A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ライブの良さは、ステージ上手の歌手のボーカルでもまた別の楽しみが・・・

2012-04-29 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Songs For Any Taste / Mel Torme

連休に入ったが、現役を退くとあまり連休のありがた味を感じない。どこかへ出かけるのであれば、混んでいる連休を外せばいいのでこの連休も予定を何も入れなかった。
ところがゴルフのように仲間のお誘いがあるものは断るわけにもいかず、結局何回かは予定が入ってしまう。それに夜はライブが続くので結局普段よりもなかなか時間がとれない毎日になってしまいそうだ。散らかったままの部屋やアルバム整理もまたしばらく先にお預けになってしまう。

ライブの方は、まずはマイクプライスオーケストラのエリントン特集の2回目にも行ってみた。前回と違って今回は客席の方も大勢駆けつけており盛況だった。演奏の方も2回目ということもあり、よりこなれていたように感じた。聴く方もファンの方が多かったせいか、ジャズのライブには珍しく緊張感のあるライブだった。また続けてほしい。
翌日は堀恵二のメロウサックスアンサンブル。いつもの演奏に加え、堀さんのトークも好調で、段々演奏もリラックスムードに。きっちりしたアンサンブルであっても、ライブの演奏となると多少お遊びも増えてくる。とはいうものの、やはりプロのアンサンブルは決まるところは流石。

ライブの良さとなると、ボーカルのライブ物もいい。特に歌い手がステージを盛り上げる術を持ち合わせていると尚更。
ジャズボーカルの世界は昔から男性に較べてどうしても女性優勢。唯でさえ少ない男性陣でステージを楽しませてくれるというと、メルトーメは外せないだろう。自分自身でドラムも叩くせいではないかもしれないが、バックの演奏とのコラボも実に上手い。聴衆とバックと一緒にステージを作り上げて盛り立てていけるライブはいつも圧巻だ。

メルトーメは息の長い歌手生活を送ったが、初期の名アルバム、特にライブ物といえばベツレヘムのアットクレッセントが有名だ。マティーペイチのピアノをバックに軽快に歌っている。よくよくメンバーを見るとドラムはメルルイス。ケントンオーケストラを離れて、ペッパーアダムス達と一緒に地元で活動を本格的に活動し始めた頃の57年2月の演奏だ。この年のメルルイスの活動は半端ではない。

この時の録音で、「アットクレッセント」のアルバムに収まりきれなかった残りの曲を集めたのがこのアルバム。残り物や別テイクといわれるものに中には「わざわざという気がしないでもない」という物が多いが、ライブの残りというのもはできが良くても悪くても「あるステージの再現」という点では意味があると思う。
このアルバムも決して残り物というものではなく、それぞれステージの雰囲気を含めていい曲ばかりだ。あえて纏まりが無いという意味では、タイトルの付け方も言いえて妙かも。最初のイッツオールライトウィズミーでは曲の途中で「ジェリコの戦い」のフレーズが入ったり、枯葉はフランス語で歌ったり、セカンドしてステージならではのパフォーマンスが楽しめる。バックもアコーディオン(弾いているのはラリーバンカー)があったりして楽しめる。

一曲だけ、パットモランのボーカルグループがバックの曲が入っている(#5)が、これは残りでアルバムを作るための埋め合わせのようで、特にアルバム全体への意味は無いように思うが。ライブ物はCDで再発される時はステージを再現してくれるような収め方が自分にはすっきりするのだだ、ジャズの場合はオリジナルのアルバムへの拘りもあるので難しい問題だ。

1. It's All Right With Me       Porter 4:28
2. Manhattan            Hart, Rodgers 3:14
3. Taking a Chance on Love    Duke, Fetter, Latouche 2:28
4. Home by the Sea         Fetter, Lewing 1:24
5. I Got Plenty O' Nuttin'      Gershwin, Gershwin, Heyward 3:24
6. De-Lovely            Porter 2:42
7, Tenderly             Gross, Gruss Vom Schweizerland … 2:31
8. I Wish I Were in Love Again    Hart, Rodgers 2:18
9. Autumn Leaves          Kosma, Mercer, Prevert 1:32
10. Nobody's Heart          Hart, Rodgers 2:21

Don Fagerquist (tp)
Larry Bunker (vib, accor, vib, cga, bgo)
Marty Paich (p)
Max Bennett (b)
Mel Lewis (d)
Mel Torme (vo)

Recorded live at "Crescendo Club", Los Angeles, CA, February 22, 1957

Only #5
Howard McGhee (tp)
Ralph Sharon (p)
Max Bennett (b)
Stan Levey (d)
Mel Torme (vo)
Pat Moran And Her Quartet (chorus)
Recorded Los Angeles, CA, 1957




Songs for Any Taste
Mel Torme/td>
Rhino / Wea
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たまには少し趣を変えて少しソウルっぽく・・・・

2012-04-26 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Potpourri / Thad Jones & Mel Lewis Jazz Orchestra

サドジョーンズは、デトロイト出身。デトロイト出身のミュージシャンは多く、出身者が集ってアルバムも出来ている。その後、モータータウンと言われるデトロイトは音楽が盛んなのか、その後有名なモータウンレーベルを生んでいる。

ニューヨークの南約100マイル、ワシントンDCに行く途中にフィラデルフィアという街がある。ここ出身のミュージシャンによるアルバムもあった。この街ももしかしたら昔から音楽が盛んだったのかもしれない。この街にも、フィラデルフィアインターナショナルという、ソウルミュージックではメジャーなレーベルが生まれた。オージェイスやスリーディグリースを生んでいる。

サドメルのオーケストラのアルバムは大体紹介し終わったかと思っていたがまだ何枚か残っていた。このフィラデルフィアインターナショナルから出たアルバムだ。カタログを見返しても、ソウルのスターが並んでいる中で、このアルバムともう一枚モンクモンゴメリーのアルバムだけが浮いている。

サドメルのオーケストラは、不動のサックスセクションに較べてトランペットセクションは最初からメンバーの交代(あるいは複数のメンバーが交代に務めていたのかも)が多かったが、70年代に入るとオーケストラ全体でメンバーの入れ代わりが多くなっていた。
70年に録音されたアルバムの「コンサメーション」が初期のメンバーの最後のアルバムといってもいいだろう。

その後、所属するレコード会社もSolid State(Blue Note)から、A&Mに替わってアルバム制作を行うことになる。ところが、’72年に録音された物もしばらくお蔵入りの状態だった。その間、ライブの方はレギュラーの仕事場所であった毎週月曜日のVillage Vanguardだけでなく、オーケストラはロードにも出るようになっていた。これはアメリカ国内だけでなく、遠くヨーロッパにも。このようにツアーに出るようになると、メンバーの若返りは一層拍車がかかった。サックスセクションの重鎮であったジェロームリチャードソンも、バンドを離れてスタジオワーク中心の活動に戻っていた。

この時期に日本への2度目の来日が実現されたが、その時のアルバムが“Live in Tokyo"で残されている。この時、A&Mでの録音はすでに始まっていたが、契約的にはまだ拘束を受けていなかったのだろう、日本のレーベルでのアルバムが誕生した。
翌’’75年の来日時も日本でアルバムを作ろうとしたが、今度はサドメルオーケストラの名前での録音は契約上できずに、フランクフォスターのオーケストラと名前を変えて実現できたのは以前説明したとおりだ。

このアルバムは、このような契約関係が流動的であった’74年に作られたアルバムだ。
メンバーは’74年の来日メンバーと全く同じなので当然この来日前後の録音になる。
資料を見ると74年6月にフィラデルフィアでの録音という記録もあるが、この録音にも参加しているペッパーアダムスの記録によると、2月18日、20日にフィラデルフィアでということになっている。
アダムスの記録では、オーケストラはその足でマイアミ、サンフランシスコでのコンサートを経て、25日にシスコから日本ツアーに旅立っている。多分こちらの方が正しいのではないだろうか。
とすると、このアルバムは’74年の来日の直前に録音されたアルバムということになる。来日時のコンサートのプログラムは覚えていないが、“Live in Tokyo”にあるように、当然初期の作品からが多く、この新作からの曲は無かったと思う。

