Don Friedman (p)
Pepper Adams (bs)
Jimmy Knepper (tb)
George Mraz (b)
Billy Hart (ds)

Produced by Gus P. Statiras
Recorded June 26, 1978 at Downtown Sound Studio, New York
Engineer : Fred Miller


Hot Knepper & Pepper
クリエーター情報なし
Progressive Records
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ライブ活動を再開した羽毛田耕士ビッグバンド、さて大きく変ったのは・・・

2015-11-22 | MY FAVORITE ALBUM
A Night In Tunisia / Yasushi Haketa Big Band

アレンジャーが自ら率いるビッグバンドは洋の東西を問わず多い。
女性陣、マリアシュナイダー、秋吉敏子、そして守屋純子や宮嶋みぎわのビッグバンドはアレンジだけでなく曲もオリジナルが多く、自作曲に対する思い入れも強く感じる。
国内の男性陣ではベテラン角田健一や内堀勝ビッグバンドが代表格だが、こちらはオリジナル曲だけでなくスタンダード曲も多く、アレンジャーとしての腕の見せ所だ。

トランペットの羽毛田耕士のビッグバンドもアレンジャー率いるバンドの一つ。若手の代表格であるが、このバンドが発足したのは古い。2001年立上げとのことなのですでに15年近く活動していることになる。
定期的に活動していたが、数年前にアルバムを出して以来久しくライブが無くて気になっていた。本人自身は色々なビッグバンドで顔を見かけることは多く、トランペットは聴けたが、自分の作品のビッグバンドサウンドをなかなか聴く機会がなかった。
プレーだけでなく、他のバンドへのアレンジ提供は引き続き行っていたようだ。しかし、何の制約もなく自分のイメージ通りのアレンジを演奏するには、やはり自分のオーケストラでなければ満足する結果は得られなかったであろう。

そんな羽毛田耕士ビッグバンドの久々のライブが先日あった。
場所は新宿のSomeday、ビッグバンドを編成するきっかけもオーナーの森さんの勧めがあったからという。羽毛田ビッグバンドにとってはホームグラウンドのようなものだ。
Somedayではビッグバンドのプログラムが最低月一回程度は組まれていたが、最近はなかなかそれも少なくなっていたので、久しぶりのビッグバンドのプログラム。これも嬉しい限りだ。

前回のライブが2013年11月だったので2年ぶりだが、メンバーをみると2年前とがらりと入れ替わっていた。前のメンバーも若手中心であったが、今回は一層若返っていたように感じた。最近他のビッグバンドで一緒にやる事が多いメンバーの顔も多く見かけた。



当日の演目は会場で事前にプログラムが配られたが、ジャズスタンダードが中心ということでどれも聴き慣れた曲。スタンダードならではのアレンジの妙を楽しめた。
新アレンジも披露されたが、この日の収穫は新たに加わったメンバー達のソロ。曲によってソロパートを割り当てられるのは普通だが、そのソロがどれも単に役割をこなすというのではなく、アレンジャーの意図を汲んで、各人の個性あるソロが見事に展開されていたのが印象に残った。新たに加わったメンバー達の意気込みを感じる。いつもの馴染みのメンバーもいいが、たまにはメンバーを一新するのもいいものだ。

特に、テナーの大内満春、古いスタイルの演奏も得意としているが、この日はスローバラードから、スインギーなプレーまで見事に彼の技がプレゼンテーションされていた。タイプが異なるレイモンドマクモーリンとの対比も面白い。アルトの八巻、土井のコンビも最近他でも頭角を現しているが、他にベーストロンボーンの河野広明、ピアノの佐久優子のソロなども良かった。これにはアレンジャーの羽毛田氏も思わずにんまり、アレンジャー冥利に尽きるという表情であった。

このバンドの活動の区切りともいえるアルバムが2年前に作られたこのアルバム。このアルバムに収められている曲からも2曲。ファンクのナイトインチュニジアも面白いが、サドジョーンズのアレンジを意識したというオリジナルのWatch Out!もサドメルファンの自分としては楽しめる一曲だった。

久々にライブ活動を再開した羽毛田耕士ビッグバンド。次回のライブも楽しみだ。

1. Who Could Ask for Anything more?
2. Watch Out !
3. Introduction – Mr. P.C.
4. The Wedding
5. A Night in Tunisia

Ysushushi Haketa (tp)
Masaki Kayo (as,ss)
Hiroshi Sugano (as)
Akihiro Yoshimoto (ts)
Yuki Nakae (ts)
Shohei Nakamura (bs)
Kenichiro Naka (tp)
Osamu Ueishi (tp,flh)
Kenichi Akatsuka (tp)
Yusuke Enomoto (tb)
Masahiro Kawahara (tb)
Minoru Kobayashi (tb)
Katsuhisa Asari (btb)
Nitsuhiro Itagaki (p)
Shigeki Serizawa (b)
Kensuke Kasuya (ds)

Produced by Yasushi Haketa
Recording Engineer : Shigeki Serizawa
All Songs Arranged by Yasushi Haketa
Recorded At Studio Chichu, Aug-Oct, 2011 / June-Aug. 2012
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低音の魅力というとやはりバリトンが入らないと・・・

2015-11-18 | MY FAVORITE ALBUM
Bone & Bari / Curtis Fuller

最近テナー&トロンボーンの2管編成が気に入っているが、低音の魅力というと更に自分のお好みであるバリトンサックスとトロンボーン編成が気になる。ゴルソン&フラーのコンビで有名なカーティスフラーとバリトンというとペッパーアダムスとのコンビのアルバム”Four on the Outside”がある。これはアダムスがソリストとして独立した直後の78年の録音、若手のピアノのジェイムスウィリアムスの参加し、多少モーダルな感じも魅力的なアルバムであった。

バリトンとトロンボーンのコンビというと、ジェリーマリガンとボブブルックマイヤーのコンビも有名だが、このピアノレスのカルテットはウェストコーストジャズサウンドの延長、少し毛色が変っている部類となる。
ハードバップ本流の演奏となると、ブルーノートにタイトルもBone & Bariとその物ズバリのアルバムがある。トロンボーンはカーティスフラーだが、相方を務めるバリトンのテイトヒューストンは必ずしも有名ではない。このアルバムが実質的な初アルバムのようだ。自分もこのヒューストンが加わったアルバムというと、すぐには思い出せないが、後は、リバーサイドのアルバムで何枚かあったような。
すでに紹介したアルバムでは、同じ時期の録音のメイナードファーガソンのビッグバンドに加わっていた

無名のヒューストンだが、彼のバリトンは実にいい音がする。サックスは人によって音色が大きく違う。いわゆるクールなトーンとホットなトーンで分けると、アルトでいうとポールデスモンドとフィルウッズ。テナーだとソニーロリンズとスタンゲッツ。同じ楽器とは思えない音色の違いだ。バリトンだと、ジェリーマリガンとペッパーアダムスという事になる。

もちろん音色以外に肝心なプレースタイルやフレーズワークの巧拙があるが、バリトンは図体が大きい分取り回しも難しいのだろう。なかなかマリガンやアダムスに匹敵するソロプレーヤーというと数は少ない。
このヒューストンは、バリトンを実に上手く他のサックスの同じように吹く。音色も軽いわけでもなく、重々しくもなく、モタツキ感も無く実にいい感じだ。

このヒューストン、経歴を見ると、アダムスと同じデトロイト出身の6歳年上の先輩。アダムスも地元で拠点していたブルバードインの常連であった。そこで代々引き継がれたデトロイト出身者に共通するノリの良さをヒューストンも身に付けていたようだ。

このアルバムはブルーノートの1500番台の一枚。有名なアルバムが並ぶ中では、目立たないアルバムだが、なかなか捨てた物ではない。フラーがリーダー扱いになっているが、タイトル通りバリトンのヒューストンの好演が光る。更に、当時のブルーノートの専属ともいえるピアノのソニークラークのピアノを筆頭にするリズム隊の素晴らしさもフロントの2人を引き立てている。



1. Algonquin             Curtis Fuller 5:04
2. Nita's Waltz            Curtis Fuller 6:57
3. Bone and Bari            Curtis Fuller 6:20
4. Heart and Soul  Hoagy Carmichael / Frank Loesser 4:50
5. Again       Dorcas Cochran / Lionel Newman 7:19
6. Pickup               Curtis Fuller 5:46

Curtis Fuller (tb)
Tate Houston (bs)
Sonny Clark (p)
Paul Chambers (b)
Art Taylor (ds)

Produced by Alfred Lion
Engineer : Rudy Van Gelder
Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack NJ, on August 4, 1957

Bone & Bari
クリエーター情報なし
EMIミュージック・ジャパン
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テナーとトロンボーンの組み合わせというと、ゴルソン&フラーになるが・・・

2015-11-14 | MY FAVORITE ALBUM
One More Mem’ry / Benny Golson Quintet featuring Curtis Fuller

コンボの編成で管の組み合わせというのは色々あるが、最近テナーとトロンボーンの組み合わせが気に入っている。

というのも、テナーの白石幸司が加わった早川隆章クインテットのライブを聴いてから。スコットハミルトンとハリーアレンのコンビを意識してこのグループを作ったというだけあって、モダンスイングの軽快な演奏が自分の好みにピッタリだからだ。
そして気になっていたのが、木村由紀夫率いるNew Standards Quintet。これも右近茂と駒野逸美がフロントのテナーとトロンボーンのコンビだ。先日、やっと聴く事ができたが予想通りの好演だった。どちらのグループのテナーはクラリネットも得意というのも、何か共通点がある。

テナーとトロンボーンというとジャズ好きにとっては、ゴルソンとフラーのアルバム「ブルースエット」、そしてファイブスポットアフターダークがすぐに思い浮かぶ。いつ聴いてもこの低音のハーモニーの魅力が褪せることはない。メロディーも日本人受けするのかもしれない。

有名な作品は映画でも音楽でもカバーバージョンが沢山生まれるが、この曲だけはなかなか本家に迫る演奏というのは聴いた事が無い。曲だけでなく2人の演奏スタイルも大きく影響しているからだろう。であれば、本人達の再演ということになるが、オリジナルの録音から20年以上経ってからこのアルバムが作られた。

ベニーゴルソンは60年代の後半から70年代にかけては作編曲活動が中心でテナーの演奏からは退いていた。一方のカーティスフラーは一時エレキサウンドをやったり、カウントベイシーオーケストラに加わったり積極的に活動していたが、2人にとっては久々のコンビの復活であった。復活後の最初のアルバムCalifornia Messageはモダンなサウンドで、2人の元気な演奏ぶりを楽しめた反面。ブルースエットファンを少しガッカリさせたものだった。

この2人はやはり「ブルースエット」というイメージが強いのか、復帰第2作目には目玉の「ファイブスポット・・も」収められている。日本盤の帯には、「ロマンの復権、あのブルースエットをもう一度」と見出し風に書かれている。
しかし、ファイブスポット・・が収められているのはB面の一曲目。アルバムの顔ともいえるA面の一曲目は、アルバムタイトルでもあるOne More Memoryとなっている。

この曲は、月の砂漠のメロディーをモチーフにしたゴルソンの新曲だが、ゴルソン・フラーのハーモニーにはピッタリだ。ところが曲によっては、エレキピアノのサウンドを活かしたフリーフォーム的な演奏や、サンバ風のリズムにのった曲など引き続き新境地へチャレンジした演奏も含まれている。

そして、肝心の「ファイブスポット・・・」はというと、これは昔のままのイメージ。この曲だけは、昔のままでやって欲しいとプロデューサーから注文がついたのかもしれないが、日本のファンはやはり「この曲だけはそのままで」という気持ちが強いのかもしれない。
実際に演奏するミュージシャンは色々新境地にチャレンジしたくても、ファンは懐メロを期待するというのも皮肉なものだ。

時代が変り、ミュージシャンも色々なスタイルの演奏を経験し、活動も晩年になると新しい曲、そして新しいスタイルを追い求めるだけでなく、スタンダード曲、そしてスイングすることに新たな魅力を再発見するのかもしれない。最近、バップオリエンテッド、そしてスイングスタイルの演奏に再チャレンジするベテランが多いように感じるが、中に若手が混じっていると単に懐メロを聴いているのではない気がして嬉しくなる。

1. One More Mem’ry
2. Out of The Past
3. Sweetness
4. Five Spot After Dark
5. Touch Me Lightly
6. Sad To Say
7. Once Again

Benny Golson (ts)
Cutis Fuller (tb)
Bill Mays (p)
Bob Magnusson (b)
Roy McCurdy (ds)

Produced by Makoto Kimata
Recorded at A&M Studios, Los Angels on August 19 & 20
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コンボ演奏で本領発揮のボビーシューであったが・・・

2015-11-13 | MY FAVORITE ALBUM
塩銀杏 Salted Gingko Nuts / Toshiko Akiyoshi-Lew Tabakin Big Band

先日トランペットのボビーシューが来日した。クリニックが主たる目的の来日であったようだが、何日かプロのミュージシャンとセッションを繰りひろげた。

自分は2回聴くことができたが、一日はアルトの大森明との共演。井上裕一をピアノに加え、バップオリエンテッドなスタイルでの演奏であった。
もう一日は同じトランペットの辰巳哲也との共演。同じ楽器を複数編成するとよく「バトル物企画」となるが、ここではバトルというよりコラボという印象が強い演奏であった。アップテンポの曲をハイノートで張り合い、バラードはメドレーでそれぞれ勝手にというのがバトル物の常だが、ここではアンサンブルからソロの交換に至るまでお互いじっくり語り合うという雰囲気で演奏が展開された。
もちろんこの2人のコラボを支えた守屋純子トリオの素晴らしさもあってだが。オーケストラでのアレンジャー守屋純子もいいが、このようなセッション物のバックも誰とやっても雰囲気作りは上手い。もちろん彼女のピアノのプレーもたっぷりと。

ボビーシューのコンボでのライブ演奏を聴くのは初めてであったが、実に良く謳うトランペットでソリストとしても実に素晴らしい。最近、ビッグバンドでお馴染みの名プレーヤーが単身来日してこのようなセッションをすることが多いが、皆どんなスタイルでも軽くこなし、演奏自体にも多彩さと奥深さそして余裕を感じる。彼らが本当の実力者達だと思う。

