A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

エリントンナンバー&ベイシーナンバーをピアノトリオでやると・・・

2015-10-30 | MY FAVORITE ALBUM
Li'l Darlin' / Monty Alexsander


ドラムのデニスマクレルが加わったモンティーアレキサンダー、最近はレゲエのグループでの来日が多かったが今回はピアノトリオで。モンティーのラテンスタイルの演奏も魅力があるが、久々にピーターソンオリエンテッドなストレートアヘッドなピアノトリオを期待してライブに出掛けた。

会場でよくその日出演のミュージシャンのCDを売っているが、今回も入口に並んでいた。多くのアルバムを出しているモンティーだが、最近のアルバムを知らないのでどんなアルバムがあるのか覗いてみたら、プロモーターのオールアートプロモーションが監修したアルバムが。会場でのみ販売と書かれた「リトルダーリン」のタイトルに惹かれて手にとった。しかし、これは以前リリースされたアルバムといわれて、これは持っていたはずと思い出した。帰ってから確認したら、このアルバムがあった。ジャケットのデザインは違うがオールアートプロモーションの監修なので多分同じ内容だろう。

この日のライブは東京TUCでの2ステージ。普段のライブは2ステージ入れ替え無しだが、外タレだと入れ替えとなることが多い。ブルーノートなどは入れ替えが当たり前だが、この入れ替え前提のツーステージは曲者だ。時々ファーストとセカンドが同じ曲ということもある。今聴いたばかりの曲をもう一度聴くというのも普段なかなか経験できないが、やはりガッカリすることになる。クラシックのように事前に演目が分かっていれば嬉しいが、何か起こるか分からないのもジャズの楽しみの一つ。

この日のステージも入れ替え制であった。最初のステージが始まるが想像通りのスインギーなピアノトリオ。心地よさに思わず睡魔も訪れてしまった。ゲストというか、モンティー夫人のカテリーナ・ザッポーニもステージに上がったが、こちらも無難に。悪くは無いが、全体としてはモンティーのステージの割には平穏に終わった。

どのコンサートでも、大体セカンドステージの方が盛り上がりを見せるが、この日もセカンドステージになると一転して雰囲気が変った。今まで仲良く一緒にプレーをしていたトリオの3人がお互いに向き直した感じで、アグレッシブで雰囲気に変る。ソロの掛け合いも挑戦的で熱がこもる。アドリブの最中に色々な曲の引用が多いモンティーだが、次から次へ名曲のフレーズのオンパレードとなる。再びザッポーニも登場するが、こちらもエンジン始動。モンティーも一緒に歌い出すが、歌詞を覚えていないモンティーに彼女が耳元で歌詞を囁き、最後はスキャットでデュエットというおまけ付きもあった。久々にモンティーアレキサンダーのスインギー&ダイナミックな演奏を楽しめた。今回はセカンドステージまで残って正解であった。

さて、このアルバムに戻ると86年の日本での録音。コンコルドでお馴染みのピーターソントリオスタイルでよく演奏していた頃の録音。メンバーもコンコルド時代の仲間ジェフハミルトンのドラムにジョンクレイトンのベース。皆今では大御所だが、息の合った発展途上の実力者たちによる好演だ。

このアルバムの特徴は、エリントンとベイシーナンバーを特集していること。お馴染みのビッグバンドサウンドをピアノトリオで聴くとどうなるか?という嗜好だが、エリントンナンバーの方は、ビッグバンドだけでなく色々なスタイルで演奏されることが多い。ここでは一気に27分のメドレーで演奏している。
一曲、オリジナルのEleuthraを挟んで、ベイシーナンバーに移る。
こちらの方は、やはりベイシーサウンドがすぐに思いうかべてしまう。ということで、ベイシーナンバーのピアノトリオの演奏に興味が湧くが、分厚いサウンドでかつスインギーなベイシーサウンドには、モンティーのピアノスタイルはピッタリだ。

ラテンタッチのモンティーもいいが、このようなピーターソンスタイルのトリオ演奏も悪くない。今回のライブはこのアルバムのような演奏を久々に味わえたが、ライブならではのジャムセッション的な演奏も楽しめたのが大収穫。

1. Love You Madly                     Duke Ellington
2. Don't Get Around Much Anymore       Duke Ellington / Bob Russell
3. Caravan            Duke Ellington / Irving Mills / Juan Tizol
4. In a Mellow Tone              Duke Ellington / Milt Gabler
5. Prelude to a Kiss        Duke Ellington / Irving Gordon / Irving Mills
6. Come Sunday                     Duke Ellington
7. Rockin' in Rhythm     Harry Carney / Duke Ellington / Irving Mills
8. Eleuthra                      Monty Alexander
9. Lil' Darlin'                        Neal Hefti
10. Shiny Stockings                    Frank Foster
11. April in Paris             Vernon Duke / E.Y. "Yip" Harburg
12. Jumpin' at the Woodside                 Count Basie

Monty Alexander (p)
John Clayton (b)
Jeff Hamilton (ds)
Produced by Keiichiro Ebihara
Recording Engineer : Osamu Kasahara, Masayuki Makino

Recorded at Pioneeer Studio, Tokyo April 1 1986


リル・ダーリン
クリエーター情報なし
アブソードミュージックジャパン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベイシー亡き後も、ベイシーサウンドを引き継ぐ後継者のお蔭で・・・・

2015-10-28 | MY FAVORITE ALBUM
Long Live The Chief / Count Basie Orchestra

カウントベイシーが亡くなったのは1984年。あのベイシーサウンドも終わりかと思ったが、そのバンドを引き継いだのはサドジョーンズであった。翌85年11月にはそのサドジョーンズ率いるベイシーオーケストラが来日し、変わらぬベイシーサウンドがファンを一安心させた。
というのも、最後はベイシーと意見が合わず長年在籍したベイシーオーケストラを辞めて、自らサドメルを立ち上げたサドジョーンズだったので、古巣のベイシーオーケストラに戻って果たしてどうするかというのが、当時のファンの期待半分、不安半分であった。

その頃元気であった日本のレコード会社は早速新生カウントベイシーオーケストラの録音をしようと交渉に入った。基本OKが出たが、問題はリーダーのサドジョーンズであった。病に倒れ、復帰の目途が立たなく、止む無く同じベイシーオーケストラのOBであるフランクフォスターにリーダーが代わった時には、すでに1986年も半分が過ぎていた。
ベイシーの誕生日の8月21日にはアルバムを出したいと思っていたスタッフにとってはぎりぎりのタイミングの6月、めでたく新リーダー、フランクフォスターの元で制作されたのがこのアルバムである。

ベイシーが健在であった時の最後のドラマーを務め、サドジョーンズとも一緒に来日し、このアルバムにも参加しているのがデニスマクレルである。後にベイシーオーケストラのリーダーを務めたこともあり、ベイシーオーケストラとは関係が深いマクレルだ。

そのマクレルが今、来日中で、モンティーアレキサンダーのトリオの一員として全国を回っている。このマクレルは、自分にとってもベイシーとの関わりが強い印象を受けるが、スインギーで小気味よいドラミングはビッグバンドだけでなく、このモンティーのようなピアノトリオにも良く似合う。

マクレルがニューヨークに出てきて、ブロードウェイでプロとして活動を始めた時、彼の才能に真っ先に目を付けたのは歌手のジョーウィリアムスだったという。ジョーウィリアムというとカウントベイシーとの繋がりが強いが、ベイシーオーケストラにマクレルを紹介したのがこのウィリアムスだった。

御大にも気に入られ晴れてベイシーオーケストラのドラムの席に座ったのが1983年、まだマクレルが21歳の時だった。伝統あるベイシーオーケストラのベテラン揃いのメンバーの中で、ドラマーの最年少記録を更新した。あの若いと思われたブッチマイルスも30歳を過ぎてからの加入だった。
そのままベイシー自ら率いるオーケストラ最後のドラマーを務め、ベイシー亡き後も引き続き在籍したのでベイシーオーケストラの印象が強くなるのもやむを得ない。

何の世界でも、あまり目立たないが実力はNo.1というプレーヤーは必ずいるものだ。このマクレルもその一人かも知れない。ベイシーオーケストラばかりがマクレルの活動歴ではない。

1990年メルルイスオーケストラがリーダーのメルルイスを失った時、その穴をすぐに埋めたのがこのマクレルであった。残されたメンバー達でその年の9月に録音されたメルルイスへのトリビュートアルバムにも参加している。バンガードジャズオーケストラの誕生を支えた一人ということになる。

