A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

「名は体を表わす」とよく言われるが・・・・

2008-02-29 | CONCORD
When Lights Are Low / Kenny Burrell Trio

「タイトルは内容を表す」アルバムもよくある。
例えば、ジェリーマリガンのアルバムに”Night Lights”というアルバムがある。ジャケットの写真がビルの夜景をイラスト化したもので、都会の夜の雰囲気を感じさせる洗練された演奏だ。マリガンの良さが生かされていて自分も好きなアルバムだ。

このアルバムのタイトルは”When Lights Are Low”。ベニーカーターの有名な曲で名演も多い。このアルバムのジャケットもこのタイトルにぴったりのデザインだ。ケニーバレルがギターを抱え、明かりを落とした暖炉の傍でリラックスしてプレーをしている。隣に恋人でもいて彼女に向かって弾いていたりしたら、なお更雰囲気のあるシチュエーションだ。

アルバムに針を落としてもミディアムテンポからスローな曲が続く。ベイシーの演奏で有名なリトルダーリンも。バレルのオリジナルのブルース「ブルーミューズ」では、珍しくアコースティックギターも弾いている。
そして、B面にはバレルが尊敬するエリントンの曲も。最後にはベイシーに捧げてブルースで締めくくる。

この頃、Concordはこれまで自分のレーベルに登場したおなじみのギタリストのリーダーアルバムを続けて出している。カルコリンズレモパレミエリハーブエリスチャーリーバードといったように。
そして、今回はケニーバレル。コンコルドでは一年前に彼のデビュー曲である「ティンティンデュオ」をタイトルにしたアルバムを出しているのでリーダーアルバムとしては2作目になる。
今回もベースとドラムを加えたトリオ編成だが、プレーぶりはアルバムのタイトルに合わせてか得意のブルースもしっとりと聴かせている。

演奏、タイトル、曲、ジャケットと3拍子ならぬ、4拍子揃ったアルバムだと思う。

1. When Lights Are Low            Carter, Williams 4:51
2. Body and Soul                Elyton, Green, Heyman, Sour 6:25
3. Lil' Darlin'                   Hefti 5:28
4. Blue Muse                  Burrell 5:15
5. Ain't Misbehavin'              Brooks, Razaf, Waller 4:58
6. It Shouldn't Happen to a Dream     Ellington, George, Hodges 6:25
7. Blues for Basie               Burrell 6:28

Kenny Burrell (g)
Larry Gales (b)
Cral Burnett (ds)

Carl Jefferson Executive Producer
Frank Dorritie Producer

Recorded in September 1978
Originally released on Concord CJ-83

When Lights Are Low
Kenny Burrell
Concord Jazz

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似たもの同士でコンビを組んだ2人であったが、その後の人生は・・・・

2008-02-28 | MY FAVORITE ALBUM
Phil & Quill With Prestige / Phil Woods &Gene Quill Quintet

若い時と歳をとってからの風貌ががらりと変わってしまう人がいる。先日アルバムを紹介したローズマリークルーニーもその一人だが、このアルバムの主役のフィルウッズもその一人だ。このジャケットに映るシルエットと、今の髭を生やした貫禄ある風貌が同じ人物とはなかなか想像できないものだ。
クインシーのオーケストラでリチャードソンと席を並べた時のウッズは、このジャケットの写真のようなちょっと見には優男であった。そのクインシーのオーケストラに加わる前、ウッズは同じアルトのジーンクイルとコンビを組んでいた。白人である2人は西海岸でウェストコーストジャズが興隆を極めていたにも関わらず、黒人が主導するハードバップの世界に身を投じていた。パーカーの華麗なスタイルを引き継いだ2人のプレースタイルは非常に似たタイプだ。それ故、タイプの違う2人が技を競いながらバトルを繰り広げるというよりは、お互いに自分で表現しきれない部分を補完しながら、ソロにアンサンブルに絶妙のコンビネーションを見せる。アレンジを施したアンサンブル、あるいはソロのオブリガードのつけ方はお互いによく意思疎通が図られていて、ハードバップを志向しつつも、ウェストコーストの香りも僅かに漂う。

このアルバムの曲はすべてウッズのオリジナル(CDにボーナストラックとして追加された2曲を除いて)であるが、いずれもミディアムテンポ以上のよくスイングする曲ばかりだ。2人の輝くアルトがより引き立つ。演奏スタイルは似ているが、この後EPICに吹き込まれたPhil Talks with Quillはバップの名曲ばかりを取り上げていたのとはアルバムの企画としては好対照だ。

ウッズとクイルは、60年代に入ってからはそれぞれクインシー、マリガンのビッグバンドに加わり、そしてスタジオの仕事が多くなる。ウッズは、その後、ソロプレーヤーとして復活し表舞台で活躍し続けているのに反し、クイルはバディーリッチのオーケストラの立ち上げメンバーに加わったのを最後にその後の録音を知らない。
順風満帆の人生を送っているウッズに対して、クイルの晩年は健康も害して必ずしも幸せな人生を過ごせなかったようだ。若い時は同じような境遇でありながら、2人の人生を分ける岐路がどこかにあったのであろう。
ウッズも若い頃とは風貌は一変しているが、ウッズ節のアルトの音色は80歳に近づいている今でもまだまだ健在だ。50年~60年代に活躍したプレーヤー達が大分いなくなってしまったが、残されたウッズは皆の分まで元気で活躍して欲しいものだ。

1. Creme de Funk           Woods 5:09
2. Lazy Like              Woods 5:53
3. Nothing But Soul          Woods 6:47
4. A Night at St. Nick's       Woods 6:48
5. Black Cherry Fritters      Woods 5:27
6. Altology               Woods 6:30
7. Airegin [*]             Rollins 6:23
8. Solar [*]              Davis 5:49

Phil Woods (as)
Gene Quill (as)
George Syran (p)
Teddy Kotick (b)
Nick Stabulas (ds)

Rudy Van Gelder Engineer
Bob Weinstock Supervisor

Recorded on March 29 , 1957

Phil & Quill with Prestige
Phil Woods & the Gene Quill Quintet
Prestige/OJC

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決して表舞台を歩かなかったリチャードソンが久々に・・・・

2008-02-27 | MY FAVORITE ALBUM
Jazz Station Runaway / Jerome Richardson

ニューヨークの地下鉄の入り口にアルト手にした姿は、年老いたストリートミュージシャンのような雰囲気だ。陰の実力者でありながら、表舞台ではあまり活躍しなかったリチャードソンを象徴しているようだ。

1960年、予定していたミュージカルの仕事が無くなり、ストリートミュージシャンの如く演奏できる場所を求めてヨーロッパの放浪の旅に出たのはクインシージョーンズオーケストラ。
そのサックスセクションに陣取っていた2人の名手。一人はフィルウッズ、
そして、もう一人がジェロームリチャードソン。ジャズの世界で2人の歩んだ足取りは近いようでもあり、遠いようでもある。

