Scott Hamilton and Warren Vache with Scott’s band in New York City
大分昔になるが、サムテイラーとかジョージオールドといった「むせび泣くようなテナー」が流行った。このテナーサウンドが日本人の感性にぴったり合ったのか、演歌も含めて様々な曲の「ムードテナー」のアルバムが数多く発売されたものだ。
自分がまだジャズを本格的に聴き始める前は、これもすっかりジャズだと思っていたのだが・・・。
スコット・ハミルトンのコンコルドでのリーダーアルバムの3作目。
地元ニューヨークに戻って自分のグループでの録音となった。これまでのアルバムはリーダーアルバムであっても自分のグループではなく、コンコルドで活躍しているベテラン達との共演であった。
まあ、何の実績もない新人としては、まずは名前を売るためには仕方がなかったのだとは思うが。
予想に反してか、あるいは思惑通りだったのかは分からないが、30年前にタイムスリップしたようなテナーは評判を生み、ハミルトンもすっかり話題の人となった。
オーナーのジェファーソンも「スコット・ハミルトン」の名前で十分に通用すると判断したのであろう。
3作目はニューヨークに来る前からハミルトンと一緒にプレーをしていたリズムセクション仲間とのアルバム。それも、地元ニューヨークで録音することになった。
さらに、ニューヨークで一緒に演奏をしてきたベニーグッドマンのグループにも一緒に参加したコルネットのウォーレンバッシェ。そしてピアノにはゲストにノーマンシモンズを加えた編成だ。
新人の女性歌手Sue Melikianも2曲で加わる。なかなかストレートな歌い方に好感を持てたが、その後、彼女の名前を聴くことはなかった。
いつも一緒にやり慣れているメンバーとの演奏。呼吸が合っているのは勿論だが、いつものハミルトンより一層リラックスした演奏に聞こえる。
一曲目の”Tea for two”。
スローテンポでハミルトンのテナーでピアノだけをバックにスタートする。途中でアップテンポになり他のメンバーも加わってスインギーな演奏で終わる。
この一曲にこのアルバムのすべてが集約されているような気がする。ビバップ以前のスイング時代、そして中間派の見本のような演奏だ。
コルネットのバッシェもグッドマンのグループに加わる時は、当然のようにオーディションを受けた。しかし、グッドマンが後に言うには、「オーディションは必要なかった。ああだこうだという必要はないし、周りを気にせずに自分の好きなように演奏すればまだまだ伸びる」と。ハミルトンに負けない逸材だったということだ。その後の活躍を見るに、グッドマンの目(耳・・?)は確かだった。
そして、アルバムの最後に収められている”Danny boy”。
締めの一曲でハミルトンのテナーが再びフィーチャーされる。思い切りスローなテンポで、おなじみのダニーボーイが始まる。
メロディーを大事にして忠実にビブラートを利かせた「むせび泣くようなテナー」が続く。そして、アップテンポになることなくそのままクロージングに。
これぞ、最上質な「究極のムードテナー」だと思う。
1. Tea for Two Caesar, Youmans 6:44
2. You Took Advantage of Me Hart, Rodgers 2:20
3. Freego Hamilton 5:36
4. Darn That Dream DeLange, VanHeusen 4:51
5. I Love You Porter 5:52
6. There Will Never Be Another You Gordon, Warren 2:59
7. You're Getting to Be a Habit with Me Dubin, Warren 4:16
8. Raus! Hamilton, Vache 5:18
9. Danny Boy Weatherly 4:24
Produced by Carl Jefferson
Scott Hamilton (ts)
Warren Vaché(Cornet, Flugelhorn)
Norman Simmons (p)
Phil Flanigan (b)
Chris Flory (g)
Chuck Riggs (ds)
Sue Melikian (vol)
Originally released on Concord CJ-70
大分昔になるが、サムテイラーとかジョージオールドといった「むせび泣くようなテナー」が流行った。このテナーサウンドが日本人の感性にぴったり合ったのか、演歌も含めて様々な曲の「ムードテナー」のアルバムが数多く発売されたものだ。
自分がまだジャズを本格的に聴き始める前は、これもすっかりジャズだと思っていたのだが・・・。
スコット・ハミルトンのコンコルドでのリーダーアルバムの3作目。
地元ニューヨークに戻って自分のグループでの録音となった。これまでのアルバムはリーダーアルバムであっても自分のグループではなく、コンコルドで活躍しているベテラン達との共演であった。
まあ、何の実績もない新人としては、まずは名前を売るためには仕方がなかったのだとは思うが。
予想に反してか、あるいは思惑通りだったのかは分からないが、30年前にタイムスリップしたようなテナーは評判を生み、ハミルトンもすっかり話題の人となった。
オーナーのジェファーソンも「スコット・ハミルトン」の名前で十分に通用すると判断したのであろう。
3作目はニューヨークに来る前からハミルトンと一緒にプレーをしていたリズムセクション仲間とのアルバム。それも、地元ニューヨークで録音することになった。
さらに、ニューヨークで一緒に演奏をしてきたベニーグッドマンのグループにも一緒に参加したコルネットのウォーレンバッシェ。そしてピアノにはゲストにノーマンシモンズを加えた編成だ。
新人の女性歌手Sue Melikianも2曲で加わる。なかなかストレートな歌い方に好感を持てたが、その後、彼女の名前を聴くことはなかった。
いつも一緒にやり慣れているメンバーとの演奏。呼吸が合っているのは勿論だが、いつものハミルトンより一層リラックスした演奏に聞こえる。
一曲目の”Tea for two”。
スローテンポでハミルトンのテナーでピアノだけをバックにスタートする。途中でアップテンポになり他のメンバーも加わってスインギーな演奏で終わる。
この一曲にこのアルバムのすべてが集約されているような気がする。ビバップ以前のスイング時代、そして中間派の見本のような演奏だ。
コルネットのバッシェもグッドマンのグループに加わる時は、当然のようにオーディションを受けた。しかし、グッドマンが後に言うには、「オーディションは必要なかった。ああだこうだという必要はないし、周りを気にせずに自分の好きなように演奏すればまだまだ伸びる」と。ハミルトンに負けない逸材だったということだ。その後の活躍を見るに、グッドマンの目(耳・・?)は確かだった。
そして、アルバムの最後に収められている”Danny boy”。
締めの一曲でハミルトンのテナーが再びフィーチャーされる。思い切りスローなテンポで、おなじみのダニーボーイが始まる。
メロディーを大事にして忠実にビブラートを利かせた「むせび泣くようなテナー」が続く。そして、アップテンポになることなくそのままクロージングに。
これぞ、最上質な「究極のムードテナー」だと思う。
1. Tea for Two Caesar, Youmans 6:44
2. You Took Advantage of Me Hart, Rodgers 2:20
3. Freego Hamilton 5:36
4. Darn That Dream DeLange, VanHeusen 4:51
5. I Love You Porter 5:52
6. There Will Never Be Another You Gordon, Warren 2:59
7. You're Getting to Be a Habit with Me Dubin, Warren 4:16
8. Raus! Hamilton, Vache 5:18
9. Danny Boy Weatherly 4:24
Produced by Carl Jefferson
Scott Hamilton (ts)
Warren Vaché(Cornet, Flugelhorn)
Norman Simmons (p)
Phil Flanigan (b)
Chris Flory (g)
Chuck Riggs (ds)
Sue Melikian (vol)
Originally released on Concord CJ-70
Scott Hamilton and Warren Vache (With Scott's Band in New York)Scott HamiltonConcord Jazzこのアイテムの詳細を見る |