かと思うと、マリアシュナイダーのデビュー作である”Evanescence”、や、ドンセベスキーの意欲作I Remember Billのドラムもマクレルであった。他にも余り意識はしていなかったが、自分の紹介したアルバムの中でもマクレルが参加しているアルバムは多い。決して、ビッグバンドだけなく、コンボでのスインギーなドラムも素晴らしい。

今更ながら、マクレルが、ビッグバンドでもコンボでも何でもこなすオールラウンドプレーヤーの実力者ということにびっくりする。それを感じさせないのが、また素晴らしい。
オールラウンドぶりを証明するように、彼のドラムのセットはビッグバンドとコンボ用がそれぞれアコースティック編成とエレキ(フュージョン)用の4セットあるようだ。

このマクレルの今回の来日はモンティーのピアノトリオの一員であったが、東京で一日ベイシーサウンドを聴かせてくれる機会があった。橋本龍吾率いるベイシーナンバーばかりをレパートリーとするその名もベイシーサウンドオーケストラにゲスト出演して、懐かしのベイシーサウンドのドラミングを久々に披露してくれた。



1setでは橋本がドラムに座り、マクレルは指揮を。本家ベイシーオーケストラでもリーダーとして指揮をしたので手慣れたもの、オーケストラ全体のサウンドも一段と切れが良くなる。
セカンドセットなるとマクレルが今度はドラムの席に座る。セッティングを多少変えるが、ドラムは橋本のものをそのまま使用する。

いよいよ演奏が始まるが、小気味よいシンバルワークがギターとよくマッチする。昔演奏し慣れた曲に譜面は要らない。ベイシーサウンド特有のメリハリの効いたアンサンブルにドラムがビシバシ決まる。小さい音は限りなく小さく、そして大きな音は限りなく大きく、歯切れよさに加えてダイナミックレンジが実に広いドラミングだ。橋本のドラムも普段素晴らしいと思って聴いていたが、こうやって続けて比較すると違いが分かる。

久々にこのアルバムを、マクレルを意識して聴き返してみた。この時から若さを感じさせない堂々としてドラミングだ。ところが、今回のライブで受けた強烈な印象はアルバムからは感じない。可もなく不可もないプレーぶりだ。ベイシーオーケストラのドラムというと、ソニーペイン、ハロルドジョーンズ、ブッチマイルスと名手が続いた。彼等の切れ味を感じない。若さゆえ、この当時はまだその域に達していなかったのかもしれない。

そして、お馴染みのベイシーナンバーに混じってマクレルのオリジナル曲Bus Dustも含まれていた。曲もアレンジもベイシーにピッタリなジャンプナンバーだ。ドラマーで作編曲をするというのも珍しいが、ドラミングだけでなくこの当時から作編曲の才能も片鱗を見せていたことになる。

先日のライブには、自分のような年代のベイシーファンに加えて若い学バンのメンバーも多く駆けつけていた。
終わった後の挨拶で、「自分はベイシーオーケストラの伝統を引き継いでここまでやってきた。鬚にも白いものが混じるようになったが、今日一緒に演奏したメンバー達にベイシーサウンドが立派に引き継がれていたのを嬉しく思う。そして、会場に来てくれた若い皆さんも、今度来た時には是非素晴らしいベイシーサウンドを聴かせて欲しいと。」

考えてみれば、マクレルは彼らと同じ位の歳で、すでに本家ベイシーオーケストラで叩いていたことになる。代が替わっても、このような伝道者が居る限りベイシーサウンドは不滅だろう。

色々な経緯を経て生まれたこのアルバムだが、予定通り1986年8月21日ベイシーの誕生日に発売された。そして、このアルバムに参加できなかったサドジョーンズは前日の8月20日に息を引き取る。これも何かの因果かも知れない。

1.  You Got It                      Frank Foster 5:37
2.  April in Paris            Vernon Duke / E.Y. "Yip" Harburg 3:38
3.  Misunderstood Blues                 Frank Foster 7:14
4.  Autumn Leaves   Joseph Kosma / Johnny Mercer / Jacques Prévert 5:28
5.  A Foggy Day              George Gershwin / Ira Gershwin 1:44
6.  Good Time Blues                     Ernie Wilkins 4:29
7.  Hey! I See You over There                D. Wilkins 3:45
8.  Lil' Darlin'                       Neal Hefti 4:59
9.  Bus Dust               Dennis Mackrel / D. Mackrell 4:41
10.  Corner Pocket              Freddie Green / Donald Wolf 5:42
11.  Dr. Feelgood             Aretha Franklin / Teddy White 4:40
12.  Four Five Six                     Frank Foster 6:53
13.  Shiny Stockings                    Frank Foster 4:58

Frank Foster (leader,ts)
Sonny Cohn (tp)
Melton Mustafa (flh,tp)
Bob Ojeda (tp)
Byron Stripling (tp)
Dennis Wilson (tb)
Mel Wanzo (tb)
Clarence Banks (tb)
Bill Hughes (btb)
Danny House (as)
Danny Turner (as)
Eric Dixon (ts,fl)
Kenny Hing (ts)
John Williams (bs)
Tee Carson (p)
Freddie Green (g)
Lynn Seaton (b,vocal)
Dennis Mackrel (ds)
Carmen Bradford (vocals)

Produced by Tom Ueno & Takahiro Watanabe
Engineer ; Malcolm Pollack

Recorded at Power Station, N.Y on June 3 & 4 1986

Long Live the Chief
クリエーター情報なし
Denon Records
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

守屋純子オーケストラの新作は「徳川家康公ジャズ組曲」・・・・

2015-10-27 | MY FAVORITE ALBUM
Play For Peace / Junko Moriya Orchestra

今年は徳川家康が亡くなって400年の節目だそうだ。アメリカが独立してまだ240年近く、その間戦争をしなかった期間は僅かだという。一方、徳川時代は開国をして明治になるまでの300年近く大きな争いが無い平和な時代であった。今であれば徳川家康のノーベル平和賞受賞は間違いないであろう。

この家康が礎を作った江戸時代は「世界史上稀な平和国家」であり、「究極の循環型社会」を創り上げ、「一部の特権階級だけでなく、武士や町人の世界でも成熟した文化」を生んだ。
確かに明治以降の近代化がもたらした現在の日本はあらゆる面で行き詰まりを迎えている。日本らしさが希薄になりつつある今こそ、その時代を再考し、その知恵を生かして今の時代の閉塞感を打ち破ることが必要なかもしれない。

この趣旨に沿って家康ゆかりの地、静岡・愛知の市町村が連携して、「徳川家康公顕彰400年記念事業」が行われている。その事業の一環として、徳川家康公ジャズジャズ組曲「厭離穢土、欣求浄土」が作られ、各市を結ぶ交流コンサートが開かれている。





この組曲を作ったのが守屋純子だ。

ビッグバンド界で活躍する女性作編曲家の代表格というと何といっても少し前までは秋吉敏子だったが、最近はあまり活動をしていないようだ。今はマリアシュナイダーかもしれないが、日本の女性作編曲家というとやはりこの守屋純子であろう。

秋吉敏子同様、ピアニストとしての活動がミュージシャンとしてのスタートだ。2人ともバドパウエルのコピーからスタートしたというのも共通点だ。アメリカ留学を機に活動の幅を作編曲の世界にも広げたのも同様だ。
彼女の最初アルバム"My Favorite Colors"もオクテットでの演奏で、アレンジを意識したものであった。元々ハイソ出身の彼女なので、ビッグバンド&作編曲も身近であったのだろう。毎年2月にビッグバンドのコンサートが開かれるが、毎回テーマを決めてなかなか聴き応えのあるものだ。

今回は、この組曲の完成に合わせてそのCDも制作された。
この「家康公組曲」は以前作られた「表家康公」「裏家康公」に加えて、今回の静岡の「久能山」、浜松の「三方ヶ原の戦い」、岡崎の「三河武士魂」を加えて纏め上げられた。
今回のアルバムは、この組曲をメインに据え、スタンダード曲や他のオリジナルも加え一枚のアルバムになっている。タイトルはPlay For Peace、ちょうど今の世情にぴったりかもしれない。

さらに、記念ライブも各地で行われている。
地元での組曲の披露コンサートに加え、東京ではこのCD制作に合わせて神田の東京TUCで行われた。それも、レコーディング前日と、今回のCD発売記念の2回開かれた。レコーディング前、レコーディング後の両方を聴けるという嗜好であったが、どちらも満員の盛況で根強いファンに支えられているのが分かる。