クインシーのオーケストラでウッズの席はアルト、リチャードソンはテナーだった。
ウッズはパーカー派としてデビューから今に至るまで一貫してアルトが中心だ。
一方のリチャードソンはあらゆるサックスをこなす。事実、リチャードソンが在籍したサドメルのオーケストラでは貫禄のリードアルトを努めていたし、サドメルサウンドの特徴を、ソプラノサックスやフルートで引っ張っていたのもこのリチャードソンだ。
2人は、スタジオミュージシャンとしても活躍をしていたので2人が加わったアルバムは数知れないほどに多い。クインシーのオーケストラだけでなく、色々なセッションで2人が一緒に参加することも多かった。そのスタジオワークはジャズだけではなくPOPSやR&Bの世界まで幅広い。思わぬとこころで2人の名前に遭遇することがある。

ウッズはスタジオセッションに参加するだけでなく自己のグループも持っていた。ジーンクイルとの双頭コンビヨーロピアンリズムマシーンなど有名なグループを率いてきて、リーダーアルバムの数も昔から今に至るまで非常に多い。また、コンボだけでなくオーケストラをバックにしたアルバムも多く、自ら作編曲も手がけ、ジャズの歴史のあらゆるシーンに登場する実力者だ。
自分としてもこのウッズは好きなプレーヤーの一人だ。

ところが、一方のリチャードソンは、自己のリーダーアルバムとなると非常に数が少ない。自分の知る限り6枚しかない。
このアルバムは、その少ないリーダーアルバムの中の一枚。
1996年の録音で、リチャードソンはすでに76歳になっていた。その後のリーダーアルバムは知らないので、多分自分の名を冠したアルバムとしてはラストアルバムであろう。

このアルバムでは、リチャードソン自らの曲を多くとりあげている。リチャードソンの唯一といってもいいヒット曲「グループマーチャント」も入っている。彼のテーマソングのようなものだ。
アルトと得意なソプラノ、そして時にはフルートをフィーチャーした曲が気軽な感じで続く。その中で演奏ぶりにも重みを感じるのは、エリントンの2つの曲。身構え方が違うのかもしれない。いいプレーだ。
ファンでもなければ買い求めることもないような地味なアルバムであるが、いつもながらのリチャードソンの陽気な雰囲気で和気藹々と繰り広げられるセッションの様子が伝わってくる。どこかリッチーコールの軽いノリの演奏にも通じるプレーだ。いつもと同じ淀み無く綺麗なトーンは、とても80歳に近い超ベテランが吹くサックスとは思えない。

1. Jazz Station Runaway             Richardson 3:32
2. Lady Rowena                 Richardson 5:21
3. Midnite Strut                Richardson 6:01
4. Warm Valley                 Ellington 7:42
5. Con Man                   Reece 4:26
6. Autumn Lites                 Richardson 5:33
7. Freedom & Salvation             Richardson 5:01
8. Nouveau You Know               Richardson 6:18
9. Gumbo Robo                  Richardson 5:41
10. In a Sentimental Mood            Ellington, Kurtz, Mills 6:58
11. Groove Merchant              Richardson 5:56

Peter Schmidlin Executive Producer

Jerome Richardson (as,ss,fl)
David Hazeltine (p)
Russell Malone (g)
Howard Aiden (g)
George Mraz (b)
Frank Colon (per)
Dennis Mackrel (ds)
Lewis Nash (ds)

Recorded in New York , Jun 1996-Feb 1997

Jazz Station Runaway
Jerome Richardson
TCB

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ギターの音色を鳥の羽のように七色に変化させる名人は?

2008-02-26 | CONCORD
Blue Byrd / Charlie Byrd

世の中には色々な楽器がある。その中で「ジャズ」が得意とする楽器は?
それはサックスのような気がする。クラシックはもちろん他のジャンルと比較しても、ジャズほどサックスを色々な表情で、そして役割で使う楽器はないように思う。
それでは、どんなジャンルでも活躍する楽器は?
多分それはギターではないだろうか。

ジャンル、国境を越えて色々な国や民族でギターは使われている。したがって、ギターの名手といっても色々な国に、そして色々なジャンルにに存在する。
それでは、いくつものジャンルを超えてプレーするギターの名手は?
と自問自答してはみたものの、ジャズ以外のジャンルでギターの名手を知っている訳ではないので答えに窮する。
では、自分の知っている中で一番多芸ぶりを見せてくれるギタリストとは?というと、それはチャーリーバードではないかと思う。

Concordの次なるアルバムはこのチャーリーバードのリーダーアルバム。この頃Concordに何度も登場している名手達が立て続けにリーダーアルバムを出しているが、今度はチャーリーバードの番だ。
これまでConcordには、「グレードギターズ」の一員として登場している。バーニーケッセル、ハーブエリスに加わって3人で名人芸を競っているが、この3人の中ではチャーリーだけがアコースティックギターを使って、一人特徴ある存在をアピールしている。

今回のアルバムは、ベースとドラムを加えたチャーリーのトリオアルバム。当然チャーリーのギターのプレーぶりに耳は引き寄せられる。
このアルバムでのチャーリーはというと、ギターの数は確かに一本になったが、そのプレーの多彩ぶりはいつにも増して素晴らしい。一人で3役の活躍だ。
アコースティックギター一本で、最初は、エリントンの名曲「スイングがなければ意味が無い」をスインギーに。次は一転してラテン調で。さらにスタンダードをバラードで。かと思ったら、カントリー&ウェスタン風、R&B風な曲も。得意のクラシックギターの音色があったかと思うと・・・・・次から次へと一人3役どころではない。

そして今回のトリオには、チャーリーの弟のジョーバードがベース加わっている。彼も多芸の持ち主で、ギターはもちろんフルートも吹くとか。今回は、得意の喉を披露してボーカルでも参加。B面の一曲の”I Ain’t Got Nothin’ But The Blues”で彼の歌が聴ける。
ギタートリオというと、単調になりがちであるが、このアルバムに限ってはそんな心配は無用。チャーリーの次々に繰り出される技に聞き入っていると、全11曲があっというまに終わりを迎えてしまう。
チャーリーバードの作品は多い。そしてConcordレーベルにも。その中でも印象に残る一枚だ。

1. It Don't Mean a Thing (If It Ain't Got That Swing)  Ellington, Mills 3:42
2. Von Vivendo                        Lacerda, Vianna 3:26
3. Nice Work If You Can Get It              Gershwin, Gershwin 3:05
4. Jitterbug Waltz                      Maltby, Waller 4:31
5. Soft Lights and Sweet Music              Berlin 4:08
6. I Ain't Got Nothin' But the Blues           Ellington, George 3:17
7. This Can't Be Love                    Hart, Rodgers 2:59
8. Carinhoso                         Vianna 3:41
9. Mama, I'll Be Home Someday              Byrd 2:05
10. Isn't This a Lovely Day?                Berlin 2:05
11. Saturday Night Fish Fry                Jordan, Walsh 2:32

