A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

いい仲間が集まると自然にGroovyな演奏が・・・・

2014-06-21 | PEPPER ADAMS


Red’s Good Groove / Red Garland Quintet

いい演奏を言葉で表現するのは難しい。語彙が不足しているのか、感性が鈍いのか、それともその変換能力がないのかもしれないが。右脳型と左脳型の違いかも知れない。
 このアルバムのタイトルは、Red's Good Groove。Groovyという表現はジャズでは良く聴くが、自分はジャズのかっこよさをグルービーと勝手に解釈している。このアルバムのオリジナルのライナーノーツの出だしに、「いい仲間が集まって、a good, easy-swinging grooveになると、こんな感じのジャズアルバムができる。」とある。ノリの良い楽しいジャズということだろう。

レッドガーランドは初期のマイルスクインテットのメンバーとして有名だが、マイルスのグループを辞めた後の59年から60年代の始めにかけては、自分のリーダーアルバムを10枚以上作っている。トリオが多いが、管が入ってもワンホーンが多く、ピアノプレーがタップリ聴ける。良くスイングするピアノだが、同じマイルスグループ出身のウィントンケリーよりは、飛び跳ね感が少なく、ブロックコードの妙とシングルトーンのコンビネーションが素晴らしい。カクテルピアノ風ともいわれるが好きなピアニストの一人だ。

そんなガーランド、1962年を最後にしばらく表舞台から姿を消して地方で生活することになる。このアルバムはこの年の録音。もう一枚アルバムを作るが、10年近く続いた表舞台の最終幕での演奏だ。珍しく2管のクインテット編成。フロントラインにはトランペットのブルーミッチェルと、そしてペッパーアダムスが加わっている。

この録音を挟んで、ブルーミッチェルとアダムスはリバーサイドに前回紹介したミッチェルのアルバム” A Sure Thing”を録音している時であった。このアルバムをリリースしたレーベルJazzlandは実はリバーサイドの子会社、両方のアルバムとも同じオリンキープニュースがプロデューサーである。ミッチェルのアルバムを作りながら、レッドガーランドの作品でも久々に管を加えたブローイングセッションを作りたくなったのかもしれない。

ブローイングセッションとはいっても、仲間が集まってのドンチャン騒ぎではない。まさに、ガーランドを中心に気の合った仲間が集まって、だんだん盛り上がっていくといった雰囲気だ。曲もそれにふさわしいミディアムテンポの曲ばかり。この雰囲気づくりに気心の知れあったリズム隊に、今回の2人のフロントラインはピッタリだ。
ブルーミッチェルは派手な演奏をするタイプでもない。アダムスもバードとはファンキーなプレーをすることもあったが、ここではガーランドのピアノに合わせてかマイルドな魅力を聴かせてくれる。

これもライナーノーツに、ミッチェルのトランペットをpretty and virileと表現されている。男らしいというと、どうしても頑強で荒々しいような印象を受けるが、内に秘めたる力強さのことも含むのだろう。ミッチェルだけでなく、アダムスのバリトンも見かけとは違って実に男らしい。
一曲目のタイトル曲はガーランドのオリジナル。スローブルースだが、こんな雰囲気の曲はやはり管が入ると曲の雰囲気の良さが倍増する。ガーランドのいきなりブロックコードでのソロも実にグルービーだ。

アダムスもドナルドバードとのコンビを解消してからは、バックのアンサンブルに加わる事が多かったが、久々のクインテットでの演奏でソロもたっぷり。自分のオリジナル曲Excerent! も提供している。過去にガーランドと一緒の演奏は記憶にないが、初の共演であればアダムスにとってはまた新たに気の合う仲間が増えたセッションだったということになる。アダムスが一緒にプレーをするピアノはリリカルなプレーを得意にするプレーヤーが多い様な気がする。

