<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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10年ほど前の何年間というもの数ヶ月に一度と言う割合でタイのバンコクに遊びにでかけていた。
バンコクに遊びにと言っても「あっち系」の遊びではない。

日頃の仕事の疲れを癒やすため。
会社とは一切縁を断ち切るため。
全く違う環境に身を置いてリラックスしたいため。
などなどなど。

これらの目的を達成するため私はなんちゃってバックパッカーとして週末に行って戻ってこれる場所としてのバンコクがお気に入りなのであった。

バンコクではだいたいサトーン地区という場所にあるサービスアパートに滞在。
昼間はバンコク都内をほっつき歩き、夜はシーロム通りの屋台やルンピニー公園そばにナイトバザールの屋台街でタイ料理をつまみにアサヒビールかシンハビールを飲むというような至って健康な余暇なのであった。

この中で、バンコク都内のほっつき歩きで最も面白いのが路線バスツアーだった。

伊勢丹の中にある紀伊國屋書店やあちらこちらに点在する東京堂書店へ行くと「バンコクバスマップ」というバンコクの路線バスの日本語案内書が売られている。
これを使う。
ここに書かれている地図を見て目的地を色々定めて出かけるのだが、タイ語が満足にできないことに加えてタイ語の文字が全く読めないために非常に面白い旅が楽しめるのだ。

どういうことかというと、どこにたどり着くのか最後まで目が離せないのが楽しい。

たとえば、
「これや!」
と目星をつけたバスに乗り込む。
すると予想とは全く違う場所に向かって走る。
「これ○○行きます?」
とガイドブックや指差し会話帳を使ったり、数少ないタイ語の単語を並べたりして車掌さんに訊ねる。
すると、
「次で降りて、○○番のバスに乗ってね」
と教えてくれる。
で、にこやかな車掌さんの指示に従って乗り換えたところ、また見ず知らずの地区に走っていってしまうということが少なからずあった。

私はこれをタイ・バンコクのミステリーツアーと密かに呼んで楽しんでいた。

タイの物価は日本に比べると恐ろしく安く、路線バスに乗っても日本円で10円から50円程度の運賃のため、間違っても気にならない。
路線バスは地元の雰囲気を楽しめることが何よりで、ツアーバスなどに乗れるか!という気分になるまで時間はかからなかった。
しかも、どこかわからなくなって、
「しゃあない、都心までタクシーで帰ろう」
ということになっても日本円で1000円も出せば、かなりの距離でも戻ってくることができた。

ああ、またバンコクで路線バスを楽しみたい。
そんな年度末の忙しい近頃なのである。

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