Chalie Byrd (g)
Joe Byrd (b & Vocals)
Wayne Phillips (ds)

Recorded at Coast Recorders , San Francisco , CA ,August 1978
Originally released on Concord CJ-82

Blue Byrd
Charlie Byrd
Concord Jazz

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歌手は長いキャリアの中で必ずといっても腐れ縁になる共演者を見出すものだ。

2008-02-25 | CONCORD
Here’s To My Lady / Rosemary Clooney

歌手のアルバムに“Tribute” アルバムというものがよくある。それは大体作詞家に捧げたものか、歌手に捧げたもの。これは後者。クルーニーがビリーホリデーに捧げたアルバムだ。
このアルバムもLPで最初出された時は、”Here’s To My Lady”というタイトルであったが、CDで再発された時はそのものずばり”Tribute To Billie Holliday”というタイトルに変わっている。

自分は、若い頃の美人で映画でも大スターとして活躍したクルーニーにはあまり縁がなかった。自分は、彼女の歌をConcordで復帰してからよく聴くようになった。
彼女は、復帰前の半ば引退していた時代、過去の栄光に反して私生活は必ずしも幸せな生活を送っていなかったそうだ。
ビリーの愛唱歌を歌うには、一度は人生の苦難を味わったことがある歌手と、生まれてから順風満帆で苦労無く過ごしてきた歌手では、同じ歌でも歌に対する思い入れがきっと異なるであろう。
元々クルーニーは歌詞を大事にしてじっくり歌いこむタイプ。声の質は違っても実はタイプはビリーと似ているかもしれない。淡々と歌っているように感じるが、その心中はきっとビリーを思い浮かべながら歌っていたのであろう。一言一言噛み締めるように歌う様は、明るくハッピーな気分で歌っているのとは一味違った感じがするのは気のせいか。

ビリーホリデーというと相方として思い浮かぶのはレスターヤング。このアルバムで、レスター役を演じているのはスコットハミルトン。すでにハミルトンはすでに彼女とは何度か共演しているが、今回は「大役」を仰せつかっている。しかし、そのプレーぶりは泰然自若としたもの。余裕さえ感じられる。
このアルバムの録音は1978年9月。ちょうど日本公演を終えて、帰国してすぐの録音であろう。一緒にプレーをしているメンバーもウォーレンバッシェやカルコリンズを始めとして、ピアノのナットピアス以外は一緒に日本ツアーをしたメンバー達。コンビネーションも良い訳だ。レコーディングのタイミングというのも重要だと思う。たまにセッションをしているのと違って、一定期間寝食を共にすると一体感が増すものだ。
クインシーのオーケストラが短期間でもそうであったように。

ハミルトンもクルーニーも、その後長い間Concordの看板スターを続けることになる。この録音が2人の絆をしっかりしたものにしたのかもしれない。
ビリーとレスターのように。

1. I Cover the Waterfront         Green, Heyman 3:35
2. Good Morning Heartache        Drake, Fisher, Higginbotham 4:19
3. Mean to Me                Ahlert, Turk 3:46
4. Lover Man (Oh Where Can You Be?) Davis, Ramirez, Sherman 4:32
5. Don't Explain                Herzog, Holiday 4:44
6. Comes Love                Brown, Stept, Tobias 4:46
7. He's Funny That Way           Moret, Whiting 4:38
8. God Bless the Child            Herzog, Holiday 2:24
9. Them There Eyes             Pinkard, Tauber, Tracey 2:35
10. Everything Happens to Me       Adair, Dennis 5:30

Produced by Carl Jefferson

Rosemary Clooney (vol)
Scott Hamilton (ts)
Warren Vaché (cor)
Cal Collins (g)
Nat Pierce (p)
Monty Budwig (b)
Jake Hanna (ds)

Recorded at Wally Helder's Recording Studio , San Francisco September , 1978

Originally released on Concord CJ-81

Tribute to Billie Holiday
Rosemary Clooney
Concord Jazz

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「名作」というのは、様々な要素が組み合わさった偶然が生み出すもの・・・

2008-02-24 | MY FAVORITE ALBUM
The Great American Songbook / Carmen McRae

ジャズボーカルの醍醐味は、大編成のオーケストラをバックに朗々と歌い上げるものにあるのもひとつ。小さなクラブで聴衆を取り込んだライブの歌に魅力があるものひとつ。
その時、大事なのはバックの演奏との一体感だ。大編成であればアレンジャーとの組み合わせ、小さな編成ではバックを努めるピアノやギターとの呼吸。
そのためにも、大歌手ともなれば専属のピアニストを抱えることが多い。

このアルバムはカーメンマクレーの名作の一つともいわれる。この頃はオーケストラをバックにしたスタジオ録音が多かった時だが、久々にコンボをバックにしたライブでのステージは、新ためてマクレーの素晴らしさを味わうことができる。歌も伴奏も、そして雰囲気も完璧だ。
場所は、ロスの郊外のジャズクラブ”Donte’s”。よく耳にする店の名前だ。
自分の持っているアルバムは日本盤。久々にライナーノーツを読み返してみると、油井正一氏がこのドンテについて記述している。「このダンテは地元のミュージシャンの溜まり場であった」と。「それ故仕事欲しさに集まるミュージシャンも多く、秋吉敏子はこの店の雰囲気をあまり好まなかった」とも。
そのような店だったせいか、この店のポリシーは地元のミュージシャン優先。外様は受け入れなかったようだ。果たしてマクレーはこの当時西海岸に住んでいたかどうかは分からないが。

今回バックを努めるミュージシャンはというと、この”Donte’s”の常連ともいえるメンバー達。
ハウスバンドにマクレーがゲストとして加わった形。そして、ピアノに座っているジミーロウルズがこのグループのリーダー格だ。ロウルズがニューヨークに行く前の演奏が聴ける。
彼女のレギュラーグループではなくとも、歌伴の得意なロウルズの率いるトリオにジョーパスが加わったバックは、マクレーの歌とぴったり呼吸があっている。
マクレーの歌の特徴は弾き語りの延長のような独特の節回し。好き嫌いがはっきり出るタイプの歌手だと思うが、彼女の好さがよく分かるアルバムだ。

