A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

CONCORDのジャズの味は、カリフォルニアワインの味?・・・・

2008-03-26 | CONCORD
A Taste of JAZZ

ジャズの故郷のニューオリンズ。綿花畑が続く中でブルースが生まれた。
楽器を手にした黒人はマーチンバンドをジャズバンドにした。そしてショパンの調べを奏でたピアノは酒場の喧騒の中でラグタイムを聴かせた。ミシシッピー川を遡ったジャズは都市に辿り着き、そこで生息し育っていった。そしてまた次の都市に。いつの間にか都会の生活に溶け込んで、ジャズはすっかりビルに囲まれた薄暗い地下室が似合う音楽になっていった。

Concordはサンフランシスコに近い西海岸の町。都会の喧騒からは程遠い環境だ。
そこに大きなジャズフェスティバルが行われるパビリオンも生まれた。なぜか、そこで行われる演奏は同じジャズでも、暗い地下室よりも西海岸らしい昼間の日差しの眩しさが似合う明るい演奏が多かった。それも、何となく垢抜けた雰囲気の大人のサウンドで。

コンコルドの北にはナパバレーがある。ブドウの農園があり、そしてそこで作られるワインはカリフォルニアワインの故郷として有名だ。ヨーロッパに負けないワイン作りを目指してここに農園が作られたのは1987年。ジャズがニューオリンズで生まれようとしていた頃だ。
100年経って、ジャズはその歴史を背負って東海岸から、そしてウェストコーストに育ったジャズもこの地にやってきた。
そこのジャズの味は、Concordの作ったジャズの味だ。
東海岸のハードバップ、そして西海岸のウェストコースト、時にカンサスやシンシナティーで育った独特の味付けも加えながら。

“A TASTE OF JAZZ”

ジャズは確かに色々な味がする。同じ曲でも演奏する人によって違う味がするし、聴く方にとっても気分によって違う味がする。ちょうどワインの味が同じ産地であっても年によって違うように。そして飲む雰囲気でも違うように。

一枚一枚こだわりの制作をしていたコンコルドも92枚目にしてコンピレーションを出した。それまでのアルバムからのベスト物だ。
タイトルは、まさに「A TASTE OF JAZZ」。
8枚のアルバムから1曲づつ選ばれている。総勢23人Concordに登場したミュージシャンの顔見世でもあり、Concordの味の試飲会が開かれた。
このアルバムはいずれも久々に聴き返して最近コメントを残したものばかり。記憶がまだ残っているが、改めて聴き直してもいい曲、そしていい演奏が選ばれている。

ギター好きのジャファーソンのことなので、全曲ギター入りかと思ったら7曲目のLush Lifeはピアノトリオ。でも他はすべてギターが加わっている。カルコリンズだけが2曲に登場というのも、この頃のコリンズの勢いかもしれない。
そして全編を通じて共通の味付けがされている。それがConcordサウンドだ。今回は、特に曲と演奏の美しさが際立っている名演が選ばれている。各プレヤーとも美しさの限界にチャレンジした演奏を繰り広げる。ブロー中心のファンキーなジャズもいいが、このようなサウンドに挑戦したジャズにも味わいがある。

ちょうどナパバレーのワインが世間に知れ渡ったように、Concordのジャズの味もやっと世間に広まっていた。
そして、このナパバレーの有名なワインのワイナリーがこの頃のコンコルドジャズフェスティバルのスポンサーもやっていたのだ。

1. Serenata
Howard Roberts <CJ-53>

 ロバーツのソロに始まり、ボサノバで軽くウォーミングアップ。スインギーな4ビートへ。1曲で3つの楽しみを。

2. Soft Shoe
Herb Ellis <CJ-3>
 コンコルドサウンドの原点。ミディアムスローなテンポに、スイートエディソンのトランペットとジョージデュークのフェンダーが何ともいえない。

3. The Very Thought Of You
Scott Hamilton <CJ-61>

 ベースだけをバックにむせび泣くテナーからいきなり始まる。これもミディアムスローなテンポから、軽快なリズムに乗ってハミルトンの世界に。カルコリンズのアコースティックギターのソロも聴き所。

4. Isn’t It Romantic
Ruby Braff <CJ-7>

 コルネットをこんなに綺麗に、そして表情豊かに吹ける人はそうそういない。

5. Watch What Happens
LA4 <CJ-63>

 アルメイダの生ギターにボサノバのリズムが加わり、輝くシャンクのアルトが。
 LA4ならではのジャズとボサノバのコラボだ。

6. Jillian
Warren Vache <CJ-87>

 続いてボサノバのリズムに乗って綺麗なフリューゲルホーン。シングルカットしたらチャックマンジョーネに負けずにヒットチャート入りしたかも。

7. Lush Life
Ross Tompkins <CJ-46>
 
 トンプソンのソロピアノに始まるお馴染みのスタンダードのバラード演奏。

8. A Time For Love
Ray Brown <CJ-19>

 コンコルドでは珍しいデイブグルーシンのフェンダー&シンセサイザーとレイブラウンのソロのデュエットが見事。

Produced by Carl Jefferson
Originally released on Concord CJ-93
コメント
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