このように、このアルバムは何故か突然フィラデルフィアで生まれたアルバムだ。
録音もニューヨークから近いとはいえ地元の本拠地シグマサウンドスタジオにわざわざメンバー全員がニューヨークから出向いて録音されている。
レーベルカラーが強いのが影響してか、サドメルのオーケストラにとってもそれまでの路線とはいささか趣が異なっている演奏だ。

まずは、ローランドハナがエレキピアノを多用していること、ハーモニカのBuddy Lucasを加えてソウル色を打ち出していること、そしてスティービーワンダーの曲を取り上げていること。もちろん従来の延長上でサドジョーンズの曲が大半でジェリーダジオンのアレンジも収められているが、全体は8ビート基調になっていることなど、など・・・。

このアルバムがどのような経緯で突然生まれたのか良く分からないが、レーベル事情でいえば話題のサドメルのオーケストラでソウルをやったらどうなるか?というチャレンジだし、サドメル事情で言えば、丁度A&Mで新しいアルバム作りを模索している最中にちょっと浮気をということにもなるのだが・・。

それまでも、スタジオワークが多いメンバー達だったので、オーケストラ全体でアレンジ付で別のミュージシャンのアルバム作りのバックを務めるということはあったのだが、自らの看板を掲げてのアルバムとなると、きっと何か意図があったとは思うのだが・・・果たして真相は???
結果は75年のグラミー賞にノミネートされているのだが、あまり話題にはならないアルバムだ。

1. Blues In A Minute    Jones 8:24
2. All My Yesterdays    Jones 4:31
3, Quiet Lady        Jones 7:31
4. Don't You Worry 'Bout a Thing   Wonder 3:58
5. For the Love of Money       Gamble, Huff, Jackson 4:12
6. Yours and Mine      Jones 3:46
7. Ambiance         McPartland, Arr: Dodgion 7:22
8. Living for the City    Wonder 4:24


Thad Jones – flugelhorn

Jon Faddis : trumpet
Jim Bossy : trumpet
Steve Furtado : trumpet
Cecil Bridgewater : trumpet
Jimmy Knepper : trombone
Quentin Jackson : trombone
Billy Campbell : trombone
Cliff Heather : trombone
Jerry Dodgion : alto saxophone, flute
Eddie Xiques : alto saxophone, flute, clarinet
Billy Harper : tenor saxophone, clarinet
Ron Bridgewater : tenor saxophone, clarinet
Pepper Adams : baritone saxophone
Roland Hanna : piano
George Mraz ; bass
Mel Lewis : drums
Buddy Lucas : harmonica, jaw harp

Recorded 1974 June, at Sigma Sound Studios, Philladelphia

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サドジョーンズのファンキーな曲はやはりライブで聴くのが一番・・・

2012-04-25 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Don’t Get Sassy / Ray Brown Trio



峰純子のサドジョーンズとの共演アルバムはサドジョーンズに敬意を表してか、ジョーンズの「チャイルドイズボーン」をアルバムタイトルにしていた。
サドジョーンズの曲をタイトルにしたアルバムといえば、このレイブラウンのトリオもその一枚。ジョーンズの曲はメロディーが覚えやすい。バラードの代表格がチャイルドイズボーンとすれば、ファンキーな曲の代表がこのドントゲットサッシーだ。もちろんオーケストラの数多いレパートリーの中でも、初期のオーケストラから演奏されているサドメルの代表曲で、他のバンドでも演奏されることは多い。この浮き浮きするノリのいい曲は初めて聴いた時から自分もお気に入りの曲のひとつだ。

この曲はオーケストラの演奏でもライブだと一層盛り上がるが、このトリオのアルバムもライブ。ただし、普通のコンサートやクラブのライブではなく、スタジオにファンを入れてのスタジオライブだ。
エバンスのバンガードライブのように、クラブで話し声や食器の触れ合う音が入ったライブもいいが、プレーヤーと聴衆の間の何ともいえない一体感を作り出すのが目的であれば、このようなスタジオライブもいい方法だ。聴衆がいることでプレーする方も自然に気合が入ってくるのが伝わってくる。

レイブラウンはもちろんピーターソンとのトリオが長くて、そして有名だが、自分のトリオになってからもピアノは代々良くスイングするピアニストが務めている。Birdの映画のサントラに参加したのもモンティアレキサンダーと一緒だったが、Concordでもモンティーとのトリオが最初だった。
その後、バリーハリスに代わり、このベニーグリーンと続くが、どのトリオもやはりピーターソンと一緒のトリオのイメージがどこかに残っている。良くスイングするピアノにはやはりレイブラウンの図太いベースが一番似合うということだろう。

このアルバムも、タイトル曲“Don’t Get Sassy”でスタートするが、続く“Everything I Love”ではしっとりバラードを。”Tanga”では、これでもかという程の急テンポの挑戦。ドラムのジェフハミルトンの切れの良いドラムを含めて否が応でもスタジオは盛り上がる。その後もブルースあり、じっくり聴かせる“Good Life”ありで、最後はエリントンメドレーで締めくくる。選曲もバランスがとれていて、丁度1ステージが程よく纏まっていて実際のライブを聴いているようなアルバムだ。

エリントンといえば、先日聴きにいってマイクプライスオーケストラのエリントン特集のライブが、今週金曜日にもう一度行われる。会場は、今度は新宿のSomeday。
丁度連休にかけて連日ビッグバンドが登場するのでサムデイには何日か行くことになりそうだが、時間がとれればこのマイクプライスはもう一度聴きにいってみたい。

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2012年4月27日(金)マイク・プライス・ジャズ・オ-ケストラ
スミソニアンジャズ ライブ

デューク・エリントンのハレーム組曲を演奏します!
“A TONE PARALLEL TO HARLEM”

今回の演奏は、新たに準備したエリントン作曲の"FRUSTRATION."を 宮本大路(bs)のソロで演奏します。 ハリー・カーネイがデューク・エリントンとレコ-ディングして以来50年、恐らく今回が最初の演奏となります。日本でこの曲が演奏されるのが初めてであることは間違いありません。この曲だけでなく"A Tone Parallel To Harlem" and "Tattooed Bride!"もです!

アメリカワシントンDCにあるスミソニアン協会によって催される
広く世に知れた「スミソニアンジャズ感謝・鑑賞月間イベント」において、

「スミソニアンジャズ感謝・鑑賞月間イベント」について

click on Jazz Appreciation Month

UNESCO
国連の教育科学文化機関 ユネスコ本部 が今週を国際ジャズデイとしてスポンサ-になっています。
東京での私たちの演奏もその一つに含まれています! 

どうぞこのリンクをご覧ください。



日時  4月27日(金)
    19:45~、21:15~
場所  サムデイ (新宿)
    Tel 03-3359-6777
    新宿1-34-8 新宿御苑前ビルB1(やよい軒の地下)
    地図 http://someday.net/shinjyuku.html
ミュージックチャージ 3,465円
メンバ-
大山日出男(as, clar)
土井徳浩、(as, clar)
川村裕司(ts)
岡崎正典(ts)
宮本大路(bs)

佐久間勲(tp)
田中哲也(tp)
高橋一光(tp)
今里通夫(tp)

西山健治(tb)
内田光昭 (tb)
堂本雅樹(btb)

井上祐一 (p)
佐瀬正(b)
稲垣貴庸(d)
マイク プライス (tp, flug, cond)


http://www.mikepricejazz.com

是非 お越しください !  


