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2009年の阪神タイガースをふりかえる

 2009年の阪神タイガースの成績。セリーグ4位。67勝73敗4分。借金6。勝率4割7部9厘。首位巨人とのゲーム差25。
 2009年は、この数字を見ればお判りになるとおり、大方の阪神ファンにとって決して満足のいくシーズンではなかっただろう。小生も大いに不満の残るシーズンであった。別に優勝を逃したから不満を抱いているのではない。
 小生は娯楽で阪神ファンをやっているのである。1日の仕事を終え、ビールなと飲みながら阪神の試合を観るのが楽しいのである。ところが今年は観ていて楽しくない試合が多かった。別に負け試合が多かったからこんなことをいっているのではない。負け試合でも観て面白い試合もある。逆に勝ち試合でも不愉快な試合もある。
 なんでもええ、阪神が勝てばええんや。といわれる阪神ファンもおられるだろう。小生は違う。不愉快に勝つのと、愉快に負けるのでは、愉快に負ける方を選ぶ。ええもん順にいうと、愉快に勝つ、愉快に負ける、不愉快に勝つ、不愉快に負ける。今年は、不愉快に負ける>不愉快に勝つ>愉快に負ける>愉快に勝つ、という順だった。
 真弓監督の1年目。シーズン前半は、真弓監督がチームを掌握できず、制御できていないがゆえの、不調であろう。去年まであまり目につかなかった、ミス、エラーの多発は選手の気のゆるみというより、彼らが監督真弓明信氏をよく理解していなかったのではないか。
 小生は岡田前監督が、お気に入りだったがために、このブログでも真弓さんには辛く当たったが、こうしてシーズンを通して振り返るに、監督1年生としては真弓さんはよくやったとの、評価をしてもいいだろう。
 真弓監督の課題は、これはもう世代交代。この1点につきる。金本、下柳、矢野、桧山。40を越える選手にいつまでも頼っているようではだめだ。巨人とのゲーム差は、この世代交代の進捗情況の差といっていい。これは、岡田前監督にも責任の一端はある。

投手たち
 昨季との一番の違いはJFKの崩壊だろう。岡田阪神の強さの原動力であったJFKは今季はいない。藤川は、前半こそ不安定だったが、後半は藤川らしいピッチングを披露。守護神ぶりを発揮した。
 久保田は先発転向を試み、1試合に登板しただけで2軍落ち。その後登板機会のないままシーズンを終えた。彼は、できれば来シーズン、今一度先発の機会を与えて欲しい。
 ウィリアムスは故障もあり、一時の威力は落ちた。ジェフはやはり年齢から来る衰えだろう。戦力外ということになっても、やむを得ないだろう。いずれにしても、彼は近年の阪神の功労者。そういうことになり、他球団に移籍となれば新天地での活躍を望む。引退ということになれば、外国人選手ではあるが、彼との別れを惜しむ場を設けてもらいたい。そして、選手とは違う形で阪神に戻ってきて欲しい。
 前半は、先発投手を可能な限り長いイニングを投げさせた。そのため、安藤、能見、下柳、久保、福原たち、先発陣は前半はがんばった。ところが、ままならないもので、打撃陣がそれに応えられなかった。好投すれど報われず、という試合が何試合あっただろうか。特に久保はかわいそうだった。よくくさらずにがんばったものだ。
 後半は、常勝タイガースを支えてきた下柳に、さすがに歳なのか疲れが目立ち勝ち星に恵まれなかった。また、安藤、福原の二人も先発として機能しなかった。安藤はエースと呼ばれてはいるが、ふがいないピッチングが続いた。それに福原。彼1人で借金を七つも作っている。チームの借金が6だから、福原の成績がせめて5分ならば、勝率5割は確保していただろう。
 後半戦を支えたのは、能見、岩田、久保の3本柱だ。岩田はWBCの疲れによる故障で出遅れたが、先発としての仕事は成し遂げた。久保は前半くさらずに仕事をしてきたのが、後半実を結んだ。能見に関しては何もいうことはない。チームの勝ち頭であり、来季のエースは能見だ。
 中継ぎ陣では江草が期待を裏切った。これは江草を責められない。昨季の江草はそれこそ八面六臂の大活躍であった。だれ出そう、困ったら江草だった。岡田前監督に便利使いされすぎた。使う局面を考えて、大切に使えば役に立つ投手だ。
 ウィリアムスと久保田の抜けた穴を埋めたのは、アッチソンと筒井だ。特にアッチソン、リードされている試合でも、イニングをまたいでの登板でも、平気で投げるタフネスぶりは頼りになる。筒井の成長も今季の大きな収穫だ。

