A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

フュージョンの世界に一度はチャレンジしてみたものの・・・・

2008-03-30 | MY FAVORITE ALBUM
I’m Coming Home Again / Carmen McRae

70年代の後半はサラヴォーンを筆頭にベテラン女性歌手が元気に活躍していた。
Concordではローズマリークルーニーやアネスティンアンダーソン達が復活を遂げていたし。もちろん御三家のエラやカーメンも・・・。

その一人、カーメンは、Great American Song Booksを72年に吹き込んでからはブルーノートを中心にアルバムを残していた。だが、76年の”Can't Hide Love”以降はライブばかり。積極的に活動していたということは分かるが、じっくり腰を据えて取り組んだスタジオでの作品は無かった。
そしてブルーノートを離れた78年、ある一枚(厳密には2枚組)の「記念」に残るアルバムを制作した。

アルバムを制作したのはヴァーサタイルというレーベル。当時市民権を得たフュージョン系のニューレーベル。
そこでカーメンの新しいアルバムが作られた。バックに揃えられたのは、当代一流のフュージョン系のスタープレーヤー達。
そして、曲はコンテンポラリーなヒット曲ばかり。カーメンが古いスタイルや過去のスタンダード曲をすべて捨て去り、最新のヒット曲を最新のサウンドで取り組んだ意欲作だ。
当然、このニュースは世界に伝わり、果たしてどのような作品になったのかファンは興味津々で発表を待ち望んでいた。

ところが、メジャーレーベルでもないマイナーレーベルが分相応の域を超えて取り組んでしまったのか、資金繰りがつかなくなったヴァーサタイルからは発売予定に世に出すことができず、しばらくお蔵入りになってしまったというアルバムだ。
アメリカではブッダから、日本ではトリオから一年遅れで世に出されたのがこのアルバムだ。

曲を見渡しても、確かに古いスタンダードは一曲もない。バックを固めるソロイストは、フレディーハバード、ヒューバートローズ、グローバーワシントン、ハンククロフォード、コーネルデュプリーと名手が並ぶ。
アレンジャーは良く知らないが、このヴァーサタイルの若手のスタッフミュージシャンのマリオ・スブラウス。なかなかいいアレンジを提供している。

カーメンにとっても新しい世界にチャレンジした意欲作であったであろう。
そして、「今までで一番楽しかったセッションだった」とのコメントが残されてはいるのだが。
その後、カーメンのこのようなアルバムは作られなかった。
カーメン節と、フュージョンサウンドの融合したアルバム。久々に聴いてみたが全く悪くは無い。この続編があっても、おかしくはないのだが。
しかし、カーメンは小さい編成でじっくり歌うのが似合う。きっと彼女もそれを好んだのであろう。

人間誰しも新しい流行には乗り後れたくないと思うのは人情だ。何事も経験してみることも必要だ。しかしそれを自分に取り入れるかどうかはケースバイケース。無理して取り入れてもいいことは無い。古いものが悪く、新しいものが良いものとは限らないことは歴史が証明している。

この後カーメンは翌年1月ヨーロッパでサドジョーンズと共演する
そして一年のブランクを経て、Concordにジョージシアリングとの共演で登場する。昔ながらの自分のスタイルで。

1. I'm Coming Home Again
2. Burst In With The Dawn
3. I Need You In My Life
4. Come In From The Rain
5. I Won't Last A Day Without You
6. Won'tcha Stay With Me
7. Mr. magic
8. Everything Must Change
9. Sweet Alibis
10. The Masquerade Is Over
11. I'd Rather Leave While I'm Love
12. Mr.Magic(2)
13. New York State Of Mind

Produced by Vic Chirumbolo
Arranged & Conductede by Mario E. Sprouse

Hank Crawford (as)
Jorge Dalto (p)
Cornell Dupree (g)
Freddie Hubbard (tp,flh)
Hubert Laws (fl)
Chris Parker (ds)
Grover Washington Jr (ss).
Buster Williams (b)
Errol “Crusher” Bennett (per)

Virgil Jones (tp)
Lew Soloff (tp)
Tom Malone (tb)
Janice Robinson (tb)
Alex Foster (ts)

Back Ground Vocals & Strings

Recorded at Columbia Recording Studio New York, November ,December 1978

I'm Coming Home Again
Carmen McRae
Essential Media GRP

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