<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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たまに冗談で言ったことが本当になることがある。
今回の旅行はまさにそういうリアルになってしまった冗談であった。

「東京へ家族で行くなら自動車やな」

家族三人で大阪から東京まではマイカーを運転して走ったほうが絶対に安いという安易なことを以前から話していた。
たとえLCCでも、高速バスでもマイカー移動に勝るものはないという考えだ。
でも片道500kmはそう安穏に決めていいドライブでもない。
それに私はロングドライブがあまり好きではない。

そもそも昨年までの勤め人であった私は毎週のように東京に出張していた。
このため家族からは、
「ええな、色々見られて」
と言われることが少なくなかった。
そのたびに、
「仕事やがな」
と説明をしていたのだが、仕事に絡めてアート・イベントを頻繁に見ていたのも事実だ。
これを家族は指摘する。
「いずれ家族みんなで東京のアートイベントへ」
という要求が出されたのも必然なのであった。

家族で行くとなると問題になるのが交通費。
「仕事なら交通費が会社からでるやん。個人で行くとみんなの分出さなあかん。一人往復3万円はかかるからな。」
そう。
1人3万円。
家族3人で9万円もかかってしまう。
これをLCCを使って1人往復2万円としても6万円。
かなりの金額だ。
そこで解決策として、
「うちの車で行ったら1人分で行けるん違うか」
と話していた。
確かに高速道路は往復1万6千円程度。それにガソリン代。
往復3万円を切りそうだ。

で、なんでマイカーで東京に行くことになったかというと先月、仕事で東京に行った時に千代田区立日比谷文化館へ立ち寄ったことがきっかけだった。

日比谷文化館は図書館にも関わらず立地のためか1階がギャラリーになっていて美術展が開かれている。
私は東京滞在の時はここで調べ物をするのに利用するのだが、ギャラリーも楽しみの1つなのだ。
この日、1階のギャラリーでは「DOMANI 明日展PLUS」という展覧会が開かれていた。
なんでも文化庁が主催する若手現代美術家の支援事業の結果を評価するのがこの展覧会だということでなかなか力が入っていた。
ちっとも知らない官製アートプロジェクトなのだが1967年から続く歴史ある事業なのだという。
実のところたまたま見たこの展覧会での若手の作品が面白く、かつ衝撃的なのであった。
若い、といっても30代、40代もいるのだがそういう実力派が競う新鮮なアートはビッグネームが繰り広げるイベントとは違うパワーを感じることができる。

しかも本展が2週間後から六本木の国立新美術館で開催されるということを係の人に教えてもらうと、
「これは、大学生の娘に見せてやりたい。」
と自然に感じたのだった。

とは言え年度末の忙しいシーズンに、しかも脱サラしてやっと仕事が軌道に乗ったものの、まだまだ物入りで節約も大事だ。
ということは飛行機や新幹線は論外。

マイカーで行くことに決定したのであった。

つづく

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