A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

駄目出しされたのはピアノかヴォーカルか・・・?

2015-02-23 | MY FAVORITE ALBUM
Wein, Women & Song / George Wein

世間ではすっかり禁煙が当たり前になり、喫煙家にとっては住みにくい世の中になった。タバコ産業も世界的に縮小傾向のようだが、昨年大型の買収劇があった。レイノルズ社が、同業の老舗ロリラード社を2兆5千億円で買収した。市場が小さくなったとはいえ、まだまだ巨大産業のようだ。昔は、このたばこ業界がジャズフェスティバルを支えていたこともあったのだが。

ジャズフェスティバルのプロデューサーといえば、有名なのはジョージウェイン。ニューポートジャズフェスティバルはジョージウェインが始めたといわれ、日本でも斑尾とかオーレックスなども、さらにウェインが手掛けたジャズフェスティバルは世界中で開かれた。

ウェインの最初の成果は、1954年から始まったニューポートジャズフェスティバルだが、実際には、その創始者は地元の名士、たばこ事業で財を成したロリラード家のイレーン・ロリラードであった。
地元ニューポートの社交界では新参者であった彼女が、地元の反対に屈せずNPOを作ってジャズフェスティバルを誘致したのが始まりであったようだ。
その経緯は、この「ニューポートジャズフェスティバルはこうして始まった」という本に、1954年〜1960年のフェスティバルの裏話を含めて詳しく語られている。
最も、ジャズには全く素人であった彼女は、実際の企画、段取りをNPOに参加した、ジョージウェインに全面的に委任した。



初年度は赤字を覚悟し立上げの費用は全面的に彼女が負担する約束でスタートするが、初年度から収支トントンまでもっていったのはやはりウェインの手腕に負うところが大きい。そして、回を重ねるに従って確実に収益を出すように育てたが、ウェインもしっかりとマネジメントフィーを得ている。
とういう意味では、ウェインなしではフェスティバルは存続しえなかった訳で、最初の立上げメンバーに加わっていた創始者グループの一人であることに間違いはない。

その、ジョージウェインだが、その話が起こった1953年には、ニューポートに近いボストンでストリーヴィルというジャズのレーベルを持ち、同名のジャズクラブとマホガニーホールという2件のジャズクラブを経営していた。まだ28歳の若さであったが、決して儲からない赤字続きの道楽ともいえる仕事ができていたのも、母親の理解と支援があったからだと言われている。

もともと、音楽好きの家庭に育ち子供の頃からピアノを習ったが、その先生はサージチャロフの母親であった。そんなウェインはクラブでは自分でもピアノを弾くことも多かったようだ。
ところがある時、自分が雇っていたドラムのジョージョーンズから、雇い主のウェインに対し「そろそろピアノでミュージシャンを目指すのか、それともクラブオーナーに徹するか、どちらかはっきりした方がいいのでは? ただし、自分はピアニストとして貴方を雇うつもりはあるませんから」と、半ば引退宣言を受けることになる。そんな時に、ニューポートジャズフェスティバルの運営の相談を受けたことになる。

ウェインの演奏というのは、自分のレーベル「ストリーヴィル」ではシドニーベシエの演奏などで聴く事ができるが、基本的にはスイング系の演奏を得意として、その後ニューポートの舞台でもスイング系のミュージシャンと一緒に演奏することはあった

そんなウェインが、ニューポートの仕事も1年目の開催を無事に終えその年の準備に忙しい時期に、一枚のアルバムを作った。ここでは、ジョーンズにNGを出されたピアノではなくヴォーカルアルバムであった。もちろん、ピアノも自分で弾いているので、弾き語りをタップリ堪能できる。レーベルの自分のレーベルではなく、Atlanticであった。