野手たち
 4位となった戦犯はメンチと新井だ。メンチの場合、なんの実績もない外国人で、いっこうに打てる気配がないのに使い続けた真弓監督の責任だ。監督になったばかりであり、せっかく高い金で取って来た選手だ。フロントへの顔向けでメンチを使い続けたのだろうか。
 新井は生真面目な男だ。それに、ああ見えても小心なところがあるのではないか。アニキ金本の後の5番。広島で守っていたといえ、昨季より負担の大きな3塁の守備。思わぬ重圧がかかり極度の不振に陥ったのではないか。後半はふっきれたのだろう。また3塁の守備も広島時代を思い出したのではないか。
 今年の阪神はとにかく故障者が多かった。だれかが治ればだれかが故障する。関本、ブラゼル、赤星、矢野、桜井たちが故障した。フルイニング出場したのは金本、新井の二人だけ。鳥谷は一度代打をおくられた。新井は打順を変えられた。金本だけがフルイニング不動の4番。なんだかんだいっても、阪神の芯棒は金本だ。その金本に衰えが出てきた。2割6分1厘、21本、91打点。4番バッターとしては満足できない。また打つほうよりも守備の衰えも目についた。あと一歩で取れた打球をヒットにした場面がいくつかあった。とはいっても、ここで1本欲しい時に打って勝利を呼び込むアニキの神通力は、未だ衰えていないところも今季もあった。金本の処遇をどうするか、というより金本自身の決断を待つしかない。金本の記録が阪神の足かせとなる最悪の場面だけは見たくない。
 ヘルニアという持病を抱えつつ戦う赤星。彼が出塁して盗塁、ホームに帰ってきて得点、というパターンが阪神の得点パターンだが、その赤星がフルに活躍できなかったのが痛い。知人に椎間板ヘルニアの男がいるが、彼は若いころに台風で転んで腰を強打、そのショックでヘルニアが出て、一度手術したが完治せず、いまだに痛がっている。ヘルニアの完治は非常に困難とのこと。その男は同病ということで、赤星を特に気に止め、赤星が好人物がゆえに、引退した方が赤星の今後の人生のためにいい、といっている。小生もそう思う。ではあるが、赤星の足は阪神の強力な武器だ。ホームランはアテにできないが、走るのはアテにできる。赤星本人は復活を宣言しているが、持病が持病ゆえ無理はできない。海外からアテにできない長距離打者をつれて来るより、足の速いアベレージバッターを連れてくるべきだ。そういう意味からも、平野、鳥谷、もっと走れ。
 今岡の復活を望んでいたが戦力外との結論。残念だがしかたがない。また、復活したとて、阪神の今の内野には今岡の居場所はない。本人は現役続行を望んでいるとのこと。他球団での活躍を祈る。
 ブラゼルは福の神であった。メンチの代わりに彼がシーズン当初からおれば、阪神はAクラスは確実だっただろう。打撃に目が行きがちだが、1塁の守備も結構うまい。不器用そうに見えるが器用な選手では。
 3番バッター鳥谷、桜井、大和、狩野。彼らの成長が大きな希望だ。

今年のMVP
投手 能見篤史
  次点 スコット・アッチソン
野手 グレイグ・ブラゼル
  次点 鳥谷敬 
 
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