1. Red's Good               Groove Red Garland 8:19
2. Love Is Here to Stay      George Gershwin / Ira Gershwin 4:41
3. This Time the Dream's on Me   Harold Arlen / Johnny Mercer 5:52
4. Take Me in Your Arms          Alfred-Fritz / Mitchell 5:34
5. Excerent                    Pepper Adams 6:05
6. Falling in Love With Love    Lorenz Hart / Richard Rodgers 6:06

Blue Mitchell (tp)
Pepper Adams (bs)
Red Garland (p)
Sam Jones (b)
Philly Joe Jones (ds)

Produced by Orrin Keepnews
Recording engineer : Jack Higgins

Recoreded on March 22,1962 at Reeves Sound Studios in New York



Red's Good Groove
Red Garland
Ojc
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どんな世界でもシンデレラガールという幸運をつかんだ女性がいる・・・

2014-06-15 | CONCORD
Let There Be Love / Dee Bell・Eddie Duran・Stan Getz

スタンゲッツとの共演でボサノバの女王になったアストラッドジルベルトもその一人だ。元々ジョアンジルベルト夫人だったが、ブラジルに居た時はプロの歌手でもなんでもなかった。たまたま台所で歌っていたのを自宅に遊びに来たゲッツの耳にとまったとか、クリードテイラーがスタジオで歌をすすめたとか、デビュー作が生まれた裏話には諸説があるようだが。
いずれにしても、まだまだ珍しかったボサノバを、けっして上手くはなく、たどたどしい英語で歌ったのがウケたのだから、何がきっかけで何が流行るかは天のみぞ知るということだ。ゲッツもこの頃の活動は、新境地の開拓、そして新人の発掘とメインストリームジャズは少し休養といった感じであった。
このアストラッドジルベルトは本国ブラジルではまったく無名で、その後の活動ももっぱらアメリカ中心となった。そのせいかどうかは知る所ではないが、結局夫君のジョアンとは別れることに。人生結局何が幸せかは終わってみなければ誰もが分からないものだ。

さて、この時のパートナー、スタンゲッツはヨーロッパから帰ると、ニューヨークからサンフランシスコに居を移して活動していた。地元のコンコルドからもアルバムを出したが、これがなかなかの好プレー。ゲッツの本気のプレーが聴けるアルバムだ。

そのゲッツの所に、相談を持ち掛けたミュージシャンがいた。ギターのエディーデュランである。サンフランシスコを拠点としていたデュランとゲッツは旧知の仲。初めて共演したのは40年代。デュランがまだティーンネイジャーだった頃、このゲッツやパーカーとプレーを始めた早熟な少年だったようだ。ゲッツとはカルジェイダーのアルバムでも56年に一緒に演奏している。そんな関係の2人なので、相談といっても「折り入って」という感じだったのかもしれない。

このデュランがシスコの郊外、ゴールデンブリッジを渡ったところにある小さなリゾート地ソウサリートのレストランに出演した時、誕生日を迎えたお客さんがいた。お店から誕生日のプレゼントがあり、デュランと一緒に歌ったこの店のウェイトレスの歌声をこのデュランがすっかり気に入ってしまった。このウェイトレスが、このアルバムの主役Dee Bellであった。

話の勢いで「今度一緒にやろうよ」は良くある話だが、デュランはどうもいきなり一緒にレコードを作らないかと言ってしまったようだ。歌の勉強に地方から出てきたばかりで、まだ何の実績も無かった彼女にしてみれば晴天の霹靂。その相談でデュランはゲッツの元を訪れた。とりあえずは聴いてみなければという事になったが、ゲッツの答えは、「いいんじゃない、俺も手伝うよ」とうことで、このアルバムが生まれることに。

ゲッツとデュランがコンコルドのオーナーのカールジェファーソンに頼み込んだのだろう、トントン拍子に話は進む。ジェファーソンもゲッツと地元でお世話になって、アルバムも作ったデュランからの頼みとあらば、断わるわけにはいかない、かといって自分が自信を持って勧める訳にもいかないと思ったのだろう、アルバムは出すが、プロデュースを含めすべての段取りはデュランに任せた。