組曲を構成する5曲が別々に生まれた経緯もあり、今回5曲まとめて組曲仕立てしたようだが、コンサートによっては演奏する順番もプログラム構成上色々配慮が必要なようだ。どのような順番で聴いても特に違和感はないが、生まれた経緯は別にして、それぞれの曲の構想は、家康がおかれた情景から彼女がイメージしたもの。そのために、家康の伝記をいくつか読み込んだそうだ。宮嶋みぎわも自作の曲を説明する時、よく曲が生まれた経緯やその情景を説明するが、女性の作編曲家の方が感受性高く曲想を表現できるのかもしれない。

どんなに優れた表現力を持っていても、「家康公」という素材はなかなか一人ではチャレンジし難いものだ。という意味では、最初にテーマを与えた岡崎市、そして今回の各自治体の連携があったからこそ実現した作品だと思う。箱物行政に慣れ親しんだ自治体は、文化事業といってもなかなかアイディアが浮かばないようだが、このような事業で、記念に残る作品が誕生するというのは素晴らしい事だ。もてあましている箱物の利用も促進されるので一石二鳥だと思う。最近町ぐるみのジャズイベントも増えてきたようなので、ファンとしても今後このような取り組みが各地で行われることを願う。

アルバムには他のスタンダード曲も収められているが、単におまけというのではなく、聴き慣れた曲が入念にアレンジされ仕上げられている。
その素晴らしき世界はエリック宮城のフリューゲルホーンのソロをフィーチャー。組曲を受けて、アルバムタイトルの”Play For Peace”を訴えるにはピッタリの曲であり、演奏かも知れない。

バイバイブラックバードはレコーディングの直前に出来上がり、直前ライブが意披露目であった。リズムやテンポが輻輳し難しそうなアレンジだが、流石一流のメンバー揃い無難にこなしていた。それぞれ斬新なアレンジで、彼女の真骨頂であろう。
今回のライブのアンコールもお馴染みのエリントンナンバーキャラバンであったが、これも新アレンジという。オリジナルだけでなく、スタンダード曲の斬新なアレンジを聴かせてくれて、いつもスイング感を忘れないのも彼女のオーケストラの魅力だ。

アルバムの最後には、お馴染みのエリントンナンバーのピアノソロもフルコースで満腹の口直しに最高なデザートだ。

ジャズ界では最近女性陣の活躍が目立つが、この守屋純子や宮嶋みぎわの頑張りが際立つ。
2人とも自らのグループのアレンジや演奏だけでなく、他のグループにも積極的に参加し、後進の指導やプロモート、コンテストの審査員・・・と、時間がいくらあっても足り無さそうな活躍ぶりだ。それも国内だけでなく海外も含めて。自分のような怠け者には想像を絶する行動力だ。この馬力の原動力にいつも感心するが、どうやらこの源は音楽の世界に入る前のキャリアウーマンとしての経歴と負けず嫌いの性格が幸いしているような気がする。
今後の益々の活躍を期待したい。

徳川家康公ジャズ組曲「厭離穢土、欣求浄土」
1. 裏家康公 Another Side of The Winner
2. 久能山東照宮 Mt.Kuno
3. 表家康公 House of The Winner
4. 三河武士魂 Samurai Spirit of Mikawa Warrior
5. 三方原の戦い The Battle of Mikatagahara

6. What A Wonderful World
7. Bye Bye Blackbird
8. This Is For Stan
9. I Let A Song Go Our of My Heart

守屋 純子 (p,arr)
エリック 宮城 (tp,flh)
木幡 光邦 (tp)
マイケル ブックマン Michael Bookman (tp)
岡崎 好朗 (tp)
片岡 雄三 (tb)
佐藤 春樹 (tb)
東條 あづさ (tb)
山城 純子 (btb)
近藤 和彦 (as,ss,fl)
緑川 英徳 (as)
岡崎 正典 (ts,cl)
アンディー ウルフ Andy Wulf  (ts)
宮本 大路 (bs)
納 浩一 (b)
広瀬 潤次 (ds)
岡部 洋一 (per)


プレイ・フォー・ピース
クリエーター情報なし
Spice of Life
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

天気と同じで、いい時もあれば悪い時もあるのがゴルフだが・・・

2015-10-25 | GOLF LIFE



暑くなく寒くなく、まだ半袖でプレーができる、ゴルフには一番いい季節である。週末のいつもの仲間とのゴルフに加えて、学生時代や会社勤め時代のOB仲間とのコンペもこの時期に集中する。ただし、これらはもっぱら平日。ゴルフは安くて空いている平日に限るが、これだけ集中するとスケジュール調整も大変。

以前はこのブログでゴルフの記事も良く書いていたが、目標を持ってプレーをしていた時は記事を書くのも楽しかった。ところがなかなかスコアアップもままならず、思うようなプレーができなくなると、なかなか記事を書く気にもならず。スコアも初心者の戻ったようなスコアを出すと、記録に留めるより忘れたいという気持ちが強くなるものだ。

ところが、先日久しぶりに突然ショットが蘇った。なかなかいい感触が持続しないのがゴルフの常だが、その後持続している。相変わらず凡ミスはでるが、スコアも40打前半が出るようになった。高齢者の仲間入りをしたこともありスコアに拘るゴルフは諦めていたが、また少しやる気が出てきた。しばらくご無沙汰していた練習場にも久しぶりに足を運んだ。ハンディキャップも増え続けているが、来シーズンは久々にBクラスから月例会に復帰してみる気にもなってきた。

先日、白河の高原に泊りゴルフに出かけた。紅葉も朝焼けに映えて清々しい夜明けであった。
この日の天気は、関東が快晴、そして日本海側は雨の天気であったが、この白河は丁度その中間。南の空に向けては晴れていたが、北側はどんよりと曇り空。
ラウンドを始めると、案の定途中で北から流れてきた雲に包まれたかと思ったら風と共に雨が降り始める。秋を通り越して一気に冬ゴルフに。しばらくすると雲の切れ間から青空が覗く。日が差すと体感温度は一気に上がる。着る物を替えるだけでも大変だった。
何か自分の最近のスコアのように変化が激しい一日だったが、シーズン最後の高原ゴルフを満喫できた。

その後も、スコアの乱高下は続く。先日の会社勤め時代の仲間とのコンペでは前半久々に30台逃しの41が出たと思ったら、後半は52。相変わらずの乱高下だが、どうもスコアが悪くなるとフォームも悪い癖が出るようだ。

天気と同じでいい時もあれば悪い時もあるのがゴルフだが、できれば一日の中での乱高下は抑えたいものだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ペッパーアダムス亡き後は、皆で「ペッパー」を演じ合い・・・

2015-10-21 | PEPPER ADAMS
More Pepper / Denny Christianson Big Band

自分は辛い食べ物は嫌いではない。本場四川の麻婆豆腐でもかなりの辛口で大丈夫だ。辛さに加えて花椒の痺れが加わると尚更たまらない。中華で唐辛子が丸ごと入っている料理でもいつもは残すことなく平らげる。一度、鶏肉の唐辛子炒めを頼んだら、鶏肉と赤唐辛子の量が半々位であった。流石これには閉口したが・・。
赤い唐辛子は見た目にも食べる前に準備ができるが、始末に悪いには緑の小さい唐辛子。タイ料理などに時々入っているが、これは不意を突かれて一瞬怯むこともある。いずれにしても、自分にとっては、美味しい料理に香辛料は不可欠だ。

ビッグバンドにおけるバリサク、ベーストロンボーンはある種の香辛料。これが無いときっと味気ないサウンドになると思う。いつもは隠し味のように低音域を支え、時にはアクセントを付けたり、一人皆と違ったフレーズを歩むことが多いが、たまには図太いサウンドのソロで脚光を浴びることがある。

バリトン一本の人生を送ったペッパーアダムスは、その名の通りどのような編成でも味わい深い「香辛料役」を果たしていた。しかし、いつもの脇役から一度メインとして起用されるとなると、他を圧倒するゴリゴリサウンドで主役の座に座る。香辛料が料理のメインの食材になるような感じだ。どちらかというと目立たないバリトンサウンドであるが、このペッパーサウンドは多くの後輩たちに引き継がれていった。



ペッパーアダムスの最後のアルバムは、Denny Christiansonのビッグバンドへのゲストとして参加したアルバム。全編ビッグバンドをバックにしてアダムスをフィーチャーし、ミンガスに因んだ組曲を演奏するという意欲的なアルバムだった。このアルバムは以前記事にしたので、このアルバムが生まれた経緯はそちらを参照して欲しい。

この”Suite Mingus”は、アダムスが亡くなる前の8月に無事世に出ることができた。
リリース直後の9月10日にアダムスはこの世を去ってしまったが、アダムスの最後の演奏活動で行動を供にすることが多かったクリスチャンセンは、当然のようにアダムスに対して追悼のアルバムを考えた。

最後に一緒に録音したセッションにはまだアルバムに収められていない曲もあった。それらを世に出すだけでは物足りなかったのか、残されたメンバー達でアダムスに捧げる曲を新たに加えて一枚のアルバムに仕上げた。

アダムスの加わった曲は、前のアルバムの選曲から漏れた残りだが、それなりの訳アリの曲もあった。
例えば、一曲目のArlequinはデニーがアダムスとの共演の為に書き下ろした曲だが、これはエレキベースがガンガン効いた8ビート。アダムスがこの手の曲は珍しいと思ったが、案の定取り敢えずは演奏したものの、アダムスの「8ビートは好きじゃない」の一言で没になった曲だった。
アップテンポのAutumn Leavesや、Alf Clausenのアレンジの残り曲Captain Perfectでのアダムスのプレーは決して悪くはない。

そして、アダムス抜きで新たに録音した曲が2曲。
一曲は、エリントンナンバーのSophisticated Lady.。これはアダムスの録音の時にも用意された曲だった。しかし、その時アダムスはアレンジが気に入らなく没となった。アレンジにも手が加えられ、クリスチャンセンのバンドのバリトン奏者Jean Fréchetteがアダムスに代わって演奏している。

そして、もう一曲がこのアルバムのハイライト。アルバムのタイトル曲でもあるクリスチャンセンが新たな書いた曲More Pepperだ。
ここでは、バンドのサックス奏者が全員バリトンに持ち替えてそれぞれのバリトンの技を披露する。重厚なバリトン5本のアンサンブルにそれぞれのソロが続く。サックスセクションが皆揃って、皆にとっては師ともいえるペッパーアダムスを悼み、More Pepperの競演となった。

1. Arlequin                 Danny Christianson 7:45
2. Sophisticated Lady            Ellington,Oarish,Mills 6:44
3. Autumn Leaves             Kosma,Prevert,Mercer 7:28
4. Captain Perfect                  Alf Clausen 6:28
5. More Pepper                Denny Christian 8:22
6. Osage Autumn                Kim Richmond 6:38

Denny Christianson (tp,flh)
Pepper Adams (bs)  #1,3,4,6

Roger Walls  (tp)
Ron DiLauro  (tp)
Laflèche Doré  (tp)
Jocelyn Lapointe  (tp)
Patrice DuFour  (tb)
Muhammad Abdul Al-Khabyyr  (tb)
André Verreault  (tb)
Bob Ellis  (btb)
Richard Beaudet  (ts,cl.fl,bs)
Jean Lebrun  (ts,ss,fl,Piccolo,bs)
Patrick Vetier  (as,cl.fl,bs)
Joe Christie, Jr.  (as,ss,cl,fl,Piccolo,bs)
Jean Fréchette  (bs,bcl)
Kenny Alexander  (p)
Vic Angelillo  (b,eb)
Paul Picard  (per)
Richard Ring  (g)
Pierre Pilon  (ds)

Produced by Jim West, Denny Christianson, Ian Terry
Engineer : Ian Terry
Recorded on February 24 & 25, 1986 at Studio Victor, Montreal, Canada (#1,3,4,6)
& on May 3, 1987 at Studio Tempo (#2,5)

More Pepper
クリエーター情報なし
Justin Time Records
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポールゴンザルベスのテナーは、クラークテリーとのコンビで魅力が倍増するようだ・・

2015-10-19 | MY FAVORITE ALBUM
“Cookin’” Complete 1956-1957 Session / Paul Gonsalves

ビッグバンドの演奏だとどんなにフィーチャーされてもソリストの良さは全体の演奏の中に埋もれてしまいがちだ。アレンジが良ければよいほど、そしてアレンジ自体がソロと一体化されたものであると、そのソロも自然に曲の中の一部になってしまう。

しかし、中にはビッグバンドでありながら、忘れられないソロプレーが過去にいくつかある。その一つが、56年のニューポートジャズフェスティバルにおけるデュークエリントンオーケストラのDimuendo and Crescendo in Blueでのポールゴンザルベスの27コーラスのソロだろう。ある種の伝説として語られている。これは、7000人を超えるファンが熱狂したという会場の雰囲気も一緒になって実現されたソロプレーであろう。ライブそのライブ録音を聴くと、なかなかスタジオでは再現できないと思う。

このゴンザルベスがデュークエリントンオーケストラに加わったのは1950年。途中一時抜けた時期はあるようだが、それから24年間亡くなるまでエリントンのオーケストラで過ごした。エリントンに加わる前は、カウントベイシー、ディジーガレスピーのオーケストラに加わっていたというので、生涯ビッグバンド中心の人生をおくっていたゴンザルベスであった。

したがって、このゴンザルベスのプレーを聴くとなると基本的にはエリントンオーケストラでの演奏であるが、何枚かコンボでの演奏も残している。ニューポートの直前にはゲッツとの共演アルバムもあるが、リーダーアルバムとなると殆ど60年代以降の録音である。その中で伝説の56年のニューポートのプレーの後に、ゴンザルベスのテナーに焦点を当てた何枚かのアルバムがある。いずれもマイナーレーベルのアルバムであるが、FreshSoundがこれらを纏めて56〜57年のゴンザルベスのコンプリートセッションとしてCDとなってリリースされている。

中心となるアルバムは、ゴンザルベスの初のリーダーアルバムといえるCookin’。
オリジナルはARGOからリリースされたアルバムだが、クラークテリー、ジミーウッド、サムウッドヤードといった当時のエリントンオーケストラの仲間達と一緒に録音されたアルバムだ。
ニューポートから一年後の57年8月、オーケストラがシカゴに滞在中に録音された。ピアノは、流石に御大エリントンは不参加で、地元のピアニストウイリージョーンズが加わっている。此のローカルミュージシャンであるピアニストのジョーンズがピアノを打楽器的にプレーする。山下洋輔にも通じる面白いスタイルだ。

ゴンザルベスのテナーは、クラークテリーのトランペット同様決してモダンとはいえないが、かといって古臭いスイングスタイルという訳でもない。曲も2人の曲の持ち寄りが大半であるが、両者のコンビネーションが実にいい感じだ。
クラークテリーは後にボブブルックマイヤーとのコンビでも、実にスインギーなよくうたうソロの掛け合いを楽しめた。テリーのプレーはどうして周りのプレーヤーをハッピーな気分にさせてくれるのだろうか?この和気藹藹とした気分が聴き手にも伝わってくる。



一曲目の、その名も”Festival”。いきなり、ニューポートのソロを思い起こさせるゴンザルベス節を披露する。ファンはこのプレーを待っていたはずだ。この独特な、どこまでも続いていきそうな節回しがゴンザルベスの魅力だ。確かに周りが乗り出したら27コーラスも難なくこなせるかもしれない。続くテリーの曲”Terry’s Bar”では、テリー節が光る。この特徴ある節回しもテリーの魅力だ。ゴンザルベスのテナーはアップテンポのノリノリのプレーだけが魅力ではない。”The Girl I Call Baby”では、スローバラードで泣きのテナーも楽しめる。




このアルバムには、この”Cookin”以外に”The Jazz School”と題されたEmarcy盤、そしてベースのジミーウッドがリーダーとなった”The Colorful Strings of Jimmy Woods”が収められているが、いずれのアルバムにもゴンザルベス以外にクラークテリーが参加している。いつもはエリントンサウンドに埋もれてしまっていたのかもしれないが、実はこのテリーとゴンザルベスの2人の節回しのブレンドが、これらのアルバムの魅力を生み出している。

ウッズのアルバムは、Cookin’の一か月後の録音。こちらはアルトとフルートが加わっている。2人の基本路線は変らないが、フルートがリードをとることも多くグループとしてのサウンドは少し異なる。テリーはミュートプレーも多くなり、ゴンザルベスのトーンもいくらか抑え目だ。4管編成になったこともあり、ソロのバックにはリフサンサンブルが入ることが多い。ここではテリーのリフのリード役の真骨頂が聴ける。
テリーは、この後クインシージョーンズジェリーマリガンのビッグバンドにも参加するが、皆がテリーを頼るのも良く分かる。

エリントンサウンドだけでなく、ソロの魅力を存分に楽しめるゴンザルベスのコンボでのプレーもなかなかいいものだ。

1.  It Don't Mean a Thing        Duke Ellington / Irving Mills 3:16
2.  Take Nine                    Paul Gonsalves 2:57
3.  Everything Happens to Me        Tom Adair / Matt Dennis 3:06
4.  Don't Blame Me                  McHugh - Fields 3:19

Clark terry (tp)
Paul Gonsalves (ts)
Poter Kilbert (bs)
Junior Mance (p)
Cubby Jackson (b)
Eugene Miller (ds)

Recorded in New York City on September 19, 1956

5.  Festival                     Paul Gonsalves 6:53
6.  Clark's Bars                     Clark Terry 3:36
7.  Daddy-O's Patio                    Clark Terry 2:15
8.  Blues                      Paul Gonsalves 4:59
9.  Impeccable                   Paul Gonsalves 4:19
10.  Paul's Idea                   Paul Gonsalves 2:47
11.  Phat Bach                   Paul Gonsalves 3:18
12.  Milli Terry                    Clark Terry 2:32
13.  Funky                      Clark Terry 4:02
14.  The Girl I Call Baby                Clark Terry 3:32

Clark Terry (tp)
Paul Gonsalves (ts)
Willie Jones (p)
Jimmy Woode (b)
Sam Woodyard (ds)

Recorded at Sheldon Recording Studio, Chicago on August 6, 1958

15.  Falmouth Recollections            Jimmy Woode  3:12
16.  The Way You Look Tonight          J.Kern D.Fields 4:55
17.  Footy For President              Jimmy Woode 6:59
18.  The Man from Potter's Crossing         Jimmy Woode 4:21
19.  Dance of the Reluctant Drag           Jimmy Woode 4:23
20.  Empathy, For Ruth               Jimmy Woode 3:26

Clark Terry (tp)
Mike Simpson (fl)
Porter Kilbert (as)
Ramsey Lewis (p)
Jimmy Woode (b,vol)
Sam Woodyard (ds)

Recorded in Chicago on September 2, 1957

Cookin - Complete 1956-1957 Sessions
クリエーター情報なし
FRESH SOUND
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

父と娘の微笑ましい対話が・・・・

2015-10-16 | CONCORD
TELL IT LIKE IT IS / STACY ROWLES with JIMMY ROWLES

Concordのアルバムをリリース順に棚卸している。
このステイシーロウルズのアルバムは以前記事にしたのを思い出した。
多少加筆して、再掲しておくことにする。

ジャケットを大きく飾るトランペットを吹く女性の姿
ジャズの世界では珍しい光景だ。

何の分野でも最近は女性パワーがすばらしい。ジャズの世界でも・・・。
ボーカルの世界は圧倒的に女性軍の勝ち、ピアノの世界も昔から女性が数多く活躍している。ピアノだけでなく作編曲、さらにはビッグバンドを率いていいた秋吉敏子のエネルギーには感嘆するばかり。
そして、最近は管楽器の分野でも女性陣の進出が目立つ。キャンディー・ダルファーや、矢野沙織のような。
しかし、トランペットとなると最近では市原ひかり・・・他に、なかなか思い浮かばない。

ここまでは、以前(8年前の2008年)に書いた。
それから7年、ジャズの世界で管楽器への女性陣の進出は目覚ましい。
最近ビッグバンドのライブを聴きに行っても、その中に女性の姿が目立つようになった。
先日も、宮之上貴昭のグループに、トロンボーンの駒野逸美が一人ゲストで加わって、バリバリのバップサウンドを聴かせてくれた。
ビッグバンドの中とは違って、大ベテラン相手に堂々としたプレーぶりであった。

ジャケット写真の女性の名前はStacy Rowles.。その名のとおり、ピアノのJimmy Rowlesの愛娘だ。
彼女は、7年生(日本でいえは中学1年だろう)の時にトランペットを始めハイスクールそしてカレッジバンドで演奏を続ける。1975年、というと彼女が20歳の時、ALL WOMEN BIGBANDの一員として、クラークテリーに率いられて「ウィチタジャズフェスティバル」にも出演している。このフェスティバル、前年にはこのクラークテリーが自らのバンドで出演していたそこそこ有名なもの。
その後も、西海岸で女性グループに加わり様々な演奏活動を行うようになる。

そこに、New Yorkで活動していた父Jimmyがロスに帰ってくることに。娘の活躍ぶりをみればそこは親心。たまには一緒にプレーをしようかということになる。
いずこの父親も同じだと思うが、自分の娘と一緒に演奏できるのはさぞかし嬉しいものであったと想像できる。
その彼らの演奏を地元のクラブ”Donte”で聴いたのが、このアルバムのプロデューサーのレナードフェザー。元々、企画ものが好きなプロデューサーだ。
早速、「この演奏を残しておこう」ということになったのが1982年の暮れ。ところがまだまだアルバムに残すには時期尚早と判断したのは父のジミー。
84年になって、ジミーから「準備ができたよ」とフェザーに声がかかって制作されたのがこのアルバム。

という訳で、比較的簡単な企画で生まれる(その「さりげなさ」が反対に良いのだが)のがConcordのアルバムの多くではあるが、今回はロウルズ父娘の想いも込めた記念に残すアルバムとして仕上がっている。

もちろん、彼女のトランペットとフリューゲルホーンを全面的にフューチャー。父のロウルズは、お得意の伴奏で彼女の引き立役に。とはいっても曲に合わせて味わいを出しているが。
父娘という関係を離れても2人は絶妙な組み合わせだ。
肝心な彼女の演奏は、リーモーガンの曲でファンキーな雰囲気で始まるが、後はフリューゲルホーンも多用し、女性らしい語りかけるような演奏が多い。
男勝りにバトルを繰り広げるというよりは、仲間を加えて父との会話を楽しんだセッションだ。

その後の活動ぶりは?と思って調べてみたら、以前記事を書いた翌年の2009年に交通事故で亡くなったという記事があった。

このアルバムを作った後も、父親と一緒に西海岸でプレーすることが多かったという。



更に、Swinging Ladiesというグループでヨーロッパでも活躍していたようだ。



ジャズの世界で活躍する女性のトランペットプレーヤーの先駆者の一人だった。
父ジミーとのアルバムは他にもあるが、彼女の名前を冠したリーダーアルバムはこれ一枚のようだ。


1. Most Like lee
2. Old Folks
3. Albamy Home
4. Mighty Like The Blues
5. Tell It Like It Is
6. There Is No Greater Love
7. Devil’s Island
8. Lotus Blossom

Produced by Leonard Feather

Stacy Rowles (tp,flh)
Jimmy Rowles (p)
Herman Riley (ts,fl)
Chuck Berghofer (b)
Donald Baily (ds)

Recorded at Sage and Sound Recording, Hollywood, March 1984

Originally released on Concord CJ-249
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベイシーオーケストラのリードアルトがテナーで大ブローすると・・・

2015-10-14 | MY FAVORITE ALBUM
Standarlize / Marshall McDonald

カウントベイシーオーケストラのリードアルトというと長年マーシャルロイヤルが務めた。あの艶やかなアルトは黄金期のベイシーサウンドのひとつといってもいい。

ベイシー亡き後のベイシーオーケストラ、リーダーは昨年来日時、トランペットのスコッティーバーンハートに交代していた。リーダーは代わってもそのサウンドを引き継いでいる。リードアルトはマーシャルマクドナルド。このマクドナルドも在籍期間はかなり長く、現在のベイシーオーケストラの顔の一人、ベイシーサウンドの継承者である。

このマクドナルドが先日し、バイソン片山率いるビッグバンドにゲスト参加してライブが行われた。元々ベテラン揃いのスインギーな演奏を得意とするバイソンビッグバンドでは、前回のライブでは澤田一範がリードアルトを務めていた。この日はその席にマーシャルマクドナルドを迎えて、すべてベイシーナンバーというプログラムであった。

ベイシーオーケストラを始めとして、ビッグバンドでは見かけることのあるこのマーシャルマクドナルドのコンボでの演奏は?というと、これまで聴いた事が無かった。当日は彼をフィーチャーした演奏も数曲、なかなかいい演奏だった。もっと聴いてみたいものだと思ったら、当日会場で彼のコンボでの演奏のアルバムを販売していた。早速買い求めたのがこのアルバムだ。

お馴染みの当然アルトの演奏かと思ったら、このアルバムでは全編テナーサックスでの演奏だった。確かに、他のビッグバンドではテナーを吹く事もあり、サックスはオールマイティーのようなので、コンボでは何を選んでもよかったのだが、このアルバムではテナー一本に拘ったようだ。
ベイシーオーケストラの前は、ライオネルハンプトンのオーケストラにも長く在籍した。ビッグバンド生活が長かったせいもあるのか、コンボでリーダーアルバムという今回のレコーディングにあたっては、普通のミュージシャン以上に「アルバムの狙い」には拘ったようだ。

まず決めたのがジャズのスタンダード曲。それらを、ピッツバーグ出身のマクドナルドだが、若い頃まだ地元で日々繰り広げていたブローイングセッションのスタイルでやるということだった。

確かに、曲は誰もが知っているスタンダード曲ばかり。当然、ジャズファンであればそれぞれに過去の名手の演奏が思い浮かぶが、当のマクドナルドも、それぞれの曲には彼自身の思い出の演奏があったようだ。

例えば、一曲目のジャストインタイムはスタンレータレンタインであり、イエスタデイズは、彼の先生であったジョージコールマン、インビテーションはジョーヘンダーソンといった感じで、一曲毎にマクドナルドが自らの活動経験から得た先輩達のプレーへの思い出があるようだ。我々聴き手との印象とはまた違ったものなのだろう。これらの元の演奏との聴き較べも楽しいかもしれない、新たな発見があるかも。

マクドナルドのテナーは、あまり重々しくなく、かといって軽いクールな音質でもなく、癖のない演奏スタイルだ。古臭くもなく、かといって新しくもなく。音質といい、スタイルといいある種ジャズテナーの標準型とでもいうような演奏スタイルだ。スタンダード曲をお手本のようなスタイルで演奏すると、ある種教科書的な演奏で、面白みに欠けるアルバムになりそうだが・・・・

しかし、良く聴くと微妙に曲によってスタイルが異なっているようにも聴こえる。ある時はロリンズ風に、ある時はベンウェブスターのように。多分、彼が印象に残っている(影響を受けた)過去の偉大なプレーヤーの演奏が頭の中に蘇っているのかもしれない。そして、どの曲も当初の狙い通り段々熱くブローしてくる。ベイシーのオーケストラの中では、どうしてもソロでフィーチャーされても思う存分大ブローになるというのは稀であろう。という点だけでも、このアルバムを作ろうと思った主旨は十分に実現できたということになる。

最後に、Ridin’n The Traneとされたオリジナルのブルースが収められている。曲名にあるようにこの曲はコルトレーンに捧げられた曲。そして一転して演奏スタイルも別人のようにがらりと変る。それはマクドナルドのテナーだけでなく、ピアノもベースもドラムも。小気味よいドラムを叩いているジムモーラも一転して、パルスが迸るドラミングに。この曲だけは同じメンバーでの演奏とは思えない。

アルバムのコンセプトは同じでも、やはりコルトレーンスタイルというのは一線を画するものかもしれない。マクドナルドのbioを見ると、好きなプレーヤーの中にコルトレーンの名前が挙がっている。テナーを吹いてこのアルバムを作る以上はコルトレーンを無視できないし、「俺だってコルトレーンスタイルはできるんだ」ということをアピールしたかったのかもしれない。しかし、アルバム全体から見れば少し場違いな演奏を自覚したのか、この曲はフェードイン、フェードアウドで終わる。

いずれにしても、いつもはサックスセクションの要であるマーシャルマクドナルドがソリストとしての実力を存分に披露しているアルバムだ。それも、いつも聴き慣れているアルトではなくテナーサックスで。聴き慣れたスタンダード曲を、決して物まねではなく様々なテナーサックスの先輩たちのスタイルを「マクドナルド風にスタンダライズするとこうなるんだ」ということをアピールしたかったのだろう。

1. Just in Time
2. Yesterdays
3. Invitation
4. Have You Met Miss Jones
5. You’d Be So Nice To Come Home To
6. Sweet Georgia Brown
7. Lester Leaps In
8. Fungi Mama
9. One O’Clock Jump
10. Ridin’ The Trane

Marshall McDonald (ts)
John Colianni and Jim West (p)
Bill Moring (b)
James Mola (ds)

Produced by Marshall McDonald
Recording Engineer : Tom Tedesco
Recorded at Tedesco Studios, Paramus, NJ on March 25 & June 7 2010


Standardize
クリエーター情報なし
CD Baby
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ペッパーアダムスの最後のコンボでの演奏もギターの新人と一緒に・・・

2015-10-10 | PEPPER ADAMS
Echoes / Joshua Breakstone


最近若い人の演奏でもスイングスタイルやバップオリエンテッドなど古いスタイルの演奏を聴く事が多い。
ジャズは過去のアルバムが何度もリリースされ、新たなジャズファンがそれを耳にしてジャズの魅力を知ることになる。古いオリジナルの音源が時代を経てこれだけ繰り返し聴かれるという音楽は他にはあまりないだろう。
その中でも、やはりバップからハードバップの時代のジャズにはジャズの魅力が詰まっている。どんなに新しいスタイルが登場し、変化していっても、ジャズの王道として生き続けるような気がする。
過去、フリーやフュージョンなど幾多の新しいスタイルが生まれても、その中でバップオリエンテッドな演奏をするミュージシャンは必ず存在し、彼らのアルバムも存在してきた。80年代の半ば、フュージョン全盛期でも同じであった。

このバップの伝統を伝承するには、その道に長けた伝道師も必要であった。先日亡くなったフィルウッズもその一人だと思う。中でもバリーハリスという長老がまだ健在だがその代表格であろう。

80年代の新人ギタリストというと当然ロックやフュージョン系の演奏を得意とする者が多かった。1955年生まれのジョシュア・ブレイクトーンがジャズと出会ったのは14歳の時。ギターの練習を始めたが、最初仲間内でプレーするのはもっぱらロックであったという。
しかし、バークレーで本格的に学び、その後ニューヨークでジャズを演奏するようになった。その時、一番教えを受けたのは近くに住むバリーハリスであったそうだ。
そして、ハリスと一緒にアルバムも作った。そして、自然と彼のギターはジミーレイニーのようなスタイルになっていったという。

このブレイクストーンが1986年に、新生コンテンポラリーレーベルでリーダーアルバムを作った。実は、このアルバムにペッパーアダムスが参加している。結果的にこれが、アダムスの最後のコンボでのレコーディングとなった。

アダムスは前年の1985年にガンの宣告を受けたが、治療を続けながら演奏活動は続けていた。体調は必ずしも芳しくなく、一カ月近く自宅で療養する事もあった。しかし、病を押してヨーロッパツアーも行っている。この年のクリスマスホリデイは自宅で休養し、年が明けた86年1月はギグに出掛けたのもほんの数日であった。

そして、翌2月はアダムスにとって最後の大仕事が続いた。
まずは、このブレイクストーンのレコーディングのためのリハーサルがスタートする。前年の最後のリーダーアルバム"The Adams Effect"以来、久々のレコーディングであった。

2月17日はサドメルのオーケストラが誕生して記念すべき20周年であった。本拠地ビレッジバンガードではこれを祝って4日間のスペシャルプログラムが組まれ、OB達も数多く集まった。
リーダーのサドジョーンズはデンマークで病床に伏せていたが、ペッパーアダムスはこのイベントの初日に参加し、ボディアンドソウルでフィーチャードソリストとして元気な姿をサドメルファンの前に見せてくれた。

このイベント出演を終え、19日にこのアルバムが録音された。そして、23日にはモントリオールを訪れ、アダムスのラストレコーディングであるダニー・クリスチャンセンのビッグバンドの録音に臨んだ。病気を感じさせない過密スケジュールであった。

その後も、アダムスは体力の続く限りgigやジャズフェスティバルへ参加したが、7月5日のモントリオールジャズフェスティバルへの出演がファンの前での最後の演奏となった。しかし一人で階段も登れず、車椅子に座っての演奏であったという。体力的にも限界であったが、これをサポートしたのもクリスチャンセンであった。

さて、このアルバムであるが、どのような経緯でアダムスが参加したのかは分からない。しかし、このアルバム作りがバリーハリスの肝いりという事であれば、同郷の旧友ハリスの要請だったのかも知れない。

アルバムに選ばれた曲にもハリスの曲がある。Even StevenはハリスのアルバムLuminescence! で演奏された曲、このアルバムにはアダムスも参加していた。そして、バウエルの曲、Oblivionは実はアダムスが1957年初のリーダーアルバムを作った時に演奏したかった曲だそうだ。スタンダード曲もあるが、選曲もバリバリのバップオリエンテッドだ。

