<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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近鉄電車で難波から奈良に向かうと奈良の一歩手前「西大寺」駅から新大宮駅まではなかなか素敵な風景が広がる。
見渡す限り広い野原。
その野原の中を幅2メートルほどの道路が格子状に通り、自転車が淡い陽光をキラキラ反射させながら走っている。
電車の線路は、そのど真ん中を突っ切っていく。
車窓の左手には復元された大極殿が。
右手には朱雀門が望まれる。
そう、ここは1200年前まで都だった場所。
平城宮跡なのだ。

この平城宮跡。
つい100年ほど前までは田んぼだったのだという。
誰もここが都の中心地、なんて思わなかった。
たとえ思っていたとしてもあまり考えなかったのかも知れない。
そのためだろうか大阪電気軌道という会社が線路を伏せつした頃に奈良と大阪上本町を結んだ。
今の近鉄奈良線だ。
そして100年後の今。
世界遺産となった平城京の景観を良くするためにその近鉄奈良線を地下に埋めようという計画が持ち上がっている。

なんて、無謀な....。
関西人の私は思わずそう呟いてしまったのだった。

奈良でも京都でも、実は大阪でも同じなのだが、この地域を土木工事掘ったりなんかすると大変なことになる。
何処を掘っても遺跡が出てくるのだ。
したがって当初見込みの工事費は大幅に上昇。
工事期間もズズズと長くなる。

この平城宮跡だった場所の端っこ。
国道24号線と大宮通りが交差する交差点の北東側にスーパーイトーヨーカドー奈良店のある場所が長屋王の邸宅のあった場所で、30年ほど前に多数の木簡が出土して世間を騒がせた。
ここで出てきた木簡などの資料は後日、京都国立博物館で展示されたが内容がビックリ。
誰それさんの勤務評定や、どこそこの国の某さんの納税記録など、実に生生しいことが記されていたのだ。
それを見た私は奈良時代が歴史の一コマではなく現代と同じリアルな世界に一気に変化したのを感じたのだった。

近鉄奈良線の地下化はまさにその邸宅前を掘削する。
何が出てくるか。
大いに楽しみだが、私が生きている間に完成するとは思えないプロジェクトではある。


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