************************


1. Don't Get Sassy      Jones, Lewis 5:33
2. Ev'rything I Love     Porter 5:19
3. Kelly's Blues       Peterson 6:39
4. Tanga           Bauza 4:07
5. When You Go        Brown 6:06
6. Brown's New Blues     Brown 7:35
7. The Good Life       Distel, Reardon 8:07
8. Con Alma          Gillespie 9:03
9. Ellington Medley: Rain Check/In a Sentimental Mood/Squatty Roo Ellington, Hodges, Strayhorn 10:43

Ray Brown (b)
Benny Green (p)
Jeff Hamilton (ds)

Produced y Elaine Martone
Recording Enginner : Jack Renner. Joseph Magee
Recorded at Signet Sound, Studio A,West Hollywood, California. April 21-22 1994





Don't Get Sassy
Ray Brown
Telarc
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テナーだけかと思っていたら、色々隠し技を持ち合わせていたとは・・・

2012-04-24 | CONCORD
The Great / Buddy Tate

コンコルドでのバディーテイトは、スコットハミルトンとの師弟コンビのテナーバトルのアルバムが続いた。単なるベテランの復活アルバムではなく、このような師弟コンビは何となく微笑ましくもあり、ベテラン同士とは違った緊張感もある。
今回のアルバムは、タイトル自体も“The Great”。バディーテイトにスポットライトが当たっている。テナーをテナーらしく吹くテイトがたっぷり聴けると思ったら・・・。

テイトはベイシーオーケストラ出身と言っても、オリジナルカンサスシティーセブンのメンバー。再びベイシーオーケストラに加わって活躍したのも40年代。この時代のベイシーはあまり聴いてはいないので、ベイシーオーケストラ出身と言ってもこの時代のバディーテイトは当然じっくり聴いたことは無い。
それ以降も自分のグループを長年率いてクラブへの出演を続けていたし、色々なバンドやプレーヤーとの共演も積極的に行っていたので、彼の場合は一度も現役を退くということは無く、常に第一線で活躍してきた。
この時代も自分はあまり思い入れを持っては聴いていなかったが、時々耳にした時は、いつもノリの良い力強いテナーで楽しませてくれた一人だ。

そのテイトの”Great”さとは、テナーの素晴らしさかと思ったら、このアルバムでは、テイトはテナーは勿論のこと、バリトンサックスやクラリネットも披露している。いわゆるスタジオワークが多いマルチリードのプレーヤーは、レコーディングでもそのマルチ振りを披露することが多いが、スタンゲッツやスコットハミルトンのようにテナー一本でいつも勝負しているミュージシャンはめったに楽器の持ち替えはやらない。テイトもそんなプレーヤーかと思っていたのだが・・・

モダンスイングのバリトンプレーも乙な物だし、「Softly・・・」のクラリネットが実にいい。クラリネットというとどうしてもディキシー・スイング系の演奏イメージになりがち(聴こえがち)になるが、ここでのプレーはモダンだ。テイトのクラリネットのプレーが他にもあったら聴いてみたくなった。

Concordレーベルはベテラン復活のためのカンフル剤的な役割を果たしていたが、常に活躍していたプレーヤーに対しても、若い後継者との共演や普段見せない「芸」を披露してくれるとは、ジェファーソンもなかなかよく考えていたものだ。

今回のテイトのマルチプレーを引き立たせる介添え役として、コルネットのウォーレンバッシュのミュートプレーはピッタリだったし、ハンクジョーンズのピアノも適役。ニューヨークでの録音ということもあり、ドラムには何とメルルイスが加わっているが、これはどういう風の吹き回しか?メルルイルがコンコルドに登場したのは多分今回が最初だと思う。
さらに、おまけはテイトの息子のPaul Tateのヴォーカルもある。父親のテナーサックスに良く似たテナーのヴォーカルを聴かせてくれるが、"おまけ”以上の出来だ。
良い仲間に囲まれて、テイトの“Great”の理由を再認識させてくれるアルバムだ。

1. On Green Dolphin Street
2. What Are You Doing The Rest Of Your Life
3. At Sundown
4. Softly, As In A Morning Sunrise
5. Bernie's Tune
6. I Realize Now
7. Duckie
8. Shiny Stockings

Buddy Tate (ts,bs,cl)
Warren Vaché (cor)
Hank Jones (p)
Milt Hinton (b)
Jack Williams (ds)
Mel Lewis (ds)
Paul Tate (vol)

Produced by Carl Jefferson
Engineer : Phil Edwards

Recorded at Soundmixers, New York City, March 1981

Originally released on Concord CJ-163



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近くて遠い東京のゴルフコース

2012-04-23 | GOLF LIFE
自分は東京生まれの東京育ち。都内では何度か引越しをしたが、東京を離れたことが無い。したがって、ゴルフを始めてからずっと自宅のある東京からコースに行く。都内にはゴルフコースは多分20コース位はあると思う。一番近いコースまでは車で10分位。
ところが、いつもそのコースを横目に見ながらコースまで100キロ近くを往復する。一体これまで、ゴルフに行くために、何キロ車を運転したことか。最近は運転も段々しんどくなってきた。特に帰りは。そろそろ近くのコースをホームコースにしたいものだと思う今日この頃。

せっかく近くある東京のコースだが、数えてみたらプレーしたことがあるのはまだ半分くらい。残り半分は近くにありながら遠い存在だ。
今回行ったのも始めてのコース、立川国際カントリークラブ。
知人がメンバーで一度来ないかとは前から言われていたが、なかなか機会が無くて今回仲間で一組成立したので始めての訪問であった。
自宅からは30キロ弱。遅いスタートだったということもあり、家を出たのは8時。ゴルフの時は5時起きが珍しくないが、普段と変わらぬ起床でまずはペースが違った。下道を行っても1時間もかからないと思ったが、結局大して混んでいなかったにも関わらずたっぷり一時間。確かに、家からコースまで信号だらけの道を行けばこの位はかかる。これもペースが違った。場所は福生の駅から10分足らず。これであれば電車のほうが良かったかもと一瞬思った。
いずれにしても近いということはいい事だ。

クラブハウスを丁度建替え中ということもあり、ハウスの周りは少し狭い感じ。36ホールあることもあり人は多いので、より混んでいる感じはする。ハウスが建っているのが丁度高台の上で、そこからコースが見渡せる。都内の古いコース同様、丘陵地帯にレイアウトされているので、アップダウンのあるホールも多そうであった。実際廻った草花コースも、大分改造されたそうだが、いくつかきついアップダウンのあるホールが残っていた。グリーンも2グリーンと1グリーンが混在。慣れるには何回か周らないと難しい。

朝から雨が降り出しそうな嫌な天気であったが、降らないことを祈ってスタート。風も無くプレーをするにはまずまずのコンディションだった。招いてくれた友人から「グリーンは難しいよ」と言われていたが、この日は丁度芝の更新時ということもあり、反対に重いグリーンで、かえってこの重さに皆がパットに悩まされることになる。

初めてのコースは狙いどころが分からないで苦労することもあるが、この日はキャディさんにも恵まれ、4人が大体同じ実力であることもあり、テンポ良く廻れた。お陰で初めてのコースであったが、スコアもまずまずで80台で収まった。雨にも降られず、帰りに福生の駅近くで反省会をやって家路についたが、帰った時刻は普段とあまり変わらず。やはり近いというのはいいものだ。




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Birdとの夢の共演を作り出すことができたのはレニーニーハウスの拘り・・・

2012-04-22 | MY FAVORITE ALBUM
Bird / Charlie Parker (Original Motion Picture Sound Track)

レニーニーハウスは、アルトのプレーだけでなく編曲や映画音楽の世界で活躍したが、有名なのはチャーリーパーカーを題材にした映画「バード」のサウンドトラックだろう。




音楽やミュージシャンを題材とした映画で一番困るのはバックの音楽。ドキュメンタリー映画であれば、オリジナルの音源を音質が悪かろうが断片的であってもそれを使うことに意義がある。ところがドラマ仕立てをした物は、曲自体を使うことがあっても古いオリジナルの音源を使うことはなかなか難しい。特に古い音源であればその音質も問題になるので。