このアルバムの素晴らしいもうひとつの点が一日のステージをすべて収めている点。マクレーが歌う新旧の名作(まさにグレートアメリカンソングの数々)がイントロダクション、そして曲の間の語りを含めて2枚のアルバムにぎっしりと詰められている(CD盤ではさらに収容できなかった曲も入ってはいるのだが)。
先日紹介したConcord supper bandと同様「没」になる曲はひとつもなく、ライブステージのすべてを再現しているという点でもこのアルバムは貴重であり完成度の高いアルバムだ。
このアルバムが生まれた経緯は分からないが、用意周到にプランされた作品というよりは、偶然生み出されたある一夜のライブステージの全貌という感がしないでもない。
この”Donte’s”という店、Concordの作品のライナーノーツを見てもよく登場するライブスポットだ。今回のメンバーを含めこの店の常連たちがConcordレーベルを立ち上げたといってもいいかもしれない。
そして、このアルバムの主役マクレーも、その後Concordの専属として活躍することになる。

1. Introduction
2. Satin Doll
3. At Long last Love
4. If The Moon Turns Green
5. Day By Day
6. What Are You Doing The Rest Of Your Life?
7. I Only Have Eyes For You
8. Introduction
9. Medley
   :Easy Living ~ The Day Of Wine And Roses ~ It's Impossible
10, Sunday
11. Introduction
12. A Song For You
13. I Cried For You
14. Behind The Face
15. Introduction
16. The Ballad Of Thelonious Monk
17. There's No Such Thing As Love
18. Introduction
19. They Long To Be Close To You
20. Three Little Words
21. Introduction
22. Mr. Ugly
23. It's Like Reaching For The Moon
24. I Thought About You

Carmen McRae (vol,p)
Jimmy Rowles (p)
Joe Pass (g)
Chuck Domanico (b)
Chuck Flores (d)

Produced By Jack Rael
Recorded live at "Donte's" L.A. November 6, 1971

The Great American Songbook
Carmen McRae
Warner Jazz

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親の偉業を引き継ぐというのはなかなか難しいものだが・・・

2008-02-23 | MY FAVORITE ALBUM
Digital Duke / The Duke Ellington Orchestra Conducted By Mercer Ellington

ロレインフェザーは、ジャズのスピリットは父親に、そして歌手としては母親の血を引き継いだ。バディーリッチの愛娘は歌手としてだけでなく、父親のドラマーとしての名声とその影響力をスカラーシップという形で引き継いだ。もちろんバンド自体を引き継いだスティーブマーカスをはじめとして多く友人の協力を得ての成果であるが。
名門オーケストラデュークエリントンを引き継いだのは息子のマーサーエリントン。エリントンサウンドをそのままの形で継承した。父の時代のメンバーも何人かは残っているものの、偉大過ぎる父のバンドを引き継ぐというのはさぞ大変であったことであろう。

さて、世の中デジタル時代、タイトルからもそれに興味が惹かれてしまうが・・・。何もエリントンオーケストラがデジタル化された訳ではない。このマーサーエリントン率いるエリントンオーケストラが、時代の変遷を経てデジタル録音にチャレンジしたのがこのアルバム。
エリントンにとってオーケストラは“楽器”そのもの。SP時代からそのサウンドは記録として残されている。そのオーケストラの音がどのように引き継がれ、今回はどのようにデジタルの技術で表現してくれるのか・・・。もちろん、音はエリントンの「アナログサウンド」を見事に再現してくれる素晴らしいもものであるが、肝心の演奏もまたこれに負けないくらい見事なものだ。

それもそのはず、エリントンオーケストラのメンバーに加えて、クラークテリー、ブランフォードマルサリス、ルーソロフ、エディーダニエルス、ローランドハナなどのゲストプレーヤーが加わって、不滅のエリントンサウンドを再現している。
曲はおなじみのエリントンのナンバー。一曲だけ”22 Cent Stomp”という曲が入っているが、これはエリントンが生前作った曲で、お蔵入りしていたものだそうだ。
後継者、そして技術の進化に支えられて、ジャズの歴史の一ページに必ず記されるエリントンの功績が、曲だけではなく「楽器としてのオーケストラの演奏」としても引き継がれているのはうれしい限りだ。

1. Satin Doll       
2. Cottontail       
3. Prelude To A Kiss 
4. Pardido        
5. Mood Indigo      
6. 22 Cent Stomp   
7. Do Nothin' Till You Hear From Me
8. Jeep's Blues
9. In My Solitude
10. In A Mellotone
11. Sophisticated Lady
12. Take The "A" Train

The Duke Ellington Orchestra

Lew Soloff , Barry Lee Hall , Ron Tooley , Clark Terry , Kamau Adilefu (tp)
Norris Turney , Jerry Dodgion (as,fl)
Herman Riley , Eddie Daniels , Branford Marsalis (ts,cl)
Charles Owens (bs,cl)
Britt Woodman , Al Grey , Chuck Connors (tb)
Sir Roland Hanna(p)
Gerald Wiggins(p)
Bucky Pizarelli(g)
J.J. Wiggins(b)
Rocky White ,Louie Bellson (ds)

Exective Producer : Dave Grusin and Larry Rosen
Produced by Michael Abene and Mercer Ellington
Recorded in 1987

Digital Duke
Mercer Ellington
GRP

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しゃれた前菜に豪華なメインディッシュが・・・・・

2008-02-22 | MY FAVORITE ALBUM
Images / Phil Woods & Michel Legrand and His Orchestra

なぜかミシェル・ルグランの曲には好きな曲が多い。そしてルグランのアレンジも。
これだけでも素晴らしい演奏になるが、それに歌や楽器のソロが加わるとなおさらだ。
サラボーンやリナホーンの歌もいいが、インストルメンツだとこのフィルウッズとの共演も素晴らしい。

2人が出会ったのは20年近く前、ウッズは58年の「ルグランジャズ」のアルバムにも加わっていた。73年には2人でコンボでの演奏のレコーディングもあるので、2人の相性はきっといいのであろう。
これはその2人のこれまでの付き合いの集大成ともいえるアルバム。2人ががっぷり四つに組んで誕生したものだ。

いきなりハモンドオルガンのイントロをバックにおなじみの「風のささやきの」のメロディーが聴こえてくる。ちょうど時期的にはウッズが「ヨーロピアンリズムマシン」を率いていた直後。あの流暢なサックスに凄みが加わった音色を聴かせてくれた時だ。
ルグランの相変わらず煌びやかなアレンジ。それにのって比較的スローな曲にウッズのサックスが舞う。ルグランの曲だけでなく、レオンラッセルの曲やウッズのオリジナルも続く。どれもジャケットのイメージのっように美しい曲だ。

ストリングスも加えた豪華なオーケストラがバックに構えるが、これをイージーリスニングと片付けてしまうのはもったいない。ちょうどレストランで、食後のデザートが大きな皿に周りを綺麗にデコレーションされて出されたようなものだ。もちろんそのスイーツ自体が美味しいのはいうまでもないが、周囲に散りばめられた付き合せやトッピング、さらに皿のデザインまでがバランスよく配置されて、味だけではなく見た目にも全体がひとつの芸術品のように思える様に似ている。

