平ねぎ数理工学研究所ブログ

意志は固く頭は柔らかく

新型コロナワクチン接種後の肝障害

2022-05-20 11:17:40 | 新型コロナウイルス



Liver injury after SARS-CoV-2 vaccination: Features of immune-mediated hepatitis, role of corticosteroid therapy and outcome

概要

背景と目的

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(SARS-CoV-2)ワクチン接種後に肝障害のような自己免疫性肝炎の症例報告が数例ある。
我々は、大規模なケースシリーズでSARS-CoV-2ワクチン接種後の肝障害の臨床的特徴、治療反応および転帰を評価した。

アプローチと結果

18カ国の症例からデータを収集した。
肝障害のタイプはR値で評価した。
研究対象者は、自己免疫性肝炎の特徴(自己抗体陽性、免疫グロブリンG値上昇)、肝障害に対する副腎皮質ステロイド療法によって分類した。
患者87名(63%、女性)、来院時年齢中央値48歳(範囲:18-79)であった。
肝障害はワクチン接種から中央値で15日(範囲:3-65)後に診断された。
ワクチンの種類は、51例(59%)はPfizer-BioNTech(BNT162b2)ワクチン、20例(23%)はOxford-AstraZeneca(ChAdOX1 nCoV-19)ワクチン、
16例(18%)はModerna(mRNA-1273)ワクチン、であった。
肝障害は主に肝細胞性で(84%)、57%の患者に自己免疫性肝炎の特徴がみられた。
副腎皮質ステロイド療法は46例(53%)に投与され、グレード1〜2の肝障害よりもグレード3〜4の肝障害に投与される頻度が多く(88.9%対43.5%、p=0.001)、
非自己免疫性肝炎よりも自己免疫性肝炎に投与される頻度が多かった(71.1%対38.2%、p=0.003)。
肝不全を発症し肝移植を受けた1名(1.1%)を除き、全例に肝障害の消失が認められた。
12名(26%)の患者において、生化学的に完全に治癒した後、観察期間中に副腎皮質ステロイド療法が中止された。
追跡期間中に再発した症例はなかった。

結論

SARS-CoV-2ワクチン接種は肝障害と関連する可能性がある。
自己免疫性の特徴や重篤な肝炎を有する症例では、副腎皮質ステロイド療法が有効である可能性がある。
予後は概ね良好であったが、ワクチンによる肝障害が1名の患者に劇症肝不全を引き起こした。