昨夜、レイトショーで「リンカーン」という映画を観て来た。
予告がよかっのと自分にとって因縁のある人物なので見逃したくないという思いがあったからである。
映画の内容は、ホームページから引用する。
スティーブン・スピルバーグ監督が、名優ダニエル・デイ=ルイスを主演に迎え、アメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカーンの人生を描いた伝記ドラマ。
貧しい家に生まれ育ち、ほとんど学校にも通えない少年時代を送ったリンカーンだが、努力と独学で身を立て大統領の座にまでのぼりつめる。
しかし権力の座に安住することなく奴隷解放運動を推し進めたリンカーンは、一方でその運動が引き起こた南北戦争で国が2つに割れるという未曾有の危機にも直面していく。
奴隷制度廃止を訴えた共和党議員タデウス・スティーブンスにトミー・リー・ジョーンズ、リンカーンの妻メアリー・トッドにサリー・フィールド、息子のロバート・トッドにジョセフ・ゴードン=レビット。
脚本はスピルバーグ監督作「ミュンヘン」のトニー・クシュナー。
第85回アカデミー賞では同年度最多12部門にノミネートされ、デイ=ルイスが史上初となる3度目の主演男優賞受賞となった。
私は生まれてはじめて呼んだ伝記が「リンカーン」であった。
そして、読書感想文を書いたのもリンカーンであった。
つまり、読書感想文の題材として選ぶために「リンカーン」を選んだのである。
この読書感想文で何か賞をもらったので余計に覚えている。
本内容で覚えているのは、子どもの頃、家の周りにいた親子の鹿を父親が獲ってきて食卓にスープに上がったとき、彼は一切手につけなかったし、それ以降も口にしなかったということ。
また、家にお金がなかったので独学で測量技師になり、さらには弁護士になり、政治家への道を歩み、最後は大統領になったというものである。
そして、次のような名スピーチが記されていた。
ゲティスバーグ演説は、272語1449字という極めて短いスピーチであったにもかかわらず、リンカーンの演説の中では最も有名なものであり、また歴代大統領の演説の中でも常に第一に取り上げられるもので、独立宣言、合衆国憲法と並んで、アメリカ史に特別な位置を占める演説となっている。
特に「...人民の、人民による、人民のための政治... (...government of the people, by the people, for the people...)」という一節が有名であるが、この著名な一節はリンカーンのオリジナルではないそうだ。
この日ゲティスバーグにはカメラマンもいたが、マイクロフォンなどない時代、リンカーンの演説が始まってもカメラマンはそれに気づかず、ようやく気づいて写真を撮ろうとした頃にはもう演説が終わっていたという。
そのためこの歴史的演説を行っているリンカーンの鮮明な写真は存在しない。
また演説そのものはリンカーンが祈るような小さな声で述べ、だれも注目しなかったが、たまたま書き留めていた記者が記事にして爾後有名になった。
ジョン・F・ケネディは大統領就任演説原稿を草稿するに当り、過去の名大統領といわれる人たちが短いスピーチだということに気づいたという。
そうだからこそ、心に残る。
しかし、短く書こうとすればするほど難しいということを今の仕事に就いて思い知る。
映画に戻るが、私の知らないリンカーン像を知る。
とてもウィットにとんだ会話を愉しんだ人。
豊富な例え話を引き出しとして持っていて、それを会話の中に絶妙に織り込んだ人。
何よりも、政治だけでなく、法律に精通し、目的のためなら清濁を飲める人。
そして、人間の本質を見極め、そのための手段をタイミングを見ながらコントロールできる人。
私たちがよく「ネゴ」という言葉を口にするが、そのことをよく熟知していた人。
つまり、「しなやか」かつ「したたか」な人であった。
ぜひ、行政マン、必見の映画である。