A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ジャズボーカルはバックとの相性が大事だが、やはりピアノが鍵かも・・・

2014-04-30 | MY FAVORITE ALBUM
Waltz For Debby / Monica Zetterlund

トミーフラナガン、ハンクジョーンズなどジャズピアノの名手はソロやトリオの演奏だけでなくバックに回った時もその上手さを感じさせる。特に、歌伴となると歌手との相性もあるとは思うが、名唱の陰には必ずそれを引き出す名バックがあるものだ。

一方で、ピアノの名手が必ずしも歌伴が多いとは限らない。その一人がビルエバンス。
あのエバンスのタッチに合うボーカリストは数多くいたように思うが、実はエバンスの歌伴アルバムは少ない。
トニーベネットとのデュオアルバムが有名だが、古くはヘレンメリルのバックを務めたアルバムがある。しかし実際にはエバンスが参加したのはアルバムの半分の曲、ホーンプレーヤーも加わっているので、どちらもエバンストリオがバックという訳はない。

あのエバンスのレギュラートリオがバックを務めたアルバムは?というとこの一枚になる。
エバンストリオがヨーロッパツアーをしている中で、スウェーデンで地元の歌手、モニカゼタールンドと共演したのがこのアルバム”Waltz For Debby”だ。

このモニカは、ビリーホリデイやエラフィッツジェラルドを聴きジャズボーカルを学んだといわれている。しかし、2人をコピーしたというより、自分なりにジャズの話法を解釈していったという方が正しいだろう。

先日、アルトの名手堀恵ニのライブを聴きに行った時、MCでポールデスモンドやアートペッパーのような白いサックスを最初は好んだが、彼が手本としたのはジョニーホッジスやマーシャルロイヤルのような黒いサックスであった。最近は白いサックス多い・・・・という話をしていた。

ボーカルの世界でも白いボーカル、黒いボーカルがあるが、このゼタールンドはヘレンメリル同様、白いボーカルの代表格。特に、ビッグバンドシンガー出身でない白いジャズシンガーというと、アンバートンを始めとしてこの路線のジャズシンガーはこの時代から増えだす。このエバンスとの共演は後の白いボーカルの手本になったのかもしれない。従来のスイングするボーカルとは一味違ったヨーロッパスタイルとでもいうか。

エバンスはトリオの演奏でも他の2人は伴奏者というよりも一体となったコラボレーションが売りであったが、ボーカルを加えても伴奏というよりも歌手と一緒にコラボを楽しんでいるようだ。このスタイルもエバンスのピアノプレ同様、後に広まったようだ。

この録音に先立ち、3年前にモニカがアメリカに渡っていた時、ドナルドバード&ペッパーアダムスのグループとの共演があるという。果たしでどんな伴奏をしているのか、どんな歌い方をしているのか興味が湧く。陽の目を見て欲しいものだ。

この映像ではベースはエディーゴメツ。このアルバム以降も2人の共演は続いた。


1. Come Rain or Come Shine       Harold Arlen / Johnny Mercer 4:41
2. A Beautiful Rose (Jag Vet en Dejlig Rosa) Bill Evans / Monica Zetterlund 2:53
3. Once Upon a Summertime      E. Barclay / M. Legrand / J. Mercer 3:03
4. So Long Big Time            Harold Arlen / Dory Previn 3:49
5. Waltz for Debby (Monica Vals)         Bill Evans / Gene Lees 2:47
6. Lucky to Be Me                 Leonard Bernstein 3:36
7. Sorrow Wind (Vindarna Sucka)                   3:03
8. It Could Happen to You       Johnny Burke / James Van Heusen 3:00
9. Some Other Time           L.Bernstein / B. Comden / A. Green 5:35
10. In the Night (Om Natten)               Olle Adolphson 1:40

Bill Evans (p)
Chuck Israels (b)
Larry Bunker (ds)
Monica Zetterlund (vol)

Recorded in Stockholm, Sweden, August 29, 1964


ワルツ・フォー・デビー+6
Monica Zetterjund
ユニバーサル ミュージック クラシック
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健康で生涯現役で人生を全うする。これは誰でも夢には見るが現実には・・・

2014-04-29 | CONCORD
Personal Choice / The Marian McPartland Trio

最近、人の寿命も単に平均寿命を語るのではなく、健康寿命がよく語られるようになった。確かに医療技術が進歩し、様々な延命措置が可能になった。しかし寝たきり老人になって寿命が延びても、本人そして周りの家族もそれが果たしてそれが幸せかどうか?

健康で毎日好きな事をやってすごし、ある日突然あの世に旅立つ。よくいわれる「ピンピンころり」であるが、これが理想的な人生の最後の迎え方だろう。これまでは他人事であったが、自分がその年代に近づくとその大切さを身に染みて感じる。
できることならそのような晩年をおくりたいものだ。

お馴染みのベテランジャズプレーヤーの訃報を毎年のように聞く。そのたびに、自分が慣れ親しんだ50年代から70年代にかけて興隆を極めたジャズの一つの時代が終わりを告げているような気がする。
昨年亡くなったミュージシャンも多いがその中に、女性ピアニストの大御所マリアン・マクパートランドの名前があった。享年95歳。ピアニストとしては日本では決して一般受けしなかったかもしれないが、実はビバップ創世記からの長い活動歴がある。歳を重ねて進化し90歳近くになっても益々活躍の場を広げていたプレーヤーだった。

このマクパートランドは”Marian McPartland’s Piano Jazz”というラジオ番組を持っていた。1978年にスタートし30年以上続いた長寿番組。そのパーソナリティーとして活躍して、その名を確固たるものにした。
毎回ピアニストをゲストに招きトークとプレーを、時には2人のピアノデュエットを交えてたっぷり1時間聴かせてくれる番組だった。いわば「徹子の部屋」のピアノ版だが、ゲストはスタイルや新旧を問わずジャズピアノの本質が楽しめるものであった。2人の共演がCDになっているものも多く、番組のアーカイブも残されている。

彼女はイギリスで生まれ、ヨーロッパで演奏活動を開始した、アメリカに渡ってからは結婚相手のジミーマクパートランドの影響もあったのか、ディキシー、スイング系の演奏もしたが、徐々にモダンなスタイルに変わっていった。気難しいベニーグッドマンに気に入られずにノイローゼになったことが転機になったとも。
彼女のピアノ自体がジャズピアノの歴史そのものだが、この番組は彼女の幅広い交友関係やジャズピアノの楽しさを知る上でも貴重なコンテンツだと思う。

ちょうどこのラジオ番組のスタートと軌を一にしてConcordとも契約しアルバムを残したがこのアルバムが5枚目になる。
最初のアルバムが彼女のトリオプレーのプレゼンテーションのようなものであったが、その後はゲストとの共演コンコルドジャズフェスティバルでのライブなどが続いたが、今回は久々のトリオでの演奏になる。

ドラムのジェイクハナはConcordの主であると同時に彼女の旧友でもある。ベースしばらく一緒にプレーしていた同じイギリス出身のブライアントーフがジョージシアリングとのコンビに転じてしまったので、今回からSteve La Spinaに代わる。今でも中堅べーシストとて活躍しているが、この彼女のグループへの参加が本格デビューの当時は新人であった。

このアルバムはタイトル通り彼女が選んだスタンダード曲集だが、彼女が女性オスカーピターソンともいわれたことあったことを意識してかピーターソンのTricotismも加え、最後は自作のMelancholy Moodで終わる。

彼女の別れた夫君ジミーマクパートランドが病に倒れ最後の闘病を続けていた時、このマリアン・マクパートランドは再び籍を戻し最後を看取ったという。人生道筋は色々あるが、現役を終えた最後は愛する人に見守られてあの世に旅立ちたいものだ。一人で生きてこなかった証として。

1. I Hear a Rhapsody       Jack Baker / George Fragos / Dick Gasparre 3:55
2. Meditation (Meditação)    N. Gimbel / A. Carlos Jobim / N. Mendonça 3:54
3. In Your Own Sweet Way     Dave Brubeck 4:08
4. A Sleepin' Bee        Harold Arlen / Truman Capote 5:57
5. I'm Old Fashioned       Jerome Kern / Johnny Mercer 3:21
6. When the Sun Goes Down    Leroy Carr 3:38
7. Tricotism           Oscar Pettiford 4:47
8. Melancholy Mood        Marian McPartland 3:18