オーナーの快諾に気合の入ったデュランは自らホーンアンサンブルのバックのアレンジを書き、メンバーを集め、そしてゲッツの出番をしっかり作り、2人の出会いの思い出の意味もあったのだろう、自分のギターとのデュオもしっかりと入れて、このアルバムが無事完成した。

ブラスアンサンブルがバックに入った曲はボサノバ調で、エバンスのワルツフォーデビーも気合の入った歌であり演奏だ。ゲッツのバックも軽さが無く鋭さが目立つ。そしてデュランとのデュオがやはりしっくりくる。
そして、この2人はやがて結ばれることになり、デュランも住み慣れたシスコを離れ、2人でニューヨークに出ることに。その後もニューヨークを拠点にして2人で活動を続けたようだ。

ジルベルトの場合はゲッツとの共演がその後2人が分かれるきっかけを作ってしまったが、今回はゲッツが無事に仲人役を果たした。このアルバムは、1983年のバレンタインデーにリリースされたそうだ。何の事はない、このアルバムが彼女へのプロポーズとなったという訳だが、デュランにここまでお膳立てされれば、彼女もプロポーズにNoは無かったと思う。エディーデュランの努力賞ともいえるアルバムだ。



1. There's a Lull in My Life            Mack Gordon / Harry Revel 4:43
2. Let There Be Love                 Ian Grant / Lionel Rand 3:30
3. This Life We've Led   Nelson Algren / Fran Landesman / Thomas Wolf 3:31
4. Waltz for Debby                Bill Evans / Gene Lees 3:54
5. You Must Believe in Sprin A. Bergman / M. Bergman / J. Demy / M. Legrand 4:37
6. Give Me One More Chance                   Eddie Duran 4:22
7. Reminiscing in Temp                    Duke Ellington 4:48
8. Living Inside My Mind                     Eddie Duran 4:13
9. Just Because We're Kids                Dr. Seuss Fredrick 4:10

Dee Bell (vol)
Eddie Duran (g)
Stan Getz (ts)
Chuck Bennett (tb)
Cal Lewston (tp)
Carlie MaCarthy Jr. (as)
Willie T. Colton (congas)
Jim Dukey (bs)
Al Plank (p)
Bob Fisher (b)
Dean Reily (b)
James Leary (b)
Vince Lateano (ds)
Produced by Eddie Duran
Engineer : Phil Edwards
Recorded at Coast Recorders, San Francisco August 1982

Originally released on Concord CJ-206
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アダムスのバリトンはバックでは目立たないが、ソロになると違いが分かる・・・

2014-06-09 | PEPPER ADAMS
A Sure Thing / Blue Mitchell and Orchestra

1962年の春、ドナルドバードとのコンビを解消したペッパーアダムスはフリーランスとしてレコーディングに誘われることが多かった。それも、ポニーポインデクスターのアルバムと同様、メインのソリストというよりはアンサンブルワークを求められるバックを務めることが。しでに、ソリストとしても十分に世に知れ渡ったとは思うのだが。

1962年は政治的には秋に米ソの対立はキューバ危機を迎え、そして音楽界ではいよいよビートルズが登場した年だ。世の中は変革が起こる予兆を感じさせる事が多かった。ジャズの世界でもコルトレーンやマイルスがいよいよ本領発揮をし始めた頃。しかし、アダムスを取り巻く環境はレギューラーグループの仕事が無くなった分、どうも気楽な年になったようだ。

自己のグループだと自分で取り仕切らねばならないことが多く、まして相方がいると、相手との意識合わせも気苦労が多いものだ。自分も、どちらかというとどうしてもという事が無いと、基本は誘われるタイプ。なおかつ、嫌いな人間とは付き合わないのをモットーにしているので、あまり人間関係で悩むこともない。アダムスも本当の所は良く分からないが、決して愛想を振りまいて人付き合いをしたり、自ら先頭を切って突っ走るタイプではなさそうだ。