今回のチャーリーパーカーとなると、ジャズの神様のような人物なので影武者を立てるにしても、影武者がパーカー風はできてもオリジナルバードの再現をするのは難易度が高すぎる。
ジャズ好きの監督であるクリントイーストウッドと、それを支える音楽監督であるニーハウスが出した結論はやはりオリジナルのバードを使うこと。
まさに本物のサウンドトラックだ。しかし、単なるバックグラウンド音楽であればまだしも、演奏映像と同期をとった音となると残された過去の音源をそのままで使うことは難しい。

そこで考え付いた方法は、パーカーのアルトのプレーはオリジナルを使い、バックの演奏を新たに取り直して、パーカーのプレーと一体化させること。
歌や演奏とバックのオーケストラを別に録音してミックスダウンすることは当たり前にやられているが、今回の方法は過去の演奏からパーカーのプレー以外の音を除いてソロの音源を作り出して、それに合わせてバックのアレンジや演奏を後から行うという方法。技術的にも演奏も難易度が高い方法であった。
この全体を取り仕切ったのがレニー・ニーハウスということだ。単なるアレンジ以上の苦労があったと思う。パーカー役のホレスト・ホイテッカーにアルトのキーワーク教え込んだら撮影が終わる時には実際にアルトが吹けるようになっていたとか。

新たにバックを務めたミュージシャンは、ピアノのモンティーアレキサンダー、ベースのレイブラウン、ドラムのジョンゲランなどを中心とした面々だが、まさかバードと共演できるとは思わなかっただろう。
完成度を高めるためにニーハウスは、アンサンブルでは影武者にチャールスマクファーソン、ガレスピーの代役にはガレスピーの信奉者のジョンファディスを起用し、With stringsではパーカーのプレーのコードに合わせてストリングスのアレンジを一部書き換える拘りだったそうだ。
こうなると、このアルバムは単なるイミテーションやサンドラ盤ではなく、新たに創作された立派な芸術品ともいる作品だ。

1. Lester Leaps In
   Charlie Paker (as)
   Monty Alexander (p)
   Ray Brown (b)
   John Guerin (ds)

2. I can’t Believe That You’re In Love With You
   Charlie Paker (as)
   Monty Alexander (p)
   Ray Brown (b)
   John Guerin (ds)

3. Laura
   Charlie Paker (as)
   Barry Harris (p)
   Chuck Berghfer (b)
   John Guerin (ds)

4. All Of Me
   Charlie Paker (as)
   Monty Alexander (p)
   Ray Brown (b)
   John Guerin (ds)

5. This Time The Dream’ss On Me
   Charlie Paker (as)
   Monty Alexander (p)
   Ray Brown (b)
   John Guerin (ds)

6. Ko Ko
   Charlie Paker (as)
   Charles Mcpherson (as)
   John Faddis (tp)
   Walter Davis Jr. (p)
   Ron Carter (b)
   John Guerin (ds)

7. Cool Blues
   Charlie Paker (as)
   Walter Davis Jr. (p)
   Ron Carter (b)
   John Guerin (ds)

8. April In Paris
   Charlie Paker (as)
   Barry Harris (p)
   Chuck Berghofer (b)
   John Guerin (ds)

9. Now ‘s The Time
   Charlie Paker (as)
   Charles Mcpherson (as)
   Red Rodney (tp)
   Walter Davis Jr. (p)
   Ron Carter (b)
   John Guerin (ds)

10. Ornithology
   Charlie Paker (as)
   Charles Mcpherson (as)
   John Faddis (tp)
   Walter Davis Jr. (p)
   Ron Carter (b)
   John Guerin (ds)
   Chalie Shoemake (vib)

11. Parker’s Mood
   Charlie Paker (as)
   Barry Harris (p)
   Chuck Berghofer (b)
   John Guerin (ds)

Produced by Clint Eastwood & Lennie Niehaus
Engineer : Bobby Fernandez


Bird: Original Motion Picture Soundtrack
Lennie Niehaus
Sony
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本格活動前に、ケントン仲間ともう一枚・・・

2012-04-21 | PEPPER ADAMS
Zounds! / The Lennie Niehaus Octet

ウェストコーストジャズ全盛期というとやはりコンテンポラリーレーベル。当時のコンテンポラリーのアルバムは洒落やデザインのジャケットが多い。それだけで、中身の演奏もスマートに感じてしまう。美女系の写真を使ったアルバムは一般的に多いが、このアルバムもその一枚。このアルバムの印象はデザインもあるが写真が秀逸。と思ったらやはり写真はWilliam Claxton。ジャズプレーヤーの写真を撮らせたらピカ一の写真家だ。ウェストコーストのアルバムには彼の写真を使った物も多いので、ジャケットで得をしていることも多いのでは。
さらに、美女が着ている水着も何となく垢抜けしていると思ったら、デザインはRudi Gerneich。彼のデザインのモデルといえばペギーモフェット。このモフェトは、Claxton婦人という関係だ。その組み合わせだけでファッション誌に載るような写真をジャケットに使うのだから悪い訳が無い。ジャズのアルバムで、なかなかそこまで凝っているのも少ないのではないだろうか。

さて、このアルバムはアルトのレニー・ニーハウスのアルバム。2回のセッションを一枚にしたアルバムだが、その間が1954年と1956年と少し離れている。この間、ニーハウスはスタンケントンオーケストラに加わっていた。2回目のセッションはそのスタンケントンの長いツアーが終わった直後の録音。前に、紹介したスタンケントンのMacumber clubでのライブの約1ヵ月後だ。
サックスセクションはケントンオーケストラで一緒だったメンバー。バリトンにはペッパーアダムスが加わっている。アダムスも西海岸で活動を始めてまだ一ヶ月足らず。まずは、ケントンオーケストラの仲間一緒に活動していたのだろう。年明けの本格的な活動のまさにウォーミングアップ期間中だ。ドラムにはメルルイスも加わっているが、ルイスは自分のアルバム作りで東奔西走してやっと録音を終えた直後だ。メルルイスのアルバムには参加できなかったビルパーキンスも今度はしっかり参加している。

この時、ニーハウススはまだ27歳、その間の2年間というものはケントンオーケストラでの経験を含めてまだまだ発展途中。オクテット編成なのでアレンジも重要だが、ニーハウスはケントンオーケストラに加わりながら、作編曲にも研鑽を重ねていた。その点では、このアルバムの2つのセッションは、2年間を経た同じオクテット編成の新旧の比較ができる。
メンバーは全く違うが、どちらもウェストコーストでの実力者同士。メンバーに優劣はない。ニーハウスのプレーも持ち前のクールトーンが、2年を経て結構熱っぽくなり、アレンジは、楽器編成の違いもあるが軽妙さに重厚さが加わっているような気がするが。



1. The Sermon [Octet No. 2] Hawes 5:12
2. How About You? [Octet No. 1] Freed, Lane 2:26
3. Figure 8 [Octet No. 1] Niehaus 3:38
4. Patti Cake [Octet No. 1] Niehaus 2:38
5. With the Wind and the Rain inYour Hair [Octet No. 2] Edwards,Lawrence 4:00
6. The Way You Look Tonight [Octet No. 1] Fields, Kern 3:31
7. Have You Met Miss Jones? [Octet No. 1] Hart, Rodgers 2:40
8. Four [Octet No. 2] Davis 3:58
9. Night Life [Octet No. 1] Niehaus 2:37
10. The Night We Called It a Day [Octet No. 1] Adair, Dennis 3:57
11. Blues for Susie [Octet No. 2] Niehaus 3:33
12. Seaside [Octet No. 1] Niehaus 2:29

[Octet 1]
Lennie Niehaus (as)
Stu Williamson (tp)
Jack Montrose (ts)
Bob Enevoldsen (vtb)
Bob Gordon (bs)
Lou Levy (p)
Monty Budwig (b)
Shelly Manne (ds)

