ある省庁の広報誌のライティングを担当している年増女、私とUさんとNちゃん3人は自らを「三人官女」と呼び、たびたび「三人官女の会」(飲み会ネ)を催している。毎号ではないにしろ「打ち上げ」と称した飲み会、暑気払い、忘年会、新年会などなど3人とも実によく飲むのである。
広報誌はある出版社が制作委託を受けて、ある編プロさんに発注し、それを外注ライター3人が受けているので、私たちは「ひ孫請け」という立場。Uさんが「三人官女って言うか小作人だよね」と嘆くと、Nちゃんは「そうだけどさあ、辛いときは『メシノタネ、メシノタネ』という呪文が有効だよ~」なんて言って慰める。
同じ媒体に関わる同じ立場の仲間なので話が通じやすく「ちょっと聞いてくれる~、こんなこと言われちゃったよ~」とか「ムカっ腹立つのでひとこと言わせて。聞いてくれるだけでいいから」とか、月に一度は電話やメールが行き来する。
ついお互いにきつい意見を言い合ってしまうこともあるが、これまた同じ立場で同じ船に乗っている間柄なので、しばらくあっちを向いてしまっても、また事あるごとに慰め合ったりできるところが年をくった人間の良さだなあと思う。
まあ、私より2人のほうが精神的に大人なのかもね。2人とも2人の子育て経験者だしなあ。私、犬育てしかしてないもんなあ、4頭育てたけど。
それぞれ違う人生を歩いてきたのだし、考え方も性格も違うのは当たり前だから、いいところも悪いところも受け入れて片目をつぶるわけだ。
だからといって「表面的」などという安易な言葉では言えない付き合いなのは、やはりフリーランス、外注の立場でその大変さを理解し合えるからか、3人とも同じバツイチだからか(Nちゃんは形だけはバツになっていないけど)。
版元や編プロから叩かれた経験や失敗や称賛や、いろいろな物が肩に積っているのだね。先日2人と話していて、つくづくそう思った。「外注の立場だと『裸の王様』には成り得ないから、人としていいことだよね」っていう言葉、含蓄があるなあ。
「三人官女の会」にはときどき特別ゲストとしてデザイナーさんやカメラマンさんが加わることがある。ああでもないこうでもないと愚痴を言い合い、ゲラゲラ笑いながら盃を重ねることになる。デザイナーさんやカメラマンさんが男性の場合はタジタジである。
Uさんは、私やNちゃんと違ってクソ真面目なので、いつも2人から「真面目すぎる!」と言われるけれど、メゲずにずうっと真面目だし、楚楚としたお嬢様タイプなのに、ときどきすごく口汚い言葉をポロっというのが不思議なのだ。
Nちゃんはひゃらひゃらしている感じだけど詰めがしっかりしていて、ものすごく物事を冷静に見ているから辛辣な意見をポロっと言うのだけど、それが逆にすごく面白くて、いつも大受け。地主様たちに対する発言が辛辣で、それでいて面白いったらないのだ。
「なんであんな仕事ができない、編集者とも言えない人を長く使ってるんだろう」とUさんが眉をひそめれば、Nちゃんがひと言「遠縁なんじゃないの?縁故採用だんだよ、きっと」。そこで思わず3人で爆笑してしまう。Nちゃんは愚痴や文句を言うときもにこにこして言うから、深刻にならないところが、またいいのです。
前置きが長くなったけれど、そんなNちゃんが資料を貸したお返しに「ほかほかグッズ」を送ってくれた。「あずきのチカラ」、有機栽培の「さつきほうじ茶」「仙台麩(あぶら麩)」。どれもいいねえ。
「小豆の肩マットは、肩こりで頭痛がするくらい辛い日に、偶然見つけたものなの。
中身が小豆とは、懐かしいような罰当たりのような複雑な感じではありましたが、
『きっと売れ残りの古豆さ!』と言い訳しながらレジへ。
でも、すごく温まるよ。ほのかにゆであずきの匂いがしてきてね、
そこでも悪いことしているような・・・・『小さな悪徳』がね、またいいです」
だってさ。いいでしょ?
Uさんが2人に買ってきてくれた愛知県角谷文治郎商店の「三州三河みりん」も、ものすごく美味しかった。あれは芳醇なお酒でしたね。安物しか使っていなかった私の、みりんの概念を覆した逸品だった。オススメです。
角谷文治郎商店 http://www.mikawamirin.com/index.php
それから、デザイナーさんが「ここのは旨いんだよ~」と言って3人に持って来てくれたのが取手市「新六本店」の奈良漬。これも絶品だった。なぜ奈良漬が取手名産なのか分からないけど、あまり奈良漬が好きではなかった私が虜になったほどでした。
新六本店 http://www.shinroku.co.jp/
大抵いつもUさんが幹事となって「三人官女の会」が催されるのだけど、もうすぐ「新年会」が予定されていて、今回も特別ゲストに招集をかけているらしい。UさんとNちゃんへのお返しに何か買っておこうかなあ。人に差し上げるものをあれこれ考えたり、選んだりするのは楽しいよね。
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