A面はおなじみのルグランのヒット曲を中心に多少変化をつけながら。2人にとってはウォーミングアップであり前菜のようなもの。そして、このアルバムの最大の見せ場はB面に。最初は、ドビッシーの「月の光」、そしてルグランがウッズのために作った曲「イメージ」。
これが、このアルバムのメインディッシュだ。
組曲風に3つのパートに分かれているが、全編ウッズのアルトとルグランのピアノがオーケストラをバックにした対話が続く。最後は超アップサンポで2人のコラボレーションが燃え尽きるように終わる。この一曲でコースは終わる。
最初は軽めの洒落た前菜が続いたかと思ったら、最後のメインディッスはシェフの才能をすべて出し切った豪華な一品。
十分満足がいくフルコースである。

1. The Windmills of Your Mind         Bergman, Bergman, Legrand 4:18
2. A Song for You                 Russell 4:04
3. Nicole                      Woods 3:33
4. The Summer Knows              Bergman, Bergman, Legrand 3:01
5. We've Only Just Begun           Nichols, Williams 2:51
6. I Was Born in Love With You         Bergman, Bergman,Legrand 3:27
7. Clair de Lune                  Debussy 4:50
8. Images                      Legrand 14:46

Phil Woods (as)
Michel Legrand (p.con.arr.)

Produced by Nat Shapiro
Orchestra Assembling By Nat Peck
Recorded at Olynpic studios .London,February 1975

イメージ
フィル・ウッズ&ミシェル・ルグラン楽団,フィル・ウッズ,ミシェル・ルグラン,ミシェル・ルグラン楽団
BMG JAPAN

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ビッグバンドとコーラスは付き物であったが・・・メルトーメも

2008-02-21 | MY FAVORITE ALBUM
“It Happened In Monterey / Mel Torme And The Mel-Tones”

第2次世界大戦の前後のスイングビッグバンド全盛期、バンドの演奏と一緒にジャズコーラスグループの存在は不可欠だった。ビッグバンドの衰退に合わせてコーラスグループも自然消滅するグループもあれば、独立した活動を始めてモダンコーラスグループとして育っていったグループもある。

先日クインシージーンズのアルバム”QUINCY JONES explores the music of HENRY MANCINI”のライナーノーツを読み返していたら、マンシーニの奥さんはメルトーメ率いる「メルトーンズ」のメンバーGiny O’Connorと記述があったのが気にかかっていた。
メルトーメはもちろんソロの歌手として有名だ。晩年はConcordレーベルで多くの作品を残している。それらのアルバムをよく聴いていた時、昔の彼の歌を聴いてみたくなって買い求めたのがこのアルバム。マントラのコーラスもよく聴いていた頃だった。

トーメがプロとして活動を始めたのは17歳の高校生の時。歌手としてだけではなく、実はドラマーとしてもなかなかの腕前だ。
日本に来た時にも、そのドラミングを披露していた。素人芸ではなくかなり本格的なもの。

見事なスティック捌きはこちらで見ることができる。

曲は奇しくも先日紹介したNeil Peartの演奏と同じ、Cotton Tailだ。今人気のKen Peplowskiの好演も聴ける。
彼が、プロの活動を始めたのは17歳。この頃からすでに、歌手、ドラマー、そしてコーラスグループへの作編曲をやっていたというのだから、すでにマルチタレントぶりの片鱗を見せている。
その彼が、学生仲間を5人集めて”THE SCHOOL KIDS”というグループでコーラスを始めたのがメルトーンズの前身だ。何度かグループ名、メンバーを変えて“Mel-Tones”として人気が出たときに徴兵で戦争に。復帰後再編成した時の演奏がこのアルバムだが、その後すぐに解散してソロ活動へ。
短命であったが、モダンコーラスへの橋渡し役として一味違ったサウンドを聴かせてくれるのはトーメの存在があったからだろう。

1. There’s No Business Like show Business
2. Dream Awhile
3. It Happened In Monterey
4. Born To Be Blue
5. That’s Where I Came In
6. Night And Day
7. Willow Road
8. South America Take It Away
9. Fine And Dandy
10. There’s No One But You
11. Try A Little Tenderness

The Mel-Tones
 Mel Torme
 Bernie Parks
 Les Baster
 Giny O’Connor
 Betty Beveridge

Sonny Burk & His Orchestra
Recorded at Radio Recorders , Los Angels , 1946

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Concord 軍団上陸・・・

2008-02-20 | CONCORD
Concord Supper Band in Tokyo

不便なことで悪名高き国際空港「成田空港」が開港したのは今から30年前。
いまだに完成していないとは?
その年、ジャイアンツの王は現役で800号ホームランを記録する。相撲の世界では日本人がまだ元気な時代。北の海が82勝を上げ年間新記録を上げる。
アリスの「君のひとみは100万ボルト」がCMに使われ大ヒットした。キャンディーズ、ピンクレディー、山口百恵といった懐かしい名前がヒットチャートに並ぶ。
原宿には「竹の子族」が集まり、ノーパン喫茶が京都に生まれた。
高層ビルの奔りである池袋のサンシャイン60ができたのもこの年。
スイングジャーナルのディスク大賞は「クンビア&ジャズ・フュージョン/チャールス・ミンガス」。
Concordレコードの活動が活発化した1978年の日本はそんな年だった。

その年の秋、新たに開港した成田空港に降り立ったのは、スーパーバンドと銘打ったConcordのスター達。とはいうものの、過去に来日したのはベースのモンティーバドウィッグと、ドラムのジェイクハナの2人だけ。他のメンバーは初めての来日で、知名度も決して高くはなく、日本のジャズファンにとっては“新人達”であった。
その頃、日本はジャズの世界では先進国、古いトラッドジャズから、ハードバップ、前衛、そして新しいフュージョンまで、あらゆるスタイルのジャズが受け入れられていた。
80年代にかけて、ライブアンダーザスカイ、斑尾のニューポート、そしてオーレックス、マウント富士と大きなジャズフェスティバルやコンサードが目白押しで開催されていた時代だ。

彼らのいつものお披露目の場は毎年地元で開催されるConcordのジャズフェスティバル。その舞台の常連であり、レコードでも次々と新作を発表しているメンバー達だ。場所が変わっても、リラックスした伸び伸びした演奏が続く。オールスターメンバーではあるが、JATPのようなお祭り騒ぎのジャムセッションではなく、気心のしれた仲間同士の呼吸のあった演奏だ。
録音されたのはこの来日コンサートの最終日。郵便貯金ホールでの全ステージ。
コンコルドで2枚組みのアルバムが作られたのは今回が初めて。カットする曲が無かった位どの曲も完成度が高かったのだろう。
このConcordのスター達のコンサートも、これを機に息の長いコンサートして今も続いている。オーナーのカールジェファーソンが親日家であったというのも理由のひとつかもしれないが、このConcordの追い求めた路線に親しみを覚えたジャズファンが少なからずいるということであろう。