さて、レコーディングの方は、ポインデクスターの録音には、2月、4月と2回参加したが、3月にはブルーミッチェルのリバーサイドのセッションへの参加だった。ブルーミッチェルはこの当時ホレスシルバーのグループに加わる一方、自分のアルバムはリバーサイドで出していた。
今回のアルバムはポインデクスター同様ミッチェルをフューチャーして6管のアンサンブルがバックにつく編成。ミッチェルのアルバムとしてはあまり目立たないアルバムだ。アレンジはジミーヒースが担当し、セッションリーダーはクラークテリーが務める。テリーはエリントン、ベイシー、そしてクインシージョンズと渡り歩いてきた中堅、ソロもアンサンブルも得意だが、今回はセクションワークに徹している。リバーサイドではこの役割が多かった様だ。

そして、アレンジを担当したジミーヒースも同様。
此の頃から単なるジャムセッション風のブローイングセッションから、アレンジ物が増えてくる。ウェストコーストでは50年代からアレンジ物が多かったが、ハードバップ系が多い東海岸のレーベルでも徐々に増えてきた。このリバーサイドもカタログにもちらほら。ヴァーブやインパルスといったメジャー系のレーベルでも、その後オーケストラやビッグバンドをバックにしたアルバムも増えてきた。しかし、どうも日本のジャズファンはこの手のアレンジ物は好みでは無いらしくジャズ喫茶でもかかることは少なかった。

ジミーヒースは、ビッグバンドだけでなくこのような編成のアレンジも多く手がけていた。このアルバムでもクラークテリーのトランペットに、サックス3本、そしてフレンチホルンを加えた「まろやかサウンド」のバックを加えている。ブルーミッチェルのトランペット自体も派手なタイプであり「マイルドなサウンド」、バックに上手く溶け込んでいる。ここでは、テナーのソロでもヒースは大活躍。ケリーのピアノが上手く味付けになっている。

クレジットではアダムスが参加しているのは1曲目のウェストコーストブルースと記されているがソロは無し、ブルースオンブルーでのバリトンソロもアダムスの様だが。ヒップツゥーイットのバリトンはもう一人のバリトンパット・パトリック。明らかに音色と切れ味がアダムスとは異なる。このアルバムへのアダムスの参加はあくまでもチョイ役であった。



1, West Coast Blues                Wes Montgomery 5:40
2. I Can't Get Started         Vernon Duke / Ira Gershwin 3:48
3. Blue on Blue                   Jimmy Heath 4:48
4. A Sure Thing            Ira Gershwin / Jerome Kern 4:34
5. Hootie Blues                    Jay McShann 5:24
6. Hip to It                      Blue Mitchell 5:00
7. Gone With the Wind          Herbert Magidson / Allie Wrubel 5:57

Blue Mitchell (tp)
Clark Terry (flh, tp)
Julius Watkins (French horn)
Jerome Richardson (as, fl)
Jimmy Heath (ts)
Pepper Adams (bs)
Pat Patrick (bs)
Wynton Kelly (p)
Sam Jones (b)
Albert Heath (ds)

Produced by Orin Keepnews
Recording Engineer : Ray Fowler
Recorded in NYC, March 7, 8, & 28, 1962


ア・シュア・ソング(紙ジャケット仕様)
ブルー・ミッチェル,クラーク・テリー,ジミー・ヒース,ジュリアス・ワトキンス,ウィントン・ケリー,ジェローム・リチャードソン,サム・ジョーンズ,アル・ヒース,ペッパー・アダムス,パット・パトリック
ビクターエンタテインメント
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大きなステージでのビッグバンドのライブもいいが、客席が近い小さなクラブでのライブも一段と・・

2014-06-07 | MY FAVORITE ALBUM
Basie At Birdland / The Count Basie Orchestra

昔から実力者と活躍しながら、活動の拠点をサンフランシスコに置いていたこともあり、ジャズ界全体の最盛期には表立ってはあまり活躍しなかったが、何枚かのアルバムを残し、ヨーロッパに渡ったポニーポインデスター。その代表的なアルバムはこの前紹介した”PONY’S EXPRESS”

