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100億円取材費を使った小説

 小生は小説を読むのが大好きだ。小説を読む醍醐味は、絶対自分では体験できない体験を、読書を通じて疑似体験できることだ。
 秘密情報部員となって、世界制覇を企む悪の秘密結社と戦い、合間に美女といちゃつき、アストンマーチンにうち乗って、うまい酒を飲みうまいものを食う。こんな体験ができるわけだ。動乱の幕末で、勤皇の志士となり、新撰組とちゃんばらもできる。どんな体験だってできる。
 作家は、これらの小説を、取材をし、資料を調べ、想像力をフルに働かせて書いているわけだ。なかには自分自身の体験を素材として作品を書いている作家もいる。そういう作品は、作者が実際に体験しただけに、リアルな迫力が楽しめる。もちろん、作家が100%架空のもので構築した作品も、創りものの面白さが満喫できる。そのへんはプロの作家の職人芸だ。
 作者が絶対体験できないことを書いた小説も多々ある。殺人事件をあつかうミステリーの作家は実際に殺人を犯しているわけではない。それでも殺人犯の内面を描くわけだ。
 殺人は極端だが、それ以外でも、体験できない場面を描かねばならない時もあろう。このような場面は資料を調べ想像で書くしかない。たとえばカジノで100億もの金を散在するなんて経験できない。
 冲方丁の「マルドゥック・スクランブル」といえば、カジノのシーンがすごい迫力だ。もし冲方氏に100億円取材費を使ってもらって、カジノのシーンを書き直してもらうと、もっと迫力が出るかも知れない。しかし100億も取材費を費やして本を出したら、いくら売れても大赤字。100億円カジノで使うことは非現実的なわけ。ところが、実際に100億円以上の金をカジノで使ったご仁がいる。ご存知の通り、大王製紙の元会長井川意高氏(もう容疑者だな)だ。なにせドラエモンのポケットのように、お金が無限に出てくる財布を持っていて、思う存分カジノで博打をしたわけだ。井川氏にはぜひとも、この体験を小説にしてもらいたい。なにせだれでも出来ない体験をしたご仁だから、それはそれは面白いカジノ小説になるだろう。楽しみにしておるぞ。
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