若い頃の写真はあまり見たことがないが、見た目の感じとは少し違って、高めの音域の小粋な歌い方をする。スインギーなピアノともマッチしたなかなか本格的なヴォーカルだ。少なくともウディーハーマンの歌よりは上手い。ヴォーカルは圧倒的に女性優位で、男性ヴォーカルは唯でさえ聴く機会が少ないが、このような粋な弾き語りのヴォーカルには最近めぐりえ会えていない。



このアルバムのセッションは2回に分かれているが、最初のセッションは地元出身のルビーブラフとテナーのサム・マーゴリスが加わり、実にスインギーな歌と演奏だ。2回目はトランペットがボビーハケットに替わるが、こちらも同様に歌だけでなくミュートプレーとの掛け合いが楽しい。そして、この後半の6月のセッションには、ピアノにNGを出したジョージョーンズが加わっている。

ピアノは駄目でも。ヴォーカルは合格点だったのかもしれない。

ウェインはまだまだ元気なようで、比較的最近の演奏もこちらで聴ける。
Vince Giordano, George Wein and Company perform "The Mooch"

1. You Ought to Be in Pictures                  Dana Suesse2:30
2. All Too Soon                 Duke Ellington / Carl Sigman 3:57
3. Back in Your Own Backyard   Dave Dreyer / Al Jolson / Billy Rose 2:45
4. Pennies from Heaven         Johnny Burke / Arthur Johnston 3:57
5. I'm Through with Love    Gus Kahn / Jay Livingston / Matty Malneck 3:18
6. Did I Remember           Harold Adamson / Walter Donaldson 3:01
7. I'm Gonna Sit Right Down and Write Myself a Lette   Fred E. Ahlert / Joe Young 3:05
8. Why Try to Change Me Now            Cy Coleman 3:46
9. You're Lucky to Me                 Eubie Blake / Andy Razaf 2:41
10. I Married an Angel               Lorenz Hart / Richard Rodgers 3:12
11. Once in a While                   Michael Edwards / Bud Green 2:27
12. Please                       Ralph Rainger / Leo Robin 2:20
13. Who Cares                          George Gershwin 2:32

George Wein (p,vocal)
Ruby Braff (tp)
Sammy Margolis (ts)
Stan Wheeler (b)
Marquis Foster (ds)

Recorded in New York, April 1955
Recording Engineer : Johnny Cou

Gerge Wein (p,vocal)
Bobby Hackett as Wally Wales (tp)
Bill Perberton (b)
Jo Jones (ds)

Recorded in New York, June 1955
Recording Engineer : Tony Janack

ウェイン、ウイミン&ソング
クリエーター情報なし
ワーナーミュージック・ジャパン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

CONCORDのジャズの味は、カリフォルニアワインの味?・・・・

2008-03-26 | CONCORD
A Taste of JAZZ

ジャズの故郷のニューオリンズ。綿花畑が続く中でブルースが生まれた。
楽器を手にした黒人はマーチンバンドをジャズバンドにした。そしてショパンの調べを奏でたピアノは酒場の喧騒の中でラグタイムを聴かせた。ミシシッピー川を遡ったジャズは都市に辿り着き、そこで生息し育っていった。そしてまた次の都市に。いつの間にか都会の生活に溶け込んで、ジャズはすっかりビルに囲まれた薄暗い地下室が似合う音楽になっていった。

Concordはサンフランシスコに近い西海岸の町。都会の喧騒からは程遠い環境だ。
そこに大きなジャズフェスティバルが行われるパビリオンも生まれた。なぜか、そこで行われる演奏は同じジャズでも、暗い地下室よりも西海岸らしい昼間の日差しの眩しさが似合う明るい演奏が多かった。それも、何となく垢抜けた雰囲気の大人のサウンドで。

コンコルドの北にはナパバレーがある。ブドウの農園があり、そしてそこで作られるワインはカリフォルニアワインの故郷として有名だ。ヨーロッパに負けないワイン作りを目指してここに農園が作られたのは1987年。ジャズがニューオリンズで生まれようとしていた頃だ。
100年経って、ジャズはその歴史を背負って東海岸から、そしてウェストコーストに育ったジャズもこの地にやってきた。
そこのジャズの味は、Concordの作ったジャズの味だ。
東海岸のハードバップ、そして西海岸のウェストコースト、時にカンサスやシンシナティーで育った独特の味付けも加えながら。

“A TASTE OF JAZZ”

ジャズは確かに色々な味がする。同じ曲でも演奏する人によって違う味がするし、聴く方にとっても気分によって違う味がする。ちょうどワインの味が同じ産地であっても年によって違うように。そして飲む雰囲気でも違うように。

一枚一枚こだわりの制作をしていたコンコルドも92枚目にしてコンピレーションを出した。それまでのアルバムからのベスト物だ。
タイトルは、まさに「A TASTE OF JAZZ」。
8枚のアルバムから1曲づつ選ばれている。総勢23人Concordに登場したミュージシャンの顔見世でもあり、Concordの味の試飲会が開かれた。
このアルバムはいずれも久々に聴き返して最近コメントを残したものばかり。記憶がまだ残っているが、改めて聴き直してもいい曲、そしていい演奏が選ばれている。

ギター好きのジャファーソンのことなので、全曲ギター入りかと思ったら7曲目のLush Lifeはピアノトリオ。でも他はすべてギターが加わっている。カルコリンズだけが2曲に登場というのも、この頃のコリンズの勢いかもしれない。
そして全編を通じて共通の味付けがされている。それがConcordサウンドだ。今回は、特に曲と演奏の美しさが際立っている名演が選ばれている。各プレヤーとも美しさの限界にチャレンジした演奏を繰り広げる。ブロー中心のファンキーなジャズもいいが、このようなサウンドに挑戦したジャズにも味わいがある。

ちょうどナパバレーのワインが世間に知れ渡ったように、Concordのジャズの味もやっと世間に広まっていた。
そして、このナパバレーの有名なワインのワイナリーがこの頃のコンコルドジャズフェスティバルのスポンサーもやっていたのだ。

1. Serenata
Howard Roberts <CJ-53>

 ロバーツのソロに始まり、ボサノバで軽くウォーミングアップ。スインギーな4ビートへ。1曲で3つの楽しみを。

2. Soft Shoe
Herb Ellis <CJ-3>
 コンコルドサウンドの原点。ミディアムスローなテンポに、スイートエディソンのトランペットとジョージデュークのフェンダーが何ともいえない。

3. The Very Thought Of You
Scott Hamilton <CJ-61>

 ベースだけをバックにむせび泣くテナーからいきなり始まる。これもミディアムスローなテンポから、軽快なリズムに乗ってハミルトンの世界に。カルコリンズのアコースティックギターのソロも聴き所。

4. Isn’t It Romantic
Ruby Braff <CJ-7>

 コルネットをこんなに綺麗に、そして表情豊かに吹ける人はそうそういない。

5. Watch What Happens
LA4 <CJ-63>

 アルメイダの生ギターにボサノバのリズムが加わり、輝くシャンクのアルトが。
 LA4ならではのジャズとボサノバのコラボだ。

6. Jillian
Warren Vache <CJ-87>

 続いてボサノバのリズムに乗って綺麗なフリューゲルホーン。シングルカットしたらチャックマンジョーネに負けずにヒットチャート入りしたかも。

7. Lush Life
Ross Tompkins <CJ-46>
 
 トンプソンのソロピアノに始まるお馴染みのスタンダードのバラード演奏。

8. A Time For Love
Ray Brown <CJ-19>

 コンコルドでは珍しいデイブグルーシンのフェンダー&シンセサイザーとレイブラウンのソロのデュエットが見事。

Produced by Carl Jefferson
Originally released on Concord CJ-93
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「久々に楽しい演奏ができたね」・・・・といった声が聞こえてきそう。