ところが、彼の実力を早くから見抜いていた作曲家がいた。ベイシーオーケストラの作編曲で有名なニール・ヘフティーだ。1951年にこのポインデスターに捧げた”リトルポニー“という曲を作り、ベイシーオーケストラが演奏している。
このポインデクスターのニックネームも”little Pony”という。どちらが先は分からないいが、このリトルポニーという曲はベイシーオーケストラでも定番になっている一曲だ。1951年の初演でフィ-チャーされたのは、テナーのワーデルグレイ。



ポピュラーになってその後のベイシーだけでなく、他のグループでも演奏されることは多い。
ベイシーの後継バンドともいえるナットピアースとフラーキャップのジャガーノーツでも演奏しているし、そのまた流れを組む日本のジャガーノーツも。




ベイシーのライブ物といえば、このバードランドでのライブアルバムを外す訳にはいかない。このアルバムの一曲目がそのリトルポ二―で始まる。
この、ライブにも参加しているジョンヘンドリックスも、ランバート・ヘンドリックス&ロスのスタート時にこの曲をレパートリーに加えている

ベイシーオーケストラのライブ物はニューポートをはじめてとした大きなステージでの演奏が有名だが、いわゆる小振りのクラブでの演奏はこのバードランドでのライブが代表格。お馴染みのベイシーナンバーの定番が次々と登場するが会場の雰囲気と実にマッチして、いつも以上のノリを聴かせてくれる。

このバードランドのオーナーであったモーリス・レヴィーは、1957年にルーレットレーベルを興す。この当時のバードランドはニューヨークの中でもジャズ通りともいわれた52丁目にあって、そこの出演したミュージシャンはジャズの歴史そのものだ。そして、それまでにもこのバードランドでのライブアルバムというのは数多くあった。
レヴィーが自分でルーレットレーベルを作ってからは、バードランドオールスターを編成しそのアルバムを作り、このバードランドでのライブアルバムを数多く制作した。

人気のベイシーオーケストラは、全米どころか世界中をツアーしていたが、ニューヨークでの本拠地はこのバードランド、そしてルーレットレーベルの看板オーケストラでもあった。
という訳なので、ベイシーのこのバードランドでのライブというのは、いつもやり慣れたホームグラウンドのライブ、それ故のリラックス感とスイング感は格別だ。巨人ファンがやはり巨人戦を観るなら後楽園での観戦が一番というのと相通じるものがある。
このアルバムも “Basie is Back Home” とサブタイトルがついている。

ルーレット時代のカウントベイシーというのは第2の黄金期といわれているオールスターメンバーだが、それでもその間若干のメンバーチェンジがあった。この年の初めにはジョーニューマン、アルグレイ、ビリーミッチェルという重鎮が抜けたが、この録音が行われた6月までには、そのひび割れも完璧に穴埋めされ、完璧な状態でのライブであった。
この録音は3本のマイクで録られたそうだ。それ故、会場の話し声なども生々しいが、特にベイシーのソロの時に目立つ。ホールではなくクラブとはいえ、日本のライブでは考えられない騒々しさだ。これも観客と一体となったアメリカンスタイルのステージだともいえるが、雰囲気はより伝わってくる

CD盤になって、LPで未収録であった他の曲も収められよりライブの全容が見えるようになった。ルーレットからリプリーズに移籍してからのベイシーオーケストラは、演奏する曲も当時のヒット曲などが多くなったが、ここでは50年代のベイシーオーケストラが十八番としていた曲が並ぶ。メンバーだけでなく選曲もベストオブベイシーだ。
クラブでのライブということもあるのだと思うが、セグエインCなどは、ソロをタップリのロングバージョン。サドメルのライブなどでも良くあったが、ビッグバンドのライブでの盛り上がりは楽しみのひとつだ。
先日紹介した 向井志門のビッグバンドはこんな演奏を目標としているのだろう。

