ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

井上ひさし作「もとの黙阿弥」

2015-09-05 21:39:24 | 芝居
8月3日新橋演舞場で、井上ひさし作「もとの黙阿弥」をみた(演出:栗山民也)。

時は明治。所は浅草。黙阿弥の新作まがいの芝居を上演して興行停止の処分を受けてしまった芝居小屋・大和座の座頭 坂東飛鶴(波野久里子)と
番頭(大沢健)は、仕方なく「よろず稽古指南所」を開く日々。
そこへ男爵家の跡取り・河辺隆次(片岡愛之助)と書生・久松(早乙女太一)が訪れる。隆次は姉(床嶋佳子)が勝手に決めた縁談の相手と舞踏会で
踊らねばならず、飛鶴に西洋舞踊を習うことにした。
入れ違いに現れたのは長崎屋新五郎(渡辺哲)。良縁が舞い込んだ娘のお琴(貫地谷しほり)に西洋舞踊を仕込んでほしいと頼む。翌日やって来た
お琴は女中のお繁(真飛聖)と入れ替わって相手に会い、その人柄を確かめたいと言う。
ところが当日、隆次と久松も入れ替わって登場したからさあ大変、思いもよらない大騒動へと発展していく…。

新橋演舞場は初体験だったので、驚くことばかり。他の劇場では絶対御法度の、座席での飲食がおおっぴらに許され、と言うか、むしろ奨励され、
売店ではお弁当各種が売られており、何やら甘味を客席まで売りに来る!要するに歌舞伎見物のような感覚だ。

この作品は、かつてテレビで見たことがある。他はほとんど覚えていないが、ラストが衝撃的で強く印象に残っている。
その時は確か、水谷良重が女中お繁をやったと思う。

要するに、シェイクスピアでもよくあるように人違い、取り違えの喜劇だが、文明開化の明治という、社会が大きく変動する時代が生き生きと
描かれていて面白い。井上ひさしらしく劇中劇もあって、芝居好きにはそれも楽しい。

隆次役の片岡愛之助はおっとりした華族のおぼっちゃまにぴったりで、魅力的。
お琴役の貫地谷しほりも実に愛らしい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする