走る営業公務員、奮闘記!!

地方分権が進展する中での地方からみた木っ端役人の奮闘記です。

ハイビスカスとフーテンの寅さん

2006年08月02日 00時56分57秒 | その他
 映画「フーテンの寅さん」は、確か48作続いた、ギネスブックにも掲載されるくらい息の長い映画です。
 なぜ、こんなに長く続いたかと申しますと、これはとにかく面白く、単純明快で、私たちの身近にいそうな登場人物で構成されていたというのも魅力だったのかもしれません。
 また、伊丹十三監督は、「面白い映画というものは、大きな起承転結があって、その中に小さな起承転結が十七・八くらいあるのが理想です。」と、何かの雑誌に語っておられました。
 そして、「フーテンの寅さん」は、それが本当にワンパターンなのであります。
どこで笑いをとる芝居が出るのか、誰しも予測できるくらい、みごとなワンパターンでありました。
でも、必ず噴出すくらい笑ってしまうのです。
 この映画の山田洋二監督は、「ワンパターンの中で常に笑いがとれるのは、普通の役者さんではできません。すべて、主役・渥美清さんだからこそ成し得た技であり、そういう意味ではフーテンの寅さんは、渥美さんしかできないのです。だから、渥美さんが死んだ時点で、フーテンの寅さんは、終わりなのです。」と語っておられました。
 また、渥美さんは、子どもの頃から身体が弱く、小さいときにはずっと床に伏せていたということでります。
そして、その頃、ラジオから流れてくる落語が大好きになり、熱心に聴いていたそうです。
このことが、後の寅さんを形づくる、話のつかみ、心象風景を想像させる語りぐち等など、彼のアドリブの中に落語の真髄が凝縮されているのであります。
 また、その能力に加え、青年期にテキヤの口上に魅了され、諳んじるまでなり、テキヤさんからスカウトされそうになったというエピソードがあります。
 つまり「フーテンの寅さん」には、落語にテキヤの口上がミックスされ、渥美さん流にスパイスを効かせて、仕上げているのかなと思うのです。
 そして、シリーズの中で私が最も好きなのが沖縄編で、浅丘ルリ子さん演じるリリー(全編中、最多登場のマドンナ)が、公演先の沖縄で倒れて、寅さんが慌てて駆けつけ、恋に発展するというストーリーであります。
この映画には、沖縄の南国特有の風景と赤いハイビスカスのコントラストが印象的でした。
この作品から、常に片思いだった寅さんの恋が、少しだけ両思いになっていくというように方向転換したと思います。
シャイで、滑稽で、どこか哀愁のある寅さん。
 日常は、ワンパターンの連続であります。
 だからこそ、日々を充実したものにできるかどうかは、日々の主役である自分のいとまない努力の積み重ねによって達成できるものなのかもしれませんね。
 そして、寅さんがこの世からなくなった8月がまたやってきました。
日本国民に笑いを提供してくれた渥美清さんのご冥福をお祈りいたします。

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