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八点目

「玄白さん、足はくたびれはせんか」
「なあに足には年は取らせんでのう」
「それはよかった」
「ところで、あそこでええ野球やったとんのは、お宅の番頭はんとちゃうか」
「なにいいなさる。ウチの番頭があの半分でもマネしてくれたら。なんせ連打ちゅう紗は夏着るのんか、タイムリーちゅうモチは焼いて食うのか煮てくうのか、なんぞゆうとるさかい」
「いやあ、旦那さん、ようみなはれ、また打った。フジナミ、まだ無失点や」
「ほんまかいな。最近、目、うとうなって。ちょっと眼鏡かけまっさ」
「あ、ほんまや、ウチの番頭や。ああ、6回に8点目入れよった」
「こんなとこ見るのんかわいそうや。横を通っていこ。わわ」
「ほうら、捕まえた」
「人違いじゃ」
「なにが人違いじゃ。一八か茂八か」
「ワシや」
「これはこれはロッテのだんさん。えらい久しぶりで」
「なにが久しぶりか。これでどうじゃ」
「うわっうわっ」
「これ番頭下々のものにも点やらなあかんで」
「へえ、だから八点目や思うたんです」
「八点では足らんわい」
「そやから九点目と取ったんでおます」
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