モダンジャズのギターの始祖はチャーリークリスチャン。演奏スタイルも、ブレイクストーンのギターはケニーバレル、タルファーロー、ジミーレイニーといったその後継者を受け継ぐ正統派のスタイルだ。
しかし彼は若い頃はギターはあまり聴かなかったという。初アルバムを作った後に、ジミーレイニーに似ていると言われ始めてレイニーのレコードを聴いたという。リーモーガンでジャズに目覚め、プロになってからもアードファーマーを聴きこんだというように、彼のスタイルの源泉はホーンプレーヤーのようだ。

そういえば、ペッパーアダムスがニューヨークに出てきた直後のデビュー作Detroit Menは、ケニーバレルのギターを加えたクインテット編成であった。それから30年経ち、奇しくもアダムスのコンボでのラストレコーディングとなったこのアルバムも同じギターを加えたクインテット編成だ。

色々グループで、数多くのミュージシャンとプレーし、コンボからビッグバンドまで何でもこなしたアダムスであったが、アダムスのプレースタイルの基本は洗練されたバップオリエンテッドな演奏であったようだ。


1. Oblivion        Bud Powell   6:16
2. It's Easy to Remember Rogers-Hart   11:00
3. My Heart Stood Still  Rogers-Hart  5:56
4. Even Steven       Barry Harris  7:07
5. To Monk with Love   Barry Harris  6:22
6. Bird Song       Thad Jones  7:15

Joaua Breakstone (g)
Pepper Adams (bs)
Kenny Barron (p)
Dennis Irwin (b)
Keith Copeland (ds)

Produced by Joshua Breakstone
Engineer : David Baker

Recorded at Eras Studio, New York City, February 19,1986


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フィルウッズの偉大な功績は、初のリーダーアルバムからその片鱗が・・・・

2015-10-07 | MY FAVORITE ALBUM
Woodlore / Phil Woods Quartet

先日、フィルウッズの訃報がニュースで流れた。自分が生まれる前から活躍しているウッズ、自分にとっては父親の年代に近い大ベテラン。ずっと現役を続けてきたが、先日演奏活動を止めるというニュースが流れたばかりであった。仕事を辞めると、健康を害すという話は良く聞く。自分の父親もそうであったが、仕事を続けるのが長生きの秘訣かもしれない。

自分とウッズの出会いは早い。ジャズのレコードをまだ何枚かしか持っていない時に、Phil Talks with Quillはその中の一枚であった。擦り切れるほど聴いた。その後ビッグバンドが好きになっても、クインシージョーンズのアルバムで登場したのがウッズであった。

ヨーロピアンリズムマシーンで復帰をした時の迫力にはびっくりした。その後も、自分のグループだけでなく、色々なアルバムに登場した、小さな編成からビッグバンドまで、そして歌伴でも。
作曲やアレンジも得意とした、いわゆるオールマイティーのミュージシャンであり、サックス好きの自分にとっても好きな一人である。

訃報を聴くと、しばらくその故人のアルバムを聴く事が多くなる。しかし、ウッズの関係したアルバムは沢山あるので、どれから聴くか迷う程だ。

久々に、初のリーダーアルバムを聴き返した。
1955年、ウッズが24歳の時の録音だ。初の12インチLP用の録音でもあったようだ。ワンホーンで、ウッズのアルトがタップリと聴けるデビュー作に相応しいアルバムだ。
丁度この年の3月パーカーが亡くなった直後だ。「後は任せろ」との気概も感じる。

ミディアムテンポのウッズのオリジナル曲で始まり、次のニフティ―の曲ではバラードプレーを。アップテンポのゲットハッピーでは、スピードに挑戦。最後の彼の娘に捧げてオリジナルでは思いっきりグルービーな演奏を。パーカー派のアルトの代表格ウッズの本領を初アルバムでいきなり発揮している。

野球でいえば、よく攻守走3拍子揃った名選手という。このウッズも若くして、ライナーノーツに、ウッズのアルトを評してアイラギトラーが記している。

Soul:すごくソウルフル、疑いなく彼のルーツはジャズに根差している。
Swing:強烈にハードにスイングし、ファンキーでもある。
Ideas:いつも考えられていて、探求している。特に、リズミカリーに。素晴らしくメロディックなセンスも持ち合わせている。
Technical Skills:楽器を自由に駆使でき、そして綺麗で歌う音色で。
Potential:無限である

デビューしたばかりの新人の評価であったが、その後の活動を見ても、それらが間違いのない事であったのが実績で証明された。さらに、作編曲やプロデュースなど、アルトプレーヤー以外の評価が加わると、ウッズの偉大さが改めて分かる。

バックのリズムセクションは、一緒にプレーしていた仲間、同じニューイングランド出身のメンバーが多い。ピアノのジョンウィリアムスのパウエルの流れをバップスタイルのリズミカルなバックが良い感じだ。最近はこのようなピアノを弾く人は少ない。日本人では吉岡秀晃といった感じだ。

この後、ウッズはジーンクイルとコンビを組むことになるが、このジョンウィリアムスがクラブ出演する時、ヨーロッパでの巡業帰りのクイルのオーディションを兼ねたセッションが行われた。ヨーロッパで楽器を盗まれ、借り物のアルトで、ウッズと共に大ノリの演奏を繰り広げ、これが2人のコンビ結成のきっかけになったそうだ。という意味では、2人の仲人役であったのは、ウィリアムスのピアノということになる。

このデビューアルバムに、その後の活躍の色々な要素が詰まっているような気がする。



1. Woodlore                      Phil Woods 5:19
2. Falling In Love All Over Again           Neal Hefti 4:41
3. Be My Love                   Carn-Bradsky5:35
4. On A Slow Boat To China             Frank Loesser 5:00
5. Get Happy                     Arten-Koehier 6:42
6. Strollin’ With Pam                     Phil Woods 5:19

Phil Woods (as)
John Williams (p)
Teddy Kotick (b)
Nick Stabulas (ds)

Supervised by Bob Weinstock
Recording Engineer ; Rudy Van Gelder
Recorded in Hackensack N.J. on November 25, 1955

Woodlore
クリエーター情報なし
Ojc
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サドジョーンズと同じような道を歩んだフランクフォスターも、やはり自分のビッグバンドを・・・

2015-10-05 | MY FAVORITE ALBUM
Manhattan Fever / Frank Foster and The Loud Minority

ペッパーアダムスと一緒にジェイムスディーンの初アルバムに付き合ったフランクフォスターペッパーアダムスの最後のリーダーアルバム"The Adams Effect"は、この後、フォスターや昔の仲間と一緒に録音したものだった。

このフォスターは、ベイシーオーケストラに参加する前は、デトロイトでプレーをしていたという。地元のジョーンズ兄弟やアダムスとは若い頃からの付き合いであった。
53年にベイシーオーケストラに参加したが、トランペットのサドジョーンズと一緒にカウントベイシーオーケストラの黄金期を支えた一人だ。プレーだけでなく、作編曲でも腕を振るった2人であった。

ベイシーのオーケストラを辞めた後は、エルビンジョーンズと一緒にプレーした時期もある。サドジョーンズもフォスターもビッグバンドの人という印象を強く受けるが、どちらもソリストとしても一流だ。ソリストとしてはどちらかというとサドジョーンズがメインストリーマー、晩年はフリュゲルホーンを多用しよりソフトなプレーになっていったのに対し、フォスターはアグレッシブなコルトレーンライクな力強いプレーになっていった。

一方で、やはりフォスターはビッグバンドとは縁が切れなかった。デュークピアソンのビッグバンドにも加わり、その後、サドメルのオーケストラに加わった時期もある。75年もメンバーの一員として来日し、サドメルのメンバー達とリーダーアルバム”Giant Steps”を作った。旧友ペッパーアダムスとも再会し、行動を供にした時期である。

そして、自らリーダーとなった”The Loud Minority”というビッグバンドも編成していた。メンバーは若手中心で-意欲的な演奏を繰り広げていたが、自らのアグレッシブなプレーをビッグバンドで再現していた。確か、このラウドマイノリティーの最初のアルバムはメインストリームの同名のタイトルのアルバムだと思うが、いわゆるスピリチュアル系とでもいうか、ベイシーオーケストラとは対極のようなスタイルの演奏であった。

このフォスターのビッグバンドは、サドメルのようにレコーディンだけではなくライブ活動も毎週月曜日に継続的に行っていた。その演奏が日本人のディレクター上野氏の耳に留まった。学生バンド出身、そしてベイシーやファーガソンのアルバムのリリースに携わった彼は、このフォスターのバンドのレコーディングに執念を燃やした。そして、アメリカでの新規レコーディングの一環として、この演奏も収録され、アルバムとして陽の目を見ることになった。日本人のプロデュースによるアルバム作りはこの時期多く行われていたが、ビッグバンドのアルバムはTOSHIKO-TABAKINのオーケストラを除けば、これが初めてであったようだ。