Marian McPartland (p)
Steve La Spina (b)
Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson
Engineer : Ed Trabanco
Recorded at Soundmixers, New York, N.Y. June 1982
Originally released on Concord CJ-202
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長い人生で区切りというものは誰でも何度かあるが・・・・

2014-04-28 | MY FAVORITE ALBUM
Great Connection / Oscar Peterson

芸術の世界はどうも寡作家の方が神格化されがちである。反対に多作家の方はどうも粗製濫造のイメージがあり、素晴らしい作品でも有難味を感じないものだ。前回紹介したウィリーウィルソンなどはたまたま旧友のデュークピアソンのセッティングがなければ、彼の存在自体も今の時代に痕跡が残されていないと思う。何の世界でも、実は長い歴史の中では世に認められずにこの世を去った才人は数多くいるだろう。

オスカーピーターソンは多作家の代表の一人だろう。リーダーとしてだけでなく、他のミュージシャンとの共演や、ジャムセッションへの参加など活動の幅は広く、そして長かった。
大実力者であるが、超絶デクニック故反対に好き嫌いも分かれる結果になってはいる。
ジャズの世界はテクニックがあるから上手というわけでもなく、衆目を集める訳にはいかない。音符の中に独自の個性を作り、例えそれが朴訥としたものであっても、それが良いという事が多い。それがジャズの面白さだろう。

そのピーターソンも長い活動歴の中ではいくつかの節目がある。JATPに始まりトリオとしての活動を確固たるものにしたVerve時代はひとつの区切りだが、ライムライトを経て次のMPS時代もひとつの区切りになる。

長年コンビを組んだレイブラウンと別れたのが1966年。その後しばらくしてMPSにアルバムを残した。いつも多くの聴衆を前に檜舞台を歩んできたピーターソンにとって、このMPSで始まったプライベート録音は、演奏に集中するという意味でもそれまでの活動と全く別次元の世界であったのかもしれない。事実、最初の録音はヴァーブの専属時代の1964年から始まっており、同時進行で別世界を味わっていたのだ。

このMPSの録音はそれまでジャズの世界の代表格であるルディーバンゲルダーサウンドとは全く違うピアノサウンドを提供してくれた。ピーターソンのテクニックをさらにクリアに、そして重厚に再現したピアノサウンドを当時非常に斬新に感じたものだ。

このMPS時代にも終わりがある。このアルバムがMPSでの最後の録音となる。
エドシグペン、レイブラウンが去った後、トリオのメンバーは色々変わった。後任のサムジョーンズのベースは、レイブラウンと較べると重厚感が無くピーターソントリオ自体のイメージ自体も少し変わってしまった。MPSでせっかく厚みの増したピアノにブラウンの重厚感のあるベースが聴けたらなあと思ったものだ。

このMPSの最後のアルバムに新たなベーシストが登場する。ヨーロッパではすでにデクスターゴードンなどと多くの実績を積んでいたニールス・エルステッド・ペデルセンだ。
ベースが本来の重々しさよりも軽快なベースが増えてきていた中で、テクニックと重量感を併せ持ったペデルセンのベースはピーターソンにピッタリだった。このアルバムで意気投合したのか、その後Pabloに移っても、ピーターソンはこのペデルセンとの共演は多い。
その意味では、このアルバムはMPSでのラストアルバムであると同時に、ペデルセンとのコンビがスタートした節目のアルバアムだ。

2人の演奏は素晴らしいが、録音はピアノの良さに較べてベースは今一つ。出戻りのルイスヘイスのドラムの音も少し切れが悪い。これは演奏自体なのか、ドラムのセッティングなのか、それともMPSの録り方なのか?

ピーターソンはあまりオリジナルが多くない。このアルバムではスタンダード曲に交じって自作のカナダ組曲の中からWheatlandが演奏されているが、この曲は晩年になっても良く演奏された。アメリカ、ヨーロッパ、そしてアジアと世界を股にかけて活躍していたが、いつも母国を思う気持ちを忘れないためか。



1. Younger Than Springtime     Oscar Hammerstein II / Richard Rodgers 5:24
2. Where Do I Go from Here?     Jerry Bock / Sheldon Harnick 5:53
3. Smile               Charlie Chaplin 3:59
4. Soft Winds             Fletcher Henderson / Fred Royal 6:44
5. Just Squeeze Me          Duke Ellington / Lee Gaines 7:28
6. On the Trail            Ferde Grofé 5:51
7. Wheatland             Oscar Peterson 7:11

Oscar Peterson (p)
Niels-Henning Ørsted Pedersen (b)
Louis Hayes (ds)

Recorded at Hans Georg Brunner-Schwer Studio, Villingen, West Germany,
On October, 1971


グレート・コネクション(紙ジャケット仕様)
オスカー・ピーターソン
ユニバーサル ミュージック クラシック
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苦労して世に出たアルバムには、それまでの皆の想いが込められて・・・

2014-04-24 | PEPPER ADAMS
Dedication! / Duke Pearson

1961年7月ドナルドバード&ペッパーアダムスクインテットは、地方巡業の途中セントルイスのJorgie’sでのライブの模様をアルバムに残した。その夏は引き続きツアーを続けていたが、バードとアダムスは8月にスウェーデンの歌手Monica Zetterlundと共演した録音もしたが、どうも見当たらないようなのでこれが陽の目を見たかどうかは定かではない。このゼタールンドは64年のビルエバンスとの共演アルバムで有名な歌手だが、アダムスとはその後も親交が続き、サドメル時代になってからも2人は共演している。

そのような夏を過ごしている中、バード&アダムスクインテットを辞めたデュークピアソンが8月2日にトロンボーンのウィリーウィルソンのアルバムを作るためにスタジオ入りした。アダムスが参加したレコーディングセッションは諸々トラブルが多かったが、このセッションもトラブル続出であった。

まず、ピアソンがウィルソンを伴ってスタジオ入りすると予定していた他のメンバーが見当たらない。確認を入れてみると当初予定していたトランペットのケニードーハムはどこへ行ったか見つからず、慌ててフレディーハバードをピンチヒッターで起用することに。
ベースのウィルバーウェアは他のレコーディングとダブルブッキング、これもウィルソンの旧友トーマスハワードが急遽参加、そしてニューヨークにいたペッパーアダムスにも助っ人要請があり、急造チーム6人でのレコーディングとなった。

何とかメンバーも揃って録音に漕ぎつけたが、本来の主役であるはずのウィリーウィルソンにとってさらに不幸だったのは、当初予定されていたJazzlineというレーベルからリーダーアルバムとしてのリリースが没に。結果としてそのマスターが世にばら撒かれた後、色々なレーベルから名前を変えて出ることに。このウィルソンはこの2年後に亡くなっているので生前このアルバムを本人が耳にすることは無かったということだ。

自分が所有しているのはデュークピアソンがリーダーのDedicationとタイトルされたCD盤だが、実は同じ演奏が他にもこれだけバリエーションがあるようだ。

* Jazzline JAZ 33-03 The Willie Wilson Sextet (not released)
= Prestige PR 7729; Original Jazz Classics OJCCD 1939-2 Duke Pearson - Dedication!
= Fontana (E) 683 290 JCL, (E) 883 290 JCY Freddie Hubbard - Groovy!
= Black Lion (E) BLP 60122, (G) BLCD 760122 Freddie Hubbard - Minor Mishap
= Jazzline (J) PA-3081 Freddie Hubbard - No. 5

オリジナル盤がジャケットを変えて再発というのは良くあるが、リーダーやタイトル名まで変えられると、ファンにとっては同じアルバムを何枚も買い求める羽目に陥る。
最近はCDになって複数のLPのカップリングもよくあるし、50年の著作権が切れたアルバムはセット物でごった煮状態。格安なのはいいが欲しいアルバムを探すには苦労する時代になった。もっとも聴くだけであればネットで気軽にダウンロードできる時代にもなったので、音楽の世界はどうやら聴く事と集めることは別の物になった。

脱線ついでに、リーダー、タイトルだけでなく、曲名まで変えられた物もある。
先日紹介したバード&アダムスクインテットの名盤” Pepper Adams/Donald Byrd - Out Of This World”
これがはTCBレーベルになると、タイトルが、”Jammin' With Herbie Hancock”と変わり、



何と曲名まで変わって、それぞれ
Curro's (edited version) ⇒ (Jammin' With Herbie)
Bird House (edited version)  ⇒ (Herbie's Blues)
Mr. Lucky Theme (edited version) ⇒ (Rock Your Soul)
Out Of This World (edited version) ⇒ (T.C.B. With Herbie)
Day Dreams (edited version)  ⇒ (Soul Power)
I'm An Old Cowhand  ⇒ (Cat Call)

と全く別物になる。こうなると、聴き終わってからどこかで聴いた事があるアルバムだということになって、アルバム探しもディスコグラフィー片手に確認しないと、ジャケ買いなどはできなくなった。

さて、本題に戻るが、こんな寄せ集めメンバーで一発勝負のジャムセッションのようなアルバムになったが、実はこのアルバムはDuke Pearsonの想いが籠った物に仕上がっている。

デュークピアソンと本来の主役ウィリーウィルソンは出身地アトランタでは幼馴染同士。子供の頃は同じピアノの先生にレッスンを受け、10代の頃は一緒のグループで演奏していた仲だった。此の頃デュークはトランペットを吹いていたそうだ。このアルバムに参加したトーマスハワードはその頃のメンバー同士だったらしい。

その頃一緒にやったメンバー達に後押しされたデュークピアソンがニューヨークに出てきたのが1959年。すぐにドナルドバードのグループに参加し頭角を表すようになった。
このピアソンがすぐにブルーノートのスタッフとして登用されたと思ったら、実はこの年1961年にドラムのデイブベイリー、プロデューサーのフレッドノースワーシーと一緒にこのJazzlineというレーベルを興した一人であったようだ。倒産するまでに何枚かのアルバムが出たが、このアルバムはどうもお蔵入りのままだったようだ。
ということで、そもそも仲間の出世頭のピアソンが旧友のウィルソンの為につくったアルバムという事で、ウィルソンをフィーチャーした曲が多いが、スタンダードのニアネスオブユーではミドルテンポで軽快に、タイムアフタータイムはバラードで、それぞれワンホーンでじっくりと、さらに自作の妻アルビアに捧げたブルースでは自らトップバッターでソロをとる。



アダムスの曲Apothegmは、アダムスの参加した初期のアルバムJazzmen Detroitでも演奏されていたが、ここでは若干テンポを遅く。ピアソンはテンポの速い曲を好まなかったそうだがそれが影響しているもかも。フラナガンの曲Minor MishapもアダムスのリーダーアルバムCritic’s Choiceで演奏されていた曲で、アルバム作りにアダムスの持ち曲も取り上げられているのも急場しのぎだったのかもしれない。



いずれにしても、今となってみれば無名トロンボーン奏者のウィリーウィルソンの遺作集としても貴重なアルバムで、旧友であるピアソンの貢献が大きいが、アダムスも思わぬ出番で活躍している一枚だ。

1.Minor Mishap     Tommy Flanagan 4:27
2.Number Five      Duke Pearson 3:49
3.The Nearness of You  Hoagy Carmichael / Ned Washington 5:04
4.Apothegm       Pepper Adams 5:39
5.Lex Donald Byrd   Duke Pearson 5:51
6.Blues for Alvina    Willie Wilson 7:14
7.Time After Time    Sammy Cahn / Jule Styne 6:51

Freddie Hubbard (tp) 1,2,4,5,7
Willie Wilson (tb)
Pepper Adams (bs) 1,2,4,5,7
Duke Pearson (p)
Thomas Howard (b)
Lex Humphries (ds)

Produced by Fred Northworthy
Recorded at Bell Sound Studios, NYC, on August 2, 1961


Dedication
Duke Pearson
Ojc
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日頃のチームワークをダイレクトカッティングの緊張感で・・・

2014-04-22 | CONCORD
Just Friends / LA4

このアルバムのタイトル、”Just Friends”は好きな曲だ。スタンダードでボーカルも名唱が多いが、インストでもパーカーを筆頭にこれも名演が多い。ビッグバンドでは内堀勝のトロンボーンセクションをフィーチャーアレンジは他のバンドでも良く演奏されている。このアレンジも良いが、ビルホルマンのアレンジも印象に残る。どれも、失恋の歌という割には軽妙な熱い演奏が多い。

このアルバムはお馴染みLA4によるもの。このJust Friendsは恋人同士であった2人が単なる友達になってしまうのを悲しむ歌だが、このグループも恋人関係のようで友達同士のような関係。誰がリーダーという訳でもなく、4人が対等に付き合っている。レギュラーグループのようでいつも一緒に演奏しているわけではない。ただし、一緒になった時は脇目もふらずに4人のコラボに集中するといった感じだ。グループパフォーマンスを極めるという点ではモダンジャズカルテットにも通じる。

LA4はコンコルドレーベルの設立と同時にスタートしたグループで、コンコルドレーベルの顔にもなっていたグループ。これが7枚目のアルバムになる。設立当初のドラムはシェリーマンから、途中でジェフハミルトンに代るが、基本的なコンセプトやサウンドは不変だ。

実は、このアルバムは最初コンコルドレーベルのダイレクトカッティング録音の第一号としてリリースされた。録音は1978年なので”Watch What Happens”の次に録音された物で、82年になってレギュラーシリーズの中で装いも新たに再発された。
再発といってもダイレクトカッティングとは別にテープにも収録されていたものから作られたアルバムなので、通常の制作プロセスを経たアルバムとしては初物。オーディオマニアにとっては比較試聴には絶好のアルバムだ。

コンコルドは総じて録音のレベルは高いが、このアルバムも素晴らしい。アナログサウンドの良さの極致を味わえる。もっとも、シャンクのアルト、アルメイダのギター、レイブラウンのベースや、ハミルトンのドラム、そもそも4人が演奏している楽器の鳴りが良いと言いう事が大前提なのだが。

このアルバムのJust Friendsもアルメイダがスローテンポのボサノバでスタートするが、途中からシャンクのアルトに代わり、アップテンポに転じハミルトンもブラッシングから絶妙のスティックワークへとドンドンホットになっていく。何か甘い恋人関係よりも濃い友人関係の方がいいぞと言っているようだ。

一方で、ラブメドレーということで、ラブフォーセールとラブウォークインが続くが、これはエイトビートで始まりリズムやテンポを変えながら。本物の愛以外はどんな愛でも売りますよという歌詞のごとく破れかぶれの展開に。

これはレイブラウンのアレンジということだが、このグループはバッハから、ビーバップ、ボサノバ、そしてコリアの曲まで何であってもあっと言う間に自分達で料理してしまう達人仲間だ。日頃から料理上手の4人であるがダイレクトカッティング特有の録り直し、編集なしの一発勝負がより緊張感を生んでいるような気がする。



1. Nouveau                     Bach  6:57
2. Carinhoso  João de Barro / Pedro Berrios / Alfredo Vianna 4:18
3. Just Friends        John Klenner / Sam M. Lewis 7:25
4. Love Medley:
  Love for Sale George Gershwin / Ira Gershwin
   Love Walked In Cole Porter            8:23
5. Spain                  Chick Corea 8:31

Laurindo Almeida (g)
Bud Shank (as)
Ray Brown (b)
Jeff Hamilton (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recorded at Capital Records Studio A, Hollywood on August 18 1978

Originally released on Concord CJ-199


Just Friends
LA4
Concord Records
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サドメルを辞めたサドジョーンズがヨーロッパで新たに編成したオーケストラEclips・・

2014-04-21 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Thad Jones Eclipse

有名ジャズビッグバンドのレパートリーにこだわって演奏しているビッグバンドは多い。有名になった曲を他のミュージシャンがカバーすることは音楽の世界では一般的だが、ビッグバンドの場合はアレンジが命。アレンジもオリジナルオーケストラのスコアを使ったレパートリーバンドは、やはりメンバー達のオリジナルバンドへの思い入れが半端ではないということだろう。このようなオーケストラは、聴く方もどうしても「本物にどこまで迫れるか」といった聴き方になってしまうのは仕方がないものだ。

日本では、グレンミラーのミラーサウンドオーケストラ、秋吉敏子のアートオウルジャズオーケストラ、カウントベイシーのベイシーサウンドオーケストラ&高瀬龍一ビッグバンド、ハリージェイムス&レイアンソニーの岸義和ビッグバンドなど・・・、まだ聴いた事のないバンドもあるし、アマチュアバンドを入れるとその数はかなりになるだろう。
サドメルも人気があったオーケストラなので、その曲をレパートリーに加えているビッグバンドはプロでも多い。そのサドメルの曲だけをやっているというビッグバンドがあると聞き、先日東京TUCで行われたそのライブに出かけてみた。



