<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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仕事で山梨県の甲府へ出かけることになった。
甲府といえば山梨県。
山梨県といえば大阪から行きにくい地方の代表のひとつと言っても過言ではない。

今から二十数年前、若かりし私は社命を受けて甲府にある、とあるジャンクフードというか駄菓子というか、とどのつまり酢漬けイカ食品の工場建設現場に派遣されることになった。
この前週、私はリゾートホテルの建築工事で沖縄県恩納村に一ヶ月ばかり滞在していた。
恩納村は那覇から車で一時間少し、リゾートホテルが立ち並ぶ沖縄を代表する、のほほ~ん、エリアなのであった。
こののほほ~んとした沖縄での滞在最終日前日、私がムーンビーチでリッチな海水浴を楽しんで宿舎のポアな民宿へ帰ってきた時、会社から次のミッションへの指示の電話がかかってきたのだった。
その指令が、次は「甲府へ行け」というものなのであった。

甲府は遠かった。

大阪から甲府へ行くには大きく分けて3ルートある。
一つ目は新大阪から新幹線で名古屋で下車。
中央本線の特急に乗って長野県の塩尻駅で新宿行の特急に乗換え、甲府に至るルート。
二つ目は新大阪から新幹線で東京で下車し、中央特快で新宿へ。そこから特急で甲府へ至るルート。
当時はひかり号が新横浜に止まらなかったので横浜線で八王子まわり案はなかった。
最後の三つめが新大阪から新幹線で静岡下車。見延線という大阪人は聞いたこともない路線を走る列車に乗り、富士山の西側を北上して甲府へ至るルートだ。
この時とったルートは行きが第一のルートで帰りが第二のルートなのであった。
ちなみに帰りのルートは割高で社長に文句を言われたのは言うまでもない。

あれから四半世紀近くが経過して、今回の甲府出張。
驚いたことに事情はほとんど変わっていなかったのであった。
強いて言えば、新幹線が0系から700系などの最新鋭車両に変わって新幹線だけがスピードアップしたことと、静岡にひかり号が停車するようになった事だけが変わってたことなのだった。

で、今回行きは都内のお客さんを訪問し第一のルートをたどったのだったが、帰りは第三のルートをとった。
そして、このルートでも、第一のルートでも、東京経由でも八王子経由でも、どのルートをとったとしても、やはり六時間近くの所要時間がかかることを確認したのであった。

これは凄いことで、大阪から山梨県甲府市に行くのに要する時間は、大阪関西空港からシンガポールに行くのに要する時間に匹敵するものがあるということだ。
時間的には山梨へ行くよりもバンコクやホーチミンに行くほうが近く、ソウルや台北、香港などにいたっては甲府へ行くよりも時間的には半分ということになってしまう。

そんなことを考えながら甲府駅からタクシーに乗った。
すると運転手のおっちゃんは、
「リニアができたら、大阪も近くなりますよ」
と言った。
何年後の話やねん。
「ワシ、死んでいてへんかもわからんで。」
と考え、ますます甲府が遠方のような気がしてきたのであった。


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