Recorded at Capital in Hollywood, August 23,1954
Engineer : John Palladino

[Octet 2]
Lennie Niehaus (as)
Bill Perkins (ts)
Pepper Adams (bs)
Frank Rosolino (tb)
Vincent DeRosa (french horn)
James McAllister (tuba)
Red Mitchell (b)
Mel Lewis (ds)

Recorded at Contemporary Studios in Los Angels, December 20.1956
Engineer : Roy DuNann

Produced by Lester Koenig
William Claxton Photography
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もし、あの出会いが無かったら・・・・

2012-04-20 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Child Is Born / Junko Mine with Thad Jones & Mel Lewis

日々の人との出会いが、その人の人生を作っていく。もしあの時、あの人に会っていなかったら・・・。時に、ある出会いがその人の人生を大きく変えることになる。
自分の今までの人生を振り返ってみても思い当たる出会いはたくさんあるが、ジャズミュージシャンにとっては、ツアー先での出会いというのが、お互い大きな意味を持つことがあるだろう。訪れた側にとっても、迎える側にとっても・・・・。

1975年、サドメルのオーケストラが3度目の来日をした。その時の彼らの置き土産はフランクフォスターのビッグバンドのアルバムだったが、この時の日本ツアーは前年のツアーの成功を踏まえて、日本の津々浦々を約一ヶ月間廻る大ツアーであり、サドメルオーケストラの生の演奏を日本中に広めたのが、最大のお土産であったろう。

この時まだオーケストラに在籍していたペッパーアダムスはツアーが大好きな理由の一つに、旅の行き先での博物館周りがあると語っている。彼は、その国、地方での人々や文化に直接接することも楽しみにしていた。軍隊時代に韓国に駐留していた時も、積極的に韓国の文化に接して、いたく興味を持ったそうだ。ツアーの最中、ホテルに籠もってカードに昂じている仲間達を、「せっかく見知らぬ土地に来ているのになんともったいない時間を過ごしているのか」といつも思っていたそうだ。日本の地方としてアダムスが何の発見をしたか興味がある。

その時、サドメルオーケストラが東京に滞在している間、宿にしていたのが高輪プリンス。そのナイトスポットに出演していたのが峰純子。そこに出演していたのは1961年以来というから、いわゆるハウスバンド&シンガーとして知る人ぞ知る歌手であった。
たまたまサド・メル滞在中のある日、メンバーの一人であるジョージムラツが彼女とそこで一緒に演奏する約束をしたが、生憎当日体調が悪くてプレーできなくなってしまった。それを聞いたサドジョーンズとメルルイスが、同じホテルということもありお詫びを兼ねて彼女のステージを聴きに行った。彼女のボーカルを気に入って、セカンドステージでは2人がステージに上がって一緒にプレーをすることになった。

普通であれば、彼女との出会いもそこまでであったが、何と、彼らはその滞在中に彼女とアルバムを作ることになった。メンバーは、その時は参加できなかったジョージムラツにピアノウォルターノリスが加わり、曲によっては普段彼女のバックを務めていた渡辺保明も加わった。

急な録音ということもあったのであろう、前年のディーディーブリッジウォーターのアルバムとは異なり、無難なスタンダード曲が選ばれた。ピアノとベースだけのバックで始まるマイファニーバレンタイン。低音でストレートに素直な歌いっぷりは彼女の特徴。トリオのバックだけでなく、ピアノだけのバックも彼女の歌にはよく似合う。レコーディングだからといった気負いも無く、彼女が普段ホテルで歌っているのと同じ雰囲気が伝わってくる。サドジョーンのコルネットが加わると、スペシャルセッションの色合いが濃くなる。

スタンダード中心の中に、唯一サドジョーンズのオリジナル「チャイルドイズボーン」が収められている。この曲も今ではスタンダード曲の仲間入りをしているが、その時はまだそれほど知られているわけではなかった。歌詞となると尚更で、急遽アメリカから歌詞を送ってもらったという。
バラードをしっかりと歌う彼女にはお似合いの曲だ、そして、アルバムタイトルにもなった。サドジョーンズとの共演を思い出に残すにはこの一曲はベストだったと思う。

ゴルフには「たられば」は通用しないが、普通の人生は、この「たられば」の連続である。
もし、彼女がジョージムラツと約束をしなかったら、そして体調が悪くならなかったら、サドジョーンとメルルイスが彼女のステージを聴きに行かなかったら、結果的にこのアルバムは生まれなかった。峰純子のファーストアルバムが生まれたのには、災い転じて福となったこの思いがけないサド・メルとの出会いが一役買ったことになる。



1. My Funny Valentine
2. Here’s That Rainey Day
3. I Can’t Give You Anything But Love
4. My One And Only Love
5. That Old Feeling
6. The Nearness Of You
7. A Child Is Born
8. After You’ve Gone
9. The Man I Love
10. On The Sunny Side Of The Street
11. The Good Life

Junko Mine (vol)
Water Noriris (p)
Yasuaki Watanabe (p) (5,10)
Gerge Mraz (b)
Mel Lewis (ds)

Produced by Takao Ishizuka
Engineer : Hiroshi Satoh
Recorded at Mouri Studio, Tokyo on November 25, 1975

ア・チャイルド・イズ・ボーン
峰 純子
アブソードミュージックジャパン
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気が向いた時に、気が向いた仲間と一緒にできるのが何事においても一番・・・・

2012-04-18 | CONCORD
On Stage / Tal Farlow

世の中、仕事となると何であっても、いつも後から追われるようにやらされるものだ。スケジュールであったり、仕事の完成度であったり。そして満足のいく結果でなくとも、またその次に賭けることになる。その点、趣味であればやりたい時に、納得のいく程度でやっていく限りにおいては、ストレスになることもない。

タルファーローというギタリストは、もしかしたら趣味でギターを弾いていたのかもしれない。そもそもギターを弾き始めたのが20歳になってからというので、所詮最初からプロという感覚はなかったのかも。

何度か引退をした後、コンコルドで復帰した最初のアルバムは1977年録音の、ハンクジョーンズとレイブラウンとのトリオの演奏だった。
実は、この録音に先立ち前の年の1976年夏のコンコルドジャズフェスティバルへの出演が先であった。この舞台は、実は昔のコンビであったレッドノーボとの再会セッションであった。昔の仲間との再会は唯でさえ嬉しいものだし、久々であっても直ぐに昔の感覚を取り戻すものだ。このアルバムはその時のライブ、リリースは後だがConcordへの復帰の実質的な第一弾となる。1969年以来17年ぶりのレコーディングだ。



レッドノーボとタルファーローのトリオは1950年前後。25年ぶりの再会だ。その時のベースはチャリーミンガスであったというから驚きだ。舞台では、ノーボとのトリオの時代の編成に、ピアノとドラムも加えたクインテット編成である。
このタルファーローも実はコラボレーションが得意なギタリストだと思う。ノーボの飄々としたマレット捌きと実にコンビネーションが良い。このファーローは大柄で手が大きくてフレットを這い回る手の動きはまるで蛸のようだという話をどこかで読んだ記憶がある。映像で改めて見てみると確かに。先日のエミリーレムラーの女性の手捌きとは同じギターでも別物のようだし、ギター自体が小さく見える。



クインテット編成のサウンドは、丁度この映像のような感じだ。そしてコンコルドの舞台であることもあり、プログラムの構成は各自のソロをフィーチャーした曲あり、皆で盛り上がる曲ありだが、何故かいつも冷静であり余裕があるように感じるのがタルファーローだ。本当のプロの実力がありながら、「仕事」のプレッシャーを感じることなくいつも楽しげにプレーをしているようなので。

1. The One I Love Belongs to Somebody Else    Jones, Kahn 5:55
2. A Time for Love/My Romance           Mandel, Webster 7:15
3. Lullaby of Birdland               Shearing, Weiss 7:58
4. My Shining Hour                 Arlen, Mercer 7:54
5. The Very Thought of You             Noble 3:03
6. Rose Room/In a Mellow Tone            Hickman, Williams 6:53