それはMake me smile Jazz Orchestraという社会人バンド。
結成されて20年近く経つバンドのようだが、東京大学のビッグバンドサークルのメンバーと、その関係者を中心に編成されたようで、メンバーの結束は強そうだ。メンバーには若手も多く歴史を感じるオーケストラだ。客席は関係者が多く、年一度のお祭りの様相であったので、一般のお客は少し居場所が無い感じの会場の雰囲気ではあった。

プログラムは、サドジョーンズアレンジ一辺倒ではなく、リトルピクシーのようなサドメルのクラッシックからVJOになってからのジムマクニーリーのハードリーエバーまで様々。こだわりはオールドサドメルだけでなく、VJOまでをカバーする幅広い



サドメルの場合は、アンサンブルワークの難しさだけでなくソロも変化に富んでおり、コピーをするのも難しいとは思うが、そこそこのプレーでサドメルファンとしては十分に楽しめた。これもアマチュアならではの日頃の繰り返しのリハーサルの成果であろう。以前宮嶋みぎわのオーケストラにダグラス:パービアンスが加わっただけでオーケストラ全体のサウンドが引き締まった感じを受けたが、きっと、このオーケストラもサドジョーンズが指揮をすると一段とサウンド&リズムにメリハリがついてくると思う。

本家、サドジョーンがサドメルを去ったのが1977年10月といわれている。創設以来のメンバーであったペッパーアダムスがバンドを去ったのが8月24日。その後を追うようにしてのリーダーであるサド・ジョーンズの離脱であった。
活動の拠点をヨーロッパに移したサドは、その年の12月には盟友のメルルイスと共にフィンランドのUMOオーケストラと共演し、翌年78年には今度はデンマークでDanish Radio Big bandと3月にコペンハーゲンのモンマルトルでのライブアルバムを残している。活動場所は替われど、ヨーロッパに移り住んでもオーケストラへの情熱は衰えていなかったようだ。

ジョーンズはヨーロッパでは色々などんなオーケストラに客演することが多かったが、彼の指揮の下で一緒に演奏するとバンド全体がサドジョーンズ独特の味付けがされる。これは彼のアレンジだけでなく他のメンバーのアレンジでも同様であった。サドの指揮のマジックである。

しかし、そのうちサドはやはり直接自分の息のかかったオーケストラが欲しくなったのであろう、78年7月にコペンハーゲンのジャズクラブ”Slukefler”にヨーロッパ各地からメンバーが集められた。彼らはこれまで共に一緒に演奏したことが無かっただけでなく、中にはビッグバンドの経験の無いメンバーもいたとか。助っ人としてヨーロッパ在住のアメリカ出身の仲間達も参加した。ピアノのホレスパーラン、ドラムのエドシグペン、サックスのサヒブシハブなど、皆腕達者達の実力者であった。

メンバー達は初めて見る譜面を何とか演奏し終えて、思わず皆で目と目を合わせた。そこでサドは、お得意の白い歯を出した満面の笑みで一言「さあ、何を皆で一緒にやらなければならないか分かったよね」と。それから2週間のリハーサルでこのバンドはサドジョーンズサウンドを立派に奏でるようになった。

このCDにはそのオーケストラの2か月後のスタジオ録音、そしてその一年後、このオーケストラがリハーサルに励んだクラブ”Slukefler”でのライブ録音の2枚のアルバムが収録されていて2年間での変化も比較できるが、2枚目ではメンバー達のオリジナルアレンジが中心に進化している。

世界中にサドメルのアレンジをレパートリーに加えているオーケストラは数多くあるとは思うが、やはりサドジョーンズ自ら育てたオーケストラは一段と輝かしく響き渡る。サドの直接の指導と指揮が活きているのだろう。

リチャードブーンのボーカルも聴ける楽しいセッション。サドの指揮ぶりも見ることができる



1. Basically Yours            Thad Jones 5:45
2. To You                Thad Jones 4:17
3. Snickerdoodle           Keith Foley 4:20
4. I Can't Give You Anything But Love  Dorothy Fields / Jimmy McHugh5:41
5. Honky Punk              Ole Nielsen 3:26
6. This Bass Was Made for Walking    Thad Jones 4:39
7. Baby, I Can't Get Over You      Sahib Shihab 8:25
8. I Hope This Time Isn't the Last    Tim Hagans 8:05
9. Arrival                Horace Parlan 6:05
10. Scrapple from the Apple        Charlie Parker 5:38
11. La Solitude              Gilbert Bécaud 5:38
12. My Centennial             Thad Jones 10:14

#1~6
Erik Tschentscher (tp)
Tim Hagans (tp)
Lars Togeby (tp)
Egon Petersen (tp)
Jan Glaesel (tp)
Ture Larsen (tb)
Axel Windfeld (tb)
Richard Boone (tb)
Bjarne Thanning (tb)
Niels Neergaard (tb)
Ole Thoger (as)
Nielsen (as)
Jorgen Nilsson (ts)
Michael Hove (bs)
Bent Jadig (ts)
Sahib Shihab (bs,as)
Jesper Lundgard (b)
Horace Parian (p)
Ed Thigpen (ds)

Recorded on Sep.17&18,1979, at Metronome Studio in Copenhagen

#7~12
Erik Tschentscher (tp)
Tim Hagans (tp)
Lars Togeby (tp)
Egon Petersen (tp)
Jan Glaesel (tp)
Ture Larsen (tb)
Palle Jensen (tb)
Bill Beecroft (tb)
Jens Engel (btb)
Sahib Shihab (as)
Ole Thoger (as)
Nielsen (as)
Jorgen Nilsson (ts)
Jesper Nehammer (ts)
Michael Hove (bs)
Jesper Lundgard (b)
Horace Parian (p)
Nicolai Gromin (g)
Bjarne Rostvold (ds)
Emmanuel Khaliq Rahim (congas)

Recorded live at ”Slukefler” Tivoli Copenhagen on Sep.15&16,1980
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メインストリームジャズの復権に合わせてベテランコーラスグループも復活

2014-04-15 | MY FAVORITE ALBUM
Now / The Hi Lo’s

アルバム作りは、じっくりスタジオ録音がいいのか、あるいはライブがいいのかはミュージシャンによって異なるし、曲によっても異なる。マイルスデイビスなどは、ギルエバンスとのコラボレーションなどはスタジオ録音で素晴らしい演奏を残した一方で、ライブ録音で名演奏を各地で残した時期もある。まあ、名プレーヤーというものは、いずれにしても状況に合わせてベストパフォーマンスを出せる人物をいうのであろう。

コーラスグループでシンガーズアンリミテッドというグループがあった。究極のハーモニーを目指したグループであったが、多重録音を用いたためアルバムで楽しめるだけでライブでの演奏を聴くことのできないグループであった。

このシンガーズアンリミテッドの前身は、男性カルテットのハイ・ローズ。50年代から60年代にかけで活躍したグループだ。フォーフレッシュメンに通じる白人コーラスの軽妙さが売りであったが、ドン・シェルトン、レン・ドレスラーが解散後に編成したのがシンガーズアンリミテッドであった。

最近、自分の日常は同窓会、同期会が目白押しだ。昔の仲間達と会うと、直近の話題は親の介護か自分の健康の話が多い。この話題はお互いの慰みであってあまり前向きの話は少ない。しかし、昔話になるとあっという間にタイムスリップする。昔の記憶が次から次へと思い浮かんで楽しかった頃の話題で話が弾む。歳をとると新しいことはなかなか覚えないのだが昔の記憶は結構しっかりしている。自分が忘れていたことを鮮明に思い出すことも。

新しい試みに日々追われていると昔の出来事は単に思い出でしかない。しかし、日々の生活の中に昔の事が舞い戻り、周りも昔の話題が多くなると、突然実世界も昔に戻したくなるものだ。ハイ・ローズの面々も同じような心境だったのかもしれない。

1978年に今度は、シュルトンとピュアリングはハイ・ローズを復活させた。ジャズの世界もベテランが復活をしていたこの時期にコーラスグループの復活を求める声もあったのだろう。
復活の舞台は9月17日第21回のモンタレージャズフェスティバル。そして、レコードも制作されることに。その名も”Back Again”というタイトルであったが、シンガーズアンリミテッドのアルバムを制作していたMPSレーベルで実現した。

