11月26日新国立劇場中劇場で、バーナード・ショウ作「ピグマリオン」をみた(演出:宮田慶子)。
ミュージカル映画「マイフェアレディ」の原作。
ロンドンの下町に住む花売り娘イライザは、ひょんなことから言語学者ヒギンズ教授と出会う。彼は音声学の権威で、発音を聞い
ただけでその人がどこの出身かすぐに分かってしまうのだった。彼はイライザのひどいなまりや粗暴な態度にあきれ、このままでは
一生底辺の生活から這い上がれないが、私にかかれば上流階級のレディのように仕立ててみせると豪語する。
翌朝イライザは教授を訪問し、話し方を教えてくれと頼む。面白い実験材料が来たと思った教授と友人のピカリング大佐は、彼女を
舞踏会デビューさせ、出身をうまくごまかせるかどうか賭けをし、家に住まわせて面倒をみるのだが…。
ピカリング大佐を綱島郷太郎という若く美しい男性が演じていて驚いた。映画では初老の紳士だったので。
家政婦ピアス夫人、ヘンリーの母ヒギンズ夫人、イライザの父、いずれも個性がしっかり描かれ、面白い。みなヒギンズよりずっと
常識があり「まとも」だ。
「上流階級の言葉使いや礼儀作法を身につけても、上流階級の暮らしをするのに妨げにはなっても、そういう暮らしができるわけ
じゃないのよ」(ヒギンズ夫人)
ヘプバーン主演の映画は何度も見ているが、原作は知らなかったので、今回、両者の違いがいろいろ分かって面白かった。
結末が大きく違うことだけは知っていた。
イライザ役の石原さとみが素晴らしい。
主演の二人は厖大なセリフを完璧にこなしていて見事。とりわけ石原さとみのイライザは絶品。声の調子の変化、絶妙な間の取り方で、
ヒロインの揺れ動く心情を巧みに表現した。この人はまた見たい!
この芝居は要するに、上流階級の変わり者の男が、神話のピグマリオンよろしく下層階級の女をレディに仕立て上げることに成功
するが、しかしその時、女は神話と違って彼の予想を超えた行動に出る力を蓄えていた、という、ほろにがいシニカルな味わいの
お話なのだった。
ミュージカル映画「マイフェアレディ」の原作。
ロンドンの下町に住む花売り娘イライザは、ひょんなことから言語学者ヒギンズ教授と出会う。彼は音声学の権威で、発音を聞い
ただけでその人がどこの出身かすぐに分かってしまうのだった。彼はイライザのひどいなまりや粗暴な態度にあきれ、このままでは
一生底辺の生活から這い上がれないが、私にかかれば上流階級のレディのように仕立ててみせると豪語する。
翌朝イライザは教授を訪問し、話し方を教えてくれと頼む。面白い実験材料が来たと思った教授と友人のピカリング大佐は、彼女を
舞踏会デビューさせ、出身をうまくごまかせるかどうか賭けをし、家に住まわせて面倒をみるのだが…。
ピカリング大佐を綱島郷太郎という若く美しい男性が演じていて驚いた。映画では初老の紳士だったので。
家政婦ピアス夫人、ヘンリーの母ヒギンズ夫人、イライザの父、いずれも個性がしっかり描かれ、面白い。みなヒギンズよりずっと
常識があり「まとも」だ。
「上流階級の言葉使いや礼儀作法を身につけても、上流階級の暮らしをするのに妨げにはなっても、そういう暮らしができるわけ
じゃないのよ」(ヒギンズ夫人)
ヘプバーン主演の映画は何度も見ているが、原作は知らなかったので、今回、両者の違いがいろいろ分かって面白かった。
結末が大きく違うことだけは知っていた。
イライザ役の石原さとみが素晴らしい。
主演の二人は厖大なセリフを完璧にこなしていて見事。とりわけ石原さとみのイライザは絶品。声の調子の変化、絶妙な間の取り方で、
ヒロインの揺れ動く心情を巧みに表現した。この人はまた見たい!
この芝居は要するに、上流階級の変わり者の男が、神話のピグマリオンよろしく下層階級の女をレディに仕立て上げることに成功
するが、しかしその時、女は神話と違って彼の予想を超えた行動に出る力を蓄えていた、という、ほろにがいシニカルな味わいの
お話なのだった。