Tal Farlow (g)
Red Norvo (vib)
Hank Jones (p)
Ray Brown (b)
Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson
Enginner : Phil Edwards

Recorded live at the Concord Pavillion, Concord, California in August 1976

Originally Released on Cocord CJ-143



On Stage
Tal Farlow
Concord Records
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ペッパーアダムスに、デイブペルに次いでお呼びがかかったグループは・・・

2012-04-17 | PEPPER ADAMS
Shorty Rogers Plays Richard Rodgers / Shorty Rogers and His Giants

ウェストコーストで活躍したミュージシャンは、ウディーハーマンやスタンケントンのオーケストラ出身者が多い。トランペットのショーティーロジャースは、この2つのオーケストラを渡り歩いた。
そして、多くのミュージシャンが、後にプレーだけでなく作編曲の世界で活躍するようになる。今でも健在のビルホルマンなどはその代表格だが、ショーティーロジャースもその一人で、スタンケントン在籍時代は、一緒にプレーをしていたメイナードファーガソンのハイノートを生かしたアレンジも提供していたが、後には映画やテレビの音楽が主体となった。
このロジャースは、その間のウェストコーストジャズの最盛期には、自己のグループ”GIANTS“を編成して演奏とアレンジの両方で活躍し、ウェストコーストの代表的なグループのひとつであった。フルバンドからオクテット、そしてクインテットと編成も多彩で、その名の通りメンバーは当時のウェストコースオールスターズであった。

1957年が明けてすぐに、その「ジャイアンツ」によるリチャードロジャースのソングブックの録音が行われた。フルバンド編成のトランペットセクションは彼自身に加えて、カンドリ兄弟、ハリーエディソン、アルパチーノ、それに自分のオーケストラのロスでのデビューを果たしたばかりのメイナードファーガソンも加わり、まさにオールスターメンバーによるビッグバンドだ。サックスセクションも、ハーブゲラーに、ビルホルマン、ジャックモントローズ、ビルパーキンスと揃って、残るバリトンサックスの席にはロスに来て間もないペッパーアダムスが加わった。アダムスにとっては、ロスに来て直ぐにメルルイスなどケントンオーケストラと一緒のメンバーのレコーディングに参加したが、デイブペルに続いて地元の代表的なグループにいきなり招かれたのであった。
ロジャースのアレンジは軽快で歯切れがよいが、アダムスのバリトンはモタツキ感もなく、切れ味の良い音はロジャースのオーケストラにフィットしている。ハイノートのトランペットなどと違って普段目立たないが、バリトンやベーストロンボーンはアンサンブルの中できまるとアンサンブル全体が生き生きしてくるものだ。

このアルバム用にはフルバンド編成だけでなく、ピックアップメンバーによるオクテットのセッションも行われたが、アダムスはこれにも参加している。しかし、最終の4月3日にはアダムスはいない。ロスでもメイナードファーガソンのオーケストラに加わっていあたが、他のメンバー達と一緒に古巣のニューヨークへ旅立ってしまい、この日はジミージュフリーが代役を務めている。ジュフリー得意のクラリネットのソロなどもあるが、アダムスがいたらどんな演奏になっていただろう。

1. I’ve Got Five Dollars
2. Ten Cents A Dance
3. Mountain Greenery
4. A Ship Without A Sail
5. Mimi
6. It’s Got To Be Love
7. I Could Write A Book
8. The Girl Friend
9. On A Desert Island Wth Thee
10. Thou Swell

Shorty Rogers (tp)
Conte Candori (tp)
Pete Candori (tp)
Harry Edison (tp)
Mynard Ferguson (tp)
Al Porcino (tp)
Milt Bernart (tb)
Bob Burgess (tb)
Frank Rosolino (tb)
John Halliburton (btb)
George Roberts (btb) (1&7)
Herb geller (as)
Bill Holman (ts)
Jack Montrose (ts)
Bill Perkins (ts)
Pepper Adams (bs)
Jimmy Giuffre (bs,cl) (2,5&6)
Sam Rice (tuba)
Pete Jolly (p)
Red Mitchell (b)
Stan Levy (ds)

Recorded on January 30, February 1,4 & April 3, 1957
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同じコースで2週連続コンペとは・・・・

2012-04-15 | GOLF LIFE
ホームコースであれば2週続けていくことも珍しくないが、ビジターで2週続けて同じコース行くのはめったにない事だ。コースは千葉新日本、2グリーンの少しトリッキーなホールもあるコースで自分はあまり相性は良くない。何度か廻ったがいいスコアが出たことは無く、どこか落とし穴にはまるコースだ。

この時期は春の訪れと共に木々も一斉に芽吹くので、たった一週間でコースの雰囲気も一段と春らしくなっていた。先週は遅い櫻が咲き始めていたが、一週間の間に満開となり昨日の雨ですでに散り始めていた。
桜が終わると冬の間殺風景であった木の枝先に一斉に芽を吹き始めてくる。今年は寒さのせいか、梅も桜も続いて咲いていたが、きっと木々の緑も一斉に芽を吹き出したようだ。これからしばらくの間は、煙るような淡い色合いを楽しめる季節。
花粉症も今年はたいしたことはなく終盤を迎えたので、毎日意識して外へ出て本格的に緑になるまでの短い春を満喫したいものだ。

実は先週のコンペは本来1月の予定だったもの。大雨で中止になりこの週に再設定となった。昨年の定例コンペで各自の罰金を積み立てて、皆でそれを賞金にして争う恒例のコンペ。やはり名誉より目先のお金。参加者全員気合が入っていたが、優勝者は昨年に引続き2連覇。世の中で運の強い人もいるものだ。自分も気合が入ったせいでもないが、先週のスコアはまずまずだったので、今週に期待をしたのだが・・・・・。

先週練習ラウンドをしたようなもので、今週はコースやグリーンの勝手も分かっていいスコアが狙えるはずであった。
スタートホールのロングは、ティーショットからアプローチまで絵に描いたようなショット。バーディー逃しのパーは上出来のスタートであった。2ホール目の第2打はバンカーに。バンカーショットも上手くいってパー逃しのボギー。ここまではまずまずのペース。
問題は3ホール目。短めのショートだが、これを何とチョロ。池は越えたが、グリーンまでは60Y位。確実に乗せようと慎重になり過ぎ、力が入って大トップでグリーンオーバーして崖下に。植木の中に入ってアンプレで痛恨のトリプル。ここで、調子を狂わせたのか、その後は調子が出掛かると信じられないようなチョロを何度か。そのうちパットもおかしくなり、長いのが入ったかと思えば、「お先に」を何度か続けてミスって3パット。前半は何とか40台で食い止めたが、後半はさらに調子がおかしくなり久々に50超。
せっかく調子が良くなりかかったゴルフが一日にしてどん底へ。ゴルフは難しい。
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モントルーでのクラークテリーのビッグバンドは国際色豊かに・・・・

2012-04-14 | MY FAVORITE ALBUM
Clark Terry at the Montreux Jazz Festival with the International Festival Big Bnad

クラークテリーのビッグバンド ”Big Bad Band” のライブアルバムが自費出版ながらヘレンキーンのお陰でやっと陽の目を見ることができたのには伏線があった。

ビルエバンスのライブが大成功で終わった’68年のモントルージャズフェスティバルであったが、フェスティバル自体も2年目を無事乗りきって実行委員長を務めていたジャズ評論家のジーン・リースを始めてとして関係者は自信を深めていた。
フェスティバルにはアメリカからのゲストプレーヤーもいたが、ヨーロッパ各地から多くのミュージシャンが集りその腕前を存分に発揮していた。中でも副委員長であった、バークレー音楽院の管理職であったロバートシェアは、若いヨーロッパのミュージシャンの実力に感銘を受け、彼らのオーケストラを是非編成しようということになった。
このようなオーケストラはリーダーが大事だが、それにはアメリカのトップミュージシャンを当てることにした。ヨーロッパではクインシージョーンズが有名だったが独自の路線を歩み始めていたし、サドージョーンズはまだオーケストラを編成した直後でこの頃はまだ自分のオーケストラで精一杯であった。その中で、選ばれたのがクラークテリーであった。ビッグバンド暦は、エリントン、ベイシー、そしてクインシーと渡り歩いて経験十分。そして何より適任であったのが、優れたミュージシャンであるだけでなく、アメリカ中で学生バンドのクリニックをしている教育者でもあったことで、満場一致でテリーが選ばれた。