シンガーズアンリミテッドの成功を支えたMPSであったが、今度はハイ・ローズの復活を後押しした。再び集まった4人はこのコンサートとレコーディングを終えると、一旦それぞれの生活に戻った。しかし、再度活動の続行を求める声が高く、再び活動を始めた。
1980年になって第2作であるこのアルバム”Now”が作られたが、結局これがハイ・ローズのラストレコーディングとなった。

アルバム作りは、シンガーズアンリミテッドの制作手法を踏襲し、バックに関しては西海岸で録音され、コーラスはドイツで収録された。バックは昔もバックのアレンジを担当したことのあるクレアフィッシャーが務める。時代を反映してか、シンセサイザーやフェンダーを使用してアレンジも演奏も多少今風に。
ビッグバンドを率いて丁度今来日中のゴードングッドウィンがソプラノサックスで参加している。今から34年前、サックス奏者としてスタジオで活躍していた頃の演奏だ。

フォーフレッシュメン同様、ビーチボーイズなどにも影響を与えたハイ・ローズだが懐メロだけでなく、今回はマイケルフランクスやビリージョエルなどの新しい曲にもチャレンジ。丁度コーラスグループもマンハッタントランスファーが登場して人気を復活させていた頃、レコードでしか聴けなかったベテランコーラスグループの復活はファンにとっては嬉しい出来事であった。

1. While We're Young    (A. Wilder – M. Palitz – B. Engvick)  4:02
2. Just the Way You Are   (Billy Joel)  4:54
3. Quiet Nights       (G. Lees – A. C. Jobim)  3:51
4. Ain't Doin' Bad Doin' Nothin' (Lee Jarvis - Joe Venuti)  4:10
5. Lazy Afternoon      (John Latouche - Jerome Moross)  3:36
6. No More Blues     (J.Hendricks - J.Cavanaugh - V. DeMoraes - A. C. Jobim)  3:09
7. After the Love Has Gone   (D. Foster – J. Graydon – B. Champlin)  3:48
8. Everytime We Say Goodbye   (Cole Porter)  4:26
9. Night We Called It a Day, The   (Matt Dennis - Tom Adair)  3:01
10. Mr. Blue             (Michael Franks)  3:12

Tracks 1, 3, 6
Clare Fischer (ep. p)
Gary Foster (fl)e
Ralph Grierson (YAMAHA CS-80 POLYPHONIC synthesizer)
Tommy Tedesco (g)
Oscar Meza (b)
Luis Conte (congas, per)
Walfredo De Los Reyes (ds)

Tracks 2, 7, 10
Clare Fischer (ep,p)
Tommy Tedesco (g)
Jim Hughart (eb,b)
Luis Conte (congas, per)
Steve Schaeffer (ds)

Tracks 4, 5, 8
Clare Fischer (ep,p)
Gordon Goodwin (ss,fl)
Jim Hughart (eb,b)
Steve Schaeffer (ds)

Track 9 A Cappella recording

Vocal Arrangements by Gene Puerling
Orchestral arrangments and direction by Clare Fischer
Produced By Hans George Brunner-Schwer & Gene Puering

Instrumental tracks recorded March 27, 28, 1980 at A&M Studios in Los Angeles;
Engineer: Don Haan;
Assist: P. McKenna

Vocals recorded May, 19-22, 1980 in the studio of MPS RECORDS, Villingen, West Germany
Engineer: Hans Georg Brunner-Schwer;
Rec. Director: Willi Fruth
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ハンコックを加えた新メンバーで新曲を携えてツアーに出てのライブ録音は・・・

2014-04-14 | PEPPER ADAMS



Donald Byrd & Pepper Adams Quintet Complete Live at Jordie’s 1961

桜が終わると木々が一斉に芽吹く。ゴルフに行っても一週間で景色が変わる今日この頃。
日本では、4月が新年度、学校も新学年がスタートするが、やはり春のこの季節が何事においてもスタートするには気分が一番のる時期だ。

春も終わった1961年5月2日にブルーノートのアルバム”The Cat Walk”の録音を終え、バードとアダムスは6月に入るとまた地方のツアーに出た。

クリーブランドから中西部のセントルイス、カンサスシティーと渡り歩く。バード&アダムスクインテットの地方巡業は結構場所が離れた所を移動することが多かった。アダムスは回顧録の中で、「ブッキングをするエージェントがどうも我々を当て馬に使われ、あるいは穴埋めに使うことが多く、場所が結構あちこちに散らばる事が多かった。お蔭で移動の交通費だけでばかにならないことが多く、たいした稼ぎにはならなかった」と回想している。

アダムスは、ユニオンからお金が払われなかったり、せっかく作ったレコードの版権がいい加減でロイヤリティーが貰えなかったり、アダムスはどうもお金には縁が無かったようだ。結局それが原因でこのグループは解散することになるのだが。

この6月のツアーのセントルイスの”Jorgie’s”でのライブが録音されて残っている。
メンバーにはピアノのハンコックが引き続き残り、ドラムのテディー・ロビンソンも戻った。ベースには新たにクリーブランド・イートンが加わっている。

ドナルドバードの作曲したこのクラブの名前を付けた”Jorgie’s”、“Hush”、”6m’s”の3曲はこの後のスタジオ録音の”Royal Frush”にも収録されているので、今回のツアーは心機一転新曲のお披露目を兼ねたツアーだったのかもしれない。
その証に”6m’s”は、この録音時のMCでは「今まで3、4回やったけれどまだ名前は無い」とのこと。
“Jorgie’s”、 ”6m’s”では、ハンコックがピアノでイントロを務めるが、どちらもゆったりしたテンポでハンコックらしさを感じさせるが、“Hush”ではいきなりハンコックのピアノもバックで、ソロでも珍しく大ファンキー節を聴かせてくれる。
最後の”Like Someone in Love”は、管が抜けてハンコックのトリオでの演奏。これがトリオでの初録音かもしれない。新人のハンコックはデビュー当時からメンバー達からもグループ内で一目置かれていた様子が窺える。

アダムスのプレーはどうもスタジオよりもライブの方がノリがいいように感じるが、インタビューでもグループでの調和が第一だが、ライブでのお客から受けインスピレーションもあるのは確かだそうだ。

この後、デトロイトを経て8月にはニューヨークに戻る。グループとしての活動は一時休みだったが、アダムスはデュークピアソンのレコーディンやモンクのテンテットに加わり、9月にはグループ最後のアルバム”Flush”の録音に臨む。


1. Jorgie's      Donald Byrd 14:08
2. 6 M's (Blues In 3/4)  Donald Byrd 10:13
3. Hush      Donald Byrd !0:42
4. Amen      Donald Byrd 9:32
5. Like Someone In Love  J.burks-J. Van Heusen 12:05

Donald Byrd (tp)
Pepper Adams (bs)
Herbie Hancock (p)
Cleveland Eaton (b)
Theodore Robinson (ds)

Recorded live at "Jorgie's Jazz Club", St. Louis, MO, June 24, 1961

Complete Live at Jorgie's 1961
Donald Burd & Pepper Adams
Ais
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スイングするのは曲か? コーラスか? それともバックか?・・・

2014-04-10 | MY FAVORITE ALBUM
The Swingers 12 Jazz favorites by The Four Freshmen

コーラスの編成はジャンルを問わず4人組(カルテット)が多い。インストだとリズム3人にソロ楽器となるが、コーラス4人組はハーモニーを作り出す大事な要素、これも男女混成、男だけ、女性だけで雰囲気もがらりと変わるし、ソロも大事な要素になる。
ジャンルを問わずこの組み合わせの妙がコーラスの楽しさであり、面白さになってくる。

ジャズコーラスの楽しみはハーモニーもあるが、「ジャズのスイング感をどのようにコーラスで表現するか」が要素として加わってくる。スイングさせるためのコーラスのアレンジも大事だ。キャットを加えたり、そしてバックとのコラボレーションでよりスイングするコーラスが生まれてくる。

ジャズコーラスといえばフォーフレッシュメン。ペッパーアダムスやメルルイスのようにスタンケントンオーケストラで研鑽を積んだジャズメンは多いが、このフォーフレッシュメンもスタンケントンが世に出したコーラスグループだ。

まだ大学生であったフォーフレッシュメンを「スタンケントンオーケストラのような音を出すから一度聴いてみては」という勧めでケントンが自らコンサートに足を運んで聴いてみて、即キャピタルレコードに紹介したのがプロ入りのきっかけだとか。まだ学生であった4人はトントン拍子で出世をし、大学を卒業することなくいつまでも「フレッシュマン」のまま生涯活躍することになる。