そして、ちょうどこの年、翌月のバードランドはドナルドバード&ペッパーアダムスクインテットのミューヨークでの最後のライブであった。

1. Little Pony         (Neal Hefti) 2:22
2. Basie           (Ernie Wilkins) 3:23
3. Blues Backstage      (Frank Foster) 4:58
4. Blee Blop Blues    (Ahmad Kharab Salim) 2:17
5. Whirly-Bird          (Hefti) 3:59
6. One O'Clock Jump       (Count Basie) 0:55
7. Good Time Blues        (Wilkins) 6:40
8. Segue in C          (Frank Wess) 9:18
9. One O'Clock Jump"       (Basie) 4:41
10. Easin' It"            (Foster) 5:41
11. A Little Temp, Please"       (Hefti) 3:02
12. Corner Pocket      (Freddie Green) 5:07
13. I Needs to Be Bee'd With   (Quincy Jones) 4:23
14. Discommotion         (Foster) 4:16
15. Segue in C         (Wess) 8:11
16. Whirly-Bird         (Hefty) 3:43
17. One O'Clock Jump     (Basie) 1:02

The Count Basie Orchestra

Count Basie (p)
Sonny Cohn (tp)
Thad Jones (tp)
Lennie Johnson (tp)
Snooky Young (tp)
Benny Powell (tb)
Quentin Jackson (tb)
Henry Coker (tb)
Marshall Royal (as,cl)
Frank Wess (ts.as,fl)
Frank Foster (ts)
Budd Johnson (ts)
Charlie Fowlkes (bs)
Freddie Green (g)
Eddie Jones (b)
Sonny Payne (ds)
Jon Hendricks (vol)

Recorded live at Birdland, New York, On June 27 & 28 1961


Basie at Birdland
Count Basie
Blue Note Records
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ジャズの原点はスイングとブルース・・・そして客席と一体になれるエンターテイメント性

2014-06-04 | MY FAVORITE ALBUM
Swingin’ & Jumpin’ / 向井 志門 & Swingin’ Devils’

我々の子供の頃は高度成長真っ只中、仕事に就いてからもオイルショックなど一時のつまずきはあったものの基本は右肩上がり。会社の売上は毎年10%UPの目標は当たり前、それに応じて給料も毎年上がる、ボーナスで別封が出たこともあった。技術の進歩も日進月歩、古いものに拘っていたのでは前に進めない。多少の失敗はものともせず、古いものを捨ててどんどん新しい物を採り入れて前進あるのみという時代もあった。企業のコンプライアンスの今ほど厳しいものではなく、現場の裁量の自由がきいた時代でもあった。忙しかったけれど、楽しい時代であった。

大きな転機を迎えたのはバブルの崩壊、それから平成の時代が始まる。ベルリンの壁が崩壊し、天安門事件が起こったのもこの頃。今思えば、この頃が大きな時代の転機であったのだろう。無理矢理作った人工的なものはいつか崩壊する、それが世の中の節理である。過去に遡ってみても伝統に支えられた国家、民族、伝統は侵略が無ければ本来不滅のはずであった。無理に作った国が行き詰れば、民族主義が復興してくるのも自然の流れであろう。

今の若者には覇気がないとよく言われる。色々守らなければならないことが多い世の中になってしまった。確かに昔のように多少乱暴であっても前に向かって行くことを後押しするような時代背景はない。これではやる気が起こらないのも無理はない。
しかし、本来守らなければならない中にも着実に進化していくものはある。一発勝負のベンチャー企業や、詐欺まがいの商法で大きく伸びた企業ばかりがもてはやされ、着実に日々を歩んでいる企業や人が冷や飯を食わされている今の時代はもう一度どこかで転機があると思うのだが・・・。

若者の中でオールドスタイルのジャズをよく好んで演奏する者たちがいる。まずは「見かけの演奏スタイル」から好感を覚えてしまう。確かにベテランのそれに比べるとまだ円熟味が足りないとは感じるが、それは経験の差という物だろう。伝統という大そうな言い方をしなくとも、演奏する立脚点が同じであれば自然と行き着くところは同じである。それが伝統の継承だろう。