2007-10-31 | MY FAVORITE ALBUM
Ruby and Woody / I had to be us

ラフな格好でリラックスした表情の2人。
「同窓会で久々に会った2人のスナップ」のような何の飾り気もないジャケットの写真だ。
二人とも「好好爺」という言葉にピッタリである。

ビッグバンドの両雄といえば、ベイシーとエリントン。
長い歴史の中で色々な苦難があったが、この2つのオーケストラはレギュラーバンドとして生き続けた。
これに負けていないのがウディーハーマンのオーケストラだ。
ベイシー、エリントンは基本的に自己のスタイルを変えなかったが、ウディーハーマンはメンバーも常に若い新しいメンバーを登用し時代に合わせて変化し続けた。
バップの誕生に合わせるようにスタートした彼のオーケストラ。“Herd”という名前が象徴するように、群れとなってその時代の先端の流れに切り込んでいった。
70年代の始めには、流行ったブラスロック風のハーマンも聴くことが出来る。
そんなハーマンも40周年の記念コンサートを経て、70年代の終わりにはストレートな演奏に戻っていった。

色々と気苦労の多いいつものオーケストラの活動を離れ、普段着で何気ない演奏を。
このアルバムは、ジャケットの写真の印象どおり、そんなアルバムだ。
相手を務めたのは、ルビーブラフのコルネット。
筋金入りのスイング派だ。Concordの初期のアルバムにも登場している
ハーマンもここではクラリネットそしてボーカルで、それに合わせた演奏、そして歌を披露している。いつもは余興で一曲という感じであるが、ここではたっぷりとハーマンの歌を聴ける。
軽快なスイングのリズムに乗って、デビューした頃を思い出していたのかもしれない。
変な気負いもかければ、妙なブローも無い。
同窓会の流れで気の合った2人が、久々に昔を思い出して一丁やってみようかといったノリである。

ハーマンの晩年は、滞納していたバンドのメンバーの税金の支払いに追われていたとか。
必ずしも悠々自適な生活を送っていたのではなさそうだ。
どんなに苦労をしても、面と向かっては笑顔を絶やしたことが無かったといわれるハーマン。
ほっと一息ついた演奏に、これは本心からの笑みがこぼれてるのかもしれない。

東海岸のConcordともいえる“Chiaroscuro”。
なかなかアルバムを残している。

1. I Can't Believe That You're in Love With Me
2. Rose Room
3. Solitude
4. I Hadn't Anyone Till You
5. As Time Goes By
6. Sheik of Araby
7. It Had to Be You
8. There Is No Greater Love
9. Wave/Spain
10. I Cried for You
11. 'Deed I Do
12. Sheik of Araby, No. 2 [*]
13. Solitude, No. 2 [*]
14. It Had to Be You, No. 2 [*]
15. George Avakian Jazzspeak [*]

<Personnel>
Woody Herman (vocals, clarinet)
Ruby Braff (cornet)
John Bunch (piano)
Wayne Wright (guitar)
Michael Moore (bass)
Jake Hanna (drums)

Producer George Avakian

Engineer Jon Bates

Recorded in New York City,12&13,March,1980
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アメリカンミュージックの原点は・・・?

2007-05-10 | CONCORD
SALUTES ROGERS & HART / RUBBY BRAFF and GEORGE BARNES QUARTET

アメリカンミュージックというものがあるのかどうか分からないが。
そもそもアメリカ自体が、色々な民族が集まって、色々な文化を持ち寄り、それをミックスしてある種人工的に作り上げた国。
深く伝統に根ざしたアメリカ音楽は存在しないが、何かルーツ、ジャンルを超えた共通点があるような気がしてならない。

JAZZはもちろんこのアメリカで生まれて育った音楽。ニューオリンズを発祥としてブルースに根ざした黒人音楽がその起源であるが。早い時点で、白人の好む明るいディキシーランドジャズに進化していった。
一方で、カントリー&ウェスタンや、ミュージカルや映画音楽に代表されるショー音楽、それらがスタンダードとなり、ロックンロールを生み、いわれるアメリカンPOPSの世界になっているのだろう。