このフォーフレッシュメンはオープンハーモニーといわれる一番高い音域がソロパートを担当するのが特徴。その結果、それまでのコーラスグループとは一味違ったサウンドとなる。素人耳にも確かにケントンサウンドと何か共通点があるように感じる。

さらに加えて、4人が自ら楽器を演奏するということも特徴の一つ。後に、ロックやポップスの世界ではビートルズを始めとして、日本のグループサウンドでも楽器を弾きながらコーラスを歌うというのは一般的になったが、ジャズの世界ではグループメンバー全員が楽器を弾きながら歌うというのは珍しい存在だ。その演奏も余興ではなくプレー自体本物だ。

このフォーフレッシュメンは多くのアルバムを残しているが、その名も"Swingers”とタイトルされたアルバムがある。独自のスイング感を持ったフォーフレッシュメンが思う存分スイングしているアルバムだ。ライナーノーツの出だしで、「このアルバムを手にして果たして歌手がスイングするのか歌がスイングするのか迷うかもしれないがこれは両方だ」と書かれているが、実はこのアルバムはバックのオーケストラもスイングしているのを忘れてはいけない。
西海岸の売れっ子アレンジャー、ビルホルマンのアレンジによるバックのオーケストラが実にスインギーな演奏でコーラスと歌を盛り立てる。まさに三位一体のスインギーなアルバムになっている。

日本のコーラスグループ「ブリーズ」は野口久和ビッグバンドをバックにスインギーなコーラスを聴かせてくれるが、フルバンドをバックにしたコーラス、それもジャズの名曲といわれる曲を歌い込んだアルバムというのは、そうそう簡単に聴けるものではない。
このアルバムはスインギーなビッグバンドをバックに、スインギーなモダンコーラスをタップリ聴ける一枚だ。

1. Lulu's Back in Town         Al Dubin / Harry Warren 3:10
2. Li'l Darlin'             Neal Hefti 3:35
3. Let's Take a Walk Around the Block H. Arlen / I. Gershwin / E.Y. "Yip" Harburg 3:44
4. Dynaflow               Stan Kenton / Art Pepper 3:07
5. Do Nothin' Till You Hear from Me  Duke Ellington / Bob Russell 4:15
6. Spring Isn't Spring Without You   Ken Albers / Bill Comstock 2:29
7. Taps Miller              Count Basie 3:34
8. When My Sugar Walks Down the Street  G. Austin / J. McHugh / Irving Mills 2:02
9. Satin Doll   Duke Ellington / Johnny Mercer / Billy Strayhorn 2:53
10. This Could Be the Start of Something  Steve Allen 2:37
11. Lullaby of Birdland       George Shearing / George David Weiss 3:26
12. I'm Gonna Go Fishin       Duke Ellington / Peggy Lee 2:42

The Four Freshmen 
 Ken Albers
 Ross Barbour
 Bob Flanigan
 Bill Comstock

Produced by Bill Miller
Arranged and Conducted by Bill Holman
Recorded in 1962



Two Classic Albums from The Four Freshmen (The Swingers/Stars in Our Eyes)
The Four Freshmen
Collector's Choice
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ハンコックもいいけれど、やはりレギュラーメンバーで一枚・・・・

2014-04-09 | PEPPER ADAMS
The Cat Walk / Donald Byrd

1961年4月17日に新加入のハービー・ハンコックを伴ってドナルドバードと一緒に”Chant"の録音を済ませたペッパー・アダムスは、翌日の4月18日から29日までの間、クインシージョーンズのビッグバンドに加わりBirdlandに出演した。

このクインシーのビッグバンドであるが、ヨーロッパ公演の途中で出演していたミュージカルが中止となり、メンバー全員が家族と共にヨーロッパで流浪の民となってしまったという苦い思い出のツアーを前年に経験していた。一度帰国したクインシーは多額の負債を負ったにもかかわらず、この年2度目のツアーを敢行した。3月にはスイスでコンサートを行ったが、この模様はライブレコーディングされ音源はマーキュリーに残されていた。
後に、児山紀芳氏の発掘によりこのライブの模様は陽の目を見て、"THE GREAT WIDE WORLD OF QUINCY JONES LIVE"というアルバムになっている

したがって、このバードランドでのライブはこのヨーロッパツアーから帰国直後のニューヨーク公演であった。ヨーロッパツアーではクイシンシーのビッグバンドのバリトンサックスはサヒブ・シハブであったがそのままヨーロッパに留まり、ニューヨーク公演には帯同せずアダムスがトラとして参加する事になった。このライブはラジオでもオンエアされたようなので、どこかに音源が残されていればぜひ聴いてみたいものだ。

さて、バード&アダムスクインテットの方は、ハンコックが加わった「チャント」の方はその後すぐにはリリースされずにお蔵入りとなってしまったが、前のメンバーというか本来のメンバーであったデュークピアソンが加わって、5月2日に再度クインテットの録音が行われた。

ここで演奏された曲は、ピアソンの作曲した曲が多く、この録音は実は前から決まっていたのかもしれない。ツアーに長く出ていた事、そしてツアーの途中でピアノがハンコックに代わってしまい、このハンコックの出来が良いのでこちらの録音をとりあえずは済ませたのだろう。とはいうものの、ピアソンはその後ブルーノートのプロデューサーになる人物、縁が切れた訳ではなくこの録音はひとつのけじめとしてピアソンが加わった作品集を残しておこうというになったのかもしれない。

ところが、このセッションはそうすんなり実施できなかった。ドラマーも元のメンバーのレックス・ハンフリーを予定していたが、録音当日になっても連絡がつかず急遽フィリージョージョーンズの起用となった。大ベテランということもありピンチヒッターで加わったにも関わらず、演奏を聴いても何の違和感もなくしっくりグループのプレーに溶け込んでいる。

演奏曲の中で、ピアソン&バードの曲に交じって、一曲ベイシーの演奏で有名なニールフェフティーのキュートが入っている。録音直前に、ジョーンズの提案で採用されたが一発で収録が済んだようだ。ベイシーではドラムのブラッシワークの掛け合いが特徴だが、ここではテンポも速めでスティックワークによるダイナミックなプレーになっている。
最後のハローブライトサンフラワーではブラッシワークが光る。バードのミュートプレーも特筆もの。

色々苦労の末に生まれたアルバムであるが、基本のファンキー路線に加えてピアソンのリリカルでキュートな味付けが効いた、バード&アダムスクインテットの代表作ともいえる好演だと思う。




1. Say You're Mine      Duke Pearson 7:22
2. Duke's Mixture      Duke Pearson 7:03
3. Each Time I Think of You Donald Byrd / Duke Pearson 5:37
4, The Cat Walk       Donald Byrd 6:43
5. Cute           Neal Hefti 6:20
6. Hello Bright Sunflower  Duke Pearson 7:33

Donald Byrd (tp)
Pepper Adams (bs)
Duke Pearson (p)
Laymon Jackson (b)
Philly Joe Jones (ds)

Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, May 2, 1961

Cat Walk
Donald Byrd
Blue Note Records
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ホーンは替われどブルーベックカルテットにはいつも変わらぬ不思議な魅力が・・・・

2014-04-08 | CONCORD
Concord On A Summer Night / The Brubeck Quartet

音楽、芸術の世界ではジャンルは何であっても一度「誰もが知る程の大ヒット」を放つと、反対にその呪縛から逃れ、新たな作品を生み出すには更なる努力が必要となるものだ。結局、本当の才能があるものだけが、次から次へと話題作を生み出すことができる。
プロゴルフの世界でもツアーで一勝するのはそれなりの実力があれば誰でも可能性があるが、2勝するのは本当の実力が伴わないと難しいといわれるのと同じかもしれない。

デイブ・ブルーベックといえば、テイクファイブの大ヒットでジャズファンのみならず、広く世の中に知られる存在になる。ポールデスモンドとのカルテットは不動のメンバーで67年まで活躍を続けるが、このテイクファイブのおかげでジャズファンだけでなく、多くの音楽ファンに受け入れられたグループであった。

テイクファイブがヒットする以前から活動をしていたが、当時のジャズの本流であったハードバップの流れとは異なり、かといって一般的なウェストコーストジャズとも違う存在であった。ブルーベックのピアノ自体がクラッシック、あるいは現代音楽に通じる独特の存在であったので、色々バリエーションの多いジャズの世界であっても独自の道を歩んでいたのだろう。

テイクファイブはたまたま変拍子へのチャレンジの一環、脈々と続く独自の世界の活動が背景にあったということであり、そもそもぽっと出のヒット曲とは基本的に違うものであった。

そのブルーベックカルテットも、ポールデスモンドが去り、次にジェリーマリガンとのコンビに代わり、息子たちと一緒にプレーをし、そしてこのコンコルドに移籍するときにはジェリー・ベルゴンツィ加えたカルテットに変わっていった。いわゆる大物プレーヤーとのコンビではなく、ファミリーや中堅メンバーとなると自然と世の中へ訴える影響力も変わっていたようだが、過去の名声をバックにカルテットとしての活動は相変わらず活発に行っていた。

このニューカルテットは79年のコンコルドジャズフェスティバルへの参加がConcordレーベル初登場であったが、TritonisPaper Moonと2枚のアルバムを作り、今回は82年のコンコルドジャズフェスティバルでの演奏になる。
ブルーベックはそもそも地元出身ということもあり、ここコンコルドでは他にも増して聴衆から盛大な歓待を受ける。それ故フェスティバルのステージもトラを努めることになったのだろう。

今回のカルテットはまたメンバーが替わっている。モーダルなプレーでカルテットに新しい風を吹き込んだジェリー・ベルゴンツィに代わり、クラリネットのビル・スミスが加わる。
あまり聞かない名前であるが、実はブルーベックとの付き合いは長く古くはオクテット時代のメンバーでもあり、その後のアルバムにも何度か登場しているのでブルーベックとの付き合いは長い。表舞台では活動をしていなかったようなので、今回が久々に旧友との再会の舞台ということになる。ブルーベック同様クラッシク、現代音楽にも造詣が深いプレーヤーなので相方としては適任かもしれない。

フェスティバルの舞台ということもあり選曲はバラエティーに富んでいるが、ベンジャミンはラテン調の初孫へのプレゼント曲。日本の印象から”Koto Song”、シンセサイザーを用いたような幻想的な響きがする”Softly, William, Softly”、そして最後にはあのテイクファイブの久々の再演という舞台構成になる。
モダンクラリネットで前面に出るプレーというのは難しい印象があるが、ブルーベックとのコンビでこれからしばらくはこのビル・スミスがブルーベックカルテットの表看板になった。





1. Benjamin         Dave Brubeck  5:38
2. Koto Song        Dave Brubeck 8:34
3. Black and Blue      Harry Brooks / Andy Razaf / Fats Waller  7:03
4. Softly, William, Softly   Dave Brubeck 7:24
5. Take Five         Paul Desmond 8:50

Dave Brubeck (p)
Bill Smith (cl)
Chris Brubeck (b,tb)
Randy Jones (ds)

Produced by Russell Gloyd
Engineer : Ron Davis
Recorded live at The Concord Jazz Festival in August 1982

Originally released on Concord CJ-198

Concord on a Summer Night
Dave Brubeck
Concord Records
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ハワードマギーのいぶし銀プレーが光るワンホーンアルバム・・・

2014-04-05 | MY FAVORITE ALBUM



The Return Of Howard McGhee / Howard McGhee

1960年ベツレヘム盤で2度目の復帰を果たしたハワード・マギー。ドナルドバードやリーモーガンなど若手の台頭が目覚ましい時期であったが、この時マギーは42歳。年齢的にはすでに若手というよりはベテランの仲間入りをしていた。

麻薬療養からの復帰という事もあり、プレースタイルも若い頃から変化させていた。
ライナーノーツには以下のように記されている。
復帰後ジェイムス・ムーディーやテディー・エドワーズと一緒にプレーをしたマギーは仲間がプレーをしているのを聴きながら自分自身を見つめ直し、今の自分を素直にプレーしようと決めた。今までのように縦横無尽に、そしてハイノートヒッターを止めることを。しかし、若い頃のパワーが決して衰えた訳ではなく、選ばれた音はよりメロディックに、そしてリズミックになっていった。

ゴルフをやっていると歳と共に飛ばなくなってくるのは世の常だ。若い仲間に囲まれてプレーをしていても、飛距離ではいくらあがいてもかなわない。無理に飛ばそうとしても、ただ体に力が入るだけ。フォームは乱れてさらに飛ばなくなる。しかし、ゴルフの勝負は上がってなんぼの世界。小技やパットを磨けば「上手いゴルフ」はまだまだできる。
ハイノートと超高速プレーズを諦めても、上手いトランペットはいくらでも吹けるというのと同じ心境かもしれない。

このアルバムでは、そのマギーのプレーを引き立たせるバックのメンバーが素晴らしい。
ピアノのフィニアスニューボーンは超絶テクニックで有名だが、ここでは有り余るテクニックから音やフレーズを選んでマギーに合わせている。トリオよりいいかも。ワンホーンということもあり、2人のコラボプレーが随所にみられる。
さらにベースのリロイビネガーは安定した低音の”The Walker”といわれたベースラインはこの2人のプレーのバックにはピッタリだ。さらにはドラムのシェリーマンが素晴らしい。ド派手ではないが、多用な手数が確実に、そしてタイムリーにきまってくる。

最近生音の良さに嵌っているが、この演奏も「生」で聴いたら素晴らしいであろう。アルバム自体もコンテンポラリー録音なので、いわゆるブルーノートサウンドとは一味違うクリアなサウンドだ。

60年代に入りウェストコーストジャズその物は下火になったが、メルルイス達の様にニューヨークに移り住む者もいれば、シェリーマンのように西海岸に留まりスマートなジャズをプレーし続けたプレーヤーもいた。このアルバムは復帰したマギーが西海岸組と残した演奏だが、マギーにはこのメンバー達、そしてウェストコーストの環境がピッタリだったように思う。

一曲目のDemon Chaseはテディー・エドワーズ息子の名前から命名された小粋なブルース。マギーとニューボーンの掛け合いからスタートするが、この雰囲気がこのアルバムの良さをいきなり感じさせてくれる。
スタンダードの「柳よ泣いておくれ」、「朝日のごとくさわやかに」、そして「サマータイム」ではミュートプレーをたっぷりと。Sunset Eyesはテディー・エドワーズの曲で他でも良く演奏される。
タイトル曲のマギーの復帰を歓迎した曲もマイナー調で覚えやすい曲。ここでもニューボーンのピアノのバック、そしてソロへの展開が秀逸。最後のBrownie Speaksは、そうはいってもクリフォードブラウンを意識してか、アップテンポの曲で往年のプレーを思い起こさせる。
復帰作というハンディーを差し引かずとも、控えめなトランペットの好演が聴ける名盤だと思う。



1. Demon Chase          Howard McGhee 7:50
2. Willow Weep for Me       Ann Ronell 4:20
3. Softly, As in a Morning Sunrise  Oscar Hammerstein II / Sigmund Romberg 3:13
4. Sunset Eyes           Teddy Edwards 5:10
5. Maggie's Back in Town      Teddy Edwards 10:36
6. Summertime          G. / I. Gershwin / DuBose Heyward 3:11
7. Brownie Speaks        Clifford Brown 8:03

Howard McGhee (tp)
Phineas Newborn, Jr. (p)
Leroy Vinnegar (b)
Shelly Manne (ds)

Produced by Lester Koenig
Recording Engineer : Roy DuNann
Recorded on June 26 1961


Maggie's Back in Town
Howard McGhee
Ojc
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お蔵入りしていたハービー・ハンコックの「ブルーノート」デビュー作は・・・

2014-04-04 | PEPPER ADAMS
Chant / Donald Byrd

さて、ペッパーアダムスのアルバム紹介も前回のWarwick盤で1961年に入っている
4年目に入ったアダムス&バードのコンビもこの1961年が最後の年になる。

皮肉な事に、前年の秋からのツアーも好評の内に終え、新たなメンバーにハービー・ハンコックも加わって益々期待が持てるスタートを切ったバード&アダムスクインテットであったのだが・・・。

事実、この年は2人にとってはこのクインテットでの活動が中心となり、ライブツアーも北東部だけでなく全米中を駆け巡って行われた。
レコーディングもバードの契約先であるブルーノートで3枚行われる、他にもライブの録音が陽の目をみているし、苦節三年やっとアダムス&バードのコンビの活動も軌道に載ってきたのだが、何故・・・?