翌1969年の夏、フェスティバルが近づくにつれて、否が応でも興奮と期待が高まってきた。ポリドールでアルバムが作られることになり、そのプロデュースをヘレンキーンが行うことになった。これが、ヘレンキーンとクラークテリーのビッグバンドの出会いであった。
メンバーはテリーとアレンジを担当し自らテナーも吹く片腕のアーニーウィルキンス以外はすべてヨーロッパ在住者で固められた。ヨーロッパのミュージシャンの実力はかなりの水準であったが、ことリズム隊に関しては今ひとつ乗りが悪いという風潮があり心配の種であったそうだ。結局、言葉も異なる12カ国からの若いミュージシャンが集った混成部隊となり、事前のリハーサルも入念に行われた。3日間1日3時間の練習を経て、テリーの指導の下オーケストラとしては完成の域に達して無事本番を迎えることができた。

フェスティバルの最終日、このオーケストラが舞台に上った。心配されたリズムセクションだったが、アメリカ出身でヨーロッパに居を移したヴァイブのデイブパイク、コンガのスティーブボストンの2人以外は、ギターがイスラエル、ピアノがハンガリー、ドラムがフランス、ベースはロシアとデンマーク出身という国際色豊かなチーム編成になった。
テリーとウィルキンスの指導の甲斐あって、出だしのSwiss Airからよくスイングするオーケストラがスタートする。各セクションのアンサンブルだけでなく、若手メンバーのソロもたっぷり聴ける。もちろんテリーのソロも随所にちりばめられているが、トランペットにフリューゲルホーン、そしてポケットトランペットからマウスピース、得意のボーカルまで駆使してプレヤーとしてのテリーも大乗だ。また、ライブはトラブルが憑き物。スターダストの演奏中、会場の地下の電源が落ちてメインの録音機材がストップしてしまったことが唯一の目算違いであった。

このオーケストラの成功を実感して、テリーはアメリカに帰ってからヨーロッパであそこまでできるならアメリカでも出来ない訳が無いという気持ちになったのではないか。そして自分のオーケストラに懸ける情熱が沸々と沸き上がっていったのではないかと思う。

1. Swiss Air
2. All Too Soon
3. Mumbling In The Alps
4. Stardust
5. Broadway Joe
6. Levee Camp Blues

Clark Terry (tp.flh)
Ernie Wilkins (ts,arr.)
Rudolf Tomsits (tp)
Richard Pousselet (tp)
Franja Jenc (tp)
Hans Kennel (tp)
Zdenek Pulec (tb)
Frode Thingners (tb)
Raymond Droz (tb)
Xxxxxx?(tb)
Eric Anderson (as)
Xxxxx?(ts)
Xxxxx?(as)
Xxxxx?(bs)
George Vucan (p)
Dave Pike (vib)
Louis Stewwart (g)
Franco Manzecchi (ds)


Produced by Helen Keane
Engineer : Pierre Grandjean of Technical Department Radio Suisse Romande
Recorded June 22,1969, at the Casino De Montreux,Switzerland

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今では女性のジャズプレーヤーも多く見受けるが、当時はまだまだ珍しかったのでは?・・

2012-04-13 | CONCORD
Firefly / Emily Remler 

81年4月またまたConcordに新しいギタリストが登場した。ただしこれまでのベテランではなく若者。それもジャケットを見ての通り初々しさの残る女性。女性のギタリストというのも珍しかった。
Concordはテナーのスコットハミルトンを誕生させたが、彼の場合は初々しさというよりも若くして老練さを感じさせるものであった。ギターではグラントガイスマンのアルバムがあったが、久々の新人ギタリストの登場だ。
このアルバムが彼女の初リーダーアルバムということもあり、今回聴き直すにあたって、彼女のキャリアをじっくりと読み返してみた。

彼女はバークレーの出身。10歳でギターを始めた早熟な彼女は18歳でバークレーに入り’76年には年上の男性同級生を差し置いて早々に卒業したそうだ。そして彼女が仕事の場所として選んだのはニューオリンズ。地元で活躍を始めた彼女をニューヨークに紹介したのはナンシーウィルソン。彼女のカーネギーホールでのコンサートに彼女を招いたことで、彼女の名前が世に知られるようになった。そして、ハーブエリスがニューオリンズを訪れた時、彼女がエリスにレッスンを頼み、その3週間後にはエリスと一緒に’78年のConcord Jazz Festivalの舞台に立っていたという「シンデレラ」振りであった。

このアルバムでも聴けるように、彼女は、デビュー当時はウェスモンゴメリーの影響を受けたストレートアヘッドな演奏スタイル。ベテラン達の中に入っても全く違和感が無かった。ニューヨークに出た彼女は、クレイトンブラザースのアルバム制作にも招かれ、エディゴメツなどとプレーをする一方で、アストラッドジルベルトのバンドにも加わっていたというのがこのアルバムまでの経歴。

そして、彼女の初アルバムとなるわけだが、Concordで彼女を迎えたのは大ベテランピアノのハンクジョーンズ、番頭格のドラムのジェイクハナ、それにボブメイズのベースというお歴々。彼女のメインストリームな演奏を支えるには最高のメンバーだ。
演奏する曲も師としていたモンゴメリーの曲以外にも、スタンダードあり、オリジナルあり、ホレスシルバーやマッコイタイナーの曲に、ボサノバありで、初アルバムで彼女の実力を遺憾なく発揮している。ベテラン達に囲まれて、81年の録音とは思えない、20年前にタイムスリップしたような演奏は、やはりConcordならではのアルバム作りだ。そのジェファーソンの想いに、彼女も100%応えている。

順風満帆のスタート切った彼女であったが、バップスタイルの演奏をConcordで続けた後、コンテンポラリーな演奏に変身していく。そして麻薬にも手を染め32歳の若さで亡くなってしまう。今生きていれば、きっと大ベテランのオールマイティーな女性ギタリストであったと思う。残念。




彼女の語るスイングするギターの秘訣は・・・



1. Strollin'             Silver 5:29
2. Look to the Sky          Jobim 5:23
3. Perk's Blues            Remler 4:06
4. The Firefly             Remler 4:05
5. Movin' Along            Montgomery 5:30
6. A Taste of Honey          Marlow, Scott 2:09
7. Inception              Tyner 5:09
8. In a Sentimental Mood        Ellington, Kurtz, Mills 7:48

Emily Remler (g)
Hank Jones (p)
Bob Maize (b)
Jake Hanna (ds)

Carl Jefferson Producer
Phil Edwards Engineer, Remixing
Recorded at The Coast Recorders, San Francisco, California April 1981

Originally Released on Concord CJ-162



Firefly
Emily Remler
Concord Records
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いいアルバムが生まれるのは、プレーヤーだけでなくプロデューサーの手腕によるところが大きい・・・・

2012-04-12 | MY FAVORITE ALBUM
Bill Evans At The Montreux Jazz Festival

クラークテリーのアルバムのプロデュースでヘレンキーンの名前が出てきたが、彼女といえばやはりビルエバンスとのコンビであろう。
大手レーベルの有名プロデューサー達を差し置いて、彼女はビルエバンスのマネージャー兼プロデューサーの地位に納まった。彼女とエバンスとの付き合いは1963年からエバンスが死ぬ1980年まで続く。実際に彼女がプロデューサーとなったアルバムは、このアルバムよりも少し前.からだと思うが、Verveに移籍してからのエバンスというのは、オーケストラとの共演があったり、ソロがあったり、シェリーマンとの共演があったり、リバーサイド時代のせっかくのトリオとしてのまとまりが活かせていないような気がしていた。