アルバムタイトルの「マンハッタンフィーバー」は、ブルーノートに同名のリーダーアルバムも残している。こちらはコンボでの演奏。ビッグバンドでの演奏はこれがお披露目であった。同じ曲のビッグバンドアレンジを聴く事ができる。

カウントベイシーを辞めて、サドジョーンズは自らサドメルでポストベイシーサウンドを確立した。同様にフォスターも自らのバンドでポストベイシー、さらにはサドメルでの経験を踏まえポストサドメルともいるビッグバンドサウンドを作り出していった。フォスターのビッグバンドは日々進化を重ねていった。同じ曲でもそのアレンジは変化をしていったという。

このアルバムの一曲目のスルーウェイトラフィックも、最初はシャープス&フラッツに提供された曲、アレンジであったが、このアルバムでは大分手が加えられている。演奏全体はフォスターのテナーの進化のようにエモーショナルであり、アグレッシブに変化している。かと思えば、2曲目はギターが確実にリズムを刻む様はベイシーオーケストラの伝統も踏まえている。タイトル曲のマンハッタンフィーバーも大編成で大きくスケールアップしている。あまり話題に出ることはないが、ひとつの時代を作ったビッグバンドだと思う。

サドジョーンズ、フランクフォスター、同じような経歴を辿り、それぞれがベイシーを卒業後自らのバンドで大きく飛躍しながら、最後はベイシーバンドに戻ったのも何か不思議な因縁を感じる。

1. Thruway Traffic            Frank Foster  10:29
2. Four Five Six             Frank Foster  9:39
3. Manhattan Fever            Frank Foster  8:57
4. Marie Jean              Ronnie Mathews  11:22

Frank Foster (ts,ss) & The Loud Minority
Sinclair Acey (tp)
Virgil Jones (tp)
Joe Gardner (tp)
Don McIntosh (tp)
Chris Albert (tp)
Kiane Zawadi (tb)
Charles Stephens (tb)
Janice Robinson (tb)
William Lowe (btb)
Leroy Barton (as)
Charles Williams (ts)
William Saxton (ts)
William Cody (ts)
Doug Harris (ts)
Kenny Rogers (bs)
Bill Davis (Tuba)
Michael Tucker (p)
Earl May (b)
Ted Dumper (g)
Charlie Persip (ds)
Roger Blank (per)

Produced by Yoshio Yoshida
Engineer : Jim McCurdy
Arranged by Frank Foster
Recorded at Sound Ideas Studio, New York on November 29 & 30, 1977

マンハッタン・フィーヴァー +2
クリエーター情報なし
日本コロムビア
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラジオ番組仕立ての初アルバムで、今後の活動も次なるステージへ・・・

2015-10-03 | MY FAVORITE ALBUM
まつきり三郎 & スイングバイ・ブラザース

ミュージシャンにとってレコーディングというのは一つの目標であり、活動の節目であろう。その昔はレコードを発売してくれるレーベルがまずありき。プロであっても新人のみならず、ベテランといえどもレコード会社にまずは認められないことには、アルバムを作ることもできなかった。

演奏が一度アルバムになれば、それなりに告知もされファンの間で話題になり、人気が出ることも。ファンにとっては実際のライブ演奏は聴いた事が無くとも、まずはレコードを聴いてファンになるのが普通であった。
ミュージシャンにとっても活動歴の中のひとつのステップとして、自分の参加したアルバムを紹介することもできた。ジャズのように、日々変化をしている中で「その時の演奏の記録」としての意味は大きいと思う。過去の偉大なミュージシャンも録音が無いと単なる伝説の人でしかない。

今の時代、レコード会社が企画して作られるジャズのアルバムというのは何枚あるのだろうか?自分は昨今の業界事情にはまったく疎いので、もしかしたらそれなりに発売されているのかもしれない。少なくとも自分はそのような新譜アルバムを最近買い求めたことは無い。

ライブに行った時に紹介されるアルバムというは、大部分が自主制作のアルバム。なかなか普段接することもないので聴く事はおろか、存在自体を知らない。昔は新しいアルバムが出ると雑誌で紹介され、ジャズ喫茶にも入荷し、ラジオで聴くことも多かったが、今はそれらを知ること自体が大変だ。

今思い返せば、ジャズを聴き始めた頃はラジオを良く聴いた。受験生の友であった深夜放送はもちろんだが、ジャズのよくかかる番組を探して欠かさず聴いていたものだ。ラジオで聴くと途中でDJの語りや解説も入って、知らず知らずのうちにミュージシャン・曲やアルバムの説明を受けることになる。それが自然と記憶の片隅に、ジャズを知るのはそんなパターンであった。

今は自主制作が当たり前の時代、誰でも作る気になればなれるのだが。しかし、せっかく作ったアルバムをどうやって世に知らしめ、ファンの手元に届けるか?何でもネットでできる時代になったとはいえ、実際にはなかなか難しい問題だ。
アルバムを作るにはそれなりのコストもかかる。道楽で作るのなら別だが、プロであればそれなりの儲けも出るくらい捌かなければならないし。プロモートや販売を全部自分でやるのも大変だ。

このところ、定期的に活動をしている「まつりき三郎とスイングブラザース」も初めてCDを録音したという話をしばらく前に聞いた。やっと発売にこぎつけたとのことで、久々に新CDの入手を兼ねてライブに出掛けてみた。場所は、高田馬場のサニーサイド。このバンドにはお似合いの、家庭的な雰囲気のライブハウスだ。

当日のライブの最初の曲はTo You。以前に聴いた時(その時、記事を書いた記憶がある)はラストの曲だったが、自分が好きな曲だ。



CDではこの曲が一曲目。スインギーなアップテンポな曲ではなくこの曲を選んだというのもユニークだが、このバンドの拘りを感じる。その後も、CDに収められている曲が続く。テナーの渡邊恭一の大ブローが聴けるMistyもライブではアルバム以上の大熱演。締めはベイシーナンバーで有名なシャイニーストッキングス。相変わらず、レパートリーの豊富さと多様さを楽しめるプログラムであった。

「このバンドはスイングジャズをやるバンド」とリーダーの松木氏はいうが、従来の常識のスイングバンドではない。
このバンドの良さを一口でいうのは難しい。メンバーがビッグバンド好き、ドラムレスとか、アレンジ重視とか、曲は何でもとか付け加えていっても、果たしてどこまでイメージできるか。
どんなバンドかというのは、百聞は一見にしかず。ライブを一度聴いて貰うのが一番だが、まずはこのCDを聴いてみるのがいい。

というのも、このCDは50分の収録時間があるが、曲は全部で8曲30分のミニCD。残りはというと曲間にDJが収められている。実は、このCDはジングルも含めて全体がラジオ番組仕立てされている。曲だけでなくDJを含めてこのCDを通して聴くと、このバンドのプロファイルやコンセプトも良く分かるという仕掛けになっていた。

初アルバムといって、意欲だけが空回りして面白くないアルバムも多い。
その点、このCDは自分達のやりたいことのプロモーションと、自分達の技のプレゼンテーションとしては完璧だ。これを聴いて実際にライブを聴いてみようと思う人は多いと思う。自分はこのCDを聴いて、こんな形で新しいグループを知り、次第にジャズ好きになっていった昔のラジオ番組を思い出した。

スイングジャズと銘打ったライブは、大体年寄りが自分達の青春時代を懐かしみ、昔懐かしいサウンドを聴きに集まるものが多い。ところが、今回のライブは若者、ミドル、女性でほぼ満席。自分のような年寄りは反対に肩身が狭かった。きっと今までのスイングジャズのファンだけでなく、このCDを聴いて新たなファンも増えていくと思う。常識破りのスイングジャズで、今後の益々の活躍を期待したいものだ。

1. To You
2. Royal Garden Blues
3. Cantina Band
4. Misty
5. Last Train Home
6. Diarrhea Diary Rag
7. Aren’t You MOSAKU?
8. Shinny Stockings

まつきり三郎 & Swing-by Brothers
MATSUKI Risabro 松木 理三郎 (tp)
WATANABE Kyoichi  渡邊 恭一 (ts cl)
ENOMOTO Yusuke  榎本 裕介 (tb)
KAWANURA Ken 河村 健(p)
KAJI Yuta 加治 雄太 (g)
KIKUTA Shigenobu 菊田 茂伸 (b)

Arranged by 松木理三郎

Produced by Matsuki Risabro & Swing-by Brothers
Recorded at Pastoral Sound, Setagaya, Tokyo on June 19 2015
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする