Fire, Fury, and Fun / Stan Kenton Orchestra
スタンケントンのオーケストラの全盛期は40年代から50年代のはじめといわれている。そして、ウェストコーストで活躍したミュージシャンの多くが、そのケントンオーケストラの卒業生であった。という意味では、メルルイスやペッパーアダムスがそうであったように、ケントンオーケストラでのレギュラーメンバーの席は、一流になるための試金石であった。
先日、ボブミンツァーのビッグバンドが来日した。メルルイスのオーケストラにもアレンジを提供していた若手アレンジャーの一人であった。自己のオーケストラも率いていたが最近の演奏をあまり聴いていなかったせいか、どちらかというと演奏はフュージョン系の方が印象に残っている。
今回来日したメンバーの中に、ドラムのピーターアースキンの名前があった。ミンツァーとの付き合いは長いらしい。このアースキンもフュージョン系のグループ、そしてアルバムでは際立っていたが、ビッグバンドのドラムというとあまり印象には残っていなかったのだが・・・。
ブルノートでのライブを実際に聴き、一番印象に残ったのは、このアースキンのドラムであった。
自分の中ではビッグバンドのドラマーというとどうしても正統派のバディーリッチやルイベルソン、そして大編成の中でのコラボレーションの上手さという点でメルルイスなどを好んでしまう。
ところが、フュージョン、ロック系のドラマーであっても、ビッグバンドでのドラミングを個性豊かに実に上手く演奏するというというのを知ったのは、バディーリッチのメモリアルコンサートだった。ジャンルを問わず多くのドラマーが参集し、リッチのオーケストラの曲を次から次へとこなしていく姿を見て、そしてドラミングを聴いて認識を新たにした経験がある。そして、今回このアースキンのビッグバンドでのドラミングを生で聴いてその素晴らしさを再認識した次第だ。
経歴を見ると、このアースキンもスタンケントンオーケストラの出身であった。丁度参加していた時期は‘74年前後、ウェザーリポートなどで有名になる4年近く前であった。自分では記憶が無かったが、手持ちのアルバムを見てみると、確かにアースキンのクレジットがあるが、あまり気にもとめていなかった。
‘74というと自分が社会人になってすぐの頃。ジャズの世界ではフュージョンブームが起った頃だ。ビッグバンドの世界もバディーリッチやウディーハーマンのような老舗のオーケストラでもこの時代の流れの影響を受けて、スイングするというよりはリズミカルにパンチの効いた演奏が流行っていた頃だ。このケントンのアルバムもその時代の流れを感じさせる一枚だ。
アンサンブルの妙というよりは、ケントンのピアノだけでなく、若手メンバーのフルート、バリトンサックス、トロンボーン、コンガそしてアースキンのドラムをそれぞれ各曲でフューチャーしたアルバムだ。一曲目はバリトンサックスがスローにそしてブルージーに始まるが、途中でどんどんテンポが速まる。アースキンのドラムがキマッている。
B面の一曲目も、フルートがダーティーなトーンでアグレッシブなプレーで始まる。他にも全体にリズムに変化がある曲が続くが、アースキンは多様に変化するリズムに対してけっして荒っぽくなることなく実にスマートなプレーを聴かせてくれる。
この時アースキンはまだ20歳。ビッグバンドでの素晴らしいドラミングはこの頃からすでに披露されていたのを再認識した次第。
70年代になっても、実力派新人を輩出するケントンオーケストラは健在であった。
1. Roy's Blues Dale Devoe 8:01
2. Montage K. Hanna 5:55
3. Pete Is a Four-Letter Word Hank Levy 4:22
4. Hogfat Blues Tony Campise 4:46
5. Quiet Friday Hank Levy 6:42
6. Ramon Lopez C. O’Farrill 6:22
John Harner Trumpet
Mike Barrowman Trumpet
Dave Zeagler Trumpet
Tim Hagans Trumpet
Kevin Jordan Trumpet
Tony Campise Reeds
Rich Condit Reeds
Greg Smith Reeds
Dan Salmasian Reeds
Roy Reynolds Reeds
Dick Shearer Trombone
Greg Sorcsek Trombone
Lloyd Spoon Trombone
Mike Suter Trombone
Dave Keim Trombone
Ramon Lopez Percussion
Stan Kenton Piano
Mike Ross Bass
Peter Erskine Drums
Robert Curnow Producer
Murray Allen Engineer
Recorded at Universal Studio, Chicago, Illinois on September 26, 27, 1974
スタンケントンのオーケストラの全盛期は40年代から50年代のはじめといわれている。そして、ウェストコーストで活躍したミュージシャンの多くが、そのケントンオーケストラの卒業生であった。という意味では、メルルイスやペッパーアダムスがそうであったように、ケントンオーケストラでのレギュラーメンバーの席は、一流になるための試金石であった。
先日、ボブミンツァーのビッグバンドが来日した。メルルイスのオーケストラにもアレンジを提供していた若手アレンジャーの一人であった。自己のオーケストラも率いていたが最近の演奏をあまり聴いていなかったせいか、どちらかというと演奏はフュージョン系の方が印象に残っている。
今回来日したメンバーの中に、ドラムのピーターアースキンの名前があった。ミンツァーとの付き合いは長いらしい。このアースキンもフュージョン系のグループ、そしてアルバムでは際立っていたが、ビッグバンドのドラムというとあまり印象には残っていなかったのだが・・・。
ブルノートでのライブを実際に聴き、一番印象に残ったのは、このアースキンのドラムであった。
自分の中ではビッグバンドのドラマーというとどうしても正統派のバディーリッチやルイベルソン、そして大編成の中でのコラボレーションの上手さという点でメルルイスなどを好んでしまう。
ところが、フュージョン、ロック系のドラマーであっても、ビッグバンドでのドラミングを個性豊かに実に上手く演奏するというというのを知ったのは、バディーリッチのメモリアルコンサートだった。ジャンルを問わず多くのドラマーが参集し、リッチのオーケストラの曲を次から次へとこなしていく姿を見て、そしてドラミングを聴いて認識を新たにした経験がある。そして、今回このアースキンのビッグバンドでのドラミングを生で聴いてその素晴らしさを再認識した次第だ。
経歴を見ると、このアースキンもスタンケントンオーケストラの出身であった。丁度参加していた時期は‘74年前後、ウェザーリポートなどで有名になる4年近く前であった。自分では記憶が無かったが、手持ちのアルバムを見てみると、確かにアースキンのクレジットがあるが、あまり気にもとめていなかった。
‘74というと自分が社会人になってすぐの頃。ジャズの世界ではフュージョンブームが起った頃だ。ビッグバンドの世界もバディーリッチやウディーハーマンのような老舗のオーケストラでもこの時代の流れの影響を受けて、スイングするというよりはリズミカルにパンチの効いた演奏が流行っていた頃だ。このケントンのアルバムもその時代の流れを感じさせる一枚だ。
アンサンブルの妙というよりは、ケントンのピアノだけでなく、若手メンバーのフルート、バリトンサックス、トロンボーン、コンガそしてアースキンのドラムをそれぞれ各曲でフューチャーしたアルバムだ。一曲目はバリトンサックスがスローにそしてブルージーに始まるが、途中でどんどんテンポが速まる。アースキンのドラムがキマッている。
B面の一曲目も、フルートがダーティーなトーンでアグレッシブなプレーで始まる。他にも全体にリズムに変化がある曲が続くが、アースキンは多様に変化するリズムに対してけっして荒っぽくなることなく実にスマートなプレーを聴かせてくれる。
この時アースキンはまだ20歳。ビッグバンドでの素晴らしいドラミングはこの頃からすでに披露されていたのを再認識した次第。
70年代になっても、実力派新人を輩出するケントンオーケストラは健在であった。
1. Roy's Blues Dale Devoe 8:01
2. Montage K. Hanna 5:55
3. Pete Is a Four-Letter Word Hank Levy 4:22
4. Hogfat Blues Tony Campise 4:46
5. Quiet Friday Hank Levy 6:42
6. Ramon Lopez C. O’Farrill 6:22
John Harner Trumpet
Mike Barrowman Trumpet
Dave Zeagler Trumpet
Tim Hagans Trumpet
Kevin Jordan Trumpet
Tony Campise Reeds
Rich Condit Reeds
Greg Smith Reeds
Dan Salmasian Reeds
Roy Reynolds Reeds
Dick Shearer Trombone
Greg Sorcsek Trombone
Lloyd Spoon Trombone
Mike Suter Trombone
Dave Keim Trombone
Ramon Lopez Percussion
Stan Kenton Piano
Mike Ross Bass
Peter Erskine Drums
Robert Curnow Producer
Murray Allen Engineer
Recorded at Universal Studio, Chicago, Illinois on September 26, 27, 1974
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