ジャズのいいアルバムができるというのは、レーベルのコンセプトと、それを実現するためのプロデューサーに負う所が大きい。しかし、大手レーベルの場合はどうしても売れるタレントと売れる企画になりがちだ。ジャズの場合も同様で、大手レーベルのアルバムはとかく大物ミュージシャンに流行のものをやらせればいいというものになってしまう。巨人が有名選手をトレードで集めるのと同じで、育てていくという姿勢が少なくなる。当時のVerveもそのような状況であったと思う。

ところが、彼女がプロデューサーになってからは、エバンスのトリオは纏まりをみせてきた。そして、このアルバムが生まれた。「お城のエバンス」は当時から話題になったし、ジャズ喫茶でもよくかかった。このアルバムを初めて聴いた時は、誰しも衝撃を受けたと思う。あのエバンスのトリオが進化したので。

ゴメツの加入は少し前からであったが、ジャックディジョネットの参加はこれが最初。というか、これ一枚かもしれない。ところが、この3人のコラボレーションが実に絶妙だ。
いい演奏が多いエバンスのライブだが、これはいつものクラブでのライブではない。モントルーは大きなカジノのステージだ。有名なモントルージャズフェスティバルおステージだが、このアルバムが録音された前年1967年が第一回。この年が2回目で、エバンスは特別な招待を受けたとか。エバンスのとっては晴れの舞台である。場所がスイスというのが別の印象を与えているのかもしれない。新鮮な感覚はジャケット写真の与えるイメージも大きい。
色々な要素のすべてが上手く噛み合って、新生エバンストリオをプレゼンテーションできている。久々に聴いたが、やはり自分のとってもお気に入りの名盤の一枚だ。

所属レーベルが変って、自分の持つ素質の新しい側面を出すミュージシャンも多い。しかし、多くの場合はレーベルの営業政策も微妙に影響してくる。しかし、エバンスの場合は良くも悪くもエバンスありき。レーベル事情で内容を振り回すより、エバンスを引き出す役割としてのプロデューサーが重要だ。エバンスとってマネージャーを兼ねるヘレンキーンは適役だったかも。いいアルバムが生まれる条件としては、いいマネージャーに恵まれることもひとつの条件だ。煩雑な交渉ごとや調整ごとに振り回されることなく、このような場が設定されて演奏に没頭できるので。

ヘレンキーンは、エバンスの他にも、アートファーファーマー、キャロルスローン、ケニーバレルなのプロデュースを引き受けていた。誰もが、ジャズを純粋にプレーしたいというミュージシャン達。このようなプロデューサーが多くいてくれれば、いいアルバムが後世に残せるのだが。

1. One for Helen         Evans 5:22
2. A Sleepin' Bee         Arlen, Capote 6:05
3. Mother of Earl         Zindars 5:14
4. Nardis             Davis 8:23
5. I Loves You, Porgy       Gershwin, Gershwin, Heyward 6:00
6. The Touch of Your Lips     Noble 4:45
7. Embraceable You        Gershwin, Gershwin 6:45
8. Someday My Prince Will Come  Churchill, Morey 6:08
9. Walkin' Up           Evans 3:45

Bill Evan (p)
Eddie Gomez (b)
Jack Dejohnette (ds)

Produced by Helen Keane
Enginner : Pierre Grandjean & Jean-Claude Martin

Recorded live at the Casino de Montreux on June 15,1968

<tdBILL EVANS/td>
モントゥルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス+1
ユニバーサル ミュージック クラシック
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刺身のつまの効用はジャズの世界でも同じ・・・・

2012-04-11 | CONCORD
Circle / Jim Hall Trio

昔、北海道にゴルフ仲間と行った時、夜はせっかくだから地元の美味しい海産物を食べようということで薄野に繰り出した。誰かが見つけてきたボリュームたっぷりな刺身の船盛を売りにする店に行って宴会となった。そして、いきなり出てきた刺身の盛を見て皆で目を見合わせてしまった。大盛り、食べ放題を売りにする店は多いがそこも同類の店。しかし、下に敷いた刺身のつまの大根も見えないくらいギッシリと刺身が盛られている。見るからにやりすぎ。とりあえず箸で刺身の山を突っつきだしたが食が進まない。結局、途中で退散することになった。
一方で、気の利いた料理屋で出される刺身はつまも合わせて綺麗に盛られている。つまは盛り付けに彩を添えるだけなく、刺身と一緒に食することで消化を助けるなどそれなりの効用がある。新鮮な刺身を美味しく食べるには、つまやわさびも決して蔑ろにはできないものだ。

ジムホールというギタリストがいる。ギターの巨人たちの仲間には入ると思うが、80年代以降のアルバムをあまり聴いていない自分の中ではあまり存在感がない。
ジムホールといえば、エバンスとのアンダーカレントが一番印象に残る。他にジムホールが主役のアルバムはといえはアランフェスの入っていた”Concierto”位で、他にはすぐには思い浮かばない。
ところがジムホールが加わっているアルバムというと結構沢山ある。エバンスやロリンズ、さらにエラフィッツジェラルドのように、主役の相方としてのアルバムも多い。大きな編成でもジェリーマリガンのグループではジムホールの役割は無くてはならなかった。スタジオワークの中でのジムホールのクレジットを見つけることも多い。ジムホールは自分の中では「刺身」ではなく「つま」的な存在なのかもしれない。

そのジムホールが自分のアルバムを作るとなると一体どうなるのか?刺身無しで「つま」だけ出されてもというのが正直な印象だ。ホールの良さは自身が主役となってしゃしゃり出るより、一緒に演奏するプレーヤーとのコラボレーションにあると思う。主役と言っても自分自身が刺身に変身することはない。「つま」に徹して刺身を引き立てる。刺身の種類も上品な刺身との取り合わせがジムホールの真骨頂であろう。

さて、このアルバムでコンコルドにジムホールが初登場する。コンコルドには今まで多くのギタリストが登場したが、それぞれコンコルドでは自分の売りをプレゼンテーションしている。
ジムホールが自分の良さをアピールするには誰か相棒が必要だ。このアルバムではベースのドントンプソンが務める。ドラムのテリークラークも控え目でピッタリだ。
さらに、刺身を美味しく食べるにはわさびが必要。アルバムの中にはわさびが聴いた曲があるとアルバム全体が一層引き立つ。アンダーカレントでは、アップテンポのマイファニーバレンタインがアルバム全体の雰囲気にメリハリをつけた。このアルバムではドントンプソンがピアノを弾いて変化をもたせている。一曲目は実に軽快でリズミカルだ。

脇役が多かったジムホールがパートナー、特にベーシストを選びながら主役に変身してきたのもこのアルバムが出た前後からだ。このアルバムはコンコルドが得意としているベテランの復活というよりは、ベテランの変身に一役買ったアルバムだ。
ジャズの創世記のベテランの多くが他界してしまった中でジムホールはいまだ健在。今年も元気に来日するようだ。最近の生の演奏にも接してみることにしよう。自分にとってのジムホールに何か新たな発見ができそうな気がする。

1. (All of a Sudden) My Heart Sings Harold Rome, Herpin,Herpin
2. Love Letters  Edward Heyman,Victor Young
3. Down from Antigua Jim Hall
4. I Can't Get Started Ira Gershwin,Vernon Duke
5. T.C. Blues Terry Clarke
6. Circles Don Thompson
7. Aruba Jim Hall

Jim Hall (g)
Don Thompson (b,p)
Terry Clarke (ds)
Rufus Red (b) (on tracks 1)

Produced by Carl Jefferson
Recoreded on March,1981 at Soundmixers, New York

Originally Released on Concord CJ-161


Circles
Jim Hall
Concord Records
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