これらに共通するのは、親しみのあるメロディーをリズミックに奏でるということかもしれない。このメロディーラインとリズムの絶妙なバランスと掛け合いのコンビネーションが命のような気がする。
素人解釈はこの位が限界。
きっとだれか研究家が取り組んでいるテーマだと思うので、そのうち紐解いてみよう。

Concordは、そんなアメリカンミュージックの趣を大事にした大人のJAZZのシリーズを、ある種のこだわりで出し続けていた。

Concord Jazz festivalで、「ガーシュインSONG BOOK」 に挑戦した、Ruby Braff とGeoorge Barnesのコンビは、リハーサルにすごく時間をかけるらしい。
アドリブよりもアンサンブルに重きをおいて。
それが、ドラムやピアノレスのリズムギターとベースをバックにして、絶妙なリズムとコンビネーションを生むのだろう。

74年のフェスティバル出演の後、3ヵ月後に今度はスタジオ録音でRichard RodgersとLorenz Hartのコンビの作品にチャレンジしている。
Paul Smithのピアノの後は、コルネットとギターのロジャースも粋なものだ。
このアルバムもMountain Greeneryからスタートする。
おなじみの曲ばかりであるが、ストレートに取り組みというよりは、2人のメロディーラインの崩し方はいずれも計算しつくされたもので、シンプルなJAZZであるが、JAZZでもないような独特な世界に取り込まれていく。

暗い地下室で一人でじっと聞くJAZZではなく、明るいテラスでワインを飲みながら楽しく聴くJAZZだ。
ハードバップもいいが、こんなJAZZもたまにはいい。

1 Mountain Greenery
2 Isn't It Romantic?
3 Blue Room
4 There's a Small Hotel
5 Thou Swell R
6 I Wish I Were in Love Again
7 Lover
8 You Took Advantage of Me
9 Spring Is Here
10 Lady Is a Tramp

Ruby Braff (cor)
George Barnes (g)
Wayne Wright (g)
Michael Moore (b)

Recorded A&R Studio in New York ,October,1974
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヘレンメリルがプロデュースするローランドハナのソロピアノは如何に?

2007-04-22 | MY FAVORITE ALBUM
ROLAND HANNA PLAYS THE MUSIC OF ALEC WILDER

RUBY BRAFFのアルバムはガーシュインの作品集であったが、作曲家のソングブックのアルバムは数が多い。
以前、OSCAR PETERSONのアルバムを紹介したが、ピアノプレーヤーは特にSONG BOOKを好むのかもしれない。
引き続き気楽に聴けるアルバムとなるとピアノソロ。ローランドハナの一枚が手元にある。
比較的最近買った中古のCD。

あのヘレンメリルのプロデュースによるALEC WILDERの作品集だ。
ガーシュインやリチャードロジャースほど有名ではない。自分もすべての曲を知っているわけではないが、中ではJackie&Royの愛聴盤に入っていたMimosa And Meはお気に入りだ。

ハナは、サドメルのオーケストラで、長年のリズムセクションの重鎮を努めた。
このバンドはリズムセクションとはいってもソロパートになると本格的なプレーが繰り広げられるので有名だ。ハナのピアノは、曲のアレンジによっては流れるような華麗なピアノから、ファンキーなプレーまで、そしてバックにソロにと多彩なプレーを披露していた。

その風貌や、サドメルでの演奏からは想像しがたいが、元々はクラッシックのピアノの素養があるそうだ。が、実際のプレーはパウエルにも通じるJAZZそのもの。硬軟両刀遣いといったところだ。録音されたアルバムは、ソロやDUOも多く、実に多彩だ。

ソロとなると余計に個性がでやすいので、器用なハナがどのように料理をするのか。
軽々しくもなく、かといって気負いも無く、“ビューティフルなハナ”ワールドを聞かせてくれる。