若手のビッグバンドに向井志門とSwing Devilsというバンドがある。
このバンドの立脚点は、「ジャズの源流はダンスミュージック、1930年代の”スイングとブルース”フィーリングを大事にする」と謳っている。実に分かりやすい、いわゆるノリノリの演奏をするバンドだ。いわゆるモダンビッグバンドではアレンジの妙をじっくり聴かせるオーケストラが多いが、このように徹底的にスイングすることを基本にするには、ジャズ本来の楽しさであり伝統その物である。それは4ビートでも8ビートでもいい、スイングすることが大事なのだというこだわり。多少演奏そのものは荒っぽいが、かえって優等生的な演奏よりもジャズっぽくていい。

彼らのステージは毎回ショー仕立てされていて、エンターテイメント的な要素も加味され構成されている。ということは、根っからのジャズファンだけでなく、これからジャズを聴いてみたいというファンにもアピールする内容である。
今年になってビーフラットで一度ライブがあった。久々のライブでプログラムの構成もジャズの歴史をニューオリンズから辿るという力の入れ方であった。きっと多くの人に聴いて貰いたかったのだとは思うが、残念ながら客席はまばら。「彼らの演奏とジャズに興味を持ち始めた若者たちの接点がもっとできればいいのだが」と思ったものだ。

そんな彼らのアルバムがこれ。ベイシーやサドメルナンバーからオリジナルまで若手の錚々たるメンバーが揃っていて元気の出る演奏だ。CDもいいけれど、ぜひライブを一度体験してみると良さがより分かるビッグバンドだ。



1. Freckle Face
2. Left Hand Funk
3. Blues Walk
4. Don’t Git Sassy
5. Night Train
6. Pass The Peas
7. Signed, Sealed, Delivered I’m Young
8. Introduction
9. Them Changes
10. Cold Sweat
11. Joyful Joyful
12. Back To The Apple

向井 志門、松村広則、中江祐気、鈴木悟、永田昴生、根津 知佳子 (sax)
小澤篤士、田中一徳、赤塚謙一、榊原聖人 (tp)
須賀 裕之、枡家小雪、芹澤淳、佐々木 匡史 (tb)
西池 達也 (p)
池田 雄一 (g)
寺尾 陽介 (b)
奥瀬 健介 (ds)

Recorded on November, 9th 2010

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このアルバムの特徴は?というとコルネットのドラムレスのトリオ・・・・

2014-06-02 | CONCORD
Midtown / The Warren Vache Trio

ジャズを聴き始めた時、リズムセクションというのはピアノ、ベース、ドラムが揃っていること、時にはギターが加わることもあるがこの3点セットが揃っていないと何となく物足りなさを感じたものだ。ピーターソンのドラムレスのトリオを知り、ロリンズのピアノレストリオを聴き、一人いなくとも良いものは良いというのが次第に分かってきた。ドラムの無い殺風景さがかえってプレーにリズム感を生むことも。

コンコルドレーベルが生んだスターの一人はスコットハミルトンだが、そのハミルトンと一緒にデビューしたのがウォーレンバシェ。ハミルトン同様、オールドスタイルの演奏を得意としていていた。ハミルトンとの共演以外にも、歌のバック、コンコルドジャズフェスティバルの舞台、あるいはコンコルドオールスターズのメンバーにも加わったり、事あるごとに登場していた。このアルバムへの参加でコンコルドレーベルにおいて彼が加わったのは何と17枚目にも上った。その中には、バシェのワンホーンのアルバムもあり、けっしていつも脇役という訳ではなかった。そもそもコルネットとフリューゲルホーンを吹くせいもあり、若さには似合わずトランペットのきらびやかさとは違ったいぶし銀のプレーが得意であった。最近ライブを聴きに行くと、テナーの渡辺恭一やトランペット二井田ひとみのようにオジサン顔負けのスイングスタイルの演奏を聴かせてくれる若者が目につく。きっとハミルトンやバシェも当時そのような存在だったのだろう。

そのバシェがニューヨークでニューオリンズ料理を食べさせる"Crawdaddy”という店に良く主演していた。そこで、自分のグループでライブを行う時はいつもドラムを入れていた。ライブといってもこのような店だと普通のライブハウスとは違う。食事がメインなので、ドラムのボリュームコントロールにいつも悩んでいた。その店には、このアルバムで一緒にプレーをしている、ジョンバンチやフィルフラナガンも出ていたようだが、ある時この3人が一緒になった。そこで、バシェがこの機会を逃さず決断した。ドラム抜きでやってみようと。

このバンチはというピアニストはあまり有名では無い割に良く聞く。と思って自分が紹介したアルバムを見返しても、出てくる出てくるぞろぞろと。古くは新生バディーリッチオーケストラのデビュー盤にも、昔のファーガソンオーケストラのニューポートの舞台にも、グッドマンとモスクワに行ったメンバーにも、ハーマンと一緒の時も、神出鬼没とはこのことだ。そして、そのピアノは実にスインギーで味がある。一緒にプレーするのが楽しくなるようなピアノだ。バックに回っ時も、時と場合に合わせてツボを押さえた音が出てくる。

そして、ベースのフラニガン。ハミルトンと一緒にニューイングランドから出てきたが、バシェとはすでに何度も共演済み。このようなトリオでは、けっしてリラックスして休ませてくれることなくバックを固めるベースとしては適任。そしてもう一つ気に入っているのは、最近多い「ビンの中で飛び回る蜂の羽音」のようなベースではなく、ベース本来の図太いフルサウンドを聴かせてくれるからだというのは、バシェの弁。

このような3人がプレーすれば結果は大体予想がつく。バシェも大満足でドラムレスでその後もやることを決心したそうだ。この3人の場合はアレンジも必要なく、同じ曲を違った日や場所でやると全く違う展開になることもあったそうだ。これが本当のコラボプレーかもしれない。

そして、このような演奏はやはり食事をしながらのレストランでのバックに似合う。ダウンタウンにあるジャズクラブではなく、少し郊外にあるミッドタウンの小洒落た店にお勧めだ。最近は日本でも少し郊外のジャズを聴かせる店も多いようだ。きっとこおようなドラムレスの演奏を聴かせてくれることも多いとは思うが、こんな演奏こそ本物の職人芸を持ち合わせたミュージシャンが本領発揮できる。大ステージでハイノートを駆使するプレーを感心するばかりがトランペットを聴く楽しみではない。

名手バシェが、ジャズトランペットのすべてを13分で早わかり。名手は結局どんなスタイルでもできるということか?




1. I'm Old Fashioned            Jerome Kern / Johnny Mercer 5:48
2. A Time for Love         Johnny Mandel / Paul Francis Webster 5:33
3. Rhythm-A-Ning                 Thelonious Monk 2:58
4. I Let a Song Go Out of My Heart  D. Ellington / I. Mills / H. Nemo / J. Redmond 4:37
5. Tempus Fugit                      Warren Vaché Trio 4:14
6. Out of Nowhere              Johnny Green / Edward Heyman 4:57
7. Two for the Road 3:36           Henry Mancine/Leslie Bricusse 3:30
8 .It's Love in the Spring                 Warren Vaché Trio 3:38
9 .We'll Be Together Agai             Carl Fischer / Frankie Laine 4:58
10.I'll Remember April       Gene DePaul / Patricia Johnston / Don Raye 4:54


Warren Vache (cor,flh)
John Bunch (p)
Phil Flanigan (b)

Produced by Cark Jefferson
Enginner : Ed Trabanco

Recorded at Soundmixers,New York in February 1982
Originally released on Concord CJ-203

Midtown Jazz
Waren Vache
Concord Records
コメント (2)
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