ブルーノートでの3枚もフロントラインはバードとアダムスの2人だけ、これまではゲストのホーンが必ず加わっていたが、アダムスもクインテットとしてやっと認知されたようだ。しかし、ブルーノートの契約は相変わらずドナルドバードだけであり、アダムスは最後までブルーノートとは契約ができなかったのだ。

この年のブルーノートでの最初の録音は、このアルバム4月17日の“Chant”であった。

実は、このアルバムは当初お蔵入りされて、例のカスクーナの発掘シリーズによって1979年になって初めて陽の目を見たアルバムだ。ジャケットのデザインもこのシリーズで共通のブルーノートらしからぬレインボーデザインがオリジナルデザインとなっている。
演奏の完成度が高くとも諸々の事情でお蔵入りすることが多かったブルーノートなので、このアルバムがお蔵入りした理由にも興味が沸く。

1月にWarwick盤を録音したハンコックを加えたバード&アダムスクインテットの面々は、
ハンコックの故郷であるシカゴのBirdhouseに戻って凱旋ライブを行う。
ハンコックにとってもシカゴを離れて演奏したのは今回が初めてだったので、里帰りは嬉しかったであろう。

ドラムにはこのアルバムに加わっている無名のテディー・エドワーズがそのまま参加している。無名のドラマーだが、このテディーのドラミングが実にメロディアスだ。新メンバーで2月、3月と休み無くツアーを続け、3月の一週に再びシカゴへ。そして、さらにツアーは続き、4月2日にロチェスターでの演奏を最後に、バードは、今度はベースのレイモン・ジャクソンを首にする。

クインテットのツアーはここで中断し、17日にルディーバンゲルダースタジオでこのアルバムの録音に臨むことになる。
ピアノは加入してすでに4ヶ月経ったハンコック、ベースには旧友でありデトロイト仲間のダグ・ワトキンスが加わり、ハンコックのブルーノートへのデビュー作としては申し分の分ない布陣であった。しかし何故お蔵に・・・?

そして、2週間後の5月2日にはもう一枚Catwalkを録音する。こちらのピアノは以前のメンバーであったデュークピアソン。どうやらこの辺りに理由がありそうだ。

さて、このアルバムであるが販促用のキャッチコピーは、
・ハービー・ハンコックのブルーノートでの初録音
・幻の?ドラマー、テディーロビンソンの参加
・ピアソンの名曲「チャント」の初演
ということになるのだが、

他にも、まずは一曲目のアイム・アン・オールド・カウボーイ。ロリンズのWay out Westでの演奏で有名だが、この曲はWarwick盤でも演奏している。ライブ用のレパートリーの一つであったのだろう。バードのファンキーなオリジナルが2曲、そしてアダムスファンとして、最後のアダムスをフューチャーしたお馴染みのソフィスティケイテッドレディーのバラードプレーが嬉しい。バードとのコンビではファンキーなゴリゴリサウンドが多いが、アダムスのバラードプレーも捨てたものではない。ライブではこのアダムスのプレーもショーケースであったようだ。選曲もバラエティーに富んでいる。

ということで、アルバムコンセプトを大事にするブルーノートとしては、このアルバムは色々な要素がテンコ盛りだったのでお蔵入りしたのかもしれない。また、この時すでに将来を有望視されたハンコックをきちんと売り出したかったのか・・・?

いずれにしても、ブルーノートでのバード&アダムスの路線変更のきっかけともいえるこの一枚が無事に陽の目を見てよかった。

↓ このYou Tubeの演奏はWarwick盤の演奏のようだ。ブルーノート盤はテンポがもう少し速く、ソロの順序もバードから。



1. I’m An Old Cowhand       Johny Mercer 7:34
2. You’re Next           Donald Byrd 7:22
3. Chant              Duke Pearson 8:53
4. That’s All            B.Haymes-A-Brandt 9:34
5. Great God           Donald Byrd 6:59
6. Sophisticated Lady        D.Ellington 4:33

Donald Byrd (tp)
Pepper Adams (bs)
Herbie Hancock (p)
Doug Watkins (b)
Teddy Robinson (ds)

Produced by Alfred Lion
Produced for release by Michael Cuscuna
Recorded on April 17 1961 at Rudy Van Gelder Studios,New Jersey


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ドナルド・バード
ユニバーサルミュージック
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久々に見つけた本格ジャズコーラスグループ「真珠の首飾り」

2014-04-03 | MY FAVORITE ALBUM
Gems / String of Pearls

日々の生活というのは一定のリズムがあるが、何かのきっかけで意図せずにそのリズムも変わることが。
毎日出掛ける癖がついていると、出掛けない日がしばらく続くと調子が狂うものだ。
しかし、週一のゴルフも雪でしばらくクラブを握らない日が一ヶ月も続くとそれが当たり前になってしまう。毎週のように会っていた友人ともしばらく会わない期間が続くと、それがきっかけで疎遠になったりと。

昨日は久々のゴルフ。何十年来の知人である会社の大先輩だが、ゴルフを一緒にやるのは今回が初めて。他のメンバーも初対面ということで、最近は仲間内でのゴルフが多かったので新鮮な気分でのラウンドであった。



初めてのコース、天気も最高、桜もちょうど見頃で、花見を兼ねたラウンドは久々に快適そのもの。何かが気分転換になったのか、最近不調なゴルフであったが久々の80台。後半のハーフは連続バーディーもあって40ジャスト。つまらないミスが2度もあり30台を逃したが、久々にストレスの無いゴルフができた。
そういえば、ストレス解消のゴルフだったはずが、最近は気が重いゴルフが続いていた。悪い流れを変えるきっかけづくりは何事においても必要だと思う。

好きなジャズの聴き方もついついワンパターンに。最近はライブの頻度が上がる一方でレコード&CDの方は新しい物には全く興味を示さず。古いものを聴きかえしながら、また古い物を漁るという日が続いていた。

たまにはパターンを変えてみようというわけではないが・・・。

今から20年以上前、今でも一線で活躍しているマンハッタントランスファーがグラミー賞を連続して受賞し一世を風靡した時代があった。それに刺激されてか、下火であったジャズコーラスグループも一時活況を呈し、新しいグループがいくつも登場した。
それなりにコーラスグループを追いかけて聴いた時もあったが、最近新規開拓はとんとご無沙汰。その間新しいグループも登場したとは思うがキャッチアップできずにいた。
先日、ブリーズのライブを聴いたこともありコーラスに少し刺激を受けてコーラスのアルバムを引っ張り出したり、久しぶりに新しいグループを気にかけていたところにこのCDに巡り合った。

女性3人組のコーラスグループといえばスイング時代には多くあったかと思うが。モダンコーラスの世界では女性3人組は直ぐには思い浮かばない。グループ名からして、グレンミラーでお馴染みの「真珠の首飾り」とくれば、これはオールドスタイルのコーラスかと思って聴いてみると、なかなかモダンなタッチも取り入れたいい感じのコーラスであった。

アルバムは大分前の録音の様だが、現在も活動は継続中のようだ。
全17曲は、古い伝統的なスタイルを踏襲したフォーティーセカンドストリートからボサノバのリズムでワンノートサンバ、イントロでスキャットを駆使したモダンなアイ・ヒア・ミュージックなど盛りだくさん。
古くはボスウェルシスターズからランバードヘンドリックス&ロスまでオールラウンドプレーヤーだ。やはり、古き良き伝統を引き継ぐグループは奥が深い。

また、コーラスも少し追いかけたくなるきっかけを与えてくれた。手持ちのアルバムからも少しコーラスを聴き返してみることにしよう。



1. It's Sand, Man
2. Forty Second Street
3. Girl Talk
4. Professor Bop
5. It Don't Mean A Thing
6. One Note Samba
7. Nice Work If You Can Get It
8. Straighten Up & Fly Right
9. I Hear Music
10. A String Of Pearls
11. Crazy People
12. Smack Dab In The Middle
13. Teach Me Tonight
14. South American Way
15. Sermonette
16. Glow Worm
17. Sentimental Gentleman From Georgia

<String of Pearls>
Susan Halloran
Jeanne O’Connor
Holli Ross

Randy Sandke (tp)
Ken Hitchcock (sax,fl,cl)
Tony Regusis (p)
Bill Moring (b)
Darryl Pellegrini (ds)


Gems
String of Pearls
CD Baby
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