ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

「リチャード三世」

2012-11-01 23:13:09 | 芝居
10月15日新国立劇場中劇場で、シェイクスピア作「リチャード三世」をみた(演出:鵜山仁、訳:小田島雄志)。

2009年秋に上演された「ヘンリー六世」の出演者・スタッフが再結集して、その続編である「リチャード三世」をやるという、
ファンにはたまらない企画。

三十年にわたる薔薇戦争を勝ち抜き王位についたヨーク家のエドワード四世。その弟、グロスター公リチャードは王位を狙い、
次々と優位な継承者を破滅させ、対立する貴族たちを処刑、ロンドン市民たちの支持も得、ついにリチャード三世として即位する。
が、絶頂期は長くは続かない。造反貴族たちがヘンリー五世の孫リッチモンド伯ヘンリー・チューダーの元に集結し反旗を翻す。
反乱軍を率いたリッチモンドと王リチャードはボズワースの平原で激しく戦いを繰り広げ、リチャードは壮絶な最期を遂げる。

前方の客席を大きく取り外して舞台を広げている。赤っぽい砂が敷き詰められ、中央に小高い円形部分(美術:島次郎)。
上手に椅子2脚が投げ出されている。奥に真っ赤な太陽のようなもの。

主役グロスターを演じる岡本健一は、気負うことなく、なかなか健闘している。
クラレンス公は冒頭ロンドン塔に引かれて行く時も、最後のシーンでも、あまり弱々しいところがない。
エリザベス役の中嶋朋子は、いつもながらセリフがクリアで期待通りの名演。
音楽はフォーレのレクイエム、シューマンの「子供の情景」、バグパイプで「仰げば尊し」、モーツアルトのピアノソナタ等々。

子役は何と人形!殺されたばかりの王エドワード役の今井朋彦さんが、2体の人形を左右の手に持って黒子として語るのは、大いに
違和感があった。彼の声はもちろん素晴らしかったが、ここはできれば本物の子供に登場してほしい。子供の声を聞きたい。

アンは最後まで真っ黒な喪服。
リチャードは王妃エリザベスの口にキスする!

中央の回り舞台をうまく使っている。横長の旗で2つに仕切り、両軍の陣地にしている。リチャードに殺された人々の亡霊が次々に
現れては眠るリチャードとリッチモンドに向かって「絶望して死ね」「生きて栄えよ」と呼びかける。

ラスト、リチャードは普通リッチモンドと一騎打ちして倒れるのに、一人で奥へ歩いて行く・・。すると奥に子供の遊具である木馬
の映像が浮かび上がり、「子供の情景」が流れてくる。印象的な演出だ。この男は小さい時、実の母にさえ愛されたことがなかった
・・。極めつけの悪党の最期にしては、抒情的、感傷的過ぎるかも知れない。



コメント
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