1. I Would Do Anything for You         Hill, Hopkins, Williams 7:58
2. Blue Lester                   Young 11:34
3. Nuages                     Larue, Reinhardt 8:56
4. Don't Blame Me                Fields, McHugh 4:29
5. Blue Lou                    Mills, Sampson 6:42
6. You're Driving Me Crazy           Donaldson 6:39
7. Blue and Sentimental            Basie, David, Livingston 7:38
8. I'm Gonna Go Fishin'             Ellington, Lee 8:59
9. When It's Sleepy Time Down South     Muse, Rene, Rene 8:29
10. Take the "A" Train             Ellington, Strayhorn 7:38
11. Undecided                  Shavers 6:10

Scott Hamilton (ts)
Warren Vaché (cor, flh)
Cal Collins (g)
Ross Tompkins (p)
Monty Budwig (b)
Jake Hanna(ds)

Recorded live at The Yubin Chokin Hall, Tokyo Sep 15, 1978
Originally released on Concord CJ-80(2-Record Set)
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ジャンルを超えて皆でリッチの功績を讃えたコンサートの映像が・・・・・

2008-02-19 | MY FAVORITE ALBUM
Buddy Rich Memorial Scholarship Concert

多分このブログを読んでいただいている皆さんはジャズファンが大部分だと思う。
私のように古いジャズが好みの方にはあまり縁が無いかもしれないが、
“Neil Peart”というドラマーはご存知でしょうか?
初めて名前を聞いたという方は、

まずは、このYouTubeの映像を見て頂くといい。



カナダを代表するRuthというロックバンドのドラマーだ。 360度ドラムセットとシンバルに囲まれて、繰り出すドラムソロは並みのドラマーではないことは想像できる。

では、次にこの映像を。



同じ、Neilが、今度はビッグバンドを率いてエリントンの名曲コットンテイルを演奏している。 実は、このオーケストラ、バディーリッチ亡き後スティーブマーカスが率いたバディーリッチオーケストラだ。
このニールはロックドラマーであっても、バディーリッチを深く尊敬している。同じようにリッチを尊敬するドラマーが集まり、彼のプロデュースの元、リッチに捧げたアルバムを皆で制作した。実は、その時のメイキングビデオがこの映像だ。

ドラムプレーは映像があると他の楽器以上に個性溢れる名人芸が楽しめる。人によってテクニックも異なるしプレーぶりも違う。それにNielのように普段はロックをやっているミュージシャンが、4ビートでスイングするドラミングを披露してくれると、ジャズファンとしては思わず嬉しくなってしまうものだ。

実は、このCDが生まれるにはそれまでの過去の経緯があった。リッチが87年に亡くなった後、リッチの愛娘のキャシーはリッチの意志を継いでドラムの後継者を育てるためにスカラーシップを設けてその記念コンサートを開催した。年によって西海岸で、そして東海岸のニューヨークでも。その記念コンサートには、ベテランのルイベルソンを筆頭に、多くの若手ドラマーが集まった。
普段演奏しているのはジャズであったりフュージョンであったり。そしてNielのようにロックのドラマーも。皆、バディーリッチを師と崇めてドラムを極めた名手ばかりだ。 懐かしいリッチのオーケストラのレパートリーが続く。皆が入れ替わり立ち代わりドラムセットに陣取り曲に合わせてスティック捌きを披露していく。

この記念すべき東西のコンサートを収めたのがこのDVDだ。

ニールを含めて延べ11人のドラムプレーの4時間を越える演奏の全貌がこのDVDで明らかになる。このメモリアルコンサートがあって、Niel Peartのプロデュースするトリビュートアルバムが後に生まれることになる。これも、リッチがロックに対して胸襟を開いてビッグバンドの素晴らしさを広めた結果であろう。確実に時代を超えて、そして世代を超えてビッグバンドとそのドラミングの楽しさが引き継がれてる。

また、このDVDには66年の結成当時のリッチのオーケストラの懐かしい演奏の模様も随所に収められている。
リッチのファンはもちろん、ジャズドラムファンには堪えられないお宝映像が楽しめる一枚だ。

このコンサートは2008年にも行われている。



*** Los Angels ***

Wind Machine
Carnaby Street
  「Louie Bellson」

In A Mellow Tone
Time Check
  「Gregg Bissonette」

Sister Sadie
Dancing Men
  「Dennis Chambers」

Mercy,Mercy,Mercy
Bugle Call
  「Vinnie Colaiuta」

Keep the Customer
Satisfied Just in Time
  「Steve Gadd」

*** New York City ***

One O’clock Jump
Mexicali Rose
Cotton Tail
  「Neil Peart」

Greensleeves
Standing Up in a Hammock
Good News
  「Marvin “Smitty”Smith」

Nutville
The Juicer’s Wild
Straight, No Chaser
  「Steve Smith」

Slo Funk
Milestones
 「Omar Hakim」

No Exit
  「Wil Calhoun」

Buddy Rich: Memorial Concert [DVD] [Import]
クリエーター情報なし
Warner Brothers Pub.
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郷に入っては郷に従えと昔からよく言われるが・・・・

2008-02-18 | MY FAVORITE ALBUM
Buddy & Soul / Buddy Rich Big Band

先週の週末は関西でもゴルフであった。西の方も関東同様寒い日が続いているようで時折雪の舞う中でのプレー。ゴルフ好きの仲間のツアーであったが何でこんな時期に・・・?今後は、いい季節に行きたいものだ。
関東も今年は雪が多いが、同じ雪でも場所が違うと降り方が違う。関東南部の雪は太平洋岸を低気圧が通った時が中心。一方で、今回訪れた兵庫の中部は北からの雪雲が南へ通過する時の「にわか雪」に見舞われることも。高い山脈が無いせいか山間を縫う様にやってくる雪雲のおかげで、晴れたかと思うと、一転して雲に覆われ雪が舞い始める。あっという間に一面真っ白になる激しさだ。
「キャディーさんに、この雪だともう無理かな?」と聞くと、「すぐ止むから大丈夫よと」。
確かに2ホール位するとまた青空が戻ってくる。このような雪は初めての経験。所変われば雪の降り方もその土地それぞれで色々あるものだ。

