Supersax Plays Bird
パーカーの死後、「パーカーに追いつけ・追い越せ」と若手の先頭を切っていた一人がフィルウッズ。4人の仲間が集ってアルトのバトルを繰り広げたのが、先日紹介した”Four Alto”だ。
それから15年が経った。一方で、百戦練磨のベテラン達は自分たちでプレーをすればするほど、またアレンジをすればするほど、パーカーの残した美しいアドリブの旋律に魅入られてしまったようだ。裏を返せばパーカーを越える旋律を誰もがそう簡単には生みだせないということかもしれない。
「誰もが認めるパーカーのアドリブ」。実はそれ自体が新しい曲になる。
このことを最初にスーパーサックスのリーダー格であるメッドフローリーに知らしめたのは、身近にいた。フローリーのバンドに在籍していたジョーマイニというアルト奏者だそうだ。フローリーがサックスセクションのアレンジをしている時、パーカーのソロを書き出してみようとしたフローリーに対して、このマイニが「パーカーのソロはすべて覚えている」と言い出して、フローリーの仕事が非常に役立ったということがあったそうだ。
スパーサックスが生まれる10年近く前のことだが、実はこの時はそれ以上何も起こらなかったそうだ。
でも、同じようなことを考える人物は他にもいた。同じくフローリーと一緒に仕事をしていたベースのバディークラーク。今度は、「もしバードの全スコアを持っていてそれで仕事をしたら素晴らしいだろうな」とフローリーに話しかける。フローリーが忙しいからやっていられないよというと。クラークが「それなら自分でやるよ」と言い出して、採譜のやり方までフローリーに習って生まれたのが、このスパーサックスのスコアの元となったそうだ。
この辺りの経緯は、このアルバムのライナーノーツにレナードフェザーによって語られている。
ここまでお膳立てが出来ればやるしかない。
フローリーの元にサックス仲間の中から何人かの有志が集まった。多少メンバーの出入りはあったようだが、11ヶ月にも及びリハーサルを経て生まれたのがこのアルバム。
日常行われる「初見で一丁上がりのスタジオセッション」とは訳が違う。
多分パーカーの演奏を手本に、譜面の読み方ひとつから、アンサンブルの楽器の強弱のバランスまで、何度も議論を重ねてブラッシュアップしてきた演奏のお披露目だ。
演奏はよくある5本のサックスのアンサンブルワークだが、実はアレンジ自体に凝ったところはほとんど無い。パーカーのソロを思い浮かべながら、いかにそれをアンサンブルで表現するかに集中している。
バックを努めるホーンセクションのコンテカンドリが合間でソロを見せるが、サックスのソロも基本的にはない。サックスセクションはあくまでもこのアンサンブルがひとつの楽器の役を果たしている。
ローランドカークという複数のサックスを同時に吹く超人がいる。「もしもパーカーが5本のサックスを吹けたらこのように吹くだろうと」思わせる演奏だ。
曲は、もちろんパーカーの過去の名演そして名曲から選ばれている。このようなアプローチはボーカルでいえばボーカライズ。ランバート・ヘンドリックス&ロスが得意にしてきたが、サックスだけでそれも全編このようなアプローチをしたのはこのスパーサックスが最初であろう。
このスーパーサックス、1973年にこのアルバムが生まれてかなり長い期間活動した。
このYou Tubeの映像は1988年とクレジットされている。
この種の企画は奇抜であったり面白かったりすると数回は続くものだが。これだけ長続きしたのも、「パーカーのアドリブという素晴らしい素材」を選んだからであろう。悪い素材はどんなに綺麗に調理してもおいしい料理にはならない。たまには素晴らしい素材を手の込んだ料理にして食べるのもいいものだ。
1. Koko Parker 3:22
2. Just Friends Klenner, Lewis 3:20
3. Parker's Mood Parker 3:35
4. Moose the Mooche Parker 4:17
5. Starr Eyes DePaul, Raye 3:35
6. Bebop Gillespie 3:45
7. Repetition Hefti 3:05
8. A Night in Tunisia Gillespie, Paparelli 4:20
9. Oh, Lady Be Good Gershwin, Gershwin 2:55
10. Hot House Dameron 4:40
SUPERSAX
Med Flory (as)
Joe López (as)
Jay Migliori (ts)
Warne Marsh (ts)
Jack Nimitz (bs)
Ronnell Bright (p)
Buddy Clark (b)
Jake Hanna (ds)
Conte Candoli (tp)
Larry McGuire (tp)
Ray Triscari (tp)
Ralph Osborn (tp)
Mike Barone (tb)
Charles Loper (tb)
Ernie Tack (tb)
Produced By Jhon Palladino
Mauri Lathower Executive Producer
Recorded at Captol Records Studios , 1972,1973
パーカーの死後、「パーカーに追いつけ・追い越せ」と若手の先頭を切っていた一人がフィルウッズ。4人の仲間が集ってアルトのバトルを繰り広げたのが、先日紹介した”Four Alto”だ。
それから15年が経った。一方で、百戦練磨のベテラン達は自分たちでプレーをすればするほど、またアレンジをすればするほど、パーカーの残した美しいアドリブの旋律に魅入られてしまったようだ。裏を返せばパーカーを越える旋律を誰もがそう簡単には生みだせないということかもしれない。
「誰もが認めるパーカーのアドリブ」。実はそれ自体が新しい曲になる。
このことを最初にスーパーサックスのリーダー格であるメッドフローリーに知らしめたのは、身近にいた。フローリーのバンドに在籍していたジョーマイニというアルト奏者だそうだ。フローリーがサックスセクションのアレンジをしている時、パーカーのソロを書き出してみようとしたフローリーに対して、このマイニが「パーカーのソロはすべて覚えている」と言い出して、フローリーの仕事が非常に役立ったということがあったそうだ。
スパーサックスが生まれる10年近く前のことだが、実はこの時はそれ以上何も起こらなかったそうだ。
でも、同じようなことを考える人物は他にもいた。同じくフローリーと一緒に仕事をしていたベースのバディークラーク。今度は、「もしバードの全スコアを持っていてそれで仕事をしたら素晴らしいだろうな」とフローリーに話しかける。フローリーが忙しいからやっていられないよというと。クラークが「それなら自分でやるよ」と言い出して、採譜のやり方までフローリーに習って生まれたのが、このスパーサックスのスコアの元となったそうだ。
この辺りの経緯は、このアルバムのライナーノーツにレナードフェザーによって語られている。
ここまでお膳立てが出来ればやるしかない。
フローリーの元にサックス仲間の中から何人かの有志が集まった。多少メンバーの出入りはあったようだが、11ヶ月にも及びリハーサルを経て生まれたのがこのアルバム。
日常行われる「初見で一丁上がりのスタジオセッション」とは訳が違う。
多分パーカーの演奏を手本に、譜面の読み方ひとつから、アンサンブルの楽器の強弱のバランスまで、何度も議論を重ねてブラッシュアップしてきた演奏のお披露目だ。
演奏はよくある5本のサックスのアンサンブルワークだが、実はアレンジ自体に凝ったところはほとんど無い。パーカーのソロを思い浮かべながら、いかにそれをアンサンブルで表現するかに集中している。
バックを努めるホーンセクションのコンテカンドリが合間でソロを見せるが、サックスのソロも基本的にはない。サックスセクションはあくまでもこのアンサンブルがひとつの楽器の役を果たしている。
ローランドカークという複数のサックスを同時に吹く超人がいる。「もしもパーカーが5本のサックスを吹けたらこのように吹くだろうと」思わせる演奏だ。
曲は、もちろんパーカーの過去の名演そして名曲から選ばれている。このようなアプローチはボーカルでいえばボーカライズ。ランバート・ヘンドリックス&ロスが得意にしてきたが、サックスだけでそれも全編このようなアプローチをしたのはこのスパーサックスが最初であろう。
このスーパーサックス、1973年にこのアルバムが生まれてかなり長い期間活動した。
このYou Tubeの映像は1988年とクレジットされている。
この種の企画は奇抜であったり面白かったりすると数回は続くものだが。これだけ長続きしたのも、「パーカーのアドリブという素晴らしい素材」を選んだからであろう。悪い素材はどんなに綺麗に調理してもおいしい料理にはならない。たまには素晴らしい素材を手の込んだ料理にして食べるのもいいものだ。
1. Koko Parker 3:22
2. Just Friends Klenner, Lewis 3:20
3. Parker's Mood Parker 3:35
4. Moose the Mooche Parker 4:17
5. Starr Eyes DePaul, Raye 3:35
6. Bebop Gillespie 3:45
7. Repetition Hefti 3:05
8. A Night in Tunisia Gillespie, Paparelli 4:20
9. Oh, Lady Be Good Gershwin, Gershwin 2:55
10. Hot House Dameron 4:40
SUPERSAX
Med Flory (as)
Joe López (as)
Jay Migliori (ts)
Warne Marsh (ts)
Jack Nimitz (bs)
Ronnell Bright (p)
Buddy Clark (b)
Jake Hanna (ds)
Conte Candoli (tp)
Larry McGuire (tp)
Ray Triscari (tp)
Ralph Osborn (tp)
Mike Barone (tb)
Charles Loper (tb)
Ernie Tack (tb)
Produced By Jhon Palladino
Mauri Lathower Executive Producer
Recorded at Captol Records Studios , 1972,1973
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