さて、ボビーシューというと自分にとってはどうしても「ビッグバンドの人」というイメージが強い。Toshiko-Tabakinオーケストラの立ち上げ時からの主要メンバーであり、バディーリッチのビッグバンドの旗揚げ時のメンバーであり、そしてルイベルソンのビッグバンドでも常連であった。ライブを聴いて、ボビーシューのアルバムと思ったが、こんどコンボ物のアルバムを探してみようと思う。残念ながら自分の手持ちのアルバムはビッグバンドばかり、コンボでの演奏はConcordの初期のアルバムで数枚であった。コンボでのプレーをじっくり聴くのはしばらくお預けだ。

という訳で、秋吉敏子ビッグバンドのこのアルバムを聴く事に。

1978年のダウンビート誌の読者投票のビッグバンド部門でサドメルに替わって第一位に選ばれたのがToshiko-Tabakinのビッグバンドであった。翌年サドジョーンズはサドメルを去り、読者投票、批評家投票両方で秋吉敏子はビッグバンド部門とアレンジャーの両部門の第一位を獲得し、この年に名実ともにNo.1の地位を獲得したことになる。

サドメルもビレッジバンガードに出演するだけのバンドでスタートしたが、10年かけて世界中をツアーするバンドに育っていた。一方のToshiko-Tabakinのビッグバンドは、1973年に西海岸でスタートしたが、活動拠点は西海岸中心であり、コンサートも大学中心であり必ずしも広く全米に知られている訳ではなかった。

4年経って1977年のニューポートジャズフェスティバルに初出演して一気に知名度が上がったが、いきなり一位を獲得したことになる。日本では確実に人気を得てアルバムの数も毎年増えていたが、アメリカではそれらのすべてがリリースされていた訳ではない。玄人受けする活動が評価を得たということだろう。

1978年11月に録音されたこのアルバムが7枚目となるが、ニューポートにも出演し、ダウンビートのポールも獲得した後の、次のステップに飛躍する節目のアルバムともいえる。

秋吉敏子のビッグバンドは基本的に彼女のオリジナル作品、そしてアレンジだ。したがって、オーケストラ全体のサウンドもその作品にすべて影響を受けるが、人気が出たからといってもその作風に大きな変化はない。
このアルバムでは以前のアルバム「孤軍」「花魁譚」のように特に日本を意識した新曲は無いが、特に一般受けする狙いに変ったということは無い。

以前作った自作曲のオーケストラ版がタイトル曲の「塩銀杏」、「レイジーデイ」。スタンダードをやらない代わりにスタンダード曲を意識した曲「チェイシング・アフター・ラブ」がスタンダードの「ラヴァー」のコード進行を使って書かれている。シャッフルのリズムを使って思いっきりスイングする曲も得意で、今回は「サン・オブ・ロード・タイム」で聴ける。

そして、フィーチャーするソリストを決めて作る曲は、パートナーであるタバキンをフィーチャーすることが多いが、このアルバムにはボビーシューのフリューゲルホーンをフィーチャーした曲タイム・ストリームが収められている。今から40年近く前、シューはこの頃から流れるようなサウンドのバラードプレーは得意だった。

やはりこれだけでは満足できないので、今度、シューのコンボ物のアルバムを探してみようと思う。

1. Elusive Dream
2. Lazy Day
3. Chasing After Love
4. Salted Gingko Nuts
5. Time Stream
6. Son Of Road Time

Steven Huffstetter (tp)
Bobby Shew (tp)
Mile Price (tp)
Larry Ford (tp)
Bill Leichenbach (tb)
Randy Aldcroft (tb)
Rick Culver (tb)
Phil Teele (btb)
Gary Foster (as)
Dick Spencer (as)
Lew Tabakin (ts)
Tom Peterson (ts)
Bill Byrne (bs)
Peter Donald (ds)
Mike Richmond (b)
Toshiko Akiyoshi (p)

Produced by Hiroshi Isaka
Rngineer : Ron Malo
Recorded at Devonshire Recording Hollywood California on November 15 &16 1978

塩銀杏
クリエーター情報なし
BMGビクター
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バップオリエンテッドなギターも他のメンバーの影響を受け・・・

2015-11-10 | CONCORD
Full Circle / The Bruce Forman Quartet with Bobby Hutcherson

ジャズが色々変化してきた中で、バップオリエンテッドなプレーを続けているプレーヤーは多い。原点回帰という言葉があるが、やはり、ジャズの根差すところはこの辺りにあるのだろう。それは、プレーヤーだけでなく、聴く方にとっても同じかもしれない。色々聴き疲れた時に、バップオリエンテッドな演奏に戻ってくるとホッとする。例え、それがどんなスタイルに影響されていても。