さてさて、寒さを吹き飛ばすにはホットはビッグバンドだ。
バディーリッチのオーケストラもこれで5作目。第一作目からリッチのオーケストラはずっとライブの演奏が続いている。スタジオ録音と違ってライブだと当然ライブの会場の雰囲気に左右されるものだ。最初のアルバムはハリウッドのChezクラブ。そして、ラスベガスのシーザースパレスに出演。ジャズクラブやホテルだけでなく、ニューポートなどのジャズフェスティバルにも、さらにはアメリカ国内だけでなく海外ツアーにも遠征し、人気はますますうなぎのぼり。
そしてジャズの拠点だけでなくフィルモアイーストなどのロックの殿堂にも活動の場は広がっていった。このアルバムが収録されたのは、西海岸のロックの拠点”Whisky A Go Go”。
ここの歴史を見ると確かに1969年6月19日~28日にバディーリッチの出演記録がある。(そのすぐ前にカウントベイシーが出演しているは驚きだが)
ここは、多くのロックミュージシャンが出演し、ゴーゴーダンスの発祥の地でもある伝統あるライブハウス。いわゆるディスコの原点のとなる場所だ。当然、ここの聴衆は若者が中心。それまでのジャズファンとは一線を画したファン層だ。

演奏する曲も当然のようにロック調の8ビートが中心になり、ドアーズの曲もレパートリーに。アレンジもドン・セべスキーやジョー・サンプルなど新しい感覚のアレンジャーが加わる。リッチのドラムは、どんなリズムになろうとそのパワーが衰えることはなく若者を熱狂させることになる。
そして、メンバーもアルトには新たな感覚のリッチーコールが加わり、若手中心の編成に変わってきた。

リッチにとっては、これらの演奏で新たなファン層を広げ、晩年までオーケストラで活躍を続けることができたのだが。一方で硬派のジャズファンからは少し縁遠い存在になっていった。日本でリッチのオーケストラがいまひとつ人気が無くなっていったのも、このアルバム辺りが分岐点だったかも知れない。
頑なに自分のスタイルを守るのもよいが、相手に合わせてどのようなスタイルの演奏ができる柔軟性も自己主張のひとつの手段であり、能力だと思う。よく多彩な才能を持つ者が器用貧乏になりがちであるが、見方によってはバディーリッチもその一人かもしれない。
しかし決して個人技だけに頼るのではなく、そしてジャズのスイング感を忘れることなく、時代の変化に合わせて新しいサウンド作りを自分のオーケストラで次々に実現していったのは、やはり凡人にはできない。
リッチが、アメリカではロックファンにも尊敬され英雄視される偉大なミュージシャンの一人だったことは後の事実が証明している。

1. Soul Lady
2. St.Peterberg Race
3. Soul Kitchen
4. Wonderbag
5. Ruth
6. Love And Peace
7. Hello I Love You
8. Comin’ Home Baby
9. The Meaning Of The Blues
10. Greensleeves

Joseph Romao, Richie Cole (as)
Pat Labarera, Donald Englert(ts)
Joseph Calo (bs)
Mike Price, Kenneth Faulk, Oliver E. Mitchel. Robert Yance, Salvador Marquez (tp)
Vince Diaz, Rock Stepton, Donald Switzer(tb)
David Dana (g)
Bob Magnusson (b,fenderb)
David Lahm (elp)
Buddy Rich (ds)

Recorded live at The Whisky A Go-Go in 1969

Buddy & Soul
Buddy Rich
Blue Note

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僕もリーダーアルバムは出したことがないんだよ・・・・

2008-02-15 | CONCORD
Dig / Monty Budwig

「棺桶に入る前に、ぜひ一枚作りたいんだけど!」とでも、言いたげなジャケットのデザインだ。
ウェストコーストでは長年活躍を続けてきたベースのモンティーバドウィッグ。地味ではあるが、重厚なウォーキングベースはたくさんのアルバムで聴くことができる。
Concordレーベルでもすでに多くのアルバムに参加し、レイブラウンと並んで、すでに常連の一人となっていた。

ところが、このバドウィッグのリーダーアルバムというと確かに思い浮かばない。
コンコルドの仲間が次々と入れ替わり立ち代りリーダーアルバムを作り、さらにこれまでリーダーアルバムを出したことが無かった旧友が立て続けにアルバムを出すのを目の辺りにすると、「それでは自分も一丁やってみるか」と思うのは当然だ。

さて、今回そのアルバムのプロデュースはバドウィッグ自身。
めったいない機会ということもあったのであろう。曲選びからメンバー選びまで慎重に行ったそうだ。まず曲選びの相談相手はピアニストのジミーロウルズ。彼がミュージシャン仲間からも尊敬され、信頼されていたという証であろう。

まずは、主役の設定だが、それは「自分自身のストリングベースでの挑戦」。
もちろんメロディーやソロもあるが、一番大事にしたのは”Pulse"。バドウィッグの得意なワーキングベースの原点だろう。これが、バックに回った時でもバドウィッグを特徴づけている本質だと思う。

次にメンバーに選ばれたのはトロンボーンのボブ・ブルックマイヤー。バルブトロンボーン特有の柔らかで良くうたう歯切れの良いサウンド。2人は昔から良く知った間柄でまずは呼吸もぴったりあう。
ドラムはバドウィッグがカルジェイダーと一緒にプレーをした時のメンバーであったビリーヒギンズ。そして、その時一緒にプレーをしていたウイリーボボにも声をかけた。
ギターとピアノは、どちらも初めての付き合いに等しい。ギターのディオリオは、何曲かリハーサルをしただけでお互いピンとくるものがあった。そして、ピアノのトムレニアはデイブパイクと一緒に演奏した時のメンバー。非常に印象に残っていたので今回声をかけたそうだ。

ブルックマイヤーを前面に出したアンサンブルワークの全体の雰囲気はバドウィグが長年住み慣れた、ウェストコーストの香りが全編に漂う。
そして、ベースのソロをフィーチャーしたバラード曲もある。これらのバックのエレキピアノが実にきれいで呼吸があって印象的だ。
と思ったら、これを弾いているアレットマッコイは彼の愛する伴侶だそうだ。どうりで
バドウィッグのインスピレーションも沸くわけだ。

このアルバムはよくよく見るといつものオーナーのカールジェファーソンのクレジットは見当たらないので、自主制作のアルバムだったのかもしれない。カバーデザインも彼自身とのこと。奥さんと仲間に囲まれて、無事「冥土の土産」が完成した。
そして、最後に彼の一言は、
The Music speaks for itself”.

