平ねぎ数理工学研究所ブログ

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接種歴不明について

2022-05-16 13:18:53 | 新型コロナウイルス

昨日の続きです。

4月20日以前の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでは、接種歴未記入者をすべて未接種に分類していたために、
未接種者が2回目接種済みよりも感染しやすいかのような印象を与える資料になっていました。
分類方法の見直しを行うと、未接種者よりも2回目接種済み方が(すべての年齢層ではないが)感染しやすいという世界中でよく知られている結果に変わりました。

新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの最新版はつぎのとおりです。

脚注に記載されているように、4月20日までのADB提出データでは接種歴未記入の場合は未接種者に分類され、5月11日ADB提出データでは接種歴不明に分類されています。

ところで、そもそも接種歴不明とは何でしょうか。
未接種にも2回目接種済みにも3回目接種済みにもどこにも属さない別枠に分類されていますが、本来はどこかに属しているはずのものです。

どこにも属さず別枠に分類されるのは、平成十年法律第百十四号感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に従っているからです。
この法律の第12条につぎのような規定があります。



「医師は、その者の氏名、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を、最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない」と書かれています。
氏名、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項のうちのひとつが接種歴です。

具体的にはつぎのとおりです(赤枠内)。


赤枠を拡大します。

この赤枠に記入がない場合、4月20日までのADB提出データでは未接種に分類されていました。
5月11日ADB提出データでは接種歴不明に分類されています。

接種歴の欄には地雷のように不明がちりばめられています。
年齢、ワクチンの種類/製造会社、接種年月日、これらのひとつでも不明があれば「接種歴不明」になります。
年齢を患者本人が知らないはずはないのですが、この表は医師が患者から聞き取って書くので、不明に分類されることもあるでしょう。
ワクチンの種類/製造会社、接種年月日などは患者が記憶していないこともあるので、その場合は不明です。
しかし、未接種であれば、細かいことを記憶する必要がないので「無」にマークされるはずです。
つまり「接種歴不明」のほとんどは「接種歴有」で細部の情報がはっきりしないだけではないかと思われます。

追記 2022.05.16

接種歴不明は、2回目接種済みか3回目接種済みかのいずれかであると仮定して、接種歴不明数をそれぞれの人数比で分配しました。
なお、接種歴未記入の中には未接種者が含まれている可能性がありますが、ここでは無視しました。

朱書きで示した数値は未接種者数の集計ミスによる異常値と思われます。厚労省のやることですからこんなことは日常茶飯事です。
さて、上表をみると陽性率の大きさは 2回目接種済み >未接種 ≧3回目接種済み になっています。
2回目接種済みが最も感染しやすく3回目を接種すればわずかではあるが感染予防効果はあるという結果になっていますが、
イギリスの調査結果から類推すると、感染予防効果は時間の経過とともに減弱するはずです。


追記 2022.06.01

【考察】修正したとみせかけて、ミスリードを誘っていませんか?