小さな栗の木の下で

保護犬のミニチュア・ダックスを引き取り、
小型犬との暮らしは初めて!という生活の中で、感じたことを徒然に…。

この名札を見るたびに

2013-12-11 | 犬&猫との暮らし

              

 これは、カヤがうちに来た時に首輪に付けていた名札だ。

 里親会ではシェルターに保護してきた犬や猫に新しい名前をつけている。名前が決まると手芸好きなボランティアさんが手作りで名札を作ってあげているのだ。こうしてせっせと刺繍をしているボランティアさんの姿を思い浮かべると、その優しさに胸を打たれる。

 毎日のように犬が保護されてきて、里親が決まれば住人(住犬)が入れ替わるので、私のように頻繁に手伝いに行けない者はそれぞれの犬たちの名前をなかなか覚えられない。なので、名札が付いていると助かるし、名前も与えられず繁殖犬として檻の中で暮らしてきた犬たちにとって、固有の名前を呼ばれて可愛がってもらえることは本当に尊い出来事だと思う。

 後で聞くところによると、当初カヤに付けられた「ヘレン」という名前は、目が見えず、耳も聞こえず、言葉もしゃべれない(まあ、これは犬だからネ)ため、目も見えず、耳も聞こえず、言葉もしゃべれない(のちに発声できるようになりましたが)という三重苦を克服した偉人ヘレン・ケラーにちなんだものだった。

 図らずも立派な名前を付けてもらったけれど、幸いカヤは完全に聴覚を失っていたわけではなかった。当初耳も聞こえないと告げられていた私は「嗅覚があれば何とかなる」と思っていたけれど、右耳が聞こえるおかげでコミュニケーションを取るのにほとんど問題はない。

 カヤという名前だって、いい名前だと思っている。トチもブナもクリも、古くから人間の生活に深く関わり、人間の暮らしに恩恵を与えてくれた樹木の名前だ。それを受け継ぐ形で2文字の呼びやすい木の名前を考え出したのです。

 「榧」の木の解説を「Wikipedia」から抜粋すると、

「成長は極めて遅いが寿命は長い。材木は淡黄色で光沢があり緻密で虫除けの芳香を放つ。材質はやや重硬で弾力があり、耐朽性・保存性が高く比較的加工しやすい。樹脂が多く、加工品は年とともに風合いが美しく変化する。

 カヤ材でもっとも知られている用途は碁盤、将棋盤、連珠盤である。これらは様々な材の中でカヤで作られたものが最高級品とされ、加工のしやすさや美しさから彫刻など工芸品にも用いられる。

 果実から取られる油は食用、灯火用に使われる。カヤの種子は榧実(ひじつ)として漢方に用いられるほか、炒ったものを数十粒食べるとサナダムシの駆除に有効であるといわれる。
 また、カヤの実は相撲の土俵の鎮め物としても使われている。米、塩、スルメ、昆布、栗とともに土俵中央部の穴に埋められている。」

 とある。「栗とともに土俵中央部の穴に埋められる」という箇所でクリのことを思い出す。クリと一緒に埋められるなんていいじゃないと強引に結び付ける自分に、いただけない感傷だとちょっと反省してみたり……。

 そんなふうに取って付けなくても、「成長は極めて遅いが寿命は長い」という形質がいい。ヘレンを返上して付けた「榧」という名前には、私との生活にゆっくりゆっくりなじんでいき、残されたいのちが「寿」で彩られるよう、穏やかな日々を過ごさせてあげたいという思いを込めたのである。

 この名札を見るたびに「カヤをうんと大事にしてあげよう」と初心に帰るような気持ちになる。繁殖業者からカヤを保護してくれた人たち、名札を作ってくれた人をはじめボランティアさんたちの願いがここにこもっている。なので、今でも大切に保管しているのです。


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