1. You Don’t Know What Love Is
2. Au Privave
3. With Ever Breath I Take
4. Dat Dere
5. Handful Of Stars
6. The Night Is Young And You’re So Beautiful
7. Salute To Charlie Christain
8. If The Moon Turns Green
9. Maids Of Cadiz
10. Blue Lester

Monty Budwig (b)
Tom Ranie (p)
Arlette MacCoy (Fender Rhodes)
Joe Diorio (g)
Billy Higgins (ds)
Willie Bobo (per)
Bob Brookmeyer (vtb)

Produced by Monty Budwig
Recrded on January , 1978

Originally released on Concord CJ-79




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バンドカラーにもお国柄が出るものだが・・

2008-02-14 | MY FAVORITE ALBUM
A Good Time Was Had By All / Esko Linnavalli ・ New Music Orchestra

サド・メルがフィンランドのオーケストラ「UMO」と共演したアルバムで、妙にそのオーケストラのサウンドがサドのコンセプトにしっくりしている。普通であれば、他のオーケストラの譜面を持ち込んで演奏しても自分のオーケストラの音にするには時間がかかるものだが。
サド・メルの2人とこのオーケストラはその時が初共演かどうかも分からないが、このオーケストラのリーダーであるESKO LINNAVALLIとNew Music Orchestraは、サド・メルのオーケストラに興味を持っていたのは間違いない。

そもそもこのオーケストラが設立されたのは1975年。フィンランドでジャズの世界で活躍する代表的なミュージシャンを中心に編成され、放送やコンサートで活動を開始した。
サド・メルとの共演の一年前の1976年、このオーケストラはこの一枚のアルバムを出している。デクスター・ゴードンやニールス・ペデルセンなどをゲストに加えて、ESKOの曲を中心に演奏をしているが、一曲だけサドジョーンズの作曲した“A Good Time Was Had By All”が収められている。そして、この曲がアルバムタイトルにもなっている。
この曲は、サド・メルの”SUITE FOR POPS”というアルバムに入っている、カリプソのリズムに乗った軽快な曲。

そして、一曲目の曲は”Talking with Mr.Jones”。このジョーンズとはサドのことであろう。サド・メルのオーケストラをかなり意識していたのかもしれない。
他の曲もソプラソサックスやフルートを多用したサドジョーンズ風のアレンジが多い。何となく、サドジョーンズのオーケストレーションと、このESKOの目指していたオーケストラのサウンドには共通点がある。
とすると2人の共演はある種の既定路線だったのかもしれないし、その演奏内容はサド・ジョーンズのアレンジの意図を十分に理解して演奏できる素地はすでにできていたのかもしれない。
この時、サドジョーンズも自分のアレンジを実現してくれるのはアメリカのオーケストラではなく、ヨーロッパ、それも北欧のオーケストラと思ったのかもしれない。
事実、78年に自らのバンドであるサド・メルのオーケストラを去り、ヨーロッパに渡って、デンマークのオーケストラのリーダーとなる。

1. Talking With Mr.Jones
2. Sari
3. Eclipse
4. A Good Tme Was Had By All

New Music Orchestra

Dexter Gordon (ts,ss)
Pekka Poyry (as,ss,fl)
Juhani Aaitonen (ts,ss,fl)
Eero Koivistoinen (ts.ss)
Pentti Lahti (bs,ss,fl)
Allan Bostschinsky Simo Salminen , Markku Johansson , Kaj Backlund (tp.flh)
Juhani Aalto , Tetri Juutilainen , Mircea Stan , Tom Bildo (tb)
Geoge Wadenius (eg)
Esko Linnavalli (p,ep.cond.)
Niels Pederesen (b,eb)
Esko Rosnell (ds,per)

Produced by Lars Samuelson

Recorded at Finnlevy Studios , Helsinki , May 17-19 , !976




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エリスの復帰はこの一枚から・・・・

2008-02-13 | MY FAVORITE ALBUM
Hello Herbie / The Oscar Peterson Trio with Herb Ellis

ギターの名手ハーブエリスがスタジオワークをやっていた時の感想は、「譜面と睨めっこの演奏は何の刺激もなく退屈なものだった」ということらしい。ただし、TV-Showでゲストの歌手バックを努めた時は、リハーサルを含めて多少なりとも楽しい思いをしたそうだ。
そこにあるのは人との触れ合い。ジャズを演奏する者にとっての楽しさは、やはり「人」が身近にいることであろう。ジャズでは一緒に共演している相手の演奏ぶり、時には表情ひとつの変化が自分のプレーに影響する。いわゆるコラボレーションの楽しさだ。観客を目の前にした演奏、聴衆の反応もまたプレーに刺激を与えるものだ。

一方で聴き手にとっても、自分の目の前で繰り広げられる白熱のライブ演奏はジャズの醍醐味だ。きっと一番贅沢な聴き方は、自分のためのプライベートなジャズコンサートを開くことであろう。世の中にはこれを実現した人物がいる。大のピーターソンファンであるドイツのMPSレーベルの社長であったハンス・ゲオルク・ブルンナー・シュヴェアーだ。
自宅にピーターソンを招き、自分のためのライブ演奏を行った。そして、元々が録音技師であった彼はその演奏を記録に残した。それも最高の録音で。その素晴らしい音にピーターソンが驚嘆したそうだ。

これが、有名なMPSレーベルでのピーターソンのアルバムが生まれた経緯だが、その中で旧友のハーブエリスを招いてトリオと共演したアルバムがこの「ハローハービー」だ。
ピーターソンがスタジオの仕事をやっていたエリスをわざわざドイツに呼び寄せた訳であるが、これはハンスの念願でもあったそうだ。

初めて聴いた時、何ともいえぬ衝撃に近い印象を受けるアルバムがある。
エバンスのビレッジヴァンガード、マイルスのカインドオブブルー、ウェスのハーフノート、エバンスのモントルー・・・・など。いわゆる名盤といわれるものは枚挙にいとまがないが、その中でもそうそうたくさんあるものではない。このハローハービーもその中の一枚であるのは間違いない。

10年ぶりの再会は2人の間に何のブランクも感じさせない。
エリスはアルバム作りも時々やっていたもののなんとなく中途半端な出来。スタジオの仕事が日々続く中でこのようなダイナミックなジャズの演奏はエリスにとっても久しぶりであったのだろう。それも昔コンビを組んだピーターソンと一緒であればなおさら。
日頃の鬱憤を一気に晴らすような演奏だ。

エリスがスタジオの仕事からジャズの表舞台に復帰し、Concordの設立に大きく寄与したのはこのアルバムを録音してからそれほど年月が経ってはいない。このピーターソンとの共演がきっかけで現役復帰を決意した訳ではないとは思うが、ひょっとして・・・?
そしてこのエリスの復帰がコンコルドを生んだようなものだ。
最後の曲の"Seven Come Eleven"。グッドマンとクリスチャンとの共作の良くスイングするリフナンバーだが、Concordのエリスの2枚目のアルバムタイトルにもなっている。

1. Naptown Blues
2. Exactly Like You
3. Day By Day
4. Hamp's Blues
5. Blues for H.G.
6. A Lovely Way To Spend An Evening
7. Seven Come Eleven
 
Oscar Peterson (p)
Herb Ellis (g)
Sam Jones (b)
Bob Durham (ds)

Recorded on November 5,6 1969 in West Germany

Hello, Herbie
Oscar Peterson
MPS

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