A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

素材に映画音楽を取り上げることは多いが・・・・

2008-03-11 | MY FAVORITE ALBUM
Going To The Movies / Jerome Richardson

白紙に映画のモノクロ新聞広告をベタベタは貼り付けたようなこのジャケットのデザインは否が応でも印象に残る。
今回の主役はジェロームリチャードソン。
普段はあまり主役にはならない人物だが、今回ばかりは自らの写真入りのポスターで有名スターに混じって表紙に登場している。
先日のアルバムで帽子を目深に被って表情が見えなかったのとは大違いだ。
このアルバムはちょうどクインシーのオーケストラが解散した頃の録音だ。前年の11月古巣のマーキュリーを離れてインパルスで”The Quintessence”を盟友フィルウッズと一緒に吹き込んだのがジャズオーケストラとしてのクインシーの最後だろう。
そのクインシーのオーケストラで一緒に苦労したギター&フルートのレススパンと一緒に作ったのがこのアルバムだ。ライナーノーツを見ると、この頃このグループでNew York近辺で演奏をしていたらしい。どうやらレコーディングだけのセッションではなかったようだ。

あまり自分のリーダーアルバムを作らなかったリチャードソンがどのような経緯でこのアルバムを作るようになったのかは分からないが、映画の主題曲を集めてよくあるようなイージーリスニング風の仕立てではなく、ハードバップ調の立派なジャズアルバムだ。
録音もスタジオライブのような感じで、いつものビッグバンドとは違ってリラックスした雰囲気が伝わってくる。
サックスは何でもOKのリチャードソンだが、ここではテナーとバリトンを使っている。それに得意のフルートとピッコロ。ギターのレススパンもフルートを吹くので、普通のギター入りのカルテットをバックにしたワンホーンの演奏とは少し様子が違う。

一曲目は、お馴染みのデュークジョーダンの「危険な関係のブルース」。
元々ジャズメッセンジャーズのジャズの演奏で有名なので、この曲をジャズでやっても何の違和感はない。バリトンとフルートの組み合わせはあまり聴いたことが無いが、ポリリズムに乗って低音の迫力あるバリトンとフルートの絡みというのも新鮮だ。
他の曲も全体にアップテンポの演奏であり、久しぶりの主役で多少力が入ったのかリチャードソンのブローぶりが目立つ演奏だ。スパンのギターもクインシーのオーケストラではあまり目立たなかったが、ここではソロにコードワークに大活躍。もちろんのフルートでも。ギターとフルートの両方でダウンビートの新人賞をとった実力を発揮している。
それに加えてこのセッションのドラムにはグラディーテイトが加わっている。小気味よいドラミングはテイトらしいが、録音のせいもあるのか多少荒っぽい感じがするのはリチャードソンの張り切り振りに皆が引っ張られていたのかも。
たまの主役なので、思う存分暴れたかったのであろう。周りも一緒に盛り上がったいい演奏だ。

1. No Problem           Jordan 8:45
2. Moon River           Mancini, Mercer 4:34
3. Never on Sunday       Hadjadakis 4:32
4. Tonight             Berstein, Sondheim 3:46
5. Delilah             Nicholas 7:34

Jerome Richardson (fl,bs,ts)
Les Spann (g,fl)
Henry Grimes (b)
Richard Wyands (p)
Grady Tate (ds)

Produced by Alan Douglas

Recorded in New York , April 1962

コメント
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