プロデュースのヘレンメリルは一曲だけボーカルで参加している。
そういえば、クリフォードブラウンとの共演も最近聴いていないな。

The Starlighter
Mimosa And Me
While We’re Young
Blackberry Winter
Remember My Child
It’s So Peaceful
I’ll Be Around
That’s My Girl
The Sounds Around The House *
You’r Free
Moon And Sand
Ellen
The Star Wish

Roland Hanna (p)
Helen Merrill(vol) only *
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

気楽に聴けるのは“自然体”

2007-04-21 | CONCORD
THE RUBY BRAFF & GEORGE BARNES QUARTET PLAYS GERSHWIN

何も飾らぬスッピンの美人。これに本当の女性の美しさを感じるのかもしれない。
確かにきれいに着飾って、一分の隙も見せない女性も確かに憧れだが。
本当はすごく人間臭く、変な気負いも無く、生身の肌感覚を感じるのがJAZZの素晴らしさ、女性と同じだ。

しかし、時代の進化と伴に、段々生の音が聴けなくなって来た。楽器が電子化されただけでではなく、録音技術の進歩し、電気的な加工が施されるようになってきた。単に編集してカットしたりするだけでなく、簡単にオーバーダビングできたり、イコライジングしたり、原音とは全く違う美しい音を聴かされることが多い。

入念に化粧を施されたレコードが多くなってきた中Concordレーベルが登場し、その音を聴いた時、そこに自然体の優しさに安らぎを感じることが多かった。
プレー自体は、熱っぽく行われているにも関わらず。

このアルバムも、録音されたテープから、何の加工もなくダイレクトにレコードにカッティングされたらしい。相変わらず、“自然体”の生の楽器の美しい音色が、ライブ録音特有の会場の雰囲気と共に聞えてくる。

Concordは基本的にギター好きだ。5作目も新しいギタリストが登場する。
今回は、George Barnesだ。
いわゆるアンダーレイテッドのプレーヤーだろう。GRADY TATEと同じで、元々スタジオワークが多かった。ブルース歌手の伴奏などで。
しかし、いわゆる電気ギターを使い出した内の一人らしい。そしてシングルトーンを使い出したのもチャーリークリスチャンより早かったとも。

ここでは、コルネットのルビーブラフとのコンビ。ドラム&ピアノレス。もう一本のギターとベースのカルテットという変則編成。
この頃、2人は、その双頭コンボでプレーをしていた。
ルビーブラフは、ディキシー、スイング系のコルネット。

リズムを刻むドラムも無く、バンド全体の音を引き立たせるピアノが無くとも、スインギーなサウンドが響き渡る。
「楽器の組み合わせは何でもいいのさ。俺たちは一人でもスイングできるんだぜ。何人か集まればなおさらだよ。」とでもいいたげな演奏だ。

曲はガーシュインの作品集。レコード化を意識したのかどうかは分からないが、ジャズフェステバルのプログラムで、作曲家の作品集をやるもの珍しい。

会場は、1974年のコンコルドジャズフェスティバル。
「GUREAT GUTARS」の登場とは同じ年だ。
1972年に復活したJATPをきっかけに誕生したPABLOレーベルも、この頃活動を本格化。
綺麗に化粧を施されたフュージョンが時代の寵児になって来たときに、「素顔の美人」を追い求めた2つのレーベルも元気になりだした。
“自然体のJAZZ”の復活をかけて。

1. 'S Wonderful
2. I Got Rhythm
3. They Can't Take That Away from Me
4. Nice Work If You Can Get It
5. Somebody Loves Me
6. But Not for Me
7. Summertime/Bidin' My Time
8. Love Walked In
9. Embraceable You
10. Liza (All the Clouds'll Roll Away)

Ruby Braff (cor)
George Barnes (g)
Wayne Wright (b)
Michael Moore (g)

Recorded Live at Concord Jazz Festival,July,26,1974
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする