先日、新宿の紀伊國屋書店で絵本『かないくん』を買った。発行は東京糸井重里事務所。文を綴ったのは谷川俊太郎さん、絵を描いたのは、詩人・工藤直子さんの息子さんで、漫画家の松本大洋さん。
『ほぼ日刊イトイ新聞』に連載されていた「『かないくん』ができるまで」を読んでいたので、谷川さんが一夜で文章を書いたのに対して、その文章を読んだ松本さんが、絵を仕上げるのに2年かかったということは知っていた。
谷川さんは若い頃から、作品の中で「死」を頻繁に扱ってきたように思う。数か月前に読んだ、谷川さんと野の花診療所の徳永先生の『詩と死をむすぶもの 詩人と医師の往復書簡』でも、谷川さんは死を比較的身近なものとして考えていると綴っている。
同書でも谷川さんは「死は終わりではない」というようなことを語っているから、そうした思いをまとめるかのように、『かないくん』の原稿もすらすらっと書き上げたのではないかと思った。
一方、このストーリーを絵にするのは、本当に大変だっただろうと思う。絵本を手にして改めて、そう思った。谷川さんの原稿を読んだブックデザイナーの祖父江慎さんも「これを絵にするのは、そうとう難しいねえ」とおっしゃったというから、プロの目から見ても、そうだったのでしょう。
けれど松本大洋さんは、それを見事に形にしたわけですね。印刷工程でこだわったという「白い色」は、どのページでも印象に残る使い方がされていた。
ことさら重く描く必要もなく、かといって軽々なものではない「死」へつながる世界の温かみや孫の女の子の心情が、そのさまざまな白色で表現されている。
『かないくん』に描かれた死の確からしさや白い色の存在感は、文章、絵、デザイン、印刷、進行それぞれを担当した、すべての方たちの妥協のない仕事ぶりの賜物なんですね。脱帽でした。
『ほぼ日刊イトイ新聞』に連載されていた「『かないくん』ができるまで」を読んでいたので、谷川さんが一夜で文章を書いたのに対して、その文章を読んだ松本さんが、絵を仕上げるのに2年かかったということは知っていた。
谷川さんは若い頃から、作品の中で「死」を頻繁に扱ってきたように思う。数か月前に読んだ、谷川さんと野の花診療所の徳永先生の『詩と死をむすぶもの 詩人と医師の往復書簡』でも、谷川さんは死を比較的身近なものとして考えていると綴っている。
同書でも谷川さんは「死は終わりではない」というようなことを語っているから、そうした思いをまとめるかのように、『かないくん』の原稿もすらすらっと書き上げたのではないかと思った。
一方、このストーリーを絵にするのは、本当に大変だっただろうと思う。絵本を手にして改めて、そう思った。谷川さんの原稿を読んだブックデザイナーの祖父江慎さんも「これを絵にするのは、そうとう難しいねえ」とおっしゃったというから、プロの目から見ても、そうだったのでしょう。
けれど松本大洋さんは、それを見事に形にしたわけですね。印刷工程でこだわったという「白い色」は、どのページでも印象に残る使い方がされていた。
ことさら重く描く必要もなく、かといって軽々なものではない「死」へつながる世界の温かみや孫の女の子の心情が、そのさまざまな白色で表現されている。
『かないくん』に描かれた死の確からしさや白い色の存在感は、文章、絵、デザイン、印刷、進行それぞれを担当した、すべての方たちの妥協のない仕事ぶりの賜物なんですね。脱帽でした。
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