ブルースフォアマンもバップオリエンテッドなプレーをするギタリストとして知られている。大先輩であるバニーケッセルも彼の事を自分の後継者のように思っていたようだ。
このフォアマンはリッチーコールのグループで一躍有名になった。当時は「リッチーコールブーム」もあり、広く知られるようになったのはこのブームに便乗した形ではあったが。



コールのグループを辞めた後も、フォアマンは西海岸のサンフランシスコを拠点として活動した。サンフランシスコというとコンコルドレーベルの拠点、当然オーナーのカールジェファーソンーソンの目にとまり、このアルバムが誕生した。

メンバーは、同じサンフランシスコで活動していたボビーハッチャーソンやジョージケイブルス達が参加した。このアルバムはこの2人の参加が大きく影響しているように感じる。
曲によって、トリオ、カルテット、そして5人揃ってというようにメンバーの組み合わせを変えているが、一番バップオリエンテッドなプレーを聴かせてくれるのはトリオでのオンザサニーサイドオブザストリートだ。バニーケッセルの有名なアルバム「ポールウィナーズシリーズ」での演奏を思い浮かべる。ベースやドラムもレイブラウンやシェリーマン風のプレーに聴こえてくるから不思議だ。そして、ハッチャーソンが加わったピアノレスのスカイラークもストレートアヘッドな演奏で実に魅力的だ。とすると、ジョージケイブルスが加わると、魅力が無いような感じがするが・・・。

メンバー達のオリジナル曲中心に、モーダルな色合いが強い演奏になる。ライナーノーツを見ると、「ソフィスティケイテッド・バップオリエンテッド」の文字が。ハッチャーソンもこの頃はモーダルな演奏もしていた。
コルトレーンの曲ジャイアントステップもサンバ風のリズムで、スタンダードのサマータイムも5/4拍子でと、アレンジにもこだわり、単なるジャムセッション風の演奏ではない。管が無いハッチャーソンのヴァイブの加わったサウンド生かしながら、アルバム全体としてはグループサウンドの新鮮さを追い求めている感じがする。

このアルバムはジェファーソンが自らプロデュースしたアルバム。新しい試みのアルバムは他のプロデューサーに任せることが多かったが、ギターに関してはグラントガイスマンエミリーレムラーなどの新人達も自らプロデュースし、プレーヤーの自由に任せて演奏させていた。
このアルバムでも、フォアマンのギターのプレーは変らなくとも、周りのメンバーのスタイルでグループ全体のサウンドは微妙に変化する。結果としてそのバリエーションを楽しめるアルバムだ。

最近のフォアマンは聴いた事が無かったが、今でも現役で活躍しているようだ。最近の彼のグループはCow Bop。バップオリエンテッドな演奏は変らなくとも、内容はカントリー&ウェスタンとBopのコラボ。周りのメンバーが変ればグループサウンドは大きく変る。



1. Marshall Arts                    Eddie Marshall 6:08
2. Helen's Song                     George Cobles 4:34
3. On the Sunny Side of the Street    Dorothy Fields / Jimmy McHugh 5:18
4. Skylark              Hoagy Carmichael / Johnny Mercer 6:13
5. Circular                        Bruce Forman 6:13
6. Giant Steps                      John Coltrane 3:58
7. Desert Rain                      Bruce Forman 6:56
8. Summertime     George Gershwin / Ira Gershwin / DuBose Heyward 5:36

Bruce Forman (g)
George Cables (p)
Bobby Hutcherson (vib)
Jeff Carney (b)
Eddie Marshall (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer : Phil Edwards
Recorded at Coast Recorders, San Francisco, May 1984
Originally released on Concord CJ-251
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サドジョーンズがいた時代のサドメルの最後のアルバムは・・・

2015-11-09 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
The Orchestra / The Thad Jones / Mel Lewis Big Band

この所毎年恒例になっているのがVJOの来日コンサートだ。会場はビルボード東京なのでここでは1部、2部の入れ替え制になる。このVJOはステージごとにプログラムが違うので今回は通しで聴いてみた。昨年はボブブルックマイヤーの作品のアルバムが出たばかりで、この作品を目当てに行ってみたが、1部だけでは満足できなかったこともあったので。



自分が行った2日目の1部ではサドメル時代の曲が多く、立ち上げ時のレパートリーであったワンスアラウンドやブルックマイヤーのアレンジによるセントルイスブルースなどが続いた。サドメル時代からのファンにとっては嬉しいプログラムだった。サドメルのレパートリーだけでなく、サドジョーンズが他のプレーヤー(ジミースミスやウェスモンゴメリー)のアルバムに提供したスコアも新たに加わって、益々レパートリーが充実しているようだ。
セカンドステージはメルルイス時代、そしてVJO時代の作品が中心だった。やはりVJOは1日通してどころか3日間通しで全ステージ聴かなければ満足するまで楽しめないのかもしれない。

1966年に誕生したサドメル、そしてそれを引き継いだVJOだが来年で設立50周年を迎える。設立当時のメンバーはエディーダニエルスなど若手メンバーの何人かを除いて、2人のリーダーをはじめてとしてすでに大部分が故人となっている。現在のメンバーの中でサドメル時代を経験したメンバーも数える程だ。

サドジョーンズがメルルイスを残して突然オーケストラを去ったのは1978年、ヨーロッパを巡業している最中であった。その1年前の8月には最後の創立以来のメンバーであった盟友ペッパーアダムスがバンドを去っている。この時、すでにオリジナルメンバーは両リーダーしかいなかった。

退団の理由は、経済的な理由、女性問題、そしてツアーが多くなったオーケストラ事情など色々言われているが真相は明らかではない。日々プレッシャーを受けていると、突然すべてを放り出したくなる衝動に駆られることがあるのは何の仕事でも同じだと思うが・・・・。いずれにしても、長年苦労を共にした友人に突然裏切られたメルルイスとの関係は最後まで修復しなかったようだ。

当時のヨーロッパツアーは毎回数か月に渡る長旅であったが、この年の10月にはベルリンで公演を行っている。ヨーロッパ公演のライブの模様は録音で残されているものが多いが、多分このベルリン公演のライブアルバムがサドジョーンズの加わったサドメルの最後のアルバムだろう。

会場の拍手の雰囲気から大きな会場であることが分かる。サドジョーンズのいつもの調子のMCの様子も収められている。このアルバムでは珍しく、サドメルの中ではクラッシックといわれる設立当時のレパートリーが多く演奏されている。
いずれも聴き慣れた曲だが、マクニーリーのピアノのイントロからローランドハナのそれとは少し違った雰囲気となる。アンサンブルが始まると初期のサドメルの雄々しい感じから、より洗練されたスマートになった印象を受ける。録音が良いせいかもしれない。

メンバーを見ると、今回の来日メンバーであるジムマクニーリー、サムモスカ、そしてダグラス・パーヴァイアンスの名前がある。今のVJOを支えるメンバー達だ。
今回VJOをライブで聴いて、彼らがメンバーであった時代のサドメルのサウンドは今のVJOと基本的に同じだと思う。サドジョーンズがいた時代のサドメルのサウンドを彼らがきちんと引き継いでいることになる。

しかし自分には設立時のサドメルのサウンドとは何かが違うと感じてしまうのだが・・・、果たしてそれは何か?


1. The Second Race
2. Willow Weep For Me
3. ABC Blues
4. 61st And Richard
                                         
Thad Jones (cor)
Larry Moses (tp,flh)
Simo Salminen (tp,flh)
Ron Tooley (tp,flh)
Irvin Stokes (tp,flh)
John Mosca (tb)
Lolly Bienenfeld (tb)
Lee Robertson (tb)
Doug Purviance (btb)
Dick Oatts (as,ss.fl,cl)
Richard Perry (ts,fl)
Steve Coleman (as,fl,cl)
Robert Rockwell (ts,fl)
Charles Davis (bs,bcl,cl)
Jim Mc'Neely (p)
Jasper Lundgaard (b)
Mel Lewis (ds)

Recorded at Filmtheater Kosmos, Berlin, October 2, 1978
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このアルバムのメンバーで、近々ライブも聴けるようだ・・・

2015-11-08 | MY FAVORITE ALBUM
Manhattan Suite / Akira Omori

ライブとゴルフ続きで、家でゆっくり過ごす時間がなかったこの一週間であった。
ライブはボビーシューが別のメンバーで2日、インナーギャラクシーオーケストラ、スウェーデンのアレンジャー、マッツ・ホルムキストを招いた辰巳哲也のビッグバンド、そしてVJOと。辰巳さんとはよくお会いした一週間であった。これらのライブの感想などは順次書く事にしようと思っている。

さて、今回ボビーシューと共演した大森明。正統派のアルトだが今年ピアノのホッドオブライエンと「マンハッタン組曲」というタイトルの新しいアルバムを出した。若い頃武者修行をしていたニューヨークの思い出を昔の仲間と一緒に作ったアルバムのようだが、最近のライブではこのアルバムの曲も良く演奏している。



そして、このレコーディングメンバーとのライブを近々やるようだ。
会場をみると、自宅近くのホール。最近は都心のホールではなくこのような近郊のホールでのライブが多い。先日の小曽根真やモンティーアレキサンダーもそうであった。身近で聴けるライブハウスでの演奏も良いが、規模的にもこの位の規模のホールでPAを使わない演奏もいいものだ。

雨模様の今日は外出予定もなく自宅でゆっくり、朝から久々にオーディオセットの前に座ることができた。聴きたいアルバムも大分溜まっていたが、ライブを思い出し今度のライブの予習を兼ねてまずはこのアルバムから聴き始めた。

自分がホッドオブライエンを知ったのは、ペッパーアダムスが加わったアルバムで。何かマイケルジャクソンを思わせるジャケット写真が印象的だった。最近ではベースの驚異の新人ダリル・ジョンズ(全米選抜のハイスクールビッグバンドのメンバーとして2度来日している)がこのオブライエンとアルバムを作ったというので聴いてみたが、オーソドックスなピアノは健在であった。比較的最近来日もしていたようだが、気が付かず生では聴いた事が無かったので今回の来日はラッキー。オブライエンもけっして若くない、聴けるときに聞いておかねば。

大森明のレコーディンデビューは、ニューヨーク滞在中のミンガスのラストアルバムへの参加であったが、昔からエルビンジョーンズやレイブライアントなどの大物との共演アルバムを作っている。このオブライエンとの組み合わせも、どちらもバップオリエンテッドな正統派という点では相性がいい感じがするが、聴いてみると確かに想像通り。ライブで聴けるのが楽しみだ。


1. Manhattan Suite
2. Autumn in New York
3. East 9th Street
4. Early Spring
5. Nocturne No.4
6. Stella by Starlight
7. Reminiscence
8. The Very Thought of You
9. Moody’s Mood for Love

Akira Omori (as)
Hod O’Breien (p)
Tom Pietrycha (b)
Cliff Barbaro (ds)

Produced by Akira Omori
Engineer : Michael Broby
Recorded at Acoustic Recording in Brooklyn New York November 4, 5 2014


MANHATTAN SUITE / 伝説のピアニストHod・O'Brienを迎えて放つ大森明渾身のN.Yレコーディング!!
クリエーター情報なし
BOPCITY RECORDS
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これ以上の秋晴れは無いかも・・・それにつられてスコアも。

2015-11-04 | GOLF LIFE
朝一番のスタートから昼過ぎのラウンド終了まで、快晴無風の雲一つない秋晴れ。こんなゴルフ日和というのは一年で何日もないかもしれない。

全国的に高気圧に覆われた秋晴れの予報が出た。高原ゴルフは先日シーズン終了かと思ったが、この予報に釣られて再度出掛けてみる気になった。向かった先は、太平洋クラブ軽井沢リゾート。昨年末に改修されて綺麗になったと聞いていたが、久々の訪問となった。

せっかくの遠出なので、シーズン真っ盛りの紅葉狩りを兼ねて一泊での遠征となった。紅葉は高い山はすでに終わりのようなので、行きがけに少し遠回りをして吾妻峡へ。八ッ場ダム建設が再開されたのでどうなったかと思ったが、旧国道はすでに工事の影響で通行止め。ちょう渓谷へ降りていく道にかけては歩行者のみとなっていたので、却って国道沿いの散策はやり易くなっていた。
上流に行くと川沿いにダム建設のトラックが行きかい着々と工事は進行していた。何年かすると景色は大きく変ってしまうだろう。

さて、肝心のゴルフ。朝から予報通り天気は快晴。夜明け時はかなり冷え込んだが、日が昇るにつれて、気温はあっという間に上昇。風が無いせいもあり、体感気温はさらに暖かく感じた。冬のゴルフを覚悟して出掛けたが、上着なしでのプレーに満足。来た甲斐があった。



コースに多いカラマツが丁度黄色に色づき落葉する時期だったので、グリーン上にもこのカラマツの細い葉が目立つホールも何か所か。他はシーズン最後にも関わらずコースコンディションはベスト。特にグリーンは10.5フィートと早めに仕上がっていて、下りのパットには悩まされることに。

先日から復調の兆しが出てきたが、実は先週末の仲間とのラウンドでは見事に撃沈。特にいいゴルフの後の大叩き病が治らない。やはりフォームが安定しないことに加え、メンタルな面の影響が大きいのか。

今回は家内とのツーサム。気楽なラウンドのせいか、力みなくラウンド開始。コースがリゾートコースというのも気楽な気分にさせる。6ホール終わった所で、3ボギーの2バーディーのワンオーバー。
7ホール目、ティーショット、セカンド共にナイスショット。特にセカンドが打ち上げ気味だったので大きめに打ったのが真っ芯を捕らえてグリーンの一番奥にわずかにこぼれる。上からを注意していたのにも関わらず、加速がついたボールはグリーンを横断して手前にこぼれる。そこから寄らず入らずの繰り返しで何とトリプル。
最近、トリプルだけは叩くまいと肝に銘じてスタートするようにしているが、7ホール目にして早くも挫折。この後も3パットのダボ、最後も奥から寄せられずにボギーと、ハーフが終わってみれば最後の3ホールで6オーバー。トータルは43と自分としてはまあまあであったが、最初の6ホールと後半の3ホールの落差があまりに大きい。だが、この原因はすべて奥からの寄せやパット。後半の課題となった。

後半は、この奥からの早いパットを避けるべく手前からに徹したが、これが功を奏し、パットが好調になってパーを拾いまくる。そして600ヤードの長いロング。無意識に力んだのか、痛恨の左ひっかけのOB。そして、最後で寄せをミスってピンをオーバー。せっかく好調とラッキーが噛み合っていたのを、このトリプルで水を差すことに。しかし、後はボギー2つで踏ん張って41.トータル84は久々の好スコア。このボギーもグリーンの奥にこぼしたのが原因。
早いグリーンは手前からという鉄則を久々に思い出した。最近は、まともに当たるかどうかが心配なゴルフだったので、少しはゴルフらしくなってきた。ゴルフシーズンでラウンド予定が続く、次回が楽しみだ。

最近あまり楽しい想い出が無くなってきていたゴルフだが、この秋晴れの清々しいゴルフと久々の好スコアを思わず記録に留めたくなってパソコンに向かってしまった。
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ティトプエントのストレートアヘッドなジャズとラテンの融合は・・・

2015-11-02 | CONCORD
El Rey / Tito Puente and His Latin Ensemble

三木敏悟のインナーギャラクシーオーケストラ(IGO)が復活して2年近く経つが、定期的にライブが続いている。ジャズをベースにしているが、和と洋の融合したサウンドは実にオリジナリティー豊かだ。洋も、単にジャズだけでなくロックやラテン、さらには北欧の文化の香りも加味して、まさにコスモポリタンという言葉がピッタリだ。

オーケストラの編成もサックスを減らしてチューバを加えているところが、デビットマシューズと似ているが、マシューズのホルンの代わりに尺八を加えているのが日本的だ、さらには女性3人のコーラスを加えているのがユニーク。
IGOが最後のアルバムを作ったのは20年以上前、完全復帰を果たした記念にそろそろ新アルバムを期待したいところだ。

ジャズとロックの融合をフュージョンといわれているが、この和とグルーバルが融合したIGOは何と呼んだら良いのだろうか?

さて、ジャズとの融合というとまずはラテンが挙げられるが、ラテンと一口に言っても時代や国で色々バリエーションがある。自分はラテンを聴かず嫌いであったのであまり詳しくはないが、共通しているのは強烈なリズムとその多彩さ。ジャズのビートにラテンのリズムが加わるとジャズのスイング感とは違ったリズム感が身を包む。

そのラテンとジャズとの融合は色々な時代、地域で行われてきた。40年代ジャズがスイングからbopに大きく変った時にも、バップとラテンとの出会いがあった。ディジーガレスピーなどは、当時からラテンのリズムを多く取り入れていた。



ティトプエンテは、この当時から活動を始めている。最初はダンサーになりたかったそうだが、足の怪我で断念、ドラムを叩き始めたのが13歳だった。その後、ティンパレスの第一人者になったが、一方で、ジュリアアードで作曲などを学び、バイブ奏者としても若い頃から有名になった。

60年代、70年代にもヒットアルバムを多数出したが、80年代は心機一転、コンコルドレーベルに所属する。ジャズとラテンの融合を狙ったアルバムを出していたコンコルドPicanteにはピッタリな大物であった。流石オーナージェファーソンのリクルート力だ。
コンコルドでの初のアルバムOn Broadwayがいきなりグラミー賞をとったのも、王者の貫禄であった。

第2作目は、コンコルドの地元サンフランシスコのグレートアメリカンミュージックホールでのライブ録音となった。大きなホールのラテンならではの観客の熱気が伝わってくる。
前のアルバムでも、自らの作曲したラテンナンバーに加えて、ジャズナンバーを演奏しているが、枯葉やステラバイスターライトなどのスタンダードに加えて、ジョンコルトレーンのジャアイアントステップスなども。このバリバリのモダンジャズナンバーをラテンのリズムでこなしてしまうのが、ティトプエンテの凄いところだろう。
今の季節には「枯葉」がピッタリだが、ラテンのリズムでティトのヴァイブでの枯葉も少し味わいが違っていいものだ。

1. Oye Como Va
2. Autumn Leaves
3. Ran Kan Kan
4. Rainfall
5. Giant Steps
6. Linda Chicana
7. Stella By Starlight / Delirio
8. Equinox
9. El Rey Del Timbal

Tito Puente (Timbales, vibes, Vocal)
Francisco Aguabella (congas)
Johny Rodriguez (bongos, congas, vocal)
Johnny Frisaura (vtb)
Ray Gonzalez (tp,flh)
Jorge Dalto (p,elp)
Jose Madera (congas, timbales)
Mario Rivera (fl, ss, ts)
Bobby Rodriguez (b)

Produced by Tito Puente
Engineer : Phil Edwards
Recorded live at The Great American Music Hall, San Francisco. CA, May 1984

Originaly released on CJP-250  (所有盤はCD盤)

El Rey
クリエーター情報なし
Concord Records
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